ギターイフェクト総合


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<この記事は書きかけです>

筆者の手元の機材を組み合わせたトーン。出音については音声サンプルのページを参照。ダブルコイルのギターを本体コントロールフルテンで指弾きする前提。サンプル音声はミキサーでハイパスをかけている(デジタルでスパイクノイズ(というか演奏ミスで大きく入りすぎた波形)のトリミングやニコイチもしているが、音色自体はほとんど変わっていないはず)。

一応示しておきたい情報
以下はあくまで筆者の所有するギターに合わせた設定で、とくに、ゲインレベルはピックアップの出力に、EQなどはギターの鳴りやピックアップのキャラに合わせて、それぞれ調整の必要がある。

シンプル系

少ないイフェクタでシンプルに作った音。ギターの鳴りやピッキングのニュアンスが素直に出るし、後段での加工も楽しい。

  1. GDI21ツイードクリーン12時~最大ロー10時:
    ゲイン12時なら後段でTO800ドライブ最小~12時トーン9~10時をかけてもよい。キャビネットはPANDORA miniで、1X8TWD7.0(筆者のお気に入り)とか、4X10TWD5.0(単音とストロークのバランスがいい)とか、1X12TWD6.0(リッチだけど枯れた独特の音色)とか、2X12BLK5.0(微妙にナローな感じ)とか。シングルコイルの場合は、TWD12やVOX(プレゼンス低め)やMDNあたりが合うと思う。
  2. GDI21マーシャルホット12時~最大:
    後段でTO800ドライブ最小トーン最小~9時をかけると、歪みの重心が下がる(コードストロークだけにかけても面白い)。キャビネットはやはりPANDORA miniで、4X12VIN8.0(ジャリジャリ系)とか、4X12MDN7.0(パワフル系)とか、4X12CLS8.0(ジューシー系:プレゼンスを4.0くらいまで下げても面白い)とか、4X12VOX4.0~9.0(プレゼンスの設定で枯れ音色~カサカサ系になる)など4発モノが合うが、1X8TWD4.0や2X12VOX0.0なんかに突っ込むとキャビネットでムリをしている感じが出るし、2X12BLKもプレゼンス設定で幅広い表情になる。TO800を上記の設定で噛ました場合、4X12VOXや1X12TWDをプレゼンス0.0でかけると鈍い感じを出せる。
  3. TO800ドライブ9時トーン9時、PANDORA miniAC15と4X12VINなど:
    クランチ。TO800の前にGDI21ツイードホット9時あたりを噛ましても面白いが、ゲートが欲しくなる。
  4. TO800ドライブ12時~最大トーン3時周辺、PANDORA miniAC15と4X12VINなど:
    クランチの別パターン。TO800で強めに歪ませて低い音量でPANDORA miniに入れる。歪みの重心が高くなるので、キャビネットは2X10BLKあたりでも面白い。
クランチトーンのメカニズムについてはソフト/音源/状況別の作り込みのページ、クランチ時の細かい設定はPANDORA miniのページを、ドライブトーンとノイズに関するTipsは急がば回れのエレキギターの扱い方のページを参照。ピック弾きの場合はゲインをやや落とし、TO800のトーンをやや上げ、必要に応じてミックスポジション(フロント+リアピックアップ)も使う。フルテンフロントピック弾きをGDI21ツイードクリーンのゲイン全開に突っ込むだけというのも、いい感じのクランチになってくれる。

複合系

多数のイフェクタを組み合わせてトーンを作り、少ない調整でいろいろな音が出るようにしたもの。各イフェクタは基本的に、ユニティゲイン(バイパス時と同音量)かちょっとブーストくらいの出力で試し、気に入ったものが見つかってから受け渡し音量を見直す(バイパスするときの都合があるので)。ブースターは音色があまり変わらないものをお好みで(筆者はパソコンに接続しないUS-100を使っている)。

