ハードウェア


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ハードウェアをゼロから揃える場合について。

重要な注意
買い物の結果に責任は持たないよ。急がば回れの録音のページにあるお金が絡む話題についての項も参照のこと。

重要な注意
仕様変更などの情報変化には追従していないので、メーカーの公式発表を確認すること。


最初に

機材構成に関するもう少し詳しい情報(ただし音楽用前提)が、一足飛びのパソコン周辺の買い物のページにある。筆者が実際に使っている機器については、ローコスト制作の感想コーナーで紹介している(音声サンプル)。また、一部の機器(現在は使っていない古いものや、筆者の所有でないものも含む)はローコスト制作のハードウェアのページ(とそこから辿れるリンク先)に音声サンプルを掲載している。

あまり取り上げられていない情報なので先に強調しておくが、USB接続のカメラとパソコンの音声機能を併用したい場合や、ステレオミキサーのページで紹介したような)高度な設定をしたい場合、

が重要になる。マイク内蔵のUSBカメラもあり1つのホストアダプタで動画と音声を同時に取り込めないわけではないが、音声の質やパソコンでの加工は望むべくもないし、手元ではUSBカメラとUSBサウンドユニットの同一ホスト同時使用も確認できてはいるが、普通のメーカーは「やめろ」と言う繋ぎ方なのでトラブルが生じない保証はない。

以下は2011年6月現在の情報を元にしている。また、筆者が実物を見たこともない機器についても、カタログ情報を鵜呑みにして取り上げている。


理想論と現実路線

ハードウェア環境を真面目に考えると、普通のマイクを普通のミキサーに入れてサウンドカードのライン入力に入れてやる方法がもっとも無難である。音楽関連の記事であれば、このくらいの環境は必要最低限の(しかし実用上十分な)ものとして紹介するところだが、放送となるとちょっとそうはいかない。

なにしろ、ミキサー、マイク、マイクスタンド(とマイクホルダー)、必要に応じて追加のサウンドカード、各種ケーブルと必要なものが多く、ゼロから買い集めるとけっこうな負担になる(詳しい皮算用は後述するがすべてローエンド品でそろえたとしても1万円近くかかるし、ミキサーやスタンドは置き場所も取るし、機械がまるっきり苦手な人は操作や配線なども苦戦するかもしれない)。

ここでは、上記のような環境を「理想的」なものと位置付けて、より簡易な構成を少ないトレードオフで実現することを考えたい。


理想セット

最初に理想的な環境を紹介しておこう。基準がないと以降の話が面倒になる。

マイク周り

マイクのオススメはなんといってもソニーのF-V420である。希望小売価格が「4,095円」と安く実売は3000円台、単一指向性と無難な形状と素直な特性、キャノンプラグ採用かつミニフォンへの変換ケーブルと標準フォンへの変換アダプタつき、プラグインパワー対策もなされており、感度(ゲイン)がカタログスペックで「-52dB±3dB」と比較的高い(オマケに「平衡接続可能」らしい)。はっきりいって好条件の塊みたいなものである(さすが放送屋さん、と意味のわからないホメ方をしておく)。もう少し安いものでは、CLASSIC PROのCM5も使いやすいと思う(どちらも、感想コーナーの安いマイクのページでもう少し詳しく紹介している)。

スタンドは三脚の標準ブームが便利なのだがなにしろデカい。パソコンのキーボードを使いながら話すことを想定するなら、スタンド自体の高さが5〜20cmくらいの卓上タイプを選ぶと無難だろうか(視界を遮らず腕と干渉しないように、斜め下からマイクを向ける)。K&Mの231/1や23105なら1000円もしない。三脚は脚のない方向に加重が掛かると倒れやすいのだが、このくらいの高さならそれほど心配しなくてもいいかなという気がする。

