基礎知識


戻る

カタログを読む上で必要な基礎知識や注意点など。細かい情報についてはオーディオ関連のほかの記事も参照。


サイズ

機材にしても楽器にしても、インチ規格のものが多いので、参考までによく使うインチの換算を一覧にしておく。

インチ換算(mm)見当(cm)備考ないし例
1/46.350.6オープンリールMTRのテープ
3/89.5251マイクホルダー用のAKGねじ
1/212.71.3オープンリールMTRのテープ
5/815.8751.6マイクホルダー用のshureねじ
125.42.512インチで1フィート
1.640.644パソコンの拡張ベイのハーフハイト
1.7542.8754.319インチラックの1U
4.75120.6512CDのディスク直径がこのくらい
5.25133.351319インチラックの3U、パソコンの5インチ拡張ベイ
717.7818シングルレコード、19インチラックの4U
12304.830LPレコード(大)
19482.64819インチラック
旧アメリカインチ(測量フィート準拠)は100/3937m≒25.4mmちょっと、旧イギリスインチは25.3998mmだが、よほど古い機器でないと用いられていない。1000分の1インチは、普通に「milli-inch」と書かれることもあるが、「thou」または「mil」という表記もあるし「.0012 inch」などと小数表記されることもある。

機材のサイズについて、業務用オーディオ機器ではEIA-310規格に適合したラック(19インチラックとも:幅が19インチ=482.6mmで高さは1.75インチ=44.45mmを1Uとして表現し、奥行きに規定はなく、オーディオ用だと20~50cmくらい、サーバ用で80~90cmくらい)が標準的に使われ、そこにちょうど納まる幅40~45cm程度の機材(奥行きは20~40cm程度)をフルラックサイズ、幅20cmちょっとのものはハーフラックサイズと表現する。たとえばフルラックの3Uといえば、幅45cmの高さ13cmくらいである(単に「3U」ということもあり、その場合はフルラックサイズを暗黙的に示すのが普通:また、単に「フルラックサイズ」といった場合、横幅だけを指し高さを無視している場合もある)。民生品には、フルラックサイズとハーフラックサイズの中間で、幅36cm前後(レコード/LDプレイヤーの幅と同じ:ミニコンポのサイズ)のものもある。オーディオ機器の場合、奥行きの方が幅よりも長い製品はあまりない。

参考までに楽器の大きさは、バスドラムで径が18~22(極端なもので16とか26とか)インチの深さ14~20インチくらい、エレキギターは全長40インチ前後、エレキベースは全長47インチ前後。キーボードの横幅は25鍵で50cm弱(19インチくらい)、49鍵で80cmちょい(30インチ台前半)、61鍵で1m前後(40インチ弱)、88鍵で1.4m弱(55インチくらい)、奥行きは8~12インチ(シンセタイプはものによって16インチとか)くらい、厚みは4インチ前後が多い(と思う)。普通の(家具用)大型スチールラックはシェルフ(棚)の長辺が90cm(35インチちょっと)~180cm(70インチちょっと)くらい。PCケースはミドルタワーで20*50*50cm(8インチの20インチ)程度。また面積の基準になることが多い紙の大きさは、A3が420×297mm、B4が364×257mm、A4が297×210mm、B5が257×182mm、A5が210×148mm、もう少し小さいサイズでパスポートは125×88mm、クレジットカードや日本の運転免許証は86×54mm、一般的な日本の切手は80円切手は26×22mmである。フルサイズのパソコン用キーボードは、テンキーなしで外形30*13cm(ファンクションキーもないHHKBの60キータイプで30*11cm)くらい、テンキーありで45*15cmくらいが多く、フルピッチのテンキーなしキーボードを搭載したノートパソコンは13.3インチワイド(外形で32*21.5cm:A4よりやや長い)くらいから。

小さいサイズの目安としては、カーオーディオ用規格のDINサイズ(19インチラックと同様に奥行きは決まっておらず、2DINなどと縦に数える:同じ規格で定められたDINレールも工業用などを中心に用いられる)が178×50mm、5.25インチベイ用内蔵型CDドライブ(ハーフハイト)が41×145×195mm、3.5インチベイ用内蔵型HDD(ロープロファイル)が24×102×145mm、CDの直径が12cm≒5インチ(CDケースはそれよりやや大きい)、ポケットティッシュが10~15×75~80×105~110mmくらい、普通サイズ20本入りのボックスタバコ(セブンスター)が24×56×88mm、ショートホープで17×44×71mm、500円硬貨の直径が26.5mm(CDと500円硬貨以外はすべてたまたま手元にあったもので実測:パソコンの拡張ベイは、3.2インチ≒8cmがフルハイト、1.6インチ≒4cmがハーフハイト、1インチ≒2.5cmがロープロファイル、というのが本来のサイズ)。

