コードなんぞ演奏のたびに変えても差し支えないもの(といったらリズムもメロディもそうだが)なのでムキになる必要はまったくないのだが、なぜか需要が多いようなので少し紹介する。Dominoの設定と操作のページには一通り目を通してあり、筆者が作ったコード入力支援用設定ファイル(以下の図は2009年12月5日バージョンのもの)もインストールしてある前提で話を進める。
Dominoを使った作業になるが、手元にギターがある人も鍵盤系の楽器(ピアノロール含む)を基準にしたやり方を経験してみて損はないと思う。以下では何も考えずピアノの音色を使っているが、コード伴奏楽器としてのピアノにはけっこうクセがあるので、他の音色も試してみるとよいだろう。MSGSだと筆者は、6番のエレピ2で伴奏+5番のエレピ1でメロディとか、17番のドローバーオルガンで伴奏+30番のオーバードライブギターでメロディといった組み合わせを使うことが多い。
このページにある音楽理論(っぽい説明)はその場しのぎだけを目的とした非常に不正確なものなので、鵜呑みにしないよう注意して欲しい。
まずは音の呼び方。
このページでは図のように、ドレミではなくCDEで表記する。黒い鍵盤(略して黒鍵)について、Dominoでは「#」で表示されるが、ちょっとした都合があるので全部「b」に読み替えて欲しい(「D#」ではなく「Eb」とか、「A#」ではなく「Bb」とか:まあ、このページでは違いを意識すべき場面がほとんど出てこないので気にしなくてもいいといえば気にしなくていい)。
また上図には同じアルファベットが複数回出てきているが、同じパターンが上下にずっと繰り返されている。この繰り返し1回分を「1オクターブ」と呼び、たとえばCから次のCまでとか、Aから次のAまでなど、同じアルファベットが次に出てくるまでの間隔(半音12個分)に相当する。基本的に、オクターブが上下しただけの音(たとえば図で「左から3番目のC」と「右から3番目のC」)は「同じ音」として扱う。
さてDominoを起動してコード入力支援からコード一覧を選ぼう。
大量の設定があるが、このページで使うのは下図の部分で、
最初に使うのは赤枠のどちらか片方だけ(他は後で使う)。明るい響きにしたい人は「メジャー」を、暗い響きにしたい人は「マイナー」を選ぼう(決められない人はとりあえずメジャーで)。
メジャーorマイナーを選んだら基準になる音高(全体的な音の高さ)を決める。C~Bまでのどれでもいいのだが、とくにアイディアがない人はCがよい(ギターが手元にある人はGでもOKだし、マイナーを選んだ人はAにしてもいい)。この基準の音を「ルート」と呼ぶので覚えておこう。メジャーorマイナーと基準の音を合わせて「キー」と呼び、たとえば「キーはCメジャー」のような言い方をする(あとでちょっと矛盾する説明も出てくるがあまり気にしないで欲しい)。以下、Cメジャーを中心に、Cマイナーも交えて紹介する
キーが決まったらDominoのスナップ基準を8分音符(3連符を使う人は3連4分音符)くらいに、デフォルトゲートを1920に設定し、横方向の縮小ボタンを押して表示を変更しておこう。
大雑把にやるときはこの方がやりやすい。
設定が終わったら、ピアノロールで「ルート音の高さ」をクリックして音符を打ち込んでみよう。どの音もオクターブ違いでたくさんあるが、C3~C4周辺くらいの高さが無難。
こんな感じでコード(図ではCのコード)が入力され、再生してちゃんと音が出ることと演奏モニタの表示が意図どおりになっていることを確認したら、一度音符を消してから実際の作業に入る。
コードワークの基本はスリーコードである。スリーコードというのは、ルート音のコード(トニック)、ルートから半音5つ上の音のコード(サブドミナント)、ルートから半音7つ上の音のコード(ドミナント)の3つのこと。括弧で書いたのがコードの別名なのだが、これはできる限り覚えて欲しい。たとえばルートがCの場合、下図の3箇所になる。
結局、キーがCメジャーならCとFとG、GメジャーならGとCとD、CマイナーならCmとFmとGm、AマイナーならAmとDmとEmなど、3種類のコードを使うことになる。これを「スリーコード」と呼び、曲の中心として機能する(曲作りのページで「メインのコード」と呼んでいたもの)。
