小物、消耗品、ケーブルとアダプタ、ラックとスタンドなど


もどる / ローコスト制作の目次に戻る
<この記事は書きかけです>

小物、消耗品、ケーブルとアダプタ、ラックとスタンドなどについて。筆者はこんなモノを使っているというだけで、有益な情報は多分ない。

重要な情報
この記事は筆者が購入した個体に関するもので、その後のバージョンアップや仕様変更に追従していない、あるいは個体差や環境の違いを考慮していない記述があります。最悪のケースとしてたとえば、筆者が自分の不注意で壊した機材を(そうと知らずに)「粗悪品」と評している可能性もある、ということに注意してください。

小物と消耗品

イヤフォン(いっぱい持ってる)を買うとついてくるポーチは便利(変換プラグなんかを入れている)。ガワが布の携帯用灰皿なんかも小物入れに使える(ピックや家の鍵なんかを入れている)。煙草入れなんかも意外と便利。

マウス用のパームレストがマイク置きに使える(そのまま録音してもけっこうよく録れる)。布っぽい表面のマウスパッド(安物推奨だがプラスチックの上に長期間置く場合は貼り付きに注意)もいろいろ便利。

電池、光学ディスク、磁気メディアは大半がマクセル、アナログのカセットテープだけTDK。とくに乾電池はマクセル以外ほとんど買わない(その割にUSBメモリとかSDカードの類は店頭で安かったものをテキトーに買うので、多分惰性で同じメーカーのものを買っているだけなのだろう:フロッピーディスク時代に複数メーカーの製品を使っていて、マクセルのものが一番長生きしたときのイメージがまだ抜けない)。CD-Rはスピンドル買いする。

補助工具としてCRUZTOOLSのMULTI-TOOLSも用意してあるが、十徳系のポケットツールなので、できれば普通の工具を使いたいところ。しかし、これがあれば「レンチがなくて回らない」という状況はほとんど回避できるので予備や出先用としては重宝している(フェルナンデスの6本セット(WRM-700とWRI-700)も持ってはいるが、MULTI-TOOLSの方が携帯性がよくあまり出番がない)。

耳栓

筆者は耳栓愛用者で音楽用にも使わないことはない(気が利かないライブハウスで直撃スポットに座ったときくらいだけど)。シイベルヘグナーのイヤーウィスパー(レギュラー)や3M(Nexcare)のイヤープラグ(フォーム)あたりを使っていたのだが、最近はスポンジタイプならどれでもいいやという考えで気がついたときに目についたものを買っている。さっき引き出しを開けたらダダリオ(PLANET WAVES)のPWEP1が入っていた。モノとしてはイヤープラグが一番好き。追記:量が必要になる事情があってMOLDEXのメテオを買ってみたが、十分使える。けっこうな数が余りそうだし、当分はこれでいいかな。

イヤーマフはVIC FIRTHのDB22(作っているのはPeltor、と箱に書いてあった)。本気系の製品だけあって現場(そりゃもう、解体現場でも掘削現場でも、伐採現場でもイケちゃう)での信頼性は高い。大型のエレキギターアンプを使ってクリーンアンドラウドサウンドを試すときは必ず使っているが、それ以外の出番はあまりない。

ER20などのフランジタイプはあまり好きでなかったのだが、これはこれで便利な道具で、ヒモをつけると着脱が頻繁なときに手軽だし、振動もスポンジタイプほどは耳に付かず、聴こえ方もスポンジタイプやイヤーマフほどは変わらない(が着けないのと同じというのはムリ)。ただし、耳への攻撃性が強い周波数域があまり削れないのもあり、耳の保護としてはあくまで「刺激をちょっと緩和」程度、本当に危険な音圧への対策として使えるようなものではない。もともとたいしたことのない遮音性能をさらにスポイルする使い方ではあるが、微妙な隙間を作ってルーズに着用すると振動が耳の中で反響する現象がかなり抑えられるため、ドラムスの演奏に耳栓を使うときはたいていこれを選ぶようになった。

余談:試したことはないのだが、シリコン耳栓とかシリコンイヤープラグと呼ばれる粘土状の耳栓も市販されている。

ギター周辺

ピックについては、長くなるのでオマケ1を参照。ちなみに筆者の指弾きとピック弾きの頻度は、自宅だと9:1くらい、リハスタだと3:7くらいだと思う。追記:田舎に引っ越したので家でも3:7くらいになった。

ストラップはERNIEBALLの4037。持っているだけでほぼ使っていない。というか筆者は「ギターをヒモで吊るのはカッコワルイ」という少数派だったりする。PEAVEYのSTRNは片方の肩にだけかける短い使い方をしたくて買ったのだが、子供用にミニギターをプレゼントしたときにオマケとして旅立った。

弦はエレキ用だとダダリオのEXL110がメイン、それ以外についてはオマケ4を参照。アコギ用ならミディアム、エレアコ用ならライトゲージの80/20がいいと思うが、それぞれワンゲージ細くても嫌だという程ではない(というか、レンタル品のエレアコに張ってあるので、どこの弦かは知らないがカスタムライトはけっこうよく使う)。コーティング弦はEXP110を試したが、なんとなく馴染めずやめてしまった。ニッパー(ストリングカッター)はPICKBOYの小さいのを使っており、比べるのもナンだが、ラジオペンチで弦を切るよりかなりラク。

音叉(筆者が所有する唯一のハードウェアチューナー)はなんとなくK&M、ちょっと豪華に168/2。やはり音叉は角型に限る(と、よくわかっていないが言ってみたかった)。でもあまり使っていない(だってメンドクセーんだもの、ラクだよデジタルは)。追記:トンボの調子笛も購入した。これってハーモニカの笛を円盤状に配置しただけなのでは・・・という気はするが、使うときに両手が空くので素早く作業できる。音叉の方が携帯性はよいと思う。

カポはメーカー不明のバネ式(楽器店で値段だけ見て購入)を使っていたがスポンジ部分が取れたのでダダリオ(PLANET WAVES)のRATCHET CAPO(PW-CP-01)というのを買ってみた。めったに使わないので軽くて小さいのが嬉しい。DUNLOPのスライドバー220 CHROMED STEELも持っているがほとんど使っていない(小物は買うのが好きなだけであんまり使わない)。ちなみに左薬指にはピッタリで右薬指に装着すると抜けなくなる(これで初めて自分の指の太さが左右同じでないことに気付いた)。製品の説明に「RING SIZE:9」とあるのは北米規格(直径が458+数字*32ミリインチ)で、日本の旧表記だと18~19号くらいの模様。

ドラムス周辺

スティックはPearlの110H(5Aよりもやや短く微妙に太い)とPROMARKのTX5ASW(Will Kennedyモデル、5AS STUDIO)がメイン(細かい話はオマケ参照)。どちらも操作性の高さが特徴で、110Hは1音1音狙って出すイメージが強くビート位置を動かす演奏に使いやすい一方、TX5ASWはリバウンドバランスが絶妙でゴーストノートが多いパターンでも自然に叩ける。それ以外のレギュラーラインナップは、メイプル「らしさ」を強く感じるVaterのVSMRECW(Sugar Maple Recording:ヒッコリーの無印「Recording」より1/8インチ短い)、シラカシを使い普通のオークよりも「らしさ」が薄く扱いやすいPROMARKのPW5AW(シグネチャモデルではないがLarry Mullen Jr.愛用品らしい)、可動バンドでCOOL RODSとHOT RODSを両方持つより荷物を減らせるVic FirthのRute(グリップ部分が太いので収納場所に少し制限がある)。TX5ASWとPW5AWは生産終了になってしまったが、後釜は検討中(追記:PW5AWは再販されたっぽい)。

TAMAのスティックバッグは以前あまり使っていなかったが、スティックの本数が増えてくると専用品はやはり便利。STB24系の製品であるのは間違いないが型番不明。現行品のSTB24Nと違って肩掛け用の紐が真ん中近くから生えており、肩に掛けたときバッグが縦になる(地味だがものすごく便利)。軽く調べたところSTB24Jというバージョンも同じレイアウトだったようだが装飾が異なる(筆者が持っているバージョンはフロントポケットにTAMAのロゴが刺繍してあり微妙に豪華:いつからか知らないがTSB24という微妙に型番が変わった12ペア収納の後継モデルが出たようで、肩紐配置もSTB24Jを踏襲している)。スペック表記では10ペア用になっているが、頑張れば11ペア入る(ムリヤリな使い方なので真似して壊しても知らないよ:実用上は7ペアまでにしておいた方が使いやすい)。2019年2月に島村で、KACES(キーボード・ギター・ドラムス向けのソフトorセミハードケースを作っているメーカーで、問い合わせ先の営業時間が米国太平洋標準時だったから、アメリカの会社なのだろう)の"Not Leather" Pro Stick/Mallet bag(KLSC-10)というジャンボスティックバッグが赤札になっていた(3000円くらいだっけな:直販サイトだと$89.95だからけっこう安かったみたい)のをなんとなく買って、2軍落ちしたスティックは全部そちらに収納した。とにかく膨大な収納力(20ペアくらいは余裕で入る)があるのでこれをメインにしてしまおうかとも思ったのだが、重いし、そもそもそんなに荷物が必要なわけではないことに気づいた。

