リスニング用


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リスニング用のヘッドフォン・イヤフォン・スピーカなどについて。筆者が作成したreaEQ用のプリセットはリスニング用プリセット詰め合わせとしてまとめておいた

重要な情報
この記事は筆者がに購入した個体に関するもので、その後のバージョンアップや仕様変更に追従していない、あるいは個体差や環境の違いを考慮していない記述があります。最悪のケースとしてたとえば、筆者が自分の不注意で壊した機材を(そうと知らずに)「粗悪品」と評している可能性もある、ということに注意してください。

一応示しておきたい情報
出音のバランスやEQの設定などは、個体の状態、耳や頭との相性、再生する音源などに大きく左右されます。以下に示した例がどんな場合にも有効だとは限りません。


ヘッドフォン

開放好きの割に持っている機種は密閉が多いような気がする。

一応示しておきたい情報
筆者は眼鏡を常用しており、ヘッドフォンを使用する際にも外すことはまずありません。採寸はしていませんが頭は大きい方です。

HD 558

SENNHEISERの開放式。K240MK2購入後にリスニング用ヘッドフォンも欲しくなり、2011年5月に買ってしまったもの(Fast Track Ultraと同時購入)。公式サイトの仕様情報(2013年7月現在)を転載しておく。

Wearing style:Headband
Color:titan
Impedance:50 Ω
Frequency response:15 - 28000 Hz
Sound pressure level (SPL):112 dB
THD, total harmonic distortion:< 0.2 % (1 kHz/100 dB SPL)
Ear coupling:Circumaural
Jack plug:6.3 mm
Cable length:3 m OFC single -sided, exchangeable
Transducer principle:Dynamic, open
Weight:260 g
交換用ケーブルは542192、交換用イヤーパッドは093573。感度表記は112 dB (1kHz / 1Vrms)の意で、換算すると112db@20mW=99dB/mW。

開放型でアラウンドイヤーの布パッド、余計な面白ギミックなし、元気な音よりも落ち着いた音、できれば着脱式ケーブル(多分活用する機会はないと思うが、1万円以上するヘッドフォンのケーブルが断線しても取り替えられないというのは気分的にちょっとアレ)、という条件で探したらこれになった。快適性についても出音についても満足しているが、購入費用はそれなりにかかった(サウンドハウスなら13700円だったのだが、2カ月待ちと聞いてアマゾンに15874円払ってしまった)。使い込んだ結果筆者の好みにかなりマッチしているようで、もしHD558が壊れてももう一度同じ機種でまったく不満はない(1万円以上のリスニング用で他に興味があるのはHD650くらいで、使い方が荒っぽいこともあり価格的にちょっと躊躇われる)。

性能とか印象とか

リスニング用としての使い勝手は申し分ない。バランス重視というかトガったところがないというか、すべての要素がやや控えめの中庸にセッティングされているように感じる。オープンエアーの大型リスニング用ヘッドフォンとしての性能を、ごく平凡かつハイレベルに引き出している印象。

たとえばTotoのGeorgy Porgy(バンド名を冠したファーストアルバムの3曲目)という曲などは、K240mk2で聴くと鮮明な情報が洪水のように押し寄せて、体調が悪いと1曲で眩暈や吐き気に襲われることもある(信じる信じないは読む人の自由だがまったく誇張でない)いっぽう、HD558では適度に紛れそこまでの刺激には晒されない。かといって出音が不正確なのかというと、スタジオモニタであるK240mk2と比べればたしかに曖昧な部分はあるのだが、各パートが何をやっているのか意識すれば聴き取れる程度には正確に鳴ってくれる。

出音は、全体に厚めのロー+オープンエアーの開放感という、ゼンハイザーのイメージ通りのキャラ。ローを絞るなら125Hz中心2oct幅で3db(ローエンドをカットするなら1.5db)くらいだが、ここを絞るとハイを軽く落としたくなるかもしれない(14KHzあたりをやや狭く落とすと落ち着きが出るが、ヘッドフォンのキャラも引っ込んでしまうため、12KHzを1.5oct幅くらいで削った方がよいと思う)。いづれにしても、素のままでけっこう聴きやすい音が出るので、ムキになって特徴を消さないようにしたい。

快適性はとくに優秀で、何時間使っても耳や頭が痛くなることはない(筆者は)。聴き疲れについては、ハイハットのハーフオープンやサックスのベンドなどのトガったところがある程度丸くなるいっぽう、加工による高域の混雑はそれほど紛れないし(鋭さを感じる音よりも上の、シャラっとかクシャっとする周波数に強調ポイントがある模様)、キツく加工されたバスドラムなどは耳に響く(低域の音量が大きく応答もそこそこ速いために低音疲れする:上記のロー絞りでかなり改善する)。布イヤーパッドとオープンエアー構造のおかげで、暑い時期にもそれほど蒸れない。2022年の引越しの際に処分した(音はまだ元気だがイヤーパッドが完全に死んでおり、半端に金をかけるならいっそ買い換えようと思ってのことだが、後釜はまだ買っていない)。


SE-M390

Pioneerの密閉式。2009年の初めごろに長時間使える密閉機種として購入。2本パイプフレーム+バンドアジャスト+アラウンドイヤーの布パッドで着用感がたいへんよい(筆者の頭だと)。公式サイトの仕様情報(2013年7月現在)を転載しておく(この機種を含め、SE-Mシリーズはテレビ用を残して生産終了したようだ)。

形式:密閉型ダイナミックステレオヘッドホン
再生周波数帯域:5~29000Hz
インピーダンス:32Ω
最大入力(JEITA):1500mW
出力音圧レベル:105dB
使用ユニット:φ40mm
プラグ:φ3.5mm3Pミニプラグ(金メッキ)
接続コード長:3.5m
質量(コード除く):215g
215gと軽めの重量も身体的負荷の小ささに寄与していると思う。両持ちにしたついででつけたのか、ハウジング反転機能がある。

「リッチな重低音再生を可能にするPowerful Bass Duct搭載」(スピーカでいうバスレフダクトのようなものだが、ダクトからの音は耳に入らない)らしく低音が強調された出音ではあるが、ごく低域はそれほど出ない。上も中高域が強調されてごく高域は(かなり上までダラダラ出るが)弱く、全体としてはM字ドンシャリ。応答が遅い(よく言えば穏やかな)せいか、聴き疲れはたいしたことがない。小音量再生時に埋もれがちな帯域をうまく持ち上げてあり、ストレスなく音量を下げられるのは大きなプラス。

ダクトがついている影響なのか密閉型にしては音が漏れる。かなり大型のハウジングだが、すでに触れたようにそれほど重くない。コードが長い(3.5m+延長1.5m)のでパソコンからラックの裏を這わせても余裕。

耐久性など

1日中常用していると1年くらいでイヤーパッドがヘタる(購入当時は自宅で仕事をしていたので毎日12時間くらい着用していた)。その後出先での利用が増え1~2年くらい使ったところ、フレームとハウジングのジョイント部分がポッキリ折れた。価格を考えるとこのくらい持てば上等だろう。断線やドライバの不調はなかった(酷使したことを考えると優秀)。似たようなクラスでAIWAのHP-X122が2年で壊れた(こちらは断線)のを考えても、ローエンド機種をゴリゴリに酷使したときの寿命としてそれほど短いとは感じない。

出音はそれなりなので「これさえあれば高級ヘッドフォンに出番がない」というわけではないが、安価に快適なリスニング環境を得られるという点では優れた選択肢だと思う。モノは気に入っていたし、ハイを控えめにしてさらにマッタリ傾向を強めた下位機種のSE-M290なんかも面白そうだが、ローエンドには試してみたいヘッドフォンがたくさんあるので、もう一度手を出すことはしばらくないと思う。

フレームが折れた状態のままずっとミキサーの動作確認用につなぎっぱなしていたのだが、2014年2月の引っ越しで処分した。


K512

AKGの密閉型、2009年か2010年ごろ購入(ちゃんと覚えていない)。リスニング用を探していたときに、ちょうどサウンドハウスで安売り(4300円)していたのを買った。片出しコード、バンド式オートアジャスト(ただしK240mk2のようにハウジングを直接引っ張るタイプでなくヘッドバンドの途中を引っ張る形)、ルーズめのオンイヤーパッド(合革)などを備える。2013年7月現在、後継のK512mk2が発売されて公式サイトの情報が行方不明なので、小売サイトの情報を孫引き。

System|Design: Dynamic | Circumaural, Closed
Audio Bandwidth (Hz): 18 - 20,000
Efficiency (dB SPL/V): 115
Maximum Input Power (mW): 200
Rated Impedance (ohms): 32
Weight (g|oz): 190 | 6.7
Cable (m|ft): 2.5 | 8
Stereo Adaptor (mm|inch): 3.5/6.3 | 1/8″ to 1/4″
CircumauralといえばCircumauralではあるが、同時に間違いなくオンイヤー(耳に面で触れる)。感度115dBSPL/Vを換算すると約100dBSPL/mW。190g(ケーブル含まず)の重量は特徴のひとつだろう。型番上の後継機種はK512mk2。

残念なことに、筆者の頭にはちょっと座りが悪い(試着もせずに値段だけ見て通販したのがいけなかった)。ドライバから出てくる音自体は悪くなく、両手を使ってイヤーパッドをジャストフィットさせればそれなりに鳴る。素人目には、バンドアジャストの場合もうちょっとフレームが丸くないといけないように見える(たとえばK240のパクリモデルはたいてい「外した状態でイヤーパッドが横近くを向く」構造だが、本家のK240は上近くを向くようになっており「耳の上あたりだけが引っ掛かる」感じになりにくい)。

割と不遇

まあ所有者があまり気に入っていないのだから仕方ないのだが、ウチでは「ヘッドフォンを使って変なことをする」ときに実験台になるのがたいていコイツである。ケーブルチェッカーからDCを流されたり、パワーアンプ(といっても電池駆動でイヤフォンも駆動できるという売り文句のだけど)から大電流をぶっ込まれたり、なにかと苦労が多い。

