メロディ


最初に / 高さとリズム / 音の高さを変える / 細かい調整
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伴奏がとりあえずできている状態から始める。コード進行のページで作ったこの伴奏このメモを使う。なんでもいいので似たようなものを用意しておいて欲しい(上記のファイルをそのまま使ってもまあOK)。


最初に

このページで紹介する手順は「どうしてもメロディが作れないときに、とりあえずで試してみる方法」なので、普通にメロディが作れる人は読む必要がない。また曲全体のメロディをこの方法だけで決める必要もまったくない。

他のページでも同じ話を繰り返しているが、打ち込みで作業する人もいきなりピアノロールでメロディを打ち込むのはやめよう。伴奏を聴きながら適当なメディアに鼻歌かなにか録音して、後から打ち込んだ方がはるかに効率が高い。

頭の中で鮮明なメロディがリアルに鳴り響いていてあとは楽譜なりMIDIファイルなりに落とすだけ、というなら別だが、初心者がメロディを作るときにそういう状況はほぼあり得ない。はっきりイメージできているつもりでも、音を出してみると「ありゃ、こんなんだっけ」ということがままある。

以下、リズム先行でメロディを作る方法を紹介する。これはクラシック的な発想(リズムからメロディを生じメロディからハーモニーを生じる)を利用したもので、本来は伴奏を考える前にスケールを用意して音高を動かす作業が入るが、今回はコードを先に決めてから他を考える(その方がとっつきやすいので)。


高さとリズム

メロディにもいろいろあるわけだが、このページでは「ルート中心」のメロディと「5度中心」のメロディを取り上げる。言葉の意味はわからなくていいが、ルート中心だと安定したシンプルな響き、5度中心だとやや不安定で複雑な響きを得やすい(両方試すのでまだ選ばなくていい)。

まずDominoに伴奏を読み込んでオニオンスキンの設定をしておこう。

必ずしも全部盛りにする必要はないが、とりあえずドラムスとベースとコード伴奏を表示させてみた。

で、CのコードならCの音、EmのコードならEの音など、コード名の音だけを使って「メロディのリズム」を決めていく。最初に注意した通り、再生しながら鼻歌かなにかでまずタイミングを取ってから打ち込む。高さはコード伴奏のちょっと上くらいが無難。

音程は後でイジるので、タイミングと音の長さにだけ気を使って作業を進めよう。

筆者が作業したところこんな感じになった(長さが半分になったのは単なるサボりだが、サンプルファイルを作るのも結構手間なので大目に見て欲しい)。これが「ルート中心」のメロディの「素」になる。

一方、トランスポーズや一括変更機能でメロディを半音5つ下または7つ上(音が高すぎたり低すぎたりしない方を適当に選べばいい)に平行移動してやると「5度中心」のメロディの「素」ができる。もし全体的な音程が高すぎ/低すぎだと思える場合は、ドラムス以外をすべて選んで調整しておこう。

筆者が作業したところこんな感じになった(全体を半音2つ上げたのでキーの基準音も移動し、CメジャーがDメジャーに変わっている)。


音の高さを変える

前の項で2種類の候補ができたわけだが、どちらでも好きな方を選んで差し支えない。というか、実際には両方混ぜて使うことが多いのだが、今回はごく単純にこちらをそっくりそのまま使うことにした。何回か再生しながらメロディの素を鼻歌でなぞりつつ、音を上げ下げする場所の見当をつけておこう(上げ幅/下げ幅はまだ考えなくてOK)。

音程を調整するときはDominoのスケール表示機能を使う。

まずは曲のキーを設定して

コード回しを作るときにとっておいたこのファイルからコード伴奏部分だけ丸ごと適当な場所にコピー、コピーの音量をゼロにしてから

音程を1オクターブ上げ、キーを変えた人はその調整もやり、

別のトラックにさらにコピーしてもう1オクターブ上げてから切り取ってコピー元のトラックに貼り付け、

メロディのトラックにオニオンスキンで表示する。

図ではダミーでない本物のコード伴奏の表示をオフにしてあり、ダミーデータは一括変更でベロシティを20にした(見やすくする工夫は各自で適当に)。音域が足りなければもっとたくさんコピーしてオクターブを変えてから貼り付ければいい。

コードの音(上図ではクリーム色になっているがこれは環境や設定で変わる)と同じ高さだと安定した響き、白またはピンクの背景の音だとやや不安定な響き、青の背景の音だと不安定な響きになるはずなので、考慮に入れながら適当に音符の上げ下げをやっていこう。

メロディの高さで気をつけるべき点は、特別な意図がない限り、

といった感じ。

2010年12月追記:バージョン1.39以降のDominoではスケール/コード関連の表示機能が強化され上記の手順は必須でなくなったが、ダミートラックとオニオンスキンの組み合わせにはキーとの関係とコードとの関係を同時に把握できる利点があるので、好みで使い分けて欲しい。

筆者が手元で作業したところこんな感じになった。一応Domino用ファイルも掲載しておく。この作業もコード進行のときと同じで、慣れればいちいちダミーデータを用意しなくても、コードがこうでルートがこれだからここに動くとこんな感じ、ということが勘でわかるようになる。


