カラオケファイルの作り方


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本来ここで扱う話題ではないのだが、需要が大きいようなので、CDなどからヴォーカルだけを消してカラオケを作る方法を紹介する。Audacity2の初心者講座には目を通してある前提で進める。

Audacityの他にHiroyukiさん作のボーカルリデューサーというソフトを利用する。Wavosaurのprocess>Vocal RemoverやAudacity(nyquistイフェクト)のCenter Pan Removerに比べると格段に性能がよく、無料でこれ以上の品質を持ったソフトはそうそうないと思う。

なお、このページはAudacity1.2.6の操作を元に記述している(古いバージョンの操作方法はよく覚えていないので割愛)。操作にあまり慣れていない人は「部分処理1」よりも「部分処理2」の操作の方が楽かもしれない。


一括処理

まずボーカルリデューサーを起動して、処理したいファイル(Wave/mp3/Ogg Vorbis/Monkey's Audioと、Windows Media Player 7以上または Windows Media Format SDK 7ランタイムがインストールされていればWindows Media Audioに対応)をドラッグアンドドロップする。
設定図
画面下の逆三角形をクリックすると細かい設定ができるので
設定図
アルゴリズムをシンセティック・イミディエイト法に、Pパラメータを右いっぱいに、精度と速度は時間やマシンパワーに余裕があれば高めにしておく。

Pパラメータは「つよい」にするとごっそり音が消え「ゆるい」にするとあまり消えない(Aパラメータはイミディエイト法とシンセティック・イミディエイト法では使わない)。アルゴリズムの詳細などはソフト付属のreadme.txtなどを参照。

処理範囲の下限はヴォーカルの最低音を基準に指定するが、上限は適当でもあまり問題ないはず。普通の使い方ならプリセットを選ぶだけでOK。画面が小さいパソコンだと下の方の表示が切れることがあるが、キーチェンジは(Audacityでやった方がよいので)ほぼ使わないし、逆モードの切り替えは画面上部のInvボタンでできるため、処理範囲のところまで見えていれば問題ない。

上記の設定で一度実行してみて、他の音が巻き込まれて消えすぎならばPパラメータを「ゆるい」側に少し動かしてやる、という調整法だと比較的ラク。プレイヤー表示部にあるリサジューというのはオシロスコープの表示(気にしなくてよい)。


部分処理1

当たり前の話ではあるが、ギターソロなどがセンターPANで録音されていると、ヴォーカルと一緒に消える。これを何とかするためにAudacityを使う。ボーカルリデューサーの設定は事前に煮詰めておいた方がよい。

ソロパートを選択して編集>ゼロとの交差部分を見つけるを実行
設定図
編集>分割でトラックを分ける
設定図
今回はイントロとギターソロを切り出した。

ヴォーカルトラック以外のトラックをいったん削除してWaveに書き出し、
設定図
一括処理のときと同様にヴォーカルを消す。

アンドゥで消したソロトラックを復活させて、加工前のヴォーカルトラックを消し、ヴォーカルが消えたファイル(画面では下のトラック)を読み込む。このとき、イントロを分割した分ボーカルトラックが前にツメる形になっているので、イントロトラックを選択して編集>カーソルの移動>トラックの最後
設定図
さらに編集>選択範囲を保存
設定図
ヴォーカルトラックを選択して編集>選択範囲を復帰
設定図
プロジェクトファイル>トラックを揃える>カーソルに揃える
設定図
これでずれたトラックが元通りになった(トラックがずれていなければ、この作業は必要ない)。

あとはヴォーカルトラックの音量を3dbくらい上げ(音量超過になるようなら、他のパートを3dbくらい下げ)て、
設定図
通して聴いてみて違和感がなければ全体をWaveに書き出す(必要に応じてノーマライズをかけてもよい)。


部分処理2

部分処理1と結果は同じだがパンチング録音の要領で作業することもできる(好みで使い分ければよい)。

まずは元ファイル(画面では上のトラック)とヴォーカルを消したファイル(画面では下のトラック)を読み込む。再生する場合どちらかのトラックをミュートしないと音が割れることがあるので注意。
設定図
原音トラックでヴォーカルが入っていないのに他のパートが消えてしまっている部分を選んで、いつものように編集>ゼロとの交差部分を見つける、
設定図
編集>選択範囲を保存
設定図
編集>分割
設定図
ヴォーカル消しトラックを選択して編集>選択範囲を復帰
設定図
編集>無音
設定図
原音トラックを(音割れ防止のために)ミュートして、ヴォーカル消しトラックの音量をやや上げる(効果>増幅を使ってもよい)
設定図
通して聴いてみて違和感がなければ、原音トラックを削除して全体をWaveに書き出す。


制限事項

ヴォーカルにコーラスやリバーブなどのイフェクトなどがかかっていると上手く消えないことがある(とくにリバーブがかかっている場合、リバーブテール(余韻の音)だけが残る現象は回避のしようがないと思われる)。また、Panが偏っている場合にも上手く消えない。筆者は「消す」という表現をしているが、厳密には消えるというよりも音量が下がるだけで、まったく聴こえなくなるわけではない。

ベースは中央に振られていることが多いので、倍音成分が消えてこもった音になる。ドラムスやコーラスなども、Pan設定によっては影響を受けるだろう。全体的な音質も低下する。

ヴォーカルパートとソロパートのつなぎ目は、音量調整程度はできるが、音色が揃わなくなるのは避けられないため、どうしても違和感が出る。これは仕方ない。




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