いろいろ作ろう


うま煮を作っておく / チャーハンを真面目に考える / チャーハンを諦める
/ スパイスでカレー / 汁なしカレー / 豚の角煮を圧力鍋で / 焼肉がしたい
/ ポトフを語る / モツとかスジとか / スパゲティ3種
// 食材に戻る / 少し変わった料理に進む / 目次にもどる

先に断っておくが、筆者は元中華屋である。中華以外の料理はドシロウトだし、中華もシロウトに毛が生えた程度しか知らない。そこを忘れないで欲しい。



うま煮を作っておく

「元中華屋である」と宣言してしまったので中華っぽいものを先にやっておこうか。

豚肉は、豚バラスライスあたり(厚めがよい)。酒大匙1と醤油小匙1と酢小匙半分をふりかけて20分くらい置き、水気を切り、少量の片栗粉と一緒にポリ袋に入れて振り混ぜる(余計な粉ははたき落として、触ると水分が微妙に滲むくらいにする)。できれば、酒を吸わせる前にざるで流水洗いして軽く絞り、スジっぽいところがあれば包丁を入れ、酒を吸わせるときにネギの青いところとショウガを一緒に漬け、お好みで黒コショウと粗挽き乾燥ニンニクを追加するとよい。

キノコとニンジンと白菜があれば、あとは青い野菜(そのとき安いものでよいが、チンゲンサイか小松菜が安定して使える)とモヤシで十分。モヤシは熱湯で洗って水気を切って使う。白菜の白いところとチンゲンサイの根元も一緒に熱湯洗いした方がよいだろう(ホウレンソウと違い灰汁は少ないので、葉の部分は水洗いだけでよいと思う)。もし冷凍でないキノコを使う場合で乾燥が進んでいたら、霧吹きで軽く水を含ませてもよい。冷凍のものは凍ったまま炒める。他に気が向いたものがあれば適当に入れよう(戻した乾燥キクラゲとか、タケノコの水煮、冷凍の小エビなんかも合う)。

鍋に油を熱して、ネギの青いところ、ショウガ、叩いたニンニクあたりを(全種類でなくてよいので)炒めて、香りが出たら取り除き、肉を炒めて表面を焼いたら皿に取り、モヤシと肉以外の食材を炒め、モヤシと肉を入れて少し炒め、スープの素(コンソメでも中華スープでも)と適当な調味料(塩とか酒とか)を少量のお湯で溶いて入れ、沸騰したら片栗で固める。片栗は多めの水(チャパチャパするくらい)で完全に溶き、混ぜながら3回くらいに分けて鍋に入れ、皿に盛ったとき下に落ちる程度のとろみに仕上げる。分量はもやし2:他の野菜4:肉魚介1を目安に。スープと調味料と水溶き片栗の合計水分は、もやし半袋に対して150ccくらい、かな。仕上げにごま油をたらしてひと混ぜしたらできあがり。

スープを煮立てるところでも火が通るので、炒めのところで完全に火を通す必要はない。樹脂加工の鍋でも作れるが、比較的高温になるのでコーティングが傷むことは覚悟しなければならないだろう。



チャーハンを真面目に考える

中華料理の炒飯(チャオファン)を一般家庭で作るのは、24cmの中華鍋に4.2KWクラスの強火力コンロを組み合わせて少量作るなら技術次第でなんとかなりそうではあるものの、一般的にはかなり難しい。この項ではそういうチャレンジはせず、日本の家庭料理としてのチャーハンを、インチキと抜け道で炒飯に近付ける方法を探る。以下分量は小さめの卵(M玉を殻含まず55gと想定)とご飯200g(0.6合くらい)を使い仕上がり250gの前提。油を飛ばしきれないので、卵をやや少なめにした方が食べやすいと思う。

チャーハンを作るときに問題になるナンバーワンは、おそらくご飯のダマだろうと思う。なぜダマになるのかというと、ご飯を炒め(高温の油で表面を変性させ)られていないからである。ほぐしと混ぜが下手だというのももちろんありえるが、炒めるには高温と油の両方が必要であり、常温のご飯に油をまぶして混ぜても、高温の鍋でご飯を乾煎りしても、ご飯はパラパラにはならず、混ぜれば混ぜるほどネバネバに(もしくは焼けてカリカリに)なるだけである。ご飯を干して揚げた菓子である「あられ」を考えてもわかるように、水分を抜けばバラバラになるというものでもない。筆者もいろいろ試しはしたが、この際、炒めることを半分諦めてしまうのがもっともよいと思うようになった。

まず普通にご飯を炊き、蒸らし、ほぐす。グラタン皿などにキッチンペーパーで油を塗り(どうせくっつくので薄くでよい)、ご飯を入れて、オイルスプレー(なければ手に油でも付ければよいが、油なしでも大丈夫)で少し油をかけてやる(放っておけば下まで落ちるので混ぜなくてよい)。余熱したオーブンでアルミホイルは使わず「てっぺんの飯粒がシワっとするまで」加熱する(時間は機種と皿の高さによる:プチプチと音が出るはず)。焼けたらひっくり返すようにしてご飯を別の容器に移し、グラタン皿の底にたまった蒸気を追い出す。あまり長時間オーブンにかけるとご飯が蒸れすぎるので、ほどほどに焼く。電子レンジを使うときもそうだが、ご飯を過剰に蒸すとクタクタになる(飯粒ひとつひとつがキリっとしていないとパラパラにならない)。油を塗ったグラタン皿は熱いし滑るので、ミトンは選んで使おう。