出先に大型ヘッドフォンを持っていく際のファーストチョイスもこれ。というか「壊れても惜しくないけど鳴りはそれなり」という気の毒なポジションを占めている。なんだかんだいって役には立ってくれているし、筆者が購入した価格なら文句が出るような性能ではないのだが、後からほぼ同じ価格で購入したアルバナライブに「密閉ファーストチョイス」の座をアッサリ奪われた。

リスニング用にEQを設定するなら、600Hzを2oct幅で3dbくらい上げ、6KHzを1oct幅でやや下げるくらいだろうか。あまり密閉っぽさを感じさせない低音なので、ローエンドはお好みで軽く盛っても削ってもよい。

2014年の1月ごろに断線して、密閉は数が足りていたので処分した。


Aurvana Live!(HP-AURVN-LV)

クリエイティブの密閉式。2013年8月にアマゾンで安くなっているのをタマが見つけて、すごいテンションで教えてくれたので思わず買ってしまったもの。公式サイトの仕様情報(2013年8月現在)を転載しておく。

ドライバーユニット 40mm ネオジウムマグネット,複合バイオセルロースダイアフラム
周波数特性 10Hz~30kHz
インピーダンス 32Ω
音圧感度(1kHz) 103dB/mW
コードの長さ 1.2m OFCケーブル
入力プラグ 金メッキ3.5mmミニステレオ
本体重量(パッケージを除く) 約210g
購入価格は4278円で、後から調べたところ実際かなり割安だったらしい(同じ時期にクリエイティブJPの直販が通常価格14800円のところ特別価格5480円、クリエイティブUSの直販が$99.99、アマゾンUSAが定価$99.99から$18.08 (18%)引いて$81.91、アマゾンUSAでのサードパーティ販売が70ドル台と、わけがわからない値付け)。

調節はノッチのある伸縮バンド+ねじり対応両持ちアームで、ハウジングは反転させる前に止まる。ヘッドバンドが細く調整位置が少し高いところにあるが、重量が軽いせいなのか締め付けがユルいせいなのか伸縮部分の形状が筆者の頭にフィットしたのか、当たるような感覚はない。イヤーパッドはアラウンドイヤーで厚み(深さ)があり縦にやや短め、筆者のように耳が大きいと耳たぶ部分が少し挟まる(密閉で素直な出音を目指すなら体積を小さくしたいはずなので、SE-M390のように快適性以外をすべて捨てパッドも布張りにしてしまうのでなければ妥当な判断)。

ケーブルはY字1.2m+延長コード+標準フォーン変換アダプタ、なぜか巾着袋(シンガポールで何と呼ぶのかは知らないが、日本では間違いなくそう呼ぶシロモノ)つきで、変わった布地(「イヤーカップの光沢を保護しながらヘッドフォンを持ち運べるよう、マイクロファイバー製トラベルポーチを付属しています」らしい)。本体とは関係ないが箱がやたら豪華で、1~2万円のヘッドフォンによくあるような前が扉になったパッケージ(ちゃんと磁石つき)。

特徴とか使い勝手とか

バイオセルロースダイアフラムとあるしドライバはフォスターが作っているのだろうが性能が高い。サインスイープと純音で確認したところ、25Hzがかすかに、30Hzから17KHzまではそれなりに出た(「18KHzが聴こえない」と思ったらHD558でもK240mk2でも聴こえず、ようするに老化したということのようでちょっとショックだったが、ずっと酷使してきたしムチャなことも好んでやるので仕方ない)。右ユニットだけ3.5KHz付近で共鳴のようなものがある、と思って調べたら、筆者の耳の穴との共鳴だった(左右反対に着用しても、片耳づつ両方のユニットでテストしても、右耳だけ共鳴する)。密閉型なのでこれは仕方ない(イヤーパッドが馴れて体積が変わればまた反応も違ってくるはず。追記:当然ながら体調も影響するようで、再現性があまり高くないが再現はするというメンドクサイ状況(結局、もうちょっと調べようと思っているうちにいつのまにか共鳴しなくなった:機器のせいか耳のせいか不明)。

特性は全般に穏やかでなめらか、なかでも中域がスムーズで、低域は量が多めで下まで鳴り、10KHzくらいから上の左右バランスもまずまず、15~17KHzあたりの音(それより上は聴こえなかったので不明)はスッキリと伸び量的にはK240mk2より多く質感はソフト。バランス型のオールラウンダー志向で、去年の冬にタマが持っている同じ機種を試させてもらったときの印象とそう大きな違いはないと思う(ただしあくまで記憶で、並べて比較したわけではないし、そのときは曲しか流さなかった)。耳への攻撃性が強い音源に対しても中庸な反応で、ローハイとも直球ハイファイ機種よりは丸くなるがしっかり覆い隠す感じではない(傾向として、軽い荒れを受け流すのは得意:限界を超えても破綻せずに踏み止まるが閾値は高くない)。

それほど癖が強いわけではないのに「密閉っぽさ」が耳につくのは、30~60Hzあたりにレゾナンスがある(着用状態でのインピーダンスピークは40Hzちょいの模様)のと他が薄味で目立つということのようで、40Hzハイパス/ローカットベッセル、300Hz1.5oct幅1db、14KHz1.388oct幅-3dbくらいのフィルタとEQをかけハイエンドをローパスのQで持ち上げると比較的ノーマルな鳴りになる(これでおとなしすぎると感じるなら7KHz1.5oct幅で2dbくらい持ち上げてやり、まだ足りなければエンハンサーをかける)。

密閉の割に外部の音が抜けてくるが、いわゆる暗騒音化(篭り)のような変化が(起きないわけではないが)目立たず、また入ってくる音の割に漏れ出る音が少ない。耳元にマイクを立ててATH-M30(こちらはPAモニタに準じる作りで外部の音はガッチリ遮断するが漏れ出る音はそれなりにある)と比較したところ、大差ない感じの被り方だった。マイク録音にも使えそうなレベルだが、ごく大音量は得意でないため、ギターアンプや生ドラムが爆音を出している中で、といった用途には不向き。エレキギターの練習用だと、生音がそれなりに聴こえる割に開放型ほどスッキリ抜けてこないが、ギターの音自体は普通に鳴ってくれる。

目立つのはやはり基本性能の高さと密閉っぽさ。後者は前述のEQを適用するとかなり緩和されるが、面倒ならハイパス/ローカットフィルタだけ入れてもよい(無加工の方が迫力が出る曲ももちろんあり、ぜひ補正したい曲はまれだろうと思う)。他にクセとして感じられるのはごく高域の柔らかさで、パルス波っぽいものはシルキーになりやすく、矩形波っぽいものは丸まりやすい傾向(どちらも現象としては同じだが)。開放型でないと勝負にならないようなものを除いて性能上の苦手を挙げるとしたら、やはりごく大音量(一般的に考えられるようなレベルではなく、耳の健康を害する危険をある程度受け入れながら身を削った趣味として楽しむ領域)の再生だろう。やや大きめくらいの音量はべつに苦手ではない、というか得意。


HD681

Superluxの半開放。FとかBとかevoとかでない、無印のHD681。

優秀な機構とギリギリ及第点の実装

片出しコード、AKG(というかK240)風のバンドアジャスト、硬めの合皮イヤーパッドを備え、ステレオミニフォンからステレオ標準フォンへのねじ込み式アダプタつき。公式サイトの仕様情報(英語、2014年9月現在)を転載しておく。

Type: Dynamic, Semi-open
Driver: Φ50mm, neodymium
Sensitivity: 98dB SPL (1mW)
Frequency Response: 10-30,000Hz
Maximum Power: 300 mW
Rated Impedance: 32 Ω (copper-coated aluminum wire)
Earpad:leather
Cable: 2.5-meter (8.2 ft.) straight, single-sided
Connectors: Screw-on gold plated stereo mini plug
Headphone Caliper Pressure: Approx. 3.5N
Net Weight: 276g(9.75 oz)
本体の性能とはまったく関係ないが、パッケージの箱(やなぜかついてくる持ち運び用の巾着袋)がたいへん安っぽく、クリエイティブのAurvana Live!と比べると雲泥の差である(値段もけっこう違うけど)。見た目がK240系に酷似しているものの、ヘッドフォンとしてのキャラはまったく異なる。

少なくとも筆者の手元の個体は、バーンインに少し時間がかかった(1mW見当のピンクノイズで3時間くらい)。開封してすぐの状態だといかにも安っぽい出音。イヤーパッドは簡単に外れるが再装着は多少面倒(別に難しくはない)。ケーブルの取り外しは不可。

バンドアジャストは格好を似せただけのシロモノで、ヘッドバンドやイヤーパッドの硬さもあいまって窮屈には違いないのだが、各部が最低限の機能は果たしており我慢できないほど不快かと聞かれるとそうでもない。普通に装着してやや大きめのリスニングくらいの音量で使うと、4~5KHz周辺と10KHz周辺がやたらと出てチープな印象、低域はかなり下まで伸びるが中低域が薄い。

そこで、普通にイメージするよりもかなり下かつ後ろにずらして隙間なく装着すると、低域の踏ん張りが増すとともに高域のうるささが軽減され、K240系パチモノのお約束で耳の上辺りだけが圧迫される(のに耳の後ろが空く)欠点も緩和できる。HD681シリーズの特性比較表を見て予想していた通りかなり密閉寄りの鳴り(おそらく、無印681と681Bの違いはバッフルポートのダンパの違いなのだと思う)ではあるが、セミオープンらしさが感じられる程度には開放っぽい。この状態ならリスニングには耐える出音だと思う。

ではモニタとしてどうかというと、これが意外と奏者モニタに向く。中高域の強調が(浅く装着すると極端ではあるが)刻みの把握に役立つし、中低域の薄さと極低域の伸びがベースを消さずにメロディ楽器を聴かせてくれる。圧迫感と引き換えにずれにくく、隙間なく装着すればセミオープンにしては音漏れが少ない。デジピなどのエレクトロニック楽器のほかエレキギターなどでも、癖の強さが使う人の需要とマッチする場面があるかもしれない。

