一応書いとくけど、未成年者は日本国内で喫煙すんなよ。喫煙は(たとえフカシでも)健康を害するし中毒性があるから、それがわかった上で健康と引き換えに快楽を求めたい大人と、宗教上の信念に基づいて喫煙する奴以外は手ぇ出すな。毒物としてはかなりヘビーな部類だし。
厳密な話はさておき、ぶっちゃけた定義としては「外側に葉っぱが巻いてある煙草」と考えてよい。高級品は「タバコの姿巻き」に近い構造になっているが「紙巻の上から葉っぱを巻いただけ」に近いような製品もある。
構造としては、バインダーと呼ばれる葉っぱ(紙巻煙草の紙の部分に相当:ある程度の強度が求められる)でフィラーと呼ばれる中身の葉を包み、その外側からラッパーと呼ばれるタバコ(1枚葉であることが多く、葉巻が高いのはこの部分にコストがかかるから)を巻いた形になっている。フィラー用の葉は、生えていた場所により、上層葉LIGERO(香りや刺激が強い)、中間葉SECO(バランスタイプ)、下層葉VOLADO(よく燃える)に分けることが多い。
安物だと、バインダーの部分には紙とタバコを合成したシートを使用し(シートシガーと呼ばれる)、フィラーには紙巻き煙草(シガレット)のような細かい切れ端を使用している(ショートフィラーと呼ばれる:空気が通りやすく喫いやすいが、燃えやすく高温になるのが欠点)。この手の葉巻は機械巻きで、吸い口も最初からカットしてあるものが多い。ドライシガー(常温で流通・販売されるものを指す)はたいていこのタイプで、1本100~200円くらい。
高級品だと、バインダーにはタバコの葉だけを使っており(全体としてもタバコ100%)、フィラーも細かく刻んでいない(多くは1枚葉の)ロングフィラーになっている。保管時に温度と湿度の管理が不可欠なものが多く、ドライシガーに対してプレミアムシガーと呼ぶ(乾くと辛味が増すため、ドライシガーでも温度と湿度は管理した方がよい:店頭では賞味に適した湿度よりもやや低めに管理されていることが多いようだ)。1本1000円くらいから。
プレミアムシガーとドライシガーの中間的な存在にプリトス(国やメーカーによってチコスとかミディなどとも)というのがあって、本来はプレミアムシガーの余り葉で作ったドライシガーを指す(はず)。余り葉なのでショートフィラーになり、バインダーやラッパーに規格落ちの葉を使う都合で小さめのサイズ(おおむね長さ4~5インチ≒10~12.5cmの太さ26/64~36/64インチ≒10.3~14.3mmくらい)で、機械巻きが多い。品質が安定しない一方、たまたま自分好みのバランスで巻かれたものに出会えればコストパフォーマンスが高くなる。これとの混同を狙ったのか、小さめの(普通の)ドライシガーに「プリトスサイズ」を名乗るものや「ビトラ:プリトス」とだけ書いて売られているものがある(ホンモノのプリトスが同様の表示をしている場合もあり、紛らわしい:Vitolaは「フォーマット」とも呼ばれ、葉巻のサイズと形状を指す)。
番外として、紙巻と同サイズ(長さ7~8cmの太さ8mm前後)くらいの小さな葉巻のことをシガリロ(もしくはミニシガー)と呼ぶ。紙巻の2~10倍くらいの値段で買えるものが多い。シガリロにフィルタをつけたものをリトルシガーということがある。ミニシガー/リトルシガーの呼び分けは厳密でなく、人や地域によって異なる(たとえばアメリカでは1本の重さで税金の区分が変わるらしく、0.048オンス(=0.003ポンド)~0.16オンス(=0.01ポンド)の間をシガリロ、それより軽いものをリトルシガー、重いものをシガーと呼ぶそうな:このページではフィルタの有無を基準に区別する)。