オーブンは出力全開が基本で、筆者が使っているのはFIFTYとかいうメーカーのOBT-111という機種(ディスカウントショップで2〜3千円だった)。庫内が小さいため厚切りのトーストなんかを焼くと焦げるくらいの火力がある。透明な容器を使うと、加熱中に湯気がモワっと立ち上るのがわかると思う。強い火力で表面の水分だけゴッソリ飛ばし油に入れ替える作業が、鍋ではできないためオーブンに肩代わりしてもらうわけである。飛ばす水分量が多く、冷凍して解凍したご飯だとパサパサになりがちなので避けた方がよい(炒めは内部に水分を閉じ込める調理法である)。そもそも、いったん冷や飯にすると飯粒がくっつき合うので、炊きたてが使えないなら保温ジャーを使うのが無難。ある程度の油がご飯に染み込むのは避けられないため、オーブンで使う油はあっさりしたものをとくに選んで使うとよい(粘度が低いのでこめ油がいいかな)。もしラードを使いたいなら卵の方に使おう。

特別な下準備はここまでで、ご飯部分の仕上がりはすでに大方決まってしまっている。あとは普通に油(飯の油がけっこう主張するので少なめ:油返しで残る油と合計で大匙1.5くらい)を熱して、煙が多く出る状態で卵と油を混ぜ膨らんだらご飯。お玉の底で撫でるように鍋に広げては混ぜ、ガンコなダマがもし残っていればお玉で少量の酒をかけて壊し、調味料と具を入れて混ぜ、仕上げ油をたらせば完成。鍋でやるべき作業が半分終わった状態から始めるので、炒め時間は短くなる。このやり方だと、中華鍋さえあれば、3.5KWの並火力コンロでも「なんだかチャーハンらしきもの」は作れる(が、仕上げ油は省略した方がいいかも)。欠点はグラタン皿に飯粒がひっつくことで、皿に塗る油を増やしすぎると油臭くなる(皿の素材によるのかもしれないが、筆者は耐熱ガラス製の長皿しか使ったことがない:だって1人前ちょっきり入るんですもの)。炒め油が少なくスタートダッシュの高温が必要な都合上、最初のところで卵が焦げやすいことに注意(ご飯を入れたらすぐに鍋を返してご飯の上に卵を乗せてしまった方が無難)。

ただまあ油を蒸発させられないのは変わらず、それなりの油っぽさは残る。が、限られた火力をやりくりするには適した方法だと思う。この「油をまぶしてオーブン作戦」はもともと油通しの代用として(細々と)伝わっていたようで、筆者も最初はエビだかイカだかの下ごしらえとして教わった(カワハラさんありがとう)。



チャーハンを諦める

実も蓋もない見出しだが、普通の家庭用キッチンで冷凍のご飯しかない場合、諦める以外にどうしようもない。卵を多め(ご飯200gに対してLL玉1個とか)にして、半量の卵を先にご飯にあえて、多めの油(上記分量で大匙3くらいかな:仕上げ油を使う場合はその分差っ引く)で残りの卵を炒め、膨らんだら卵かけご飯を入れて鍋で焼く。ご飯に混ぜる卵の量は、ギリギリ「卵かけご飯です」と言い張れる程度でよい(混ぜ方をざっくりにして、ご飯にかける方に卵白が多くなるようにすると仕上がりがけっこう違う)。

ご飯は温めるが卵をかけたときに煮えるほどの高温にはしないのがポイント。ご飯を器から直接鍋に入れようとするとハネて危険なので、ステンレスボウルか何かに入れておいてお玉で掬って入れよう。水分の飛ばし具合は好みだが、表面が焼けてきたらさっさと混ぜてさっさと仕上げるのがラクだと思う。パサパサするときは焼き過ぎだが、ご飯の水分が元から少ない場合(冷凍して解凍するとかなり水分が飛ぶ)は酒を少しかけるとある程度誤魔化せる(酒の甘味が嫌ならスープでもお湯でも)。

炒めていない分風味が弱いため醤油と仕上げ油(ごま油あたり)は使った方がよい。酒やスープ(インスタントで構わないがお湯に溶かすのが無難)をかける場合でも、醤油は後から別に入れる。油が多めだが焼き飛ばすことはできないので、アッサリした油を使う(ラード不許可、こめ油推奨:ラードをブレンドして使うのはアリかもしれないが、筆者はやったことがない)。なんとなく、大きい具材は合わない気がするので筆者は全部粗みじん切りにしている。

チャーハンともヤキメシとも違う不思議な仕上がりにはなるが、鍋で焼いた卵かけご飯もこれはこれでうまい。タマネギやニンジンのみじん切りを入れたいときは、上記のレシピから卵を小さいものに変えて全量をご飯に混ぜてしまうとよい。半量とはいえ高音の油とあえた卵が混ざっていると、野菜の風味と卵の風味がぶつかってごっちゃりした仕上がりになる。



スパイスでカレー

カレーといっても実にさまざまなものがある。筆者はカレーがかなり好きで、東京に住んでいたころは、新大久保のヒマラヤとか、戸山(馬場下町に移転したんだっけな)のメーヤウとか、歌舞伎町や西新宿の大小いろんなカレー屋さんに通ったものだし、札幌でもいくつかの店は回りアクエリアスとかいう尋常でなく辛いカレーも食べた(中華じゃないから店名出してもヘーキなのよね)。

じゃあ家ではどんなカレー作ってるのと聞かれると、学生の頃からほぼ変わり映えなく、豚バラブロックのカレーである。たまにちょうどよさそうなマトンを見つけたり、冷凍のエビが怪しくなってきたり、手羽元が余ったりすれば他のカレーも作らないではないが、やっぱり豚バラブロックが多い。筆者が家で作りたい理想のカレーはメーヤウの(できればポークでなくマトン)カレーなのだが、あんなのムリなので汁がユルいだけの普通のポークカレーを作っている。