エンジニアリングに使うなら補正が必要。筆者の手元の個体は、200Hz+3db2oct、1.5KHz+1.5db1.5oct、4KHz-4db0.71oct、11KHz-2db0.71octのEQをかけたうえ、30Hzのハイパス/ローカットと22KHzローパス/ハイカットをキツめに入れてショルダーで両エンドを持ち上げると、モニタ音量かつやや深めの装着でそこそこ平坦な鳴りになる。ただし圧迫感が強いので長時間作業には向かない(筆者の頭だと)。

筆者の感想

すでに触れたようにリスニングには使える。たとえばAurvana Live!やPX90のように破格のコストパフォーマンスを誇るわけでも、SE-M390やPortaProのように独自の魅力を持っているわけでもないように思うし、だいたいが専業監聴級耳機(だと公式サイトに書いてある)だけあって音楽を魅力的に聴かせようという工夫はほとんど感じられないのだが、中低域を盛って高域をやや落としてやると適度にマッタリした出音になる。ぶっちゃけ、2倍の値段でよければもっといいものはあると思うが「補正さえすれば普通に使える」レベルはクリアしている印象。

エンジニアリング用にも使えなくはないし、とにかく安い(2500円くらいだったっけな)ので選択肢として無価値ではないのだろうが、もしこれから音イジりを始めようというリアル知人がこの機種を選ぼうとしていたら「TH-7あたりにしといたら」と言ってみるし、もし筆者の手元でHD681以外のヘッドフォンが全部壊れたら別のを買う。奏者モニタとして使うのがもっとも有望だとは思うものの、圧迫感があるので練習用に使いたいとは思わない。録音用の貸し出し機にと考えると、今度は装着方法の説明が面倒である。

演奏モニタとしての個性で言うなら、低域再生と開放感(ただし出音だけ)の両立にはある程度成功している。しかし帯に短し襷に長しというか、モノとして「ダメではない」レベルをクリアしてはいるのだが、いざ具体的な用途に使おうとすると頑張りきれていない印象。結局のところ、密閉モニタが嫌いな人が普通の半開放モニタだと低域が聴きにくいシチュエーションで使う、というのがもっともありそうなシナリオに思える。ごく変則的ではあるが、半開放にしては音が漏れにくく密閉に比べると「自分の声」が篭って聴こえる度合いが小さいので、ヴォーカル録音にどうかなという気もする。

手元の機材のラインナップを考慮すると、モニタ用ではなく、K512の跡を継いで荒っぽい用途専門になりそう。追記:後述のMM-SPSW7BK用のEQ設定を流用するとリスニングに使いやすいことがわかり、車載装備に回した。


K450

AKGの密閉。2015年9月にサウンドハウスが安売り(5000円ちょっとだったか)しているのを見つけてなんとなく買った。

ポータブル特化型

専用のセミハードケース(見た目で20*15*5cmくらい)がついてくる。一見してオーバーヘッドのヘッドフォンが入るような大きさではないのだが、折り畳むと(当然ではあるが)ちゃんと入るし、コンパクトタイプならオーディオプレーヤーも一緒に入れられる(手元のMP330(TS8GMP330K)は入った)。ケーブルをつけたまま入れられるようケース内部に逃がしが作られているが、外して入れた方が精神衛生上よろしいかなと思う(折り畳むとヘッドバンドのクッションに微妙に干渉する)。

着脱式ケーブルはヘッドフォン側が根元に突起のある4Pミニフォンらしきもの(ピン部分は普通の4Pミニフォンぽいが、よほど根元が細いプラグでないと入らないと思う:市販品が使えるとは考えない方がよさそう)、再生機器側は普通のステレオミニフォンで標準フォンへの変換プラグが付属する。ケーブルは長短2本用意されているがどちらも短い(見た感じ0.5mと1m:多分、シャツのポケットにプレーヤーを入れるとき用とズボンのポケットに入れるとき用なのだと思う)。やや前方に出す配置で取り回しは良好。

例によって公式サイトから仕様情報を抜粋しておく(USサイトのK 450 NAVYのもの)

Audio Specifications
Driver Closed-back headphones
Frequency Response 11Hz-29.5kHz
Maximum Input Power 30 mW
Input Impedance 32 ohms
Sensitivity 126 dB SPL/V
AKG Easy Compare
Style On-ear
Sound Signature sound
Connectivity Wired
Smartphone control No control option
General Specifications
Colour Navy
Weight 120 g
折り畳んだときの大きさは手の平くらいで、車のダッシュボードなんかにも余裕で放り込める。構成はほぼプラスチックで、ヘッドバンドの伸縮部分のみ金属の芯入り、ヘッドバンドの頭頂部とイヤーパッドは合革。イヤーカップは柔らかくて深い。調整機能はノッチのある伸縮バンドで、筆者くらい頭が大きいとギリギリの長さ。

本当にポータブル特化型

音を出してまず気付くのは能率の高さ。公称効率110dbSPL/mW@1KHz(上記にはないが複数の通販サイトに掲載されている情報からおそらく)はダテではなく、他のヘッドフォンに合わせた音量設定のまま繋ぐとかなり大きな音が出る。ポータブル機器の電池を持たせるために意図的に高くしてあるのだろう(ヘッドフォンの能率が3db高ければアンプの出力電力は半分で済む)。

音のバランスは、ユルくて量の多い低音+700Hzに谷+2KHzに谷+4~6KHzに山2つ+高音域は弱いが意外と上まで粘る。音量の上限は低く、大きめのリスニングくらいを超えると低音から歪み始める。左右のバランスはあまり優秀でなく、ギリギリ及第点といったところ。全体としては、低音を雰囲気としてだけ聴かせながら中高域の暴れでメリハリを出す感じ。雑踏や乗り物の中で使われる意図なのだろう。

かなり作り込まれた感じのセッティングで、クセを殺そうとすると調整が難しい(低域をシェルビングで削ろうとすると中低域に変なピークが残るし、700Hz周辺を持ち上げると2KHzのディップが目立つようになる)。中低域の盛り上がりを120Hz1.5oct幅-3dbと300Hz1oct幅-1.5db、中高域の暴れを4000Hz0.5oct幅-3dbで緩和して、高域を9000Hz0.5oct幅3dbくらいで持ち上げてやると比較的ノーマルになるが、部屋の中で普通に使えるようなバランスにはならない。

あくまで出先用の前提でドンシャリ方向に補正するなら、中点12KHz1oct幅2dbと中点1500Hz1oct幅2dbのハイシェルブ2段で高域を持ち上げ、650Hz1oct幅2dbと6000Hz1oct幅-2dbくらいでクセを緩和してやるのがよいだろうか。モリモリに出る低域が再生音量のボトルネックになっているので、結果的に上限音量も上げられる。

説得力は十分にある

安いポータブルプレーヤー(とくに高域に暴れを作っているタイプ)に繋いで出先用にすると本領を発揮する。すでに触れたトランセンドのMP330(筆者のEQ設定は80Hz-2、200Hz-4、1kHz0、4kHz-1、8kHz+3)と組み合わせると、それなりのドンシャリサウンドを驚くべき携帯性で得られる。低音のユルさも、上記くらいの補正をして部屋の外で使用するならそう気にならない。外からの音はあまり遮らないようで、ある程度外来音がかぶさる前提で消されがちな帯域を持ち上げておくスタンスらしい。外に漏れる音もそれなりにあるがとくに顕著ではない(半開放ヘッドフォンに近いレベル)。

正直なところ素晴らしい表現力を備えた機種だとは思えないが、上記の構成に対して優位性のある再生環境を持ち運ぼうと思ったら大掛かりにならざるを得ない。ちょっと遠出するときにカバンに詰め込む、車のダッシュボードに入れっぱなしにする、事務机の引き出しに忍ばせておいて残業のお供にする、そういった用途にAurvana Live!やTH-7(どちらも性能的に優れているのは間違いない)とK450のどっちを選びますかと聞かれれば、悩む余地なくK450だろう。

携帯性でイヤフォンと張り合えるわけではもちろんないが、筆者が密閉イヤフォン嫌い(だってあんなの耳に詰めて音鳴らしたら聴き疲れるでしょ、体の振動もやたら拾うし)なのを差し引いても、ヘッドフォンなりの優位性はちゃんと保っている。開放感のある軽やかな出音を求めるなら、それこそMX471でも使えばいいわけで、ぶっちゃけK450と両方持ち歩いても荷物量に大差はない(そうやって使い分けできるのがヘッドフォン一体型ポータブルプレーヤー対する優位性になると思う)。

惜しむべきは、専用セミハードケース以外の収納/携帯方法が用意されていないことだろう。ヘッドバンドの外側(LRの表示の上くらい)にちょっとした突起をつけておいてくれれば、コードをくるくる巻きつけて(ポータブルプレーヤーごと)引き出しなどに放り込んでおけるのだが。見た目がアレになるけど、接着剤使って自分で突起つけちゃおうかなぁ。

追記:購入1か月くらいで親戚の子供にあげてしまったので改造は未実施。所有期間は短かったが悪いモノではなかったと思う。


イヤフォン

イヤフォン(インイヤーヘッドフォン)と耳かけヘッドフォン(ヘッドバンド型でないオンイヤーステレオフォン)について。いくつ買ったか覚えていないし、比較的長く使ったものや現在も手元にあるものを中心に。

重要な情報
この項は、筆者が実機を所有しなくなってから記憶に頼って書いているものもあれば、型番をきちんと覚えていないものもあります。


MX471

2013年に2500円で購入。世間ではカナル式が圧倒的人気のようだが、オープンダイナミックのイヤフォンは圧倒的なコストパフォーマンスを誇る形式で、MX471はその中でも抜群の完成度を誇る。2015年追記:販売終了の模様、MX475が後継機種のようだがどんなモノなのか未確認。

装着感が独特というか、やたらと軽い。耳の穴に差し込むのではなく、耳の入り口に置いておくor耳の穴の一番広いところを埋める感じだろうか(開放型のヘッドフォンを使ったことがあれば話が早いと思う)。音色も軽快で聞き流しに向く。

