その他のイフェクタなど


UM300 / OD400 / AB100 / PB100 / AC1 RhythmVOX
/ MINI3 / SD-15CE / HoneyTone / SE-BOD / Sweet Baby
/ MIC200 / CTO-2 / CO600 / TM300 / SF300 / PO300
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<この記事は不定期更新です>

音作りの主役にはしていない機種とか、プレゼント用に買って軽ーく動作確認しただけの機種とか、短期間で手放した機種とか。ローエンドばっかり。一部の出音については音声サンプルのページを、他の機器と組み合わせてエレキギターに使う例についてはギターイフェクト総合を参照。

重要な情報
この記事は筆者が購入した個体に関するもので、その後のバージョンアップや仕様変更に追従していない、あるいは個体差や環境の違いを考慮していない記述があります。最悪のケースとしてたとえば、筆者が自分の不注意で壊した機材を(そうと知らずに)「粗悪品」と評している可能性もある、ということに注意してください。

一応示しておきたい情報
記事中に示した設定例はあくまで筆者の所有するギターに合わせたもので、とくに、ゲインレベルはピックアップの出力に、EQなどはギターの鳴りやピックアップのキャラに合わせて、それぞれ調整の必要があります。以下、注記がない限りダブルコイルのギターでのセッティングで、フロントピックアップでの指弾きを中心とした演奏を前提としたものもあります。


UM300

BEHRINGERのギター用コンパクト(ディストーション)。2013年1月に購入。これもついで買い。

キャラは普通だが高性能

キャラとしてはものすごくノーマルなディストーションペダルで「とってもメタル」の名前通り。特筆すべきはノイズの少なさで、ウルトラハイゲインにしても(ギター本体とペダルまでのケーブルが拾ったノイズは当然増幅されるが)ウルトラローノイズである。

筆者の持論である「ヘビーメタルのギターサウンドはワンペダルで完結させてラインで出すべし」(ディレイやキャビネットシミュレータあたりは別としても)を実現しつつ、バリエーションも出せるレイアウトなのが嬉しい。ただし、強く歪ませると超音波域までモリモリと出力されるので、耳の健康のために再生されるまでのどこかで不要な超高域を落としておこう。

筆者はメタラーではない(というかギタリストでもない:単にサウンドメイキングが好きでメタルの音も作ってみたかったから試しただけ)ので常用はしないと思うが、手元にある中ではTO800に次ぐ傑作ペダルかもしれない(メタルゾーンという先輩がいたからこそではあっても、それを「値段半分性能2倍」で作ったのはベリさんの手柄だと思う:ただし筆者はレンタルでしかメタルゾーンをイジったことがないので、新品同士でも性能2倍なのかどうかは知らない)。

設定と使い方

もしダブルコイル(ハムバッカー)のギターを持っているなら、ギター>UM300>モニタスピーカorヘッドフォンorトランジスタアンプの構成で、この設定を試してみよう(もちろん、DIやミキサーやヘッドフォンアンプなどは間に入ってもよい)。
ギター本体フルテン、DIST12時、HIGH12時、LOW10時、MID9時、MID FREQ12時
ここからHIGHやGAINをイジっても、ピックアップ切り替え(フロントでもリアでもミックスでも)、トーン絞り、ピック変更、指弾きなどを試しても、もちろんピッキング自体で変化をつけていい感じになるはず。キャビネットシミュレータが利用できるなら単品でかけてやるとさらに変化を求められる。

シングルコイルの場合はこんな感じだろうか
ギター本体フルテン、DIST1時、HIGH12時、LOW10時、MID9時、MID FREQ3~4時
ストラトのハーフトーン(フロント+センターorリア+センター)前提だがテレでもそう大差はないと思う。上記からツマミをどれか1つ微調整するだけで、かなりのバリエーションを得られる。指弾きするときはDISTをやや上げてLOWをやや下げるとよい。ノイズ対策ができているなら、同じ設定で単独のピックアップを使っても面白い。

応用範囲の広いセッティングをいくつか。
DIST3時、HIGH10時、LOW9時、MID3時、MID FREQ3時(シングルコイルならMID2時)
DIST12時、HIGH3時、LOW9時、MID3時、MID FREQ1~2時(ピック弾き推奨)(シングルコイルならMID1時)
DIST2時、HIGH9時、LOW1時、MID9時or3時、MID FREQいろいろ(シングルコイルならLOW2時MID1時)
特化型のセッティングをいくつか。
DIST9~12時、HIGH11時、LOW1時、MID2時、MID FREQ3時周辺(ピック弾き前提だが組み合わせによっては指弾きでもイケる、シングルコイルでも大丈夫だがダブルコイルに合う)
DIST9~12時、HIGH1~2時、LOW1時、MID1時、MID FREQ9~12時(ピック弾き前提だが組み合わせによっては指弾きでもイケる、ダブルコイルでも大丈夫だがシングルコイルに合う)
試してみると面白いセッティングもいくつか。
DIST全開、EQ全部最小、MID FREQいろいろ
DIST全開、EQ全部最大、MID FREQいろいろ(シングルコイルのピック弾きにとくに合う:発振に注意)
DIST全開、HIGH最小、LOW最小、MID最大、MID FREQいろいろ
DIST全開、HIGH最大、LOW最大、MID最小、MID FREQ11~2時(ダブルコイル推奨だがシングルでもピック弾きならイケる)
中域を強調するとバズノイズの「耳につく成分」を増幅しやすいので、ギター本体のシールドには気を使った方がよい。

UM300に限らずヘビーメタル系ディストーションペダル全般でいえることだが、ベースEQは厚みを変えるだけでトータルな音色への影響が(他の2つよりは)少ないため、とりあえずで低めの設定(9時とか)にしておくのがラクである。ゲインは飽和した歪み方になる手前くらいにしておくと設定しやすい(たとえばEQ全部12時、DISTだけ9時~10時半~12時~1時半~3時と変えたこのサンプルでいえば、DIST12時=3回目に鳴る音くらいで調整して、ゲインが欲しければ後から上げるのが無難:最初から上げておくと音を把握しにくくなる)。HIGHとMIDは9時、12時、3時くらいで大雑把に仮決めしよう。

出音を確認しながらMID FREQをイジってキャラを決め、MIDでキャラの濃さを調整する(この2つのツマミは効きが敏感なので慎重に動かそう)。HIGHとDISTを見直したらLOWをテキトーにイジりMIDとMID FREQを微調整する。2台買ってきてシリアルに繋ぎ細かい設定(DIST12時とDIST3時とか)で変化をつけ、同時踏みでどちらか片方だけ使うのも面白そう(それが簡単にできる価格なのが嬉しい)。あまり参考にはならないとは思うが、筆者がUM300のEQで遊んでいる様子もいちおう掲載(ストラトもどきのハーフトーン2種:フルテンを含むハイゲイントーンなので再生音量に注意)。

変わった使い方として、ハイゲインアンプの前で味付けペダルとして使うと面白い効果が出ることがある。相性の問題が大きいらしく、筆者が試した限り、G1NのPEAVEYシミュレーションの前にDIST最小EQオール12時LEVEL12時(だいたいユニティゲイン)で噛ますと「メタルっぽさ」が過剰に強調されていい感じだった。

さらに飛び道具的な使い方として、LEVEL以外フルテンでMID FREQを12時前後、ギター本体をトーン全開ボリューム中くらいにすると発振して、ボリュームツマミのコントロールでフィードバック奏法もどきができる(ギターの機種によるようで、手元のSGもどきでは普通にできるが、ストラトもどきだと小さい音しか出ない:トーンは落とさない方がよいようで、ストラトもどきでもリアピックアップを選んでいるときはそこそこ音量が出る)。周波数はMID FREQのほかHIGHツマミでも変化する。当然ながら、前にDIやバッファードバイパスのペダルを置いたときにはできない技。

オマケ(ディストーションギターをワンペダルで完結させる理由)

最初に断っておくが、これは単に筆者の持論であってスタンダードなやり方ということではまったくない。ディストーションペダルの出力を追加で歪ませると音色が変わりやすいという話には急がば回れのイフェクタを知ろうのページで触れたので繰り返さない。ディストーションギターの音色を突き詰めると、歪みを作るセクションと歪んだ音を処理するセクションに分けることになる。

前半部分はたとえば、矩形波系と鋸波系(奇数倍音主体と偶数倍音も混じって整数倍音に近い形)の選択や、パルス歪みの質と量、歪ませる前にカットする帯域、歪みを迂回させる成分の取捨などを含む。これらを(ディスクリート方式でパーツごとに別の機器で処理することも可能でその方が細かい調整ができるはずだが、実用的な利便性を考慮して)一括でプリセットしてあるのがディストーションペダルということになる。

ペダルに入れる前の音をEQなどに通してイフェクタの効きを変えるのは有効な手段なのだが、ギター本体のトーンとピックアップ選択でフォローしきれないくらいキャラが異なっている場合、ペダル丸ごと取り替えた方が(現実的にはペダルを複数用意して踏み替えた方が)手っ取り早い。ペダルの中では複数段の処理を行っているので、初段の分だけ頑張ってイジるより、全体のフローが目的に適っているものを選んで使った方が効率的だろう(そのような使い方に十分耐えるくらい、ディストーションペダルの種類は豊富にある)。

後半部分では、おもにEQや帯域フィルタを使って削ったり持ち上げたりすることになるが、これを入念にやるにはやはり本格的な機器(フィルタのパッケージとしての実機アンプや実機マイクを含む)を使った方が手っ取り早い。録音なら、ペダルで行う調整はあらすじをつけるところまでに留めて、細かい作業はラックEQなりソフトウェアフィルタなりでやるのが順当だろう(奏者が手軽に操作できるという意味で、ペダルにEQやトーンがついているのは無駄ではない)。もちろん、歪ませた後の処理はあくまで従の作業なので、目的に適ったペダルで歪ませてあることが前提になる。