本来的な話をするなら、マイクを平らで硬い面(机)からある程度離したい(反射音の影響が面倒だから)のと、土台は重くて面積が広いほど安定する(これはまあ当然)のと、極端なオンマイク(至近距離からの収録)にする場合スタンドの高さがある程度必要なので、同じK&Mの232Bあたりだとなおよい(価格も2000円くらいでそれほど大きな差額ではない:高さがちょっと上がるので視界を遮らないかどうかには注意)。卓上ブームは、マウスの反対側に置いてアームが届くならアリかもしれない。マイキングについては収録と加工のページも参照。

ここで小計。F-V420(3500円)と232B(2000円)とマイクホルダー(ソニー製だとSAD-300Fでちょっと高いが、K&MのMH2あたりなら500円もしない)と、必要ならキャノンメス<>キャノンオスのマイクケーブル(ローエンドなら500円くらい)も揃えたとして、マイク周りの出費は6000円台くらいだろうか。CM5と231/1なら2000円くらい。キータイプの振動がマイクに伝わる場合には、マイクホルダーをSHUREのA55M(CM5には使えるはずだが、F-V420は不明)にする手もある。

マイク〜パソコンの間

ミキサーにBEHRINGERのXENYX 802〜1202を選ぶと6000円〜8500円くらい(ゼータクをするならここかなという気がする)。レイアウトが制限されがちではあるが、オールインワン型やミキサー一体型にも初期投資を少なくできるメリットがあり、サウンドカード一体型のXENYX 302USBが4000円くらい、上位機種のXENYX Q502〜1002USBは5000〜9000円くらい(USBなしの機種との価格差は500〜1500円くらいで、モノチャンネルのコンプと、2TR/USB OUTの自動ミュートがつく:サウンドカード機能は予備にするよもりでこっちを選ぶのもまあアリかも)、手軽さを重視したTASCAMのUS-100が5500円くらいでUS-125Mが8000円ちょっと(もう少し具体的な話は一足飛びの買い物ページに書いた)。

単体ミキサーを使う場合のサウンドカードは、オンボードサウンド(ただしライン入力が必要)、CREATIVEのSound Blaster 5.1 VX(PCI)、Sound Blaster Audigy Value(PCI)、Sound Blaster Audigy Fx(PCIe)、BEHRINGERのU-CONTROL UCA222(USB)あたりから利用可能なものを選べばよく、もっとも高価なAudigy Fxで3500円くらい。PCI/PCIeではASUSがCreativeに追いすがる動きを見せており、Xonar D-KARA(PCI:60ユーロor55ポンドくらい)とXONAR D-KARAX(PCIe:50ユーロor40ポンドくらい)は、リバーブやコンプやハイパスフィルタなどを内蔵している(実際のモノは未確認:そもそも、2014年6月現在国内流通がない模様)。

注意すべきスペックとして、USBホストが1つだけのパソコンにハードディスクやカメラをUSB接続する場合、USB接続のサウンドカードとの同時利用はできないか、できても制限が生じるのが普通だということを確認しておきたい。5.1ch出力になっている機種は、ライン出力がステレオ3系統あるのと同じことなので、出力分岐に使えて便利である(ステレオミキサーのページで紹介したような、高度な設定ができる)。

どちらにしても、上記リンク先のページで触れたように、オンボードサウンドにライン入力があると活用範囲が広がる(パソコンの音を追加したサウンドカードで再生しつつマイクの音を混ぜて、オンボードのライン入力に渡すことが可能:複数系統入力はミドルレンジ以上の機種しか対応していないため、拡張する際にも重宝する)が、オンボードサウンドにライン入力があれば最初からミキサーだけ追加してもよいわけで、すでにある資源を費用削減に使ってももちろんよい。

好み次第なので少し幅が出そうだがとりあえず小計。ミキサーとサウンドカードを繋ぐケーブル(ローエンドならデュアルで500円もしないが、往復分必要)を追加したとして、もっとも安いXENYX 302USB単品なら4000円台、もっとも高いXENYX Q1202+Audigy Fxなら12000円台くらいだろう。

合計とサンプル

上記を合計するとだいたい、6000〜18000円台くらいになるだろうか。この出費を高いと見るか安いと見るかは人によるだろうが、ほとんどのケースで十分な品質を得られる構成だと思う。