2021年現在、上記で触れた110H、TX5ASW、VSMRECW、PW5AW、Ruteの5ペア以外で、メインのスティックバッグに入るものを挙げてみよう。PromucoのJohn Bonham Signature(19015JB)は、なにしろ「生音」がいい。ポピュラーミュージックのドラムスがマイク前提になって久しく、生音の価値は人と場合により大きく上下するだろうが、スネアを叩いてもライドを叩いても、このスティックは実に気持ちよく鳴らしてくれる。普通の5Aよりも少しだけ太く長い。LOS CABOSのLCD5AIRHも生音に特徴があり、とにかく強烈な音量を出せる。ヒッコリーの心材(メーカーはレッドヒッコリーと称している)を使っているらしく、やや濃い色合いで、普通のヒッコリーよりも重い。スティックには「5A」と印刷されているが、サイズは14.6×419mmとワンサイズ長い(本家サイトでは「5A Intense」というモデルになっている:同じレッドヒッコリーでLCD5ARHNという普通サイズの5Aも試したが、この重さだと長い方が扱いやすい気がする)。そのほかは流動的で、WINCENTのW-JS5A(モデル分けがよくわからないメーカー:筆者の手元にあるものは5AサイズのアコーンチップでJazz Stick 5A Selected Hickoryと印刷されている)、Vicの5A(W-JS5Aとキャラが被っているうえに、やや重く筆者の手だと少し扱いにくいが、独特の音色がある)、Pearlの110A(オークの扱いにくさを相殺するベストシェイプなんじゃないかと思う)あたり。全部詰め込むこともあるし、少し減らすこともある。

チューニングキーはヤマハのをバッグに入れてはあるが、ほとんど使っていない。ブラシも長いこと使ってなかったら2本あったうちの1本が行方不明になった(買い足す予定なし)。SlapKlatz(おもにスネアに使う粘着ミュート)はたまーーーに使ってはいる。ZILDJIANのグローブNAZLFGLVは、普通の手袋のつもりで買ったら演奏用としても意外とよかった(常用には至っていない)。包装に「汗かくと手がちょっと黒くなるんでヨロシク」と書いてあるとおり、使い始めはやや色が移る。

メンテナンス用品

クロスはARIAのCC500(ややゴツい)とFERNANDESのPolishing Cloth 625S(ややソフト)。他には、手ぬぐい(お歳暮だかお中元だかの余りもの)と雑巾布(コンビニだったか100円ショップだったか、とにかくその辺で購入)くらいで布は足りている。これに限らず、ARIAとFERNANDESは便利グッズが充実していて、わかっていらっしゃるなという感じがする。

クリーニングケミカルはKEN SMITHのPRO FORMULA POLISH(普通用途)とCLASSIC WAX POLISH(指板用)。どちらもごく普通。

爪やすりはサウンドハウスでみかけたZWILLING.J.A.HENCKELSのをなんとなく使っているがやはり普通。ブランド品なので少し気分がよい。たまに使うニューメタルツメキリNC900は、FERNANDESブランドだが製造は貝印(だとパッケージに書いてある)。たかが爪切りが1000円近くするだけあって「コストで力押ししました」と言わんばかりの精巧な仕上がり。たいへん使いやすい。

怪しい小物

便利に使っている人もいるのだろうが、筆者には活用法がいまいちピンとこなかった小物たち。

ZILDJIANのドラムスティックワックスは、まずフタが開かなかった。ネジでないことに気付き強引に引っ張ったら開いた。次に中身が取り出せなかった。ワリバシを突っ込んでこじったらガワの缶が歪んだが出てきた。さらに塗り方がわからなかった。ハコには「apply」としか書いていない。スキー板用ワックスの要領で溶かせばいいのかなと思い暖めたら柔らかくなったのでスティック(当然ながら、実験台はZENNのアレ:HICKORY 5A WOOD TIPを選んだ)に塗ってみたところ、たしかに滑らなくなった。最終的に、ドラムスティックはある程度滑った方が使いやすいということを学習した。木に塗ると滑らなくなるワックス(松脂の長寿命バージョン)なので、工具の柄なんかに使おうかと検討中。

グランドギター社の弱音器は完全にネタとして買ったのだが、パッケージがすごい。このパッケージを手にしただけでも、500円の価値はあったと断言できる。どのようにすごいのかは教えてあげないので各自購入のうえ確認しよう。裏面と表面の両方すごいので、お金がある人は2つ買って並べて額に入れよう。サイレントピックとかいうアコギ用のペラペラピックも欲しいんだけどどこに売ってるんだろうなぁ(なんでも「アコギの音が約2/1に」らしいのだが、注釈を見ると「音量目安:82db→48db」とありなかなかにブッ飛んでいる)。

ミュート器具にはイロモノが多く、TAMAのTCP10D(ドラムスティックのチップに被せるカバー)も楽しいデザイン。部品としては小さくそんなに重いものではないが、装着する場所が場所なので重量バランスが大きく変わる。また外れないようタイトに作ってあるのか、同社が「ポピュラー」と称している細長チップでも、付け外しはけっこう大変である。5分ぐらい頑張ったところZennのHICKORY 5A WOOD TIPにも装着できたが、外せるかどうかは試す気がないので不明(ラバーチップのイロモノスティックとして使う予定)。

耳栓ではノガノイズカット耳栓HQ2000(サウンドハウスのサイトによるとギターやベース用の金属パーツ(フレットやブリッジなど)を扱っているFREEDOM CUSTOM GUITAR RESEARCHというブランドのものらしいが、パッケージにはそんな表記は見当たらず、販売元は埼玉県のノガ・ジャパン株式会社になっている:カタログの写真にもノガのロゴがあるし、少なくとも見た目上パチモノとかではない)。穴が開いた風船に尻尾をつけたような構造で、500~2000Hzあたりをあまり遮らないのが特徴らしい。パッケージの記述によると500Hzより下も抜けてくるようで、体感としては上の方が遮られつつ濁るようなイメージ。呼吸など体内の音が響かないことを期待して買ったもので、音の遮り方に対してはそれなりに快適(ER20の方が快適だがHQ2000の方が高音を遮る)。空気圧調整機能つきらしいがどういう仕組みなのかよくわからない。モノが悪いとは思わないものの、利便性優先ならER20で間に合ってしまうためイマイチ出番が無い。正面からだとあまり目立たないのは美点。

練習グッズにもイロモノは多く、まだ入手してないブツにFINGERWEIGHTS(メーカー名なのか製品名なのか不明)という「大リーガー養成ギブスのギターバージョン」みたいなものがあり、楽しげなのだが値段が高い。なぜ「演奏しながら」筋力トレーニングをしようと思ったのか非常に謎である。ダダリオ(PLANET WAVES)のVari-Grip(PW-VG-01)とかDynaflex(PW-DFP)ならまだわかるのだが。SHREDNECKというこれもメーカーだか製品だか、とにかく「ギターのナット~7フレまで」みたいなブツがギタートレーニングツールとして売られている(しかもラインナップが豊富でシグネチャモデルまである)。もう1つ面白そうなのがRHYTHMTECHのRT2430というスティックボール。サウンドハウスのサイトには「スティックボールはドラムスティックに取り付けることができるシェイカーです」とある。LPのLP442F(フィンガーショット)ならまだわかるが、その発想はなかった。

ギターのヘッドにつけて重くするという「言いたいことはわかるけどチューナーでも挟めばいいんじゃないか」的なツールFat Fingerが、なぜかGroove TubesからFenderの扱いに変わって再登場しているのも気になる(と思ったら、同じ発想のFATHEADという真鍮の板が東海楽器のデッドストックコーナーに並んでいた:こっちは昔の流行品としてわからなくもないし、見た目がカッコよさげ)。ダダリオ(PLANET WAVES)のピック皿付きギターレストPW-GR-01はすばらしい発想だと思う(すばらしい製品かどうかは知らない)が、国内で扱っている店が見つからなかった。VOXのドアストッパーとかマーシャルの冷蔵庫なんかは、ぜんぜん欲しくないが清清しいデザイン。弦ごとにカポをバイパスできるTONE GEARのSPIDER CAPOも、見た目などがステキである。チューニングキーと栓抜きを合体させたWINCENTのWROCKKEYは筆者好みのセンス。STRUMBUDDYというメーカーがギター用とマイクスタンド用のスマートフォンホルダー(しかも電話ケースに板磁石を仕込んでくっつけるだけという大胆なデザイン)を作っておりちょっと欲しかったが、自分の電話には使いたくないのでやめた。