このセクションで帯域について考えるとき、他の楽器との兼ね合いを忘れるべきでない。たとえば、強く潰したギターと合わせる場合、シンバルを中音域主体orかなり高音域主体のどちらかに振ることが多い。それぞれの帯域を何に使うのかという意識も重要で、たとえばベースをギターと一体化(ユニゾン)させるのか低域の埋め立てに使うのかといった考慮が必要になる。


OD400

BEHRINGERのギター用コンパクト(オーバードライブ)。2012年に購入(何月だったか覚えていない)。

万能クランチ

リハスタのレンタルにBOSSのOD-3が置いてあることが多いので、家にもパチモノがあったら便利かなと思い購入。出音はけっこう似ていると思うが、OD系の音色が好きでないためあまり使っていなかった(だったら買うなよと自分でも思う)。ところが、他のペダルを調査したついでにサイン波応答を測定したところクランチに適することがわかった(出音で気付けよ、自分)。

設定は、LEVEL9時、TONE(実際はローパス/ハイカット:最小だと500Hzくらいから上が穏やかに、最大だと5KHzくらいから上が落ちる)全開、DRIVE最小、アンプ(クリーンチャンネルか、機種によってはクランチチャンネルでも)のゲイン極小から出発するとラク。この状態でもユニティゲイン(バイパス音量)より微妙にブーストくらいなので出力は足りるはずだが、ローが垂れ流しになるので、フロントピックアップを使うなら間にローカットつきのブースターを挟んでもよい。

上記から、歪ませたくない最大音量で歪まない範囲でDRIVEを上げ(せいぜい9時くらい、ダブルコイルでピック弾きの場合、DRIVE最小でギター本体のボリュームを下げる必要があるかもしれない)、やはりクリーントーンが歪まない範囲でLEVELを上げ、それでも余裕があればアンプのゲインを上げる(最終的な音量調整はアンプのボリュームで)。この状態で最大音量を突っ込み、歪みすぎならアンプゲイン>LEVEL>DRIVEの順に落とし、歪みが足りない場合はアンプのゲインを上げてLEVELを落としてみる。うまくいかない場合、最小音量で微妙に歪むくらいにしてやり直すとよい。

歪み始めが穏やかなのと、出力が鋸波系歪みで後段に置いた矩形波系歪みのクセを中和してくれること、TONE全開なら周波数による偏りがあまりないことから、クランチセッティングにうってつけである。この用途だとフロントピックアップの方が合うが、リアピックアップから出してカリっとさせた音も面白い。

ハイゲインアンプの前に

限界まで叩くのでなければ、クランチと同じLEVEL9時のDRIVE最小をスタートにする。TO800と違い、フロントならTONE3時~最大でワイドレンジに、リアならTONE最小~9時でナローレンジにするとバランスを取りやすい(トーンコントロールが単純なハイカットに近い挙動を示すため)。アンプのゲインを上げていって、潰れ方が汚くなりすぎるようならゲインを下げてDRIVEを上げてみる。

限界まで叩くなら、フルテンからDRIVE>LEVEL>アンプゲインの順に落として楽器が出したニュアンスが残るポイントを探すのがラクか。アンプの歪みを最大に引き出すことが目的なので、ペダルのDRIVEをムリに上げる必要はない(低めの方が無難)。

どちらにせよハイゲインアンプに入れるならブースターは必要ないし、細かい調整はアンプ以降でやるのが無難。役割分担をハッキリさせた方が設定しやすい。


AB100

BEHRINGERのギター用コンパクト(アンプつきのABセレクター)。2012年3月に購入。

仕様や操作など

操作は大変簡単で、入力1を出力Aまたは出力Bに渡すモード(以下出力分岐モードとする)と、入力1または入力2を出力Aに渡すモード(以下入力選択モードとする)があり、モード切替はスイッチで行う。出力Bと入力2は同じジャックを排他利用。

出力段にはアンプが入っており、12時で少しブーストくらい(インピーダンスが影響するためギターや後段の機器によって変わる)。DIを通してある場合、LEVEL最小で-21.5db、9時で-6db、12時で+3db、3時で+6db、最大で+8dbくらいのブースト。アンプの性能は普通(この手の紹介では繰り返し触れているが、ゲインを極端に上げればアンプより前に入ったノイズも相応に大きくなる)。

許容入力が大きく、おそらく7~7.5dbVくらい(PB100は4dbVくらい)。PB100の最大出力(上波だけ8dbVくらい)だとさすがに歪むが、FS300の最大出力(7~7.5dbVくらい)を突っ込んでもギリギリ耐える。一部のアクティブピックアップやコンパクトイフェクタなどゴムタイな出力の機器からいったん信号をもらい、ゲインを落として後ろに回す用途にも使えるだろう。最大出力も8dbVくらいある。

入力選択モードだと、出力Bの前にあるアンプはなんの仕事もしない(入力1と入力2に対して独立なアンプになってくれるわけではない)。このため、たとえばギター2本とアンプ1台をつなぐような場合、ピックアップの出力差はAB100よりも前段(ギター本体のボリュームあたり)で吸収しておくか、切り替えの都度調整する必要がある。多分、こちらのモードはオマケなのだろう。

使い道

もちろん、音色比較用やセレクタとして使える。EQがなく出音が素直なのがメリットになるなら、オマケつきのプリアンプとしても悪くない(ただし、ペダルを踏むとルーティングが変わるので、曲の途中でゲインをスイッチするためのブースターとしては使えない:あくまで固定ゲインのクリーンプリアンプとして機能する)。いちおう、出力分岐モードを後段で集合させればゲイン操作に使えなくはないが、そこまでやるなら普通のブースターを使った方が早い(安価なEQなしモデルとして利用価値がないではない)。

ローノイズなので、ギター>アンプor歪み系の直結より、ギター>AB100>歪み系としてAB100で増幅をかけつつ歪み系のゲインを絞った方がS/Nがよくなる場合もあると思う。プリ段がチューブになっているアンプ(ゲインを上げるとノイジーになりやすい)に使うとありがたみが出る(反対の発想で、ゲインをマイナスにして後段の増幅率を上げ荒っぽさを過剰に出すことも、やろうと思えば簡単にできる:ギター本体のボリュームでやる場合と違い、フルテントーンのままゲインだけ落とせる)。後段がトゥルーバイパスの場合はバイパスしたときの信号劣化を防ぐ効果もある。

単純なプリアンプとして使う場合、余った入出力を予備に回すことができる(メインのルートを「入力1から出力A」にしておく)。たとえば普段アンプシミュレータからミキサーに入れてヘッドフォンやモニタスピーカを使っている場合、初段にAB100を噛ましておくと、ポータブルアンプから音を出したくなったときに出力分岐モードで出力を引っ張ったり、入力選択モードで別のギターを普段のイフェクタ環境に割り込ませたりできる。さらに、出力分岐モードから別のペダルを繋いでミキサーの空きチャンネルに入れれば出音のテストも素早く行える(ループセレクターではないのでコンバイナ代わりにミキサーを使うのが手っ取り早い:ベリさんにはぜひループセレクターも出して欲しいところ)。

単純に手間を省くためのツールとしても有用で、筆者の購入動機としては、リハスタに持ち込んで複数のギターアンプをとっかえひっかえするのが目的だった。ギターを2本つないで1台のアンプを使うような場合は、ゲインを独立に設定できないのと、入力を排他にしておく必要性が(ステージ利用でなければ)薄いので、サブミキサーなどでまとめる方が使い勝手がよいと思う。イフェクトループを途中からパラレルにしてAB100でまとめることも可能だが、選択だけでミックスはできない(ゲインの差なら前段のイフェクタで吸収できる)。

いちおう注意

とここまでの紹介だと素晴らしいペダルのようだが、初段近くにアンプ(の代用になる機器)を置くメリット自体が大きいのであって、AB100が特別に優れたアンプだというわけではない(性能的に劣ってもいないと思うが)。

AB100以外に「プリアンプorブースターとしても使える」ローエンドイフェクタはいろいろあるが、オマケ機能がABセレクタでいちおうリバースも可能というのは、けっこういいトコロを突いていると思う。プリドライブでEQを使いたいとかペダル操作でゲインを変えたいといった需要がある場合は次で紹介するPB100あたりに任せて、ルーティングの柔軟さが求められる場所に使ってやるとよいだろう。

なお基本的なモノとしては単なるスイッチ付きアナログアンプなので、前後にゲインの高いアナログアンプを置く場合はいちおう発振に注意しておきたい。


PB100

BEHRINGERのギター用コンパクト(プリアンプ兼ブースター)。2012年3月に購入。

使い方など

ツッコミどころがないほど普通なデザインと性能で、踏みっぱでプリアンプにしてもブースターとして使ってもとくに支障はない。

EQも普通。踏みっぱのプリアンプにするなら必須ではないが、ゲインが変われば後段での歪み方も変わるので、ブースターとして使うなら有用な機能。後ろで強く潰す場合はとくに、PB100でローを落としてから叩いてポストEQでまた持ち上げるような使い方ができる(反対の操作で控えめなブーミーサウンドも作れる)。

強みはやはり価格で、MXRのMICROAMP、BBEのBoosta Grande、MOOERのPure Boost、MODTONEのCLEAN BOOST、ELECTRO-HARMONIXのLPB-1あたりが新品だと5000円では買えない(2012年3月現在)中、2000円ちょっとで普通に機能するブースターが入手できるのはベリさんならでは。

