土鍋でご飯を炊く


通常の手順 / 急ぐとき / 湯炊き // もどる

精米後、冬季で60日、夏の盛りだと15日くらいで酸化が進む。無洗米はやや酸化に強いが、それでも極端なまとめ買いは避けた方がよい。もちろん、湿度の低い冷暗所に保管する必要がある。米びつは継ぎ足しにして使わず、必ず定期的に空にして掃除すること。米が新しい場合は水を少なめに、2合以下の場合や無洗米を炊く場合は水を多めに(炊飯器を使う場合最初から調整して目盛りを切ってある)。余談:不活性ガス(たいてい二酸化炭素みたい)を充填した密閉包装で「備蓄用」を謳う白米もあり、いくつかの製品を眺めてみたところ「状況がよければ5年保つけど普通の食用なら3年くらいで食べてね」というモノが多かった。5年というと、玄米でも「保存状態がよければ食用可能なものもあるかも」レベル(一般的には1年で食べ切るのが普通)なので、けっこう凄いと思う。

水加減は、体積比1.1倍、体積比1.2倍、同体積+40cc、乾いた無洗米なら体積比1.4倍、浸水後よく水を切って体積比0.9倍など、いろいろなことが言われるが、米や炊き方や好みや温度湿度などによってかなり変わる。理屈としては、米1合(180cc)が140~160gくらいで炊き上がると330~340gくらいになる(詳しくは米ネットというサイトの解説を参照)から、逃げる分の水分をあらかじめオフセットさせてやればよいことになる(体積よりも質量で考えた方が正確そうだが、家庭だと米の重さは普通計らないからねぇ)。密閉度の高い鍋や炊飯器(圧力釜とか)なら水は少なめでよいし、湯気が漏れやすい鍋や炊飯器(土鍋とか)を使うなら水を多めにする。

ぶっちゃけた話、米を洗ってor研いで炊く場合、研ぎ方によっても水の切り方によっても温度や湿度や米の状態によっても水分量が変わるうえ、そもそも米自体の含水量が一定でないため、米の水加減なんてのは目安以上のものではない。たとえ炊飯器の釜に目盛りが切ってあっても、温度湿度や米の状態に合わせた微調整は人間がやるしかない。もちろん、土鍋をつかうときは鍋に合わせた加減も必要。長時間(一晩とか:常温は避け、冷蔵庫でも8時間くらいを限度にした方がよい)吸水させる場合は水加減(表面が脆くなるので微妙に固めくらいに)をしてから密閉容器に移した方が無難だが、水加減せずに長く浸した場合は、炊飯器の目盛りを使うなら研いですぐ炊くときと比べて1割くらい、ざるでしっかり水切りしてから改めて水を計量するなら2割くらい少ない水加減になる(炊飯器の目盛りは米と水の合計なので、たとえば5合の米を4.5合の目盛りで炊くと、2割くらい水を減らすことになる)。研ぎと吸水には軟水を使った方がよい(糠を落としやすく水が入り込みやすい)が、炊くときだけ使うならどっちもアリな模様(まあ好みなんだろうね:筆者は浄水器を通した水道水しか使わないけど)。コメを食べる地域でいうと、日本は多くの地域で軟水(関東の一部と九州の北部・熊本県の一部は微妙に硬い)、長江流域や日本の沖縄県がやや軟、ベトナム・インド・タイや日本の千葉県の一部(木更津市が有名だが市原市の一部も)あたりは硬水、北京はかなり硬水、の地域が多いらしい。

栄養学などでは1膳=140g(どんぶり飯は240g)で計算するので、0.41~0.425合くらいの見当、150gで計算するとだいたい0.45合になる(3合=4人前で計算するなら、3膳で1人前)。コンビニなどで売っているオニギリ(米部分のみ)は100g、牛丼などの丼物は240gくらいが普通サイズ(1割くらい多いこともある)。ご飯の体積は炊き方や盛り方によるが、1合の米を炊いて密閉容器にふんわり詰めるには、満水で500ccくらいの容量が必要になる(大手メーカーのいわゆる「ランチジャー」も、だいたい1合=500cc前後を基準にしているよう:フタが平らでない密閉容器だと2~3割増くらいの容量が必要)。いわゆるおにぎりケースは230~250ml(小サイズで180mlとか大サイズで290mlとか)くらいのものが主流のよう(詰め方や中身にもよるが、飯半合分くらいの見当なのかな)。