トニックのコードを使うと落ち着いて安定した感じ、ドミナントのコードを使うと緊張して不安定な感じ、サブドミナントのコードを使うと中間的などっちつかずの感じが出ることになっているので覚えておこう。トニックで安定していたのがサブドミナントでユラっときて、ドミナントでグラグラっとなってトニックでまた安定、というのが古典的なパターン。
細かい話はさておき、メロディができている人はメロディに合わせて、できていない人は適当に、スリーコードを並べていく。ついでにドラムトラックも適当に埋めておく(例によって、ローコスト制作のファイル配布ページで筆者が配布しているものなど、出来合いパターンを切り貼りするのがラク)。
スリーコードだけでもたいていのメロディには対応できるはずだが、もしかすると「3つどれも合わない」と感じることがあるかもしれない。多くの場合それは伴奏の調整が不十分だからで、コード自体に問題があるとは限らない(鍵盤の面倒なところはここ)。オクターブの上げ下げや音の省略やベロシティの加減をやってやればいいのだが、その前に予定している作業があるのでとりあえず放置して、ムリヤリにでも3つだけでなんとか作業を進めよう。
さて、とりあえずこんなコード回し(C>C>F>C>C>F>F>Gの繰り返し)ができたとしよう(メロディは次のページでまとめて作る)。もしこの流れで満足したなら作業はおしまいで、余計なことをする必要はまったくない・・・のだが、それだと記事にならないのでとりあえずコードを変化させてみよう。
まずは「位置を変えずにコードの種類だけ変化させる」という方法を試すといい(一度音符を消してからコード入力支援ツールの設定を変えて、同じ位置にあらためて打ち込む)。メジャーコードならメジャーセブンかメジャーシックスかドミナントセブンに、マイナーコードならマイナーセブンかドミナントセブンかメジャーにする案が有力(それ以外の変化でも別に問題はない)。どの音もムキになって動かす必要はないので、もし「もっとハマる音」があれば、という気持ちでやって欲しい(結局手を入れずスリーコードのまま、という結果でもまったく問題ない)。
コードの種類選びはフィーリング(=耳)で適当にやって構わないが、同じコードが連続している場合には「後のコード」をイジった方がハマることが多い(多いだけ)。たとえばこんな風に、
C>C>F・・・をC>CM7>Fと変化させてみた(Dominoの表示では「CM7」ではなく「CMAJ7」になるが、どちらも「Major」を省略して書いているだけなので同じ意味)。
変化させた後に「雰囲気はイメージに近くなったがまだ遠い」とか「音がごちゃごちゃしてうるさい」などと感じた場合は、音符が4つあるうちの「一番下か下から3番目」を消してしまおう。
どちらを消すかはフィーリングで決めていい。
今回CM7の一番下を消したところ、コードネームがEm(これもDominoの表示では「m」でなく「MIN」だが、どちらも「minor」を省略して書いているだけなので同じ意味)になった。Dominoの演奏モニタでコード名がつかない(表示されなくなる)場合もあるが、元のコードから変わっていないと考えて問題ない。もし表示が「5」になる場合は、一度消して後述のパワーコードを使った方が早いと思う(5はパワーコードの意味)。
もしコードの表示が変わった場合は、コード名の音が一番下になるようにオクターブをさげておく(オクターブの上げ下げは後でまたやるが、ベースをつけるときのためにとりあえずこうする)。
上図はFをF6に変えて下から3番目の音を消し表示がDmになったところ(Dの音が一番下になるように動かす)。別に音符をドラッグして手で動かしてもいいが、動かす先を間違えないように注意。コード名が変わった後のコードも種類をいろいろ検討しておこう(上の例ならDm7やD7などを試す)。
ちょっと作業が鈍臭い感じではあるが、やっているうちに、どのコードをどういう風に変化させるとどんな音になるのか勘でわかるようになるので心配無用。慣れれば、一度音符を消してからコードの種類を変えたりせずに「この音符を動かせばマイナーがメジャーになる」とか「ここに音符を足せばメジャーシックスになる」といったことがわかるようになるし、最初から変化後のコードを打ち込んで労力を減らすこともできる。
