録音後に必要な作業


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まずはMIDIを録音し、生録音したものをパソコンに取り込む(すでに説明したので省略)。このとき、MIDIは適宜パート分けして録音しておくとよい。生録音する場合は時間合わせの目印を入れておくのを忘れないように。作業順序としては、軽く音量合わせ>パートごとにイフェクト>しっかり音量合わせ>ミックス>全体にイフェクトといった感じになる。

Audacityでの作業については、別ページに詳細があるのでそちらも参照。


編集ソフト

Unix系のOSでも動く加工ソフトだとAudacity公式サイト:FreeBSDではaudio/audacityにportsがあるし、Windows版のバイナリも本家サイトで公開されている)がある。単体でもソフトウェアMTRとして非常に優秀(16トラック・無限アンドゥ/リドゥ・リアルタイム録音・WAV/AIFF/MP3/Ogg Vorbis/AUファイルの読み書き・32bit/96KHzまでのサンプリングなどなど)だが、プラグインを追加することでイフェクタ(のホスト)としても利用できる(デフォルトでもいくつかのイフェクタプラグインが入っている)。

プラグイン形式は、独自のクロスプラットフォーム(要するに、WindowsでもPCUnixでも同じプラグインが使えるということ)プラグインであるNyquist(本家サイトにプラグイン集がある)とLinux用のLADSPA(plugin.org.ukというプラグイン紹介サイトから辿れるLADSPAの公式サイトに、プラグイン配布元のリンク集がある:TAP-pluginsというsourceforgeのプロジェクトもあるが、開発は停滞している模様)のほかに、VSTイネーブラ(まだ実装が不完全で、うまく動かないプラグインも多数あるが)を利用すればVSTプラグイン(メジャーな音声加工ソフトの形式)にも対応できる(プラグインを集めたKVRWe Love CubaseVSTなどのサイトがあるほか、oonisiさんという方が高性能なプラグインを多数公開されている)。

無料のプラグインとしては、クラシックシリーズ(手軽でかつ高品質なものが多く種類も豊富)、fish filletsシリーズ(高機能でかつ手軽に使える非常に有用なフィルタ)、freeverb(1次配布元のDreampoint Design and Engineering Limited のサイトは閉鎖されている模様)、mda-vst(多数のプラグインがいろいろとパッケージされている:作者はSmartelectronixというグループの人)あたりが便利で、Audacityデフォルトのイフェクトと組み合わせればそれだけで一通りの作業がこなせる。筆者は以前YAMAHAの4トラ(YAMAHAのMT50)を使ってパソコンの外で音を加工していたが、それに比べるとやや手軽さには欠けるものの、デジタル処理ができる便利さは非常に大きい。

その他、Windows向けにはSoundEngineというソフトもあるが筆者は使ったことがない。spwaveというソフトはMac(の他にWindowsやLinux)にも対応している(が、やはり筆者は使ったことがない)。イコライザをいじるくらいの軽い編集がしたいときは、Northern Verse さんSoundPlayer Lilith(筆者のオススメプレイヤーその2)を使うと簡単(右クリック>ファイル変換>イコライザ有効にチェック、としてからエンコードすると、イコライザの設定が反映されたファイルができる:ファイルの変換>設定ボタン>RIFF PCM WaveFile と選択するとwaveファイルを出力できる)。イフェクトをバリバリかけまくるならソフトや機材を揃えた方がよいと思うが、MIDIに限っていえば、ノイズ除去はよほど腐き切ったサウンドカードを使っていない限り必要ない(サウンドフォントなどの音源自体にノイズが入っている場合は、録音前に処理した方がよいだろう)。ノーマライズだけはやった方がよいが、MP3ならエンコード後に加工することも可能(後述:他のフォーマットでもエンコード後に正規化するソフトがあるかもしれない)。


イフェクトとミックス

パートごとのイフェクトではとりあえず、各パートにコンプレッサー(Compressor:小さい音を聞こえやすくする、というか極端に大きな音を小さくする)と、生録音したパートにハイパス(highpass:一定周波数以下の低音をカットする)フィルタとエキスパンダー(expander:一定音量以下の部分を無音に近づける)をかけておく。各パートにイコライザ(Equalizer:周波数別に持ち上げたり抑えたりする)もかけるが、音域が被らないよう、スペアナなども見ながら調整する(生音でバランスがよければ必要ない)。オンマイクで録音したパートには必要に応じてリバーブ(Reverb:音の反響を演出)をかけておく。この時点でのイフェクトは控えめにかけた方がうまくいく場合が多い。

ドラムとベースについてはいくらでも凝ったことができるのでここでは割愛(普通にやるならコンプとイコライザあたりでよい:低音楽器なので、リバーブをかける場合は慎重にやる)。基本的には、ノイズ除去や音のトリミングを先に、次いで音色のキャラクター作りを軽めにやるとよい。エレキギターのオーバードライブ(Over-drive:音を歪ませる)などは録音時点でかけておいた方がやりやすく、ヴォーカルやギターのリバーブなどはミックス前にかけたほうがやりやすいと思う。

