炒め以外の中華料理も作ろう


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ぶっちゃけ筆者もよくわかっていないメニューばっかり。かなりいい加減なレシピなので眉に唾をつけて読むべし。



茹でるor煮る料理

紅燒は練習中だが難しいな、これ。他に代表的な煮込みにとして烹(ポウン:さっと煮る)と燜(メウン:じっくり煮込む)があり、どちらも揚げるか炒めるかしてから煮る、らしい。


砂肝の冷菜

中華屋でオツマミといったらこれじゃないかと思う。

砂肝は茹でこぼすか熱湯で洗い、ネギ生姜酒で沸騰から10分くらい茹で、冷やして片にする。塩1:ごま油1に醤油と花椒を少し足したものをふりかけ、長ネギの絲も加えて混ぜる。盛り付けて白ゴマを振り、お好みで針生姜やにんにくを細く切ったものを添える。

中華でよく使うモツというとレバーとこの砂肝なのだが、夫妻肺片(商品名らしく涼拌廢片が料理名なんだとか)という牛モツの冷菜(ボイルして切ってタレをかける)なんかは、タン、ミノ、ハツ、レバー、その他なんでもいろいろ使う(ソースの作り方は人によってバラバラ:基本線になるのは、ラー油と花椒と香味野菜を使う、ということくらい)。


中華粥

北京などでは白粥(朝食として人気)、広東などでは味つきで具が入った粥が好まれる。どちらも米がメイン食材のスープ的なイメージで、飯粒が割れて花が咲いたようになるまで煮込むのが特徴(そうでないのも多分あるけど筆者は知らない)。実はけっこう上級の料理で、中華屋のメニューに粥があったらかなり本格的な店だと思ってよい(煮るところだけで30分はかかるので、手間の問題もある)。なお、粥は米から料理するものを指し、飯に汁をかけて食べる料理は泡飯(ポーファンまたはパオファン)という。材料は必ずしも米とは限らず、日本にも小豆粥(もとは中国南部から伝わったらしい)や五穀粥があるし、中国には小豆(紅豆:現在の日本のものとはちょっと違う)や緑豆やあわ(小米粥)などの粥があるそうな。

味をつけないものは浸水時間を長く取る。米を(研がずに)洗って、冷蔵庫で4時間くらい水に晒し、適宜上下をかえながらざるで30分くらい水を切り、米1合に対し油大匙1くらいをまぶしてさらに15分、米の7~10倍程度のお湯を沸騰させて、強火のまま米を入れ、軽く煮立つ程度の火力にして、焦げ付かない程度に底からふわっと混ぜながら煮る(水分が減ったら適宜足すが、最初からジャストの分量で煮た方が仕上がりがよいと思う:米が膨らみ切った状態で(デンプンが溶け出るのでとろみはつくが)「スープ」がちゃんと残るように)。流儀によるのだろうが、筆者は浮いた油を捨ててしまう。米が割れて花のように膨らんだらできあがり。塩を一つまみ入れて、香の物、揚げワンタン(ワンタンの皮だけ揚げた物)、松の実やクコの実やゴマなどを、まぶすか添える。お湯の代わりに戻し汁系のダシ(魚介とかシイタケとか)や、ちょっと邪道だが昆布ダシを使う手もあるし、酒を大匙1くらい入れて煮る人もいる。

味つきのものは、米を炒めてから熱いスープ(普通は鶏湯だと思う)を入れるのが基本。短粒米でも作れるし、長粒米のほか、もち米を使うものもあるそうな。シイタケの片や干して戻した魚介などを具にして、塩・酒・醤油、XO醤、麻辣醤あたりで味付ける。ごく一例として、米を洗って、しっかり水を切り、多めの油(米0.5合に対し油大匙1~1.5くらい:米が油を吸うのでケチらない方がよい)で透き通るまで炒め、米の7~10倍のスープと具材を入れ、軽く煮立つ程度の火力にして、焦げ付かない程度に底からふわっと混ぜながら煮る。油は糊に練り込まれるのに任せて捨てない。米が割れて花のように膨らんだらできあがり。調味料を混ぜ、盛り付けて仕上げ油をたらし、薬味を入れたら完成。ネギのほか、ゴマや松の実などの薬味があるとなおよい。薄味に仕上げて、盛り付けた後にサラっと塩を振るのも一案。