ちょっと変わったところでフェーダー(スライドボリューム)のストロークは45mmが一般的で、60mmのものはロングストロークフェーダーなどと呼ばれる(45mmでロングを名乗っている製品もある:非常に長いものは100mm前後)。長い方が細かい操作をしやすいが、複数のフェーダーを同時に操作する場合などは長すぎても指が届かないので、自分の手の大きさ(というか指の長さ)を考慮しておきたい。

重さの目安に適したものははあまり思い浮かばないが、単1形乾電池(直径34.2×長さ61.5mm)は、パナソニックのR20PNB(ロゴは変わったが昔懐かしいナショナルネオ:マンガン)で105g、アルカリだと130~150gくらい、単2形乾電池(26.2×50.0mm)は、パナソニックのR14PNBで55g、アルカリだと70g前後、単3形乾電池(14.5×50.5mm)は、パナソニックのR6PNBで19g、アルカリだと20~25gくらい、単4形乾電池(10.5×44.5mm)と単5形乾電池(12.0×30.2mm)は10g前後(容量は体積に比例するから、単3アルカリを1とすると、単2が3、単1が6、単4が0.5、単5が0.4くらい:単3アルカリは、100mA定電流放電で2000mAhくらい、500mAくらい流すと半分くらいしか取り出せない)。なお角電池(006P:15.5~17.5×24.5~26.5×46.5~48.5と大きさの規格がルーズ)は単電池ではなく6層電池で、普通の積層電池になっているものと、内部に1.5Vの単電池(アメリカのAAAAに準ずる大きさ:日本で単6形と俗称される)を6本収納しているものがある。


性能表示

周波数特性が絡む話題について、一般的なグランドピアノ(88鍵)の最低音が27.5Hz(一番下まで使う曲は非常にまれ)、コントラバスやエレキベースで41.2Hz(こちらは下まで使うこともけっこうある)、Low-B弦を足した5弦以上のエレキベース/コントラバスで30.87Hz、C装置つきの特殊なコントラバスで32.7Hz、ギターやバスヴォーカルで82.4Hz程度という数字を覚えておくとよい。バスドラムは口径(ペダル式だと18~26インチ、マーチングバスドラムだと16~32インチ、コンサートバスドラムだと24~40インチくらい)とチューニングによるが、22インチペダル式のもので30~40Hzくらいが下限。特殊な楽器で、チャーチオルガンや97鍵のピアノなどだと20Hz以下の低周波が(録音して再生できる必要があるかどうかは別として、楽器からは)出る。

高域について、44.1KHz/16bit/ジョイントステレオ/192kbps固定ビットレートのmp3(lame)で19KHz、同じ条件でビットレート128kbpsのMP3だと17KHzあたりから上がばっさり切れる(詳細は音声ファイルの圧縮のページを参照)ため、後から圧縮する予定ならこれ以上の高音域を録音する必要はない。非可逆圧縮時にカットオフ周波数より下の音はほとんど変化しないため、録音予定の周波数域を無視してビットレート自体にこだわってもあまり意味はないと思われる。同じページで使用したサンプルファイル(やはり詳細は音声ファイルの圧縮のページを参照)の中に、15KHzから上がほとんど入っていない可逆圧縮ファイル(guitarで始まる名前のflacファイル:モノラル)と、それをlameで圧縮したファイル(guitarで始まる名前のmp3ファイル:ファイル名の末尾はビットレート)があるが、これをブラインドで聴き分けられて、かつその音質を保持する必要がある人以外は、録音したい(もしくは、他の機器との兼ね合いで録音可能な)最高周波数を基準にビットレートを選べばよいと思う。

デジタルデータのサンプルレートは記録可能周波数の上限以外には大きな影響を与えないことにも注意(詳しくは一足飛びの妙な誤解を解消したいのページを参照)。後述するAD変換時のオーバーサンプリングではなく、あくまで記録時のサンプルレートに限った話なので注意。細かい話よりも、途中でサンプルレート変換が入るとオーバーシュートの問題が面倒なので、一貫したレートで作業可能な方がありがたい(最終的にCDを焼くなら44.1KHzで統一とか、ネット配信するなら32or48KHzで統一とか)。