筆者の理解だと、みじん切りにした野菜でカレーソースを作ってメインの食材にあえるのがインドカレーで、ココナッツミルクで煮込むのがタイカレー(凄く乱暴な分類で、例外がたくさんあるのは承知の上)なのだが、どっちも正直メンドクサイ。今は通信販売が発達して、アマゾンあたりじゃユウキのココナッツミルクが400ml(4号缶)300円ちょっとで買えるようだからそのうちやってみようとは思うのだが、エスニック追求系に振るならそれこそユウキのカレーペーストとか使った方が早いわけでもあり微妙。

筆者が使っているのはエスビーのカレー粉(赤缶)で、昔は無印良品のカレーキットも使っていた。この記事を書くために確認してみたところレトルトっぽいソースばっかりで、スパイス詰め合わせ的なキットは現在扱っていないらしい・・・と思ったらこれ、ハウス(GABAN)の「手作りカレー粉セット」だ(案の定ではあるがOEMだったのね)。そうそう、このセットからターメリックだけ抜いて、赤缶1個と混ぜ合わせるのが筆者のレシピだった。セットを「作り方」の説明通りに乾煎りして、密閉容器で冷蔵庫に3日くらい寝かせる(赤缶と混ぜるのは寝かせた後)。なおホールスパイスを使うときはテンパリングと呼ばれる技法(中華でいう香味油作りとほぼ変わらない:香爆とはイメージが違う)で油に香りを移すと風味がよい。ぶっちゃけメンドクサイのだが、唐辛子とクミンだけは余裕があればホール(とパウダーの併用)がいいのかなぁと思う。筆者は油を漉して香辛料を取り除いてしまう(クミンなど小さいタネモノは少し残した方がアクセントになる)。

でまあバラブロックを立方体になるくらいに切り、水(できれば生姜水:ネギの青いところと生姜を水に漬けて作る)晒しで血抜き(夏30分冬60分くらいかな)してよく絞り、軽く塩を振り酒と少しの酢を吸わせて焼き網で焼き、キッチンペーパーで油をふき取る(他の方法もいろいろあるが、圧力鍋を使うときはこれがよいと思う)。野菜は、煮崩すもの(最初から肉と一緒に煮る:トマトとかみじん切りタマネギとか)、形を残すもの(1回目の加圧調理の後で入れる:ニンジンとかダイコンとか冊切りタマネギとか)、揚げるもの(食べる直前に入れる:カボチャとかピーマンとか)に分け、必要なものは下茹でしておく。

肉を強火の焼き網に乗せ、表面(だけでよい)をしっかり焼き、肉と煮崩す野菜とひたひたくらいの水を圧力鍋に入れ煮立たせ、しっかり灰汁を取る(加圧調理中は灰汁を引けないため、蓋を閉める前に取り切ってしまう必要がある:油の量も適宜調整)。灰汁が出なくなったら酒と塩ひとつまみと小さめのブーケガルニ(ローリエだけでもいいと思う)を入れて高圧で25分くらい(鍋の種類と肉の大きさによる)調理してから圧を抜き、ブーケガルニを取り出し形を残す野菜を入れ、もう一度火を入れ灰汁を取り低圧で5分くらい調理する。

圧力調理と平行して小麦粉を(香味)油で炒めておき、スパイスを足して香りを出す。油が強い食材を使うときは乾煎りにしてもよい(というか筆者の場合温めるだけのことが多い)。圧が抜けたらスープの素を加えテキトーな調味料で味を調え、炒めた小麦粉とスパイスを入れ、乳製品(バターか牛乳かヨーグルトあたりで余っているもの:キノコ類を入れるならソテーにするとよい)と果物類(ジャムでもチャツネでもすりりんごでも)を何か混ぜ、揚げ野菜を入れたらできあがり。食べて甘味を感じるほどの量はいらないが、隠し味程度の糖分は入った方がコクが出ると思う(タマネギの量にもよるのでテキトーに加減する:汁ありカレーの場合筆者は、大きめに切って炒めないで使うので、甘味を別に足す)。

基本的にはあまり「味を染みこませない」作り方で、できたてを食べる(分量的に翌日持ち越しになるのは仕方ないが、すぐの方がウマイと思う)。生トマトでなくトマトペーストを使った方がいろいろとラクだと思う(なければピューレでもジュースでもケチャップでも)。スープの素(コンソメかブイヨンあたり)は邪道なのかもしれないが、メインにはしないまでも少しは入れた方が安心感のある味になると思う。圧力鍋は当初「手抜き道具」としてバカにしていたのだが、使い始めると便利すぎて手放せない。



汁なしカレー

汁なしとはいうものの、みじん切りの野菜を使い、中華でいう干焼みたいな感じにする。

タマネギは別に調理した方がラクで、油を熱した鍋にみじん切りを入れ、底の方が茶色くなるまで熱し、スープか酒かお湯(お好みで)をさして混ぜ、また熱することを繰り返す(フランス料理の用語でいうと、シュックを作ってはデグラッセするということになるのかな)。品種や個体にもよるのだろうが、この調理方法だとかなり甘味が出て、大量に入れすぎるとクドくなるので注意。強火でやればそんなに時間がかかる作業ではないが、タマネギを電子レンジで温めておくとすぐにシュックができる(焦げすぎに注意)。冷凍のタマネギを使う場合、レンジで温めると汁が出るので、汁を切って使う(嫌いでなければ、汁は後でカレー鍋に入れてしまえばいい)。

肉はどうするのがいいんだろうねぇ。干焼風にするなら粉をつけて油通しだし、生のままヨーグルトに1時間くらい漬け込むレシピもよく聞くし、スネとか肩などの硬い部位(邪道だがホルモン系のモツも捨てがたい)が合う調理法なので圧力鍋で柔らかくしてしまうのも手だろう。ここでは普通の「カレー用角切り肉」と圧力鍋を使うことにして、肉の表面だけさっと炒めたら、タマネギと一緒に加圧調理しておく。汁気は鍋が焦げない程度にあれば十分(水でもスープでも料理酒でもワインでもトマトジュースでもよい)。