筆者が録音したサンプルについては収録と加工のページを参照。また音楽用の使い方ではあるが、筆者の友人マーチンが録音したサンプルを一足飛びの録音と加工のページに掲載している。マイクがSM57でちょっと値が張るが、サウンドカードもオンボードサウンドだし、他の部分は上記と大差ない構成である。筆者が録音した音楽用のサンプルはローコスト制作のハードウェアのページからリンクを辿れる(上記と大きく違うのは、MT4XというMTRをミキサー代わりにしている点)。

もちろんすべてが万全というわけではなく、とくにミキサーについては「ヘッドフォンは12時まで」「トリムは3時まで」「ゲインが足りなければデジタル増幅」というバッドノウハウ(「絶対に守るべき鉄則」ではない)が21世紀にも生き残っているし、サウンドカードにもバスの問題(USBがストレージ系の機器と競合したり、PCIは取り付けが面倒だったり、上記では紹介していないがFireWireは価格が高かったり)がある。

ただ、どんな機材も適切に扱わないと適切なアウトプットをよこさないわけで、適切に扱えば適切なアウトプットをよこす構成がこのくらいの出費でできそう、という目安だと思って欲しい。


削るならどこか

理想セットから出費や設置の手間を削る場合の候補を考えてみたい。

ミキサー

筆者としては最後まで削って欲しくないのだが、多くの人が真っ先に削りたいのはミキサーらしい。ミックス機能やマイクアンプ機能の有用性、繋ぎっぱなしの利便性はもちろん、フェード(無音からゆっくり音量を上げるフェードインorゆっくり音量を下げて無音にするフェードアウト、複数チャンネルに跨ってフェードインとフェードアウトを同時に行うクロスフェードなど)やダッキング(ナレーションを入れる前にBGMの音量を「すっと下げる」こと)などもできて便利なのだが。ともあれ、ミキサーを削りつつ普通のマイクを残すとすると、結局、サウンドカードのマイク入力に直接接続することになる。

その場合サウンドカードについているマイクアンプの性能がモノを言うわけだが、筆者のサブマシンであるEndeavor NP11-V(いわゆるネットトップ)だと、大きめの声を近い距離から入れてやれば、そう目くじらを立てるほどの音にはならない(音声サンプルはローコスト制作の感想コーナーにある安いマイクのページで紹介)。

ただし、オンボードサウンドなど「PCマイクが動作する」マイク入力は、プラグインパワーと呼ばれる電源を内蔵しており、プラグインパワー対応でないマイクを接続すると故障や不具合の原因になりえる。またプラグインパワーで動作するマイクでもメーカーによって仕様が異なるため、メーカーが「動く」と公式に言っていない機材では動く保証も壊れない保証もない。プラグインパワーをオフにできないマイク入力には、対応が明記されているマイク以外繋がないのが無難である。つまり「パソコン用」と明記されたマイクか、メーカーが「プラグインパワー対策済み」と言っているマイクを選ぶ必要がある(その点F-V420なら安心)。

ハードウェアを一度に買い揃えずに、オンボードにマイクを繋いでみてから考えるという方法もアリなので、とりあえずでこの構成にしてみるのも悪くないだろう。マイク周辺の機器だけなので、前の項で紹介した例だと2000〜6000円台の出費になる(最初はハンドマイクから始めて、スタンドなどを後回しにすれば初期投資はもっと減る:やっぱりムリだと思ったら買い足せばよいだけ)。

マイク

ではそのマイクを変えてPCマイクにしてしまえばどうかというと、たとえばソニーのECM-PC60は実売3000円くらいで、FーV420を単品で買うよりもやや安いが、普通に使えば1000円のダイナミックマイクでも(少なくとも筆者の手元では)PC60よりは良好な性能を引き出せる(音声サンプルは加工と編集のページや、ローコスト制作の感想コーナーにある安いマイクのページで紹介)。1000円のマイクを4500円のミキサー経由でオンボードサウンドに入れてもケーブルなども込みで6000円前後の出費にはなるだろうから、初期投資の面でPCマイクが有利なのは間違いないが、少なくとも「万全な性能」を期待できる選択肢ではないと思う。