米の水分について諸説あり、半日くらいかけて米を乾かしてから煮るレシピもあるらしい(試したことはない)。実用上は、米を割れやすくして煮込み時間を短縮する必要もあるし、多くの中華屋では研いで水を切った米を冷蔵して使っている都合もあって、米の状態と相談しながら炒め方を調節する(油が回る程度~透き通るまで~白くなるくらい:米が乾いているときは軽めの炒め)のが現実的だろう。白粥的なレシピは、粥の専門店やコース料理の一部で出されることが多いために、時間を豪華に使うやり方が多いのだと思う(多分)。


スープ

テキトーな野菜(ニンジンとタマネギあたりでよろしかろう:マッシュルームとかも面白い)を荒みじん(鬆)にして炒め、スープを入れ、塩と醤油で味をつけ、片栗で軽く(ホントに軽く)とろみをつけ、ごま油をたらし、長ネギの絲(というか白髪ねぎ)を薬味にする。ぶっちゃけ、ごま油さえ入れればたいていのスープは中華風になる。なお、レトルトのシチューくらいまで片栗を強くしたものは羹(コーンスターチを使うこともある)、コーンポタージュみたいな漉すとろみスープは濃湯と呼ぶ。香露燉花菇とか白菜肉丸湯といった蒸して作るスープもあり、かなり高級かつ上級の料理(ただし直接蒸すのでなく茶碗蒸しのように蓋付き容器に入れ、80~90度の温度を維持するためにせいろを使う:壷蒸しスープと称することもある)。

卵スープにするときは、卵黄1:卵白2くらいの割合で溶いておき、スープを軽く回し、鍋底に届くか届かないかで固まるくらいの加減で細く流し入れ、半呼吸置いて底からやさしく混ぜる(お玉から菜箸を伝わらせて回し入れるとラク:少し高いところから落とすと鍋の中で卵の移動速度が速くなり、結果的に効率よく固まる)。卵で温度が下がるため、分量が多いときはコンロの火を落とさずに卵を入れる(沸騰しない範囲で高温にしたい)。どうも、鍋底を流れる動きがあった方がよいようで、底が平らな鍋よりも中華鍋の方がやりやすい気がする。

辛いスープは麻辣湯(マーラータン:中国山椒と四川唐辛子のスープだが、普通のスープに麻辣醤を入れればとりあえずマーラータンですと言い張れる)と酸辣湯(サンラータン:酢と唐辛子のスープ)が有名。麻辣湯は朝鮮料理の肉狗醤湯(ユッケジャンタン)ほど有名でないが、一時期やたら出店が多かった火鍋は白湯と麻辣湯の組み合わせが主流だった。余談になるが、中国には東北地方を中心に朝鮮族と呼ばれる人たち(都会人としての自負が高く差別的な態度を嫌う日本の都会の中国人でさえ「あの子は朝鮮族だから私たちとは違う」と口にするくらい勤勉で優秀:日本人である筆者から見ても信じがたいレベル)がおり、延辺料理は日本でも食べられるところがけっこうある。

スープ関連は用語が混乱しており、一番だしを鮮湯または高湯または上湯、一番だしをひき肉などでさらに澄ませたものを上湯または頂湯、金華火腿(ブランド品の中華ハム)を使う高級スープを上湯または頂湯、2番だしを二湯または毛湯、単に「いいスープ」の意味で上湯または清湯、というらしい(これらはほぼすべて葷湯の清湯=透明な動物スープ)。毛湯を2番だしの意味でいうときは、暗黙に、鶏湯のダシガラにトンコツを加えて作る方法を指す(のだと思う:毛湯に必要なのはトリガラのフレッシュな部分よりもクセと深みがある部分なので、必ずしも廉価版のスープではない、というか漉している時点で高級スープの部類だと思う)。

ベースとなるスープで普通に使うものは、鶏の胴ガラメイン(+手に入ればひね鶏の丸とかもみじとかネックとか)の鶏湯か、鶏湯に豚のゲンコツ(+もったいなくなければモモかスネ)を足した毛湯のどちらかで、前者の方が使いやすくシンプルな風味になるが、後者の強い旨みも捨てがたい(作り方は最初のページで触れたので繰り返さない)。実用上は、鶏ガラでスープを取りながら蒸鶏とチャーシューを茹でると鶏湯でも毛湯でもないもどきスープが取れるので、これを使うのが手っ取り早い。なお、フランス料理のブイヨンと鶏湯や毛湯の違いは、使う野菜の量と種類や煮込み時間の長さである(ブイヨンはタマネギやセロリなどを多用し比較的長時間煮込む:モミジ使うときに爪を切るんだってさ)。



