作曲(知識補充編)


度を詳しく表記する / 詳しい度とコードとスケール / 用語の整理
/ コードの性質を図で考える / キーを途中で変える / 調性の引力
/ 定番進行 / もっとたくさん借用する / モードでも考えてみる / 小さい動き
/ ディミニッシュとオーギュメント / ディミニッシュとオーギュメントの応用
// 基礎完成編に戻る / もどる
<サンプルのMIDIファイル(SMFフォーマット1)が再生できない方はQuickTime Playerを使用してみてください>

耳や思考力が十分に鍛えられ、ピアノロールの扱いにも慣れたところで、これまで先送りにしてきた理論や、不十分な説明で済ませてきた理論について補足したい。一部、編曲のページで紹介する理論を踏まえないと理解しにくい項目もあるので、基礎編と基礎完成編だけでも軽く読んでおくことをオススメする。

アレンジの領域にまで踏み込んだ項目も多く「メロディを作る」という目的のために必ずしも必要な知識ばかりではない。「変な音」系の項目は、変な音をぜひ使いたい人だけ読めばよいので、そうでない人は読み飛ばそう。


度を詳しく表記する

基礎完成編で「Cメジャーにおける1度と3度(つまりCとE)の間隔とAマイナーにおける1度と3度(つまりAとC)の間隔は異なり、前者の方が長く後者の方が短い」という話が出た。同じ「3度」でも間隔が違うのだから、区別して表現したいこともあるだろう。そういう場合、間隔が長い方の3度を「長3度」、間隔が短い方の3度を「短3度」と表現する。

この「長短」は「メジャーキー(長調)での数え方が長」というルールになっている(「長で数えるとメジャーキーになる」という考え方もできる)。どういうことかというと、メジャーキーでは、1度と2度の間隔は半音2つ、1度と6度の間隔は半音9つになっているが、この2度と6度を「長2度」「長6度」などと呼ぶ。「長~度」を半音下げると「短~度」に、「短~度」を半音上げると「長~度」になるので覚えておこう(たとえば、長2度を半音下げると短2度、短7度を半音上げると長7度など)。1度と5度(トニックとドミナント)の間隔は半音7つ、1度と4度(トニックとサブドミナント)の間隔は半音5つだが、これらは特例として「完全5度」「完全4度」などと呼ぶ。

英語だと「長」が「メジャー(major)」、「短」が「マイナー(minor)」、「完全」が「パーフェクト(perfect)」になるが、この頭文字をとってたとえば、「長6度の音」を「M6」、「短3度の音」を「m3」、「完全4度の音」を「p4」などと書くことがある。メジャーとマイナーはどちらも頭文字が「m」なので、大文字と小文字で区別する(「p」はどちらで書く人もいる)。長調/短調をドイツ語でdur/mollと呼ぶ人もたまにいるが、クラシック方面にほぼ限定される(このページを読む分には覚えなくてもよい)。

メジャーキー(長調)での数え方は以下の通り

1度との間隔詳しい度Cメジャーで数えた例
1度半音0完全1度(p1)
2度半音2長2度(M2)
3度半音4長3度(M3)
4度半音5完全4度(p4)
5度半音7完全5度(p5)
6度半音9長6度(M6)
7度半音11長7度(M7)
8度半音12完全8度(p8)
マイナーキー(短調)だと次のようになる
1度との間隔詳しい度Aマイナーで数えた例:
1度半音0完全1度(p1)
2度半音2長2度(M2)
3度半音3短3度(m3)
4度半音5完全4度(p4)
5度半音7完全5度(p5)
6度半音8短6度(m6)
7度半音10短7度(m7)
8度半音12完全8度(p8)
ちなみに、C△7などメジャーセブンの7度音は長7度、Cm7などマイナーセブンの7度音は短7度、C7などドミナントセブンの7度音は短7度である。本来、たとえばCm(シーマイナー)に短7度音(マイナーセブンス)を乗せたコードなら「シーマイナー・マイナーセブン」と呼ぶのが正確なのだが、Cmに長7度音(メジャーセブンス)を乗せた「シーマイナー・メジャーセブン」はめったに使わない(こともないが、昔からの慣例でそういうことになっている)ので、単に「シーマイナーセブン」と呼んでしまうことがほとんどである。

もう1つ、これまで「Im(b13)」とか「Iadd9」などという表記が何度か出てきた。この後ろの数字は何だろうか。やはり度を示している。普通に考えて、度は「1から7まで」あれば十分であるが「1オクターブ上の音」を示したい場合はこのように「本来の数に7を足して」表記するのである。

要するに「2度の音」と「9度の音」は「オクターブが違うだけの同じ音」を指しているのだが、「1オクターブ(以上)高い」という点を強調したい場合はとにく「9度」という表現を用いる(実は「8度」という言い方もこれと同じで「1度の1オクターブ上」のことである)。ここで「(以上)」と書いたのは、たとえば2オクターブ上の音でも「16度」などと呼ぶ人はほとんどいないからである(「9度」でよい:「ルートから1オクターブ以内」と「それより上」の区別に注目した書き方なので)。


詳しい度とコードとスケール

もう気が付いた人もいると思うが、コードに長短の考えが通用する。たとえば、基礎完成編に掲載した図に詳しい度を書き入れると、CとAmのコードは以下のようになる。


3度の音に(コードのルート音から見た)「M3」を使うのが「メジャーコード」で、和名では「長3度を使う三和音」という意味で「長三和音」と呼ぶ。同様に「m3」を使うのが「マイナーコード」で、和名では「短3度を使う三和音」という意味で「短三和音」と呼ぶ(和名は急いで覚えなくてもよい)。

反対から言うと、メジャーのルールで音を並べた三和音がメジャーコードで、マイナーのルールで音を並べた三和音がマイナーコードだと解釈することもできる。この辺は鶏と卵なので「どちらが先か」は気にしなくてよい。

すでに少し触れたが、この「メジャーのルールで音を並べる」という表現を「メジャースケールで音を並べる」と言い換えることができる。前述の通り「スケール(音階)」とは「音を並べる(あるいは重ねる)ためのルール」「よく使う音の並び順」のことである。

同じ言い方をキーについても適用すると、たとえば「Cメジャー」は「Cから始まりメジャーのルールで音を並べる調」つまり「Cがルートでメジャースケールを使うキー」と言い換えることができる。またたとえば「キーがCメジャーでコードがGのパート」で「メジャースケールを使う」などと言った場合、キーを基準にCメジャーのことを指しているのかコードを基準にGメジャーのことを指しているのか、あらかじめ確認しておいた方が無難である。


用語の整理

マイナーキーでは複数のスケール(Vmを使うパターンとV7を使うパターン)を使用可能であり、途中から違うスケールを使うことを「モードを変える」と書くと説明した。Vmを使うのを「ナチュラルマイナーモード」、V7を使うのを「ハーモニックマイナーモード」、V7を使ってさらに6度の音を半音上げるのを「メロディックマイナーモード」という。マイナーキーで使えるモードはこれ以外にもあるし、メジャーキーで使えるモードも1つではない(これまでずっと使ってきたモードは「ナチュラルメジャーモード」といい、7度がフラットした「ミクソリディアンモード」や、6度がフラットした「ハーモニックメジャーモード」が使われることもある:詳しくは後述)。

