Audacity以外のDTMソフト


REAPER

DAWと呼ばれる総合ソフトだが、MTRソフトとしても使える。いちいち気の利いた作りになっており、外部の波形編集ソフト(Audacityなど)やシーケンサソフト(Dominoなど)とムリなく連携できるという、唯一無二と言ってよいくらいの強みがある。操作についてはREAPER 0.999(無料版)の日本語パッチを配布しているフリーソフトでDTMというページにREAPER 初心者用解説があり、このサイトでもローコスト制作のREAPERのページで紹介している。

ミキサーやVSTホストとしての機能が充実しており、MIDIやVSTiにも対応している(イフェクトを通しながらの録音にも対応)。パソコンを使ったレコーディングに威力を発揮するだろう。イフェクトのパラ出しやパンチイン/アウト操作のほか、ループデータの切り貼りを意識したのか速度/ピッチ変更系の機能も充実している。Wavosaurで動かなかったVSTプラグインをREAPERで試してみる、という使い方ももちろんあり。

ミキサー機能はとくに強力で、ASIO4ALL(後述)のAdvancedモードと組み合わせると複数のサウンドカードから同時に録音することが可能。高価なハードウェアを使わずにマルチトラック録音ができる。アウトプットも自由自在で、トラックごとに出力先のサウンドカード(のポート)を選択でき、バスの充実度も実機の高級品ミキサを凌ぐほど。本家サイトでは内蔵イフェクトの単体配布も行っている。

「Human readable and editable project file format」がウリでプロジェクトファイルや設定ファイルをテキストエディタなどで読むことができる(整合性を保ったまま手書き編集するには、ある程度の知識が必要)。2007年8月現在、有料版は「Requires Windows 98/ME/NT/2k/XP/Vista/WINE」対応らしく、98とMEどころかWINEまでサポートする念の入れよう(XPとVistaはx64にも対応:マルチプロセッサ推奨)。


Wavosaur

ドキュメントが英語かフランス語のみなので多少のとっつきにくさはあるが、TiltStr::不定期版というページで日本語パッチが配布されている(検索窓に「Wavosaur」と入れれば最新版のパッチが探せるはず:2007年8月6日現在の最新パッチはv.1.0.0.9000用で本家バージョンと同じ)。利用は無料だが寄付を募っている。

イフェクトの設定やかける順番を記憶しておいて定型作業を自動化できたり、ノーマライズがワンボタンでできたり、ループの設定が充実していたり、モノラルトラック>コピーしてステレオトラックやステレオトラック>抜き出すチャンネルを選んでモノラルトラックという機能が手軽に使えたり、省力化に直結する機能が魅力。ヴォーカル消しや曲頭への無音挿入など、ちょっと変わった機能もある。スペアナやオシレータなどデータ分析系のツールもやけに充実している。

Audacityが「音を編集するソフト」だとすると、Wavosaurは「曲を編集するソフト」に近い。細かい操作や表示の面ではAudacityほど洗練されていないが「あれができれば便利なのに」と思うような機能が非常に充実している。VSTホストとしての性能も高く、再生しながらイフェクトをON/OFFして変化を確認することも可能。本家サイトに無料のプラグインに絞ったリンク集がある。


KRISTAL

トラックごとに2種類/マスタに3種類のVSTプラグインをかけられる16トラックのMTRソフト。詳細な解説サイト(KRISTAL Audio Engine :: 日本語マニュアルサイト ::僕と KRISTAL とあなた)がある。個人利用、教育的な利用、非商用利用は無料らしい(筆者は使ったことがないしライセンスにも目を通していないので各自確認のこと)。使えるプラグインの数は多くないが、総合ソフトとしてMIDI以外の機能は一通りそろっている。

サウンドカード経由で録音をしながらリアルタイムでVSTプラグインによるイフェクトをかけられる(らしい)あたり、MTRとしての利用を重視しているのだろう。操作面でも(解説サイトを見る限り)アナログ機器を模した作りになっているが、これは好みが分かれるかもしれない。ASIOドライバ対応。


