Domino

詳しい活用法や設定ファイルなどはローコストな音楽制作のページに掲載するのでそちらを参照。設定ファイルなどもそちらで公開している。また一足飛びのDominoの設定と操作のページにも、初心者向けのごく荒っぽい情報がある。

Dominoは2006年12月から公開が始まって2007年1月末に正式バージョンがリリースされたMIDIシーケンサで、作者はたかぼーさんという方。2010年12月追記:3/1のバージョン1.38から12/7のバージョン1.41bまで、この1年の怒涛の更新で、さらにとんでもなく便利になった(筆者的には、パターンスライスなどの省力機能やスケールなどのサポート機能がぐっと充実したのが嬉しい)。

便利な機能は数え切れないほどあるが、一番嬉しいのはトーンを複数選択するときに条件設定で取捨できること。たとえば「ゲートタイムがいくつ以上いくつ以下のトーンだけ」とか、そういう条件でふるいわけできる。バージョン1.37からは「チックス単位の端数」でも選べるようになった。一括変換の処理自体も高機能化していて、チックスの値を直接叩けるほか、トラックリストで複数トラックにまたがった選択もできる。また複数の項目をまとめて一括変換できるので、たとえば「ゲートタイムを30チックス削って全体を15チックス分前に出す」といった作業が1回で済む。

ほかにも、新規トーンのゲートタイムとベロシティを数字で指定する窓があったり(ツールメニューからプリセット値を読み込むこともできる)、マウスやキーボードでの操作を細かく設定できたり、音色定義ファイルがXMLだったり(外部の方による定義ファイルでVSTiの名機Synth1まで読める:VSTホストは別に必要だが入手は簡単)、トラックごとにウィンドウの位置を覚えさせられたり(ベースをイジって、ピアノのトラックに動いて、上までスクロールして、などという作業をしなくて済む)、トラックリストとピアノロール(トラック表示)の切り替えがTabキー1発だったり、複数起動して互いにコピーアンドペーストできたり、トーン入力後テンキーしか触らずにベロシティを変更できたり(右手にマウス左手にテンキー)、ポイントして左クリックしながらホイールスクロールでベロシティを変更する設定ができたり、ハンドスクロールできたり、ピアノロールの拡大縮小がクリック1つでできたり、と細かいところまで入念に機能が盛り込まれている(こういう細かい部分の使い勝手は、つもりつもって結局大きな影響になることが多い)。

コード入力支援、ストローク機能(まとめ打ちの和音をギターのストロークのように変化させる:ミュートタイミングの調整つき)や、オニオンスキン(他のトラックのピアノロールを参照しながら打ち込みできる機能:ドラムス、ベース、コード楽器のヴォイシングなどの打ち込みで大活躍する)、標準MIDIファイル(SMF)出力時に重なっているノートを警告してくれる機能(警告をダブルクリックするとノートが重なっている場所に飛んでくれる)など、打ち込みを楽にしてくれる機能が豊富にある。メジャーリンク(小節リンク)機能やパターンスライス機能なども面白い。

使用上の注意だが、MIDIの設定が柔軟にできる(=ムチャな設定も可能)ので、MIDIフィードバック(Domino>他のソフト>Domino>他のソフト・・・と信号が永久にループするようなつなぎ方)を作らないように注意しよう。これをやってしまうとmidi feedback detectedというエラーが出る。対策として「MIDI-IN」に「MIDI-OUT」と同じあて先を設定しないようにすると「Dominoから出た信号がまたDominoに戻る永久ループ」を回避しやすい。とことん心配な人は、ファイル>環境設定(または単にF12キー)で設定画面を出して「MIDI-IN」を選び「MIDI-INデバイス」をすべて「未設定」にしておけば、外部からのMIDI入力をすべて遮断できる。MIDIyokeのバージョンを上げたら動かなくなった、という人は、MIDIポートの設定をやり直そう(ポート名が変わったのに追従できていないだけなので設定すれば動くはず)。

筆者は長らくcherry(Dominoの基本操作はcherryを踏襲しているので、乗り換えはかなりラク)というシーケンサを愛用していたのだが、2010年現在のメイン環境はすっかりDominoである。2009年9月に「cherryにできてDominoにできないこと」をムリヤリ探してみたのだが、どうやら「.rmiファイルの読み込み」はできないようだ。できて嬉しい人はほとんどいないと思うが、なんとなく、cherryに「よかったね」と言ってあげたい気持ちになった。ついでに言うとムチャな(多分仕様を逸脱した)書き方のSMFを読ませたときの挙動もcherryの方が図太いようで、Dominoやreaperで読めないファイルをいったんcherryに読ませて、標準MIDIファイル出力をしてから渡すという技もたまに活躍する。CCなどをガリガリ手書きする場合も余計な気を回さない分やりやすい。ちなみに筆者はcherryのコード表示仕様(ファンクション準拠)が好きなので、いまでも手放すつもりはない。



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