前の項で紹介した変化を一通り試したがまだ納得がいかない、という場合は、ちょっと変わった方法=パワーコードとサスフォーも試してみる。
この2つは便利だがややクセが強いので、慣れないうちはあまり頼り過ぎない方が無難。
コードとコードのつながりを変えたい場合は、小節を2つ(ちょうど半分でなくてもよい)に分けてつなぎのコードを入れてみる。たとえばDm>Fという展開に違和感があるなら、Dm>X>FまたはDm>X>F(「>」は小節の途中でコードを変えるという意味)を試してみよう(Dm>X>FだとFの存在感が弱まるので、まずDm>X>Fを試した方がいいかも)。もちろん最初から小節が3つあれば、たとえば元がDm>F>FとかDm>Dm>Fという展開なら、わざわざ小節の途中で分ける必要はない(が、分けたければ自由に分けてよい)。
Xに入れるコードは適当に選べばいいのだが、有力候補として、基本のスリーコード(とくにトニックとドミナント)、前後どちらかのコードの半音上下にあるコード、前のコードから半音7つ下(または5つ上)のコード、後のコードから半音7つ上(または5つ下)のコードが挙げられる。上の例なら、Dm>G>FとかDm>Em>FとかDm>C>Fとか、そのあたりが有望だということ。ちょっと不正確な表現だが、メジャーキーではVIm(やVIm7やI6)もかなり万能に使えて、前後が何であっても「とりあえず」で試してみるとよい(上の例ならDm>Am>Fを弾いてみる)。
ある場面がトニックで終わって次の場面がまたトニックで始まるときにも同じ方法が使える。たとえば前の項の例で「C>C>F>C>C>F>F>G」を「C>C>F>C」の前半と「C>F>F>G」の後半に分けた場合「C>C>F>C>G>>C>F>F>G」(「>>」は場面が変わった意味)としてやると「ここから別の場面です」という印象が強くなる。もちろん、地味に進めたければあえて手を入れなくてよい。
変わった音が欲しい場合、コードの音を全部まとめて半音6つ上下に平行移動することができる(どのコードでもできるが、ドミナントセブンやマイナーからメジャーに変更したコードとの相性がとくによい:直前を1小節くらい巻き込んでもOK)。
トランスポーズ機能ももちろん使えるが、筆者は一括変更でやることが多い。
上に6つ移動しても下に6つ移動してもコードとしては同じ(というか1オクターブ違い)になるので、高すぎる音やキーのルートより低い音が出てこないように注意しつつ適当に選ぼう。
作業の結果、たとえばこんなコード回し(面倒なので、上記で紹介した技法を全部盛りにはしていない)になったとする。この辺までできたらベースを付けるのだが、その前に、できあがったコード回しを(Dominoの演奏モニタでコード名が表示されなくなったものも含めて)その辺の紙にでもテキストファイルにでもいいからメモしておこう。たとえばこんな感じ。曲名や日付も入れておくと後々便利だが、自分がわかる書き方ならなんでもOK(各自で適当に工夫しよう:筆者の知り合いにはエクセルを使って1マス=1小節でメモっている人もいる)。また、この時点での伴奏はメロディをイジるときに使うので消さないでおく。
ベースの付け方は非常に簡単で、Dominoのオニオンスキンという機能を使う。たとえばコード伴奏をトラック1に打ち込んであって、ベースをトラック2に追加する場合、
トラック2でこんな感じに設定すると、
ベースの打ち込み画面からコード伴奏の音符が透けて見える。
ので、コードの一番低い音をなぞるように音符を置いていって、
最後にまとめて1オクターブさげてやればベースになる。小節の途中でコードチェンジしている場合には、片方のベースをずっと鳴らしても、途中でベースを弾きなおしてもよい(筆者はコード伴奏とずれたタイミングで弾き直すのが好き)。
なお、ベースのイジり方がよくわからない人は上記の打ち込み以外手をつけないようにしよう。まずいイジり方をしたベースよりはシンプルにベタ打ちしたベースの方が10倍マシだし、ベースがデタラメだと他ではフォローのしようがない(生録音で単純に「演奏が下手」な場合は、練習してくれとしか言いようがない)。