揚げる料理

包丁はセンス、炒めは性格、揚げ物は心がけだと習った。揚げ油は使う都度カスを掬って泡が出なくなるまで(温度を上げすぎないように)火入れしよう。糖醋魚は前のページで紹介したのでここでは触れない。まったくの余談だが、台湾では天麩羅が天ぷらで甜不辣が薩摩揚げのことらしい(西日本や北海道の一部でも天ぷらといえば薩摩揚げのこと)。日本語の「揚げ物」は「油炸(ユージャー)」だそうな。


油淋鶏

油をお玉で回しかけるからユーリンチーと呼ぶのだろうが、これも焼豚や蒸鶏と同じで、ほとんどの店では単なる唐揚である。タレもごく基本的なもので、ネギ生姜に醤油1:酢1:砂糖1のごま油が基準で、砕いた揚げニンニクを加える人もいる。中華おこげなんかでもそうなのだが、揚げたての食材にソースをジュっとかけると香りが立つ。

鶏モモは豚肉ほどクセが強くないのでチャンも簡易で大丈夫。洗って、絞って、筋切りして、肉の側に隠し包丁を入れて、塩コショウを振って酒を吸わせて、片栗を薄くまぶすだけ。揚げ油は煙が立たない程度(170~180度くらい)。付け合せはレタスかキャベツにトマトというのが一般的だと思う。

なお、普通の唐揚は炸子鶏または炸子鶏塊(若鶏をブツ切りにした揚げ物の意)と呼ばれ、薄力粉>片栗粉の順に粉を振るか、粉の前に卵をうっすらと纏わせることが多い(多いだけ)。ユーリンチーとジャーツーチーとタンツーチーを分ける基準は何か、と考えても人や地方によってバラバラ。筆者のイメージとしては、タレをかける唐揚がユーリンチー、あん(滷)をかけるのがタンツーチー、それ以外がジャーツーチーなのかな、といったところ。衣をスパイシーにする場合は椒鹽(ジャオヤン:椒がスパイスで鹽が塩)というらしい。


包みもの

餃子とか雲呑とか春巻きとか。筆者は皮から作ったことはない(普通は麺屋さんから買う)が、中身を作るときのコツは2つ。ひき肉はよーーーく練ること、野菜は水気を抜いて使うこと(湯通しして布か袋で絞る)。餃子を巻く(餡を皮に包む)ときは専用の餃子箆を使い、水はつけないのが普通で、1個10秒のペースで巻き続けられれば熟練レベルである(中国人がやっている個人経営の店の「おかみさん」はたいてい異様に速い)。

ちなみに餃子は、茹でても揚げても焼いても蒸しても食べられる面白い料理で、中華屋の焼き餃子は茹でてから蒸し焼きにするような感じで調理する(途中で水を捨てて油をたらす)。中国で主食扱いされることが多いのはわりとよく知られていると思うが、日本人がやっている中華屋では「ワンタンメン+チャーハン+ギョーザ」なんていうセットが普通にあるのだから面白い(香港飲茶にしても上海飲茶にしても主食っぽいものがザクザク出てくるのでどっちもどっちだとは思う)。

もうちょっと正確には、まず料理が菜(大皿料理)と湯(スープ)と点心(その他全部:點心とも)に別れ、点心は甜点心(甘い:基本的にはデザート)と鹹点心(甘くない)に分かれる。この鹹点心というのが(例によって)やたらと語義が広く人や地方によって使い方が異なる厄介な語で、無難なところでは餃子、焼売、春巻、包子(肉まん)あたり、麺類やご飯ものも含まれることが多い(朝食用の粥も点心)。広州市周辺の廣式點心と香港のものなどが有名(飲茶の習慣自体は広東省周辺に広くにあるらしい)。


中華おこげ

炊いた飯を平べったく押しつぶし、干して、高温の油で短時間揚げる(膨らんだら取り出す)。揚がったらすぐに味付きのスープをかけて食べる。


ごま団子

芝麻球というらしい。中華のデザートといったらこれだと筆者は思う。杏仁豆腐(薬膳で出されるものを除いて杏仁(きょうにん=アンズのタネ)は入っていないのが普通)では断じてない。実は、紹介はしたものの作り方がわからなかったりする。胡麻餡(練り胡麻を混ぜたあんこ)に白玉粉の生地が基本らしいのだが、點心は膨大に手間がかかるのが多いんだよなぁ。ごまプリン(中国語だと布丁または布甸らしく伝統料理ではないが、ゴマ、マンゴー、ライチなんかを使ったプリンが専門店でも出されている)も作れるようになりたいなぁ。



