ハードウェア


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具体的な機種に関する話はオーディオ機器のカタログを眺めてみるのページを参照。録音に特化した話(初心者向け)は急がば回れの録音のページを参照。


必要なもの

必ず使うものはパソコンだけである(パソコンなんざなくても音楽は作れるが、レコーダーやシーケンサーが手軽に利用できるので、持っているなら活用を試みて損はない)。筆者はCeleron1.2GHz(PentiumIII互換)のCPUと512MBのメモリを搭載したデスクトップマシンで作業しているが、通常の作業で速度不足を感じたことはほとんどない(Audacityで30分のステレオファイルをトリミングしたときくらい)。ただし、凝った加工をやるならハードディスクだけはそこそこの容量が必要だし、録音をパソコンでやるなら静かなマシンが必要である(いずれも後述)。

2009年8月追記:現在「Reaperの上にソフトウェアシンセを十数本立ち上げ、それぞれに4~5種類のVSTイフェクトを追加」という構成で7分ちょっとの曲をイジっているが、さすがにレンダリングが遅い。FreeAmp3(full)やIRフィルタなどを豪快に使っているのである程度処理が重いのは仕方ないが、もう少し速いマシン(今時のパソコンならどれを選んでも軽くこなせると思う)が欲しい。2010年5月追記:有名VSTiであるSynth1の新バージョンがSSE2(ペン4以降のCPUに追加された機能)必須になった。処理速度が大幅に足りないとは思わないが、そろそろ互換性の面でキツくなってきたかなぁ。

DominoからVSTHost上のsfzを経由してサウンドフォントを鳴らす場合は複数パートを同時に再生するとさすがに音が飛ぶが、一度SMFを書き出してTimidity++でファイル化すれば問題ないため、どうしても改善が必要な部分ではない。シングルチャンバーでもSGPn.sf2のような処理の重い音源はかなり厳しいので、リアルタイムでの演奏がぜひ必要なら、やはりもうちょっと速いマシンが欲しくなるだろう。

Maestroというピアノ単品1GBの超巨大音源(gigファイルで配布されているものをCDXtractでサウンドフォントにムリヤリ変換)で録音する実験をしてみたが、読み込みに時間がかかりswapのサイズ変更などを要求されたものの、Timidity++ではごく普通に録音できた(sfzだとメモリ不足で開けなかった)。また、かなり長い間、MT50とPentium233MHz+64MBメモリのノートパソコンで録音をしていたが、音の記録自体は問題なく可能だった(当時はAudacityのようなソフトもなく、プリインストールのWindows98が頻繁に落ちて、編集作業がものすごく大変だったが:他のページの資料を整理していたところ、ぽけっとれこーだー、WavePaseri、SCMPXなどを使っていたという記録が出てきた)。


パソコンを使ってアナログ録音する場合は、処理能力よりも音声ノイズと電磁ノイズの対策が重要で、ファンの音がうるさいマシンやケースのシールドが甘いマシンは、どんなに処理能力が高くても録音向きではない(モニタにヘッドフォンを使う場合、編集だけならあまり問題にならない)。ディスプレイも電磁ノイズ源としてはかなり大きいので、あまりヘタなものは使いたくない(画質は目さえ疲れなければどうでもよい)。

ディスク容量はたとえば、24bit/48KHzで5分のファイル(モノラルで43.2MB、ステレオで86.4MB)を、ヴォーカルの生音でモノラル10テイク、ギターのライン録音生音でステレオ10テイク、打ち込みドラムをモノラル10本パラ出し、打ち込みベースやら鍵盤やらでモノラル10本分、などとやると、数GB程度はあっという間に消費する。さらに加工途中のファイルも増えて、1曲に10GBくらい使うことは普通にある(かといって10曲で100GB使うかと言われると、筆者の場合はそこまでは使わないが)。2009年現在TBクラスのディスクが1万円を切っているので、音楽用に1本用意してしまってもよいかもしれない。

