編集など


やめよう集 / トラックダウンまで / 外部イフェクタを使う前に / 細かくイジる場合
/ 心得集 / オーバーシュートに注意 // ループ音源に戻る / もどる
この記事は書きかけです。

サイト構築初期にAudacity関連の記事を分離していたこともあって、ウチは加工関連の情報が探しにくい。わかってはいるのだが再構築となると大変なので、とりあえずリンク主体のページを作ってお茶を濁したい。

よくあるトラブル
マルチコアCPUやマルチプロセッサ環境で複数実行すると動きがおかしくなるプラグインがある。対策として、プラグインの本体(dllファイル)を使用する数だけコピーしてから使う。たとえばFreeAmpなら、fa3_full.dllをコピーしてfa3_full-2.dllとfa3_full-3.dllを作ってそれぞれ読み込んでやればよい。Reaper3.x系なら、プラグイン選択画面で右クリックから「Buggy plugin compatibility mode」を有効にするだけでよい(ファイルコピーは必要ない)。SoFtDrumなどテンポラリデータをファイル名ベースで扱うプラグインの一部は、シングルコア/シングルCPU環境でも複数起動で問題が起きるが、これもファイルコピーで解決する。

よくあるトラブル
プラグインによっては、特定のホストでしか動作しないものがある。筆者の経験上VSTHostとReaperはかなり優秀で、たいていのプラグインがどちらかで動作可能だが、もしどちらでも動かないものがあったらチェイナー系のプラグインを噛ませるかWavosaurなどを試してみよう。また、Reaperからの操作がうまくいかないプラグインはVSTHostで設定を決め、fxpを書き出してから読めばよい(たいていの場合、表示に反映されなくても音にはちゃんと反映される)。サウンドフォントは無印sfzを使うと、標準MIDIファイルはcherryに読ませてから書き出すと、問題なく読めることが多い(多いだけ)。


やめよう集

最初からネガティブな話でアレではあるが、編集ソフトが手軽になった分、やらない方がよいのではないかと思える加工をしている人が増えた。やっている本人にしてみればそれなりに需要があってやっているわけだろうし、ただ止めろといっても止めない人がほとんどだろうから、代案を添えて示したい。

これらを実現するための設定ファイルがこれ。適宜ノーマライズしてからRubyTube、TAL Chorus、TAL Reverb、Modern Exciterの順に使う(プラグインの入手は各自でやって欲しい:2011年8月現在の最新版を使った)。オケが別にあって、ヴォーカルだけ加工する前提。ディエッサーの使い方はローコスト制作の感想コーナーにあるfish filletsシリーズなどのページを参照。

これでも「効きが弱い」と感じる人は、声にパンチがないならRubyTubeのShapeを上げる(12時くらいが限度)、厚みが足りないならTAL ChorusのMixを上げる(12時くらいが限度)、モコモコ感が足りないならTAL ReverbのWetを上げる(目盛り半分くらいが限度)、キレがないようならModern ExciterのHighを上げる(200くらいが限度)、といった感じで調整する(どれかひとつ持ち上げると他も上げたくなるので、自制心を失わないようにするとともに、キツい加工をしたら時間をあけて聴き直してみるとよい:この心理作用や「加工で作業者の耳が狂わされるプロセス」を知るだけでも、試す価値はあると思う)。

上記の「限度」を突破したうえ最初から最後までかけっぱなしにすると、マイケルジャクソンやスージークワトロみたいな(というセンを狙うならもうふた手間くらいは必要だが、イメージ的にはとにかくそんな感じの)ショワショワしたサウンドになる(筆者はマイコーもスージーも好きだし悪いとは思わないが、汎用性には欠ける)。


トラックダウンまで

まず打ち込みした音については手をつけなくてよい(というか、手をつけない方がよい)。なぜかというと、一般的な音源ソフトからは十分に(モノによっては過剰に)加工された音が出てくるから。微調整でもっとよくなるモノもないではないが、微妙に手を入れただけでバランスが崩れるじゃじゃ馬系音源もあるので、せいぜいベースを邪魔する伴奏楽器にハイパスをかける程度にしておこう。

録音した音声についてはAudacity関連のお手軽イフェクトのページなどを参照。面倒なら、加工用のプリセットを適当に探してきて使えばよい(筆者が作成したものも、ローコスト制作のファイル配布のページなどで公開している)。