ケーブルは全長1.2mの枝分かれ(左右の長さはほとんど同じ、枝分かれ部分を短くするスライダーつき、枝部分は最長40cmくらい)でジャックはL字のステレオミニ、付属品はポーチ、イヤースリーブ、イヤーパッドは同じものが2セット入っている(延長ケーブルやミニ<>標準アダプタは付属しない)。似た構成でハウジングがコンパクトなK470というモデルもあったのだが、サウンドハウスの送料無料キャンペーンにつられて、というか最初からそれが目的でこっちにした(MX471は全体のトーンが臙脂色+アルマイトっぽい反射のコードと、ドイツではナウでヤングなのかもしれないが日本では大正生まれくらいの世代が好きそうな配色)。

出音はまさにオープンエアーで、スポンジ(イヤーパッド)をつけた状態が本来のバランスなのだろうと思う(スポンジなしだと少し寂しいというか、どことなく平面的な感じの音になる:この機種に限らず、イヤーパッドやイヤーチップをなくさず、どの機種に使うものだったかちゃんとわかる収納方法はないものか)。スポンジをつけた状態だとルーズな装着(ちょっと傾けて耳の穴に引っ掛けるような感じ:ドライバの音が出る面が耳の穴の平らな部分に当たるというか、棚に乗せる感じというか)も簡単にでき、押しの強さがさらに緩まる(動画などを見るときに使えると思う)。

あくまでもポータブル機器なので、静かな部屋で思う存分音量を上げたリスニングには向かない(そういう用途ならヘッドフォンを使えばよい)。いっぽう遮音性がほとんどないので、騒がしい場所でも使いにくい。このため活躍の場は狭い(ポジション的には耳掛けヘッドフォンに近いが、コンパクトさと装着の安定性で勝る)。出音の上では、環境ノイズで紛れがちな帯域がしっかりと出て、ローが穏やかに厚くハイミッドが微妙に持ち上がる。利点はやはりオープンエアー感で、普段HD558で聴いている曲を聴いても大きな違和感はない。振動を拾いにくく外来音があまり変化しないことも特徴の1つ。

最適と思われる用途はやはり「屋内で再生機器ごと持ち歩くポータプル」で、この使い方だと左右等長ケーブルがややうっとおしいが、いったん背中側に下ろして腋をくぐらせるか、Y字部分の長さ調整用のストッパーとY字分岐の間をシャツのボタンかなにかに引っ掛けると緩和される。


耳かけヘッドフォン3機種

松木技研のBP-E10は、筆者が初めて使った耳かけヘッドフォン(hgwからのもらいもの:当時の実売価格は800円くらいだったが100円で売っていたらしい)。思いのほか音が好みで、オープンエアーの優位性に気付くきっかけになった。

ドライバ自体がけっこう優秀で、手元の個体にサインスイープを食わせたところ、ローは40Hzくらい、ハイは19KHzくらいまで再生できた。耳に押し当てるようにすると安っぽさが大幅に緩和され、なぜかかなり前方に定位する(一時期筆者は、断線したHP-X122のハウジングをBP-E10の上からかぶっていた)。1年ぐらい酷使していたら断線した。

KOSSのKSC75は、BP-E10の好印象に味をしめて「専門メーカーが作った耳かけヘッドフォンも試そう」と購入したもの。出音は好みだったのだが筆者の耳の形にはどうしても合わず、ムリヤリ力をかけたらハウジングがポッキリ折れた。残念。出音は気に入っていたのでバンド式があればとも思ったが、KTXPro1はボリュームがついているしSportaProはデザインが変態的、PortaProの安売りを見つけたら買ってみようか。

オーディオテクニカのATH-EQ500は、KSC75を壊して以来耳かけヘッドフォンを持っていなかったのと色が面白かったので購入。「エラストマーを採用した新形状のイヤハンガー」だそうだが、エラストマーというのは弾性重合体、ようするに広義のゴムのことである。実際のモノは柔らかめの樹脂と硬めのゴムを斜めに貼り合わせたような感じで、なるほど筆者が試した中では付け心地がよく「大きく開いて止まるイヤハンガー」も使いやすい。

出音の第一印象は「こんなモンまでテクニカの音だ」で、ハイが張り出したイメージ通りのもの。自分のところで作っているのかどうか知らないが徹底している。鳴りが悪いとは思わないが好みでもなく、出先用としてMX471を押しのけるほどではなさそう(まああっちはコンパクトで利便性も高いし)。意外と面白かったのがクリーンギター用の奏者モニタ(というか練習用)で、明瞭感が高いせいか気分よく弾ける。


K313

2012年に2000円くらいで購入。引っ越した後アイリバーのS100(その他の項で紹介)というポータブルプレーヤーを買い、(家の中で)イヤフォンを探したらこれしか出てこなかったため出先用にした。オープンタイプのイヤフォンを試そうと思い、そういえばAKGもイヤフォンを出しているなと購入したものだと思う。

出音は素直というか平凡。手元に安イヤフォンがたくさんあったときに聴き比べた中ではソツがなかった記憶がある(下で紹介しているEPやSHEとの比較)。MX471やBP-E10のような際立った特徴はないものの消耗品としては優秀、使い勝手のノーマルさがありがたいし、ちょっと気が向いたとき気軽に使える。インイヤー開放型は極限ローエンドとかやたら高級志向とかイロモノ機種とかが多いので、選択肢として貴重でもある(ATH-Cシリーズはまだ頑張っているが、MDR-Eシリーズは上位機種の販売を終了)。

メーカーの内部事情は知らないし筆者の知ったことでもないが、これってハーマンが売りたかった製品で、AKGを買ったのを機にブランドロゴだけ貼りつけたんじゃないのという気がちょっとだけする(もちろんまったく未確認)。まあモノがノーマルだし価格も安めなので、設計や製造を誰がどこでやっていても構わないのだが。

常に持ち歩きつつ、2時間の使用を週に2~3回くらいのペースで、2年くらいで断線した。追記:いつかわからないが生産終了になった模様。


カナル型2機種+オープン1機種

PHILIPSのSHE9700とCreativeのEP-630(多分)は、K512を持ち歩くのもかったるいし、イヤフォンをちょっと試そうと思いウェブの評判を当てにして安いのを買ってみたら、SE-CL30やK313の方がよかった。音を出さず簡易な耳栓代わりにする用途もあってカナル型もそれなりに便利なのだが、耳栓はER20を常に持ち歩いているので筆者には必要い特徴だったりする(もちろん、耳栓として比べるとER20の方が遥かに優秀)。

記事を書くついでに軽く探してみたところ両方出てきた。SHEはバスドラがバッフンバッフンになってハイハットがカッシャンカッシャンになるだけで、鳴らないというわけではない模様。EPはハイハットが鳴らないがSHEほどのゲテモノバランスではなく、それなりに使えそう。ついでにK313が壊れてから一時的に使っていたS100の付属イヤフォン(カナル型でない普通のインイヤー)は、バランスが比較的ノーマルだが上がやや薄く下が出ない。

この中で使えそうだったのはEP-630で、S100のEQでローミッドとハイミッドちょい下げにしたらだいぶマシになった(サインスイープも確認したが、上は5KHz周辺がやたらと出ているだけで普通のドンシャリとはちょっと違う)。付属イヤフォンも悪くはないのだが、MX471と併用するならEP(他に試したいカナル型はマクセルのHP-CN40Aくらい:楕円ポートとか(多分ドライバ背面の)大型通気ポートとか、面白ギミックが搭載されている)。なお、SHE9700は付属のケースがやたらと豪華である。

SENNHEISERのCX300、AKGのK324P、CreativeのEP-630、シャープのHP-MD33、SUMAJINのEARPHONEなどが全部FOSTERの382326(後継機種は443743)同等のOEM品だという情報をいくつか見たが、ドライバの提供とかでなく丸ごとFOSTERが作っていそうな勢いだった(あくまで見た目の印象として)。EP-630は2013年7月現在の実売で1500円近くまで下がっているので、比較的お買い得かもしれない。ただし製品としてのベースが同じでも、各社で出荷基準(同じ工場で同じように作った製品だって、基準を厳しくしたり品質チェックの手間を増やしたりすれば価格が跳ね上がる:ローエンドは手間賃の反映度合いが大きいのでなおさら)やら流通経路やら為替基準やらが違うし、カスタムチューンが加えられている可能性もあるので、値段が同じでないのは普通のことである。


SE-CL30

パイオニアのSE-CL30は、筆者が初めて買ったカナル型。最初に音を出したときはとんでもない大ハズレかと思ったが、イヤーピースをSサイズのものに替えたところ大幅に改善した。

極端なドンシャリで、かつ比較的大音量域がオイシイため、長時間使うとけっこうツライ。上から下まで音が出るという意味では優秀で、外部の雑音もかなり遮断してくれる。ただしカナル型共通の欠点として振動や風切り音が耳に響きやすい。

2年くらいは使ったと思うが、たしか断線して捨てたのだっけか。


オマケ(カナル型イヤフォンについて)

カナル型(耳栓のような装着方法で、外耳道=ear canalに押し込む:ちなみに鼓膜より奥の部分を中耳=middle ear、さらにその奥を内耳=inner earという)のイヤフォンを着用すると振動が気になることがある。この振動は、大きく2種類に分けられる。

1つはイヤフォン本体が拾ったりケーブルから本体に伝わったり、ようするにイヤフォン本体が震えているもの。これはイヤフォンの性能である程度抑えることができるが、もちろん限界はある。オープンエアーのヘッドフォンでさえケーブルに硬いものが触れれば耳に振動が届くし、それがギターのヘッドなど自ら振動しているものなら妙な響きが伝わる。

もう1つは人間の頭が拾う振動で、屋外利用などではけっこううるさい。耳の穴を塞いでしまうこと(隙間なく耳を覆うと足などから頭に伝わった振動が耳の中で反響する)が根本原因なので、オープンエアーにする以外回避のしようはない。本格的なイヤーマフなどを着用するとわかるが、密閉型のヘッドフォンなどでこの振動があまり気にならないものがあるのは、単に密閉が甘い(または密閉に用いている素材が柔らかく大きい)からだろう。スポンジ耳栓(それ自身はほとんど振動を拾わない)でも、着用すれば頭の振動は耳につく。