仕様など

ゲイン最大だと22dbくらい、12時で10dbくらい、最小だと-10dbくらいの増幅(前にDIを置いた場合)。ゲインにはインピーダンスが影響するためギターや後段の機器によって多少変わる。最大出力は+6dbV程度で、それを超えると(シングルアンプのようなノリで)波形の下半分だけがクリップする(上半分も+8dbVちょっとでクリップ)。これを利用すると、前段に別のクリーンアンプを置くことで天井の高いファズとして使えそうだが筆者は試したことがない。最大入力は4dbVくらい。

AB100と同様ローノイズなので、チューブアンプなどノイジーな機器の前でゲインを稼いでハイファイ化するのに使える。面白いことに、ゲイン最小でも無音にならないため、音量を落とす目的でも使える。欲を言えば、パラの出力がもう1つあったら初段のプリアンプとして万全だったと思う。

EQはスロープ中点がやや遠いシェルビングで、おそらくプラマイ18db、ハイは5KHzくらいローは200Hzくらいがスロープ中点だろうか。5オクターブくらいの穏やかなスロープで、ザックリしたカットやブーストに適する。

やはり、基本的なモノとしては単なるスイッチ付きアナログアンプなので、前後にゲインの高いアナログアンプを置く場合はいちおう発振に注意しておきたい。


AC1 RhythmVOX

VOX(KORG)のギター用ミニチュアアンプ。2012年2月にプレゼントとして購入。本当は純然たるプレゼントではなく、どんなモノなのか試してみたかったのがメイン動機なのだが、それは小声で言うことにしておく。2012年2月現在「3インチクラスで電池とACアダプタ両対応でゲインとボリュームが分かれた機種」という条件だと、ブッチギリのコストパフォーマンスだと思う。

仕様など

カタログで「170(W)× 67(D)× 128(H)mm」「508g(電池含まず)」となっているが、本当に小さい。そして軽い。乾電池(多分動作確認用)が箱の中に入っていたのと、サウンドハウスのキャンペーンで電源アダプタがついてきたので、予算していたよりも安く上がった。

キャビネットは3インチ2発(ステレオソースの扱いを簡易にしたかったのだろうが、不覚にもAUXのステレオ入力挙動チェックを忘れた)で、エレキギターの音を鳴らし切るのには足りない(まあMINI3でギリギリくらいだしね)が、演奏を楽しむには十分な鳴り(だと筆者は思う)。3~4インチクラスで周波数レンジを広げようと思ったら凝ったバスレフ+ツイーター(90年代の重量級ラジカセのように)が必要だろうから、ムリに頑張っていないのは正解だと思う。

アンプ部分は、MINI3のようにゲートが邪魔になることもなく、すんなりと使える。クリーントーンがしっかりしており「amPlugシリーズで培ったアナログ・オーバードライブ回路を投入」したらしいドライブトーンも「まあ使える」感じだと思う(完全に歪ませるよりクランチっぽく使った方が筆者好み)。前段にペダルを置くかどうかは別にして、やはりゲインとボリュームが独立コントロールになっているのは使い勝手がよい。

ギターインプットとヘッドフォンアウト(スピーカと排他)に加えてAUXインプットもあるが、CDプレーヤーなどをつないでも簡易スピーカ的な働きしかしない。いっそのこと、他の音はラジカセか何かで鳴らしてRhythmVOXからはギターの音だけ出すのも一案だし、ヘッドフォンと併用するなら普通に使えるので、適宜使い分けるとよいだろう。MINI3と違って小音量でもノイジーではないが、音量バランスの自由度が増すメリットもあるので、やはり、ヘッドフォンは本体でボリューム調整できるタイプがよいのではないかと思う。

リズムパターンはやたらと数があり、選択方法がツマミ+ボタンなのでけっこう使いやすい(マルチイフェクタにオマケでついてくるリズムマシンのように、何十回もボタンを押さないと目的のパターンにたどり着けないようなことはない)。ただ、リズムマシンの音量(例によって独立ボリューム)が大きめのレンジに設定されているようで、クリーンチャンネル使用時にはそれなりの音量を突っ込むかゲインを上げるかしないとギターの音が負ける。

遊び方

すでに触れたリズムマシンとの兼ね合いのほか、ドライブチャンネルをオーバードライブする目的でも多分使えるので、前段に「ブースターとしても機能するオーバードライブ」を置くのも面白そう。反面、ペダルをぶら下げるとその分機動力が落ちるので、単品で使った方が持ち味は出ると思う。この辺はお好み次第だろう。

気分よく鳴る音量域が比較的小さく、日本の普通の家で普通に鳴らせるギターアンプというとこのくらいなのかなと思える(筆者のセンスで判断すると、MINI3を集合住宅で鳴らすのは明らかにムリがある)。ギターの音をスピーカから出すというのはそれだけで面白いことなので、手軽なツールが出てきたのは嬉しい。


MINI3

Vox(KORG)のギター用ポータブルアンプ。2011年10月に購入。欲しかったというよりはモノを試してみたかった。

気の利いた機能と割り切った性能

ポータブルアンプとして機能面では満点に近い。ゲインとトーンをコントロールできるアンプシミュレータモード、2バンドEQつきのラインモード、独立トリムと空間系へのセンドがついたマイク入力、フランジャー以外は無難なイフェクタ部分、タップテンポ対応で質感もごく普通な時間空間系、E音専用チューナーにステレオAUX入力にヘッドフォン出力(キャビネットは自動でミュート)と、必要性の高そうなものがキッチリ揃っている。また性能とは関係ないが付属のストラップが地味に便利である。

粗を探すとしたら、ライン出力はやっぱり欲しかった(というか、ヘッドフォン出力がミニフォンでリングをスリーブに落とすと音が出なくなる仕様なのがメンドクサイ)。ライン入力も別端子があればよかったのだろうが、そこは「マルチパーパスならあった方が便利だがギターアンプには必須ではない」部分なので、筆者は文句を言う気にならない。

性能面ではかなりの割り切りが見て取れる。筆者の手元の個体は残留ノイズが大きく、小音量でのキャビネット(スピーカ)使用には向かない。すべてのチャンネルにゲートが入っている(アンプチャンネルのゲートはゲインの前に入っている気がしてならない)のはちょっとおせっかいが過ぎたかもしれないが、LINEチャンネルのゲートはけっこう便利。これはおそらく、屋外や広い屋内での使用を前提にしているためなのだろうと思う。実際、デカいボリュームでガンガン弾いている分にはどちらも気にならない。

アンプシミュレータはクリーンとクランチの出来がどれもよく、とっかえひっかえしながら弾いているだけでかなり楽しい。ドライブトーンは物足りない印象だが、同じKORG(1992年にVoxブランドを取得した)のPX5Dは普通にこなしているので、非力なのはアンプモデルではなくキャビネットなのかもしれない(PX5Dと違ってキャビネットシミュレータを選べるわけでもないし)。この辺はメーカーも認識しているようで、後継のMINI3 G2ではベーシレータ(Bassilator)という機能が追加され「特にハイゲイン系で威力を発揮」するらしい(モノは未確認)。

キャビネットはエレキギターの音をなんとか鳴せるくらいのもので「サイズが足りてるわけじゃないけど、騒ぐような不都合もないよね」という印象。AUXから伴奏を混ぜてもそう大きな破綻はない(シンバルの音色はさすがに変わるが輪郭は残るし、バスドラやベースも弱くはなるが隠れはしない)が、似たようなクラスの単発パワードモニタ(たとえばMS101IIIとかPM0.4nとか)と同レベルのハイファイさを求めるのはちょっと酷だろう(ツイーターがなく上は伸びないがユニットサイズなりに下は出るため、3インチクラスが相手なら負けてはいないと思う)。ともあれやはり、MINI3はあくまでギターアンプである。

筆者の手元の個体にサインスイープ(インサーションケーブルでラインチャンネルに入力)を食わせてみたところ、音程感が出てくる下限が50Hzくらい、80Hzくらいの大きなディップを境に極端な歪みが消え、100Hzくらいから音量が持ち上がり始め、しっかり音量が出るのが150Hzくらいから、その後ピークやディップはありつつもそれなりに頑張って、6KHzくらいから上は息切れするが、音自体は15KHzくらいまで出た。

用途別に一工夫

ギター直結でゲートが効き過ぎる場合、ブースターやプリアンプとして機能するものが何か必要になるだろう。ドライブトーンが貧弱なためどうせオーバードライブかディストーションを前に置くだろうから、ブースターを兼ねる機種にしておくと便利かもしれない。出先で使うなら、マルチイフェクタからLINEチャンネルに入れてマイクを足すか、MTRの出力として使うのが無難な接続だと思う(モニタ用の出力も前段で取ってしまう)。

練習用に使う場合、日本の住宅事情だとヘッドフォン(自動でキャビネットシミュレータがかかってくれる)を使うことになるだろうが、残留ノイズが大きいので対策をしておいた方がよい。具体的には、本体のMASTERボリュームを全開にして、ボリューム調整つきのヘッドフォンで音量を調整するのがよさそう。筆者がKOSSのQZ99という演奏モニタ用ヘッドフォンで鳴らしてみたところ、ヘッドフォンの性能(生音が遮断される効果が意外と大きいし、AUXから入れた音の再生も5インチ単発のギター用キャビネットよりはずっと優秀)も手伝って快適に練習できた。