以下水加減はだいたいの範囲で示している。大量に炊くときほど米に対する水の量を少なく、また新米など最初から水分が多い米の場合も水を少なくする。反対に、少量炊くときは水を多めに、古米など水分が少ない米や無洗米など嵩が小さい米の場合も水を多くする。



炊飯のメカニズム

米を炊いてご飯にするとき必要な手順は、浸水、糖化、糊化と表面破壊、保温と徐冷、蒸気抜きと老化の5段階である。

つまり、米の中心まで十分な水分が浸透すること、デンプンが糖に分解されること、残ったデンプンが柔らかくなり表面が適度に荒れること、水分吸収とデンプンの変性が内部にも進行すること、余った水分を取り除き表面に適度なハリを得ること、の5点がうまくいけばご飯はおいしく炊ける。

反対に、浸水が不十分だと粉っぽく過剰だと腐敗の恐れがあり、糖化が不十分だと甘味が出ず過剰だと粒が壊れ、糊化と表面破壊が不足すると生煮えで過剰だとベタベタになり、保温と徐冷(蒸らし)が不十分だと芯が残り過剰だとダンゴ状に、蒸気抜きと老化が不十分だとベチャベチャになり過剰だと冷や飯になる。

これらをうまくコントロールすることが必要で、浸水には水分と時間、糖化には水分と40~60度の温度、糊化と表面破壊には水分と対流(米粒同士のぶつかり合い)と70度以上の温度、保温と徐冷には時間、蒸気抜きと老化には空気が必要になる。



通常の手順

  1. 米を洗い、漱ぎ、研ぎ、漱ぐ(手早く:肌触りが変わったら研ぎ終わり)。ざるに入れて水を張ったボウルにざるごと入れて洗い、流水で漱いでから研ぐと効率がよい。研いだ後の水切りにもざるを使う。
  2. 硬い米を使う場合は研いだ後ざるに上げて5~15分くらい水を切っておく(やわらかい米なら必要ない)。ざるに上げた場合は3の吸水時間を半分程度にする。
  3. 30分くらい水を吸わせる(あまり長時間放置しない)。冬場は20秒ほど強火にかけてから水を吸わせる。時間がある場合は、冷蔵庫で4時間くらい吸水させる(他の食品からにおいが移りやすいので密閉に気を使うこと)。
  4. 普通に浸水したときはそのまま(水加減は米の2~4割増し)、冷蔵庫浸水の場合は一度水を切ってから米と同量~2割増くらいの水を入れ、7~10分くらいかけて沸騰させる。沸騰が早すぎると芯が残るし、遅すぎるとびちょびちょする。金属製の鍋の場合は弱めの火からだんだん強める。
  5. 沸騰したらふきこぼれない程度に火を弱める。火を弱め過ぎるとムラができやすい。
  6. 音が「ブクブク」から「ボコボコ」に変わったら弱火に落とし、「米と水のにおい」から「ご飯の香り」に変わったところでトロ火に落とす(ここまで沸騰後5分くらい)。
  7. 「チリチリ」という音がしてきたら15秒ほど強火にして鍋底の水分を飛ばす。
  8. 火を消し、10分ほど蒸らす。蒸らしが足りないと水っぽくなるが、蒸らしすぎてもせっかく飛ばした水分が戻ってしまう。
  9. 静かに蓋をあけ木のおひつに移すのが理想だが、最低限十字に切って底からまぜておく。土鍋に入れたまま蓋をする場合は蓋についた水滴を拭いて、蓋の下にふきんを挟んでおくとよい。
追加情報:ためしてガッテンによると、沸騰まで7分、沸騰後7分、蒸らし前半(トロ火)5分、蒸らし後半(消火)5分が理想らしい。火加減よりも「時間管理」を意識するとよい(糊化や糖化が十分に起こり、しかもべちゃべちゃしない範囲を覚える)。沸騰までの時間は、浸水が十分であれば短め、不十分であれば長めにする。



急ぐとき

  1. 米を研いですぐ鍋に入れ、1~3割増くらいの水を加え、強火で人肌くらいに暖めてから10分ほど置く(余熱も計算に入れ、あまり熱くしないように)。
  2. 10分くらいかけて沸騰させる(弱めの中火くらいか)。
  3. 沸騰したら弱火に落として一度底からかき混ぜる。
  4. 「チリチリ」という音がして香りが変わるまで(5~10分くらい)弱火のまま。
  5. 15秒ほど強火にして消火。
  6. 5分くらい蒸らしてできあがり。
途中でかき混ぜているのは、沸騰直後に火力を落とす影響で米粒が混ざり合わないのを補うため。