アプリケーション用の一時フォルダ(ケチらず200GBくらい用意しておけば、気を使わずに作業できる:32bit/48KHz/5分/ステレオ16トラックで、全トラック各100回アンドゥ履歴を取ってやっと使い切るくらいの容量)やソフトウェア保存用(音源ソフトなどは単体でGBオーダーのものが普通にある:2009年5月に筆者の音楽用ソフトフォルダを調べてみたところ20GBほどだったが、サンプリング音源を多用する人はその数倍は使うだろう)の容量もチェックしておこう。


何度も書いていることだが、ライン録音なら録音機材による音質の違いはほとんどない(あっても簡易な加工で十分補正できる)。マイク録音(宅録)の場合、マイク/ラインアンプだけマトモなものを使って用途に合ったマイクを選べば、あとは蛍光灯やパソコンディスプレイなどのノイズ対策次第である。一応、総額7000円くらい(RCAケーブルやら購入時の送料やらは込み、パソコンの価格は除外)の機材で2007年に録音したサンプル(ノーマライズもしていない、ただ録音しただけのファイル:右チャンネルのヴォーカルがマイク、左チャンネルのギターがラインでの録音、ラインの音もMT4Xを経由している)を再掲しておく。

使用したのは、AT-VD3(新品で2000円くらいのマイク)、MT4X(ヤマハのアナログMTR、マイク/ラインアンプとミキサーの代わりに使用:2003~2004年ごろ3200円で中古購入)、パソコンのオンボードサウンド(AC97準拠:2001年ごろ7000円前後で新品購入したElitegroupのマザーボードに最初からついていたもの)。マイクの付属ケーブル(キャノン<>モノラルミニプラグ>アダプタでモノラル標準プラグ)でMT4Xへ、REC OUTからピンプラグで出し、変換ケーブルを経由して、最終的にパソコン(オンボードサウンド)のラインイン(ステレオミニプラグ)に入れている。右チャンネル録音時のノイズフロアは約-53dbで、最大音量は約-8dbだった(この後気合を入れて対策したところ、チャンピオンデータで-61.7dbまでノイズを落とせた:ダイナミックレンジにすると50db台前半)。

この音源に筆者がデモ作成に使っているヴォーカル用プリセット(ノイズ処理と関係が深いものでは、コンプ、ハイパス、エキスパンダ、シェイパーなど:ファイル配布ページ用のサンプルとしてあえて全部盛りにしてあるが、エキスパンダは普段使っていない)で加工を施した後フェードイン/アウトを入れてやるとこのようになる。打ち込み伴奏をソフトウェア音源から録音してかぶせる場合はもう少しノイズが目立たなくなるだろう。

筆者の自作曲でウタ入りのデモがあるものについても、だいたい上記と同じような機材とソフトで宅録している(ただし、メインで使っていたのはオンボードサウンドではなくSound Blaster Audigy LSだし、引越しで部屋が何度か変わっているし、出先にMT4Xや788を持ち込んで録音してからパソコンに取り込んだものもあった気がするし、2011年5月以降は少し機材がグレードアップしている:録音自体も上記のサンプルほど真面目にはやっていない)。急がば回れの編曲知識補充編に掲載したヴォーカルのサンプルも、似たような環境での宅録(SM58からMT4Xを経由してSound Blaster Audigy LS、だったと思う)。


追記:2009年12月に筆者の友人マーチンが宅録したサンプルも紹介しておく。サンプルレート変換、ノーマライズ、mp3へのエンコード、ファイル名への連番振り以外、筆者は何もしていない。筆者が受け取った時点でoggファイルだったので参考までだが、ヘッドマージンが13.3dbでノイズフロアは-52.5dbくらい(oggでエンコードすると(もちろん実質的なノイズはほぼ変わらないが)見かけ上ノイズが膨れたように見え、後述のように極端なオンマイクだったのを加味すると、普通にやった場合結局-50dbに届くか届かないかくらいかなという気がする)。