出力をミキサーに入れる場合、MASTERボリュームを全開にすると、ちょうど民生用ラインレベルくらいの出力になる(前述のようにリングがスリーブに落ちると音が出なくなるので、筆者はステレオ標準フォンに変換してからインサーションケーブルでミキサーに入れた)。

AUXインプットはステレオ合算のようで、バランス出力など左右逆相の信号を入れると無音になる。ゲイン(本体での調整不可)がLINEチャンネルでMASTERボリュームを全開にしたのと同程度あるので過大入力に注意。マイク入力もMASTERボリュームは通らず(ぜんぜんマスターじゃないな)、TRIM最小でもAUXインプットよりはゲインが高い。メインインプットは完全な合算ではないようで、バランス出力を食わせても(音量は下がるが)音は出る。面白い工夫だとは思うが扱いが面倒なので、メインインプットにはモノラル信号だけ入れるのが無難だと思う。

ノンティルト(スピーカが正面を向いている)なので、地面に置くよりはアンプスタンドで上向きの角度をつけて使った方が使いやすいと思う(うまく乗るならギタースタンドなどでも代用可)。マイクスタンドやスピーカスタンドに乗せるための穴は空いていない。屋内であれば机や椅子などに乗せるのがよさそう。

強みは機動力

最大の活躍の場はやはり出先だろう。2.8kgの重量も電池駆動ができるのも強みだし、ローエンドのポータブルアンプに多く見られるよりワンサイズ大きい5インチユニット(名前の「3」は「最大約3W RMS@4Ω」の「3」らしい)もサイズ相応の働きをしてくれる(筆者がざっと探した限りメーカーの公式情報は見当たらなかったが、ネットでみつけた分解写真を見る限りエンクロージャはバスレフ式)。入出力もまあまあ充実しており、ドライブトーン以外は単体でもなんとかこなせるが、マルチイフェクタを前に置いてやれば隙がなくなる。

ヘッドフォンでしか使わないならフロアタイプのマルチイフェクタの方が手軽で高性能なため、スピーカから音を出してナンボなところが少なからずある。据え置きのスピーカが別にある場合、マルチからスピーカで音を出しても(どーせハイファイ系のキャビネットなんだし)問題ないわけで、やはり持ち運び可能なキャビネットが欲しいかどうかが決め手になりそう(家の中といえど、据え置きスピーカを持ち運ぶ元気は、筆者にはない)。

据え置きのスピーカがなくメインで音を出す場合、すでに触れたようにある程度音量を出さないとノイジーになることを承知しておいた方がよいだろう。

この辺の事情から、筆者の手元での滞在期間は短く、2012年2月にマーチンへのプレゼントとして旅立った(ハイファイスピーカはMSP5で間に合っているし、マルチイフェクタも複数台あるし、アンプを出先に持っていく元気も筆者にはない)。


SD-15CE

これも単体アンプではあるのだがこちらに。2018年にジャンクで購入。

後で調べたところFenderの製品ということになっているらしかったが、本体裏面にはFender Japanと書いてある。前面パネルにあるStudio Driveというのがシリーズ名、リバーブつきのSDR-15というのもあるんだそうな。生産国の表示はなぜか(made in Koreaではなく)made in R.O.Kになっている(けど、Republic of Kosovではないと思う、きっと)。まあとにかく、セレッションの8インチを詰んだソリッドシングルが1200円くらいで転がっていたのでなんとなく買ってしまった。

チャンネルはノーマルとドライブの2つ、マスターに3極EQと「CAB STYLE」なるスイッチがある。EQはなんだかフェンダーっぽくない挙動な気がするが、深く追求する意欲はない。Treble5-Mid7-Bass10から、気分によってトレブルミドルを少し上げるかな、くらい。CAB STYLEは・・・これどういう意図なのかわかりかねるが、Largeが「普通」の状態で、Smallはライン出しで特殊効果を狙うとき用、とかそんな感じ?たしかに、弾いていると「もっとナローレンジでローファイな音」が欲しくなることはある。ギター本体(SGもどき)は、フルテンからリアトーン7+フロントボリューム8とか、リアボリューム6.5+リアトーン7.5とか、使い回しの利く設定で固定しピックアップスイッチで音色を選ぶとやりやすい(と思う)。

なんでもドライブチャンネルは「TS風味」らしく、ゲイン低めから高目までまんべんなく使いやすい。クリーンはソリッドステートのミニアンプとしてごく普通の鳴り。前の所有者の使い方が荒かったのかキャビがやたらビビるが、このビビりがまたミニアンプらしい味を出しているようにも思えるので、積極的に解決しようという予定はない(バラしてネジ全部締め直してやれば直ると思うけど、メンドクサイ)。ボリュームはクリーンチャンネル2.5のドライブチャンネル2で十分うるさい。ジャンク品でパワー部がヘタっているのか、フルテンは(両チャンネルとも)ギクシャクして使えなかった(ので、最大音量もそんなには出ない)。

なんだかんだいって8インチだし、ドライブチャンネルも使いやすいし、クリーンは普通だし、音量も常識的範囲。リバーブはいらんでしょ、このサイズのギターアンプに。ディレイはともかく、コーラスとかオーバードライブとか(ペダルはいっぱい持ってるけど)繋ごうという気にもならないし、これはこれで完結したスタイルなのかな、と少し思う。


HoneyTone N-10

Danelectro(Evets)のミニチュアギターアンプ。2012年3月に購入。RhythmVOXをイジったら楽しくなってしまい、自分用のミニアンプが欲しくなった。

見た目など

Honeyだけにハチミツっぽい色、という単純な考えでイエローにしたのだが、まんまプラスチックのハコで、銀色の部品もスピーカーグリルの網部分以外は銀色のプラと、チープさ全開のルックス。ブリキのオモチャがレトロに感じられるのにかかったのと同じくらい時間が経って、日に焼けて退色したりすればインテリアにもなるのかもしれない。サイズは大きめの目覚まし時計くらいで、重さも似たようなもの。手元のエレキギター用ソフトケースのポケットに何とか入った。

ツマミ類はぜんぜん円形でなく、回すと目に見えて歪んでいる。製品のカテゴリからもツマミの表示(スピーカの正面から読むように書いてある)からも、前面からアクセスしてツマミを回す前提なのではないかと思うのだが、なぜかどれも「1時が最小で時計回りに可動し11時が最大(6時でセンター)」という仕様になっている。マスターボリュームを1時方向に回し切ると電源が落ちるのだが、これがやたらカタい。

ボディ前面がやや斜めになっており、脚の部分でさらに少しだけ傾きを足して、全体としては微妙にティルトくらいの角度。グリップは飾りかと思ったらちゃんと動いて普通に持てる。

仕様など

電源は角電池か9Vのセンターマイナスで、購入時にサウンドハウスに問い合わせたところ「基本的には電池で使う機器」という歯切れの悪い返答をもらった。本家サイトでダウンロードできるマニュアルでも確認したところ「DA-1」というアダプタが指定されており、2012年3月現在のDAN ELECTRODEのラインナップにそういう製品はない(DA-4ならあるが後継機種なのか上位機種なのか不明:購入後に確認したところ、製品の箱にもDA-1の指定があった)。

筆者の手元では、サウンドハウスのAC9V 0.5Aでも(ブリッジアースさえちゃんと落ちていれば)ハムが多少乗るだけでとくに支障なく動いているしローランド(BOSS)のPSA-100Sならもっとストレスなく動くが、電源はデリケートな問題なのでDA-1が入手できないなら電池で動かした方が無難なのは間違いない。

密閉式かと思ったら後面開放っぽいハコで、ACアダプタ用のジャック部分も地味に穴になっている。ベルトマウント用のフックもあるが、背面を塞いだら音が変わるような・・・と考えてはいけないのだろう、多分。

フタを開けてみたところ、8Ω2Wのスピーカが入っていた(マニュアルには記述が見つからなかったが、サウンドハウスのサイトによると最大出力は1Wらしい)。口径はおそらく3インチ(外して計ったわけではないので多分)。部品が10個くらいついているだけの素っ気無い基盤。

ゲインとトーンとボリュームがついているが、トーンの効きがイマイチわからない(4~8時周辺だと効いているような気もするのだが、極端に振ると効かなくなるような、そうでもないような)。まあトーンは常にセンターでも差し支えないので気にしないでおきたい。ボリュームは3時くらいよりも左に回すと急激に音量が落ち、ヘッドフォン接続だとギャングエラーもバッチリ出る。ゲインは最小でも無音にならない。

出音など

小型で後面開放ということで、昔の小型ラジオみたいな音がする。サイズとハコのわりに下は出ているようにも思える。キャビネットの作りがテキトーなためか本体と耳の位置関係が変わると音も急激に変わり、左右の耳に同じ音を届けるのが難しい(筆者は諦めた)。

一応ゲインとボリュームのツマミがあるが、ボリューム全開だとゲイン最小をシングルコイルで叩いてもピック弾きなら十分歪む。この状態からボリュームを下げてゲインを上げると歪みの質が変わり、ゲインを上げた音はシングルピックアップに合うと思う。とくにフルテントーン(ヘッドフォンから出すとものすごい音量になるので厳重に注意)はシングルのリアピックアップがジャキジャキになる。

完全なクリーンも「ミニチュアアンプを楽しむ」目的ならまあアリだろう。フルテンの音量は意外と大きく、弾き語りをしようと思ったら相当頑張って声を出す必要がある。音量は置き場所でコントロールするのが無難か。並べて試してみたところ、HoneyToneのボリューム全開ゲイン最小トーン半分と、フェンダーのTwinAmp01年モデル(ドライブチャンネル)のゲイン3ボリューム2EQ全部5が似たような音量感だった(HoneyToneの方がトレブリーなので、実際より大きく聴こえやすい傾向はある)。

