HP4


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PreSonusのHP4について。

重要な情報
この記事は筆者が2011年4月に購入した個体に関するもので、その後のバージョンアップや仕様変更に追従していない、あるいは個体差や環境の違いを考慮していない記述があります。最悪のケースとしてたとえば、筆者が自分の不注意で壊した機材を(そうと知らずに)「粗悪品」と評している可能性もある、ということに注意してください。

機能や仕様など

アクティブスピーカの面倒を見てくれるのが便利(スルー出力にボリュームとミュートボタンがついているのが、最大の特徴とも言える)。もっと本格的にやるなら、たとえば同じPreSonusのMonitor StationやCentral Stationなどを使えばよいのだろうが、HP4の方が価格的にかなり安いし、なにより操作がシンプルでラクである(スピーカがたくさんある複雑なシステムは複雑なコントローラでしか管理できないが、スピーカ2本をたまに使うだけの簡易なシステムならシンプルなコントローラを使った方がラクなのは当たり前)。

ジャックとボリュームが前面でインプットとスルーアウトが背面というレイアウトが便利。据え置きで使う場合はとくに、入力ソースやスルー出力先はめったにイジらないし、繋ぎ替えや音量調整を手軽に行える。モノラルボタンは音量が大きくなる(左右の和が両方にアサインされる)が地味に便利。すでに触れたようにスルー出力周りが充実しており、スピーカの電源をオンオフする操作がすごくラク(ただし後述する本体の電源オンオフ時のポップノイズに注意)。

アナログボリュームがついたステレオ機器ではある程度仕方ないことだが、あまり音量を絞りすぎると左右のバランスが崩れる(ギャングエラーと俗称される)。悪影響が出ないギリギリで左から2番目の目盛りくらいか。大きくする方は全開まで上げても(入力より前で乗ったノイズは当然増幅されるが)問題ない。多分12時が標準音量。

筆者の手元で一番効率が高いヘッドフォンはSE-M390で105dB(32Ω)、一番効率が低いのはK240mk2で91db(55Ω)、差し引き14dbだが、なんとか音量感をほぼ同じにできる(インピーダンスが違うため同じ電圧をかけても同じ電力にならないことに注意:この例だと0.5dbくらい差が出る)。出力インピーダンスは51Ωで、標準的なミキサーよりは高く、モニタヘッドフォン用アンプとしてはやや低め、モニタヘッドフォンを繋いだときのドンシャリ効果は弱く出る。

電源まわり

電源スイッチがないので、コンセントを抜かないと動きっぱなし。またACアダプタがかなりデカイ(実測で85x55x45mmくらい)。ちなみにウチで一番デカい外部電源装置は788付属のPS-P788(実測で130x75x65mmくらい、カタログ値で1.6kg、そのまま繋ぐのはムチャなのでコンセント側にもケーブルが出ている:TASCAMの男気がひしひしと伝わるイデタチで、筆者は気に入っている)だが、それよりはかなり小さい。

常時通電が前提なのか日本用ACアダプタの仕様なのか、電源オンオフ時のポップノイズが大きい(とくに電源オン時)。ゲインを最小にしてもモニタミュートボタンを押していてもノイズは(ある程度小さくなるものの)出るので、パワーディストリビューターを使う人などは電源切断順序に気を配った方がよい。とくにアクティブモニタを繋いでいる場合、スピーカの電源を先に操作しないとものすごいノイズが出る(測定したわけではないが、出力アンプの限界を超えた出力はしないはずなので、ヘッドフォンなら繋ぎっぱでもいいかなという気はする:もちろん、高価なヘッドフォンは外してから電源を操作した方が精神衛生によい)。

また、アダプタのサイズがでかい割にコードが短く、見た感じ1.5mくらい(5フィートかも)。ケーブルの取り回しなどの都合で高い位置に置きたい場合、1mくらいの延長コードを使うのも手(アダプタのサイズもあまり気にならなくなる)。

使い方はいろいろ

ヘッドフォンを4台つなぎっぱなして必要なものだけゲインを上げる使い方もできるし、つなぎっぱ+ゲイン固定で前段の機器をマスターボリューム的に使うこともできるし、使う都度ヘッドフォンをとっかえひっかえしてももちろん構わないだろう。

筆者はマスタリングモニタ(リスニング環境の再現用に、密閉型ヘッドフォン、耳かけヘッドフォン、開放型イヤフォン、カナル型イヤフォンを用意:ラインナップはけっこう流動的)をつなぎっぱなしている。来客用のアンプになることもごくたまに。モニタレベル調整とモニタミュートボタン(いちおう断っておくが、ミュートボタンの操作ではノイズはほとんど出ない)が便利なので、スピーカもこちらにつないでいる。

基本的には「モニタスピーカの1段前」に入れて音声を分配する機器だが、スルー出力を利用してサブミキサーとメインミキサーの間に入れたり、前段にオーディオセレクターのようなものを噛ますなど、変則的な使い方もいろいろと考えられる。まだ試していないが、複数人作業でフロアタイプのMTRと組み合わせるのも便利そう。

その他気が付いた点

インプットとアウトプットのジャックが、普通の機器と反対(左ジャックが背面に向かって左、右ジャックが背面に向かって右)についている。なにを考えてこんな仕様にしたのか不思議(ムリヤリ解釈するなら、ミキサーやMTRと背中合わせに置いて、ミキシングエンジニアはメイン機器のヘッドフォン出力を、プレイヤーなどがHP4からの出力を利用するとか、そんな感じだろうか)。

チャンネルミュートは・・・あったら多分使うと思うが、そのために回路を複雑にするのもねぇ・・・ゲイン固定のつなぎっぱ以外の用途ではほとんど出番がないわけだし。

対応可能な負荷インピーダンスは、カタログに「Master Output Impedance ...51 Ohms」とあるので、半分から10倍までと(勝手に)見積もって25~500Ωくらいなのだろうか(まったくの未確認)。とりあえず、手元にある32~55Ωのヘッドフォンは問題なく鳴っている。最大出力150mW@恐らく51Ωでまあ普通。不足はほぼ考慮しなくて済むし、手元で許容入力が低い大型ヘッドフォンというとAKGの200mWなので過剰でもなく、筆者には便利な仕様。

筆者が所有する個体はボリュームを回すと微妙にガリが乗るが、そもそもリアルタイム操作の必要性がないので、気にしなくてよさそう。



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