ソフトウェア


必要なもの / できる限り欲しいもの / あれば便利なもの
/ その他のプラグイン / 注意点 // もどる

各種ソフトウェアやデータに関連するサイトをいくつか紹介しておく。手っ取り早く作業を始めてみたい初心者は、一足飛びの録音と加工を参照。

サウンドフォントについてはTiMidity++のページも参照。以下、ソフトウェアのリンクは、開発元のサイトを中心に選び、必ずしも現在の配布元でないことがある(入手法が面倒なものは別途注記した)。レビューサイトや比較サイトの紹介はこのページの後半にまとめた。

ソフトウェアを大量導入する前に、UniExtractというソフトウェアを(使い方がわかる人だけ)導入しておくと便利かもしれない。ゼロから始める初心者で「とりあえず何を持っておけばいいんだ」という人は、最後のオマケをとりあえず読んで欲しい。


必要なもの

アナログ録音とVSTiの録音にはREAPER(無料版のv0.999)、打ち込みにはたかぼーさんのDomino、サウンドフォントを使ったMIDIファイルのオーディオ化にはTiMidity++、波形編集にはAudacityvst-bridge、MIDI信号の受け渡しにMIDI-OXMIDI YOKE、プラグインのホスト機能拡張にAcon Digital MediaEffectChainerCTAFMultifxVSTを使う(使い方は運用のページで後述)。

2009年11月追記:VSTHostがスレーブモードを搭載した(しかも、バージョン1.34以降は18枚まで同時起動できる)。これによりLegree(音声入力用とMIDI入力用に分かれる:VSTHostと同じ配布元)というブリッジを介してVSTHost自体をVSTプラグインであるかのように扱うことができ、チェイナー系プラグインのより高性能な代替として機能する。ぶっちゃけLegreeを実行できる環境だけあればあとはVSTHostが何でもやってくれる。pethu.seMinimシリーズやMaximシリーズ(「Volume」とか「Pan」などの文字をクリックするとノミナル位置にツマミが戻る親切設計)など、ミキサープラグインとの併用で複雑なルーティングを簡単に行える。スレーブモードのVSTHostをトラック数分起動してREAPERの各トラックにLegreeを読み込めば、プラグインの処理をVSTHostだけで完結させられる。設定方法などはDAW入門1を参照。

上記すべてを1つにまとめたようなDAW(Digital Audio Workstation)と呼ばれる総合ソフトウェアもあるが、筆者は単体ソフトを組み合わせている(REAPERもDAWなのだが、その辺の絡みは急がば回れの打ち込みとMIDIのオマケを参照)。金がかかるというのも理由のひとつではあるが、DominoとAudacityの使い勝手が(高価な市販ソフトと比べても)抜群によいため手放したくない(そして、そういった外部ソフトとの連携を考えてDAWを検討すると、筆者が知る限りREAPER以外に選択肢がない)。

VSTiのモニタ用にHermann SeibさんのVSTHost(またはSAVIHost)、サウンドフォント編集用にE-MU SystemsSoundFont Librarian(システムに負荷がかかった状態だとインストーラがコケることがあるので、他のプログラムを終了してから作業しよう)、音声ファイル圧縮用にLameバイナリ配布元その1バイナリ配布元その2)、LameのフロントエンドとしてK5さんのLame Ivy Frontend Encoder(Life)も使うが、同等機能のソフトが豊富にあるので好みで選べばよい。


できる限り欲しいもの

ツールと音源

まずは無印sfzが欲しい。サウンドフォントを音源として使用できるマルチティンバーのサンプラーで、VSTiとして動作する。録音用にも使えるが、TWSynthよりもはるかに軽い(しかも、過剰な負荷をかけた場合TWSynthは固まることが多いが、sfzは音色の再生を端折るだけである)ため、サウンドフォントの音色をモニタしながらDominoで打ち込みを行う際に重宝する。使い方の注意点は運用のページを参照。MIDIのパラ出し用にchabaさんSMF track separator(オプションがいろいろあるのでreadme.txtをよく読むこと)も入れておくとよい。後継機種のsfz+も無料で公開されているが、基本性能的に無印の方が有利な場面が多いので、追加機能がぜひ必要な人だけ検討すればよいだろう。