ヘッドフォン出力をインサートケーブル経由でマーシャルの1960(12インチ4発の大型キャビネット)に入れてみたが、本体スピーカより音量が落ちたので、一応抵抗は入っているのだろう(スピーカの能率が桁違いなので、スピーカへの出力丸ごとなら音量は上がる)。どうもスピーカユニットとキャビネットで音を作っている部分が大きいようで、ヘッドフォンや外部キャビネットなどで鳴らした音は筆者にはピンとこなかった(まあ、単純にギターだけつないで使えという意図なのだろう)。

あえてペダルを噛ます

重要な情報
耳への悪影響を避けるため、大音量セッティングは適宜耳栓などによる保護を活用しながら試してください。ごく高音域が出るセッティングは耳への攻撃性がとくに強く、小型スピーカでも大音量になりやすいため、防護なしでは危険です。またヘッドフォン出力は音量が大きいため一気に音量を上げないようにしましょう。

ドライブトーンがブーミーなので、OD400よりはTO800が合う。しかしなにより刺激的なのはディストーションペダルを噛ましたときで、シングルコイルからUM300を噛ましてフルテンで叩くと、なんともいえないエキサイティングなサウンドになる。他のページや項では「ディストーションペダルの後ろには歪み系を置かない方がよい」と書いているが、何事にも例外はあるもので「壊れた機械からグチャグチャの音を捻り出している」ニュアンスが見事に出る(壊れてないけど)。

手元の個体で試したところ、シングルコイル(リアorリア+センター)フルテン、HoneyTone本体もフルテン、UM300はDIST12時HIGH最大LOW最小MID最小MID FREQ12時~3時LEVEL9時(MID FREQをイジると出音が劇的に変わる)というのが面白い出音だった。ただしごく高音域が豊富に出てくるセッティングなので、耳の保護には十分注意して欲しい。

上記からUM300のEQだけ、HIGH最小LOW最小MID最大MID FREQ11時~4時に変えると、ミニチュアアンプのナローレンジさが強調されてこれまた面白い。なお、UM300のLEVELは低音域の干渉度合い(低音に潰されて高音域が断続的にクリップする)をコントロールするので、むやみに上げない方がよい。

これらのセッティングは、集合住宅などでは昼間でもちょっと無理があるくらい音量が出る。筆者が試した中では、ダイソーで買ってきたキューブスピーカーelectricaをヘッドフォンジャックに直接接続するとある程度音量が落ちた(ただし、小型ユニットで高域の能率がよいせいかハイはあまり落ちないので、耳の保護にはやはり注意が必要)。またパッケージの表示によると8Ωなので、アンプ内部での発熱が通常より多くなると思われる。この意味がわからない人は追試をしないように。

筆者の結論

作りは雑だし音もテキトーだが持ち運びはラク。ヘッドフォン直結はやめた方が無難。


SE-BOD

ARTECのギター用コンパクト(Blues Overdriveらしい)。2012年2月に購入。RhythmVOXの前にもペダルがあった方がいいかなと思いオマケとして。妙な誤解があると困るので断っておくが、これは純然たるプレゼントで、贈り物にするためだけに購入したものある。

操作と設定

コントロールはLEVELとGAIN(1~10までの目盛りつき)とEQ(HIとLO)だけ。フットスイッチは機械式トゥルーバイパスだが、CTO-2のものほどカッチンカッチンではない。電源が入っていなくてもバイパスは可能。しばらくイジってから気付いたが、電池ケースの中に9V電池がオマケで入っていた。

LEVELは2くらいより下げると急激に減衰し、最小にすると無音に近くなる。上げるとアンプ前までに入るヒスノイズも増幅されるが、アンプの入力換算ノイズは減るようで、ローノイズに使いたければLEVEL最大で出し後段で調整するのがよい。ただし、2~3の間と8~10の間ならそう目くじらを立てるほどは悪化しないし、3~8の間も封印しなければならないほど酷くはないので、利便性を取ってユニティゲイン近くで使っても大きな問題はない。

GAINは最小でも無音にならず、全開でもノイジーにはならない(ので、高めのゲインで使うと結果的にローノイズになる:GDI21の挙動と似ている)。筆者の感覚では、GAIN3でもLEVEL最大ならとくに気を使わず使えると思う。ダブルコイルのフロントをフルテン直結してピック弾きした場合、ゲイン最小だとめったにクリップせず、ゲイン1だとたまにクリップ、ゲイン2だとアタック部分はクリップする感じ(クリーン~軽いクランチに相当)。

結局のところLEVELが2から上くらいでGAINが4から上くらいなら何も考えずに使っても大きな問題はないし、GAINが2くらいでもLEVEL最大ならSNはそこそこになる。ピック弾きの場合低いGAIN設定も使うが、入力そのものがデカいので実際にはあまり問題にならない(後段アンプのゲインを落とせば相殺される)。なお、レベル2のゲイン10、レベル3のゲイン3、レベル4のゲイン2、レベル8のゲイン1くらいで、だいたいユニティゲインになる。

筆者の考えとしては、指弾きならレベル2のゲイン4、ピック弾きならレベル7のゲイン1くらい(ユニティゲインよりやや落ちるが、音色に芯が出る分と合わせてトントンくらい:ギター本体やピックアップは上記と同じ条件を想定)から出発して音作りをするとスムーズではないかと思う。

ちょっと注意

外部電源は普通のセンターマイナス9Vだが、ジャックの差込がやや深い。手元で試したところ、BOSSのPSA-100Sだと動作はするがプラグがグラつき抜けることもある。サウンドハウスのAC9V 0.5Aだとプラグはしっかり入るが微妙にハムが乗る。BEHRINGERのPSU-SBだとジャストフィットだった。

アナログ回路がウリなためか、ハイゲインなアナログアンプに挟むと発振することがある。普通に使う場合はもちろん、ループバックさせる場合はとくにレベル設定に注意したい。また前段にアンプを置くとヒスノイズをもらいやすい(初段に使うか、前はDIだけにするのが無難)。

筆者の感想としては、ビンテージサーキットをウリにしているためか、古いアナログ機器に見られた鈍臭さやデリケートさもある程度引き継いでいるように見える。ただし、その辺の挙動も含めて楽しみたい人には面白いだろうし、シンプルな使い方ならそう目くじらを立てなくても大丈夫そうではある。

使い勝手など

メーカーによると「ヴィンテージツイードアンプを彷彿させるクランチトーン」で「目指したのは真空管をオーバードライブさせた時の本物のブルースギターサウンド」らしく、ピック弾きだとまあまあ感じが出ていると思う(ヴィンテージツイードアンプなんて鳴らしたことないけど、イメージ的に)。ループバックテストしてみたところ、低域は矩形波をハイパスに通して削ったような、中域は電圧折り返しっぽい歪みのある、高域は低次倍音のみの変わった出力だった(中域の波形の汚さなんかが、チューブっぽさを演出しているのかもしれない)。

ハイゲインにするほどSNが改善しフルテンがもっともローノイズという不思議な仕様(メーカーによると「小さなゲインでも強力なパンチの効いた、くっきりとしたサウンドを醸し出すため特別な回路に設計」されているらしいのだが)なので、指弾きで軽いクランチorピック弾きでドライブというのが本領を発揮できる使い方になる。

ピック弾きなら単体でもけっこう歪むし、他のペダルで歪ませた音を突っ込んでもそれなりの反応をしてくれる(G1Nのツインに比べるとやや派手な感じだろうか:筆者はG1Nの方が好き)。ローを過剰に入力するとややブーミーになるので、前段にブースターを置く場合、ブースターの機能で下を絞っておくのが無難。

ローゲイン(ゲイン2~4くらい)でのトーン変化(EQフラット時)はいわゆるチューブプリアンプシミュレータ的なもので、単体でも味付けイフェクタとして使える(TO800よりは地味な変化)。ハイゲインにしてクランチさせる場合も含め、後ろにキャビネット(orシミュレータ)があった方が面白く、ミキサー直結よりもアンプに入れる方が筆者好み。PANDORA miniならVINTAGEキャビネットが合うと思う。

RhythmVOXのドライブチャンネルをオーバードライブしたり、クリーンチャンネルに少し味付けする意味ではけっこう合うんじゃないかと自分では思っている(のだが、発注タイミングの都合などで複合テストはやっていなかったりする)。


JF-36 Sweet Baby

JOYOのギター用コンパクト(オーバードライブ)。2012年11月に購入。

特徴と使いどころ

BJFのHoney Bee OD(復刻版がBearFootブランドで出ている)の後継機のSweet Honey Over Drive(ブランドはMAD PROFESSORだが設計したのは同じBjorn Juhlsさん)の廉価版のNew Sweet Honey Over Driveのパチモノらしい(長い)。

Focusというノブがあって(おもに歪み成分の)中音域を強調できるのが特徴。8~9時がナチュラルな響きにできるゾーンで、他に筆者が使っているのは12時前後と全開近く(なぜか知らないが、半端な設定はあまり使う気にならない)。

音色は鋸波系で、鋸部分がわりと深い(OD400とTO800の中間くらい)ためクランチの幅(最大音量と歪み始め音量の差)を広く取れる。ローがあまり削れないため、フロントから使うならブースターで削るか、Focusを上げてLevelを下げるなど対策が必要かもしれない。ドライブチャンネルをブーストするときに使える幅も広い(OD400だと弱め、TO800だと強めのドライブが合うので、やはりその間くらい)。