細かい調整

まああとは画面を見ながら繰り返し聴いて(Dominoのループ再生機能も活用)、自分の声でメロディをなぞってみる中で気になったところを適当に直せばいい。筆者の手元ではこんな感じになった(ダミーのデータは削除してある:残しておいても大きな害はないが、ファイルサイズが膨れたり再生が重くなったりしてもアレなので一応)。

全部できたら強弱やループしない変化(たとえば繰り返しの2回目だけちょっと違うメロディになるとか)なども付け加えて終了。

ちょっとしたコツとして、音程が上がって不安定な音に行った次に音程が下がって不安定な音へ、または、音程が下がって不安定な音に行った次に音程が上がって不安定な音へという動きは、とくに意図がない限り避けた方が無難。つまり、いったん音程が動きだしたら、安定した音に到達するまで突っ切るか、途中でターンして安定した音に落ち着かせるという動きになる(最初から最後まで不安定で通す場合を除く)。

コード進行と同じく、堅実な動きがキッチリできていると変な動きも活きるので、思いつきがあればどんどん試してみるとさらによい。


オマケ(アルペジオからメロディを作る)

単音弾きのギターなどでは、アルペジオを変形させてメロディにする手法がけっこう用いられる。それをパソコン上で真似てみよう。ただし、ギターでやった方が効率はずっとよいし、ギターでやるのと同じ過程や結果にはならない。

まずテキトーなコード進行を用意して伴奏ファイルを作る。音の高さを変えるの項と同じようにキーを設定しダミートラックを作ってオニオンスキンで表示したのが下の画面。

今回はキーをCメジャーにしてC>F>G>Cと回した(サンプルファイル)。

薄オレンジ色の部分(コードの音)だけを選んでテキトーに音符を置いていく。

筆者が手元で作業したところ、こんな感じになった。用語の問題がいろいろとあるのだが、これが「アルペジオ」の演奏だと思っておいてよい。このメロディで満足したなら追加の作業は必要ないのだが、やはり練習ということで続きをやってみる。一括変更で音符の長さを半分(でなく4分の1などでもよいのだが今回はとりあえず)にしよう。

スカスカの響きになるが、あとで補うので気にしないように。

もう少し前置きを。音の高さを変えるの項で紹介した原則のほかに、今回の作業では、

  1. 左右に音符がなければ、横に動かしたり長さを変えたりしてよい。
  2. 長い音符は連打に、連打は長い音符に変更してよい。
  3. コードの音から(本当は外れていてもよいのだがとりあえず)外れなければ、コードの変わり目で音を伸ばしていてもよい。
ということを覚えておこう。この調整は、音を足す前と後にやっても、音を足しながらやっても、好みでかまわない。

さて、実際に音を補ってみよう。音符と音符の間(すでに触れたようにスカスカになっているはず)に新しい音符を置いていくのだが、やはりいくつか方針がある。

  1. 薄オレンジ色の部分(コードの音)は自由に追加してよい。
  2. 同じ音が連続しているとき、すぐ上下の白orピンク背景に音を足してよい。
  3. 違う音が続くとき、後ろの音のすぐ上or下の白orピンク背景に音を足してよい(ジグザグにするのが無難だが、響きさえ悪くなければ無問題)。
     
  4. 間に白orピンク背景を1つだけ挟んで違う音が続くとき、白orピンク背景に音を足してよい。
慣れたら、青背景の部分(ただし本来の候補地点よりも「つぎの音に近い」高さ:結局「つぎの音の半音上下」になる)にも音を入れてみるとよい。複雑なようだが、どれも結局「つぎの音と半音2つ違い以内に音を足してよい」というだけのことである。メンドクサイ用語で説明すると「外音を内音に順次進行で解決する」ということで、刺繍音とか経過音とか倚音などと呼ばれる音使いなのだが、ぶっちゃけ作業さえできれば細かいことは気にしなくてよい。

筆者の手元ではこんな感じになった。例によってもう少し調整を続けて、ダミートラックを削除してドラムス(最初に8分音符中心で組んでから半分の長さに加工したので、行きがかり上16ビートっぽい感じになった)を被せたものはこんな感じ

この方法も、アルペジオというコード伴奏との親和性が高い形態(というかコード伴奏そのもの)から出発しているため、多少荒っぽいことをやっても破綻しにくい利点がある。もちろん、上記の方針をガチガチに守るのも一案だし、あえて方針を無視した音を使ってもよい(何度も繰り返しているが、両方とも自分でやってみて、音の特徴を掴んでおこう)。

また、スケールを変えることで雰囲気が異なるメロディにも応用しやすい(結局、Dominoの機能でキー表示をいろいろとイジるということなのだが、興味がある人は、急がば回れの編曲系の記事からモーダルインターチェンジの話題を拾い読みするとよいだろう)。たとえば、今回使ったのと同じメロディをハーモニックマイナーに移すとこんな感じになる(いわゆる「マイナーアレンジ」とやっていることは同じ)。



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