ビット深度は量子化ノイズレベルに関与するため、音質に(少なくともいくらか)影響する。ただし、量子化ノイズ以外の部分のノイズレベル(リスニングルームの環境雑音も含む)がよほど低くないと、記録/再生形式を16bitより深いビット深度にしても影響は(少なくとも理論上)ほとんどない(やはり一足飛びの妙な誤解を解消したいのページを参照)。ぶっちゃけ16bitでもオーバースペックで、リスニング用途でもCD34(TDA1540という14bitのD/Aコンバータを採用していた:marantzが売っていたが実質的にはPhilips製)のような機種があった。ただし、デジタル編集は24bitあたりでやった方がよい。

ほとんどのADコンバータでは、速度と価格の面で有利なためアナログ>1bitデジタル>リニアPCMという手順(要するに⊿Σ方式)で変換を行っているが、最終的なPCMデータのサンプルレートをfsと書き、1bitデジタルのサンプルレートがその何倍かということを~倍オーバーサンプリングと表現する(詳細はその他のページ参照)。これは録音性能(ノイズレベル)に関わりがあるのだが、どうやら、機器の詳細な仕様がわからないと計算できないようだ(シロウトが見て何かわかるような数字ではないが、16bitPCMの(記録形式としての)性能を使い切ろうと思ったら、少なくとも64倍は必要なようだ:未確認だが、128倍くらいよりも高いレートでサンプリングしても実用上の意味がないように読める資料もあり、実際FostexのAC2496という本気系のADコンバータが128倍オーバーサンプリング24bit出力になっている)。いづれにせよ、最終的な音質はダイナミックレンジ(もしくはS/Nもしくはノイズフロア)と歪率に反映されるので、そこだけチェックしておけばよいだろう(ウェブに情報がなくても、マニュアルには書いてある場合がある)。残留ノイズレベル(フェーダーゼロ時のノイズレベル)やクロストーク(漏話)を表示しているものもあるが、さほど重要にならない場合が多い。


プラグとジャック

プラグとジャックの種類について、3P/3ピン/3極などと呼ばれるものは端子数が3つあり、アンバランスのステレオ信号やバランスのモノラル信号に使う(ステレオ信号をバランスで送る場合は、右チャンネルと左チャンネルそれぞれ1本づつ、合計2本の3Pケーブルを使う場合が多い:もちろん、2本のうち片方をグランドリフトして実質3P+2Pにしたり、5Pケーブルなどで一気に送ることもあるだろう)。2P/2ピン/2極などと呼ばれるものは端子数が2つあり、アンバランスのモノラル信号に使う。もちろん、いづれも直流電流を流す用途にも使える(3Pケーブルを使ったバランス伝送でファンタム電圧をかけるなど)。ちなみに、商用100V電源(2相交流)のコンセントプラグは2Pプラグの一種である(アース線が付加されて3Pになったものもあるが)。

キャノンコネクタはXLRのものが多いが、高級品のXLBやXLG、廉価版のXLAもコネクタの形状自体は同じなので、相互に接続することができる(XLRとXLBについては、製造元の日本法人アイティティキャノンのサイトに仕様書がある:XLAは他社製互換品っぽい印象だが不明、XLGはLCOFCに金メッキをしたコンタクト(ピン)らしいがこれも不明)。TRS(3P)とTS(2P)はいわゆるフォーンコネクタで、一番大きい標準プラグ(6.3mm≒1/4インチ)とその次に大きいミニプラグ(3.5mm≒1/8インチ)がよく使われる。

RCAはビデオプラグとかピンプラグなどとも呼ばれ、導線が同軸(芯線、絶縁、シールド、絶縁と同心円状に並び、芯線がホット、シールドをグランドと兼用する:解釈次第だが、内部導体、誘電体、外部導体、絶縁体と捉える場合もある)になっており、2Pのものしかない。特性インピーダンス(導線の抵抗値ではなく「無損失かつ無限長を仮定した場合の、ケーブル内の電圧と電流の比」のこと)は50Ω。同軸用のコネクタにBNC(キャノンやフォーンと同じくコネクタ部分を指す名称で導線にはRG-58/Uなどを使うのだが、やはり「BNCケーブル」という呼び方もする:本当は50Ω用がBNCで、75Ω用はBNCCというらしい)というのもあり、主に業務用機器で使われる。シールドつきのケーブル(2Pでは同軸、3Pでは撚り対線+シールドが一般的:シールドはグランドと兼用にするのが普通)を、シールデッドケーブルとか単にシールドなどと呼び、とくに同軸のTSケーブルを指すことがある。