カナル型で低域が出る出ないにはドライバサイズは関係ない(意図的なクセをつけない限りf0から下がフラットになるので)。その代わりf0のちょっと上で暴れが出て3~4KHzくらいにピークができやすい。大型ドライバを採用しているモデルは、これを穏やかにする意図があるのだと思う。

ハイミッドのピークとハイエンドの落ち込みをEQで補おうとすると、当然ハイミッドカットのハイブーストということになるのだが、そうするとシンバルがカシャっとした音になりやすい。ハイミッド下げだけに留めハイは落ちるに任せた方が無難に思える。下が出ないことは普通ないため圧迫感(装着方法がタイトなので、マトモに出てくるとけっこう疲れる)や上の都合に応じて削る加工が主になるが、ごく低域はノイズ(血液が流れる音や呼吸音など体内のものや、ケーブルが微妙にすれる振動、風切り音などを含む)に紛れやすいため、削るならローミッド優先だろうか(この辺を見越してか、最初からロー上がりバランスになっている機種もある)。


スピーカ

他のページでは大口径スピーカの優位性を何度も書いているが、実は小口径でムリヤリ捻り出した音も好きだったりする(よかったなぁ、ZS-6)。


MM-SPSW7BK

サンワサプライのミニチュア2.1chシステム。2014年に2700円で、車載用に購入。直前にマイナーメーカーのもう少し大きい製品を買ったのだが初期不良で返品、第2候補だったこちらを(サードパーティー出品の方が100円ちょっと安かったが)アマゾンから直接買った。実はこの個体にも初期不良があり左スピーカの音が不安定だったのだが、延長プラグ(1.5Wとはいえ一応パワーアンプからの出力なので安易に試さないこと)を噛ませば問題ない軽微なもので、そのまま使用することにした(サテライトから生えているミニプラグのチップにバリのようなものがあるのと、おそらくジャック側もそんなに精度が高くないのが原因だと思う)。

公式サイトの仕様情報(2013年7月現在)を転載しておく。

実用最大出力 16W、サブウーハー/10W、サテライトスピーカー/3W+3W
RMS出力 8W、サブウーハー/5W、サテライトスピーカー/1.5W+1.5W
周波数特性 サブウーハー/40Hz~150Hz、サテライトスピーカー/150Hz~19,000Hz
スピーカー形式 サブウーハー/バスレフ式(防磁設計)、サテライトスピーカー/密閉型フルレンジ(防磁設計)
ロードインピーダンス サブウーハー/4Ω、サテライトスピーカー/4Ω
入力端子 ステレオミニプラグ(3.5mm)
電源 内蔵
サイズ サブウーハー/W135×D255×H211mm、サテライトスピーカー/W63×D95×H125mm
重量 総重量/2040g、サブウーハー/1840g(ケーブル含む)、サテライトスピーカー/200g(片側のみ、ケーブル含む)
ケーブル長 サブウーハー・サテライトスピーカー間ケーブル/約1.2m、PC接続スピーカーケーブル/約1.5m、電源コード約 1.5m
スピーカーサイズ サブウーハー/4インチ(直径101mm)、サテライトスピーカー/2インチ×3.5インチ(直径50×89mm)
付属品 PC接続用ステレオケーブル(1.5m)×1、取扱説明書(保証書)
表組みを読点区切りに筆者が改めた。

カタログではサブウーファーの形式が「バスレフ」になっており底面マウントなのだと思っていたが、実機のスピーカユニットはエンクロージャの中に設置されているようで、バンドパスにしか見えない(筆者の用途的にはスピーカユニットが露出していない方がありがたいが、サブウーファーの体積も選択基準に入れていたので肩透かしを食った気分)。ポート長は12cmちょっとで出口の4cmだけ微妙に絞ってあり、絞られた部分で直径3.5cmくらい(メジャーでの計測なのでいい加減)。ポートから中を覗くと奥に基板やコンデンサなどが見え、電装品は背面近く、スピーカは底面近くにあるのだろう(分解はしていない)。お約束の電源ランプは(一応目隠しがついているが)青色でまぶしい。底面にゴム足がついている。

サテライトは前面がほぼ丸ごとスピーカユニットで、楕円ではなく長方形と円をくっつけた形(いわゆる長円:面積換算でおそらく3インチ相当くらい)。ミニチュア2.1chのサテライトスピーカにはユニット面積が大きい密閉or小音量域限定バスレフ以外ありえないというのが筆者の持論で、それを真面目にやってくれているメーカーがあるのはありがたい。足がプラスチックで机の上に置くと滑るため、デスクトップスピーカとして使うならゴム板(100円ショップなどで売っている)か何か取り付けた方がよさそう。背面は微妙にカーブしており、左右表示シールと検査合格シールが貼ってある。ネットは外れない。

入出力はステレオミニジャックが各1つ、コントロールは音量とバスブースト、あとは電源スイッチだけと割り切った構成。サテライトスピーカ用のケーブルは根元で二股に分かれている。バーンインは、本体ボリュームとバスブーストを全開にしてごく小音量のピンクノイズを入れ、入力音量を上げつつサブウーファーで歪まないようにバスブーストを下げていって、サテライトスピーカで歪む手前で止めた状態で行うのがよさそう。やや長めに(4~5時間くらい)やった方がよいかもしれない。

屋内で試した感想

鳴りはほぼ期待通り。正面に設置してサインスイープを食わせたところ、35Hzくらいからなんとなく音になり始め、400Hzくらいまでのピークディップは相応に大きく、上はフラフラしつつもけっこう伸び、左右のバランスもそれなり。サブウーファーを机の下などに設置しても使えなくはなさそうだが、正面に設置すれば(センタースピーカ的な振舞いもするのでセッティングがややシビアになるものの)いくらかバランスが向上する。50cmくらいの距離なら大きめのリスニングくらいの音量は普通に取れる。

筆者のイコライザ設定は、180Hz+4.5db1oct、400Hz-6db1.5oct、800Hz+3db、ハイシェルブ2500Hz-3db1octスロープ、10KHz-3db1oct。典型的なドンシャリ補正にハイシェルブを追加した格好で、鋭いピークディップはあまりムキにならず大まかに均した方がよい。バスブーストコントロールの使い勝手が意外とよいため、ここからイジるならハイシェルブのゲインくらいかなといったところ。

アンプが優秀でノイズもギャングエラーも気にならない(手元の個体では音量を95%くらいよりも上げると急にノイズが増える現象が見られたが、バーンインで解消した)。ヘッドフォンアンプからの入力も考慮しているのか耐入力が高いようで、少なくとも手元のS100(ドンブリ勘定で20~30dbVくらい出るはず)やXENYX302USB(メインアウト20dbu出力)から最大音量を突っ込んでも目立った歪み方はしなかった(カタログに明記されているわけではないので過大な入力はしない方が安全:ムキにならなくても本体のアンプで十分増幅できる)。

サテライトは普通のパッシブスピーカなので、定格さえ満たしていれば他のパワーアンプでも鳴らせる(手元では丸七のボリュームアンプで駆動できた:ヘッドフォンアンプでも音は出せるが、負荷インピーダンスが4Ωと低く、普通の機種だと故障や異常発熱の原因になる)。アンプ側も普通のパワーアンプで最大出力も1.5Wあるため、サテライトを交換するのも面白いかもしれない。

車載した感想

非常に重要な情報
この機種は車載を前提とした製品ではなく、電源、温度、振動など一般家庭と異なる環境に晒すと故障の原因になり、安全性も保証されません。設置方法を誤ると、運転の支障や事故の原因、あるいは安全装置の妨げになる可能性があります。ケーブル類(とくに電源関係)を踏まれる場所や折り曲げられる場所に設置すると火災の原因になります。

重要な情報
以下はあくまで「やってみたら動いた」という報告と「やってないけど動くかも」という推測であって、使い方の推奨ではありません。

ということで自動車に積んでみた。電源はシガーソケット(20Aヒューズ12V)から大橋産業(BAL)の1745(カーコンセント30W)を経由。サブウーファーは左後座席足元に、背面をドアに向けて置いた(後部座席を1つ潰したうえ、助手席のシートで挟んで固定)。入力はS100(その他の項で触れる)からで、内蔵のカスタムEQを利用。セッティングはかなり試行錯誤した(というか極低音を切り捨てる踏ん切りに時間がかかった)が結局、50Hzを2段下げ、200Hzを4段上げ(全開1つ前)、1KHzを1段上げ、3KHzを1段下げ、14KHzを2段下げにして、MM-SPSW7BKのバスブースト中くらいに落ち着いた。ミニフォーン<>ミニフォーンのケーブル以外に、ミニフォーン<>ピン2本の変換ケーブルとミニフォーン<>標準フォーンの変換アダプタを常備している。追記:ポータブルオーディオにはEQが8KHzまで(なぜかその上はタレ流し)の機種があり、高音がキンキンする場合に手の施しようがなくなる(EQを全部上げにすると相対的に高域が弱まるが悪あがき)。

電源が55Hzの調整矩形波だがアンプの動作は安定しており、ノイズの増加などは感じられない。重量バランスなどもとくに気にならず、ずれたり倒れたりしそうな様子はない。家の中なら考えられないほど窮屈なセッティングだが、サブウーファーはそれなりに働いている模様。サテライトは軽くスリムで、二股ケーブルをいっぱいに開くと約2.4mになり取り回しがよい。環境が過酷なので寿命が大きく縮むと思われるが、こればっかりは実際に壊れてみるまでわからない。