キーが変わる(転調)のとモードが変わるのはどのように違うのだろうか。モードは文脈によって大きく意味が変わる用語だが、ここでは「スケール(使う音の種類)を変えるとモード(メロディやコードの作り方)も必ず変わるが、キー(全体の雰囲気)まで変わるとは限らない」と解釈しておけば概ね差し支えない。たとえばAマイナーの曲でナチュラルマイナーモードからハーモニックマイナーモードに変化した場合、スケールの変化に従ってメロディやコードの作り方が変わるが、全体の調子として「Aが中心で暗い感じ」はあまり変わらない。

ちょっと紛らわしいが「キーのルートだけ変えずにメジャーとマイナーを入れ替える」場合も「モードを変える」と表現することがある(たとえば、Aマイナーから途中でAメジャーに変更するなど)。この場合は「スケールを変えてメロディやコードの作り方も変えるが、Aが中心なのは変わらない」という意味になる(同じ言葉を微妙に違う意味で使っている)。モードの用法は他にもあるが、現段階ではとりあえず上記の話だけ覚えておけば差し支えない。

ここまで「(あるキーで)よく使う音」とか「よく使うコード」といった表現を何度も用いてきたが、専門用語ではこれを「ダイアトニックトーン」とか「ダイアトニックコード」などという。たとえばCメジャーのダイアトニックトーンはCDEFGABで、三和音のダイアトニックコードはCとDmとEmとFとGとAmとBm(-5)である。「ダイアトニック」はスケールを意識した言い方なので「スケールを変えずに使える音(ノート)やコード」という風に解釈することもできる(反対からいうと、スケールを変えなくて済むからよく使うわけなのだが、これも鶏と卵なので気にしなくてよい)。

キー(調)について、曲の中心になるキーを主調と呼ぶことがある(1つの曲にキーが複数表れる場合、区別のためにこう呼ぶ)。主調に深い関わりがある調として、下属調(主調のサブドミナントの音から始まるキー:たとえばCメジャーに対するFメジャー、Aマイナーに対するDマイナーなど)、属調(主調のドミナントの音から始まるキー:たとえばCメジャーに対するGメジャー、Aマイナーに対するEマイナーなど)、同主調(主調とルートが同じキー:たとえばCメジャーに対するCマイナー、Aマイナーに対するAメジャーなど)がある。主調ではなく「現在演奏中のパートのキー」を基準に属調とか下属調といった言い方をする場合も多い。

上記以外の用語について、たとえば1曲の中に3種類のメロディがあるとき、一番盛り上がるパートをサビ、それ以外を演奏される順番にAメロ、Bメロなどと呼ぶことがある。あまりよい分類法ではないような気がするが、パートごとのまとまりを考える上で利用価値はあるし、使う人が多いので覚えておいた方がよいだろう。たとえば「Aメロ>Bメロ>サビ」という動きが「トニック中心のパート>サブドミナント中心のパート>ケーデンス」という動きと重なることがよくある。ここでいう「ケーデンス」は「ドミナントがトニックに解決するパート」という意味(本来の意味とは少し離れる)。

和音について、3つの音でできた和音(CとかAmとか)をとくに「トライアド」(またはトライアード:和名は「三和音」)と呼ぶことがある。四和音以上の呼び方は「三和音になにを追加するか」で決まり、セブンスが入ったコードは「セブンスコード」、シックススが入っていれば「シックススコード」、ここまででは紹介していないが「テンション」と呼ばれる音がさらに追加されていれば「テンションコード」と呼ばれる。とりあえず、トライアドだけ名称を覚えておこう。

進行について、ドミナントからトニックに進んで緊張感を解決する動きを「ドミナントモーション」と呼ぶことがある(とくにドミナントセブンはこの力が強い)。この他に「パラレルモーション」とか「サブドミナントマイナーモーション」などもあるのだが、とりあえずドミナントモーションだけ覚えておけばよい。コード展開の持つ「進行感の特徴」に注目した言い方である。

ケーデンス(ここでは「トニックへの到達経路」のことだと思っておけばよい:この用法の場合、クラシック方面ではファイナルケーデンスという用語を使うようだ)について、D>Tと動くのをドミナント・ケーデンス、SD>Tと動くのをサブドミナント・ケーデンスという(ivがiiiに解決する際に、ivがトライトーンを構成しているか否かに着目している)。もう少し拡張してSD>D>Tと動くのをとくにサブドミナント・ドミナント・ケーデンス、SD>SDm>Tと動くのをとくにサブドミナント・サブドミナントマイナー・ケーデンスなどと呼ぶこともある。上記とややかぶるが、こちらは「トニックへの進み方」を重視した表現である。

音名と階名について、固定ドの用法で用いるものを音名、移動ドの用法で用いるものを階名と呼び分けることがある。どちらの意図で言っているのかは前後関係でわかるため、いちいち断らないことが多い。音名であることを明示する場合はCDEFGAB(英)、CDEFGAH(独)、ハニホヘトイロ(和)など(一般には)音名にしか使わない表記を用い、階名であることを明示する場合は第ii音などと度で表記すればよい。

テンポについて、一般に1秒間に4分音符いくつの速さかで表し「BPM=120」(Beat Per Minutの略、beatは拍を示す)とか「tempo=120」とか「音符マーク=120」(斜体部分は4分音符の記号)とか「M. M.=120」などと書く(1分間=60秒間に4分音符120個分だから、4分音符1個分=1拍は0.5秒になる)。クラシック方面ではAdagio(「ゆるやかに」という意味)などと数字でなく言葉で示すこともある(イタリア語表記が好まれるが、Jazzやブルースでは英語で書くこともある)。

音価(音の長さ)について、下図は「4分の4拍子で4分音符=480チックス」の設定(ようするにDominoのデフォルト設定:細かい意味は気にしなくてよい)でいろいろな音価のノートを打ち込んだもの。括弧内はチックス数(数値指定で打ち込みをするときなどに使う)。右の図は左右方向に拡大してある。
 
「~分音符」という表現は「4分音符4つ分の何分の1か」という意味(全音符の長さは1小節が4分音符いくつ分かによって変わる)。付点音符(附点音符)は元の音符の3/2倍=1.5倍、3連符は元の音符の2/3倍≒0.666倍の長さ。1.75倍の複付点音符などもあるがあまり使わない。テンポと音価に関する網羅的な情報や計算式はデータのページを参照。


コードの性質を図で考える

これまでコードの性質についていろいろと説明してきたが、もう少し直観的に理解するために図を使ってみよう。縦軸に緊迫感を、横軸に調性感(キーの音が主役な感じ)を取るとこのような感じだろうか(メジャーキーの場合を例としてとりあげる)。

スペースの関係で代理コードのセブンスは書き入れていないが、セブンスにすると、VImはIに、IIImはVに、IImはIVにやや近付く。ドミナントは調性を保ったまま緊張感を出すコード、サブドミナントは緊張感を出さずに調性を揺らがせるコードだと捉えることができる(緊張感を出しつつ調性まで揺らがせるコードはかなり特殊なコードで、ダイアトニックコードにはない)。まだ説明していないコードも含まれているが、知らないものについては無視して構わない。