優位性が発揮できるのはやはり取り回しの面で、たとえばスタンドなしでその辺に直置きするような使い方だと、転がったりしない分便利だろう。単純にサイズが小さいことを歓迎する人もいると思う。価格はトントン、性能は犠牲にして取り回しで勝負、というのが無難な考え方ではなかろうか。前の項でも触れたが、プラグインパワー方式のマイク(PCマイクはほぼこれ)はメーカーが「動く」と言っている機器の組み合わせで使うべきである(それ以外の組み合わせでも偶然動くことはあるが、不具合や故障の原因になり得る)。

なお、PCマイクのノイズレベルは内蔵プリアンプが支配的に決めているようなので、後ろにどんな機材を持っていっても、あまり変化はないはず(パソコン側でのマイクブーストは効果がないだけでなくダイナミックレンジを浪費してしまうので、たいていの場合かけない方がよい)。ソニーのECM-PC60とエレコムのMS-STM87SVを1台づつ、Endeavor NP11-Vでしかチェックしていないが、使うのがPCマイクならネットトップパソコンのマイク入力でも性能は余裕で余る

筆者の手元ではECM-PC60のノイズに対してパソコンのノイズは25dbちょっと小さいのだが、デシベルが苦手な人のために普通の数字に直してみよう。マイクが発生させるノイズが100あったとしたらパソコンのマイク入力が発生させるノイズは5ぐらい、合計105ぐらいのノイズである。サウンドカードをチョー高級品に取り替えて60dbほどノイズを減らすと、マイク入力が発生させるノイズは0.005になり、合計ノイズは100.005になるが、そんなの全然嬉しくない。PCマイクを普通のマイクに変更した方がはるかによい(筆者の手元にある普通のダイナミックマイク(新品での購入価格980円)を使うと、パソコン直結でも合計ノイズは余裕で50を切る)。ノイズレベル以外の性能についても、マイクの時点で相当不正確な変換が行われるので、後ろをどうこうしてもあまりメリットはないと思う。

外付け簡易機器

簡易なサウンドユニットを「オーディオアダプタ」または「サウンドアダプタ」と俗称するようだ。「USBオーディオアダプタ」など接続方法を頭につけることが多く「オーディオ変換ケーブル」と称しているメーカーもある。

予想はついていると思うが、これらの機器を導入するメリットは利便性に関するものがほぼ100%である。どんな機器を接続するにしても、オンボードサウンドより有意に高い性能を発揮するとは期待しない方が無難だろう(とくにUSBバスパワーを使う機種には、極限ローエンドだと「会話用としてギリギリ」くらいの品質のものがあるようだ)。マイクの項の最後で触れたように、PCマイクを使う場合はマイクアンプの性能がほとんど問題にならないことも踏まえておきたい。

メーカーもその辺はわかっているようで、売り文句を見ても「手元で簡単に音量が調節できる」とか「マイクミュート(消音)スイッチ付」とか「ヘッドフォンとスピーカーを同時に接続できる」とか「前面にジャックが付いているノートパソコンでも、手元がスッキリ」とか、まあそういったところである(良心的なトコロは)。このような特徴がメリットになる人だけ手を出せばよい。

複合機器やセットもの

ヘッドセット(ヘッドフォンとマイクが一体化したもの)についても、マイクがプラグインパワー仕様であればPCマイクに準じる特徴だと思われるが、安定してオンマイクで使える点はプラスだろう。ただし直接装着することになるので、ヘッドフォン部分が頭に合うか合わないかという問題は避けて通れない。マイク部分がECM-PC60と同等くらいの性能だと嬉しいが、そのスペックがどの程度の価格で手に入るものかよくわからない。