ベースが付くとコード伴奏を自由に動かせるようになるので、伴奏のトラックに戻ろう。音が低いところはオクターブ上げ、高いところはオクターブ下げで調整してやる。詳しくは急がば回れの編曲知識補充編に書いたが、だいたいC3~G4くらいの音域を使って、前のコードと同じ音や半音違いの音ができるだけ離れないように音を動かしてやればいい。
同じコードを違うオクターブで使う個所があっても構わない。
オクターブの上げ下げの結果、もし半音間隔で音符が隣り合っていたら、上にある音符を消してもよい。
もちろん、耳障りでないなら放置してもいいし、下の音符を消したければ消しても問題はない。片方を1オクターブ上げ下げする解決法でもOK。
音を薄くしたい個所があれば、ベースとコード伴奏で同じ音が出ているところ(やはりオニオンスキンを使うと便利)をベースだけにしてやろう。
反対に音を厚くしたい場合はオクターブ違いでガンガン音を重ねてやればいいのだが、手でやるよりは、コード入力支援ツールの設定に用意した「厚い伴奏」のプリセットを使った方が早いと思う。
筆者が一通り作業したところこんなコード回しになった。あとは、全体のゲートタイムを思い切り短くしてから
ギター打ち込みのページでやっているように別トラックにコピーしてからちょっとズラして貼り付けて、holdなりレガートなりで音をつないでやればいい(もちろん休符を入れてもOK)。小節の途中でコードチェンジしている部分はコピーするとかえって面倒なので、別に作業した方がいいかも。
手元で作業したところこんな感じに、さらにドラムスを足してベースをちょっとイジったところこんな感じになった。説明を忘れていたが、一番最後が「終わった感じ」にならない場合はトニックを1小節足してやるとよい。
上記ではコードから先にイジったが、ベースから先にやることも可能で、筆者はこっちの方が好きである。
まずスリーコードで回すところまでは同じで、その後すぐにベースをつけてしまう。そのときこんな風に
ベースも同じトラックに打ち込んでしまう。あとで編集するときに便利なので、ベースだけベロシティを変えておくとよいだろう(たとえば、コード伴奏をベロシティ100で打ち込んだとしたら、ベースは101か99にしておく)。
で、セブンやシックスをつける変化をやったらベースを動かす。動かす先は、コードの音の1オクターブ下(下から3番目の音の下に持っていくのはあまりやらないが、ダメなわけではない)。
上図はCをC6に変えてベースを一番上の音の1オクターブ下に持っていった場合で、演奏させてみると、ちゃんとコードがAmに変わっている。
前にやったときと同様に、一番下の音と下から3番目の音(ベースは数えない)、ベースとオクターブが違うだけの音は消して構わない。また、6や7に変化させていないコードの下ではベースを動かしにくい(やってダメなわけではないが)ので、先にセブンやシックスへの変化ができないか試してみよう(全部の個所で音を動かす必要はないので、最初のスリーコードのままになる部分があってももちろんよい)。
一通りイジったらベースとコード伴奏を分離する(両方ピアノでやる場合などは一緒にしておいても分けておいても構わない)。演奏部分を選択して選択範囲の絞込みから、
ベロシティの指定でベースだけ選択して
あとは切り抜いて適当なトラックに貼り付ければOK。追記:範囲選択の絞込みに「和音の一番低い音のみ」という機能が追加されたので、ベロシティによる区別は必要なくなった。
なお、上記ではベースとコードが違うものであるかのように説明しているが、ベースもコードの一部には変わりない(だからこそ「上にあるオクターブ違いの音を消す」という処理ができる)。ただ、ベースはベース専用の楽器(というかエレクトリックベースギター)で演奏することが圧倒的に多いので、実用上は分けた方が便利である(そして、トラックを分けたことで見通しが悪くならないよう、オニオンスキンなどの機能を使う)。
大筋の流れを先に決めてから細部を考える方法。大筋の流れも自前で決めるのが本来だろうが、まずは細部だけ埋められるようになろう。
使い勝手がよいパターンとして、4小節=1ブロックで3ブロック構成になる例を紹介しておく(急がば回れの作曲基礎完成編で紹介したものを表に直しただけ)。
第1小節 | 第2小節 | 第3小節 | 第4小節 | 第5小節 | 第6小節 | 第7小節 | 第8小節 | 第9小節 | 第10小節 | 第11小節 | 第12小節 | |