定型処理や同期演奏用にWavosaurがあると便利だが、筆者のサウンドカード(Sound Blaster Audigy LS)はASIOドライバが用意されていないのでASIO4ALL経由で使用する(ASIOドライバを使わなくても動くがせっかくなので:Reaperはカーネルストリーミングで動かす手もあるし、Windows標準のMMEを使っても録音再生系の性能自体は世間で言われるほど悪くない)。キーボード操作が充実しているので、キーボードマクロ(reiyaさんのミニマクロなど)との相性もよい。

サウンドフォントは、Fluid、SGM、Atomicの3つに好みでいくつか追加しておけばそれほど困らない。VSTiでぜひ欲しいのは、Synth1(FM+フィルタのシンセ)とLazySnake(エレピ)あたり。シンセにこだわりたい人はCrystalやgtgsynthやUgoのシンセなどを入れてもよいが、どれか1機種だけでも使いこなすには相当時間がかかるだろう。ドローバーオルガンはNuBi LE(レスリーユニットシミュレーターSpinner LEも同梱)が非常に使いやすい(http://www.nubi3.com/が配布元だったのだが現在は閉鎖されており、Internet Archiveなどを経由しないと入手できない)。簡単に済ますならFluidだけ入れて、あとは自分でこだわりのあるパートのみ追加するのがラク。

ドラムサンプラー

普通のWaveファイルをサンプルとして使用可能なドラムサンプラーがあると、あらかじめ音色の加工をしておけるため、打ち込みドラムでありがちな「基本的な音作りを録音が終わってから始める」という鈍臭い手順を踏まずに済む。筆者自身はLinPlugのRM Fという無料のサンプラーを使用しているが、2009年5月現在配布が終了している。

RM F以外の選択としては、Fretted Synth(本家サイトが閉鎖されrekkerd.orgで再配布されている)のSoFtDrumが必要十分な機能を提供している(MIDIノートナンバーの対応が35~95限定だがそう大きな問題ではないだろう:筆者が配布しているadDrumsなどは24~107まで豪華に使っているが、ndc MIDIなどと組み合わせれば苦しいながらもなんとかなる)。以前「REAPERでは動かない」と書いたが、表示がおかしいだけで音を出す分には支障なかった。VSTHostでキットを組みfxpかfxbで保存すれば問題なく使える(作者の方々ゴメンナサイ)。

他にはneXoft Software(BATTERYのメーカー)のLoopaZoidが人気のようだが、ベロシティレイヤーが組めない(少なくとも筆者が試した限り組み方がわからなかった)。sisusoftのRramm Drrummも有名だが、本家サイト自体が見つからなくなっている。vemberaudioのShortcircuitは性能的にほぼ万全に近いが、SoFtDrumやLoopaZoidほど手軽ではない。一長一短なので好みのものを使えばよいだろう。自分で1からキットを組むのではなく付属音源を使うのなら、後述のKORE Playerが優秀。

イフェクト

Audacityのページで紹介しているものがそのまま使える。VSTプラグインは、digitalfishphonesシリーズ(fish filletsシリーズやDominionなど)、FreeVerb3、RubyTube(シェイパーとしてはもちろん、ヴォーカルにも使えるオーバードライブとして重宝する)、F_Sシリーズ(またはInvadaシリーズ)、George Yohng's W1 Limiterあたりを基本に、ag-worksのコーラス、Bojoシリーズ、GVSTシリーズ(2008年3月現在、GSnapは無料で使える自動ピッチ補正ソフトの中で抜群の完成度である)、mdspシリーズ(Smartelectronixメンバー)あたりを追加すれば困ることはそうないだろう。digitalfishphonesシリーズのnormalizer(ディザに近い機能)やGVSTシリーズのGGain(音量を上げ下げするだけのプラグイン:音量モニタを省いただけのGFaderというのもある)、mdspシリーズのMIDI tools、ndc Plugsシリーズのndc MIDIなどは地味に便利である。