筆者が気に入ったのはDrive4時(指弾き時)のFocus8時、フロントのダブルコイルからこれを通してキャビネットシミュレータ(PX5Dのツイード12インチ)に直接入れてやるとよく鳴る(Volumeも8時にするとだいたいユニティゲイン)。間にクリーン~クランチのアンプシミュレーター(G1Nのツインやマーシャルクランチなど)を挟んでDriveをやや下げ(12~3時くらいか)、Levelとアンプのゲインを調整してやると、歪みっぱなし系(歪み方が変化するタイプ)のクランチになる。

チューブアンプでも試したところ、ドライブチャンネルの前に噛ますのがいい感じだった。Focusツマミも大いに活躍する。デジタルのシミュレータならアンプモデルを変えればバリエーションはあっという間に出せるが、実機アンプだとこういうペダルを使うのが便利、というコンセプトなのかもしれない。チューブスクリーマーがアンプと一体化するようなイメージなのに対して、機能を追加する独立モジュールといった感じだろうか。

全体として、TO800のような万能ペダルではなくオーバードライブに徹している感じ。直結かDIかクリーンブースターから入れて、アンプのクランチ~ドライブチャンネルに直接出すと本領を発揮しそう。チューブアンプのクリーンチャンネルに入れてプレゼンスをちょっと上げるとか、トランジスタアンプに入れてローを微妙に削ってやるなんてのも楽しそうなので、そのうち試したい。リアピックアップの音をカシャカシャにするのも楽しい。この項はもう少しイジってから書き足す予定。


MIC200

BEHRINGERのアンプ。2011年6月に購入。

機能とか仕様とか操作とか

マニュアルに書いてあるが、アンプ自体はトランジスタアンプ(ソリッドステート)で、イフェクタ部分に真空管(チューブ)が入っている。オーバードライブをかけようとしても「チューブアンプ」のような歪み方はしない(キャラが違うだけで、過大増幅すればソリッドステート流の歪み方はもちろんする)。このシーケンス自体はとくに変わったものではなく、ミドルレンジ以上の製品(たとえばPRESONUSのTUBEPREとか、dbxの376や386など:チューブ増幅段をプリアンプとアウトプットアンプの間に挟んで「ドライブ」ツマミで操作するものが多い)にも採用されている。

いちおうエレキギターを録音したサンプルも掲載しておく。ノーマルボイス(クリスタルクリーン)、ギターボイス、チューブのエレキギターボイス、ギターボイス+過大増幅、チューブのエレキギターボイス+過大増幅、ギターボイス+フルテン、チューブのエレキギターボイス+フルテンの順。MIC200>XENYX1204USB>メインアウト>Fast Track Ultra>Reaperとルーティング。ミキサーでハイパスをかけたのと、デジタルでニコイチとフェードとノーマライズを行った。10分くらい暖気してから、普通増幅はGAIN3時のOUTPUT全開、過大増幅はGAIN全開のOUTPUT12時で録音、すべてフロント(ネック側)ピックアップからの出力。

Fast Track Ultraで直接録音したクリスタルクリーンの音も参考までに(先に鳴るのがフロントピックアップ、後に鳴るのがリアピックアップの音で、ダブルコイルをフルテンで指弾き、デジタルでフェードとノーマライズのみ行った)。なお収録されている「ビリビリしたノイズ」は機器が出したものではなく、筆者がヘタレて弦をビビらせた音である(過大増幅録音を除く)。

インプットはキャノンが2KΩで最大7dbu、フォンが1MΩで最大16dbu(ともにパッド機能で20db上乗せできる)。出力のみキャノンとフォンを同時利用できる。入出力はすべてバランスで直流遮断あり(アンバランス入力対応)。出力は最大26dbu(clipのLEDは多分18dbuで点灯)。上位機種のMIC800と違い、フォン入力がハイインピーダンス仕様である(MIC800のフォン入力は20KΩ)。

入出力がすべて直流遮断というのは面白い特徴で、プラグインパワーをかけようがファンタムをかけようが平気(まあ「DIとしても使える」のがウリなのでファンタムで壊れてもらっては困るのだが)なため、変なところに実験で噛ませる場合にもわりと安心。なお、MIC200自体の電源はAC9V(純正アダプタ付属)なのでコンパクトイフェクタ用の電源は使えないし、電池駆動やファンタム駆動もできない。フォン入力がハイインピーダンス仕様なので、他のアンプなどからラインレベル信号を入れる場合はキャノン入力を使うのが無難だろう(最小ゲインが26dbあるので、普通はパッド機能も使うだろう)。

発熱はチューブが入っているのでそれなり(普通の室内だと、本体のスリット部分が人肌よりちょっと温まるくらいかな:少なくとも筆者の手元の個体は、本体のどの部分も触れないほどの熱さにはならない)。電源スイッチがなく、チューブの寿命問題があるので、使わないときはコンセントを抜いておいた方が無難(チューブ回路だけ別にスイッチをつけてくれれば便利なのに:まあ頻繁な電源オンオフもチューブにダメージを与えるから、しゃあないといえばしゃあないのだが)。電源を繋ぐと少しの間音量メーターが点灯して徐々に消える(真空管の余熱時間を稼いでいる)。付属のACアダプタはけっこう大きい。

心底どうでもいい話ではあるが、ベリさんで「200」という型番はけっこう珍しく、コンパクトイフェクタの一部(UC200、SM200、SE200などなぜか地味めの機種が多い)とABスイッチ(AB200)くらいでしか使われていなかったりする。

アンプとして

名前的にマイクアンプがメインっぽいが、ギターなどにも普通に使える。まあギター用のプリセットやハイインピーダンス入力がついているのだから、当たり前といえば当たり前。

低音域の処理が上手いせいか、筆者の手元にある中では、エレキギター(フォトジェニックのレスポールもどき)のフロント(ネック側)ピックアップを使った場合にもっとも気分よく鳴るアンプだった(後述のイフェクタを使用)。この効果は後段に他のアンプやイフェクタを噛ましてもある程度残るので、パソコンにフロントの音を入れて遊びたいときにも使える。半分ネタで買った機器が、思わぬところで貴重な役割を果たしてくれてラッキーである。

エレクトリック楽器をつなぐなら、GAINは3時までで使うのが無難(マイクなら必要に応じて全開でもいいと思う)。OUTPUTはごく普通に使えて、全閉時の遮断性能も良好。ファンタムは誤操作が怖い位置についているが目くじらを立てるほどのことでもあるまい。ローカット(90Hzでカットオフ)はあって困るようなものではないが、筆者はミキサーで削るので使っていない。パッドと位相反転は普通。

GAINで60db+OUTPUTで10db=合計70dbブーストできるので、名前通りウルトラハイゲイン(前述のとおり最大アウトプットが26dbuもあるが、普通のソースなら余裕で使い切れる:過大入力にならないよう、後段の機器の仕様に注意)。GAINを3時までに限定すればノイズレベルも十分低い(フルテンでも後ろでオーバードライブをかけなければ目くじらを立てるようなノイズレベルではないが、詳しくは前掲の録音サンプルを参照)。

音量メーターは最終出力を示しており、GAINをいっぱいまで上げてエレキギターの音を突っ込んでも、OUTPUTが12時くらいならクリップランプは点灯しない。後述するようにリミッター機能がちょっと頼りないので、OUTPUTを「リミッター機能オフでクリップさせても出力が過大にならないレベル」まで下げておくのが無難かなという気がする。

イフェクタ部分が意外と使える

購入前は「どうせオマケで取って付けただけだろ」と思っていたのだがとんでもない話で、むしろイフェクタ部分がメインといってよい(価格差も大したものではないので、下位機種のMIC100を買うならMIC200が断然オススメ)。サンプルはすでに掲載したが、筆者にとってはけっこう「気分よく弾ける」セッティングになっている。

とくに気に入ったのはWARMモード(イフェクタの真空管回路が有効になる)で、エレキギターもヴォーカルも「アンプを通しただけでそれっぽい音」をかなりいいセンまで実現してくれる(あとは適当なリバーブかディレイをかけてやればかなりリッチな音になる)。エントリーユーザーもターゲットにしたイフェクタ全般のお約束どおり(多分「音が変わらない」とか「効きが悪い」とかいう苦情を恐れて)濃い目の味付けだが、筆者は嫌味には感じなかった。

リミッターの動作はちょっとプアで、だんだんと音量が上がった場合は普通に効くが、急に音量を上げると(短い時間だが)後段に大信号を流す。安全装置としてのリミッターではなくイフェクタとして入っているのだと思った方がよさそう。潰れ方や潰れないときの特性が筆者好みでないためほぼ使っていない。

イフェクタ部分のメニュー構成は上位機種のMIC800と同じだが、本物のチューブなのでツマミで特性を変化させるようなことはできない(その代わり真空管(球)を取り替えることで特性を変えられる:メンドクサイので筆者は寿命まで交換する気ナシ)。また、チューブを使った製品全般にいえることだが、球の寿命や発熱の問題があるので、扱いにはやや気を使う。

コンデンサに電気を溜め込むプリセットがあるのか、切り替え時にノイズが出るものがある。それほど大きなノイズではないが、OUTPUTだけは全閉にしてから切り替えると無難。

一時はメインアンプだった

どうも筆者はフロントピックアップの音が好きらしく、エレキで遊ぶときはこればっかり使っていた。だいたいギターを単品で弾くときはローがガツっと出るフロントが気持ちよいものである(ベースや鍵盤もいて混ぜるなら話は別)。もちろん、ピックアップが拾ったロー成分の大部分はアンプ内蔵イフェクタで落ちてしまうのだが、オイシイ(と筆者が感じる)部分はちゃんと残ってくれる。