各コードの位置は筆者が感覚で適当に配置しただけで、何か資料を元にしたわけではないのであしからず(VとIV6の位置がおかしかったのとV6を描き忘れたのでムリヤリ修正したのだが・・・IImももう少し下に書くべきだった)。2次元のグラフなので強進行や半音進行の絡みは表現できていないし、IVによる調性の揺らぎ(下属調に引っ張られる)とVImによる調性の揺らぎ(平行調に引っ張られる)の区別もついていない。これらを十分承知して利用して欲しい。また、図を見ながら実際に音を出してみて「こういう動きなのか」ということを実感してみて欲しい。

ドミナントモーションについて考えよう。ここでいうドミナントモーションは広義のドミナントモーションで「ドミナントまたはドミナント代理コードからトニックまたはトニック代理コードへの進行すべて」を指すものとする。

この図におけるドミナントモーションは、基本的に上から下への動きである(図には左下への動きしかないが、たとえばV>I6のような動きも可能である:トニックの「スッキリ感」をあえて曇らせたい場合に使えなくもない)。また上図におけるIIImについて、VIIm(-5)を受けるときはトニック代理、Iに解決するときはドミナント代理扱いになる(VIIm(-5)>IIImの扱いは微妙だが、VIIm(-5)をV7omit1と見ると「ドミナントを解決している」という解釈の方が自然だと思う:IVやIImに進む場合はトニック代理扱いにすることが多い)。

VIに寄り道してから解決することも可能で、いったん「消化不良」の形にしてから改めて落ち着かせる形になる。

図には書き入れていないが、V>VIm>Iのような進行もあり「軽い消化不良>解決」といった感じになる(VImについては後でまた触れる)。V>IV>IやV>VIm>Iは、古典的なクラシックでは禁止されていることもある(V>IVの動きは「偽終止」という形でのみ許容される:編曲のページで後述)動きだが、ポピュラーミュージックでは普通に使われる。

Vは緊張感のあるコードだが、IやIVからは普通に進める(図中に「安定感で押し切って」とあるが、Iからはどんなコードにも進めることになっている)。

V7くらい緊張感が強いとやや唐突感がある場合もあるだろうが、そういうときは間にIIm7 on Vを挟んでやる手もある。

単にIV>IIm>V7としても強進行できるため効果はあるし、IVから出発せず強進行を利用してVIm>IIm>Vとしてもよい。IIm7を使う場合はIVからベースを6度に持っていくだけなので導入が簡単かつスムーズである。IIm7 on Vは多少強引なコードなので、IIm7>IIm7 on V>V7のように細かく刻んでもよい。また、IIm7 on VはVsus4とある程度の互換性を持つので、単独でドミナント代理として使っても差し支えない(かなり弱めのドミナント代理になる:IV on Vで同じことをやるとさらに弱まり、代わりにサブドミナントの調性揺らぎが付加される)。

この手の寄り道は右方向に進むときにも応用可能で、やはりベースの動きで進行させることが可能。

Iからベースを6度に回すとVIm7、VImからベースを6度に回すとIV△7に動ける。位置的に近いI6やIsus4も使えないことはない。また、VImからVに進みたい場合に一度IVに寄ってから進むというテクニックもある(強進行でIImを挟む方が素直だが)。

サブドミナントからトニックへの動きにはある種の解決感(キーを再確認してほっとする感じ)が伴う。傾向として、上から下または右から左の動きの寄り道は(三角形を描くように)斜めに、下から上または左から右の動きの寄り道は途中で行う場合が多い。

ダイアトニックなコードではないが、IV>IVm>Iという動きはサブドミナントマイナーモーションと呼ばれ、Jazzなどでよく使われる。図中に「弱い調性の安定感」とあるのはIVmからIに進むとサブドミナント>トニック的な解決感があることを示している。

先ほどIVmが出てきたが、借用コードの理解にもこの図を活用できる場合がある。たとえばVmの扱いはこのようになる。

Vmの使い方や借用の根拠などは後述する。

と駆け足で典型的な進行を見てきたが、進行感を把握する助けとしてたまに意識してみて欲しい。繰り返しになるが、この図にはルートの動きによる進行感(強進行など)が反映されていないので、十分注意して欲しい。

ダブルドミナント(「もっとたくさん借用する」の項目で後述)の概念をムリヤリ書き入れるとこんな感じだろうか。いづれにせよ、たとえばブルース系の音楽でI7>IV7>I7などと進行するようなパターンを理解するのには向かない。

また、この図はあくまで調性感を中心にした解釈なので、転調(次の項目を参照)や借用が絡む部分では(Vmの図で少し触れているように)転調前と転調後両方のキーで考えつつ、どちらの影響力がどの程度支配的になっているのかを意識する必要がある。モードを積極的に使う場合は、キー(この場合は単にルートを指す)の固定度とモードの安定度を分けて考えた方がよいかもしれない。たとえば、x軸をキーの固定度、y軸をドミナントモーション(ここでは「トニックまたはトニック代理の音が聴きたくなる度合い」の意味)の強さ、z軸をナチュラルモードからの距離感にして3次元グラフを書いてみるのも面白そうである。

ともあれ、トニックはキーの基本となる安定したコード、ドミナントは調性を安定させたまま緊迫感を出すコード、サブドミナントは緊迫感を出さずに調性だけを揺さぶるコード、代理コードは中間的な性質を持たせて機能(ファンクション)を曖昧にしたコードだという認識は、構成を作る上で有用である。メジャー/マイナーの響きの違いやルートの動きなども加味しつつ、検討材料として活用して欲しい。


キーを途中で変える

いわゆる転調について考える。キー(調)が「曲全体の雰囲気を決める要素」であるという話は何度も繰り返したが、これを変えるということは、曲全体の雰囲気を大きく変えることに他ならない。

キーは編曲のときにどうせ見直すので、作曲の時点で「ここは転調」ということをあらかじめ決めておく必要はない(詳しくは編曲の知識補充編を参照:慣れないうちは後からキーを変えた方が何かとラクだと思う)。また、次以降の項目でまた取り上げる「変な音」についても同様のことが言えるが、転調も、必ず覚えなくてはならない技術ではない。雰囲気を大きく変えたい場合にこういう方法もあるというだけのことである。

CメジャーからGメジャーに移ってまたCメジャーに戻るサンプルを用意してみたが、9小節めと17小節めにおける雰囲気の変化がわかるだろうか(「Cが中心>Gが中心>Cが中心」という、キーのルートの変化に注目して欲しい)。

「CメジャーからGメジャーに移ってまたCメジャーに戻る」のと「CメジャーでGメジャーの音を借用する」のはどう違うのかという疑問についても一応考察しておきたい。結論からいうと、流儀や着目点によってどんな呼び方をしても差し支えないが、それなりに向き不向きがある。

たとえば上記のサンプルではキーが完全に変わって、9~16小節めの間では「GがトニックでDがドミナント」な印象が明確である。この場合は転調と解釈した方がスッキリするだろう。一方、Cメジャーの途中でFメジャーの音を使うこちらのサンプルでは、使う音が変わってもキーはCメジャーに残った感じで「CがトニックでGがドミナント」という印象に変化がないため、借用やモードで解釈した方がわかりやすい(この場合Cメジャーでナチュラルメジャーモードからミクソリディアンモードに変わってまたナチュラルメジャーモードに戻ったと考える:Fメジャーに転調したと考えるとCのトニック感やBbとGmのドミナント感が説明できないし、そもそもトニックのはずのFが一度も出てこないため面倒なことになる)。この考えを反対から使うこともでき、たとえばCメジャーの曲でBbを鳴らした場合、それを転調にするのか借用にするのか意識することで、後に続く音のイメージを明確にする助けになるだろう。