ケーブルとアダプタ類

音声用はクラシックプロのものが多い。安いし普通に使える。ライン用、楽器用、マイク用とグレードがあるが、自宅で使う分には全部ライン用(細いので取り回しがよい)で構わないような気がする。あとはHOSAとかオーディオテクニカとかソニーとかビクターとかカナレとか、機材を買ったらオマケでついてきたものとか。電源周りはごちゃ混ぜだったが、2011年からサンワサプライを優先的に入れるようにした。どれもとくに問題なかったのだが、クラシックプロのパッチケーブル(CPP8xxシリーズ)は2年くらい(だと思う)使ったところでグランドの導通(というかプラグとケーブルの接触)が怪しいものが出てきた。まあ8本で650円とか1000円とかのモノだしそんなところだろう。それより前に買った1本300円のフォンケーブルなんかはまだ元気(追記:10年くらいで、使えなくなる個体がだんだん増えてきた)。

ミキサーのメインアウトのみMONSTER CABLE(しかもDJ用)を使っている(キャノンメス<>ステレオフォンオスのデュアルケーブルを探したら、これしか見つからなかった)。中身が無酸素銅なせいか曲げ半径が大きく、普通に使いにくい。
追記:メーカーの名誉のためにいちおう断っておくが、このケーブルはボッタクリ商品では決してない。ただし、曲げ半径は大きい。カナレやテクニカあたりのシングルケーブルにも1000~2000円くらいのものは普通にあり、ちょっと凝った外見のデュアルケーブルが3000円くらいしても何の不思議もない。しかし、曲げ半径が大きい。また「DJ用」の表記も茶化したが、「ルックスにも配慮したケーブル」という意味で「DJ用」というカテゴリがあるのはごく普通のことだろう(それが筆者にとっては不要な配慮だっただけ)。とはいえ、曲げ半径は大きい。

真面目な話、最近のパソコン用オーディオ機器は標準ステレオフォンでバランス伝送するものが多く、一方でミキサーやモニタ用アクティブスピーカなどはキャノンで出し入れするのが普通で、妙にラインナップが薄いスポットができている。ケーブルメーカーさんにはローエンドのラインナップ拡充をよろしくお願いしたい。できれば曲げ半径が小さいタイプで。

DC9V系はACアダプタのページにまとめて書いた。パソコン用のケーブルはじゃんぱらのジャンク箱から買った素性不明のものと、新品で買ったものはエレコムのものが多い。

ケーブルストラップ(ケーブルタイ)はマジックテープ式のものを複数色用意している(クラシックプロのケーブルについてきたものもけっこう使える)が、ケーブルを平行して這わせるのはキモチワルイので、使っていないケーブルをまとめるためだけに使用。ハリガネにビニールを巻いたタイもけっこう使う。

ラックとスタンド類

メタルラック:普通のスチールパイプラック(もらいもの)。4段で横90cmの奥行き45cmの高さ150cmくらいか(目測)。下段に音楽関連の機器、中段にパソコンのディスプレイ2台と外付けの周辺機器、上段にスピーカとアンプ類とルートハブになる電源タップ、天井にそのうち使う予定の(しかしまったく使っていない)イロイロなものが乗っている。狭くなってきたからルミナスの5段120Wセットあたり欲しいなぁ。

合板:東急ハンズ(だったかな?)で購入、切断もしてもらった。スチールラックの一部やカラーボックスの上に敷いている。以前はテトリスのZブロック状(喩えがアレだな・・・)に自分でカットしたうえ複数の板を接着したものも使っていたが、何度か引っ越しているうちに処分した模様(覚えてない)。

19インチラック:クラシックプロのCRK-6。組み立てはけっこう大変だった(ネジは比較的しっかりしているものの付属の六角レンチがナメた:短い方を使ってラジオペンチでムリヤリ回した)が使う分には普通。スチールラックの下段だとサイズ的にこれが限界(上にミキサーを乗せたかったという都合もある)。

リヒトラブのA7330-24(机上台):本来の用途どおりディスプレイを置くのにも使っているが、ハーフラック1Uくらいの機材を積むのにも便利(上がちょっと空くので熱がこもりにくい)。

ARIAのAFT-100(足台):とっても便利。アルミ製で高さ調節が可能で携帯用ポーチつきで言うことがない。2011年10月に初代を壊してしまった(ラックの上の物を取ろうとして体重を思い切りかけたらひしゃげた:足台は脚立ではないという貴重な教訓になった)ので2代目を購入、自宅用にK&Mの14670も買い足してAFT-100は出先用にした。

マイクスタンドとギタースタンドとキーボードスタンド:なんとなくブランド品でK&Mを使っている。普通だが、脚を1つだけデコボコにして床のガタつきを吸収するアイディアはすばらしいと思う。ギター用は17530 BIG FOOTでたいへん使いやすいが、サウンドハウスが扱いをやめてしまったので追加購入のアテがなくなった。次に買うとしたら17590 WAVE 20か、IBANEZのPT32か、ZENNのGSEあたりか、さもなきゃ3~4本立てを買って17530を手元用に回すかなぁ。追記:結局17590にした。17530の方が好きだけど、十分使いやすい。さらに追記:17620がよさげ。欲しいけど17590で間に合ってたりする。

オマケ1(筆者のお気に入りピック)

ギター用ピックもいろいろ試したので感想を。まずは筆者のファーストチョイスから。

素材についても少し紹介しておこう。セルロイドは古くからメジャーなピック素材で、当初は鼈甲の代用品だったらしい。ナイロンは滑らかな手ごたえが特徴で出音も暴れがない無難な特性。筆者は厚めのピックが好きだが、ナイロンならワンサイズ薄くてよいと思う。ナイロンにカーボン繊維を充填して強度を上げたものがカーボンナイロンで、明るめのキャラになる。ウルテム(ウルテックス)はポリエーテルイミド樹脂(PEI)の製品名で、人の爪に似た特性と称することが多い。デルリンはポリアセタールホモポリマーの商品名だが、たんにポリアセタールというと(デュポン社製でない)デルリン類似樹脂を指すことが多い。ジュラコンはポリアセタールコポリマーの商品名(比べると、ホモポリマーは結晶性が高く機械強度に優れ、コポリマーは結晶性が低く寸法・化学安定性に優れる)。ポリカーボネートとアクリルはどちらも硬くて滑りがよいのが特徴でよく似ているが、弦の上で、ポリカーボネートがヌルヌル滑るとすればアクリルはツルツル滑る感じ(比べると、アクリルの方が堅くて脆い)。トーテックスは柔軟性のある素材で、薄いとしなり、厚いと粘りのある独特な応答を見せる。JTCのTritanはコポリエステル樹脂らしく、微妙に柔らかいがツルっと系の不思議な感触で、ナイロンとポリアセタールの中間みたいな感じ。MASTER 8 JAPANのINFINIX(ポリアセタールをツルっと系にしたような感じ)は特殊プラスチックらしく、それとウルテムを混ぜたのがINFINIX-U(少し引っ掻き感が出る)。TUSQはもともとナット用に開発された素材でたいへん硬く、ナイロンを硬くしたような、カーボンナイロンを薄く軽くしたような質感。

上記以外にクセの強いものとして、

多少の変動はあるが、2021年現在メインのピック入れ(長らく手元のテキトーなケースを使っていたが、GRECOのPKC-450/Bを買った)に入ってるのは上記くらい。

そのほか思いつくままに。

セルロイドはめったに使わないがいちおう持っており、他のピックと区別しやすいように、シグネチャーモデル以外は鼈甲柄と決めている・・・のだが、いまピック入れを見たらなぜかギブソンのミディアム(黒)が入っていた。シグネチャモデル、サムorフィンガーピック、変り種などは、 OSはピックを選びをしている最中の人にオススメ。なんとしてもこれより使いやすいピックを見つけたいという情熱を倍増させてくれる(これも生産終了してしまった模様)。もちろんIBANEZは普通のシグネチャモデルも多数ラインナップしており、Paul Gilbertモデル(小さめのワイドティアドロップ)やJohn Scofieldモデル(大きめのスリムティアドロップ)などはさすがの扱いやすさ。