圧力を抜く間にニンニクやショウガなどをみじん切りにして軽く炒め香り出し、カレー粉(赤缶そのまま)も軽く乾煎りしておく。加圧調理が終わった鍋に材料をすべて入れ、トマトペーストを混ぜ、塩で味を付けてバターを少し入れ、軽く水分を飛ばしたら完成。煮切ることを考えて調味料は控えめ、筆者は醤油も少し入れる。フランス料理風に小麦粉を入れても悪くはないが量は控えめに(ソースの仕上げにバターや小麦をツナギとして入れとろみを出す技法はリエと呼ばれる:インドやネパールやパキスタンで何と呼ばれるか筆者は知らない)。

付け合せはとくに必要ないと思うが、盛り付けた後で乾物(ナッツとかドライパセリとかガーリックチップとか)を乗せると風味が増す。ドライトマトとかレーズンを刻んで乗せても悪くない。肉をひき肉(自分で荒みじんにした方がよい)にして豆を入れキーマ風にもできるし、さらにカレー粉をチリパウダーに変えるとチリコカルネ(chile con carne:唐辛子と肉という意味だそうな)っぽくなる。



豚の角煮を圧力鍋で

これって日本の料理なのかしらね。中華にもトンポーロウという料理はあるがけっこう違う。まあとりあえず皮なしの豚バラブロックを使って普通の角煮を作りましょ。なお、中華風の味付けを志向するときは八角が欠かせない香辛料になるが、日本人にとってはかなりキツい風味なので、使うとしたら下茹でのときにだけ使うのが無難。素材の風味がフルに抽出される圧力鍋調理では、とくに慎重に使いたい。

肉はバラが第一候補で、スネや肩ロースも使えなくはない。下処理は、圧力鍋を使うなら焼き網で炙るのがよい気がする。カレーのときと同様に、仕上げの大きさに切ってから表面を焼き付け、油をふき取る。肉の赤身の部分は、過剰に加熱するとコラーゲンなどが壊れ弾力を失い、糖分で硬くなり、それをさらに冷凍するとスポンジ状になり、再加熱でポロポロになる。食感を残すには、表面を焼いて内部を保護してやった方がよさそう。業務用の強火力コンロが使えるなら表面だけ炒める手もあるのだが、家庭用コンロだとかったるいと思う。茹豚を使うときは加熱が過剰にならないよう気をつけ、砂糖を加圧調理の後に回す。油通しするのも(面倒ではあるが)効果的で、油が多い肉を使う場合はとくに適する。

肉の下処理が終わったら(切っていない場合は適当な大きさに切って)脂身を上に圧力鍋に並べ、少し頭が出るくらいの茹汁or水を入れ、調味料を加えて加熱する。落し蓋をしてもよいがなくても支障はない。調味料は、酒2:醤油3:砂糖2くらいから出発するとよいだろうか。塩分に比べて糖分は染みこむのに時間がかかる(単体イオンになる食塩に対してショ糖は高分子)ため、煮込み終わり直後の状態だけで判断しない方がよい。どのみち、長い時間漬けておけば煮汁と肉の内部でだいたい等しい濃度に近づく。加圧時間は20〜30分くらいだろうか。出来上がったら保温鍋に入れてひと煮立ちさせ、ゆっくり冷ますのが筆者のやり方。圧力鍋は食材を一気に柔らかくしてくれるが、味を含ませるには相応の時間がかかる。

冷えたらすぐ使う分以外を冷凍する。加圧調理によってすでに細胞破壊がかなり進んでいるが、凍らせるとさらに細胞が壊れ、茹豚を使った場合はトロトロに、炙豚を使った場合は外側だけ形を保ちつつ中が柔らかくなる。脂身を下にして密閉容器を使い煮汁も一緒に保存する。解凍するときは煮汁が大方溶けるくらいまで密閉容器のままレンジにかけ、丼などに移して上下を返し、隙間があくようにラップをかけ湯気が出てくるまでまたレンジ、肉を横にして少し置きまたレンジ、さらにひっくり返して休ませてまたレンジ、と何回かに分けて加熱する(一気に加熱すると爆発するので注意)。

そのままでももちろん食べられるが、青い野菜(チンゲンサイの葉の部分とか小松菜とか)をサッと炒めて、角煮を汁ごと加え、片栗で軽くとろみをつけてやるとウマイ(そのまま丼飯にもできる)。余った煮汁に皮を剥いたゆで卵を漬ける(卵を調味液が入ったポリ袋に入れ空気を抜く)と味付け卵を作れるが、そのままだと味が薄いはずなので適宜調味料(というか醤油)を足す。



焼肉がしたい

表題が調理法の紹介というよりはただの願望みたいになってしまったが、自宅で焼肉というのはなかなか難しいシチュエーションである。

まず焼き網はムリ。焼き加減は悪くないが煙が出すぎる。屋外でなら使えるがだったら七輪の方がいい。昔ながらの、汁受けに水を入れ真ん中にガスバーナー、目の字に穴が開いた鋳鉄の焼板(ロストル)を使うグリルは、煙が多いものの加熱調理器としての性能は悪くない・・・が、家庭用のポータブルプロパンガスが規制強化された影響で業務用専用になってしまった。後継はイワタニのカセットグリルあたりだろうか。同じイワタニの炙家は、見た感じ七輪の互換を狙ったっぽい。いわゆるグリルプレート的な溝が入った焼き板は、平らなもの、ジンギスカン鍋のように汁溜まりがあるもの、数は多くないが汁を外に流すものなどがある。

筆者の意見としては、油を外に出せることは必須の条件だと思う。また屋内で使う前提だと、熱源に直接油を落とすというのもちょっと困る。ようするに、汁受けに水を張って使うタイプのものがもっとも使いやすい。結局のところ、ロストルグリル(もともと、都市ガス仕様でも2.3KW程度の出力だった)の後継機であるカセットグリルが本命だろうと思う。余談になるが、昔の北海道には「ジンギスカン用ホットプレート」なるものが売られており、普通のホットプレートの外周に溝を切って汁受けに流すような仕組みになっていた(が、容量が小さく気をつけていないと溢れた:筆者が幼少の頃は、タレつきの肉はこのプレート、タレなしの肉はロストルグリルという暗黙の使い分けがあった)。