デジタル入出力はS/PDIF(Sony Philips Digital InterFace:IEC60958)規格のものがほとんどで、オプティカル(光デジタルとも:東芝が開発した角型とシャープが開発した丸型があり、角型は防塵カバー付きでTosLinkもしくはTOS-Linkタイプとも、丸型はミニプラグと同じ形状で光ミニプラグともいう)とコアキシャル(同軸とも:RCAタイプがほとんどだが業務用などにはBNCCタイプもあり、いづれも75Ωのケーブルを使い電気信号でデータを送る)に大きく分かれ、オプティカルの角型/丸型は形状の違いだけなので簡単に変換できるが、コアキシャル/オプティカルは信号自体が異なる(結果的に変換機が高価になるが、変換を行うIC自体は1000円もしないので、技術があれば安価に自作可能:東芝のTORX176とTOTX176が有名で、TORX179とTOTX179など末尾の数字が増えた上位機種もある)。ケーブル1本につき2chまでのリニアPCM(またはそれと同等のデジタルデータ)と、コピーガードフラグや各種付加データを同時に伝送できる。

オプティカルはケーブルが光ファイバー(ガラスなど)なので手軽に利用でき、プラグも小型なものが多いためポータブル機器にも使いやすい。コアキシャルはケーブルが金属(普通は銅)なのでPAなどにも使いやすく、またプラグがRCAやBNCCなので抜けにくさや機械的強度の面で有利である。最大ケーブル長はコアキシャルで100m、オプティカルで500mくらい(機器の実装によりさまざまで、2011年現在コアキシャルを180mまで延長できるらしいAE01Dというパッシブ延長器が市販されている)。初期の製品ならともかく、現在はコアキシャル/オプティカルともにオリジナルとバイナリが一致するデータを転送できるので、機械的性質以外の違いはほとんどない。

上記以外に、AES/EBU(S/PDIFの姉妹規格で、業務用を前提にしているためコピーガードフラグ機能はない:110Ωの3ピンケーブルによるバランス伝送でキャノンコネクタを使うものが多いが、TRSを使うこともあるし75Ωで送ることもある)という規格や、S/PDIFオプティカルと同じケーブル1本で8ch分の16bit/48kHzリニアPCMを送るADATオプティカル(ALESIS DIGITAL AUDIO TAPEの略で、もとはS-VHSテープを使った録音システムを指していたらしく、adatとも書くそうだ:ADAT XT、ADAT TYPEIIなどの拡張規格があるが、IDE/SCSI変換のADATとは関係ない)という規格もある。

レガシーデバイスとして、パソコン内部でのアナログ音声送受信に使われるMPC-3コネクタがある(ピンヘッダコネクタの一種で、アナログオーディオ4pinなどとも呼ばれる:0dbFSで0.7V/47KΩという説明があったので、その通りならだいたいラインレベル近い出力、ピンアサインは1番から順に、右シグナル、右グランド、左グランド、左シグナルだそうな)。メーカーローカルの規格には、mLAN(ヤマハ:接続形式ではなく、FireWireのデイジーチェーンでつないだ各機材を集中制御するための規格)、R-BUS(ローランド:25ピンD-sub端子使用)、TDIF(TASCAM:やはり25ピンD-sub端子使用、TASCAM Digital Interfaceの略)などがある。mLANは2009年にドライバの新規開発が終了し、YSFW driver(Yamaha Steinberg FW driver)というドライバで「EEE1394 (FireWire) ソリューションの開発およびサポートを展開」するらしい。


その他の規格

もっと上のレイヤー(データの圧縮形式など)には、Dolby DigitalのAudio Code number 3(AC-3とか、単にDolby Digitalとも呼ばれ、映画館の5.1chシステムによく使われる:ジョイントステレオのような処理でデータを圧縮するようで、5.1chは384kbpsで送るらしい)、Digital Theater Systems(DTSとも:各チャンネルのデータを1/4に圧縮するらしい)、Sony Dynamic Digital Sound(ATRACで1/5程度に圧縮するらしい)などがあるが、いづれも映画用の規格なのでここではあまり関係ない(ホームシアター系のオーディオ機器には対応しているものもあるが)。ティアック(TASCAMの会社)が立ち上げたDTRS(Digital Tape Recording Systemの略で、DTRS-HRなどの上位規格がある:Hi8ビデオテープに16bit/44.1or48KHzリニアPCMを8ch記録し、かつ16台までの同期が可能で都合128ch録音ができる)というデジタルMTR規格は、比較的広く普及した。