機能 | T | X | X | SD以外 | SD | X | X | D | T | X | X | X |
度 | IorVIm | X | X | IVorIIm以外 | IVorIIm | X | X | VorV7 | IorVIm | X | X | X |
C | CorAm | X | X | ForDm以外 | ForDm | X | X | GorG7 | CorAm | X | X | X |
G | GorEm | X | X | CorAm以外 | CorAm | X | X | DorD7 | GorEm | X | X | X |
完成したら、各ブロックを2回繰り返す形でも演奏してみよう。たとえば、
C>Am>F>G>>Dm>F>C>G>>C>G>F>G (「>>」はパートの区切りを示す:以下同様)(キーをCからGに変更したエレキギターでの演奏)
という形にしたら、
C>Am>F>G>C>Am>F>G>>Dm>F>C>G>Dm>F>C>G>>C>G>F>G>C>G>F>G>C(演奏)
も試してみる。筆者がやってみたところ太字の部分が気に入らなかったので、
C>Am>F>G>C>Am>F>G>>Dm>F>C>C>Dm>F>C>G>>C>G>F>G>C>G>F>C(演奏)
という風に直したが、こういう修正をやるのも練習になる。
ブロック単位ではなく小節単位で繰り返すのも有用で、両方織り交ぜてももちろんよい。たとえば上記のパターンだと、
C>C>Am>Am>F>F>G>G>>Dm>F>C>C>Dm>F>C>G>>C>C>G>G>F>F>C>G>C>C>G>G>F>F>G>G(演奏)
のように緩急をつけて、結果的に
C>Am>F>G>>Dm>F>C>Dm>F>C>G>>C>G>F>C>G>C>G>F>G (「>」は小節の途中でコードが変わることを示す)
というパターンを得ることもできる。
やっていることは「4か8小節くらいのブロックを作って、ブロックの最初(とたまに最後)だけ先に決めて、全部埋めた後繰り返したり変化させたり」というだけなので、慣れたら最初から自分でやってみよう。もちろん、ここまでに紹介した「変化をつけるための方法」をどんどん使ってよい(し、使わなくてもよい)。またこれをもう少し応用すると、ベースのページで紹介した手軽なウォーキングベースを作る作業も(まったく同じことをやるわけではないが)似たような感覚でできる。
ここまで紹介した作業が自由にできるようになったら、音楽理論的な事柄もごく普通のこととして理解できるはずである。
たとえば、CからEmとかFからDmといった具合にコードを変化させている部分は「代理コード」という理論で説明できる。それだけでなく、Cの代理にAmとEm、Fの代理にDmとAm、Gの代理にBm(-5)とEmといったようにダブって代理をするコード(EmはCの代理にもGの代理にもなれるし、AmはCの代理にもFの代理にもなれる)がある経緯などは、理論だけ勉強するよりもかえってわかりやすいと思う。
メジャーとマイナーの入れ替えはモーダルインターチェンジやセカンダリードミナントで説明できる(CマイナーでEbがEbmになるのだけはちょっと事情が違い、平行調同主調借用で解釈すると自然)し、半音6つの上げ下げは裏コードを使っているのと同じである。コード分割もやったし、オンコードの使い方もすでになんとなく理解できていると思う。
もっと詳しく知りたい人は急がば回れの音楽制作を参照のこと。
このページではスリーコードを基本にした比較的「堅実な」コード回しを紹介した。堅実なやり方がキッチリできていれば奇抜な手法も活きる(奇抜だらけだと普通は破綻する)ので、変なことをやってみたい個所があったら原則などは無視して思い通りに試してみよう。
もちろん、コードを回しただけで曲ができるわけではないので、この後メロディやらリズムやらを検討しなければならないことを忘れないで欲しい。
なお、他のページでも繰り返している通り「正確でご都合主義的でないイメージ」を持つこと自体かなり難易度が高いため、イメージ通りの音を出せるまでにはそれなりの積み重ねが必要である。
メロディに進む // 一足飛びの目次に戻る / 音楽メモの目次にもどる