焼肉にしてうまい肉というと、牛肉ではカイノミ(ヒレとウチモモに近い部位のトモバラ:フラップミート)、ザブトン(肩ロースの芯:チャックフラップ、ハネシタ)、サンカク(中バラと肩ロースに近い部位の肩バラ:チャックリブ)、豚肉はやっぱりバラ、ラムは部位がよくわからないがロースあたりだろうか。牛のマルチョウ・シマチョウは焼肉でもウマイが、センマイは鍋、ハツやミノは串焼き向きだと思う。レバーは刺しで食べたいが、規制強化後は小売も卸もなくなってしまった。そういえば、ヒウチとかイチボみたいなモモ肉は、これだよと言われて食べた記憶がない。



ポトフを語る

もはや作る気がなさそうな表題になり、筆者はちょっと照れている。ともかく「Le pot-au-feu」ってのは、牛肉と野菜を使う料理で、材料は水から煮込み、スープは漉すものだと思うのだが、日本語で「ポトフ」というとあんまりそんなイメージがしない。ドイツ料理のアイントプフの方が近いんじゃないのという気がして調べたら、たしかに野戦糧食的なレシピ(野菜とソーセージをコンソメスープの素で煮るだけ)は日本のポトフに近い感じだが、家で作るようなレシピ(野菜(漬物含む)を賽の目に切って、レンズ豆と炒めて、スープと肉とブーケガルニ、じゃが芋、ソーセージ、塩コショウ酢らしい)はホントにドイツ料理っぽい。

WikipediaFRによると「ポトフはフランス料理の代表的な一品」らしい。使うのは:

だそうな(筆者はフランス語が恐ろしく苦手なので正確性は不明)。変異型クロイツフェルト・ヤコブ病対策で牛の背骨は流通禁止になっているので、使うとしたらテールだろう。

豚肉を使うときは、賽の目に切って野菜と一緒に冷たいトリガラスープから煮込むのがよさそう。茹豚を使うときは、茹汁で野菜を煮て仕上げの前に肉を戻し入れればよい、がトリガラの方が風味に勝る気がする。牛スネなんかを使うときは、炒めてから圧力鍋で柔らかくして固形スープと野菜でよさそう。圧力鍋と固形スープは相性がよく、普通のスープだと風味が飛んでしまうような調理も、スープの素を入れるタイミングを加圧調理後にしてやれば悪影響なしで行える。

もっと広義に、肉と野菜をスープで煮込めばOKと考えると、カレーもポトフだし中華の鬆スープもポトフには違いない(言葉だけ見たら「火にかけた鍋」という意味で、なんでもアリっぽさに溢れてる:中華の「火鍋」とは何か関連性あんのかねぇ)。



モツとかスジとか

下ごしらえにもいろいろなやり方があるが、塩もみして、流水でざる洗いして、水分をふき取って、ネギの青い部分と生姜と酒をまぶして30分くらい置き、汁を切って圧力鍋の高圧モードで(15〜25分くらい:モツは薄い肉が多いため印象ほどは時間がかからない)蒸し、氷水で締めると、ほとんどのモツが柔らかくなる。歯ごたえや風味を残したい場合は、先に焼き網で炙ってから短い時間で蒸すとよいのだが、焼くときの油と煙が難問。油通しもあんまりやりたくないし、普通に蒸すのがラクだと思う。部位と鮮度によっては、生姜水に漬けてから茹でこぼしや熱湯洗いするのもアリ。ホルモン焼きなどで生のモツを使いたい場合は、塩もみして、流水でざる洗いして、ボウルに入れ水を細ーーーく注ぎながら30分くらい晒し、香味野菜と調味料をもみこんで味をつけ、数時間おいて余分な汁を捨てる。

話がぶっ飛ぶが、モツ煮を作るときはゴボウを入れることが多いと思う。ゴボウを酢水に晒すのはアク抜きではなく色止め(色留め)と酸化防止である。ゴボウが黒くなるのは、タンニン、フェノール、クロロゲン酸などがポリフェノールオキシダーゼという酵素に酸化されるためで、pHを下げてやってこの酵素の活性を落としてやる(すりおろした果実やジュースなど、食材によっては食塩を使うこともある)。酢水に晒すとポリフェノールが流出するから灰汁抜きしない方がよいという説明を目にすることがあるが、ゴボウの水溶性成分は煮込むとどうせ大方が壊れるし、すでに酸化されたポリフェノールを摂取してもあまり嬉しいことはなさそうな気がするので、普通に酢水に晒すのがよいと思う(そんなにポリフェノールが好きならナフタレンでも置換すりゃいいのに)。

牛スジは色で(というのが正確な分類なのかどうか筆者は知らないが)3つに大別される。黄色いものは硬く、白いものは柔らかく、銀色のものは中間くらいで、形を留めて煮込むなら銀、煮崩すなら白、長時間煮出してダシにするなら黄が使いやすい。ゼラチン質が多く蒸すとベタベタしがちなので、洗って、生姜水に漬け、茹でこぼして、氷水で締めてから圧力鍋で(蒸さずに)煮るのがいいと思う。茹でこぼすときは、ネギの青いところと生姜に加え八角も(控えめに)使うと風味の強さに負けにくくなる。