マーチンは「ラジカセやテープレコーダーでの録音ならやったことはある」程度の録音ド初心者で、録音時点でのパソコン歴も半年に満たない(ファイルの保存方法とか読み込み方を説明するのがたいへん大変だった)。使用した機材は、ギターがマーティンのナイロン弦、パソコンがNECのVN500R(Vista搭載)、マイクがSHUREのSM57、マイクスタンドがK&Mの25900、アンプ代わりのアナログミキサがBEHRINGERのXENYX802、AD変換がパソコンのオンボードサウンドで、ソフトウェアはReaperとASIO4ALLである。マイクからミキサへはXLR(バランスのはず)でつなぎ、ミキサのTAPE OUT(ピンプラグ)から変換コードを経由してパソコンのラインイン(ステレオミニプラグ)に入力している。ケーブルはサウンドハウスで一番安かったものを使用。

ヘッドフォンアウトに乗ったノイズがステレオアウトにも乗っているものだと勘違いして(2回くらい説明したのだが、ノイズが聴こえたショックでそれどころではなかったのだろう)極端なオンマイクにしたため低音が出すぎているが、初めてやったにしてはかなりよく録れている。ちなみに上記の音源を筆者が30分ほどイジって、EQとフィルタ(ReaEQとCLAS)をかけたところこんな感じ(筆者の好みで、強引な補正は避けている)、さらに15分ほどイジってオーバードライブとリバーブ(RubyTubeとFreeVerb3)をかけたところこんな感じ(これもほんのり系の加工)になった。


モニタ環境が重要であることは何度か書いているが、実用上問題になるのはアナログ以降の部分だけで、ヘタっていないエンジニアリング用ヘッドフォンが1つと、マイク録音をするなら録音用のヘッドフォンが1つあれば十分である。ヘッドフォンアンプを買うくらいなら、聴き比べ用にヘッドフォンをもう1種類買った方がよいだろう(チープな再生環境も必要なので、安物を数種類買ってもよい)。もし余裕があるなら、ミキシング用の明るい音が出るものとレコーディング用のフラットなものを用意するとなおよい(ミキシングで明るめの再生環境を使うと、いわゆる「キツすぎる音」にしないための予防策にもなる)。

スピーカ再生では少なくとも5インチクラスくらいのものを使いたいところだが、それ以前にスピーカを鳴らし切れる部屋が必要なので、環境面が追いつかないなら大仰な買い物をする必要はない(金額的に厳しければヘッドフォンだけでも何とかなるし、スピーカでモニタしながらの作業が必要なら貸しスタジオのコントロールルームなどを使えばよい)。マイクやスピーカやヘッドフォンには肌に接する部品や高速で運動する部品があり、どうしても消耗品的に扱わざるを得ないのであまりムリはしないでおこう(業務用機なら、マイクカプセルやイヤーパッドやリコーンキットなどが別売されていることもあるが)。


そうそうないとは思うが、もし音声出力ができない(waveなどを再生してもヘッドフォンやスピーカに信号を伝える手段がない)パソコンを使用しているなら、サウンドカードを追加する必要がある。パソコンから音を出してモニタするだけの目的ならオンボードサウンドで十分である。

CD-Rでの配布を考えている人は、CDドライブの性能にもある程度気を使っておこう。何十枚も焼く場合速度が遅いと非常にかったるいし、生焼け(一見うまく焼けているが別のドライブで読もうとすると読めない、パソコンでは問題ないがCDプレーヤーだとエラーが出るなど)の問題があるため歩留まりのよいドライブを使いたい。ミキサー(またはMTRなどミキサー代わりになる機材)はあると便利だが、どうしても必要なものではない。マイク/ラインアンプも兼用させるなら持っておいて損はないと思う。

USBやFireWireの外付け機器を使う場合、インターフェイスカードはそこそこのものを使わないと不具合の元になる(USBハブやTI製以外のチップを使ったFireWireインターフェイスには対応しないことを明記しているメーカーもある)。USBのハイ/ローパワーやFireWireの4/6ピンは給電能力に関わるので、事前に確認が必要。実害の有無や程度を検証したわけではないが、USBのフルスピードモードは音楽用のリアルタイム録音には大いにムリがありそうな仕様なので、USBでつなぐ場合は(「機器」が対応しているかどうかはもちろん)「接続」がUSB2.0以降になっているかどうか(正確にはハイスピードモード以上であるかどうか)必ず確認しよう(最近のパソコンなら「遅くなってるよ」と警告してくれるようだ)。