本体設定は、チューブのエレキギターボイスでGAIN3時(パッドなし)がお気に入り。直接ミキサーに入れてクリーンで弾くのも楽しいし、PANDORA mini用のプリアンプとしてもいい感じに働いてくれる(サンプル:とってもクリーン、クリーン、クランチ、オーバードライブ、クリーンドライブの順、フロント(ネック側)ピックアップからの出力、チューブのエレキギターボイスをGAIN3時のOUTPUT8~9時で出した)。

ソフトウェアイフェクタでの加工とも相性がよく、FreeAmp3で遊ぶのも楽しい(サンプル:生音は前掲のサンプルの使い回し、FreeAmpの設定はファイル配布のページで公開しているプリセットを勘でちょこっとイジったもの)。ドライブチャンネルだとHALF~BOXとOPENとCRUNCHあたりが合うと思う。

常用するとチューブ特有の扱い(温度が上がるまで安定しなかったり常時通電で放置できなかったり)がちょっとメンドクサイ。音が好みなので一時期メインにしていたが、GDI21とTO800を導入してからサブに戻り、その後あまり使っていない(だってメンドクセーんだもの)。

復活の兆し

エレキギター(とくに指弾き時)用のプリアンプとして優秀なことに気付き、クリーントーンで比較(クリスタルクリーン、TO800、TO800+G1Nクリーンアンプ、TO800+G1N+PANDORA miniキャビネットシミュレータ、TO800+PANDORA mini、GDI21ツイードクリーン、GDI21+TO800、GDI21+TO800+G1N、GDI21+TO800+G1N+PANDORA mini、GDI21+TO800+PANDORA mini、MIC200VALVEモード、MIC200+TO800、MIC200+TO800+G1N、MIC200+TO800+G1N+PANDORA mini、MIC200+TO800+PANDORA miniの順)してみたところ、ゴージャス系のGDI21と比べてナチュラル系の味がある模様。プリアンプとして使う配置(後ろにTO800を噛ましてG1Nのアンプシミュレーションをいろいろ変えた:途中にギターをぶつけた音が入っているので注意)でもそれなりの自己主張をしている(どちらも個別の調整をする前の音色なので、荒っぽいところがあるのは機器のせいではない)。

VOX(KORG)のVT20+のようなパワー段のシミュレートが凝った小型アンプに入れ、ボリュームを上げてキャビネット歪みも足し、ダイナミックマイクをごくオンにしてマイクでも歪ませると面白そうなのだが、環境がないためまだ試していない。マルチで歪ませてチューブアンプのリターンに入れる案もなくはないが、だったらアンプ直でよさそうな気がする。VT20+欲しいけど重いしデカいんだよなぁ。

さらに検討した結果、リスニング用にも使えそうなことに気付いた。パワーアンプの1段前にVALVEモードで噛ませばお手軽チューブサウンドのできあがりである。もちろん、チューブパワーアンプの歪み方とイフェクタ実装チューブの歪み方は同じでないし、入出力のレベルがライン向けでないし、2台用意しないとモノラルでしか出せずかったるいが、少なくともちょっとしたイタズラには使えそう(筆者自身は、楽器の演奏以外でチューブ歪みが欲しいとは思わないのでわざわざ組み込む予定はない)。

またどうやら、G1Nのzcと組み合わせると相乗効果が高いことがわかった。zcの上質で暴れないキャラとMIC200の適度に不安定で押しのあるキャラが、うまいこと噛み合った格好。PX5Dのキャビネットシミュレータも追加するとさらに楽しい(Voxキャビネットフェンダーキャビネット:ごく薄くリバーブをかけてある)。G1NのPeaveyモデリングにつないで、シングルコイルのフロント+センターでパワーコード>センターでリード>センター+リアでコード回しというパターンを、MIC200のモードをVALVE>VOCAL>EGUITARと変えたドライブトーン(前半がキャビネットなし、後半がG1Nのbキャビネット)もけっこう面白い。


CTO-2

Danelectro(Evets)のギター用コンパクト(「TRANSPARENT OVERDRIVE」を名乗っているが「リミッターと2極EQつきのブースター」に近い:Paul CochraneのTimmy Overdriveに似ているという話もあるが、この手のペダルは誰が作っても似たような音にしかならないような気がする)。2012年2月に購入。TM300単体だとクリーンブーストができないので、オマケのオマケとして。PB100でもよかったのは言うまでもないが、いちどCoolCatシリーズのイフェクタを試してみたかったということを小声でバラしておく。

操作と特徴

ツマミは「volume」と「treble」と「bass」と「gain」でトレブルとベースは同軸。ボリュームは9時くらいよりも左に回すと急激に音量が落ちて、回し切るとほぼ無音になる(普通に使う範囲は9時~全開くらいだと思う)。ゲインは最小にしても無音にならない。フットスイッチは機械式のトゥルーバイパス(3PDTスイッチ式:Triple pole, double throwの略=2接点選択が3つ連動するスイッチ)で、当然ながら電源が入っていなくてもバイパスは可能。

電池ケースの中にDIPスイッチがあり、ヘッドルームを削ってクリップの仕方を変えるスイッチ(だと筆者は解釈している:出力アンプの前にリミッターを噛ます感じだろうか)が3種類(1~3がそれぞれ弱中強、複数ONにすると効果の強いものが優先される)と+6dbの出力音量アップスイッチが1つ。

全体にローノイズだが、当然、ゲインやボリュームを上げると本体より前で拾ったノイズが相応に増幅されるし、電源ノイズに比較的敏感なようなのでACアダプタは高性能なものを使いたい(DAN ELECTRODEブランドでDA-4というアダプタが出ているが、筆者がマニュアルを流し読みした限り「recommended」なだけのようだ:マニュアルには「at least 300mA」とあるので、容量にもいちおう注意したい)。

EQ(音色作りに使える一方、フラット近くに設定してもごく微妙には音が変わる:この機種に特有の事情ではなくアナログEQ全般に共通の問題)がついているのは好みの問題だろう。筆者としては、ブースターが「ホントにクリスタルクリーン」である必要なんてないと思うし、プリドライブでEQをイジれるメリットも大きいと思う。

ハコには「Clean boost to glassy crunch」とあるがだいたいその通りの性能。踏みっぱのプリアンプとして初段に置くのが順当だろう。アンプシミュレータなどの後ろに置いてクリッパーにする案もあるが、クリップの仕方が素直(というか単純というか、周波数レンジを狭めないでクリップさせる方式)なので、ローを過剰に入れるとモコモコした音(ブーミーサウンド)になる。

設定

以下、電池ケース内のスイッチは全部オフ、EQは両方12時の前提だが、どちらも好みと都合で適宜使えばよい。音色の操作を積極的に行うのは「gain」ツマミによるクリッパー(というかリミッターというか天井の高いファズというか)効果と後段アンプのオーバードライブだけなので、本体の設定としては、結局「gain」をいくつにするかという単純な選択になる(もっと突き詰めると、クリップさせるかさせないかの2択だったりする)。

ゲイン最小だとEQつきのブースターになり、ボリューム12時くらいがユニティゲイン。普通のエレキギターでDIPスイッチ全オフならゲイン最小でクリップすることはほぼないと思う。ブースターとしての設定を追い込む場合、まず「最大音量でクリッパーが動作しない」ようにゲインの上限を探り(音が歪んでいないことを耳で確認)、それから最大音量で後段の機器がクリップしない(あるいは任意の仕方でクリップする)ボリュームにする。

ゲインを上げるとクリッパー的な動作になり、ゲイン12時だとボリューム9時ちょっとがユニティゲイン。この周辺の設定を多用するなら+6dbスイッチはオフの方が操作しやすいと思う。上記設定からゲインをさらに上げたりDIPスイッチをオンにしたりするとヘッドルームが狭くなってクリッパー的動作が顕著になる(どうも、ゲインツマミは3時くらいより右に回しても天井が下がるだけのようだ)。クリッパースイッチをオンオフしても音色は大きく変わらないし、そもそもクリッパーとしての役割は期待していないので、筆者はヘッドルーム確保のためオフにした。

ようするに、入力に対する相対的なクリップレベルを決めたら、あとはクリップの種類を選んで出力を調整するだけである。後段がチューブアンプの場合はもう少し複雑になるが、選択すべきパラメータは歪みの深さと出力レベルだけなので、そう戸惑うことはないだろう。

使いどころ

筆者としては、やはり初段に置いて踏みっぱのプリアンプ代わりにするのがもっとも使いやすいと思う。機能がシンプルなので操作しやすいし、ノイズレベルが低いので別の歪み系ペダルに過剰入力を突っ込む用途にも使いやすい。反面、いったんミキサーに入れる場合は必要性が薄いし、後段に置くならもっと多機能な機種がたくさんある。

マーチンにプレゼント(決して不用品処理ではない)する際には、ゲイン最小、EQとボリューム12時、スイッチは全部オフの状態で送った。ゲインは最小固定の前提で、どうせユニティゲインより落とすことはないわけだから、+6dbスイッチはオンにしておいた方が操作性がよさそうなのだが、ユニティゲインが12時というのがわかりやすいのと、フルテンにして後ろの機材を壊さないかちょっと不安なので(音量足りなきゃゲイン上げればいいわけだし)。

プレゼントしたセットは都合、レスポールもどき>CTO-2>TM300>MINI3(>QZ99)というシーケンスになり、わりと隙のない構成なんじゃないかと自分では思う。