オマケ2(5Aのドラムスティック)

なぜドラマーでもない奴(そんなこと言ったらギタリストでもないけど)がこんな紹介を書いているのだろうか。まあどうでもいいが、とにかく「5Aに近いシェイプ」のドラムスティックについていろいろと。以下、型番の後ろの括弧内は「長さ-グリップ径チップ形状」で、たとえば「398-14.5俵」なら「長さ398mm、グリップ径14.5mm、俵型チップ」の意。5Aとかいったサイズ表記はどうやら、ラディックの設立者であるWilliam Ludwigさんが始めたものらしく、Aが(Jazzの)ビッグバンド用、Bがコンサートバンド用、Sがマーチング用だったそうな(Dは他社が後から追加したダンスバンド(小編成ジャズ)用らしい)。現在では単に、Aが「普通」でBが「太め」、5が普通で7が小さく3が大きめ、くらいの雰囲気(8はメーカーによりバラバラ)。5Aというと、おおむね403~413-14.0~14.7、典型的には406.4-14.4mm(=16.0-0.565inch)くらい。おおむねの傾向として、先端近い重心だと通常のリバウンドが暴れがちだがオープンリムショットが自然に鳴り、根元に近い重心だと通常のリバウンドが穏やかだがリムショットの手ごたえは薄くなる。

まず筆者のスタンダードはPearlの110H(398-14.5俵、ヒッコリー、おそらくインチ換算で15.666-0.57:いつからかわからないが、クリアラッカーの従来品が110HC、ブラックラッカーの色違いが110HBC、ラッカーなしが110NHと分かれたようだ)。このスティックが「普通」の基準になっている・・・のだが、これって5Aじゃないというか、5Aの太さ+7Aの長さといった感じで、今回比較するスティックの中では短く微妙に太い。その影響なのかどうかわからないが、ひとつひとつの音を全部自分で操作して鳴らすような感覚が(筆者には)ある。110A(398-14.5俵、オーク)も同じ形状でヒッコリーよりもしならず低反発、リズミカルな演奏を望むと負荷が増す反面、オープンリムショットに独特の重厚感(後述のVHSCSTDのような「スコーン」という爽快な音ではなく「ズゴーン」という鳴り響くような音)があり、クローズリムショットも重い音。本編でも触れたが、オークの扱いにくさを絶妙に補う形状だと思う。余談:思うに110シリーズのキモは「俵(Barrel)チップでちょい短め」というバランスにあるんじゃなかろうか(チップがデカい分テーパーの割に重心が先端寄りで、しかし微妙に短いおかげで重くは感じない:あとで紹介するVATERのVSMRECWなんかもそうだが、普通の5Aのスティックと、5Aとは「ちょっとだけ」違うサイズのスティックを比べてみるのも面白い)。Pearlは普通サイズと110Hの中間の長さの123H/3(クリアマット仕上げ:村石雅行モデル)や、普通の長さの110HLCとSTH-190(これだけ「Standard Hickory」という別シリーズで「北米産ヒッコリーを採用し、パールスティックで唯一、アメリカで製造される」のだそうな)もラインナップしており、他メーカーの俵チップ5Aには、PROMARKのTX717W(Rick Lathamモデル)やVATERのVHK5AW Keg 5AやVIC FIRTHのVIC-5ABRLなんかがある。

PROMARKはシグネチャモデルが多いので似たような形状のスティックが複数あり、全般に重量感が大きいと思う。その中ではTX5ASW(406-14平楕円、ヒッコリー:Will Kennedyモデルで、サイン風のロゴと「MILLENNIUM II」「5AS STUDIO」の表記がある)が比較的軽く、筆者の使用頻度も高い。反対にTX5ABW(406-14楕円、ヒッコリー:Carter Beaufordモデルのはずだが筆者が購入した個体にはシグネチャがなかった)などはチップが大きいこともあって、重量感だけ比べれば、長く持てる分110Aよりヘビーかもしれない。その分ウェイトが乗りやすいというか、力を加えている時間を長く取りやすいものの、筆者にはちょっと重い。シグネチャなしの5AであるTX5AW(406-14楕円、ヒッコリー)は、PROMARKのヒッコリーの中では中間的な性格(筆者の印象では重い部類)。PW5AW(406-13.9平楕円、ジャパンオーク)はシラカシらしく、110Aと比べると低反発なのは変わらずやや軽くなったような感じ。正直半端なキャラ(形状ももう一回り細かったらと思う)なのだが、半端だからこそ2軍行きを免れている節がある。マルチロッズのRODSシリーズも有名で、細いCOOL、普通のHOT、太いLIGHTNINGの他に、長い柄付きで先っちょだけマルチなROCKETがある。海外メーカーとしては珍しくオークスティックをラインナップしている。
追記:2011年にダダリオに買収されて以降ラインナップが刷新され、FireGrain(焼き入れしてあるそうな:いわゆるサーモ材は無酸素下で加圧水蒸気を使って乾燥させる(商品名はローステッドとかベイクドとか名乗っていることもあるが加工の実態はスチームド)のが普通だが、本家サイトの動画が「あくまでイメージ」でないのなら、ガスバーナーみたいなもので炙っているらしい)、ActiveGrip(手の熱で滑り止め効果が出るそうな)、Select Balance(アタックとタメ重視の前重心(フォワードバランス)or軽さとスピード重視の後重心(リバウンドバランス)を選べる)といった果敢なラインナップが増えたが、TX5ASW(Will KennedyモデルとしてはRBWKWが残った模様)やPW5AW(Joey JordisonモデルのPW515Wが似たようなサイズだがどう違うのか未確認)は生産終了してしまった。

VATERのVSMRECW(412-14樽、メイプル:Recording)はやや小さめのチップで長さも微妙に長く「スピードで鳴らす」というメイプルの本領を発揮できる(演奏が上手ければ)。メイプルに関しては、5A(406-14.5楕円、メイプル)くらいだと太さが半端に感じる(もう少し細いか、反対に太くした方が筆者好み)。VHSCSTD(406-14丸楕円、ヒッコリー:Stewart Copelandモデル)はチップが大きくショルダーが浅いせいか重い印象。叩き心地やノーマルショットの音色は平凡だが、スネアのオープンリムショットが爽快に鳴る。奇抜なラインナップが多いメーカーで、Tai Ko Bachi(漢字で「太鼓桴」と書いてある:ヒッコリー)、シンバルスティックVMCAW(406-14.5ラージアコーン、メイプル:ちなみにSweet Rideもメイプルで径が13.6の7Aシェイプ+スモールボール)、やたらと種類が多いマルチロッズ(バーチが基本で竹モデルもあるSplashstickシリーズ、束ねるバンドが動き柄がプラと5Bシェイプの木とスティックリバーシブルで選べるWhipシリーズ、マルチロッズにプラスチックカバーを被せたようなAcoustickシリーズなど)、ゴワゴワブラシMonsterシリーズ(これも可動バンド、カホン用のVCSもある:というかVATERは、ブラシ、ルーテorウィップ、マルチロッズorスプラッシュスティックを連続的に捉えている節がある)、ティンバレススティックとドラムスティックの中間Yambu Jazz(VHTY:7Aがちょっと短くなっただけのように見えなくもない気がなんとなくする)などもある。

TAMA(星野)のH214P(406-14スリムアコーン、ヒッコリー)は平楕円をさらに尖らせたようなチップ(メーカーは「ポピュラー」と呼んでいる)で、音色の安定性と音の迫力を両立しつつサイズも抑えている。中身がみっちり詰まった密度の高そうな木で、手に持つと「細長い」印象。スネアの音は(安定度は高いものの)これといって素晴らしくないが、チップの材質が硬いからなのか形状が細いからなのか、ライドをピン打ちすると高音の豊富な伸びのある音色になる。表面は他のスティックよりもサラっとした仕上げ。H214PとVHSCSTDはともに、パワフルさと安定性の両立を追及するとこんな感じになるのかなといった作りに感じられる(右手にH214Pで左手にVHSCSTDというのも試したが、筆者の場合そもそも「ライドのピン打ちとスネアのリムショットは同時にやらない」ことに気付いてやめた)。ギターやベースも作っているので、スティック用の木(ドラムスティック用に丸太を持ってくることは普通なく、VIC FIRTHでさえ板材や角材を取った後の端材を使っている:とPRビデオの中で説明していた)をたくさん持っているという点では、ヤマハさんの次くらいに強みのあるメーカー。