もちろん、元のキーのスケールにない音を出すのは全部「転調」で、転調している時間が短い場合は(どういう意図や事情が背景にあっても構わず)「一時転調」、長い場合は「本格転調」と機械的に分けてしまうのにも一定のメリット(解釈が簡単になる)があるし、調性を中心にした考え方を完全に捨ててモードだけですべてを解釈する人(もちろん、そういう人たちの言う「モード」は拡張と拡大解釈を重ねに重ねた独自の意味での「モード」であり、このページで紹介したモードの考え方とは異なる部分もある)もいる。

このように流儀や着目点によって解釈が異なるケースはよくあるので、状況に応じてメリットが大きそうな解釈をその都度選べばよい。


調性の引力

サブドミナント系の音に調性を揺さぶる効果があることはすでに紹介した。これをもう少し詳細に考えてみたい。

メジャーキーから順に考えよう。まず目に付くのはIVの存在感である。たとえばCメジャーのI>IVのつもりでC>Fとやっても、聴き手の意識の中に「これってFメジャーでV>Iなのでは」という疑念がどうしても生まれる(ドミナントモーションの影響力はそれだけ強力だということ)。このような影響力を、ここでは「下属調からの引力」と表現することにしよう。

さて、C>F>Gの展開に説得力があるのは、F>Gのところが「調性を安定させつつ緊迫感を高める」動きになっているためだということは既に紹介した。ここで別の選択をしてもよい。たとえばC>F>Bbとして「実はFメジャーのV>I>IVでした」という態度でもよいのである(そのままCメジャーに戻らずFメジャーを続けるなら、下属調への本格転調ということになる:ただし、後述するようにわざとらしい感じがやや出やすい)。

VImもそこそこ力を持っている。とくにV>VImのつもりでG>Amなどとドミナントモーションを肩代わりすると、聴き手に「えっ、主役はCだったんじゃないの」という戸惑いが生まれる。G>Am>Cとしてやれば「もちろんじゃないですか、主役はCですよ」とオチをつけて先に進めるが、G>Am>Dm>E>Amなどとして「あー、そんなこともありましたねー」とトボけてやる手も面白い。6度上(3度下)のマイナーもそこそこの引力を持っているということになる。

ちなみに、この用法でのVImも(V>VIm>Iと同じく、調性を引っ張る意図で使っているわけだから)サブドミナント代理と解釈した方がスッキリするのだが、IVでこれ(CメジャーのG>FからBbに進むなど)をやってしまうと少しわざとらしくなる。G>Fという形で引っ張ると「またまた、そんなこと言いながら結局Cでしょ」という期待感が高くなるからである。VImの場合はトニック的な性質も強く持っているため、出てきた時点でドミナントを「おおむね解決」してしまえる(未解決の音が残っていると、聴き手には「当然解決されるだろう」という期待が生まれる)。同じIVでも、IV△7かIV7にしてやればiとiii/biiiが出揃うので、ドミナントの未解決感はやや小さくなる。

マイナーキーではどうだろうか。やはりIVmは引力が強い。たとえばAマイナーのつもりでも、Am>Dmと動けばDマイナーにいくらか引き寄せられる。bIIIにもやはり力があり、Em>Cなどと動くと「これってCメジャーでIIIm>Iじゃないの」という印象がどこかに生まれる(この場合のIIImはドミナント代理扱い)。G>Cなどと動かれると、AマイナーでbVII>bIIIというイメージがCメジャーでV>Iというイメージに圧倒されることもよくある。

これだけだと結局メジャーキーと同じなのだが、マイナーキーにはもう1つ強い引力が働いている。それは「Iへの引力」である。たとえばAm>Dm>E7と来たら、普通に考えて次はトニックのAmなのだが、そもそもの話を考えるとE7は「Aメジャーのドミナント」である。Am>Dm>E7>AとIが出てきても違和感はまったくない(疑う人は実際に音を出してみよう)。メロディックマイナーからの流れでAm>D>E7>Aなどとなっていればなおさらである。

また、AマイナーでG>CとやるよりCメジャーでEm>Amとやる方が引力の感じ方は弱い。これは多分ドミナントが弱いせいで、E7>AmとしてやればAの存在感も少しは強まる(ただし、繰り返しになるがE7の本来の解決先はAなので、AマイナーでG7>Cとやったときほどの引っ張られ方はしない)。もう少し応用して「マイナーキーは不完全な調であり、最終的にはメジャーキーに解決する」という発想もある(モーダルインターチェンジで考えた方がスッキリするのだが、詳しくは編曲の知識補充編で触れる)。

上記をまとめると、下属調(IVやIVmが出てきたとき)には強い引力、平行調(VImやbIIIが出てきたとき)にもある程度の引力があり、マイナーキーでは同主調にも強い引力がある、ということになる(同主調はメジャーキーでも弱い引力は持つ)。これらを振り切る動き(本来の用法ではないがサブドミナントモーションということばを当ててもよいだろう)が、ドミナントモーションとともに「調性感」を作ることになる。


定番進行

決まったコード進行にメロディを付けるスタイルで作曲したい人や、ある程度枠を狭めて作曲したい人のために、定番の進行をいくつか紹介しておく。それっぽい音のページと重複する内容もあるのでそちらも参照のこと。すでに触れたが、ローコスト制作コーナーのファイル配布ページにも定番進行のサンプルファイルがいくつかある。

定型進行といえばまず何よりブルースである。基本は
I>I>I>I
IV>IV>I>I
V>V>I>I
で、少し変化を入れると
I>IV>I>I
IV>IV>I>I
V>IV>I>V
になる(ブルーススケールを使う前提なので、演奏者の手加減によってメジャーっぽい雰囲気になることもマイナーっぽい雰囲気になることもある)。ここから派生した展開も無数にある(それっぽい音のページにジャズブルースの紹介があるが、エレキギターを中心に演奏するロックブルースなども人気がある)。

循環コードについても改めて紹介しよう。これはトニックから始まって(普通)ドミナントで終わる展開を何度も繰り返すものである(T>SD>Dの流れを4小節で作ることが多い)。進行感が強力なものとして1625や1425の循環がよく使われる(もっとも狭義には、1625を循環、2516を逆循環の意で言う場合もある:歴史的な経緯もあるが、少なくとも「逆循環といえば2516」という了解がある場合は、わざわざ「2516の」とは言わないことが多い)。循環コードの前半と後半を入れ替えたものは逆循環と呼ばれ、たとえば1625の循環を逆循環にすると2516になる(広義に取る場合でもSD>D>Tの流れが好まれる)。

Jazzなど強進行を好むジャンルでは1>3>6>2>5も人気があり、さらに詰め込めばI7>VIIm7(-5)>IIIm7>VIm7>IIm7>V7という展開も可能である(先送りを繰り返しているが、I7>VIIm7(-5)の部分は裏コード的な動きで、流れとしてはVIIm△7(-5)やVII△7などmaj7系にしてもよい)。ベースの動きを小>大と変化させる1>2>3>4>5の循環なども面白い。