  1. GDI21ツイードホット10時ロー10時、TO800ドライブ8~10時トーン最小~9時、ブースター、G1Nクリーン、PANDORA mini2X12BLK6.0WETAIR2.0:
    高音弦の響きがキツい場合、GDI21のゲイン、TO800のトーン、PANDORA miniのプレゼンスのうちどれかを少し下げて調整する。普通のクリーンで使う場合G1Nはバイパス。歪ませる場合TO800のドライブ設定はけっこうギリギリなので、歪み量はG1Nへの入力レベルで制御し、出力が変わった分はG1N本体以降で取り戻す(クリップギリギリまで突っ込んでも、低いレベルでクリーンに近い音色にしてもよい)。上記と同じセッティングからGDI21のローを1時、TO800のトーンを8時にするとリアに合い、歪み方はTO800のドライブでも調整できる。G1Nクリーンはハイワットかツイン。
  2. GDI21マーシャルホット12時~3時、TO800ドライブ3時トーン3時or9時、ブースター、G1Nクリーン、PANDORA mini4X12VOX6.0:
    基本はGDI21からPANDORA miniへの直結(間は普段バイパス)。TO800は押しの強い音が欲しい場合に、G1Nはキャビネット歪み的な効果が欲しい場合に使う。G1Nクリーンはツインかハイワット。
  3. GDI21ツイードクリーン12時、TO800ドライブ9時~3時トーン最小~12時、ブースター、G1Nクリーン:
    リアピックアップ前提のブルースクランチもどき。ブースターの設定は、2~5弦の開放が強いピッキングでちょうど潰れるくらいを標準位置に、欲しい音色によって上下させる。キャビネットはPANDORA miniで4X10TWDあたり(ピッキングノイズが気にならないなら1X8TWDもいい感じ)。
基本音色担当はGDI21、微調整担当はTO800、キャビネット歪みやクリーンチャンネルのシミュレートはG1N、キャビネットシミュレータやクランチチャンネルはPANDORA mini、というのがだいたいの役割分担。ピックを変えたとか弦が新しいとかで出音が変わった分もTO800で吸収したり後ろに流したりする。

コーラス入り

基本的には小変更での使い回し。コーラスだけオフにしても使えるはず。

  1. GDI21ツイードクリーン12時、TO800ドライブ9時トーン9時、ブースター、G1NクリーンE5、PANDORA mini4X10TWD7.0WETAIR3.0:
    G1Nのアンプは適宜バイパス。キャビネットは2X10BLK4.0や1X8TWD2.0あたりもいい感じ。
  2. GDI21マーシャルホット12時~3時、TO800ドライブ9時トーン9~12時、ブースター、G1NクリーンC3~9orE5、PANDORA mini4X12VOX5.0WETAIR2.0:
    やはり、TO800とG1Nのアンプは適宜バイパス。リアピックアップを使った方が無難だと思う。
  3. GDI21ツイードホット9時、TO800ドライブ9時トーン9時、G1NC9、PANDORA miniBTC CLNと2X12BLKなど:
    プリドライブコーラス。クランチ音色の流用でGDI21はバイパスがデフォルト。フロントでもリアでもイケると思う。
コーラスがかかる場合、太らせ方をやや控えめに、G1Nへの入力レベルもギリギリまでは上げない方が無難。

普段使い

筆者が普段使っている設定。すぐ音が出せるよう利便性と操作性を重視。

GDI21はLEVEL9時のそれ以外12時で3段スイッチはすべて下段(ツイードのクリーンをクラシカルマイキングでグランドリフトなし)が基本位置。TO800はDRIVEとTONEが両方8時でLEVELが12時。G1Nはバイパス。PANDORA miniはキャビネットとクランチ用アンプを集めた場所に移動しておく。

操作するのは基本的に、GDI21のモード切替とバイパス、TO800のバイパス、PANDORA miniのキャビネット変更で、GDI21の各ツマミ(ツイードをホットモードで使うときなど)、TO800の各ツマミ(音色を少し変えたいときなど)、G1N(歪みアップと変調系)もたまにイジる。キャビネットの詳細設定はPANDORA miniのページを参照。

クリーン音色は、ツイードクリーン(前)とローカットしたツイードホット(後)がメインで、前者の方がよく使う。クランチ音色は、GDI21バイパス(前)とツイードクリーン(後)がメインで後者の方がよく使う。ドライブ音色はTO800バイパス(前)と有効(後)くらいしか使い分けていない(気分次第)。

バリエーション重視の設定

安定した音色を作る部分と変化を出す部分、変化に追従して調整する部分に分けた構成。

ドライブ

GDI21のクリーン系トーンをG1Nのツインに突っ込むと音色が安定することを利用したもの。間に挟んだイフェクタもいい感じに働いてくれることが多く、短い時間で手軽にいろいろなトーンを試せる。