CO600

BEHRINGERのギター用コンパクト(コーラス)。多分2012年に購入。

とても普通

シングルボイスのコーラスペダルとしてはフル機能。

ほんのり系ならLEVEL12時・RATE9時・HIGH12時・LOW9時・DEPTH3時くらいにしてLEVELとHIGHで調整するとラク(片方を上げたらもう片方を下げ、片方を下げたらもう片方を上げる対称セッティングが便利だが、こだわる必要はもちろんない)。DEPTHは微調整のつもりで使うのがよさそう。上記の設定はポストで使う前提だがクリーントーンならプリでも問題ない。

RATEを12時くらいまで上げるともう少し「コーラスをかけた感じ」が出る。LOWは必要最小限が基本だが、HIGH9時・LOW12時くらいでクリーンにかけるとリードトーンが不思議な音になる。ドライブトーンにポストでかける場合はRATEを3時くらいまで上げても面白い。LEVELをDEPTHよりも低く設定すると無難な音色、LEVELをDEPTHよりも高く(LOWもやや高めに)すると変わった音色を作りやすい。

コーラスペダルとしての役割はまったく問題なくこなせる機種だと思うが、そもそも筆者はコーラストーンをめったに使わないため活躍の機会があまりない(使わなくても欲しいものは欲しい、というのが筆者の姿勢)。ただ、これ1台でけっこういろいろできるので、数を絞って持つにはちょうどよかったかなと思う。


TM300

BEHRINGERのギター用コンパクト(アンプモデラー)。2011年12月に購入。GDI21の出音が筆者好みだったので、見た目に同系統機種っぽいTM300も買ってチェックしてみた。

GDI21とどう違うか

GDI21>TM300の接続で片方バイパスした出音を比べてみたが、まったく同じ音ではないような気がする(というか、後述するようにゲインやノイズレベルが少し変わるので完全に同じ条件にはできない)ものの、だいたい同じ音が出た。

DIからアンプシミュレータまでが機器内部直結で最初から有利ではあるが、筆者の手元ではGDI21の方がややローノイズで、同じセッティングだとGDI21の方が微妙にハイゲインな模様。どちらもゲインを上げるとS/Nが改善するため、TM300のゲインを少し上げてやればだいたい似たような感じになる(ようするに、他のペダルから入力をもらう場合用にゲインを落としてあるだけのように思える)。

初段に使うならGDI21の方がずっと使いやすいわけで、筆者の手元に置いておく理由はとくになく、マーチンにMINI3をあげるついでで旅立った(MINI3はドライブトーンが苦手なのでペダルをオマケにしようと思ったら目についた)。


SF300

BEHRINGERのギター用コンパクト(ファズ)。2013年1月に購入。弦やピックを買うついでに送料無料キャンペーンをやっていて安いものを、と思ったら目についただけなのだが、蓋を開けてみたらものすごいゲテモノだった。

ファズとしては普通

単体のファズペダルを買うのはこれが初めてなので比較対象があるわけではないが、筆者がイメージする「ファズの音」は普通に出た。高音弦単音のいわゆる鈴鳴りもできるし、高音弦ストロークのチリチリコードも鳴らせるし、低音弦を含む和音のベッチャリサウンドも出せる。ただ、内部でゲートでもかかっているのかゲインを上げても激長サステインにはならない。サイン波応答は、FUZZ1だとデューティー比が一定しないいびつな矩形波、FUZZ2だと鋸波を上下反転させてくっつけてパルス歪みを山盛りにしたような波形になる。

ファズとして普通に使えるため筆者に文句はないが、使い方どころはそれなりに限定される。ウェブの評判を見て回るに、ベリさんが大嫌いな人たちがせっせと初心者にプッシュしているような記事も散見されるが、ファズ自体が使いやすいイフェクタではない(もちろん、高性能なペダルであるのは間違いないので、褒める人が多いこと自体は不思議でない)。

ゴムタイなブースター

ゲテモノなのはブースターモードで、LEVELツマミがバイパスされてGAINと2極EQだけになる。GAIN最小で12dbちょっとのブーストがかかり、最大にするとさらに22dbくらい、合計35dbくらいの鬼増幅ができる。最大出力は7.5dbVくらいなので入力が大きいと当然内部で歪むが、サイン波応答は完全な矩形波ではなく平らな部分が傾いた波形(偶数倍音も多少乗っている)になる。

これも(出力レベルがやたら大きいだけで)ファズといえばファズな波形をしているが、7.5dbV(開放端で約2.4V:EMGのアクティブピックアップにEMG-60というウルトラ高出力モデルがあり、その機種で最大ピーク出力3V)というと、歪ませずに受け入れられるコンパクトイフェクタはそう多くない。丈夫なチューブアンプに直接突っ込むか、AB100のような耐入力が大きくマイナス増幅が可能なペダルでいったん受けるか、次段の入力部で歪むに任せるかという、なかなかヤンチャな使い方になる。

EQも変わっており、トレブルは普通のシェルビング(プラマイ12dbくらい)なのだが、ベースはなぜか115Hzくらいを中心にしたピークディップ(プラマイ10dbくらい、半値幅1オクターブくらい)で、低音弦の基音成分だけ動かすような格好になっている。


PO300

BEHRINGERのギター用コンパクト(オーバードライブ)。2012年2月に購入。深い歪みを得られるペダルを持っていなかったので物は試しと導入した。

出音

BOSSのPW-2(Power Driver)のパチモノらしいが、筆者はそんなマイナーな機種のことはまったく知らない。PO300はようするに、荒っぽい潰れ方をするオーバードライブである。中身がどうなっているのかも知らないが、ファズを深くかけてローパスに通したような音が出る(もしそうなら、ファズが深いだけで構成としては普通)。さらに、POWERを上げるとパルス成分が、PHATを上げると(おそらく歪み回路を迂回した)低音成分が追加される。

パワーコードをブリブリにしたり高音弦の単音を潰したりする飛び道具として買ったのだが、単体で使うよりも、GDI21とG1Nで挟んでやった方がよさそうなことに気付いた(筆者の環境だと普段TO800がある位置:こうするとクセが緩和される)。ダブルコイルのフロント(指弾き)、GDI21マーシャルクリーン、PO300、G1Nツイン、PANDORA mini4X12CLS8.0という構成だと、思いのほかさわやかな音が出た(PO300はPHAT3時のPOWERとDRIVE12時)。参考までにPO300をバイパスした音色も。

ぶっちゃけ単品だとあまり使いやすい音色ではないのだが、上記の配置ならパリっとした雰囲気が出る(おそらく、実機アンプでセンドリターンの位置に噛ましても似た感じにはなると思う)。

不遇な理由

まずこのサワヤカでパリっとしたキャラがまずい。筆者はもっと湿気っぽくネットリした音が好きである(ついでにいえば、リハスタのレンタルで使うOD-3の豪快な音もあまり好きではない)。それから、TO800のように他のイフェクタとの組み合わせで何でもできてしまうような器用さはない。どちらかというと、PO300の都合に合わせて他の機器をセッティングする格好になる。

PO300本体のコントロールも、バリエーションを得るために使うというよりは、他の都合に合わせて調整するために使うことが多い。もちろん歪みの深さはドライブツマミである程度変えられるが、音色自体は「積極的に変化させる」というより「受動的に適応させる」感じになりがちだと思う(それが悪いとは思わないが、筆者は飽きっぽいので、もっとグリグリ弄れる機種の方が好き)。

しかしこの硬くサワヤカな出音が面白いのは間違いなく、手放す気にもあまりならない困ったペダルである(運用に工夫が必要なので、機材マニアでない人が相手だとプレゼントにもあまり適さない、という事情もある)。


オマケ(エレキギター用プリアンプの選択)

このページで「プリアンプとしても使える」機種をいくつか紹介したが、実際に使うのはどれがよさそうか、という話に少し触れておく。

この手の機材を選択する基準としては、極端にノイジーだとかゲインが足りないとかいった不都合さえなければ、出音のキャラ(クリーン指向か味付け指向か)、コントロールの段数(マスターボリュームだけなのかゲインとボリュームに分かれているのか)、EQの有無あたりが大きなウェイトを占め、操作性や表示機能などがそれに次ぐ感じだろうか。

上で挙げた機種だと、PB100はクリーン指向でマスターボリューム+EQ、MIC200は味付け指向でゲイン+ボリューム(+レベルメーター)、CTO-2はクリーン指向でゲイン+ボリューム+EQ、SE-BODは味付け指向でゲイン+ボリューム+EQ、AB100はクリーン指向でマスターボリュームだけ、といった分類ができる。

クリーン指向と味付け指向の使い分けは、欲しい音や他の都合によって変わるとしかいえない。たとえばミニチュアアンプとギターの間に入れるような場合は、味付け系の方が便利ではないかと思う。コントロールの段数は、リミッター役を期待するかどうかで需要が変わる。2段コントロールだと「出力の上限」を任意に下げられるため、クリップが生じたときに問題箇所を把握しやすいメリットが、1段コントロールには操作がラク(プリ段のゲインを上げるとダイナミックレンジが狭くなる一方、下げるとS/Nが悪くなるというジレンマと戦わなくて済む)というメリットがある。EQについては何度か触れたが、プリドライブでかけたいかどうかが問題になる。少なくともアナログのものは、センターに設定していても微妙には音が変わるため、必要ないなら最初からついていない方がスッキリする。

これらの事情をペダル操作の必要性と考え合わせれば、そう悩まずに使う機器を選べるのではないだろうか。なお、録音の場合はプリアンプよりも前にDIを噛まして、できればパラでリアンプ用のデータを残しておくのがよさそうに思える(プリアンプでクリップさせてしまっても、DIから取ったデータを戻してやれば済むため、設定を思い切って振れる)。



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