FreeVerb3のFIRフィルタバージョン(ドライレベルの設定が妙な気がするが、どうせパラ出しするので問題にならない)やreaverb(Reaperにバンドルされている)が高性能なため筆者はほとんど使わなくなったが、SIRというVSTプラグインもインパルス応答ファイルがwave形式で使いやすい(インパルス応答=Impulse Response=IRで、有限(Finite)インパルス応答=FIRと無限(Infinite)インパルス応答の2種類に大別される:「有限長インパルス応答」などと「長」をつけて呼ぶこともある)。前述のNoisevault Studio and Convolution Forumsに、インパルス応答のサンプルが豊富に掲載されている(実機を模した音作りにも使えるだろうが、後述のModernシリーズなどもあるので、どちらを使うかは好みで)。FIRフィルタを使う場合、ドライ成分をゼロ(マイナス無限大)、ウェット成分を最大(0db)に設定してパラ出しするとラクである(プリディレイも細かく調整しやすいし)。

sfzはもともとrgc:Audioという会社のソフトウェアだが、2005年にcakewalkが買収してProject5という部門に組み込まれたようだ。


あれば便利なもの

ツール

オーディオプレイヤーとしてNorthern VerseさんのSoundPlayer LilithKobarinさんのKbMedia Player、音量調節用にProduct Technology PartnersQuickMixVivasさんのFaderControllerがあると便利だが、必要なければ省いてもよい。

筆者は、ギターのチューニングに渡辺 成身さんのSoftTuner、メトロノームとして、前田 裕也さんのMetronome for Windows、BPM計測ソフトとしてまつおしさんのBTC (beat counter)、細かいテンポ設定にテテさんのSMFタップテンポ14ビット精度値を取得という爽快なネーミングのソフトも絶妙に便利)を使っている。練習用のレコーダーはもっぱらAudacityと実機のテープレコーダー。

SoundFont LibrarianのほかにSynthFontやvienaもあれば、サウンドフォントで凝ったことがしたくなった場合に便利かもしれない。波形自体の編集はAudacityなどでやればよい。inaxさんのsf2hogeもかなり便利である。

音源

追加のサウンドフォントについては別にまとめてあるのでそちらを参照。E-muシリーズ、KorgM1シリーズ、Acoustic Piano、Dragon Drums、あたりは入れておいて損はない。クラシックをやるならPapelmediaの製品あたりが欲しくなるかもしれない(有料だがそんなに高くない)。Timidity++のページで、いくつかの音源を比較している。

VSTiではDSKシリーズ(一部オーディオ出力(VSTHostならプラグイン本体ウィンドウの右矢印アイコン)がパラレルになっているものがあり、環境によってステレオ(VSTHostならEngine Output 1が左、Engine Output 2が右)に振り分けてやらないと音が出ない:無料のプラグインが多いが寄付を求めている)やsimple-mediaのもの(VSTiらしい作りのものが多い:有料無料が入り混じっている)があると音使いの幅が広がるだろう(オモチャとしても非常に面白い)。使いやすいベース音源にEVM(etric van mayerさん作)のBasslineがあるが、バージョン1.3には「MIDIのチャンネル設定が1つずれており、表示の1つ次(たとえば「MIDI ch 5」に設定してあるならch6)のチャンネルが受信対象になる(「1-16」に設定するとch1が受信対象で「16」だとどのチャンネルも受信しない)」というよくわからないバグがあるので注意して欲しい(ReaperとVSTHostで確認)。また、これはバグではなく仕様(他にも同様の動作をするプラグインがけっこうある)のようだが、octボタンを押してもまだGM音源などより1オクターブ低い音が出る(トランスポーズでカバーしてもよいが、前述のndc MIDIなどで修正するとラク)。

単品のブラス・ストリングスやラテンパーカッションをそろえるのはやや厳しい。打ち込みで表現すること自体に無理がある楽器なので(ギターも相当厳しいがまだマシ:打ち込みのページのオマケで紹介したTuxGuitarあたりが役に立つかもしれない)、可能であれば生録音してしまった方がよいだろう。ムリなら、サウンドフォント系の音源や前述のDSKシリーズが選択肢になる。