VIC FIRTHは5A(407-14.4アコーン、ヒッコリー)しか買ったことがないが、印刷のノリといいラッカーの臭いといい、いかにもアメリカンクラシックな雰囲気。もうワンサイズ細いか短いとよかった気がしてならない(使い手の体格や手の大きさもアメリカンクラシックサイズを想定しているのだろう、多分)が、アコーンチップのせいもあってかスネアの迫力が出る。ここもマルチロッズ系の製品は柄つきでバンドが動くもの(RUTEシリーズ)と柄なしでバンドが固定のもの(Tala Wandシリーズ)を揃えている。YouTubeに工場ツアーと称する動画があったのだが、老舗だけあって出てくる人がメチャメチャ豪華である(有名プレイヤーの皆さんに工場見学をしてもらって、内容をしゃべってもらうという構成)。ものすごく長い動画だが、木材の乾燥とペアマッチングにこだわっているようで、最初の半分くらいはモイスチャー、後の半分はマッチンペアーと連呼している。最初に挙げたラッカーと印刷については、12番と14番の動画を見て納得した(オッサンが箱に入れたスティックにラッカーぶっかけて、箱ごとグルグル回してラッカーがけ、ハンコみたいなのでペタペタ印刷してた)。

なお、コンサートスネアでは16~16.5mmくらいを中心とした太めのスティックが、マーチングスネア(メーカーによってはスネアスティックと称している)では17~18mmくらいを中心とした太いスティックが好まれる。筆者の憶測に過ぎないが、基本的に屋外のマーチング、広い室内のコンサート、狭い室内のジャズと、要求される音量が変わったのも理由の1つだと思う。ティンバレススティック(チップや明確なショルダーがなく棒状に近い)は細いものが多く、9.5~13mmくらいが中心。心底どうでもよい余談だが、スティックを「メーカー名などの文字が読める向き」にすると、日本メーカーは左がチップ、海外メーカーは右がチップになるのがほとんどである(理由は知らない)。

2021年追記:手元のスティックの重さを量ってみた(以下2本の重さ)。110Hは100g、というかこのスティックが100gになるようハカリを調整した。TX5ASWは100g、手元に他のスティックが残っていないが、筆者の印象だとミレニアム2世代のPROMARKの中では軽い方だったと思う。VSMRECWは80g、形状も違うがさすがにメイプルは軽い。110Aは106g、振った印象よりかなり軽く、H214-PやVHSCSTDやW-JS5Aと同じ重さ、実はVicの5Aより2g軽い。LCD5ARHNは116g、手元の5Aシェイプの中では最重量で、LCD5AIRHはTXRKWと同じ120g。19015JBは納得の102g、大きいサイズと軽い木の組み合わせが扱いやすさを生んでいるのだろう。PW5AWも100gで使い勝手からの予想通り。どうして改めて計量する気になったのかというと、TX5ASWが生産終了になって、代わりを探す中でRBH550TWとRBH565TWを買ってみたところ、もちろん個体差はある(2本で5gや10gのバラつきは当然ある)のだろうが、どちらも軽い印象が強かったため。手元の個体を比較すると、RBH550TWはTX5ASWよりもごく微妙に細く94g、RBH565TWはやや太く98gだった。TX5AWは手元に残っていないのだが、記憶が正しければTX5ASWよりも先端寄りの重心で重さを感じるバランスだった。3種類の中ではRBH550TWがもっともTX5ASWに近く、これはこれで扱いやすいスティックではあるのだが、TX5ASWの絶妙な操作性(とくにアップストロークが秀逸)とはどこか異なる(気がする)。重い個体を探せば手に合うものがあるのかもしれないが、田舎住まいだと買いに行くのがシンドイ。

オマケ3(ドラムスティックの材質)

ドラムスティックは、ようするに木を削ってニスを塗っただけのものであり、木片だけで音を出すクラベスやカスタネットなどに次いで、木材の質が強く現れる楽器のひとつだろう(ニスを塗らないネイキッドスティックもあるし、アルミやカーボンのものもあるが、主流ではない:もっとイロモノを探せば、アクリルやナイロン(チップだけじゃなくて丸ごとナイロン)、さらにはLED内蔵で叩くと光るものまである)。ドラムスティックに用いられることが多い木材とその特徴を以下に挙げる。気乾比重は日本木材総合情報センターの資料より。なお、ドラムスティック用に丸太を買ってくることはほとんどなく、VIC FIRTHでさえ板や角材を取った余りの木を使っているらしいから、ほとんどが心材ではなく辺材だろう(例外としてLOS CABOSがヒッコリーの心材を「レッドヒッコリー」と称している:後述のCarya ovalisのことではないらしい)。

ヒッコリー:Carya属の植物に見られる名称で、Carya節をとくに指すことがある(Juglandaceae科Carya属Carya節=クルミ科カリア属ヒッコリー節)。シャグバークヒッコリー(Carya ovata:北米のovataとオーストラリアのaustralisで亜種に分けることもある)、シェルバークヒッコリー(Carya laciniosa)、モーカーナットヒッコリー(Carya tomentosa)、ピグナットヒッコリー(Carya glabra:ブルームヒッコリー、スワンプヒッコリー、スムースバークヒッコリーなどとも)の4種が代表的で、他に、レッドヒッコリー(Carya ovalis)、ブラックヒッコリー(Carya texana)などがある。Carya属Apocarya節(カリア属ペカン節:分類学上は小葉の枚数などで分けるようだが、木材としては大差ない)のものはペカンヒッコリーと呼ばれることがあり、ペカン(Carya illinoinensis:ピーカンとも)、ビターナットヒッコリー(Carya cordiformis)、ウォーターヒッコリー(Carya aquatica:ピターペカンとも)などがある(余談だが、ペカンの種子はピーカンナッツと呼ばれ菓子になる)。上記以外にCarya属Sinocarya節(カリア属アジアヒッコリー節)というグループ(タクソン)もあるが、あまりメジャーでない模様。ヒッコリー全般として、同じJuglandaceae科のウォルナット(Juglandaceae科Juglans属=クルミ科クルミ属)よりも重く、ブラックウォルナットの代表的気乾比重0.63に対しピグナットヒッコリーで0.83、ペカンヒッコリーで0.75。

メイプル:Aceraceae科Acer属(カエデ科カエデ属)に見られる名称で、和名だと「カエデ」と「モミジ」が入り混じっている。シュガーメイプル(Acer saccharum:サトウカエデとも)など硬く重い種はハードメイプルと呼ばれることがある。ウォーターメイプル(Acer saccharinum:クリークメイプル、シルバーリーフメイプルなどとも)やアメリカハナノキ(Acer rubrum:アカカエデ、ベニカエデとも)など柔らかく軽い種はソフトメイプルと呼ばれる。シュガーメイプルの代表的気乾比重0.71に対し、ソフトメイプルは2割~2.5割くらい軽く柔らかい(ものが多い:レッドメイプルで0.61、シルバーメイプルで0.53)。色による分類は、ブラックメイプル(Acer nigrumなど:nigrumはシュガーメイプルの亜種として扱うことも多い)、レッドメイプル(アメリカハナノキなど)あたりが代表的だが、感覚的な傾向が強く、葉の色を指していたり木材の色を指していたりとバラバラ。セイヨウカジカエデ(Acer pseudoplatanus:ホワイトシカモア、シカモアカエデ、ヨーロッパシカモア、ヨーロッパメイプルなどとも)も同じカエデ属なのだが、ソフトメイプルではなくシカモアを称することが多い。どれも乾燥させるときの収縮率が大きい。

オーク:Fagaceae科Quercus属(ブナ科コナラ属)および類似種の総称。いわゆる「ドングリの木」で、日本では落葉性のものを楢、常緑性のものを樫(英名だとlive oak)とすることが多い。コナラ亜属(Quercus)には、ホワイトオーク(Quercus alba)に代表されるQuercus節(LepidobalanusまたはLeucobalanus節とも)やスパニッシュオーク(Quercus falcata:サザンレッドオークとも)に代表されるLobatae節(Erythrobalanus節とも)、アカガシ亜属(Cyclobalanopsis:Cyclobalanopsis属とすることもある)には日本のアカガシやシラカシなど下位分類が多いが、ホワイトとレッドが多数を占める(日本のミズナラはジャパニーズホワイトオークの俗称通りホワイト系)。重くて硬いが看板文句だが、木材としての代表的気乾比重はレッドオークで0.70、ホワイトオークで0.72と大したものでない(重い部分がスティックに使われることが多いのか、反発力が小さいために重く感じるのか、よくわからない:工業系の資料では、気乾比重(含水率15%)で赤樫0.96の白樫0.70という数字もあった)。