帆立稚貝の煮付け

この料理は大変難易度が高いが、クリアすべきポイントは1点に絞られる。それは、帆立の養殖をやっている漁師さんと友達または親戚になることである。難しいが、できないと話が始まらないので、どうにかしてここをクリアしたとしよう。稚貝の季節(地方により3〜6月くらい)になったら漁師さんに「稚貝欲しいなぁ」とお願いする。このとき「小さい篭にひとつ」とか「鍋にひとつ」とか「ビニール袋にひとつ」などと曖昧な数量指定をしてはならないので注意が必要。さもなくば「サンコーのサンテナー27.6Lにひとつ」「17Lの36cmアルミ鍋にひとつ」「20kgの米袋にひとつ」など、一般に想像するのと少し違う「ひとつ」が届くことがある。自分で容器か袋を持参して「これにひとつ」とお願いするのが無難で、そうすればお願いした倍くらいの分量が届くはずである(同じくらいの容量の容器にもうひとつオマケ)。普段の付け届けを怠らないのはもちろん、稚貝の時期はたいへん忙しいので、自分でも水揚げ作業(たいてい早朝か深夜)を手伝いに行こう。

カゴ(丸篭と呼ばれる円筒状のものが主流だが、一部でザブトンと呼ばれる四角いカゴも使用されている)を海から引き上げたら、浜で稚貝をほろい出し、選別機で小さすぎるもの(規格外)をはじく。もらえるのが正規の貝か、規格外か、「ざっぱ」と呼ばれるさらにランクの低いものかは、豊漁不漁のタイミングや漁師さんとの親しさによる。選別機である程度海水洗浄されるが、食用にするならもう一度海水で洗っておいた方がよい(海水はその辺の水中ポンプからいくらでもかけ流している)。泥が多い環境にあったものは、海水を引いたいけす(地域によっては使わないのでバケツなどで代用)に入れて少し泥出しをした方がよいかもしれない。エビの幼生みたいなものや他の貝類や軟体動物(ホヤとか)がくっついているので、死に貝や空貝とともに取り除いておく。

この料理は素材の風味だけでなく臭みも濃厚に引き出してしまうので、稚貝が元気なうちに調理を開始するのが大切である(死んでいるのは論外)。稚貝をざるに入れて水道水でざっと洗い(真水で洗うと風味が落ちるという人もいるが、港で汲み上げた海水はけっこう汚れているので、筆者は洗う)、すぐに圧力鍋に入れ、料理酒を軽く振りかけて蒸す。稚貝からけっこうな水分が出るので、このとき加える酒は呼び水というか、加熱し始めの時点で鍋が空焚きになるのを防ぐためのもの。生姜水なんかでもよいのかもしれないが、筆者はいつも料理酒を使う。圧力切り替えが可能な機種では低圧に設定して、10〜20分(好みと稚貝の大きさによる)加圧調理し、圧が抜けたら蒸し汁と貝の中身と貝殻に分ける(火を通してあれば中身は指で簡単に外れる)。

蒸し汁を鍋に入れ、ごく弱く沸騰させて膜状の油(ウロと呼ばれる黒い部分に含まれており、臭みがある)が出たら取り除く。このとき控えめな沸騰なら油とわずかな灰汁だけを取れる(加熱を少し強めると灰汁も相応に増え、風味は弱まるが臭みも減る)。灰汁をとったくらいで臭みやアルコールも大方飛ばせているはず。蒸し汁を火からおろしたら出汁用の乾燥昆布を加えて常温になるまで自然冷却して昆布を取り除く。稚貝の中身は、蒸し汁(火からおろした時点で少し取り分けておく)と醤油と酒と砂糖を同量くらい混ぜた調味液で煮る(もちろんお好みでよく、みりんを少し加えたり、黒砂糖を使ったりしてもよい)。煮汁は多すぎない方が無難で、稚貝が6〜7分漬かるくらいの分量から少し煮詰めるような感じだろうか。少し水分が減ったら火からおろし、蒸し汁と同様に昆布を加えて自然冷却し、昆布を取り除く(冷ます途中で1〜2回上下を混ぜた方がよいと思う)。貝殻は捨てる(たいていの地域では生ゴミ扱いだと思う)か、洗って畑の肥料にでもする。

できあがった煮物は非常に濃厚な風味で、ご飯に乗せたり粥に入れて食べてもよいし、チャーハンやおにぎりの具だとか、酒のつまみにもなる。煮汁だけ少し取って、卵かけご飯の醤油の代わりだとか、あんかけの隠し味だとか、少し量がかさむが磯辺焼きの付けだれなんかにも使える。蒸し汁から作ったスープも非常に濃厚で、少量用いるだけで強い風味を得ることができる。どちらもすぐに使わない分は冷凍保存しておくのがよいだろう。



スパゲティ3種

調理済み状態で円断面のロングパスタ(25cmくらい)、というと話が面倒だが、ようするにスパゲティである。やや狭義には2mmくらいのスパゲットーニ(またはバーミセリ)、1.8mmくらいのスパゲッティ、1.6mmくらいのスパゲッティーニくらいまでが範囲に入るか。ここでは、1.4mmくらいのフェデリーニ、極細のカッペリーニも「スパゲティ」に含めて話を進める。なお上記以外のロングパスタには、楕円断面のリングイネ(リングイーネ)、平断面のフェットチーネ、中空断面のブカティーニやブカトーニなどがある。乾麺100gが茹で上がり250gくらいで、米よりは少し膨れる

フランス料理だと麺の茹上がりに差し水をしてからザルに揚げ熱湯洗いするらしいが、筆者はイタリア風に差し水なしでアルデンテ(皿に盛った時点で芯が微妙に残る程度:正確には「歯ごたえがある」食感を指す言葉で茹で加減を直接示すものではないし、地域差や個人差も大きく「バリカタ」レベルから「ふやけてはいない」レベルまでいろいろ)に仕上げる方が好き。以下旧レシピから転載。

ペペロンチーノ

2人前。材料は、麺250g、にんにく(生が望ましい)、オリーブオイル1カップ、赤唐辛子(輪切り)、その他具材(きのこやベーコンなど)。スパゲッティは多少細め(1.5mmくらい)のものを。