USBオーディオアダプタを他の機器と一体化して「USBスピーカ」「USBマイク」「USBヘッドセット」などとして売っているものもある。マイクの場合、電力供給がプラグインパワーよりはかなりマシなのと入出力機器を決め打ちできる強みが(メーカーが活かしてくれているかどうかは別として)あるため、単品のアダプタに比べるとやや有利なはず。ヘッドセットならさらに、場所をとらないメリットがあり性能的なハンデもあまり問題にならないので、簡易な選択肢としてアリかなという気はする。ただし、サウンドドライバの情報が探せない製品がほとんどで、音を入力した後の使い勝手の部分が不透明である。また仕様上の制限として、リアルタイムモニタが(普通は)できないことを覚えておきたい(パソコンにいったん取り込んだ後の音しかモニタできない)。

ハードウェア的に一体化するのではなくバラの製品をセット売りしている例として、ソニーのECM-PCV80Uがある(モノとしてはECM-PCV40と同じに見えるが、付属品としてUSB Audio BOX、マイクホルダー、テーブルスタンドが増えて定価が1000円しか変わらないためお得:USB Audio BOXはUAB-80という機種でダイレクトモニタ機能つき)。マイク>UAB-80>パソコンという接続で「声を拾う」用途に特化し、コストパフォーマンスを改善する意図なのだろう(ただし実際のモノは手に取ったことがない)。詳しくは他のページに譲るが、口〜マイク〜キーボードが一直線に並ぶマイキングで、パソコンの音を混ぜたい場合はUAB-80の出力をオンボードのライン入力などに回す使い方を想定しているのだろう。実売で3000円くらい。


まとめ

ほとんど結論が見えているが、とりあえずFーV420を単品で仕入れて、必要を感じたらスタンドやミキサーを追加する形だと、ステップアップがスムーズで初期投資も少ないと思われる。最小構成でもそこそこのパフォーマンスを発揮できるのが強い。

導入直後のコストパフォーマンスを優先するならECM-PCV80Uあたりが有望だろう。機材をアップグレードしたくなった場合に丸ごと買い換えることになりそうだが、単純な練習用と考えても惜しくない値段だし、トーク用に回す手もある。

初期投資をある程度確保できるなら、とにもかくにもミキサー(というかマトモなマイクアンプ)を仕入れて、ダンボールの上にタオルでも敷いて1000円のマイクを乗せ、オンボードサウンドにラインで入れてやる構成の方が音声の質は(ECM-PCV80Uとの比較だとダイナミックマイクとコンデンサマイクで傾向の違いはあるが)よくなるはず。

しゃべっている内容がわかれば問題ないような使い方なら、ヘッドセットかPCマイクを適当に選んでステップアップは考えないのも一案である。とくにUSBヘッドセットは「方式として」有望だが、そもそもの話として頭に合うものを選ぼう。


ハンディ機

とくにリアルタイムでない用途では、ハンディレコーダーを利用する人も多いと思う。音声技術の面から注意すべき点はやはりマイクの形式だろう。詳しくはステレオ録音のページに譲るが、大きく分けて、AB系、XY系、MS系、ハイブリッド系の4種類がある。

ABステレオはマイク2本を同じ向きにセットする方法で、ステレオ収録の基本といえる。

長所はなんといってもセンター音源がちゃんと録れるということに尽き、とくにビデオ撮影機能付きの機種(音源が正面にあることが多い)では有利なはずなのだが、TASCAMが録音専用機の上位機種で採用しているくらいで、ラインナップはごく薄い。ハンディ機だと設置スペース的に大げさなステレオ効果(=左右の音の違い)を出せないのがマイナスなのだろう。MTRのオマケマイクやフィルードレコーダーには、無指向性マイクでAB方式にしたものもある(ステレオマイキングとしては、2点から1つの音源を狙う逆XYと並んでセンター音源に強い方法)。

XYステレオは同じ位置に角度を変えたマイクを2本セットする方法。

一般的な120度のXYではかなり、90度のXYでもそれなりに正面の特性が乱れるのだが、左右の音が違いますというアピールがしやすく設置スペースが狭くても問題ないため人気がある。広角のXY方式にするならオプションでセンターマイクも追加するのが(とくに高音質を謳ったビデオ機能付き機種では)スジなのではないかと思えてならないのだが、採用例は三洋が録音専用機のICR-S280RMでやっていたくらいしか知らない(実際に録音したファイルをイジる機会があったが、実に扱いやすかった)。