筆者のイメージで言うと、ヒッコリーは「反発力で跳ねさせる」感じ、メイプルは「速度でぶつける」感じ、オークは「重みで叩く」感じの演奏フィールになりやすいと思う。音色の変化は膜(タイコ)を叩くより固体(リムや金物)を叩く方がわかりやすく、材質によってもっとも音が変わるのはリムショット、チップのデザインでもっとも音が変わるのはライドのピン打ちだろうと思う。上記のほか、クラシックなどでは紫檀や黒檀なども使われる(折れやすいのでロック系の演奏ではあまり使われない)。

オマケ4(エレキギター弦)

数を試した製品はダダリオのEXL110と110+とEXP110だけなのであしからず。10-46より細いゲージは試していないので、スーパーライトやエクストラライトでは印象が変わる可能性もある(リハスタのレンタルギターにはスーパーライトやエクストラライトが張ってあるため、使う機会はそれなりにある:筆者はとにかくいろんな音色を楽しみたいので、ピックやドラムスティックは山ほど持っていくし、アンプやイフェクタやマイクやMTRを持っていくこともあるが、ギターを持っていくことはほとんどない)。以下とくに注記がない限りSGもどきで試したときの印象。

リッチサウンドの王者ダダリオのEXLはオールレンジな鳴りのよさとともに品質の安定度も抜群。ギターやピックアップの特性で出にくい音域を補いつつすでに出ている音域をさらにぶっ叩くような、おとなしい性格では決してないが無駄暴れはせず暴れるべきところでキッチリ暴れ切っているような、メリハリのあるイメージ。SGもどきに張るとローエンドとハイエンドが盛り返すような感じで、ストラトもどきに張ったEXP110は高音域のクセをガシャっと前に出してくれた。ピック弾きでももちろんリッチサウンドを堪能できるが、指弾きの気持ちよさは特筆に価する。EXPも出音は似たようなものだが、寿命に値段ほどの違いを感じないのと、手触りが好みでなかったため当分買わないと思う(何も考えずにまとめ買いしたので使い切るのにしばらくかかった)。

扱いやすさのROTOはRedとYellowを試した。オールレンジな穏やかさで暴れる帯域も取りこぼしもなく、ミディアム~ヘビーくらいの厚さのセルロイドピックで弾くと「待ってました」と言わんばかりのバランスで鳴る。ごん太の低音やシャリシャリの高音が得意なわけではないが、他のパート(ピックアップ選択とかアンプセッティングとか弾き方とか)での音作りを邪魔しないので、総合的なバリエーションは広くできる。弦自体はニュートラルな位置をキープしつつ、積極的な音色作りの余地を多く残してくれる感じだろうか。クリーントーンを大幅に犠牲にせずハイゲイントーンでの扱いやすさを追求しているのがこの辺のバランスまでなのだと思う。エクストラライト(ダダリオとアーニーはもちろん作っているが、数が出ないのか中小メーカーではラインナップが少ない)を扱っているので、必要な人には貴重なチョイスになるかもしれない。

扱いやすさの対抗SITはS1046とS1150(Power Woundシリーズ)を試した。落ち着くまでにやや時間のかかる弦で、15分くらい弾けばおおむね、1時間くらい弾けば完全に落ち着く。ROTOと同様セルロイドピックで弾くといい感じに鳴り、比べると低音がしっかり出る感じ。S1150は4・5弦が細めで2・6弦が太めの変則ゲージ(各弦のテンションが均等になるように配分されており、アームを使ってもチューニングが狂いにくい:ダダリオのBTシリーズやGHSの011-050も同様の方針)。3弦ワウンドだがプレーン弦もオマケで入っている親切パッケージが嬉しい。SGもどきに張ったS1046はローエンドを補いつつ高音域は自然に削れ、ストラトもどきに張ったS1150は(ゲージの関係で)ローで暴れつつハイの暴れは中和するような印象だった。S1150のゲージはなかなか面白く、6弦が太いので低音がガッツリ出てパワーコードの迫力があり、3弦ワウンドならコード回しもやりやすく、高音域の無難さとも相まって、テレキャスターに3弦ワウンドを張ったら弾き語り用によいのではないかと思う。ただし、ソリッドのエレキで2弦が015というのは決して気にならない太さではないし、3弦も普通のナットでワウンドを使おうとすると溝が狭いかもしれない。2007年までは成毛滋さんのシグネチャモデルDr.Siegel's Custom Gaugeも扱っていた(現在はCustom Extra Lightという呼称)。

潰してナンボGHSのGB10.5(BOOMERSシリーズ)は、プレーン弦が硬めでチョーキングなどに適する。クリーンで鳴らしてもエキサイティングな音色ではないが、歪ませたときの扱いやすさは抜群である。なぜか知らないが生音がやたら爽快に鳴る。このメーカーもラインナップが面白く、ジャズギターと普通のエレキの中間のようなゲージやシグネチャゲージ、やたらと種類があるピュアニッケルなど、他のメーカーとはちょっと違ったコダワリを感じる。暴れの少なさからヘビーゲージのチョイスにもなりそう。

超絶変態アーニーボールのPOWER SLINKYは、雰囲気こそBOOMERSにやや似ているものの、中域にフォーカスしてあるというよりはローとハイが出ずにミドル~ミドルハイが暴れる。巻き弦がやたらと柔らかく、全体にツルっとした手触りで、音が落ち着くまで2日くらいかかり、その間は上記の特徴がより極端に出る(寿命が短いというのはこれを誤解したものだと思う)。クリーンで鳴らしてもまるでピンとこなかったが、リアピックアップのハイゲイントーンはキモチイイ。ダダリオとは反対の意味で極端道を突っ走っている感じ。

リッチサウンドの対抗DRのMT-10とEH-11(tite-fitシリーズ)は、出るところは出ているのに出しゃばりはしない不思議なバランスと、滑らかな手触りが特徴(とくにMT-10)。巻弦が丸芯で、パッケージの説明によると、たとえば042の弦を作るとき、016の芯線と0135の巻線(1往復)の都合043をガッチリ巻いて042にしているそうな(巻線が縮む(というか元の長さに戻る)スプリングバックという現象で緩みが生じやすいデザインで、パッケージによると「ペグとナットの間になるところで弦を潰してある」らしい:極端なショートスケールのギターに張る場合は自分で潰してくれだそうな)。EXLが全部盛りにしてなお溢れんばかりの怒涛のリッチさを誇るのに対して、上品に充足した感じのリッチさ(この辺のセンスはイギリスっぽい気がするんだけど、不思議とMade in USAなんだよなぁ)。手触りがよいこともあって指弾きがキモチイイ。筆者は試したことがないが、紫外線で光るNEONシリーズやダウンチューニング用のDDTシリーズなど、変わった製品も扱っているメーカー。MTR-10(HI-BEAMシリーズ)は不良品を掴んだようなので評価外。追記:2013年2月にMTR-10、2013年7月にEH-11と2連発で不良品を掴んだうえ、7月には代品もサビてたから待ってくれというションボリな結果に(素人目にはメッキ不良のようで、通常品は出音もタッチも好みなので半年後くらいにまた買ってみる予定:改善してるといいな)。さらに追記:2014年8月にMT-10を試してみたところ品質に問題はなかったが、高音弦がキンキンになったように感じた。筆者自身の環境の変化も大きいため気のせいかもしれず、もう少し様子を見たいところ(これに限らずメッキの厚いプレーン弦ってトレブリーなのが多い印象:薄い方が表面硬度が上がるんだったと思うが、どういうメカニズムなんだろね)。さらにさらに追記:MT-10について、2013年1月から2年半ちょっとかけて5回(多分)くらいは試したのだが、筆者としては「品質にバラつきがありすぎてどんな弦なのかわかんない」という結論に至った。随分経ってからの追記:2021年にまた何度か試してみたが、とても普通なリッチ系の弦になっていた(ダダリオよりは少しトガってるというかギラっとしてる感じ)。以前の不思議な上品さはまったく消えてしまったが、現行品も普通にハイレベルだと思う。