  1. 鍋にオリーブオイル2/3カップを暖め、叩いたにんにく(なければ乾燥のものでもよいが、水で戻すかごく弱火にする)を入れて「ダシをとるつもりで煮る」(焦がさないように)。
  2. きのこやベーコンを入れる場合は麺をゆで始める前に(上のガーリックオイルとは別に)炒めておく。炒めた油も捨てないように。
  3. スパゲティ250gを茹でる。
  4. 鍋からにんにくを取り出し、唐辛子と塩を入れる(きのこやベーコンもここで混ぜる)。
  5. 火を消し、茹であがった麺を鍋に入れ、軽く混ぜる。麺の水分は多少残しておく。
  6. 盛り付けて残りのオリーブオイルをふりかける。
スパゲティというよりは京風うどんを作るようなつもりで、オリーブオイルを大量に使う。具材としては、貝類なども合う。

追記:後から見返すと、アヒージョをかけたスパゲティみたいなレシピ。

カルボナーラ(気合を入れて作る)

6人前。材料はスパゲティ750g、きのこ、ベーコン、オリーブオイル1.5カップ、卵黄6個、卵白3個、パルメザンチーズ半カップ、牛乳1/4カップ。スパゲッティは多少太め(1.7mmくらい)のものを。

  1. フライパンでベーコンを炒め、皿に取っておく。千切りでも大きめでも可。
  2. フライパンを軽く洗い、オリーブオイルもしくはバターできのこを炒め、塩・コショウで味をつける(多少濃いめで構わない)。
  3. スパゲティ750gを茹でる。
  4. 深くて大きなボウルで卵黄>塩>オリーブ油>卵白>牛乳>チーズ>コショウの順によく混ぜ合わせ、好みで軽く湯せんする(これがソースになる)。
  5. 茹であがった麺とベーコンときのこをボウルに入れてよく混ぜる。麺の水分は多少残しておく。
  6. 味を見ながら塩・コショウを足す。
卵白と卵黄のバランスは好みで適宜調整する(卵黄だけでも作れるし、1:1くらいまでなら卵白を増やしても大丈夫)。余った卵白はスープなどに入れる。

追記:ベーコンは厚めに切って斜め半分に割り、直角三角形に近い台形を作るといいと思う。

カルボナーラ(軽く作る)

2人前。材料はスパゲティ250g、オリーブオイル半カップ、卵黄2個、卵白1個。

  1. スパゲティ250gを茹でる。
  2. ボウルに卵黄>塩>オリーブ油>コショウの順に加えながらよく混ぜる。
  3. 卵白と茹であがった麺をボウルに入れてよく混ぜる。
  4. 味を見ながら塩とコショウを足す。
追記:麺を茹でている間どうせヒマなので、他に作るものがないなら、気合を入れて作った方がいい気がする。



電子レンジも立派な加熱調理(オマケ1)

耐熱容器に入れて「あたため」ボタンを押したらあとはほったらかしにすることが多いと思うが、電子レンジ加熱も調理には変わりなく、上手にやれば仕上がりが相当違う。

たとえば冷や飯は、ラップをしたまま6割方温めたところで天地を返してからラップを外して追加過熱すると、底の方がベチャっとしたり上の方がパサっとしたりするのを防げる。煮汁があるものも途中でいったん返して、1〜2分休ませて熱を均してから再加熱すると火の通りが安定しやすい(角煮のように熱ムラができやすいものは、工程を何度か繰り返す)。もちろん、単純に「弱レンジ」モードなんかを使うことで休ませるのと似た効果を得ることはできるが、もし暖めるものが2〜3皿あるなら、交代で休ませながら「強レンジ」を使った方が時間短縮になる。

パンなんかを電子レンジ加熱すると顕著だが、水分が出てベチャっとすることがある。これも使い方次第で、凍ったパンをレンジでぬるくなる手前くらいまで温めてからオーブントースターを使うと、ふっくらすることがある(場合によってはレンジの前に霧吹きで水分を足す)。炒め煮やカレーのタマネギなんかの場合は水が出るのを利用して、電子レンジにかけ、汁を切って炒め、汁を戻して煮込むなんてこともできる。豆腐の水抜きなんかもわりと一般的な使い方だろう。

ティーバッグの紅茶を電子レンジで作ると独特の風味を出せる。やり方は、水にティーバッグを入れて加熱し、途中で軽く混ぜて、休ませず再加熱するだけ(水でなく牛乳を使う場合はとくに、沸騰させると派手に溢れるので注意)。抽出というのは温度域で成分が変わるのだが、電子レンジだとその変化が独特なのと、茶葉自体も加熱されるため、普通に作るのとは一風変わった仕上がりになる(それが好きか嫌いか、茶葉やフレーバーに合うか合わないかは別として)。



魚はどうすりゃいいの(オマケ2)

田舎に引っ越して以来かなりの頻度で魚をもらうのだが、筆者は料理方法をあまり知らない。中華で魚といえばまず揚げてあんかけ、でなきゃホンショウ(煮付けのことでホンシャオとも:技術的に難しいし、ぶっちゃけ日本風の煮付けの方がうまい、というか日本人である筆者の口に合う)か蒸す(清蒸鮮魚というと熱いごま油をかけるのが有名だが、普通に熱い醤油ダレをかけることもある)かといったところ。本場に行けば種類は無尽蔵にあるのだろうが、その辺の日本人中華屋が知っている魚料理はそう多くない(と思う)。

どうも、ムニエルとかワイン蒸しとかカルパッチョとかオーブン焼きとかいろいろあって、中華よりは洋食の方が華やかなラインナップに見える。日本風の魚料理で素人にもマネゴトができそうなものというと、焼き(塩or味噌or照り)、煮付け(醤油or味噌)、刺身、鍋、汁物、すり身と練りもの、干物に漬物(糠or粕)といったところか(蒸し料理はローカル物が多いような気がする)。

