KOSS(国内取り扱いはTASCAM)のQZ99について。
重要な情報:
この記事は筆者が2011年10月に購入した個体に関するもので、その後のバージョンアップや仕様変更に追従していない、あるいは個体差や環境の違いを考慮していない記述があります。最悪のケースとしてたとえば、筆者が自分の不注意で壊した機材を(そうと知らずに)「粗悪品」と評している可能性もある、ということに注意してください。
重要な情報:
この記事は、筆者が実機を所有しなくなってから記憶に頼って書いています。
一応示しておきたい情報:
筆者は眼鏡を常用しており、ヘッドフォンを使用する際にも外すことはまずありません。採寸はしていませんが頭は大きい方です。
高い遮音性能を持ち「パッシブノイズリダクション」を売り文句にしたモニタヘッドフォン(具体的に何デシベルという表示は見当たらなかった)。一時期本家サイトのラインナップ一覧から落ちていたのだが、2014年6月現在、ロゴが変わったバージョンになって復活している。本家サイトの仕様情報(2014年6月現在)を転載しておく。
Frequency Response 40-20,000 Hzなぜか、TASCAMのサイトの仕様情報(2013年7月現在)の方が本家サイトよりも詳しい。
Impedance 60 ohms
Sensitivity 102 dB SPL/1mW
Cord Coiled, Single Entry, 8ft w/ 3.5mm plug
形式:密閉型やはり目につく数字は420gという重さ(カールコードなのでケーブルも重い)。それ以外はまあ普通。
周波数特性:40~20、000Hz
感度:102dB SPL/1mW
インピーダンス:60Ω
コード:カール/2.4m
プラグ:3.5mm(ミニ) L型
6.4mm(標準)アダプター付属
歪率 0.3%以下
質量:420g
パッシブノイズリダクション機能搭載
なおKOSSの分類だとnoise reduction(Quiet Zoneシリーズ、QZ5とQZ99がパッシブでQZPROとZQ900がパッシブとアクティブの併用)とnoise-isolation(AAシリーズ、クラシカルスタイルのPRO4AAとモダンスタイルのPRO3AAとチタン合金を使ったPRO4AATがある:PRO4AAATは、本家だと「Closed, vinyl Pneumalite ear cushions for improved isolation」でTASCAMは「広帯域にわたり原音を正確に伝えるセミオープンタイプヘッドホン」としており、よくわからない)は別物の模様。
似たような路線の他製品と比べて、QZ99のもっとも顕著な特徴は左ユニットにダイヤル式のボリュームがついていることだろう。このボリュームがついているせいで、左右の遮音性能が均一でなく、とくに高域で左右のバランスが悪く定位も甘いのだが、モニタ音量の調整を(ドラムスティックやピックなどを持ったまま)手軽にできるのは意外なほど便利である。ボリュームダイヤルのある左から高域の外来音がわずかに抜けてくるのだが、ドラムス演奏に使うとハイハットがちょうどその位置にある(狙ってやったのかどうかは知らない)。
ぶっちゃけ、このヘッドフォンが必要なほどやかましい環境でハイファイ再生をしようとしても最初からムリなので、だったら多少ローファイになっても利便性を追求しようという発想は悪くないように思う(素の音色も、見た目に反して軽いというか、ぶっちゃけ安っぽい:KossのPAモニタは全般に、外部から被ってくる分を見越してなのか、低域をかなり削ってあるものが多い)。ヘッドフォンボリュームを全開にしないとノイジーになる機材なんかがある場合に、貧弱なケーブルぶら下げボリュームの機種を使わなくて済むのもメリット(高遮音ヘッドフォンとボリュームつきヘッドフォンを両方持つくらいならQZ99を1つ持った方がラク、というのがこの発想のキモなんだと思う)。低音は外部から抜けてくる分を見越しているような印象で、ヘッドフォン単体ではあまり量が出ない(KOSSのモニタ用ではわりとよく見るデザイン)。
周囲の雑音を防げることからより小さな音量でも快適にモニタでき、結果的に耳に優しい。ヘッドフォンから外に漏れる音も少ないので、マイク録音の奏者モニタに使える。エレクトリック楽器の生音もかなりの割合で遮れるため、エレキギターのライン出しによく合った(ヘッドフォンボリュームを上げないとノイジーになる初代MINI3との相性がとくによかった)。密閉度が高いのでドラムスの場合振動はある程度耳に響く。筆者は楽器の演奏中に頭を動かすことが多いため、重さはそれなりに感じた。
VIC FIRTHのイヤーマフDB22(作っているのはPeltor)と比べると遮音性能は明らかに劣るが、圧迫感も明らかに少ない(まあ当然)。普通のリスニング用密閉式ヘッドフォンと比べると、遮音性能は断然高く圧迫感は明らかに強い(同時に所有していないので直接比較はしていないが、ATH-M30と比べてもやや圧迫感があり遮音性能は明らかに高いと思う)。1時間前後の連続使用で筆者の頭が痛くなることはなかった。
ごくうるさい場所での聴き流しリスニングにも使えるが、デカく重く外見がゴツいので、それでリラックスできるかどうかは人によると思う。友人にエレキギターをプレゼントしたときにオマケで旅立ってしまったが、この手のヘッドフォンが手元にあると便利なのはたしかで、しかし同じ製品をまた買うのも芸がなく悩ましい(HD280PROも試したいけど値段が少し高いし、地味に便利なんだよなぁQZ99のボリューム機能)。