イフェクト

ReaPlugs(Reaperと同じ開発元で、使用頻度が高そうなものを中心に高機能なイフェクトが揃っている)、SLJシリーズ(時間/空間系の特殊なイフェクトがある)、DASAMPLEのGlaceVerb、2tecシリーズ(本家サイトが403エラーになっているので、We Love CubaseVSTなどから入手:VST Plugins Part8のページにファイルがある)のステレオイフェクトMonoes、TbTシリーズ(The TbT Archive:品質にばらつきはあるがハマると効果大なものがいくつかある)のGreasetubeなどが面白い。ステレオイフェクトは種類が豊富だが、中でもGreg SchlaepferさんのBinaural Simulatorがかなり面白い(これとMonoesがあれば、あとは差分増幅などでなんとでもなると思う)。db-audiowareが公開しているFree Trial Versions Packの中にも凝ったディレイやトレモロがある(ファイル名にスペルミスがあるがご愛嬌)。GGainの代わりにFreeG(ロゴをクリックすると詳細設定ができる)というプラグインを入れる案もある。

ギター/ベースを弾くならFretted Synth(本家サイトが閉鎖されrekkerd.orgで再配布されている)のFreeAmp(2008年2月18日現在の最新版はFreeAmp3系のバージョン3.5:ペダルイフェクト>ラックイフェクト>アンプ部分>キャビネット部分の順に信号が処理され、ペダルイフェクトは左から、ラックイフェクトは上から順に適用される)を入れておくといろいろ遊べるし、その気になればレコーディングにも使えると思う。ベース用のキャビネットシミュレーターとしても貴重。当然、プリアンプシミュレータ>チューブシミュレータ>キャビネットシミュレータと通した方が細かく作り込めるが、なんといってもオールインワンは便利で手軽。

ギターに特化してもっと手軽に選ぶなら、ndzeit audioのTube baby(GUI左上のロゴを左クリックして設定する)やdirthead(MarshallのJTM/JCM/JVMシリーズを意識したようなGUI)がある。ほぼオーバードライブ専門になるがBTE Audioが公開しているHigh Gain Electric Guitar Amplifier(Juicy77)も面白いし、エレキの音をアコギっぽくするNUSofting DeepBoard(2009年11月現在http://dashsignature.com/RAR/で配布されている)というのもある。ピアノ音源を多用するならPSP PianoVerbというVSTプラグインも入れておいて損はない(レゾナンスが厚い音にかけるとドギツくなるが)。上記のうちFreeAmp3とDeepBoard以外はAudacityでも動く(Tube babyはGUIで使った方がラク、DeepBoardは試したことがないだけで動かないのを確認したわけではない)。2009年12月追記:久しぶりにチェックしたところAradazシリーズのアンプがかなりいい感じになっていた。

ちなみに、キャビネットシミュレーターで「4x12″(British)」などとあるのはMarshallの1960シリーズ、「2x12″(British)」または「1x12″(British)」などとあるのはVoxのAC30とAC15、「2x12″(US)」などとあるのはFENDERのTWINまたはTWIN REVERBシリーズを意識しているものが多く、HiwattやOrangeを模したものもいくつか見られる(まあだいたいアンプでBritishと言ったらMarshall、USといったらFENDERというのが相場)。「1x12″」や「1x10″」は何をモデルにしているのかちょっとわからない(多分FENDERかGibsonじゃないかと思う)。


その他のプラグイン

音源

鍵盤サウンドフォントだとguraydereシリーズとPiano Wurlitzer EP DryとHonkyPno、アコギはAnttus_SteelguitarとAcoustic Guitar、エレキギターはElectric GuitarとOdGtLP-JPとPowerDs、ドラムスはlivekit7_SF2とHayden_James_Pro_Studio_Drum_Kitとmaestroシリーズ、その他ブラスなどはMarce_Brass_Section_sf2、Orchestra_big_sus_sf2、Sax_Alto_(12,373KB)_sf2、あたりか。