Ardour

GPL採用の総合ソフト(DAW)。公式サイトによると「マルチチャンネル録音、無制限アンドゥ/リドゥつきの非破壊編集、オートメーションの完全サポート、強力なミキサ、トラック数/バス数/プラグイン数無制限、タイムコード同期、Mackie Control Universalなどハードウェアによる操作」が可能で「If you've been looking for a tool similar to ProTools, Nuendo, Pyramix, or Sequoia, you might have found it」らしい。このソフト自体とは関係ないが、公式サイトにあるLADSPAプラグインのリンク集が地味に便利。作りとしてはProToolsをかなり意識している模様。

もともとLinux用のソフト(gtk採用)で仮想マシンなどを入れないとWindowsでは動かないが、2008年3月現在FreeBSDにはardour-2.3.1(多分最新版)というportsがあり、Macにも移植されている。寄付を強く募っている。


MusESourceForgeのプロジェクトページ):

これもGPL採用のDAW。公式サイトによると「オートメーション、同期(MMC、Midi Clock:Master/Slaveとも)、Windows VSTi対応(Wineが必要)、XMLベースのプロジェクトファイルと設定ファイル、サウンドフォント対応」といった特徴があるらしい(一部抜粋)。

「Operating System : All POSIX (Linux/BSD/UNIX-like OSes)」とあるが、2007年8月現在FreeBSDのportsはない(MuSEというのは別のソフトウェア:ちなみに、Windows用のMuseというのも別ソフト)。仮想マシンなどを入れないとWindowsでは動かないようだが、QT採用なのでそのうちWindowsにも移植されるかもしれない。


Hydrogen

GPL採用のドラムマシン/ドラムサンプラー。公式サイトによると「.wav、.au、.aiffのほかFLAC形式のサンプルに対応、パターンシーケンサーつき、マルチレイヤー対応、ヒューマナイズ機能やスイング機能、MIDI入力可能、.midと.wavのエクスポートが可能」といった特徴があるらしい(一部抜粋)。

もともとLinux用のソフトだが2008年3月現在FreeBSDにhydrogen-0.9.3_1(多分最新版)というportsがあり、QT採用でWindowsでもMacでも動く(Unstable branchにQT4採用のものもある)。


LMMS(Linux MultiMedia Studio)SourceForgeのプロジェクトページ

「LMMS is a free cross-platform alternative to commercial programs like FL Studio(R)」らしい。名前にLinuxとついているが、QT採用でWindowsでも動く(ライセンスはGPL)。「SoundFont2, VST(i), LADSPA, GUS Patchesに対応」「MIDI完全サポート」「MIDIファイルとFLP(Fruityloops(R)用)ファイルをインポート可能」といったあたりが特徴らしい。

sourceforgeへの登録が2004年と比較的新しいプロジェクトのようだが、2009年2月現在の開発速度はかなり速い。FreeBSDのportsがあるが、2009年2月28日現在「lmms-20061204_8」で更新が止まっているので、本家からソースを落としてインストールした方がよいだろう。日本語の解説サイトがある。


regret

これは単体ソフトではなくソフトウェアディストリビューション。KNOPIXにDTMソフトウェアを詰め込んだもので、CD(2007-07-19バージョンからはDVD)からブートするだけでパソコンが「ステキロケンローマシン」になる。

収録ソフトは、ardour、rosegarden(古くから人気のあるシーケンサ)、muse、audacity、hydrogen、LMMS、timidity、FST(Windows用のVSTプラグインを動かすためのブリッジ)、各種DJソフトのほか、ファイル圧縮ソフト、CDバーンソフト、ストリーミング配布用ソフト、サンプラー用のデータコンバータ、生楽器用のチューナー、仮想MIDIキーボードまでそろっている。

フリーソフトが豊富なPCUnixに触れてみたいがいきなり自分でシステムを構築するのはちょっと、という人にはオススメ。中にはコマンドラインの知識がないとまともに動いてくれないソフトもあるが、最近はGUIを叩いているだけでストレスなく動いてくれるソフトの方が多い。

