digitalfishphonesのfish filletsシリーズなどについて。
重要な情報:
この記事は筆者が入手したバージョン(2004年の開発休止時点での最新版各種)に関するもので、その後のバージョンアップや仕様変更に追従していない、あるいは実行環境の違いを考慮していない記述があります。最悪のケースとしてたとえば、筆者が誤った設定で使用したソフトウェアを(そうと知らずに)「粗悪品」と評している可能性もある、ということに注意してください。
2011年7月現在、開発元のdigitalfishphones.comにて配布されている(MacOS9版もこちら)。
これはコンプ全般にいえるが、エンベロープ操作やオーバードライブ的な動作を目的とせず、特殊なゲインカーブの機種を使うのでなければ、閾値(スレッショルド)を「意図的な最小音よりも下」にするのはナンセンスである(詳しくは急がば回れのイフェクタを知ろうのページを参照)。
コンプは「閾値よりも大きい音を小さくする」もので、後からアンプ(増幅)をかけることで結局「閾値よりも小さい音を大きくする」効果になるのだから、閾値よりも下にノイズしか入っていないならかけない方がよい。ということで「意図的な最小音またはシグナルとして扱いたい最小音量でコンプがギリギリ反応しない」設定が最大限のラインになる。
リアルタイムで使うなら、
こんな感じの設定(stereoは必要に応じてオンでもオフでもよい)にしてやって、「意図的に入力する最小音」を入れながら、compressionのツマミを「ランプがつかなくなるギリギリまで」下げ、最大設定がどこにあるのか確認することになる。それから想定する最大音を入れてやって、もしコンプの効きがフラつくようならlow cutをオンにする。
あとは必要に応じてcompressionをさらに下げたり、好みでsaturationやairを入れたり、反応がワザとらしく感じるときにresponseをslow側にしてみたりといった調整でよいだろう。outputは最小に固定して、後段にフェーダープラグイン(FreeGなど)を入れた方がラクだと思う。
意図的に入力する最小音が決まっていない、というか、音の消え際が問題になる場合は、何度も耳で聴いて判断するしかない。いったん録音して、Audacityのようなノンリニア専用環境で(パラメータを変えながら波形を目でも確認して)設定を検討した方がラクだと思う。
今度はエキスパンダー(ゲート)。入力にバンドパスフィルタがかかっているので、まずそれを設定しなければならない。listenボタンをオンにした状態で入力予定の音声を入れ、detect freqを適当に回して「いちばん大きく聴こえる」あたりに設定する(ヴォーカルなら1.5kくらいでよい)。設定が終わったら忘れずにlistenボタンをオフにしておこう。
エキスパンダーでは閾値をバックグラウンドノイズ(録音状態で何も音を出さないときにも出てくるノイズ)より低くしても意味がないので、まずそのラインを探る。とりあえずこんな設定(やはり、stereoは必要に応じてオンでもオフでもよい)にしてみよう。
図では点灯していないが、expansionのランプがすべて点灯して音が出なくなったはずである。このまま「バックグラウンドノイズのみ」を入力しつつsenseを左に回していって、一番右のランプ(「gate」の文字のすぐ上)が点滅するところ(softの右のランプが微妙に点滅しているはず)よりほんの少し右で止める。一番右のランプは、多少なら点滅していても構わないと思う。
あとはexpansionを適当に下げ(右いっぱいのゲート動作で使うことももちろんあるが、上記のsense設定でランプが5つ点灯するくらいだと自然に効く)、releaseはノイズの消え際がわざとらしくならない範囲で、attackはエキスパンダーが効いた状態から音を入れて立ち上がりが遅くならない範囲で増減してやる。softボタンは常にオンでよい気がする。
ディエッサー。FLOORFISHのときと同様まずはlistenボタンをオンにして、耳障りな高音を実際に入力、はっきり聴こえるあたりにtuneを合わせ、listenボタンをオフにする。
とりあえずの設定はこんな感じ(やはり、stereoは必要に応じてオンでもオフでもよい)で、
ここからsenseを左に回して「ディエッサーをかけたくない音で反応しないギリギリ」まで持っていく。場合によっては「ディエッサーをかけたくない音でわずかに反応」くらいでもよいかもしれない。あとは「ディエッサーをかけたい音」を入れながらdepthを調整すればOK。強い高音が持続するソースでアタック部分だけ残す場合(シンバルの音色操作とか)を除き、softボタンは常にオフでよいだろうと思う。
便利なプラグインではあるが、動作としては超音波発生器なので、ルーティングミスなどでフィードバックができると危険である。アナログ録音したソースに使っても意味はないし、意味が分かる人以外は手を触れないでおこう。