全体のイフェクトでは、イコライザ、コンプ、リバーブあたりをかけてバランスを調整し、必要であれば最後にノーマライズ(Normalize:録音レベル調整)をして終了。圧縮時のオーバーシュート(非可逆圧縮により音量が上がってしまう現象)に起因するクリッピングノイズ(録音レベル過大によるプチノイズ)を防ぐため、予定している圧縮方法によってはwaveファイル時点でのノーマライズは録音レベルに多少の余裕が必要となる(スラッシュドットジャパンで公開されているttさんの日記に詳しい:クリッピングノイズの問題を別にしても、waveの段階でノーマライズするよりは、圧縮してからノーマライズした方が音がよいことがある)。ヘッドフォンだけでなく、スピーカでも音を出してチェックしておく。

パートごとにかけるリバーブと全体のリバーブの区別について、これは「音色作り」と「統一感の演出」に分けて考えるとやりやすいだろう。パートごとのイコライズと全体のイコライズも、パートごとのものはあくまで音色作りで、全体にかけるものはバランス調整と考えるとわかりやすい。全体にリバーブをかけないと「同じ部屋で演奏している雰囲気」が出しにくい(技術でどうにでもなるのだろうが、シロウトがやるのは難しい)ので、浅くてもよいから多少はかけておいた方がよいと思う。全体にかけるコンプは音圧を上げるためのものだが、やりすぎには注意したい(必要がなければかけない方がよいと思う)。


音声ファイルの圧縮

Waveファイルが完成したら公開用に圧縮をすることが多いはずだが、MP3エンコーダー(codec)としてはLameが安定。Windows用のバイナリが欲しければヨーク大学のサイトのほか、RareWaresというページでも配布している。メジャーなだけあってフロントエンドも非常にたくさんあるが、筆者はK5さんのLame Ivy Frontend Encoderを愛用している。前述のAudacityやAudioEncoderにもLameフロントエンドとしての機能があるので、使い慣れたソフトでエンコードしたいとかきめ細かい設定がしたいというのでなければ、そちらを使ってもよい。MP3以外にも、Ogg Vorbis やACCなどさまざまな圧縮形式があり、Monkey's Audio のような可逆圧縮もあるので、好みや用途によって使い分けるとよいだろう(各フォーマットの比較もやりたいが、引っ越して以来再生環境がよくないので当分ムリ)。

先ほど少し触れたが、Lilithにもエンコード機能がある(本体でのMP3エンコードはできないがOgg Vorbis なら単体で対応しているし、どうしてもMP3フォーマットにしたければ、ファイルの変換>設定ボタン>External Processと選んでlame.exeなどに音を渡すか、一度waveを出力してからlameなどでエンコードすればよい)。

できあがったMP3ファイルは、MP3Gainというソフト(これもFreeBSDにportsがあり、Windows用のバイナリも公開されている)を使ってノーマライズできる(可逆変換らしい)。この他前述のLilithにもMP3ゲイン調整機能がついているし、AudioEncoderにもwaveファイルのノーマライズ機能がついている(前述の通り、圧縮後にノーマライズした方がよい)。専用ソフトではNOBさんという方がWANIというソフトを公開されている(筆者は使った経験なし)。Audacityにもデフォルトで正規化プラグインが入っている。

参考までに、各codecのライセンス(すべて2005/10/06現在)を紹介しておくと、LameはLGPL(もとはGPLだったらしい)、Lameの派生である午後のこ〜だも当然LGPL、Monkey's Audio は独自ライセンスでソースコードは公開、Oggプロジェクトは規格(Ogg)がパブリックドメイン/codec(VorbisとかFLACなど:FLACは以前GPLだったらしい)が修正BSD/その他のツールやアプリケーションはGPLやLGPLなど、TTAはGPL、AACはよくわからないが多分クローズドソース。AACとMP3には特許の絡みがあるのでやや面倒なことになっている。

末永く使えそうだという点ではOgg Vorbis やOgg FLAC がやや優勢(バージョン間の互換性も重視しているみたいだし)だが、普及率が桁違いなので現状での利便性を考えるとMP3とMonkey's Audio が有利。とはいえ、前述のKbMedia Player やLilithはデフォルトでOgg Vorbis とOgg FLAC に対応しているし、Lilithでは(追加codecなしで)エンコードも可能。AudioEncoderもデフォルトで対応しており、もちろん、本家サイトからoggenc.exeをダウンロードしてきて使ってもよい(Vectorあたりでフロントエンドも入手できる)。


参考リンク

楽しむ実用MP3講座




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