ダダリオのピュアニッケルEPN110は、低音が豊かでかつ和音が濁りにくい。フロントからドライブトーンで全弦ストロークをかましてもごちゃっとした響きにならず、厚くて硬いピックでもアタックが過剰にならず、巻き弦とプレーン弦の音色の違いも嫌味でない。アルペジオなどに効く低域の豊かさなどはハーフワウンドEHR310にも共通するものがあるが、筆者はハーフワウンドの手触りが好きでない。ノーマルなニッケルメッキラウンドワウンドではPYRAMIDのEG NPSがドッシリとした音色で、全体としてはハイゲイン系のキャラなのにブリブリと低音が出る変わった弦(全体的に音量が大きいというか、ピックアップの感度が上がる気もする)。コンセプト的にはGHSのProgressivesあたりと似ているのだろうが筆者はEG NPSの方が好き。ELIXIRのNanoweb Light Anti-Rust #12052はBOOMERSと並ぶハイゲイン系だが、音色のエキサイティングさよりも扱いやすさに特化した感じで、弦が落ち着くとサワヤカ系にシフトする。巻き弦プレーン弦ともツルっとカッチリ感が群を抜いている(Nanowebはコーティングが薄いらしいが十分スムーズ感がある:コーティング弦全般に、寿命云々よりもスライドのタッチをどのくらい「人工的」にするかがポイントなんじゃないか)。ヤマハのH-1020はSITとよく似ており、新品時の印象がちょっと違うかな程度(直接比較したわけではないが)。

気のせいかもしれないが、SITやROTOなどの弦がヘタリかけてくると、妙に渋みのある枯れた音色になることが多いように感じる。ダダリオの場合、ヘタリかけは本来のフルレンジフル放出が衰えて元気のない音色になるが、完全に死ぬとダブルコイルのフロント(トーン5~7くらい)がやたらと映える。

オマケ5(エレキギター特殊合金弦)

筆者の日記から抜粋。

個性派エレキ弦(13/09/07)

SGもどきにThomastik-Infeld stringsのIN110というのを張ってみた。ヴァイオリン弦で有名なメーカーらしい(公式サイトのトップにグラサン+革ジャンのオッサンがででんと控えており、オーストリアで有名なミュージシャンなのかと思ったら創業者らしい)。プラパッケージ(PET)の中に紙袋で個別包装されているのだが、止めているシールの貼り方がテキトーなうえ、開けると手でなんとなく丸めたような状態で収納されている(乱雑な感じではないが、大手メーカーの弦に慣れているとビックリする)。

微妙に気後れしながら弦を取り出すと手触りでまた驚く(初めて買った人はぜひ6弦から取り出してみよう)。とてもフニャフニャしており、エレキギターの弦とは思えない。違うゲージの弦が間違って入っていたのかと思い外したEXL110と比べてみたがやはりライトゲージで間違いない。巻き線に特殊な合金を採用したというのが売り文句なのだが、どう考えても芯線が普通のエレキ弦と違う。プレーン弦も柔らかめで細く感じるがワウンド弦ほど極端ではなく、柔らかさの割にチョーキングへの反応が敏感でまた驚く(曲がりやすく伸びにくいということなのだろうか)。

サウンドハウスの説明文によると「全周波数帯でバランスの良い明瞭なサウンド」らしく、鳴らしてみるとハイミッドがグチャっと混雑した押しの強い音が出た。低音もけっこう強めで、ゲインが高いというのはどうやらその通りのようだ。ピックの種類による音の変化が激しく、クリーンだとTUSQ(ハイミッドが抑えめでハイが伸びる特徴と合わさって比較的ノーマルな鳴りになる)やポリアセタール(もともと地味な音色なので合計のキャラがほどよい暴れ方になる)やポリカーボネート(開き直ってガシガシの音色にする)などが合うようだ。指弾きも引っ込みがちな帯域が強調されているせいか気分よくできる。反応が敏感な割にプリング(左手のプリングオフではなく右手のプル)などの極端な音色はあまり暴れないのが不思議。

パッケージを見ると「perfect for heavy effects users」とあるし、ドライブサウンドを試してみるとこれがものすごくよい。弦自体がナチュラルなチューブスクリーマーというか、適当なドライブアンプに繋いだらあとはピックとピッキングとギター本体の設定だけで押し切れてしまいそうな勢い。ピックがウルテムでもトーテックスでも厚めでも薄めでも丸くても尖っていても、それぞれの個性が出て変化を楽しめるし、ピッキングで音色を変えるのも簡単。クリーンコーラスは少し野暮ったくなることがあるが、直球サワヤカ系以外は普通にこなせそう。フェイザーとの相性がよく、キンキンしないので使える設定の範囲が広がる。なぜか、生音がやたら爽快に鳴る。

大手メーカーの中ではアーニーのスリンキーとキャラが近いが、筆者好みなのは大差でIN110。SGもどきは透明感のある音色を重視したいのでストラトもどき用にミディアムゲージを、と探したら、011、013、020w、030、042、052という変態的なセット(ジャズギター用のエクストラライトを3弦ワウンドのままソリッドエレキ用にカスタムして、さらに少しヘビーボトム気味にした感じではあるが、やっぱり11-52で2弦013というのは細いと思う)でどうしようか悩み中。シングルコイルと合わせたら面白そうなキャラには違いないのだが。

IN110その後(13/09/17)

張ってから10日ほど経ったわけだが、ヘタってきた音色がまたいい感じ。ドライブトーンの押しの強さはやや引っ込んだものの、クリーントーンがサラっと鳴るようになった。STUBBYの3mmでシャリっと弾いても、薄くて丸いデルリンでモコっとさせても、ザラっとしたウルテムで枯れさせてもいい。

また個性派エレキ弦(13/09/24)

今度はR.CoccoのRC10を試してみた。このメーカーはイタリアの老舗らしく、ラベラの親会社みたいな立場にもあるらしい(筆者は詳細を知らないが、SadowskyさんがLaBella is owned by Richard Cocco Jr.. Eric Cocco is his sonと言っていたので多分そうなのだろう:わりと有名なギター屋さんなのだが、気さくな人なのかしらね)。

箱を開けるとジッパーつきのビニール袋に個別包装されており、けっこううっとおしい。保管に万全を期したのだろうが、ダダリオやGHSやSITなんかのやり方の方が筆者は好き。IN110ほどではないが柔らかめのワウンド弦と、ツルツルカッチリ系で微妙に細く感じるプレーン弦。メッキが違うのだろうか(ダダリオのEXPのプレーン弦に似ているような気もする)。

最初に気付く特徴は巻きやすいこと。なぜかマーチン巻き(巻き返し)が作りやすい。鳴らしてみると、音程が明確でハキハキしており、高域低域とも目立ったピークディップがなくどこまでも伸びる。また、とくに嬉しい特徴ではないが、クリスタルクリーンの気持ちよさが群を抜いている。生音はシャリンシャリン。歪ませると荒っぽくなりがちなのだが、キャビネットシミュレータを通すと大化けする。クリーンコーラスはキレがあってサワヤカ。パッケージから出音に至るまで、キッチリカッチリ隙なく淀みなくが徹底されている感じ。

やはりピックの違いは顕著に現れるが、ピッキングの違いにはそんなに敏感でない。ピッキングの傾向が現れやすい中高域が持ち上がっているIN110に対して、高域が上まで伸び切ってピックのキャラが反映されやすいRC10、ということなのかもしれない。キツい音色になりすぎた場合も、キャビネットモデルだけ選んでやればおとなしくなる。

RC10その後(13/09/30)

張ってから1週間ほど経ったわけだが、少しヘタらせた方が扱いやすいかもしれない。音色やタッチに(クセはあるものの)飛び抜けた魅力があるわけではないが、基本性能の部分で「ぞんざいに扱っても耐える」能力は驚くほど高い。チューニングの安定性には巻きやすさも大いに影響していると思う。こういう意味の「高級品」があってもいいな、と思った(自動車にだって、運動性能や運搬力を度外視した「高級車」はあり、一定のニーズとユーザーを得ている)。

追記:1ヶ月以上張りっぱなしにしてしまったのだが、錆びが出てこないのはもちろん、ハイが削れてもハイミッドが粘る感じで、枯れた音色になるというよりは芯が残る感じ。デザイン全体に、バランスや限界性能は無視して、とにかく有り余るほどのマージンを設けたような印象がある。気に入ってはいるが鳴らす頻度はあまり高くないギターなどによさそう。

追記:結局4ヶ月ちょっと無交換のままだった。週に1回くらいは弾いていたし完全にノーメンテだったが、驚くべきことに普通にチューニングできて音もそれなりに出る。錆は浮いているが目立つほどではなく、比べるのもナンだが、2月23日の日記で触れた「新品のMTR-10」よりはるかにマシな状況。長寿命を期待するなら下手なコーティング弦より断然こちらだと思い、ストラトもどき用に3弦プレーンのミディアムゲージ(RC97:011、014、018p、028、038、050で、EH-11と同じく筆者の理想ゲージ)を買った。SGもどき用はもうちょっと種類を試すつもり。

特殊合金弦はこれでひと段落かな(13/12/12)

このところいくつか特殊合金弦を試していた惰性で、SGもどきにGHSのProgressives010を張ってみた(レギュラーライト)。使ってみた感じは「低音がちょっと増えるような、気のせいのような」といったところで、ThomastikのIN110やR.CoccoのRC10のような強烈な個性は感じなかった(筆者は)。ゲージも普通。