MSステレオは無指向性マイクと双指向性マイクを組み合わせるもの。

120度のXYよりさらに酷い正面特性になる(というか180度XYと同義の)方式で、マイクを360度囲むような配置でも録音できることと、後からマトリクスを変更できることが利点になる(普通のXYだと3マイクなのでステレオ出力からは連立方程式が解けない)。ZoomがQ2HDで採用しているものの、ちゃんとモノラルを選択できるようになっている(この辺の親切さはさすがZoomだが、もしマイキングを機械的に変えているのではなくマトリクスをイジっているだけなら「マイクアングル機能」という表現はちょっと頂けない、というかアングルを変えているならMSステレオではなくXYステレオである:実機の仕様はまったく未確認)。

ハイブリッド方式は角度と位置を両方変えたものや、2本のマイクの間に防音板を挟んだものなどがある。代表的なのは115度17cmのORTFと

90度30cmのNOSだろう

TASCAMがビデオ機能付きのDR-V1HDにNOSっぽい配置(ちゃんとした説明が見つからなかったが、写真では90度5cmくらいに見える)を採用している。センター抜けとステレオ効果のわかりやすさで妥協点を探ったらそうなった、ということかもしれない(憶測100%)。

結局は、ちゃんとしたマイクをちゃんとしたスタンドに立てて普通のミキサーまたはマイクアンプから普通のレコーダーにラインで入れるのがいちばんなわけで、高音質を謳っているビデオ機能付きレコーダーであっても、本体マイクはオマケだと思っておいた方が無難である(そうすると手軽さが一気に落ちるので製品コンセプト的にどうなんだという気はするが、カメラとマイクが同じ位置についているとマイキングの制限がえらいことになるわけで、最初から無謀といえば無謀な話でもある)。ただしビデオ撮りに限って言えば、映像の視点と音声の定位が一致することで臨場感が増す効果はあるため、ORTF(バイノーラルに近いコンセプト)あたりはアリなのかなという気がする。手軽さを普通に追求するなら、ABステレオまたはモノラルで使える機種を選ぶのが無難だろう。


オマケ

注意
以下は「筆者のオススメ」ではない(積極的に「ダメだ」と言うつもりも根拠ももちろんないが)。

ヘッドセットはどうなんだろう。ヘッドフォン部分の快適性について、たとえば同じメーカーから出ている同じ価格帯の単機能ヘッドフォンより優れていることは考えにくく、リスニング用ヘッドフォンの快適性がマトモなレベルになるのが実売5000円前後(もちろん例外はある)なので、それなりに使えるマイクをプラスすると売れ筋の価格帯を外れてしまいそうな気もする。

ヘッドセット特有の事情として、ヘッドフォンの近くにマイクがあるため音漏れをある程度防がなくてはならないが、遮音性能を上げようと思うと側圧も高くなりがちで、けっこう難しいバランスになると思う(あくまでリスニング用ヘッドフォンと比べた場合の話:ハウリング対策ではマイク〜音源とマイク〜フィードバック源の「角度」と「距離の比」が問題なので、ヘッドセットが必ずしもハウリングに弱い方法だというわけではない)。同じ理由でピッタリ系のイヤーパッドを採用した機種が多く、好みによっては選択肢が狭くなりそう。またローエンドだとハードウェア的なヘタリも速いので、購入直後の状態と使い込んだ状態でどれだの差が出るのかも問題になる。

接続方法も、USB接続はモニタ確保やルーティングが鈍臭くなりがちな一方で、本編で触れたようにハードウェア的には利点があるので悩ましい。USB接続といえばBEHRINGERのC-1Uも面白いデザインではあるし、ファンタム仕様ラベリアの極限ローエンドでJTSのCM801F(耳かけ式なのでイヤフォンと併用できそう)あたりも気にはなる。

「は」とか「も」とかが多くて、なんだかスッキリしないなぁ。



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