手元では、1745からS100に給電しながら再生するときにMM-SPSW7BKのボリュームコントロールを中間くらいにしておくとバズノイズをもらう現象が見られた。これはおそらく、AC給電とDC(USB)給電でグランドにギャップができており、かつどちらの機器でも処理が完全でないために生じるものだと推測でき、S100を電池動作させるか間にXENYX302USBを挟むかMM-SPSW7BKのボリュームを全開にしてやるとほぼ解消する(MM-SPSW7BKに文句を付けるよりは、XENYX302USBを褒めるべきだと思う)。MM-SPSW7BKのボリュームは常に最大にしておいた方がS100からの操作がしやすく、筆者はとくに困っていない(S100から強い信号で送ってMM-SPSW7BKで控えめに増幅した方がS/Nはよくなるが、そんなことを気にするほど静かな車ではない)。

出音に関しては、自動車の中という音響的に最悪に近い環境で使うには十分以上だという印象(PM0.3+PM-SUBminiあたりも有望ではあるのだろうが、サイズ的にも価格的にも厳しかった)。4インチとはいえ外形7.26L(バンドパスだけど)のサブウーファーはダテではなく、150~200Hz周辺のつながりの悪さやサテライトの高域の出しゃばりも反響や軸外れで紛れる。ただしこの機種に限らず、車載前提でない機種を車載すると高音の反射が面倒で、設置場所近くの平らな面にフェルトを貼るなどの対策が必要になる(筆者はクッション用のスポンジを両面テープで貼った)。低音はどうせブヨブヨになるし対策のしようもなく、中低域を「やや出しすぎ」くらいに出しその下をバッサリ切るくらいが関の山(前掲のEQセッティングを参照)。環境がノイジーなので室内と比べて大きな音量が欲しいのだが、この点についてはちょっと頑張りきれていない印象。

総合的には満足しているが、もし自分が運転しておらず運転手に「お前は運転だけしてろ」と言えるなら、あるいは車を止めて休憩するときに音楽を流すのなら、スピーカでなくヘッドフォンを使う(上記のS100カスタムEQをHD681に流用すると、ちょうどリスニング向きのバランスになることに気付いた:セッティング変更後は200Hzのブーストがキツくそのままでは使いにくくなった)。パラメトリックEQが使えるオーディオプレーヤーがあれば、もう少し頑張れるかもしれない。

その後

振動や温度変化が極端な環境に置いたにもかかわらず、大きな故障もなく、2018年3月に車側の都合で廃棄するまで、4年近くの間元気に動いた。


SP-NX502

TDKのミニチュア2.1chシステム。2018年に2000円の中古を見かけてその場で購入。サテライトが変な形だと思ったらNXT方式(平らな板を使い分布振動モードで発音させる)らしく、ウーファーは筒状(というかインクジェットプリンタみたいな形)のバスレフ。

本家の資料は見つからず、断片的な2次資料をツギハギするとどうやら、ウーファーは405×176×105mmの3.4kgで20W、サテライト2発は72×28×255mmの190gで7W、ステレオミニジャック+2*ステレオRCAピンジャックという変わった入力構成。上位機種にNX801というのがあって「密閉型ツインドライブ方式のサブウーファー」らしいのだが・・・ようするに逆相2ユニットの密閉ってことなのかな(詳細不明)。こちらはステレオミニ+ステレオRCA+角型光デジタルの3入力で、サテライトの「最大出力」が18Wになっている。

ウーファー本体には電源スイッチくらいしかついておらず、スピーカスタンド(というか台座?)の片方が有線リモコンになっており、音量調節やら入力選択やらはそこで行う。有線リモコンを接続しないと本体の電源すら入らないし、動作中にリモコンを外すと電源が落ちてしまうという、日本の家電らしい鈍臭い仕様になっている。これとは別に赤外線っぽい普通のリモコンも付属しており、バスブーストの選択などはこちらでしかできない、のだと思う(受光部は有線リモコンの本体についてる)。

やっぱり車載

非常に重要な情報
この機種は車載を前提とした製品ではなく、電源、温度、振動など一般家庭と異なる環境に晒すと故障の原因になり、安全性も保証されません。設置方法を誤ると、運転の支障や事故の原因、あるいは安全装置の妨げになる可能性があります。ケーブル類(とくに電源関係)を踏まれる場所や折り曲げられる場所に設置すると火災の原因になります。

重要な情報
以下はあくまで「やってみたら動いた」という報告と「やってないけど動くかも」という推測であって、使い方の推奨ではありません。

まったくテストせず買ってすぐ車に置いてしまったのだが・・・まあまあなんじゃないか。値段(2002年の発売当時1万円ちょいだった模様)が少し高い分なのか、MM-SPSW7BKよりはちょっとモノがいい、ような気がする。サテライトスピーカはケーブルの生え方(ワンタッチ式のプッシュターミナルじゃなく、本体から直接生えている)が邪魔で取り回しに苦労するが、指向性が穏やかなので設置位置にはそれほど敏感でない。ウーファーは本来前面の部分が底面になるよう転がして設置した。

積んでみると車の中に合う。普通に使うと、ウーファーから締まりのない中低音がブヨブヨとタレ流しになり、サテライトはちょっと音量を上げるとキンキンに割れ、上過ぎるクロスオーバーで濁りまで生じ手が付けられないところなのかもしれないが、車の中だと思ったほどは気にならない。最大音量は稼げないが、サテライトの明瞭感に車内の狭さも手伝って明らかに不足するほどでもない(少なくともMM-SPSW7BKの楕円サテライトよりはずっと出る)し、レイアウトが変則になって半端なサテライトマウントっぽくなってしまったため繋がりの悪さも問題にならないし、中低音のタレ流しは(多分バスブーストを切れば緩和できるのだろうが、電源入れるたびに無線リモコンを操作するのがかったるいので)再生機器側で下をゴッソリ削ってから送ればまずまずガマンできるレベルになった。

全体として、サテライトをNXT方式にしたという1点は意欲的だったのかもしれないが、それ以外のすべてが非常に鈍臭いデザインになっており、日本のダメ家電の見本みたいな出来。しかし車内という極端に劣悪な環境では短所がそれほど目立たなくなっており、結果的には悪くない選択だったのではないかと思う。


SPD-51WLとSC-LS10と映像機器

SPD-51WLは山善(Qriom)のミニチュア5.1chシステムで、サブウーファー兼パワーアンプのユニットだけ中古で売っていた(税込み1500円くらいだっけな?もうちょい安かったかも:2017年だと思う)のを買うだけ買って死蔵していた。SC-LS10はパナソニック(海外ではTechnicsブランド)のCDコンポで、2019年にスピーカだけ中古で売っていたのを500円で買った。仕事場(メジャーで雑に計ってみたら6mちょいx7.5mx2.7mくらい、壁にちょっと凹凸があって、面積としては団地間30畳ないくらい)にスピーカを置こうと思ってSPD-51WLを引っ張り出し、パッシブスピーカを見繕おうと思ったら中古屋にSC-LS10が安く出ていた、という経緯。

仕様を確認しておこう。SPD-51WLのサブウーファーはサイズがわからないのだが、ネット越しに見た感じ13cmか5インチかなという気がする(本体デカいのになんで小さいユニット使ってるのか不思議)。側面にユニット前面にバスレフポートという構成。

サイズ:サブウーハー:幅166×奥行356×高さ265mm
重量:本体サブウーファー5.6kg 最大出力:サブウーハー:20W
最大出力:センター/フロント/リアスピーカー:7W
入力端子:RCA端子、径3.5mmステレオ端子
入力端子:デジタルオーディオ(光/同軸)入力端
消費電力:メインユニット90(スタンバイ時 15W)
消費電力:リアユニット30W
SC-LS10のスピーカは、ネットを外してみたら3wayだった(知らずに買った)。テーブルトップのミニチュアスピーカに見られるような、前面バッフルが後ろにオーバーハングしていくデザインで、奥行きが非常に薄い。この「ダイナミック・ドライブスピーカー(D.D.スピーカー)」とか「アクティブ・エアー・カップリングウーハー」というのは、出口ポートをパッシブラジエーター(ドローンコーン)に代えたバンドパス(ケルトン)方式のようで、だからこんなに体積を小さくできたのだろう。
インピーダンス:4Ω
クロスオーバー周波数:250Hz、5kHz
許容入力:60W(ミュージック)、30W(DIN)
再生周波数帯域:38Hz~30kHz(-16dB)
使用スピーカー:ウーハ;16cmアクティブエアーカップリングウーハー、メインユニット;6.5cmコーンタイプユニット、ツィーター;ドームタイプユニット
重量:3.2kg
音圧レベル:79dB/W(1.0m)
寸法:300x312x170mm
情報を適宜集約し表組み等を改めた。SPD-51WLの最大出力7Wに対してSC-LS10の耐入力が30W、インピーダンスも4Ωでバッチリだった。

SPD-51WLはデジタル入力があるパワーアンプが安かったのでなんとなく買っただけなのだが、アナログで入れるとオートミュート(入力が小さくなると勝手にミュートされる)がうっとおしく、サブウーファーとしてもミニチュアシステム用のものに過ぎず200Hz以下が歪みまくりなので、根元に置ける別のサブウーファーが手に入ったらリプレイスしたい。だいたい、デジタル出力できるプレーヤー持ってないのに、どうしてデジタル対応アンプを買ったのか、自分でもイマイチ理解できない・・・と思っていたが、後からグリーンハウスのDVDプレーヤーGH-DVP1Dを買い足し、音声入力をS/PDIFのコアキシャルに統一できたため、アンプとしての不満点はなくなった(ついでに中古で安かったエプソンのプロジェクターEMP-TW10Hも買ってしまったので、映画も見られるようになった:プロジェクターを毎回起動するのは面倒なので、OBESTとかいうブランドの車載用ミニモニターをサブ出力にしている)。アンプにデジタル入力があって(アナログ入力がマトモなら、そっちから入れてもまったく問題なかったような気がしてならないものの)結果的には役立った。

GH-DVP1Dは新品で買ったのでなにがどうということもないのだが、USBメモリをメインに使う場合ファイルフォーマットの縛りが(当然だけど)ある。拡張子での判別が先で、特定の拡張子(mpgとかmpegとかmp3とか)以外のファイルは認識もされない。中身は、動画ならmpeg1とmpeg2、音声はmp3、静止画はjpegが対応ファイルなので、手元ではファイルの変換が必要になった。コンテナには対応していて、映像のコーデックが合わず音声はデコードできるようなケースでは、音声だけ再生される。mpeg4で記録されたDVDやPCMで記録されたCDはもちろん再生できるが、USBメモリ経由だとmp4やwavの再生はできない(バーンイン用のwavファイルが読めなかったのでCDに焼いた)。ここだけクリアすれば普通に使えて、手元では全部の動画をmpeg2に変換して問題なく再生できている。