買い物に行こう(オマケ1)

中華屋の仕入れはほとんど出入りの業者任せだし、業者選びの話をしたいわけでもなく、普通に家で食べる食料の買出しについてであるい(そもそも筆者は店の仕込を担当したことがない)。筆者は月に何日か自由にまかないを作れる店にいたことがあり、買出しはけっこう楽しかった(ただし店のメニューでないものを作るときは自腹:その日店に出る人の分全部だが、小さな店でせいぜい5人分くらいだった)。

思うに、技術的な意味で「買い物ができる」ようになるためには、3つの能力が必要とされる。ひとつは、店で並んでいる食材(と値段)を見ながら「こんなものが作れるな」と発想する力、もうひとつは方針が定まったあと「こんなものがあればもっと豪華に作れるな」と探す力、最後にそれらをうまく取捨選択して予算内に収める力(だって自腹なんですもの)。

店のまかないはある程度の見栄と緊張感があるからよしとして、家で自分が食べるものの買出しなんかはメンドクサイのが正直なところだが、ものを見る力や発想力を鍛える機会になるので、あまり疎かにしないように心がけたい。ただまあもちろん、買い物に行く前の段階の準備(香味油を作っておいたり、調理器具を自前で持って行ったり、いろいろな料理ができる技術と知識と経験を磨いたり)がしっかりできていることが前提になるのは言うまでもない。



出汁と乾物(オマケ2)

中華屋で使うスープはほぼ毛湯モドキに限られるが、もちろん、それ以外にも使い勝手のよい出汁は数多くある。日本人に馴染みが深いものではやはり、干し昆布(出汁が濁りがちだが濃厚な風味の羅臼昆布、関西で人気のある利尻昆布、用途の広い真昆布、沖縄料理のスタンダード棹前昆布など)、節(鰹節や鯖節など中~大型の青魚が好まれるが、鮭や鮪や潤目鰯などでも作られる)、煮干(鰯とその仲間、アゴ(飛魚)、鯵、鯖など、やはり青魚が中心)、干し椎茸(冬収穫の冬茄=どんこ、早春収穫の香茄=こうこ、晩春or秋収穫の香信=こうしんなどがあり、収穫が早い方が出汁は濃厚だが扱いは面倒になる)あたりだろう。

この中で椎茸は、グアニル酸を豊富に含む特異な出汁食材で、複雑なうまみが欲しいときにはぜひ使いたい。グルタミン酸は昆布がとくに多いが他の野菜にも含まれており、トマトや白菜などはダシとしてもけっこう使える。意外なところで、鰯、椎茸、アサリ、マッシュルームなんかもグルタミン酸をそれなりに含んでいる。イノシン酸は動物出汁に含まれ、肉よりも魚の方が多く、とくに青魚(ATPの分解産物で、AMPデアミナーゼ存在下でアデニル酸がイノシン酸とアンモニアに分解されてできる:酵素が存在することとAMPがATP再生産のために回収されない(=死んでいる)ことが条件になる)に豊富だが、なぜかクロダイが鯵や鰯をぶっちぎる含有量を誇る。グルタミン酸とイノシン酸には強い相乗効果があり、3:7~7:3くらいの範囲で混ぜると最大限のうまみを引き出せる。貝類はグルタミン酸を少し含む(日干しすると増える)ものが多いが、コハク酸(相乗効果がない(らしい)うま味成分で、過剰だとえぐ味にもなるが、独特の風味を出せる)に富むものも多い。

昆布は沸騰させて煮ると苦味が出るので、一番出汁と二番出汁で抽出方法を使い分けるのが普通。一番出汁の場合、水で戻して、戻し汁ごと火にかけ、5分ちょっとかけて70度まで加熱、火を止めて待ち頃合を見て(長くても火を消してから5分くらい)取り出すのが一般的、だと思う(最適抽出温度は60度らしく、60度で30分という抽出方法もあるそうな)。二番出汁では5~10分くらい沸騰させて抽出することが多い。