反対にロックなどではスリーコードのみの構成も好まれ、極端な例ではI(8小節)>V(8小節)の繰り返しだけでできている曲もある(コテコテのロッケンロールで演奏してもよいが、ブルースっぽいアレンジにしても映える)。作曲のページで何度も練習した1451(実際にはターンバックを5に変えて1>4>5>1>5にすることが多い)は基本中の基本といえるパターンだし、変進行を中心にした1541や折衷的な1415も面白いだろう。もちろん、循環コードでない曲にこれらの展開を組み込んでもまったく問題ない。

Jazzなどではスタンダード曲からコード進行のみ抜き出す手法がある(これの名手だったのがチャーリー・パーカー)。Jazz以外のジャンルでもたまに見られるし、3コードの曲などでは意識して流用しなくてもほぼ必ず「何か別の曲と同じ進行」になる。

禁則という考え方もある。名前は恐ろしげだが「使ってはいけない音」ではなく「使うときに注意が必要な音」なので誤解しないように(ジャンルや流儀や時や場合や人によって「厳密に守るべきルール」を「禁則」と呼ぶ場合もなくはないが、初心者はそのような可能性をとりあえず無視して問題ない)。ここまで読み進めた読者が試すのに都合がよさそうなパターンを考えてみると、たとえば

といったあたりだろうか。すでに何度も練習した内容ではあるが、行き詰まったときの気分転換にでも、上記のルールをキッチリ守った曲を書いてみるとよい練習になるだろう(繰り返しになるが、あくまで「練習法」であって「よい曲を作る方法」ではない)。最後の1行がわかりにくいかもしれないが「V7の後は必ずT」「T>DでV7を使わない」という意味である(「V>V7」や「Vm>V7」は普通にOK)。


もっとたくさん借用する

もっと奇抜で妙ちくりんな音をぜひ使いたい、という人のために「使い勝手のよい変な音」をいくつか紹介する。転調と同じく、無理に導入する必要はない。

たとえばCメジャーの曲で、Aマイナーからコードやメロディを借用して暗い雰囲気を持ち込むことができるという話はすでに述べた。調の名前で呼ぶと「平行調からの借用」ということになる。これ以外のキーから借用するパターンをいくつか紹介したい(以下断りがない限りメジャーキーでの例)。

属調から借用する例として、IIm7>V7>I(ツーファイブワン)をII7>V7>Iに変えることがよくある。たとえばCメジャーなら、Dm7>G7>Cと進むところをD7>G7>Cに変えてしまうわけである。このように、強進行でドミナントセブンのコードを連発することを通称ダブルドミナントという。

このとき、D>Gの動きを(Cメジャーに対する)属調のGメジャーから見るとV>Iになっているわけだが、さらなる小細工として、Dの前に(Gメジャーから見たIImである)Amを置いてやることも可能である(Am>D7>G7>Cになり、Cメジャーから見た解釈ではVIm>II7>V7>Iになる)。借用した音は基本的に「違和感がある音」なので、強進行のように勢いのある進行で強引に持ち込んでしまう場合が多い。

トニック以外のダイアトニックなメジャーまたはマイナーコードに解決するドミナントセブン(ディミニッシュマイナーは解決先として想定しないのが普通)を一般にセカンダリードミナントという(まれに「ダブルドミナントで最初に出てくるドミナントコード」という意味で「セカンダリードミナント」と言う場合があるが、この意味をとくに強調したい場合、セカンダリードミナントではなく「ドッペルドミナント」(ダブルドミナントのドイツ読み)と呼ぶ人が多い)。II7>V7>Iのほか、セブンスを省略したII>V7>I、III7またはIII>VIm、I7>IVなどがよく使われる。

セカンダリードミナントとしてはIII7というのが面白く、元の調でドミナント代理になる。ivを含まないため完全なドミナントとはいえないが、III>VImという動きには上行導音viiをiに解決するモーションが含まれており、平行調のドミナントでもあり、トニック代理であるVImにアプローチする和音なのだからドミナント代理で解釈するのが自然だろう(IIIm>VImをドミナント代理>トニック代理で解釈することも可能)。興味深いのはVおよびvとの親和性で、V>VImとIIIm7>VImとIII>VImの間に互換性のようなものがある。たとえばCメジャーなら、G>AmとEm7>AmとE>Amが似たような響きの中で微妙なバリエーションを生むことがある(Em7はGonEと同義)。

I7>IV以外で下属調から借用する例として、Vm>I>IVの形が典型的である。これはパートの区切りで使われることが多く、たとえばCメジャーで、トニック中心パート>>サブドミナント中心パートという移行を考えるとき(「>>」はパートの区切り)、C>>FではなくGm>C>>Fとしてやると、これは(Cメジャーに対する)下属調のFメジャーから見てIIm>V>Iの形になっており「ここからFが主役のパート」という印象を強くアピールできる。

このとき、Gmが突然出てくるのに違和感があるようなら、直前にトニックのCを置いておくとよい。トニックは「安定度が一番高いコード」なので、これでしっかり落ち着かせた(未解決の音がなくなった)後なら多少変な音が鳴ったり急な展開があったりしても許容されやすい、という理屈である。結局同じ意味だが「区切りを感じさせるコード」でもあるため、場面展開に絡む頻度は非常に高い。また、Gmを長く鳴らしたくないのならC>Gm>C>>Fのように小節の一部だけでGmの音を使えばよい(「>」は小節の途中でコードを変えるという意味)。この場合Cメジャーで解釈するとI>Vm>I>>IVになる。これらの工夫は、もちろん、下属調以外からの借用にも活用できる。

同主調からの借用ではIVm(サブドミナントマイナー)を使うことがあるが、ロックやポップスではダブルドミナントやVm(ドミナントマイナー)ほどは多用されない(Jazzなどでは当たり前のように使う)。使い方としてはIV>IVm>IかIV>IVm>Vの形が多い。同主調からの借用を意識せずに、ナチュラルメジャーモードからハーモニックメジャーモードに移行したと解釈することもできる(後述)。

借用について「よくある例」をいくつか紹介したが、基本となる考えは「使いたい音は使ってよい、ただし下準備とアフターケアを忘れずに」ということである。反対に、使いたくもないのに無理してこれらの音を使う必要はまったくない。調子の変化を強調したい場合や、強引にでも勢いのある展開にしたい場合など、需要に応じてこのような方法が使えるということを知っておけば十分である。


モードでも考えてみる

「変な音」についてモードの立場からも考えてみよう(ここでは前回「使う音を変える」の項目で扱った意味での「モード」についてのみ考え、Jazzなどで言う「モード」については考慮しない)。この場合、主要3和音(代理でないトニックとサブドミナントとドミナント)以外はすべて借用扱いした方がスッキリする。

マイナーキーでV7の和音を使うために7度の音を半音上げることがあり、和音(ハーモニー)を重視した音の使い方なので「ハーモニックマイナーモード」と呼ばれる。これだと7度から6度へのメロディの動きがぎこちない場合があるので、6度も半音上げた「メロディックマイナーモード」を使うこともある。ここまではすでに紹介した。もう少し応用的なことを考えてみよう。

