Fretted Synth(本家サイトが閉鎖されrekkerd.orgで再配布されている)のFreeAmp3の使い方。FA3_Amp(アンプだけバージョン)とFA3_Full(フルバージョン)があるが、操作方法はほとんど変わらない。2011年2月現在、本家サイトがダウンしているようだが、rekkerd.orgにミラーがある。
筆者が作成した設定ファイルや音色サンプルが欲しい人はファイル配布のページを参照。FA3_Full単体で使えるものとしては「設定ファイル詰め合わせ」のfxpフォルダにあるFA3-a_gt.fxpがエレアコ用(ブリッジ埋め込みのピエゾピックアップ前提)、FA3-e_gt-br_cho.fxpがエレキ用(ダブルコイル(ハムバッキング)をフルテン(全ツマミ全開)にして指弾き(ごくたまにフラットピック)、ドライブ系の設定はブリッジピックアップ(リア)、クリーン系の設定は好みで使いたい方を使う前提)。
一部の設定はローコスト制作の感想コーナーにある音声サンプルのページ(MIC200というハードウェアアンプを噛ました音)やファイル配布のページで音色サンプルを掲載している。
おそらく、オールインワンパッケージとして「単体でなんでもやらせる」使い方がもっとも多いと思う。プリアンプシミュレーター(Musicrow Preamp Emulatorとか)、各種イフェクト(山ほどある)、チューブアンプシミュレーター(RubyTubeとかF_S_Tubeとか)、キャビネットシミュレーター(IRフィルタ系)などいづれも、限界性能で単体モノに勝てるわけではないが、とにかく手軽にいろいろなセッティングを試すことができる。
無料だが寄付を募っているので気に入った人は検討してみて欲しい。
まずは電源スイッチ周り。
図に示したように上のスイッチは(プラグイン自体の)バイパススイッチで、これがオンになっていないとどんな設定をしてもイフェクトはかからない。下のスイッチがチャンネル選択で、オフだとクリーンチャンネル、オンだとドライブチャンネルの設定が有効になる(もう片方は無視される)。
アンプ本体(チャンネル)の設定。
歪み方と低音を両方最小、または歪み方だけ12時で低音プーストをゼロにした状態から、種類>歪み方>低音の順に手をつけると取っ付きやすいと思う。
ゲートのスイッチ(左上と右上)。
これも電源スイッチと似ているが、ゲートの電源を入れないとどんな設定にしても無視される。プリとポストについては後述。
ゲートの設定。
筆者はFreeAmpに入れる前にFLOORFISHを噛ますのでほとんど使っていないが、エンベロープシェイパーを兼務させるなら便利。
その他の設定(わかりにくそうなもののみ)
筆者はどれもあまり使わない。
キャビネットの設定と表示。
見たまんまだが、「ACTIVE」と書いてあればキャビネットシミュレータが有効で、「BYPASS」と書いてあればバイパスされている。メーターは「プラグイン全体の」音量を示し、キャビネットへの入出力ではない。フルバージョンの場合は、
左下にペダル/ラックの切り替えボタンがある。
フルバージョンはさらに、画面一番下にテンポ設定とリミッターがある。
テンポ設定は、MANUAL(イフェクタのGUIについているツマミなどで設定する)、HOST(ReaperやVSTHostなど、ホストアプリケーションの設定と同じにする)、TAP(曲のテンポに合わせてボタンをクリックする)の3種類ある。HOSTまたはTAPを選んでBPMを正しくセットすると、
ツマミではなく「~分音符」の形式で周期を選べる。なお数字は、4が「ビート4つ分」=全音符相当、2が「ビート2つ分」=2分音符相当、1が「ビート1つ分」=4分音符相当、1/2が「ビート1/2つ分」=8分音符相当、1/4が「ビート1/4つ分」=16分音符相当、1/6が「ビート1/6つ分」=3連4分音符相当(以下略)になる。
リミッターはオンオフスイッチとツマミ1つなので見ればわかるだろう。