焼き魚なら、道具のページで紹介したように焼き網でできる。これはけっこう融通がきいて、フライパンを被せたり端で焼いたりと小細工ができ、ガスレンジのグリルよりも(手間はかかるが)おいしく焼けると思う。煮付けは圧力鍋でやっている。圧力鍋は食材が柔らかくなるのが特徴だが、味は調理時間相応にしか染みないので、調理後に冷蔵するなり調味料を濃くするなり、工夫が必要。

ブリをもらって中華包丁で捌いたことがあるのだが、できないことはないものの出刃包丁が欲しくなった。鰓を外す所だけクリアできれば他はなんとかなりそうなのだが。ウロコ取りも中華包丁でできなくない(というか中国人は普通にやる)が、ホームセンターで売っているウロコ取り器を使った方が間違いなくラクである。



科で見る野菜(オマケ3)

アブラナ科は一大勢力でバリエーションも多い。なかでもアブラナ属は、ハクサイ・チンゲンサイ・コマツナ・カブ・アブラナ、キャベツ・ブロッコリー・カリフラワー、タカナ・ザーサイ、ターサイなど主役級の野菜が多い。ダイコン属などの根菜、ワザビ属やセイヨウワザビ属など辛いものもあり、ナズナ(ペンペン草)なんかも香草として使われることがまれにある。

キク科は分類が複雑でよくわからない。レタス、ゴボウ、ヨモギ、シュンギク、ベニバナ、ヒマワリ、チコリー、エンダイブあたりが含まれるらしい。沖縄料理のニガナはホソバワダンで、種の名前としてニガナと呼ばれるものとは別物らしい。ウリ科も種は多いがよく見るのはトウガン連(スイカ・キュウリ・メロン)とカボチャ連だろうか。ナス科はナス・トウガラシ・ピーマンなど。

セリ科には香草が多く、コリアンダー(香菜)、フェンネル(茴香または小茴)、セロリ、クミン、キャラウェイ、ミツバ、セリなどがある。分類的にはニンジンもセリ科らしい。ネギはヒガンバナ科ネギ亜科という扱いらしく、ニラやニンニクもネギ属。反対にショウガは、ショウガ目という目が立てられており、ショウガ科にはウコンやカルダモンが含まれる。



肉とタンパク(オマケ4)

赤身の肉は、およそ75%の水と20%のタンパクとその他5%くらいからなる。タンパクのうち60%くらいが原線維タンパク(アクチン、ミオシン、アクトミオシンなど:塩溶性)、30%くらいが筋漿タンパク(ミオグロビンなど:溶液成分なので流出しやすい)、10%くらいが結合織タンパク(コラーゲンなど)ということになっている。

筋原繊維タンパクを加熱すると65℃くらいから収縮しはじめ、70℃以上になると固くなり、80℃付近で収縮が止まる。干していないタコやイカや魚などが加熱で硬くなるのは大部分がこの影響(豚肉や牛肉の場合も歯ごたえが増す)。いっぽう肉の硬さはコラーゲンが支配的に左右しており、65℃で収縮を始め、75〜85℃で軟化(ゼラチン化)し始める(公共財団法人日本食肉消費総合センターの解説記事より)。

タンパクが変性するということは、非芽胞菌が不活になるのも(もちろん例外はあるが)だいたいこの辺の温度ということで、たとえばサルモネラ菌は68度3.5分で不活となる(菌以外でも、多くの食中毒ウイルスが70度30分程度で感染性を失う:ただしノロウイルスは85〜90度90秒以上が推奨値)。またこの辺の温度をいったん超えた後に冷却すると、芽胞菌(とくに嫌気性のもの)が爆発的に増えることがある。

なおセルロースは丈夫なので加熱だけでは壊れにくいが、対流が加わると物理的に破壊されてボロボロになる。卵は、卵白に含まれるオボトランスフェリンが61度、オボムコイドが70度、オボアルブミン(卵白アルブミン)が85度、卵黄タンパクはおおむね70度前後(リベチンは60〜80度くらい)で凝固する。



小麦粉の種類(オマケ5)

中華ではあまり使わないので改めて調べたのだが、けっこうメンドクサイ。小麦のタンパクはグリアジンとグルテニンがメインで、この2つを水分のある環境で反応させるとグルテンになり、このグルテンが粘りや弾性の元になる。タンパクが多い順に強力粉(きょうりきこ:タンパク12%以上)、中力粉(ちゅうりきこ:典型的には9%前後)、薄力粉(はくりきこ:8.5%以下)に別れる。

小麦粉に食塩水を加えて練り、布袋に入れて水中で揉むと、袋の中にグルテン主体の生地(麩の原料)が残り、水中に逃げたデンプン(沈粉)を乾燥させると浮き粉になる。イモ系のデンプンを浮き粉と称することもあり(元は代用品だったのかも)、用語に混乱があるようだが、とにかく浮き粉はデンプンメインの粉である。セモリナは粗挽きの小麦粉。乾燥パスタに用いられるデュラムコムギはセモリナに加工されることが多い。全粒粉はふすま(糠)や胚芽もまとめて粉にしたもので、グラハム粉は皮と胚芽だけ挽き方を粗くした全粒粉。

小麦は、小穂1つに3〜5粒稔実する普通系(フツウコムギなど:パンコムギとか夏コムギというのはフツコムギの別名のようで、フツウコムギ以外の普通系にはスペルトコムギなどがある)、2粒稔実する2粒系(デュラムコムギなど)、1粒稔実する1粒系(1粒コムギなど)、2粒稔実するが2粒系とは遺伝子的に異なるチモフェービ系などに分かれる。もともとは1粒系の種から栽培が始まり、野生種との交雑で2粒系、普通系となっていったようだ。



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