用途別に必要になるもの

パソコン上のソフトウェア音源やシンセシミュレーターを使った録音しか行わないなら、追加で必要なハードウェアはほとんどない(が、パソコンの性能は少し高めにした方がラク)。鍵盤が弾けるならリアルタイム入力用にMIDI OUTのあるキーボードか何かを追加するのもよいが、ピアノロールで入力するなら必要ない。パソコン用のMIDIインターフェイスは、内蔵のものだと新品2000円くらいから手に入る(最近はUSBなどでパソコンに直接接続可能なデジピ/キーボードが主流)。

宅録でマイク録音をするのなら、マイク、マイクケーブル、マイクスタンド、マイク/ラインアンプ(またはその代用になるもの)、録音可能なサウンドカードが必要。詳しい考察は他のページに譲るが、パソコンで録音する場合、サウンドカードはライン入力さえあれば何を使ってもほとんどオーバースペックである(数百円で売っている本当の激安品を除く:1枚50円のジャンクでも使えるものがないわけではない)。ただし、内蔵サウンドカード(オンボードサウンド含む)のマイク/ラインアンプを使用するのは避けた方がよい(音質を直撃するのはほぼこの部分だけ)。

宅録でライン録音する場合は(楽器やアンプはもちろん必要だが)ライン入力可能なサウンドカードのみでよい。エレキギター/ベースやエレピなどマグネティックピックアップがついた楽器の場合、パソコンの電磁ノイズをピックアップが拾ってしまうため、距離を取るなどの対策が必要(デジタルMTRを持っているなら、パソコンとモニタの電源を落としてMTRで録音した方が音はよい)。ピエゾピックアップの場合ピックアップ自体は電磁ノイズを拾わないが、出力が非常に小さく、大きな増幅をかけるためハムノイズはそれほど小さくない(ピックアップからプリアンプまでの経路で入るものなのか、プリアンプ自体が拾うものなのか、よくわからない)。

デジピ/キーボードの録音だけはちょっと特殊で、いくつかの選択肢がある。1つは、パソコンにMIDI信号だけを送ってMIDIキーボードとして使う(デジピの内蔵音源を使わない)方法。この場合はUSBもしくはMIDIインターフェイス(楽器が対応している方)が必要になる。もう1つは、ラインアウトなどからいったんアナログ出力してパソコンで録音する(デジピの内蔵音源を使う)方法。この場合やはりMTRで録音した方が好ましいだろうが、ギターなどと違いピックアップがついているわけではないので、パソコンで録音してもそれほど差し支えないだろう。特殊な方法として、外部メモリに演奏情報をいったん記録してパソコンで読む方法もある(MIDIキーボードとして使う場合と同じ)。内蔵音源の音をUSBやFireWireなどでデジタルのまま出力する手もあり、外付けサウンドカード一体型のキーボードや一部高級品のデジタルシンセ/音源モジュールがこれに対応している。コアキシャルやオプティカルでS/PDIF出力可能な機種もあるかもしれない。

出先で録音するなら、何かしら録音可能な機材が必要になる。パソコンとの連携や録音能力を考えるとデジタルMTRがよいだろう。スタジオを使う場合、マイクは普通レンタルがあるので必須ではない。スタジオの録音設備が利用できるなら録音機器も省けるが、普通のDATやMDやCDだと2chまでしか記録できないので、録音設備が利用できてもMTRがまったく不要になるわけではない(DATの場合オプション3なら4chまで録音できるが、録音/取り込みが可能な環境は非常に限定的だと思われる)。「MTR(録音機材)の持込はお断り」な練習スタジオもあるので、事前に確認しよう。

楽器やイフェクタやアンプは好きなものを使えばよいが、イフェクタとアンプはパソコン上でシミュレートしてもよいため、必ずしも実機が必要なわけではない。ただし、エレキギター/ベースの場合はアンプがほぼ必須だろう(練習にも使うので:というかアンプまで含めて1つの楽器と考えた方がよい)。アナログアンプにするかデジタルアンプにするかは好み(実機のデジタルアンプ(デジタルモデリングアンプ)を「アンプシミュレーター」と呼ぶ人がいるが、どこから広まった言い方だろうか:「アナログアンプシミュレーター」とかなら、なんとなく意味が通じなくはないのだが)。エレアコ、アコギ、鍵盤などは、楽器の他にヘッドフォンだけ持っていればなんとなかるだろう。