節はやはり鰹節が人気で、90~95度くらいが最適抽出温度らしく、鰹昆布混合の一番出汁では、昆布出汁を取ったあと沸騰させ灰汁を引いてから差し水して、鰹節を加え、再沸騰したら火を止めて再度灰汁を取り、鰹節が沈んだら漉す(という手順が多いと思う)。二番出汁を取るときは沸騰後数分で追鰹と呼ばれる追加の鰹節を足すのが普通だが、ここに鯖節(鰹と比べると香りが淡白でコクが深い傾向がある)を使う人もいる。煮干の抽出方法はよくわからないのだが、どうやら、水で戻して、戻し汁ごと火にかけ、沸騰したら弱火にして5~10分煮出すのが普通らしい。ワタは取り除いた方が雑味が少なくなり、頭を取る人もいる。

干し椎茸は冷蔵庫で半日or一晩(どんこの場合は丸1日くらい)かけて戻し、水もあらかじめ冷やしておいたものを使うとよい。戻した後は昆布と同様に低めの温度でやや長い時間かけて抽出する(これにそのまま香味野菜と調味料を加えたものを香茹湯というらしいが、筆者は見たことも食べたこともない)。最適抽出温度は35~55度だそうな(未確認)。戻し汁を直接摂取する農産物なので、安全性にはとくに配慮し、出所が確かな高級品を使った方が無難である。椎茸以外の乾物では、帆立の干し貝柱(水~熱湯で火にかけずに戻す:戻した後酒を加えて沸騰させることもある)、小エビ(熱湯orぬるま湯で戻したり、煮干と同様に戻したり)、干し鮑(チョー面倒らしいという話しか聞いたことがない)などが代表的な出汁食材。ちょっと変わったところではスルメ(戻して火にかけ沸騰したらすぐ取り除く)なんかも、クセは強いが風味もよく出る(試したことはないが、八宝菜のスープに少し混ぜたら面白そう)。

たいていの野菜や海草は風通しさえよければ干物にできる。ニンニクは普通乾燥させたものが流通しているが、剥いてスライスしてから再度干すこともある(風通しのよいところで1日くらい:同様の干し方で干し生姜も作れる)。乾物は水で戻すことが多いものの、クコの実なんかは酒で戻すこともあるし、北海道では鮭トバ(川に戻った鮭(ホッチャレとかブナとか呼ばれる)に塩味をつけて干したもの)を日本酒で戻すor日本酒に浸して食べる調理法も一部で人気がある。身欠き鰊(鰊からワタと頭を取った干物)や棒鱈(鱈の干物で、北海道では「ぼーだら」と濁って読む:叩いて柔らかくするという説明がいくつか見られるが、筆者(北海道出身)が知る限り、北海道の人はそのまま齧って食べるのが普通、鮭トバや帆立の貝柱の干物も同様にそのまま食べる)は米の研ぎ汁で戻すことが多い。東北~北海道では、乾物を番茶(関東以南でいう「ほうじ茶」)で戻すこともある(漬物の塩抜きに使われたのが先のようで、糠ボッケや糠鰊によく用いられる:山菜の灰汁抜きでも番茶で煮ることがある)。



中華屋に秘伝のレシピなし(オマケ3)

家族だけでやっているような小さな店を除いて、ほとんどの中華屋にはレシピを秘密にする文化がない。というか、人の入れ替わりが激しいので秘密にしようとしてもできないし、従業員同士でも「あそこの店ではこうやって作ってる」とか「ここの店では何を入れてる」なんてことをよくしゃべる。無数にあるレシピの中から最適なものを選び調整を加えて使うのが中華屋の流儀であるし、だいたいが、作り方や材料(少なくとも同業者にとっては、何の変哲もないことがほとんど)がわかっても技術が伴わないと上手く真似できず、ソックリなものを作れたとしても自分の店の仕入れやメニューと噛み合わないと客には出せない。

ただ、中華屋で「これどうやって作ってんの?」と聞いても、教えてもらえる見込みはあまりない。というのは、作っている人は忙しいし、ホールの人たちは作り方なんて知らないし、ここまでいろいろと紹介してきた中華独特のやり方を素人に説明するのも面倒だし、教えたところで中華屋の厨房でないと真似できないこともあるから。本当に教わりたければその店に料理人として勤めてみるのがもっとも手っ取り早い(そうやっていくつもの店で知識と経験を積み重ねている人も少数だがいる)。

他の飲食店のことはよくわからないが、ホテルの厨房(やっぱり人の入れ替わりが激しいからなのかねぇ)なんかもレシピにはオープンなところが多い。ただ、作っている人は(よほど偉い人でなければ)まず前に出てこないところなので、作り方を教えてもらおうと思ったら、中の人と個人的に仲良くなるのがやっぱり一番手っ取り早い。



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