湯炊き

  1. 米を研いで、水を吸わせ、水を切る
  2. 米の1~3割増くらいのお湯を沸かす
  3. 沸騰したお湯に米を入れて軽くかき混ぜる
  4. 再度沸騰したら弱火に落として「急ぐとき」と同様に炊く
大量に炊く場合にもムラができにくい。また、湯ではなく出汁を使って炊いてもよい。



白粥

  1. 米を洗って、長めに水を吸わせ、水を切り、鍋に入れる
  2. 米の3~5倍の水を鍋に入れ沸騰させる
  3. トロ火に落としてしばらく待つ
完全に蓋をせずやや隙間を作れという解説が多いが、まったく蓋をしないと上の方が生煮えになるし表面も乾いてまずくなるので注意。水加減は一般に、5倍で全粥(粥のみ)、7倍で七分粥(粥7に対し重湯3)、10倍で五分粥(粥5に対し重湯5)、20倍で三分粥(粥3に対し重湯10)と言われる(すべて体積比:おそらく「0.3~0.5合くらいの米で蒸発分と浸水分もコミ」の分量だと思われる)。粥は調理中の水分蒸発が多いので、多めに作るときは水加減を控えめにする(少なく作るなら米の5倍程度でよい)。



オマケ1(圧力鍋炊飯)

  1. 米を洗って、水を切る。
  2. 米の9割~同量くらいの水とともに鍋に入れ、強火で人肌くらいまで加熱し、15分くらい置く(余熱も計算に入れ、あまり熱くしないように)。
  3. 加圧用でない普通のフタ(ガラス製が便利)を乗せて強火で加熱し、沸騰が始まった直後にいったん消火し、ヘラなどで底からサっとかき混ぜ、加圧用のフタをする
  4. 低圧に設定して圧力をかけ、蒸気がしっかり出てきたらいったん火を消す。
  5. 蒸気がごく弱くなったら再点火し、トロ火で0~5分くらい(使う機種と米の質や量、気温などによる)加圧調理して消火(蒸気は出ない状態でよく、鍋の温度がわずかに下がっていくくらいでちょうどよい)。
  6. 圧力が抜けてオモリが落ちた直後に20秒くらい強火にする。おこげを作る場合はもう少し長くするが、トロ火加熱を相応に短くする必要があるのと、圧力鍋でおこげを作ると洗うのが大変。
  7. ふたたび圧力が抜けた後5分くらい蒸らして、ふたを開けたら手早くほぐす。
芯が残りやすい(対流が少ない)炊き方なので浸水はしっかり行った方がよく、ベチャっとしないよう一気に沸騰させるので浸水時に高めの温度にして糖化を促す。途中のかき混ぜは必須ではないが、やると仕上がりがかなり違う。加圧調理時間が長いと、米の表面組織が壊れすぎてベタっとする。2016年現在、市販のIH圧力炊飯器はだいたい1.2~1.3気圧くらいの最大圧力(大気圧が約100kPaだから25kPaくらいの加圧)で、一般的な圧力鍋の低圧モード(筆者が持っているパール金属のクイックエコで加圧60kPa)はかなり高めの圧力といえる。圧力が抜けるまでにかかる時間は炊く量が多いほど長くなるため、大量に炊くときほど圧力がかかってからの加熱時間を短くする。芯が残ったり硬すぎたりするのはたいてい蒸らし不足で、加圧調理が終わった後の冷却をゆっくりにすることで改善する。蒸発する水分が少ないので、大量に炊く場合も水加減はそれほど控えなくてよい。圧力鍋は機種によって適する扱い方が異なるので、まずは取扱説明書なり付属のレシピ本なりのやり方で試してみること。機種やコンロにもよるのかもしれないが、5合炊きの鍋で5合いっぱいに炊くのがやりやすいように思う。



オマケ2(電子レンジで粥)

  1. 米を洗って、水を切り、大き目のドンブリに入れる。
  2. 米の2~4倍(3倍が標準)の水をドンブリに入れ軽くあたためる(米0.5合に対し水1.5合なら500Wで1分くらい)。
  3. 5~15分置いて水を吸わせ、レンジにかけて沸騰させる(上記の分量で5分くらい)。
  4. 弱レンジで水気が大方引けるくらいまで加熱を続ける(上記の分量で7分くらい)。
  5. 底からかき混ぜ、皿などで蓋をして5~10分むらす。
むらすときは必ず蓋をする。



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