たとえば、V7が絡まない場面でもハーモニックマイナーモードやメロディックマイナーモードを活用できないだろうか。これは普通に可能である。たとえば、マイナーキーでV7を使った後、変更されたモードを引き摺る形でIm6に解決することがある。わざわざ6thを乗せているのは(単にメロディの都合でそうなっている場合もあるだろうが)「今メロディックマイナーモードで6度音が半音上がっています」というアピールのためである。

また、同主調(たとえばCとCm)の音の構成を比べてみるとわかるが、メジャースケールの3度と6度と7度が半音下がるとマイナースケールになる。メジャースケールの3度と6度と7度はそれぞれ「トニックコードの3度音」「サブドミナントコードの3度音」「ドミナントコードの3度音」のことである。

ここに注目すると、主要3和音すべてがマイナーコードになるのがナチュラルマイナーモード(普通は単に「マイナー」という)、ドミナントコードがメジャーコードに変わったのがハーモニックマイナーモード、サブドミナントコードもメジャーコードに変わったのがナチュラルマイナーモードと解釈しても差し支えないということになる。トニックコードさえマイナーコードであれば、マイナー系のモードとして扱えるわけである(ちなみに、ドミナントがVmのままでサブドミナントがIVになる=ナチュラルマイナーから6度だけが半音上がるモードをドリアンモードといい、これもマイナー系モード)。

同様のことがメジャー系モードについても言える。主要3和音すべてがメジャーコードになるのがナチュラルメジャーモード(普通は単に「メジャー」という)、キーのルートから見て6度の音が半音下がりサブドミナントコードがマイナーコードに変わったのがハーモニックメジャーモード、さらに7度の音を半音下げることもある(エオリアンメジャーモードと呼ばれる:その他、7度だけをフラットさせたミクソリディアンモードもメジャー系モードの仲間)。ハーモニックメジャーとエオリアンメジャーは比較的インパクトが弱いモードで、ちょっと変な音が鳴ったかな程度の印象になることもある。

こう考えると、メインで使えるコードがかなり増える。メジャーキーではIとIVとVが主要3和音、モードを変えることでIVmとVmが加わり、平行調のマイナーキーから借用してVImとIImとIIImが加わり、さらにモードを変えることでIIIとIIも追加できる(ここまではあまり触れていないがVIIm(-5)も使える)。ただし、ナチュラルでないモードを使う部分にはそれなりに違和感があるので、IVmならIV>IVm>IまたはIV>IVm>V、VmならI>Vm>I>IV、IIIならIII7>VIm、IIならII7>V7>Iのように、強めの進行で使うのが基本である。ミクソリディアンモードからbVIIやIIIm(-5)を引っ張ってくることも可能だろう。

マイナーの場合にどうなるのか、筆者はよく知らないのだが、たとえばbVImのようなコードを使うよりは、マイナー系モード間での行き来を重視することの方が多いようである。とくに、bIIIがオーギュメントコードになるあたりが特徴的だろう。メロディックマイナーまたはドリアンのままサブドミナントに進むと出てくるIV7も変な音だし、すでに挙げたIm6も面白い。マイナー系モードの1つにフリジアンモード(ナチュラルマイナーからiiをフラットさせる)があり、ここからbIIやセカンダリードミナントのbVI7を引き出すこともある(bIIをIVmの代理で使う場合bII△7 on IVの形が好まれ、ナポリ和音とかナポリの六などと呼ばれる:メジャーキーに転用するとbVII)。

「もっとたくさん借用する」の項目と結果的に一致する考え方も含まれているが、何度も繰り返しているように「同じ現象を違う理論で解釈している」だけのことである。どちらの立場を取っても差し支えないが、解釈により出てくるアイディアが変わるだろう(ちなみに「~モードから借用する」という言い方も普通に使う)。

たとえばCメジャーでC>Gm>C>F(I>Vm>I>IV)という展開があった場合、「キーがCでメジャー系」という雰囲気を保ちつつ後ろにFm>Cなどと続けたいならモードが変わっていると解釈した方がスッキリする(ミクソリディアンからナチュラルメジャーに戻ってハーモニックメジャーに行ってまた戻る)だろうし、Fメジャーからの借用(というかFメジャーへの転調感)を強調つつC>Gm7 on C>C7>Fなどとやる手もあるだろう。もちろん、両方のアイディアをごちゃ混ぜにしてC>Gm7 on C>C7>F>Fm>Cなどとする手もある。また、Cメジャーのダイアトニックコードでないコードが出てくる個所がGmのところだけならば、モードがどうのキーがどうのと言わずに「ちょっと借用しただけ」で済ませた方が理解が簡単になる場合もあるだろう。

同じ現象を異なる理論で説明できる場面はよくあるので、自分にとって都合のよい解釈を選ぶ意識を今のうちから根付かせておこう。


小さい動き

ここまでで紹介したように、モーダルインターチェンジや借用やセカンダリードミナントなどを考慮すると展開に対する解釈の幅が広がるわけだが、実際の例として、I>IV>V>Iのトニックパートに引き続き4小節のサブドミナントパートを作ってみよう。基礎完成編では単純に「パートの頭をサブドミナントコードにする」ことでサブドミナントっぽさを得たが、今回は514という流れを軸にする。考慮すべき事柄が増えデリケートになる分、ちょっとした匙加減で表情が変わり面白い。

たとえばサブドミナントパートをV>I>IV>IImにすると下属調から見たII>V>I>VIm(1625の逆循環にセカンダリードミナントを加えたもの)になるが、IImの前後が少しギクシャクするというか、現在位置がわかりにくくなる(エレキギターによるKey on Gでの演奏例)。この周辺について、下属調のツーファイブワンの引力が強い一方でキーの移動が鮮明でなく、ある種の衝突が起きているのだという発想で作業してみる。

Vm>I>IV>IImと変更を加えてやると、下属調の影響力が強まって比較的安定する。大きめの動きなので、戻るときもダブルドミナントで明確にしてやるとこんな演奏(結果的にモーダルインターチェンジで行ってダブルドミナントで戻る格好)になった。戻り部分はIIm>II>Vのように刻んでも面白いだろう。必ずしも「IImを別のコードに差し替え」なくてもよいことに注意しておこう。

いっぽう、V>I>IV>IIm>VImに変更すると下属調から見たII>V>I>VIm>IIImになり、両方のキーで使えるマイナーコードがクッション代わりになって、こんな響きになる。代理コードは役割が曖昧なことを利用してどっちつかずを通した格好。戻り方もIIm>VやIIIm>VやIIm>IIIm>Vなどを使い分けて微妙なニュアンスを変えられる。

主調の支配力を強化する変更ももちろんあり、V>I>IV>V>Iなどとできる(演奏例)。下属調から見るとII>V>I>II>Vで影響力が弱いわけではないが、主調がドミナントモーションを使って主要コードを回しているのにはさすがに敵わない。その分、サブドミナントパートとしての役割は比較的弱くなるだろう。ドミナント解決の場所がパートの頭や末尾からずれているだけ(基本の流れは1451のまま)なので、ドラムスなどによるサポートでも面白い効果が得られそう。