2009年10月追記:regretは、管理者の方のHDDクラッシュを機に、2008年3月からDebian Liveベースに変更され、現在はいろいろと準備中らしい。一方、Ubuntu Studio(2007年5月初リリース)やAV Linux(けっこう古くからあるプロジェクトのようだが、2009年5月の2.0リリースで注目された)などのディストリビューションも出てきており、今後が面白そうである。2014年7月追記:音楽制作に使うならUbuntu Studioかなという気がする。デバイスドライバについは、ALSAの対応リスト、OSSの対応リスト(情報がちょっと古くWikiも機能していない:開発自体は継続している)、FFADOの対応リストなどを参照(ただし上記はあくまでハードに対するドライバの対応で、ハード同士の問題(たとえばFireWireのチップセットの相性とか)もあるため、表に含まれた機器が必ず動くわけではないことに注意:まあこれはWinでもMacでも一緒だけど)。


その他録音編集系のもの

2009年12月現在、無料で使えるソフトがかなり出揃ってきた感じ。

Cycle of 5thSoundEngine Freeは開発元が日本の企業で当然ながらヘルプもすべて日本語、イフェクタがすべてプリセット(ライブラリと呼ばれる)つきなのが特徴。プロジェクト設立が1999年と、比較的古くからあるソフト。

MEFSoftwareのMusic Editor Freeも比較的古株(会社自体の設立は1998年)だが、日本ではあまりメジャーでない。CDリップ/バーン機能搭載。

FAE DistributionのFree Audio Editorは比較的新しいソフト(会社自体の設立は2003年)。ノイズ除去やtext-to-speech(WinXP以降に標準で搭載されている読み上げソフト)との連携、CDバーン機能などがウリらしい。

SoundEngineあたりは日本語の情報が多いのでとっつきやすいかもしれない。


ASIO4ALL(オマケ):

これはDTMソフトではなくサウンドドライバ。ASIOはAudio Stream Input Outputの略で、サウンドドライバの規格名。高級サウンドカードだとメーカー製の専用ASIOドライバが付属しているが、ASIO4ALLは汎用のドライバである。ASIO対応アプリケーションには、上記のWavosaurやREAPERのほか、SoundPlayer Lilithなどがある(Audacityは残念ながら1.2.6時点で未対応)。

本家サイトに「It uses WDM Kernel-Streaming and sometimes even more sophisticated methods to achieve its objectives」という記述があるが、ちゃんとした仕組みは筆者もわかっていないのでHead-Fi.orgのフォーラム(その1その2)あたりを参照して欲しい(サウンドドライバについてはオーディオの重箱の隅のページでも少し触れている)。とにかく、パソコンの中で音を録音再生する作業を効率化するソフトである。

相性問題が出るサウンドカードやデバイスドライバもあるだろうし、元から高性能なドライバを使っていた場合は劇的な性能向上にならない可能性もあるが、せっかく無料で公開されていることだし、試してみる価値は十分ある。筆者の手元で試したところ、オンボードのAC97互換チップとCreativeのSB Audigy LSで問題なく動作した(WavosaurとREAPERから常用している)。バージョン2.9でGUIが変更され今風になった(筆者は以前のGUIが好きなので、結局2.8に戻してしまった:性能も上がっているようだが、現状でパフォーマンスに不満はないので気にしていない)。

ASIO4ALL以外に、ASIO2KSというソフトもある(ファイル形式はcpl:コントロールパネル用のdll)。アプリケーションからASIO API互換形式でデータを受け取って、DirectXのカーネルストリーミング(Microsoftによると「Kernel Streaming (KS) is a broad term for the services that support kernel-mode processing of streamed data」らしい:ここでいう「streamed data」は「real-time streaming for multimedia devices」のことで「stream processing」を行うわけではないのだと思う)に送るソフトのようだ(未確認)。トレースモード(エラー発生時に状況を検証できる)が便利らしい。かなり相性の出るソフトのようなので、インストールの際には公式サイトにある動作確認済みサウンドカードの一覧に目を通しておこう




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