SC-LS10は掘り出し物だった。体積が極端に小さいキャビネットなのだが一応6.5インチ(もうちょい正確には6.3インチ)、ネットを外すと、左右同構造(ツイーターが左でスコーカーが右)でパッシブラジエーターは逆ドーム型(というか皿型)っぽい感じ。部屋が広くニアフィールドから逸脱しているので、上向きレイアウトがありがたい。最大音量は大したものではないが、30畳の部屋に15人入れて映画を見ても破綻しないくらいのレベルだと思う(もともと2ch前提のスピーカにサブウーファーを足しているため、ウーファーのストロークに余裕ができ、スコーカーで音が割れる手前まで音量を上げられる:単体で鳴らすと、下はもともと量が出ていないようだ)。いろいろと無理をした感じは否めないものの出音もそう悪いものではなく、このスピーカをペア500円で買えたのはラッキーだった(隣にトールスピーカもあったけど、6Ωだったし値段も5倍くらい高かったのよね)。サインスイープを入れると、多少のギクシャクはありつつもそれなりに鳴って、とくに上はスッキリ出る。

入力にはXENYX302USB(車載セットがシンプルになったので余ってた:SPD-51WLのアナログ入力はやたら感度が低いので、ブースターとしても活躍)とポータブルプレーヤーを使っていたが、すでに触れたように、USBメモリを読めるDVDプレーヤーを中心にデジタルで送るやり方に改めた。SPD-51WLが1500円、SC-LS10が500円、GH-DVP1Dが4000円、ミニモニターが1250円くらいだったので、合計7500円くらい+手元にあったケーブルとかアダプタとかでホームシアターシステム(家じゃないけど)が組めてしまった計算になる。いやー、いい世の中になったものだ。


S-X620VとTPA3116とSL-207

S-X620Vという名称は本体に書いてあるものだが、調べてみたところPioneerの「プライベートCD700AV」のスピーカだと思われる。2019年に中古屋で本体3000円(税込3240円:非ジャンク)だったのを見てなんとなく買った。いわゆるバブルコンポの残骸で、220mmウーファー+77mmミッドレンジ+66mmツイーター+前面バスレフのパッシブ3way、6Ωで最大入力100Wの防磁型(上位機種と思われるプライベートCD770Dのスピーカは背面バスレフで、ウーファーも230mmと微妙に大きいらしい)。寸法の仕様ははっきりわからなかったが、どうも490x270x255mmの8kgっぽい。

鳴りはまあまあ(サインスイープ食わせたら40Hz弱から出始めて65Hzくらいでしっかりする)なのだが、8.5インチ(もうちょい正確には8.66インチ)の3wayだけあってニアフィールドでは使いにくい。仕事場に持って行って1辺3mの正三角形レイアウトを試したところなかなかよかった(からといって仕事場にこれを置くかというと・・・置きたくないし置いても使い道がない)。やっぱりニアフィールドの王道は8インチ2wayで、どうしても3wayというなら6~6.5インチ(上に出てきたSC-LS10もそうだし、FostexのニアフィールドアクティブモニタPM641もこのクラス)しかないんだろう。ということでしばらく死蔵することになりそうだが、モノが悪いわけではないのでいつか活躍してくれることを期待したい。

wavesのTPA3116はTIのTPA3116D2を使ったデジタルパワーアンプで、いちおう据え置きのパワーアンプも持っとくかなという曖昧な動機で2019年に購入(新品で4000円)。「waves」というのはプラグインで有名なWaves Audioとは関係ないようで、「waves 高橋」さんという人が運営する大阪市の「ウェイブス - 安心の国内ショップ」の名称から来ているらしい。公開されていた仕様を一部抜粋。

稼働電圧範囲:DC8V-25V
推奨電源:DC12V~24V 100W以上
電源ジャック 2.1φ/2.5φ 5.5mm
90x35x108mm
12V ------- 8Ω/12W + 12W,4Ω/20W + 20W
15V ------- 8Ω/18W + 18W,4Ω/30W + 30W
19V ------- 8Ω/32W + 32W,4Ω/45W + 45W
24V ------- 8Ω/38W + 38W,4Ω/55W + 55W
操作は電源のオンオフスイッチと音量ノブだけ。こういう割り切った(というかリファレンス通りに回路組んだだけの)デザインの方が、ヘタなお節介を焼かれるよりずっとよい。入力はRCAで、出力は先バラとバナナプラグ両対応のバインディングボスト(プラグも刺さるしネジを緩めれば裸線も巻けるタイプ)。

ONKYOのSL-207はホームオーディオ用のアクティブサブウーファー。買ったのはS-X620Vより後だが目を付けたのはもっと前で、中古が5000円を切ったら買おうと思ってチェックしていた(Amazonで送料込み4980円だかそのくらいだった)。

形式 アンプ内蔵 バスレフ型
用途 超低域再生専用
定格周波数範囲
FILTER: 28Hz~200Hz
DIRECT: 28Hz~1kHz
クロスオーバー周波数 50Hz~200Hz(可変)
実用最大出力 75W(5Ω・EIAJ)
入カインピーダンス
スピー力一入力: 4.7kΩ
ライン入カ: 54kΩ
入力感度
スピー力一入力: 2V
ライン入カ: 68mV
使用スピー力一 20cmウーファー
電源 AC100V(50/60Hz)
消費電力 50W(電気用品安全法技術基準)
外形寸法(W×H×D) 236×441×441mm
質量 12.5kg
付属品 接続用ピンコード(1)スペーサー(4)取扱説明書(本書1)オンキヨーご相談窓口・修理窓口のご案内(1)保証書(1)
その他 防磁対応(ElAJ)
モノラルのラインイン(RCAピン)とステレオのスピーカレベル入力(先バラのバインディングポスト)があり、スピーカレベル入力を使うときはスルー出力からパッシブスピーカに接続する(単なるバイパスで、電源が入っていなくてもスルーは可能)。どちらの入力を使ったとしても、モノラル信号>ローパス(オンオフ可能)>内蔵アンプ>サブウーファーの順序は変わらないよう。メーカーが想定するのはいわゆる「AVアンプ」を経由する使い方なのだろうが、2chのパワーアンプからスピーカレベルで繋いでも普通に使える。19インチラックが使えるなら、チャンネルディバイダー(PA用にディレイつきのゾーンコントローラーを志向した高級機ではなく、BEHRINGERのCX2310 V2とかASHLYのXR-1001みたいな「ローカットしたメイン信号+サブウーファー用のモノラル信号」が出力てきるタイプ)を噛ますのも手なのだろう。

サインスイープでごく雑にテストしたところ、35Hzくらいから上は(純音だと85db@1mまでは届きそうにないものの)それなりに出力できているよう(それより下も、歪まない最大音量が小さいだけで再生はされてるよう)。8インチユニットでずいぶん低いところまで頑張っているせいか、単に古くなって性能が落ちているのかわからないが、歪はかなり多い。上はカタログスペック通りかなり高いところまで出るし、フィルタをかけてもそれほどバッサリは切れない。クロスオーバー部分(50~70Hzあたり)は部屋の影響をモロに受けるためトライアンドエラーで調整するしかないが、バイパス状態での運用が簡単にできる(たんにサブウーファーの電源を落とせばよい)ので、モリモリに盛る形でもサラっと支える形でも、かなり自由に設定できる。S-X620V(すでに触れたようにかなり下まで出る)をメインスピーカにするなら、一番下(50Hz)で切って、ゲインも小さめ(スピーカレベルで入れるなら10時くらい)にして、ほとんどの時間はメインスピーカだけで頑張るけど極低音が鳴るときだけサブウーファーがチョコっと手助け、みたいな運用が自然だろうと思う(サブウーファーの使い方としては普通過ぎるほどの王道だけども)。

全部組み合わせたときのパフォーマンスはそれなりのものなので、どこかで活用したいのだが、アテがない。


その他

ヘッドフォン、イヤフォン、スピーカ以外のリスニング用機器。


S100

2012年5月に購入。韓国のアイリバー(旧レインコム:国内販売は2006年からMCJ系、子会社間での移管や合併が相次いだが2013年からはアユートの扱い)設計のオーディオプレーヤーで、WAV、MP3、WMA、OGG、ASF、FLAC、APEに対応するほか、AVI、WMV、MP4、AVC(H-264/AVC)を動画として再生できる(ただしフォーマットに制限あり:後述)。ちょっと変わったところでテキストファイルも(書き込みはできないが)表示でき、静止画もJPEG、BMP、PMG、GIFに対応。

58x105x9.8mmの77gで画面は2.83インチTFT(QVGA=240x320)。タッチパネルもカメラもないが、なぜかFMチューナーと内蔵マイクがありエアチェックもできる。ネット接続機能やUSBホスト機能はなく、パソコンとUSB接続するとUSBスレーブになりただのリムーバブルディスクに見える(SDカードをインストールしてあると、内部ストレージと合計で2ドライブと見なされる)。生産終了直後の叩き売りで買った(3千円くらいだったと思う)のだが、そのちょっと前にファームウェアアップデートがあったようで、最新ファームでは安定して動いた(中身はまったく確認していないが外っ面から、どうも組み込みLinuxのカスタマイズ版ではないかと思う)。

美点はなにしろ余計な機能がついていないことで、操作もシンプルだし電池も持つ(公称で、音声の連続再生42時間、動画の連続再生7.5時間:普通に使っていれば週に1回の充電で十分)。パソコンに接続するとただのUSBメモリとして振舞うので、うっとおしい専用ソフトを入れてああでもないこうでもないと騒がなくても管理できる。