VSTiでは4Front Technologiesミラー?:George Yohng's W1 Limiter作者のYohngさんの勤務先らしい)の4fシリーズ(動作が軽く癖のない音が出るので、音源として使わなくても、動作確認用などで活躍してくれる)や、前述のEVMが配布しているEVM Synthsシリーズ(一瞬とっつきにくいようだが操作は簡単で、そのまま使える音が出る)あたりを持っておいて損はない。4FrontはサウンドドライバOSS(フリーソフトウェアとして開発が始まり、バージョン4.xからプロプライエタリになり、2007年にOpenSolaris用がCDDLで、Linux用がGPLで改めてリリースされ、2008年にBSD用がBSDLでリリースされた:ALSAは、プロプライエタリ開発が続いた期間に生まれた代替プロジェクト)の開発元。

大がかりな音源

入手とインストールがかなり面倒なものもあるが、FL Studioを使った手探りのDTMというサイトの解説記事(下の方)が参考になる。

Independence Freeは総合音源で、派手な音が欲しい場合に使える。使いでがありそうな音色はベースとエレピあたりだろうか。イフェクトがごちゃごちゃついているが、全部OFFにして外部イフェクタで普通に音作りをした方が結局ラクでいい音になると思う(やたらとディレイやらリバーブやらがかかっているので、エレキギターはとくに、そのまま使うのは厳しい)。サンプルはytifという独自形式だが、音声自体は24bit/リトルエンディアン/ステレオのリニアPCMで入っているようだ(リバースエンジニアリングで確認したわけではないので断言できないが)。音色数をガッチリ絞ってあるのと極端に押しが強い音が多いため、無料版というよりはデモ版に近い位置付けなのだと思う。

後追いの形でKOREシリーズもKORE Playerという無料版を公開している。アクティベーションを受けないと使えないのが非常に面倒で、インターフェイスもごちゃごちゃしているため筆者は使い込んでいないが、ドラムスが豊富である(この手のソフトのお約束としてどうでもよいラテンパーカッションが多数入っているが、バスドラ・スネア・ハイハットあたりもけっこう種類がある)。こちらはサンプルが普通のWaveファイル(16bit/44.1KHz/ステレオ)だが「The usage of this product for the creation of a sound library(略)is strictly prohibited」(省略は筆者による)らしいのでサウンドフォントなどに加工することはライセンス上できない(手作業で切り貼りすることまで禁止されるのかどうかは、全文を読み込んだわけでもなく断言できない)。あんなごちゃごちゃしたサンプラーを使わされるくらいなら自前でプリセットを書いてサウンドフォントを作った方がよほど便利なのだが、それを言われると体験版の意味がまったくなくなるので、商売上仕方ないのだろう。

さらに後追いでProteusシリーズのProteus VX(Proteus X2 Liteと同等品で、付属のProteus X Composer Bankを使うとProteus 2000を再現できるそうな)も無料公開された。exb(サウンドバンク)形式のファイルを読み込めるため、互換環境を持っている人には便利だと思う。90年代のシンセサウンドを再現したい場合などに重宝するのではないか。いつから無料になったのか覚えていないが、Reasonの前身になったPropellerheadのReBirth RB-338バージョン2(ただし「Reasonのデモ版」という位置付けではない:デモは別にある)も配布されており、TRシリーズなどを模したエレドラムの音色が充実している。EastWestのオーケストラ音源Quantum Leap Symphonic Orchestra(通称QLSOまたはEWQL)にも無料版(Starter Edition)が出た。筆者はダウンロードしてサンプルを一通り眺めたくらいまででお腹いっぱいになってまだ試していないが、デモ演奏を聴く限り、なかなかそれっぽい音が出ている。

TASCAMがなぜか出しているCVPianoというピアノ音源(2010年3月現在リンクが切れているがファイルは消えていないようだ)があるのだが、筆者の環境(Windows2000)ではインストールすらできない(Visual C++なんて嫌いだ:まあ必要ハードウェアスペックを見る限り入れてもマトモに動きそうにないので文句言ってもしゃあないのだが)。説明を読んだところ、サンプリング音源とモデリング音源の中間的な処理をしているらしい(サンプリングした音を元にモデリングの手法で変化を付ける)。デモや一般ユーザーの作品を聴く限り「アコピっぽい音は出ないのにバンドサウンドに混ぜると邪魔」というTASCAMらしい鈍臭さ(一応断っておくが筆者はこのメーカーがけっこう好きである:手元の788はまだ元気)が炸裂しているものの、ちょっとイジってやれば、ピアノメインでシンセやパーカッションがチョロチョロ入るような曲に合いそう。パソコン買い換えたら試したいなぁ。