RCシリーズは飛びぬけた耐久性が気に入ったので、ストラトもどき用にミディアムゲージを買ったがまだ張り替えていない。このシリーズは1弦011のゲージが2種類ありRC11は011、015、022w、028、038、050(普通のミディアムゲージを3弦だけワウンドにした感じ)、RC97は011、014、018p、028、038、050(筆者の理想ゲージそのまま)、もちろんRC97を選択。SGもどきよりも弾く機会が少ないのでちょうどよかった。

いまさらながらNYXL1046を試した(15/04/15)

去年の8月25日の日記で「未開封のまま後回し」と書いたNYXL1046をようやく試した。これはすごい。

極端にクッキリハッキリした音が出る点はR.CocoのRCシリーズと共通だが、それに加えてNYXL1046はローもバリバリに出る。強く歪ませる使い方はもちろん、クリーンにコーラスをかける使い方なども抜群によい。というのがJazz3ウルテムで弾いた第一印象だが、ダダリオさんはここからが違った。ピックを変えると音色が激変する。

基本的には、Jazz3ウルテム系やスタブなど厚くて硬いピックだとハイとハイミッドが山盛りになり、ジャズトーンなどの厚くて柔らかいピックだとハイミッドが出てハイが控えめ、カーボンナイロンの0.6mmなど薄くて硬いピックだとハイが出てハイミッドが控えめ、トーテックスのシンなど薄くて柔らかいピックだとクッキリしつつ丸い不思議な音になる。

正直なところ筆者はもう少し曖昧でぼやけた音の方が好きではあるのだが、これでRCシリーズと張り合える耐久性(ダダリオさんが満を持して出してきた弦だけに期待はしている)がもしあれば、とんでもない製品である。11-49のゲージも出たようだし、調子がよければストラトもどきの弦はこれにしようかしら。シングルのフロントからAC30CC2とかTwin-amp01とかに突っ込んでみたいところだが、環境が許さないのがもどかしい。

なお現行製品でどうなっているのか知らないが、筆者が入手した個体は、1つのビニール袋の中に1-2弦、3-4弦、5-6弦がひと巻きになっていた。パッケージを簡略化したのは省資源になってよいと思うが、従来の1-4弦、2-5弦、3-6弦の組み合わせの方が張りやすかった気がする。筆者だけかしらね。

NYXL1046続報(15/04/20)

久々に心が躍るブツにめぐり合いテンションが上がっている。5日経って音色が落ち着き、いわゆる「芯がある」トーンになってきた。JC120でクリーントーンを鳴らしたくなるような響き。ピック選択や弾き方による表現力も、派手さはなくなったものの衰えていない。ドライブトーンは「しっかり鳴る」というか「説得力がある」イメージの音に変わった。エンジニア目線で使いやすそうな音色でもある。

枯らし切った音色も早く確認したいが今の出音ももちろん魅力的で、とても複雑な心境である。

4月26日追記:またも裏をかかれた。これは「いつまでも同じ音が出る驚異の長持ち弦」ではない。張り替えから10日ちょっと経過した現在、ハッキリ系のニュアンスを残しつつもハイミットがごっそり削れて、ハイゲイン系の弦と枯らしたEXLの中間くらいの、独特のキャラになった(GHSのBoomersをクッキリさせて少しサワヤカにしたような、完全に死んだEXLに活を入れて繊細さを足したような、不思議な感じ)。ダブルコイルのリアからドライブトーンを鳴らすとキモチイイが、トーン最小でどクリーンにしてもとても変な音が出る。弦の伸びに関しても面白い特徴があり、伸びることは伸びるのだが各弦がほぼ同じくらい伸びる(6弦はやや伸びやすく1弦はやや伸びにくいが、相対的なチューニングはあまり狂わず全体に音が低くなる)。

やっとNYXL1046が寿命を迎えた(15/08/22)

4月15日に張り替えたNYXL1046を「チューニングに支障が出てくるまでは張りっぱなしにしよう」とずっと放置していたのだが、ようやく完全に狂いが出た。週に1回チョコっと触るだけの使用とはいえ、昨日までは普通にチューニングできていたし、枯れた後の粘りが凄かった。それなりに錆びも出ているし、結果的にはR COCCOのRCシリーズよりはやや長持ちしなかったが、保管や使用の環境も違えば未開封で半年くらい寝かせてしまったハンデもあるし、優劣を云々できるほどの数は試していないので評価は保留。

そろそろ試したい弦も少なくなってきたが・・・あとはPYRAMIDとKEN SMITH、ラストチャンスでDRのMT-10をもう1回、というところだろうか。ブライト系の特殊合金弦にはあまり興味がないのだが、POWER BRIGHTSとProSteelsとCobalt Slinkyくらいは試してみっかなぁ。

日記の更新が滞った以降に試したもの(基本的にダブルコイルでのみ使用)

SlinkyのCobalt(10-46)は、ドンシャリというかモリモリギャンギャンというか、ちょっと変わったハイゲイン系。巻き弦はローがモリモリで上が薄く、プレーン弦はいつものギャンギャン鳴り、これでバランスが取れるのかと思うが(ダダリオとは違った意味で)ちゃんと取れている。ピック選びはある程度気を使う必要があり、マーシャルなど上が騒ぐアンプに繋ぐときはトーテックスやデルリンなど落ち着いた音色のピック、メサブギなどごん太サウンドのアンプに繋ぐときはナイロンやセルロイドなど中域にパンチのあるピックを選んでやればマッチすると思う。あえてクリーンで使うならTUSQなどの硬いピックも面白いかもしれない。ウルテムなどの引っ掻き系やポリカーボネートなどのツルツル系だともの凄くクセのある音色になる。いろいろなトーンをひとつのピックで賄うならジャズトーンの205あたりだろうか。未開封のまま半年以上放置したうえでの話なので目安にもならないが、筆者が試した個体は6弦の錆が速く、また直前がエリクサーだった影響もあるのか巻き弦の滑りはあまりよくないと感じた。IN110と並んで、ノーマルSlinkyユーザーにはぜひ試してみて欲しい特殊合金弦。

RotoのULTRAMAGは・・・これ前はNexusシリーズとして売ってなかったっけ?記憶違いかな?中身はというと「a highly magnetic material made from 52% nickel and 48% iron」を(おそらくは巻き線に)使っているらしく、筆者の感覚では(普通のニッケルメッキスチールではなく)ピュアニッケル弦のモデファイバージョンのように思える。普通のピュアニッケルと(記憶と印象の中でではあるが)比べても、巻き弦の低音がモリモリ出る。ソロでアルペジオの弾き語りとか、ガッツリ歪ませてパワーコードとか、ハマる用途はありそう。シリカゲル入りのパッケージは安心感がある。

DRのVERITASも、とにかく低音がモリッモリに出るのではあるが、中低音がドーンとしているのではなく、巻き弦の一番下から湧き上がってくるような感じ。とくに張りたてのときは極端なロー寄り(袋から出したとたんにビヨンとほどけるくらいハリがある弦なのだが、出音との関係は不明:弦が落ち着くまでに必要な時間は短い)。なんでもQuantum Nickelというのを使っているらしく、形容詞で使ってるのだとしたら「すっごいニッケル」という意味なのだろうか?おそらくはULTRAMAGと同様にニッケル合金の巻き線なんだと思う(パッケージの説明にある「普通のNPS8%」というのは「スチールにピュアニッケルを8%相当量メッキした線」を指すみたい:JLCというインドの金属会社が「Nominal 2-4% by weight in thickness for NPS is used in lead wires for lighting applications. Higher nickel plating thickness (like 4%, 8%, 12% ) can be manufactured as per customer requirement. The nickel coating has uniform adhesion over the full length of the steel core wire.」と説明していた)。おそらく、ブリッジピックアップやシングルコイルの低域を増強するとか、巻き弦はパワーコードにだけ使ってあとは単音弾きするとか、そういった使い方を想定しているのだと思う。オマケでXenonシリーズのプレーン弦(金色)がついてくるのも、この手の弦は(巻き弦がほとんどサビないため)プレーン弦から寿命になるのでちょうどよい。

オマケ6(ハイゲイン系のエレキ弦を擬音で語る)

すべてライトゲージ。

書いていてアホらしくなった(よくぞ最後まで書いたと思う、自分)が、使ってみればなんとなく訴えたいことはわかってもらえるような、そうでもないような気がする。



もどる / ローコスト制作の目次に戻る / 音楽メモの目次にもどる

自滅への道トップページ