あると便利なもの

電池や記録ディスクなどの消耗品やケーブル/コネクター類は(重要なものだけでも)予備を買い置きしておくと安心。サージガードのついた電源タップが数千円で入手できるので、高価な機材を使うなら用意してもよいだろう(どこまで効果があるかはわからないが、少なくとも気休めにはなる)。

テスターと半田ごてはあるに越したことはない。その他の工具も、ラジオペンチとドライバーくらいはそろえておきたい。スパナやレンチはほとんど使わない。絶縁テープ、サンドペーパー、ビスやワッシャーなどを入れるための容器などもあると便利。

自宅用に19インチラックを買ってしまうのも手ではあるが、ラックマウント機器でも平置きできないものはそう多くない(配線の都合で後ろが空いていないと困るため、場所は限定されるだろうが)。

出先でも録音するなら、LPケースのようなものが1つあると随分違う。楽器用のケースもできればハードケースがよいが、どちらもけっこう高いし重いので予算と楽器or機材保護の重要度と移動手段/距離と体力/根性に合わせて。キャスターや車輪のついた運搬具は、楽器や機材にけっこうな振動が伝わるので慎重に検討する。筆者自身は、大型のボストンバッグに木の板を敷いて、バスタオルをクッション代わりにしてレコーダーなどを運んでいる(鍵盤はソフトケースで運搬)。


オマケ(ちょっとした演説:音声と音楽)

他のページでも何度か触れているが、音声と音楽は分けて考えるべきである。

われわれが「音の良し悪し」に言及するとき、ほとんどの場合「音楽的な価値」を問題にしている。根深い誤解があるようだが、これは主観的判断である。目の前にクソの写真を置いただけで「おいしい料理」が「まずいメシ」に変わるのと同様、同じ音声が耳に入っても、それに対する音楽的な評価は聴き手の主観や状態に左右される。

反対に音声は、誰がどう強弁しても「自然科学の法則の通り」にしか振る舞わない。音声だけでなく、音声を変換した音声信号や、さらにそれを記録した音声データも同様である。とくにデジタル領域ではより決定論的な振る舞いになり、たとえばアナログアンプにまったく同じ音声信号を10回入力(するのがそもそも不可能だが仮に)すると、10回とも微妙に異なる出力になるが、デジタルアンプに同じ音声データを10回入力すると、普通は10回とも同じ出力が得られる。

さらに、機器が作り手(プレイヤーやエンジニアやプログラマ)に与える影響というのも当然ある。たとえばギターアンプを考える場合、見た目のカッコよさなども重要な性能のひとつであって、プレイヤーが気分よく演奏できればそれだけ「いい音」になるし、聴き手の側に立っても、迫力ある見た目のアンプから出た音は「迫力のある音」に感じる。UIが手に馴染んで操作しやすいなどというのも重要な性能で、たとえばミキサーやシーケンサーのUIが優れていれば、それだけ仕上がりもよくなるのは当然の結果だろう。

最終的な出音の良し悪しが決まるまでに、ざっと考えてもこのくらいの影響は常にあり、「いい音」を出せる機材が必ずしも「音声的な特性がよい」機材ではないこと、その逆も真であることを忘れないで欲しい。また音声的な特性は「許容範囲」を設けて評価すべきであり、とにかく手軽に少ない操作で使えることが優先される場面や、一定以上の精度を得てもムダにしかならない場面もある。この辺の吟味を怠ると、手間や費用の面で不要なコストがかさむことになる。

なお、アマが「プロ品質」の機材や環境を使っても「無駄が増えるだけ」に終わることがある(技量や目標品質が同等の水準だったとしても)、という話を機材関連の基礎知識のページのオマケに書いたので、ヒマな人はそちらも参考までに。



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