で、下加工が終わったらさっさと混ぜる。というか、AucacityもReaperも何もしなければ全トラックの音が混ざって出力されるので、単にミュートやソロ再生を解除してやればよい。音量オーバーに注意しつつ、各トラックのPAN(左右バランス)と音量を適当に調整する(真面目にやるなら急がば回れのモノミックスを作ろうのページを参照)。

トラックをまとめる前に1つ小細工がある。トラックをメインの楽器と伴奏に分けてまず伴奏だけトラックダウン(Audacityなら、Shiftキーを押しながらクリックしてトラックを選択>Shiftキーを放してCtrlキーを押しながらMキー、Reaperなら伴奏のトラックをフォルダにまとめる)して「2000Hzを中心に2オクターブ幅で-2db」のイコライザ(EQ)をかける。図は上がAucacityで下がReaper。



さらに、メイン楽器の音量を1db下げ全体(マスター)の音量を1db上げて加工前と聴き比べてみよう。加工前の方がよかった場合はもちろん元に戻すが、試してみて損のない加工である。

メイン楽器と伴奏を混ぜたら、リバーブかアーリーリフレクションを軽くかけて、音量調整(音圧を捻り出したい人はAudacity関連の音圧の稼ぎ方を参照:マキシマイザーを使う人は「最後に1回だけ」という原則をキッチリ守ろう)して保存して終了。


外部イフェクタを使う前に

1人制作ではとくに、加工の基本は「楽器」だということをしっかり覚えておきたい。ここで「楽器」と呼んでいるのは、エレキギターならギターアンプ、ドローバーオルガンならレスリーユニット(またはそのシミュレータ)まで含めた範囲である。

最終的に「楽器だけでやる」かどうかは別にして、この範囲でしっかり音を作れるようにならないと、外部イフェクタを使いこなすのはほとんど不可能に近い。なお、たとえばエレキギターを使って「アンプで音を作る」場合、アンプのツマミ類をどう設定するかはもちろん、ピッキングやミュートのかけ方まで含めて意識しないと話が始まらない。

シンセ(アナログシンセとそのシミュレーター)については急がば回れのシンセ入門を参照。アコースティック楽器についてはマイキングを覚えるのが先。


細かくイジる場合

これも繰り返し述べていることだが、まずモノラルミックスを作ることと各楽器が単品でよく鳴るバランスを探ることから始めるのが結局近道である。

どちらも作業の見通しを立てるのに役立ち、モノミックスを聴き込むことでステレオ効果をどのように活用すべきか見えてくるし、各楽器単品のベストバランスを確認することでなにを削ってなにを残すか明確に意識できる。

普通に考えて、手がかりもなく定位の組み合わせを虱潰しにしたり、ステレオミックスをモニタしながらドラムスを調整>ベースを調整>ギターを調整>他の演奏の変化に合わせてまたドラムスを調整>以下ずっと続くなどとやるのは効率が悪いに決まっているのだが、実際にやってみなければこの手順がいかに重要かはわからないかもしれない。

1つの楽器に複数のイフェクトをかける場合も同様に、生音に近い方から順に積み重ねるように調整すると効率がよい(アッチをイジったらコッチが、コッチをイジったらソッチがという徒労を避けるため:もちろん、いちど積み上げてしまってからの微調整は好きなやり方でやって問題ないが、大枠を決めるところまでは地道にやるのが無難)。


心得集

初心者が音声編集にも手を出そうという場合に気をつけるべき点をいくつか。

練習しよう。わかりきったことを言っていると思うかもしれないが、非常に重要なことである。たとえばイフェクタで「どんな元音に対してどんな設定にするとどんな効果が得られるかよくわかっていない機種」があったなら、元音をいろいろ変えながらパラメータを端から端まで振ってみて出音を確認してみよう。チャンネルイフェクト(バンド全体でなく単品の楽器に使うイフェクト)であれば、単体の効果とバンドサウンドの中での聴こえ方を両方確認してみよう。そういう当たり前のことを繰り返した人と無視した人では、そのうちに決定的な差がつく。他の作業(演奏とか作曲とか)がメインで編集まで練習する余裕がない(または単にかったるい)人は、イフェクタのプリセットを(ヘタにイジらず)そのまま使うのが無難。制作にかけられる手間は有限なので、効率よく配分するのは悪いことではない。