粗もある

ヘッドフォンアンプの出力が大きい。説明書には18mW@16Ω2発だと書いてあり、最大出力は実際そのくらいなのだが、音量が0~40の設定で、100dbSPL/1mWくらいのヘッドフォンやイヤフォンを繋ぐと10くらいでも十分うるさい。ボリュームカーブが変なんだと思う。

すでに触れたように、動画再生はオマケ程度で、再生できないフォーマットが多い。まあこれは仕方ないのだが、音声でも22.05KHzサンプリングのWavを受け付けなかったりと、そのくらいはしてくれてもいいんじゃないかというものもある。

右ボタンのファンクションが、イコライザ変更、リピート設定、ABリピートの3つだけなのが面倒。せめて無効が選べればよかったのだが。エンドレス再生にしてあると電源のオートオフが効かず気付いたら電池切れということがあるので、筆者はABリピートに割り当てている(イコライザに割り当てると誤操作したときに元に戻すのがかったるい)。

普通に使って1年くらいで、バックグラウンドノイズが目立つようになった。ビットの荒いピンクノイズといった感じの音で、ボリューム設定に関係なく、フォルダ移動やEQの設定変更などを行うとキュルキュルという高い周波数のノイズも混じるので、他の部品からのノイズをボリュームの後ろで拾っているのだと思われる。買った当初は気にならなかったので、経年劣化でシールドが甘くなったのかも。大音量で再生してアッテネーター経由で音を出せば問題がないのはわかるがかったるい。

他のオーディオ機器に接続してかつごく不安定な電源(車載用3way電源など)から給電するとハムノイズが乗る、というか、給電のグランドと音声(ミニプラグ出力)のグランドにギャップがある場合に耐性がない。もともと音声出力にはイヤフォンorヘッドフォンを繋ぐ前提の機器で、その接続なら大きな問題は生じず不備ではないが、グランドの扱いが不完全な機器と接続する場合には注意が必要。

けっこう長持ちした

2015年5月にヘッドフォンジャックがイカれて引退。屋外や車内も含めたポータブル機としての常用に丸3年耐えたのだから、寿命はそれなりだったと見るべきか(バッテリーが元気なのは立派)。ヘッドフォンジャック以外は無事だが直す予定はなし。

追記:後から買った同じくらいの価格のモノと比べるとかなり優秀なプレーヤーだったと思う。メーカーが迷走してよくわかんない方向に行っちゃった(と思う)のでもう製品を買うことはないだろうが、S100自体は(筆者が入手した価格に比して)よい買い物だった。


M2

韓国Cowonのポータブルプレーヤーで、型番はM2-32G-BK(のはず)。S100が壊れた後ずっと狙ってはいたのだが価格(当時2万円くらい)が高く、2016年1月にAmazonで15000円くらいまで下がったのを機に購入。画面保護用のフィルム(1500円くらいだっけな:剥離紙が両面についていることに気付かず一瞬焦った)も一緒に買った。

操作性は言われるほど悪くない

操作性の評判がよろしくない機種ではあるものの、アドエスを長年使っている筆者からすると、タッチパネル自体はストレスを感じさせるようなモノではない。が、スイープが基本操作に取り入れられていたり長タップでのスクロールができなかったりと、操作体系がいまひとつな気がする(ハードが感圧式なのにソフトが静電容量式前提になっているような印象)。「タッチ較正」はやっておいた方がよい。

7つあるハードウェアボタンはそれなりに便利で、配置(たぶん左手で使う前提なのだとは思う)が鈍くさいもののタッチパネルだけロックする機能もあり、主要操作がワンタッチでできる利点は思ったより大きい(音量操作がボタン長押しとかになっている機種よりずっとよい)。不満点はむしろ、メニューボタン(Mボタン)への依存度が高いことなど、パネル操作との相互乗り入れにある。電源ボタンを短押しすると、操作ロック>画面オフ>通常状態と変遷するが、ロック解除は長押しにした方が安心だったかもしれない。

ブラウザ機能もまあまあの出来で、せっかくなんだからハードウェアボタンと連携させたりすれば(巻き戻し/早送りボタンをスクロールに割り当てるとか)よかったのになとは思うものの、普通レベルではあると思う。筆者はこの手の機器を使うときに英語表示にすることが多いのだが、表示言語とテキストファイルの文字コード設定が連動しているようで、日本語表示にしないと日本語ファイルが文字化けしてしまう(日本語表示でも酷くはないので日本語で使っている)。

全体として、賞賛されるほど優れた操作性ではないし、もう少しなんとかなりそうな部分もあるが、ストレスを感じるほど悪くもない印象。

音楽プレーヤーとしての基本機能には抜かりない

たかがポータブルプレーヤーが15000円もするだけあって、ヘッドフォン出力は文句のないレベル。音量は40段階で、k240mk2を繋いで音圧が低い曲をガンガンのボリュームで再生しても、全開までは必要ないと思う(Zepのライブ盤でも、筆者は38までで足りた)。ボリュームカーブも自然な感じで、38~40が少し離れている。スピーカとマイクは単なるオマケだし、使う機会もないので評価外(スピーカ機能はOFFにできるし、ヘッドフォンとスピーカが独立ボリュームになっている)。

製品のウリであるJetEffect5&BBE+だが、そもそもポータブルプレーヤーにエキサイターとかリバーブなんてのは必要ないわけで、筆者はまったく使っていない(ラウドネス対策にならないかなと少しイジってみたが、小音量用のEQプリセットを用意した方が早いことに気付いてやめた)。WinampみたいにVSTプラグインが読めれば最高だったのだが、さすがにそこまでは望めないか。

5極EQは納得の出来というか、欲を言えば両端にシェルビングが欲しかったものの、ユーザープリセットが4つもあり便利に使える。ピーク周波数とQを数段階で選べるセミパラメトリック式なのも意外なほど有用で、それなりの性能のヘッドフォン・イヤフォンを繋いでやると本領を発揮する(Qを「wide」にしてざっくり使うといい感じ)。ピーク周波数の上限が13KHzなのはあまり気にならない。リスニングスピーカ、車載スピーカ、イヤフォン、ヘッドフォンと、出力先を変えたときにそれぞれ用のカスタムEQに切り替えられるのが、ポータブルプレーヤーとしての最大の利点だと思う(せっかく文字入力ができるのだし、ラベルをつけられたらサイコーだったのに)。

筆者はMX471(出先用にするのもったいないんだけどねぇ、絶版になっちゃったから)をメインの出力先にした。プレーヤーの基本性能がいいので出先用の密閉ヘッドフォンも欲しいような気がするが、じっくり聴けるサイズのものだと持ち運びが面倒なので考えどころ(しばらくはMX471のままかな)。

音楽再生以外の機能

ファイル管理は、MSC(Mass Storage Class)モードでパソコンと繋ぐと単なるUSBメモリに見えるのでサクサクできる。MTP(Media Transfer Protocol)で繋いでも本体が停止してしまうのでメリットがいまひとつわからない。いったんUSB接続すると電源が完全に切れるが、ファイル入れ替え(データベース更新が入る)さえなければイライラするほど起動は遅くない(筆者は)。

公称90時間再生を謳っているだけあって電池は持つ。デフォルトだとUSB接続をしない場合電源オフの代わりにスリープになり、次回起動が早い。本体のUSB端子はMicroBで、以前(多分アドエス用のMiniAかS100用のMiniBと)間違って買ってきた巻き取り式充電ケーブルが使えた(電源を入れてからUSB接続するか、充電中にメニューボタンを押すと、再生しながらの充電ができるが、給電が不安定だとノイズが乗る)。

2.8インチ320*240画面を「73.4mm(W)x53.1mm(H)x13.8mm(D) / 75g」のコンパクトサイズに詰め込んであるのはさすが。テキスト表示(筆者としては必須機能だった)は画面サイズの割に読みやすく、アルファベット限定だが入力もできるのは便利。手書きメモも便利そうではあるのだが今のところ活用していない。計算機とかストップウオッチとかは・・・まあ使わないだろうがあって悪いものでもなさそう。

動画再生もけっこうスムーズ。ただし対応フォーマットは限定的で、非対応のものはXMedia RecodeやMediaCoderなどの変換ソフトで変換してやる必要がある(MediaCoderといえば、2009年にffmpeg(のDiegoさん)とGPL違反でモメてたはずだが、今は普通に収録してるみたい:仲直りしたのかね)。動画再生中はシングルタスクっぽくなる(音楽再生時のように、再生しっぱなしで他の機能を使うことはできない:メニューボタンで画面を切り替えると再生が終了する)。

取扱説明書には最低限の記述しかなく、勘で操作してわけがわからなくなるようなものでもないが、「USER DEFINED」設定(テーマが自動でデフォルトに戻るのを無効化する)など一見意味がわからないものや、「APPS」など何に使うのかわからないもの(たぶん外部アプリの起動用だと思う)もある。

カスタマイズ性はそう高くなく、S100でできた背景画像の変更はもちろん、デフォルトページ(筆者としてはメイン画面の1つ下の時計とカレンダーがあるページをデフォルトにしたいのだが)の変更もできない模様。

全体として

価格がやや高かったが、S100と比べると高級機種らしさみたいなものはそれなりに感じられる。常用する上でネックになるような粗もないので、しばらくは出先用のメインとして活躍しそう。このメーカーも「ハイレゾの国」に飛び去っちゃったようでいて、ローエンドはローエンドでしっかり離してないあたりのバランス感覚がなんとも微笑ましい。


MP330(TS8GMP330K)

これも新品で、2015年に3000円ちょっとで買った。美点はとにかく小さいこと。機能、性能、操作性どれをとってもイマイチ以下ではあるものの、決定的にダメというほどダメではなく、かつとても小さい。どうせ電池がヘタるまでの使い捨て、と思って買ったのではあるが、2019年になってもまだ動いている(ちょっと意外)。USBストレージとしてはなんか変な挙動があり、コンビニのコピー機は認識してくれない。グリーンハウスが出しているGH-KANADT8(乾電池バージョンはGH-KANADB8)とソックリな構成。使ってはいるけど壊れても買い換えしなさそうな、微妙なポジションに居る。



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