イフェクト

とにかく一通りのイフェクトをそろえたいなら、TALシリーズ(全般に使い勝手がよい)、Classicシリーズ(フェイザー、コーラス、フランジャーなど位相/変調系に強い)、Abyss studiosシリーズ(フィルタ類やモジュレーション系が豊富:ページの移転でわけがわからないことになっているが、2008年2月現在http://members.lycos.co.uk/abyssplugs/free_plugins.htmの旧ページがまだ残っている)、mdaシリーズ(ラウンドパン、オーバードライブ、コンボアンプシミュレータ、イメージイフェクトなどギター系のイフェクトに強い:Smartelectronixメンバー)、AntressModernシリーズ(品質にばらつきはあるが、アンプ、コンプ、リミッター、イコライザを中心にアナログの名機を模したイフェクトが多数ある:2009年12月現在、ダウンしていた本家サイトが復活したものの不安定なようで、http://www.gersic.com/plugins/hosted/antress/での配布も継続している)あたり。

大掛かりなものには、Buzzroomシリーズ(ダイナミクス系、空間系、変調系、歪み系など)、Concreteシリーズ(音色変化系)、E-Phonicシリーズ(ディレイやコンプ)、elogoxaシリーズ(テープディレイやベース用エキスパンダー)などがある。画面が大げさな割に大した効果が出ないものもあるので「もっと細かく~を設定したい」という需要があるときに絞って利用した方が効率的だろう(上記に挙げた中にも、たとえばbuzmaxiなど、手軽で効果的なプラグインがないわけではない)。やや落ちやすいのが難点だがslim slow sliderシリーズにも面白いイフェクトがある。非常に地味ではあるが、Musicrowが無料配布しているMusicrow Preamp Emulatorなどもかなりよくできている。

シェルビングイコライザの代用として(の使い方が正しいのかどうかわからないが)Refined Audiometrics LaboratoryのCLAS(http://www.refinedaudiometrics.com/products-clas.shtmlの下の方にあるアドレスにメールを出すとダウンロード先を書いたメールを返信してくれる:30分くらいかかるが空メールでも返信はきた)かQuikQuakのUpstereo(使い方が今ひとつ判然としないが、一番下のmono/wideのバーを真ん中より左に動かすとモノラルミックスのようになり、右に動かすと音量のみの定位が音量+ハース効果の定位に変わる)を入れておくのも手。マスタリングで「迫力なくね?」「音小さくね?」「音薄くね?」と執拗に食い下がる人がいる場合、CLASでドンシャリにしてSIRでトータルリバーブをかけてbuzmaxiで叩いてやれば、たいてい許してくれる(やりすぎると酷いことになるので注意)。

その他

音源/イフェクトともに、Sound & ToolsGrooveboxVST LINK34th street one man bandSide Cなどのレビューサイトを巡って評判の良いものを試してみるとよいだろう(次々に試すと収拾がつかなくなるので、よく吟味してから手を出そう:「どのサイトでも評価が高い」ものをまず試してみるとよい)。Branch Roadというサイトにイフェクトの効果を聴き比べできるページがあるほか、ベックのお気楽 打ち込み音楽日記というサイトのピアノ音源の聴き比べirts.jpというサイトの聴き比べページ太郎生雑記というブログの聴き比べコーナーなどが参考になる。The Patch Labというサイトではサウンドサンプルの配布も行われている。


注意点

ソフトウェアに関するもっとも重要な注意点は、上でも述べたように、いたずらに数を増やさないということである(そういう筆者が2008年3月に自分のVSTプラグインフォルダを「*.dll」で検索してみたところ550くらいあったが、そのうち2軍フォルダ行きになっているのが400近く、お気に入りフォルダに入っているのは30くらい、本当によく使うのはせいぜい10くらい、VSTiはあまり使っておらず1軍/2軍とも25くらいである:音や効果については全種類自分の耳で確認している)。