筆者は使ったことがないが、リアルタイム録音をする場合は念のためオンにしておいてもよさそう。
付属ドキュメントに書いてあるが、入力>プリゲート>ペダルイフェクト>アンプ>EQ>キャビネット>ポストゲート>ラックイフェクト>リミッター>出力の順である。FreeAmpへの入力の前にフェーダー系(またはリミッター)のプラグインを置いておくとよい。
付属ドキュメントに書いていないが、ペダルイフェクトは左から、ラックイフェクトは上から順に適用される。ラックはともかく、ペダルの並びが実機と反対なので注意(FreeAmpに限らず、ハードウェア実装のものを含めたデジタルマルチイフェクタ全般でこの並びが多い)。
メーターの振れ方などから-12dbFSくらいの入力を前提にしているように思われる(未確認)。前段にプリアンプやコンプを置いてダイナミクスをイジる場合は、間にフェーダープラグインを入れて入力レベルを調整するとわかりやすい。そのうえでVOLUMEを12時(マイクトリムなし)にすると、GAINをいっぱいまで上げてちょうど0dbFSくらいの出力になる。
キャビネット機能は、キャビネット歪みの音が常に出る感じで効く。
アンプだけバージョンとフルバージョンで設定ファイル(fxpやfxb)に互換性はない。
ガッツリ歪ませるときは、ハイパスやノッチやゲートなどを活用してしっかりノイズ対策をしよう。放置するとノイズもオーバードライブされる(あえてタレ流して変調系イフェクトで効果音にしてしまうという荒業もないではない)。
ごくごく稀にしか発生しない症状(通常ではありえないような奇妙で強引な操作をムリヤリ突っ込まないと再現しないと思う:というか、筆者は「Reaperにムチャなことをやらせて虐める実験」中に2回見たことがあるだけで、意図的に発生させる方法は知らない)だが、Reaperから使ってもし音が出なくなったら、一度演奏を止めてから、Fxボタン>Outsボタンと押して、出力先を再設定しよう。
Reaperから使って表示やボタンがおかしくなったら、一度演奏を止めてから、Ctrl+Pで設定画面を出しAudio>Deviceの枝を表示、キャンセル、FreeAmpをバイパスした状態で数秒再生、また停止とやってみよう(これは、パソコンの処理能力いっぱいいっぱいまで負荷をかけながら細かい操作を繰り返すとたまに発生する)。
Reaperから使ってとにかくどうしても動きがおかしい場合、出力先を全部外す>Deviceの枝を表示(設定内容も再確認しておこう)>出力先再設定>Deviceの枝を表示、と連続でやってみる(これでダメなら再起動くらいしかないと思う)。
チャンネルの「GAIN」ツマミはあくまで「歪み方を変える」ために使い、音量は「VOLUME」ツマミで調整するとラク。外部イフェクタで音を作りキャビネットだけ使うときは、ノーマルチャンネルで「NORMAL」モードを選びCHUBとGAINを両方最低まで絞り、PRESENCEを最小に、VOLUMEを最大にすればよい(完全なクリスタルクリーンにはならないが、まあ大騒ぎするほどのことではない)。
キャビネットを使う場合、ギターは4x12(とくに、クセのないNORMAL、名前どおりクリーントーンに合うCLEAN、音がキツくなったときに役立つWARMあたり)、ベースは1x15が使いやすい。
アコギのマイク録りを歪ませる加工に、なぜだか妙に合う。合ったからといって嬉しいようなものではない(歪ませたかったらエレキを使えばいいわけだし)が、不思議と合う。
ペダルイフェクトには「小っちゃいツマミ」がついているものがある(オーバードライブとか)。
小音量域でクリーンっぽくなるクランチトーンを出したい場合、CRUNCHチャンネルよりもBOXチャンネル(-12dbFSピークで入力してGAIN全開)の方が合うような気がする。歪み方が足りない場合前段にプリアンプを置いて大音領域だけ歪ませるといい感じ。プリアンプで強めに歪ませてGAINを絞っても面白い。