複数のチャンネルをまとめるものをマトリックス方式、各チャンネルのデータが独立しているのをディスクリート方式と呼ぶことがあるが、定義が一定していないようだ(単に複数の音源を同一ドラックに重ねたものをマトリックス録音と称することもある)。48kbps程度のジョイントステレオmp3(左右の音が似ている場合はマトリックス方式、大きく異なる場合はディスクリート方式と、自動で切り替えるモード)に左右でまったく違う音を入れると音質が落ちるが、ある程度ビットレートが高ければ影響は小さくなるし、可逆圧縮でも各チャンネルの差分を取っているものはあるはず(というかほとんどのコーデックで取っていると思う)なので、マトリックス方式にすると必ずしも音質が落ちるわけではない。


その他

USB接続の機器はハブを噛まさずに接続するのが無難だが、最低限バスパワーでなくACアダプタで電源を取るタイプのものを使おう(安物を使うと他の機器を巻き添えにしてイカれる危険が高まるので注意)。インテル製チップを推奨している機種があるのは、EHCIやxHCIなどホストコントローラ規格の本家だからだと思う。FireWireについてはTI製のチップがデファクトスタンダード。USBのハイ/ローパワーやFireWireの4/6ピンは給電能力に関わるので、事前に確認が必要。

USBやFireWireなどの仕様を調べてみるとリアルタイム処理の周辺が本当にグダグダ(というか間抜け)で、あんなバスの上によくマトモなサウンドカードを作れるなと感心する(USBのフルスピードモードはとくに酷い)。PCIについては詳細な情報が見つからなかったが、根元に近い分かなりマシなのではないかと想像できる。

チップ(IC)の性能などを知りたい場合、Mouser Electronicsという会社の製品情報からリンクを辿ると便利である(たとえばオーディオICなど、ジャンル分けされている:バラ売りもしているようなので自作や改造などに使えそうだが、筆者自身はこのサイトで部品を買ったことがない)。


オマケ(「プロ品質」の機材や環境)

プロフェッショナルとアマチュアではケアすべき範囲が違うため、アマが「プロ品質」の機材や環境を使っても「無駄が増えるだけ」に終わることがある(技量や目標品質が同等の水準だったとしても)。

たとえば20Hzまで正確にチェックできるモニタ環境が必要か、と考える。アマの場合「自分がそんなに低い音を出さない」なら必要ないし、将来必要になったらそのとき考えればよい。プロの場合、いつ「20Hzまで使い切りたい」という客が現れるかわからず、そのとき「ちょっと時間をください」が通用するかどうか、通じなかったとしてどれだけの損失になるか検討しなければならない。

たとえばノイズフロアが-80dbの機材を考える。これを10台直列に繋ぐとノイズフロアが-60dbに膨れる。または、周波数特性がプラマイ0.5dbの機材を考える。これを10台直列に繋ぐと特性がプラマイ5db乱れる。アマの場合「そんなに繋がねぇよ」というのであれば無視してよい。プロの場合、繋がなくて済む根拠がなければ、少なくとも気には留めておかなくてはならない。

たとえば機器のメンテナンスについて考える。アマの場合、多少調子が悪くなっても気に入った機材なら使い続けて差し支えない。プロの場合、プレミアつきのアンティーク機材でもないのに「気に入ってるんですけど年代モノなんで調子悪くってー」とかなんとか言っているとたいていは食いっぱぐれる。

もっと下世話な事情として、プロの場合「音楽も理科も算数も(ついでに国語と英語と社会も)まったく知らないお偉いさんや自称ミュージシャン」に「ビットが64でレートが192なんですよ、あはははは」と乾いたハッタリをかまさなくてはならない場合もあれば、「最初から無理な要求」を突きつけられたときに「煙に巻く」ための材料も必要だし、自分の技術が足りないだけなのに「同じ機械を使ってるから他でもムリですよ」と無根拠な言い訳をしなければならないこともある(ついでに、1度それをやってしまうと、引退するまでは「64bitPCMでも32bitPCMでも実質音は変わんない」なんて口が裂けても言えなくなる)・・・が、そこはあまり深く追求しないでおく(これらは多くの技術職にとって必要悪、というかある種の「方便」である:余談だが、方便を無自覚のまま使いこなせる人はある種の天才といえる)。

ではプロの側が一方的に厳しい条件でやっているかというとそうでもなく、収納場所や運搬方法に気を使わなければならないとか、いつも同じスタジオで作業できるとは限らないとか、予算が少ないとか、アマにはアマなりの制限がある(その意味で、プロが大人テクノロジーを流用してやるガレージバンドってのはズルい)。

この辺の違いを考慮せずやみくもに「プロ品質」を持ち上げるのはあまり利口でない。



機材ページの目次に戻る / 音楽メモの目次にもどる

自滅への道トップページ