余計なことはしない。これも本当に重要。とくにリバーブは容易に曲をぶち壊すので注意したい。慣れていない人は最後にマスターイフェクト(全部の音にまとめてかけるイフェクト:トータルイフェクトとも)として1回だけ「ルームリバーブ」をかけてやるとよい(ショートディレイも慣れてから挑戦する)。このとき、打ち込み音源はリバーブオフの状態で使うのが望ましい。また高音減衰を適切に設定しないと音が遠くなったり金属的な響きが付加されたりすることがあり、ヴォーカルの場合歌詞が聴き取れなくなることもあるので、しっかり出音を確認しよう。EQは15極も30極もあるものに手を出さず、ロー/ミドル/ハイの3極程度のもの(ソフトウェアでやるなら録音と加工のページで紹介したLFX-1310など、ハードウェアならミキサーなどにオマケでついているもので十分)をまず使いこなしたい。ただし、細かい編集にも手を出そうと思ったら必須になるので、最初からパラメトリックEQ(数値で操作するもの)で練習するという案は悪くない。

音色変化のイフェクトはメリハリをつける。フィジコンでオートメーションだMIDIラーンでCC制御だと面倒なことを言い出す必要はまったくないが、たとえばAメロ>Bメロ>ブリッジ>サビくらいの分け方で曲を区切って、パーツごとになにをどのくらいの強さでかけるのかは検討した方がよい(ただし、リバーブなどは曲を通して同じ設定でかけることが多いし、同じ強さでベタがけというのも無条件で候補から外れるわけではない)。とくにヴォーカルへの変調系イフェクト(コーラスやフェイザーなど)は、薄くするところと厚く入れるところにメリハリをつけた方がよい(ズブズブのかけっぱがハマることもあるのだが、上級者向け)。

意図を持ってやる。それをやることでどういう作用(リスナーの反応)を期待するのか、目的と関係ないことをやっていないか、期待した作用は本当に得られているか、副作用は許容範囲内か、他に同様の作用を得る手段はないか、といったことを検討しながら出音を聴き込むとよい。それから、重要なのは「作業が上手にできたか」ではなく「それで曲がどれだけよくなったか」だということを肝に銘じておこう。

結局、練習しろ、余計なことはするな、出音をよく聴けという当たり前のことしか言っていなかったりもするのだが、きちんと意識してやるのとそうでないのとでは本当に大違いなので、よく覚えておいて欲しい。


オーバーシュートに注意

mp3(に限らずOgg VorbisやAACなど)に変換する場合と、サンプルレートを変換する(強制的にリサンプリングを行うサウンドカードやプロセッサもあるので、不特定多数に配布するなら変換がかかるものと思った方がよい)場合は、オーバーシュートに注意。

オーバーシュートがどういう原理で起きるのかは知らなくてよいので、フォーマットを変換するとピーク音量が上がることがあるということだけ覚えておこう(当然下がることもありアンダーシュートと呼ばれるのだが、無害なので無視してよい)。

たとえばこれは-3dbのホワイトノイズ(上:16bitのwav)をlameでmp3(下:CBR160kbpsモノラル)に変換したものだが、

赤丸の2箇所でドンヅキ(クリップ)を起こしている。

実際にはこんなに激しいオーバーシュートが起きることはほとんどない(いわゆるキラーソースで、ホワイトノイズはオーバーシュートが極端に強く出る:当然ながらシンセなどを使ってホワイトノイズ系の音を大きな音量で鳴らしている場合には注意が必要)し、ぶっちゃけ少しくらいならクリップしても大きな影響はないので神経質になる必要はないが、マキシマイザーをかけた音声などは聴き苦しくなることがあるので3dbくらい余裕を持たせておこう(最終的には耳で確認することになるが、クリップが嫌いな人は多めに余裕をとっておけばよい)。

lameを使う場合、オーバーシュートを見越して圧縮前に音量を下げる処理がデフォルトで入っていたような気がする(もし筆者の記憶が正しければ、上図はその余裕を使い切ってさらに大きく動いたということ)。

バスブーストのような機能についても、アナログ段に落ちてからの加工(ステレオコンポやラジカセなどはたいていこの方式)なら音が割れる心配はあまりしなくてよいが、デジタル段(再生ソフトやサウンドドライバなど)で加工が行われる場合は面倒なことになる。



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