これが開始設定でクランチくらい。ダブルコイルのフロントピックアップが前提、GDI21のレベルは9時くらい。GDI21のドライブとTO800のドライブを組み合わせて歪み方を変え、G1Nの有効とバイパスで質感を微調整する。

以下GDI21のアンプモデル別に紹介する。

  1. メサブギ:
    GDI21とTO800のドライブを両方9時くらいにするのが筆者の基本パターン。TO800をバイパスするとクランチっぽい音色になる。
  2. ツイード:
    GDI21のドライブは12時くらいが筆者好み。ジョリジョリジュワジュワの歪み方になり、GDI21のレベルも含めてフルテンにしても面白い音。
  3. マーシャル:
    筆者の基本ドライブトーンと似た構成で、キャビネットを4X12VOX6.0に変えてもイケる。どこをイジっても大きな破綻がなく音色の幅が広い。
リアピックアップでも似たような設定で使えるが、その場合キャビネットを4X12MDNあたりに変えてプレゼンスもやや絞った方がよいかもしれない。

アイディアとしては、初段のGDI21がアンプシミュレータ、後段のG1NとPANDORA miniがキャビネットシミュレータのつもりなので、実機アンプのセンドリターンにTO800を噛ましてやると似たようなコントロールが可能になるかもしれない。TO800をPO300に入れ替えたパターンも試してみたが、PO300から出る使いにくい成分が都合よく落ち、パリっとした雰囲気だけ残せていい感じだった。

気に入ったトーンがみつかったら、入出力のレベルやゲートの設定などを見直してノイズを抑え、各イフェクタのツマミやミキサーのEQなどで質感を微調整する。

クランチ

TO800が、大入力小ドライブできめ細かい潰れ方に、小入力大ドライブでわずかに荒い潰れ方になることを利用したもの。入力とドライブ量と後段での歪みで、短い時間で手軽にいろいろなトーンを試せる。TO800のドライブはヘッドルーム(というか最大振幅)の制御に強く関わり、小さくするとG1Nでの歪み方の幅が広くなるので高めのレベルで入れてG1Nのゲインを下げるとよく、大きくするとG1Nでの歪み方の幅が狭くなるので低めのレベルで入れてG1Nのゲインを上げるとよい。

これが開始設定でほぼクリーン。ダブルコイルのフロントピックアップが前提、GDI21のレベルは12時から3時くらい。G1Nは適宜、TO800も前後の都合に応じてたまにバイパスする。音量関連のコントロールは、ギター本体のボリューム>GDI21のゲイン>GDI21のレベル>TO800のドライブと通過するので、組み合わせて音色を作る(出力の変動は、TO800のレベルやブースターのゲインなど後段で吸収する)。基本設定から1種類だけ上げたり、反対にフルテンから1種類だけ下げたりすると、各ツマミの性格がわかりやすいかもしれない。

歪みの最大量を増やす場合、GDI21のレベルを9時から10時くらい、TO800のドライブを9時から11時くらいにして、高めのレベルで高めのゲインのG1Nに入れ、2X10BLKや1X12TWDなどに出すとバランスを取りやすい。実はドライブ設定のツイード版からゲインを落としただけなので、ツマミをひねるだけでドライブトーンも簡単に出せる。もちろん、すでに触れたように、ツイード以外のトーンでもゲインを落とせばクランチトーンは作れる。また上の基本設定から、G1Nをマーシャルクランチのゲイン最大に、キャビネットを2X12BLKに変更しても面白い音色。

プリ>ドライブペダル>アンプ

プリアンプでわずかな歪みを作り、チューブスクリーマー(オーバードライブ)で軽く削り、アンプで音を作るパターンに特化したもの。

TO800までで「どんなアンプに入れてもそこそこ使いやすい波形」が出来上がるので、アンプモードを変えてもTO800のレベルとMIC200のプリアンプモードである程度追従できる(もちろん、TO800のトーンやアンプのコントロールなども参加させてさらにバリエーションを出すことは可能)。初段はGDI21でもよいのだが、指弾き用のプリアンプとして使うならMIC200の方がコントロールの幅が広い。