ハードウェアでも気をつけるべき事項ではあるのだが、とくに無料ソフトウェアの場合、際限なく数ばかり増える事態に陥りがちである。とにかく数を試してみないとよいソフトウェアにはめぐり合えないが、高品質なものが見つかったからといってそれをすべて使い込むのは難しい。

なかでも音源は、それぞれにイフェクトの効き(深いリバーブが合う音とかコーラスが映えない音とか)も違えばアレンジの注意点(低域の厚さとか他のパートへの干渉度合いとか)も異なり、打ち込みのワークアラウンド(速弾きのパートはスタッカートにした方がよいとかゴーストはボリュームを絞った別トラックに入れた方がよいとか)も違う。そういったノウハウを十分習得する前に他のソフトウェアに次々手を出してしまうと上達は覚束ない。

シンセに手を出すかどうかは悩みどころだが、生楽器の習得と同じか下手をすればそれ以上の時間と労力が必要なので、手を出すなら心してかかろう。シンセメインでない曲であればサウンドフォントのシンセトーン(VSTiシンセのプリセットでもよいが)でほとんど賄えるため、ムリにでも手を出さなければならないものではない。


オマケ(ゼロから始める場合に必要なもの)

最近のパソコンにはMIDI音源が最初から入っているので、シーケンサーだけ用意すれば打ち込みはできる。WindowsならDominoが断然オススメなので、まずはこれをある程度使いこなせるようになりたい。音声加工にも手を出すなら、メイン環境はReaperとAudacityを組み合わせて、Wavosaurを補助的に使えば不足ない。その場合、VSTHost、チェイナー系ソフト(好みのものを適当に)、sfz、Timidity++あたりを持っておくと便利。PCUn*x使いはまずUbuntu Studioやregretの収録ソフトを一通り入れてみるのがよいだろう。マカーなら・・・とりあえずGarageBand使ってみて物足りなければLogic買えばいいんでない、と思う。

音源ではFluid、EVMのベース、4frontのピアノとエレピとベース、これだけあればなんとかなると思う。鳴らして遊ぶのが楽しい音源(NuBiLEとかLazySnakeとか)は他にもたくさんあるが、曲を作ろうと思って必要になるものは多くない。上記以外にSGMとsynth1、もし打ち込みでやるならギター系のサウンドフォント(生音系VSTiの方が細かくイジれるが、尋常なテマヒマでは調整できないので、打ち込みギターマニアの人以外にはオススメしない)を数種類持っておけば、音源が足りないということはあまりないと思う。品質の面で気になるとしたらドラムスだろうが、KORE Playerとdrumatic3とDR-Fusion2があればほぼ万全にできる。シンセに凝る人はVSTiシンセを適当に見繕っておけばよい。

イフェクトは、手に馴染むEQ(ピーキング/シェルビング)とフィルタ(ハイパス/ローパス/ノッチ)、digitalfishphones(fish fillets)シリーズとRuby TubeとW1 LimitterとBuzMaxi3、リバーブ数種類(Freeverbの2と3、Binaural Simulatorあたり)があれば、たいていのことはできてしまう。さらに、F_Sシリーズ、Classicシリーズ、GVSTシリーズあたりからいくつか抜き出しておけば、あとは楽器別に必要なもの(ギターならFreeAmp3とか、オルガンならSpinner LEとか)をそろえるだけでほぼ足りるだろう。GFaderとndc MIDIは地味に便利なのでぜひ持っておきたい。luxonixという会社が無料配布しているLFX-1310のようなパッケージも、使用頻度が高いものを手っ取り早く揃えたい人には便利かもしれない。

ぶっちゃけた話、上記くらいの構成でできることと数万円の予算でできることを比べると、大差はなかったりする。ゼロから始める初心者であれば、自分に何が必要なのかわかるようになってから、もう少しまとまった資金を投入するのが賢明ではないかと思う。ハードについてはハードのページを参照。



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