珍しく企業サイトへのリンク満載のページになったわけだが、それにしても、音響関連の企業サイトってのはどうしてああグダグダなのか。海外サイトの方が酷い傾向があるが、国内ではZOOMとローランドとKORGが最悪だった(3社ともデジタルオーディオメインという点で共通しているのが面白い)。無意味にフラッシュ使いまくったり、窓一つ開かせるのにJavaScript強制すんのやめれ。海外サイトではJBLと、ここでは紹介していないがElectrovoiceの英語サイトも本当に酷い(しかも、スペックシートなどに日本語サイトでは公開していないものがある)。客に見られたくない情報を掲載してるわけでもあるまいに。石橋、黒澤、イケベ、島村と、楽器店サイトの見難さも酷い。
反対に(プロ用製品がメインの会社なのでこのページでは取り上げていないが)モガミのサイトなどは清々しいまでの簡潔さである(それでいて製品の仕様情報はキッチリ出しているあたりはさすが)。ライバルのカナレもサイトは見易い(カタログは細かい字でギッシリ書いてあってアレだが)。Fostexはサイトリニューアルでまともになった、と思ったら一過性のもので、また迷走しているようだ。販売店ではサウンドハウスのサイトがかなり見易い。ヨドバシのサイトは多少気が利かないところがあるがまあまあ。海外企業のサイトではCREATIVEとM-AudioとBoseが比較的マシな部類。
他のページでも触れているが、ヤマハのマニュアルライブラリーは非常に便利である(オマケサービスの電子楽器用語集も地味に充実している)。ローランドも似たようなサービスを行っているが、旧機種のマニュアルを探すと情報量の違いがはっきりとわかる。
24bit音質の喧伝はどうなんだろうか。詳しくはオーディオの重箱の隅のページに書いたが、ちゃんとした録音スタジオ(アースもシールドも音響特性も万全だろうし、プロのエンジニアがプロの機材で録音してくれる)で録音するなら、24bit録音による量子化ノイズの小ささにはマイク録音でもかろうじて意味がある。機材持ち込み形式の録音スタジオ(練習スタジオよりは環境がよく、普通の録音スタジオよりも安いが、数が少ない)を探して10~20万円クラスのMTRと5万円クラスのマイクで録音する場合、マイク録音だとほぼ意味がない。宅録となるとライン録音でも(ラインケーブルから入る電磁ノイズの方が、16bitPCMの量子化ノイズよりもはるかに大きいため)まったく無意味である。
再生環境も考慮するとなると条件はさらに厳しい。16bit録音からスピーカでの再生までに入った合計ノイズレベルが-83.6dbであった場合(プロの仕事だとしても、ものすごく頑張った水準の録音/再生)に24bit化で-86dbまで改善したとして、好ましい性能水準の録音スタジオ並の環境(ノイズレベル20db)で最大音量115dbでリスニングする(50db防音で壁までに15db減衰したとして、50dbの音漏れが発生する)と仮定すると、最終的なノイズレベルの差は1.8db、普通に静かな室内(ノイズレベル40db)で同じ音量での再生を想定した場合は0.6dbである(音漏れが悲惨なレベルになるが、ここから音量を20db下げると効果は0.1dbを下回る:安価にダイナミックレンジを稼ぐなら、ヘッドフォンなどを使うしかないだろう)。この辺の事情について、もう少ししっかりとした情報(筆者のようなシロウト計算ではなく)が出てきてもよいのではないかと思う。
いづれにせよ、性能は全体の歪率やダイナミックレンジで示すべきであって、ビット数がいくつだからどうこうという売り込み方は、メーカーにとってもユーザーにとってもよいことではないように思う。
192KHzサンプリングについても、あれはデジタルノイズを高域に追いやってローパス/ハイカットフィルタでごっそり削ってやるための技術で、リスニングルームで超音波を再生するためのものではないはずなのだが、その辺の説明がまるでなされていない(ピュアオーディオと呼ばれる業界の人たちが率先して100KHz再生対応だのスーパーツイーター搭載だのと喧伝しているのが非常にアレ)。
だいたい、100KHzあたりまでの再現性を真面目に追及しだしたら、マイクやアナログ回路(適用周波数帯が広くなると特性を均しにくくなる)はもちろん、アンプ(適用周波数帯が広くなるとゲインを上げられなくなって段数が増える)の設計だって大変なことになる(つまり、可聴域の特性が犠牲になる恐れが大いにある:超音波専用のものを別に用意するという案はあり、たとえばパイオニアのスピーカなどは、外見上3ユニットのブックシェルフに見えて実は2ユニットのブックシェルフ+超音波発生器という構成になっているが、エンジニアの人も苦肉の策だったのだろう)。
デジタル時代になってローコストかつ高精度に「音を真似る」ことが可能になった。サンプリング、モデリング、シミュレートなどさまざまなものがあるが、メーカーによって「真似した音」の宣伝方法が違って面白い。
LINE6は直球勝負である。「1959 Fender(r) Bassman(r)」などとモロにメーカー名と製品名を出したうえで「掲載されている製品名は~の特徴を適切に表すために使用されており、Line6社とは関係ありません」と断っている。BEHRINGERは「市場における有力~の対抗製品」と持って回る。Vox(KORG)は「UK製100Wの定番ハイゲイン・サウンド」(もちろんマーシャルのこと)などとさらに迂遠である。
直球なのか変化球なのかよくわからないが、前述のPLAYTECH製アコギ用プリアンプCT-3のネーミングは笑える。ハードウェアではなくソフトウェアだがGeorge Yohng's W1 Limiterなども似たような路線だろうか。ModernシリーズのVSTプラグインModern Amplifierは、GUI画面に「MODEL MLA-S」と書いてある。楽器の音色でいうとローズのエレピが頻繁に真似されている。Synth1は「赤いシンセ」といったん持って回ってから「Clavia NORD LEAD2」とモデル名をバラしている。
楽器メーカーなどは似たようなものに違う名前を付けるのも好きなようで、AWM音源とRS-PCM音源とか、エレクトーンとドリマトーンとか、まあ実際中身も多少違うし同じ名前で売るわけにもいかなかったのだろうが、ちょっとわかりにくい。楽器のページで触れたメロディオンの呼称なども面倒な話である。