ディミニッシュとオーギュメント

VIIm(-5)が出てきたときに説明を先送りにしたが、この「マイナーコードの5度音が半音下がって減5度になったコード」のことをディミニッシュマイナー(減三和音)という。「減」の説明をするために度の考え方をもう少し補足しよう。

たとえば同じ3度でも長3度と短3度があって、長3度を半音下げると短3度、短3度を半音上げると長3度になるということはすでに述べた。では、長3度からさらに半音上げたり短3度からさらに半音下げたりした場合はどうなるのか、と考えてみよう。ちょっとムリヤリな感じになるのが予想できると思うが、この「長3度からムリヤリ半音上げた音」を「増3度」、「短3度からムリヤリ半音下げた音」を「減3度」と呼ぶ。また、1度と4度と5度には長短の区別がないが、ここからムリヤリ半音上げ下げした音も増減をつけて「増5度」とか「減5度」などと呼ぶ。

ちなみに、「長」が英語だと「メジャー」で省略すると「maj」または「△」または「M」、「短」が英語だと「マイナー」で省略すると「min」または「mi」または「m」なのと同様に、「増」は英語だと「オーギュメント」で省略すると「aug」または「+」、「減」は英語だと「ディミニッシュ」で省略すると「dim」または「-」となる。この項目の冒頭で挙げた「VIIm(-5)」は「VIImの5度音(元々は完全5度)を減5度に変えたコード」の意味で、7度音(たとえばCメジャーにおけるVIIm(-5)はBm(-5)で、その7度上の音というとA音だから短7度)を乗せてセブンスコードにすると「VIIm7(-5)」(「VIIm7の5度音(元々は完全5度)を減5度に変えたコード」の意味)になる。

少し混乱があるかもしれない。たとえば「減7度と長6度は同じ音じゃないか」という疑問を抱いた読者もいることだろう。結論から言うと、少なくとも平均律(ポピュラーミュージックの文脈では「普通の音階」と同義だと考えてよい)で考える限り、減7度と長6度は同じ音である。前回の最初の方で「Gメジャーの7度音はGbではなくF#として扱う」という説明をしたが「名前が違うだけで同じ音」というのはよくある話で、その場その場で都合や解釈に合わせて呼び分けているだけである(そろそろこの手の考え方にも慣れてきただろうか)。

では、VIIm7(-5)について考えてみよう。たとえばCメジャーならBm7(-5)がこれに相当する、が、Bm7(-5)の前にBm(-5)の構成音を鍵盤上で確認しておきたい。

短3度の音が2連発で重なって減5度の音程を作り出している。これがBm(-5)の「妙な響き」の源である。一方VIIm7(-5)はこうなる。

減5度のF音と短7度のA音の間は長3度になっている。ここで少し考えてみよう。A音の音程を「ムリヤリ半音下げて」F音との間隔を短3度に変えてやる(A音ではなくAb音を使う)と「もっと変な音」を作れるのではないだろうか。実際にやってみよう。

こうすると、B音とF音の間だけではなく、D音とAb音の間も減5度の音程になり、妙な感じが強くなる。コード名でいうと「Bdim7」(VIIdim7)になる。Ab音はCメジャーでダイアトニックな(普通に使う)音ではないが、最初から変な音を出すことが目的なので、使ってもまったく問題ない(この考え方はよく使うので覚えておこう)。

上の図で、B音とAb音の間を「減7度」と記述しているが、これは「もともと短7度だったA音を、ムリヤリ半音下げてAb音にしました」という意味。すでに触れたように長6度音と同じ音だが、何か理由やメリットがない限りBm6(-5)という書き方はしない(ムリヤリこじつけるとしたら、たとえばキーがCマイナーでCm6のコードを鳴らしている最中に5度音だけがスラー付きで半音下がったような場合にはCm6(-5)と書く人がいるかもしれないが、普通は単にCdim7と書いて済ませてしまうことが多い:この辺は慣例的な問題もあるのでこだわらなくてよい)。

メジャーキーにおけるVIIm(-5)は一応ドミナント代理の扱い(V7omit1)を受けるが、IIImに強進行したがる性質が強く、Vとの互換性はあまり高くない。表記法としてたとえばVIIがルートのコードなら、VIIdimをVIIo(アルファベットの「o」ではなく「小さめの丸」で、VII°と書くこともある:「フラット」を「b」で表現するのと似たような書き方)、VIIm7(-5)をVIIφ(ギリシア文字の「φ」ではなく「小さめの丸を直線で半分にした形」で「ハーフディミニッシュ」と読む)と書くことがある。VIIm-やVII-だけでVIIm(-5)またはVIIm7(-5)またはVIIdim7を示すこともあるが、ちょっと見にくいので筆者はあまり使っていない(VII-は単なるマイナーコードの意味で使う人もいるし)。メジャーコードの5度音を半音下げたコードもないではないが、あまり使わないので急いで覚える必要はない(I7を裏コードにしてさらにドミナント解決もしたい場合などに使う:裏コードについては編曲の知識補充編を参照)。

増音程を使ったオーギュメントコードももちろんある。ハーモニックマイナーに出てくるものが特徴的で、たとえばAマイナーでハーモニックマイナーモードに移行するとAから見た7度音のGが半音上がってG#になるが、このままbIIIであるCに進もうとすると、構成音がCとEとG#になる。これがオーギュメントコードで、目立った不安定さはないものの響き自体はけっこう変わっている。表記法としてはbIIIaugとかbIII+と書く。マイナーコードの5度音を半音上げることはないのかというと、実際にやってみればわかるが、長3度下のメジャーコードの回転形になるため特殊な呼び方はしない(回転形については編曲のページで改めて紹介するが、たとえばEmの5度音を半音上げるとCの第1回転形=C on Eになる)。

好みやジャンルによっても違いはあるが、初心者のうちは、ディミニッシュコードやオーギュメントコードを積極的に使うことはあまり考えなくてもよい。どちらかというと、他の都合(モードを変えたとかベースが動いたとか)で結果的に出てくるケースが多いと思う。ちなみに、メジャーキーで単に「VIIをルートにした和音」を使いたいだけの場合、VIIm(-5)ではなくVIImを使うことがある。解釈として、リディアンモード(ナチュラルメジャーから4度音が半音上がる)を使っているとみなしても悪くはないのだが、これまで紹介してきたモードの考え方では1・4・5度(核音(nuclear tones)と呼んで特別扱いする)が動くのはちょっとマズいという事情があるため、属調のIIImを借用したと考えるのが無難だと思う。とりあえず、VIIm(-5)がちょっと使いにくい場合にVIImを試してみるとよいかもしれない、ということだけ覚えておけばよいだろう。すでに触れたように、平行調のマイナーからナポリ和音をor下属調からサブドミナントを借用してbVIIを使うこともある。


ディミニッシュとオーギュメントの応用

さて、ディミニッシュコードやオーギュメントコードは5度の音が半音動いたコードであることを紹介したが、5度以外の音が動くことはないのだろうか。順に見ていこう。

まず1度の音。これは動かせない。ルートが動いたら別のコードになるというのが基本的なルールだからである。これとは別にコードの回転でコードネームが変わる現象もあるのだが、詳しくは編曲のページに譲る。