最近(2012年12月現在)のお気に入りはこの2つ。

最近有望視しているスタイルで、チューブプリ>チューブスクリーマー>小型アンプ>オンマイクというのも試したいのだが、環境がないため実現できずにいる。

コストパフォーマンスはどうか

結局好みの問題でしかないのだが、筆者としては、そこそこコストパフォーマンスのよい構成になったのではないかと思っている。

まず価格的にはそんなに高くならない。2012年2月現在の実売だと、GDI21+TO800+G1N+PANDORA miniで2万円まではかからないだろう。Pocket PODあたりと比べると出費は多いが、運用の柔軟さを考えればオツリがくると思う。労力的には、最初にセッティングを決めてしまうまではやはりけっこうな手間になる。マルチを複数台使ってしかも音色のバリエーションを追求するのだから、ここは避けようがない。反面、運用の手間はあまりかからず操作性もよい。場所はけっこう取る。PANDORA miniは小さいが、GDI21とG1Nは普通のペダルイフェクタよりは大きい。ネックになるとしたらここで、スタック可能な台を用意して縦積みするのも一案だと思う。出先での使用まで考えるとさらに苦しく、全部の機材をアダプタとケーブル込みで持ち歩くのはかなりホネだろう。

2012年12月追記:ZOOMのG3がVersion2.0にファームウェアアップデート(公式サイトによると6月29日公開らしい)して11000円@サウンドハウスになっている。MS-50Gも2013年にVersion2.0と2.01のアップデートが出て2014年6月現在の実売が7000円ちょっと、カタログ上の上位機種MS-70CDRはポストドライブイフェクタとして面白そうなデザイン。いやーこれは参った。豊富なキャビネットシミュレータを単独使用できるPX5Dや、操作が頻繁なチューブスクリーマーを単体ハードで用意することの優位性はかろうじて保っているものの、スマートさでは完全に上を行かれた。アイディアで先行したLine6のSTOMPBOX MODELERシリーズ(M13が08年、M9が09年、M5が11年らしく、G3は11年:ベリさんが遅くとも2004年にはFX600を売り始めているがシングルプロセスだし、ソッチに対抗したわけではあるまい)への見事な回答だと思う。ムリヤリ難癖をつけるとしたら、44.1kHzのサンプリング周波数だけは、もう捨てた方がよいと思う(48kでやりましょうよ、ね)。重いイフェクタを多数は使えないらしいから、処理の重いアンプシミュレーションを別のマルチに任せるのはいい考えだと思う(アンプモデルやリバーブやコーラスがもったいないと思うなら後ろでもいいけど、そうするとペダルモデルがもったいないので悩みどころ)。キャビネットシミュレータが独立でないのは、バージョン1との互換性の問題もあるし仕方ないか。架空のクリスタルクリーンアンプ(EQだけ有効になる)を用意するVox(KORG)のやり方もワークアラウンドとしては賢いと思う。

これを機に、ペダルシミュレータ>アンプシミュレータ形式のマルチ-マルチ構成が普及すると面白いことになりそう(ハードが分かれていれば、実機アンプを使うときや少ない荷物で手軽に練習したいときに後ろのマルチを置いて行けるし、リアルチューブイフェクトなど取り回しが悪くなる機能も盛り込みやすいし、ついでにペダル2本技もできる:2台同時操作は・・・後ろのマルチをアンプに専念させるならいらない気もするが、テンポの共有はできたら便利かもしれない)。欲を言うなら、外部ペダル用のセンドリターン端子(だってあるでしょ、どうしても使いたいペダル:上位機種のG9.2ttにはついてるし、POD HD ProとかGSP1101とか最近のラックマルチにもついてるけど、ローエンドフロアだとコスト的に厳しいのかな)と、USBメモリか何かへの録音機能(単にメモリ上のデータをファイルに落とすだけのダムなやつ:せっかくルーパーまではすでに付いてるわけだし)、またはパソコンからの返りを入力にリダイレクトする機能(外部イフェクタとして使いやすくなるし、クリスタルクリーンをパソコンに保存しておいてリアンプするのもラク:デジタル入出力でもいいけど、パソコン前提の方がコストパフォーマンスやウケはよさそうな気がする)をつけた上位機種が出てくればもっと嬉しい。Axe-FXの安い版はアメリカメーカーに先越されちゃってるんだし、オールインワンで囲い込むより外部との柔軟な連携ですよ、デジタルイフェクタもMTRも作れるメーカーのみなさん(聞いてないか)。



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