3度の音はどうか。メジャーコードの3度音(長3度)を半音下げるとマイナーコードに、マイナーコードの3度音(短3度)を半音上げるとメジャーコードになるが、たとえば、メジャーコードの3度音をムリヤリ半音上げて増3度にしてやるのはどうだろうか。結論から言うと、そのようなコードは存在するが、増3度音ではなく完全4度音として解釈するのが普通である。たとえば、C音とE#=F音とG音で構成されるコードは、C(+3)ではなくCsus4と呼ばれる。

歴史的な事情から先に紹介すると、元々は「アルペジオで演奏中Cにコードチェンジしたとき、直前の小節で鳴らしたF音がまだ残っていて(掛留音=suspended noteという:sus4はsuspended 4thの略)、仕方ないのでE音(音程が近く濁った音になる)を後回しで鳴らしたら結果的にCsus4>Cの展開になった」という話のようで、この解釈であればFは4度音と見るのが妥当だろう。

sus4は4度音の特徴に注目した言い方でもある。たとえば、C音の上にF音を乗せて二和音を作ると、たとえCの方が音程が低くても「Cが中心な感じ」を乗っ取られて「Fの和音」に聴こえてしまうという作用がある(程度は弱まるが、6度の音も似たような性質を持っている)。IVがキーのルート(調性感)を揺るがすという話をすでに紹介したが、ivはコードのルートを揺るがす音である。

C音とF音とG音からなる三和音を実際に弾いてみると、上記の「4度音の特徴」が発揮されつつ上に乗ったG音のサポートも生きて、Cの和音なんだかFの和音なんだかよくわからないイメージになる(と思う)。しかも、構成音がすべて完全音程なので(=長3度も短3度も入っていないので)メジャー/マイナーの判断もできない。結果的に曖昧でわかりにくい響きになる。この「わかりにくさから来る不安定感」がいかにも「4度っぽい」という理屈である。

ただし、この場合のF音が増3度としての性質をまったく持っていないのかというとそんなことはなく、とくにポピュラーミュージックではCsus4>Cを(アルペジオとか掛留とかを抜きにして)単独で使う場合が多いが、この解決感だけを問題にするなら、F音を増3度と見て「長3度のEに解決した」と解釈することも不可能ではない。この辺のこだわり方にどの程度の根拠があるのか筆者は知らないが「でも昔からsus4って呼んでるしFのパワー感じるからCsus4でいいよね」とかそういうノリでsus4と呼びつづけているのかもしれない。

さて、ではマイナーコードの短3度を半音下げるとどうなるだろうか。これはsus4コードの回転形と解釈される(何度も説明を先送りしているが、たとえば、Cmの短3度音を半音下げてC音とD音とG音にした場合、Gsus4 on C:D音をE音またはEb音に解決するならCsus2とも表記できる)。

残る7度音についても考えよう。短7度を半音下げて減7度扱いすることがあるのはすでに紹介した。長7度を半音上げた増7度はどうだろうか。これは比較相手が完全8度になってしまうため勝負にならない。たとえばC△7の長7度音(B音)を半音上げてB#のつもりで演奏したとしよう。構成音はC音とE音とG音とB#音になるわけだが、完全8度(ルートの1オクターブ上)の持つ印象度は増7度の比ではなく、誰がどう聴いても「長7度が半音上がった音」ではなく「最初から完全8度の音」にしか感じない(C音とE音とG音とC音に聴こえる)。これをあえて増7度と言い張ってもメリットがないため、普通はそのような書き方をしない。

余談になるが、増減のつく音をこの上さらにムリヤリ動かすことも可能で、たとえば、増5度をさらにムリヤリ半音上げると重増5度(ダブルオーギュメント)、減5度をさらにムリヤリ半音下げると重減5度(ダブルディミニッシュ)という名前になる。ただし、使う機会はほとんどないので覚えなくてもよいだろう。またたとえばCdim7を五線譜に表記する場合、ルートと短3度と減5度と減7度の和音なのだから、CとEbとGbとBbb(bbはダブルフラットの意)として表記するのがスジである(が、CとEbとGbとAで表記してしまう人もいるようだ)。

余談ついでに触れておくと、ディミニッシュコードに強い不安定感をもたらす減5度の音程はV7などのドミナントセブンコードにも含まれており、全音3つ(=半音6つ)分の間隔に相当するのでトライトーン(三全音)などと呼ばれることもある(基礎完成編の最初の方にあるG7の音程を示した図で確認してみよう)。クラシック方面などでは、メジャーキーにおけるVIIm(-5)がV7のルート省略として扱われることが多い(VIIφはV9のルート省略扱いにする:基本的には、ivとviiがトライトーンを構成するコードであればドミナントの代理が可能で、編曲の知識補充編で紹介する裏コードなどに応用される)。


オマケ1(音度の名称)

これまで、1度=トニックと5度=ドミナントと4度=サブドミナントの3種類(まとめて核音と呼ばれる重要な音)についてはさんざん触れてきたが、これ以外の音度(原則動かない核音に対して「浮動音」と呼ばれることがある)にも(用いられることはあまりないが一応)呼称がある。

網羅すると、1度=トニック/tonic/主音、2度=スーパートニック/supertonic/上主音、3度=メディアント/mediant/中音、4度=サブドミナント/subdominant/下属音、5度=ドミナント/dominant/属音、6度=サブメディアント/submediant/下中音、短7度=サブトニック/subtonic/下主音、長7度=リーディングトーン/leading tone/導音、ということになる(7音音階を前提にした考え方:細かい呼び方については流儀によって多少ばらつきがある)。中音は「トニックコードの3度音」という意味。

スーパーは上でサブは下を示すが、けっこう不思議な構造をしている。スーパートニックとサブトニックでは明らかに「トニックのすぐ上or下の音」を示しているのに対し、サブメディアントの場合「iを3度音として含むコードのルートになる音」という意味にしか取れない。いっぽう、ドミナントに対するサブドミナントは「ドミナントのすぐ下の音」とも「iを5度音として含むコードのルートになる音」とも解釈できる(どちらが由緒正しいのか筆者は知らない)。


オマケ2(目立つトーン)

筆者が勝手にそう思っているだけだが、展開のしかたによって目立つトーンと目立たないトーンがあるような気がする。たとえばI>IV>V>Iとコードを回したとき、中心的な響きがi>vi>vii>iと移動したように聴こえないだろうか。

理屈で考えると、V>Iの部分は導音が主音に解決する動きがvii>iであり、これが目立つのはごく当たり前だろう。その前のIV>Vを全音上昇と見るとvi>viiが軸になりそうで、最初のトニックの主力がiなのも考え合わせると、上記の通りi>vi>vii>iというラインが浮かぶ。

面白いのはi>viの部分で(iii>ivの半音上行ももちろん関与しているが、それとともに)短3度下行が推進力を担っている。VImをサブドミナント代理として扱えるとする立場や、短3度下行を「強進行の亜種」とする立場の補強になるのではないかと思う。

サブドミナントが絡む進行で展開が複線になる(T>SDの場合iii>ivとi>vi、SD>Dの場合vi>viiとiv>vに主力が分散される:「T>SD>D」を「iとiii>ivとvi>vとvii」と考えると、トライアドの響きをおもに1度音と3度音が担っているこのと補強にもなりそう)という解釈もできて面白そう。



基礎完成編に戻る / 急がば回れの目次に戻る / 音楽メモの目次にもどる

自滅への道トップページ