シガリロとシガーの中間的なサイズは長さが(レギュラーサイズにも揺れはあるが、いっそう)マチマチで、クラブ(シガリロよりワンサイズ大きくなった感じ:長さ8~9cmで太さ9mmくらいか)、ハーフコロナ(後述するコロナの半分強の長さでやや細い:だいたい、長さ8~10cmで太さ13mm前後)、プリトスサイズ(長さ11cm前後の太さ10.5cmくらいが中心)、ペティロブスト(後述するロブストよりやや短く太さは同じか微妙に細い:だいたい、長さ10cm前後で太さ20mm弱)などがあり、シガリロを名乗っているかシガーを名乗っているかは地域や製品による(ヨーロッパではクラブサイズをミニチュアシガー、ハーフコロナかプリトスサイズくらいまでをスモールシガーと呼ぶことがあるようだ)。
ちなみにJT製シガレットの場合、
現在の「たばこ」では、長さは85~100mm、
円周(巻きの太さ)は25mmの
「フィルター付きキングサイズ(85mm程度)」
「フィルター付きスーパーキングサイズ(95~100mm程度)」
が一般的です。
長さが短いものでは「フィルター付きミニサイズ」といわれる65mmのものがあります。ということらしい(JTタバコワールドより)。円周が25mmということは直径約数7.96mmになる。なお、ホープは長さ70mm(実はこれが「レギュラーサイズ」)の円周26mm、ハイライトは長さ80mm(こっちは「ロングサイズ」)の円周25mm。パッケージの都合があるのか、円周は25mmのものがほとんどのようだ。
太さが太いものでは円周26mm、細いものでは円周わずか17mmという極細のものがあります。
リトルシガーにはラッパーを省いたものもあり、一見シガレット(紙巻)と区別がつかないが、巻紙がライスペーパー(炭酸カルシウムを添加して調整を加えた、煙草用の紙の俗称)かタバコシートかという点だけが違う。原料にどのくらい煙草の葉が混じるとタバコシート扱いになるのか、基準がよくわからなかった(日本国内で売っているものについては、ニコチンやタールの量が表示されていなければリトルシガー扱いなのだと判断できる)。
太さは、太ければ燃焼速度や空気の通過速度が遅く、細ければ速くなる(空気の流量に対する通過速度が変わるということ)。また後述のロブストくらいの太さになると、空気で冷やされる周辺部分(ラッパー近く)と冷やされにくい中心部分の温度差が大きくなりがちになる。長さが長いものは、喫い方によって味の変化が大きい。全体的なサイズが大きいものは大きなラッパーやバインダーを必要とするため、価格が高くなる傾向がある。また、ニコチン量(というか効き)の目安を「ライトボディ」とか「フルボディ」などの表現で示すことがある。
大きさと形状(=Vitola)によりいろいろな俗称があり、長さは1/8インチ、太さは1/64インチ単位で区別することが多い(個体差があるので目安にしかならないが)。用語として、直径が64分の何インチかという値をリングゲージと呼ぶ。直線的な形状(=Parejo)で代表的なものは以下の通り。
タバコ自体の甘味と風味で勝負できる高級品のプレミアムシガーは無添加が基本だが、ドライシガーはフレーバーの入ったものの方が多い。大きく分けると、洋酒系、フルーツ系、ハーブ系、その他甘味系がある。
甘味や香りを補うものがほとんどで、洋酒系はラムやシェリー、フルーツ系はチェリーやストロベリー、ハーブ系はバニラを使ったものが多く、マンゴーやチョコレートのフレーバーも比較的よくある。ややマイナーだが、シナモンやミント、ハチミツなどを使ったものもあるし、吸い口に砂糖やハチミツが塗ってあるものもまれにある。
キワモノも多くタバコの風味を味わうのにはあまり向かないが、B級テイストを探求するのもそれはそれで面白く、フレーバー煙草のマニアも少数ながら存在する模様。
まずカッティングから。よほど慣れた人でないと、Vカット(名前のとおりV字に切り込みを入れる)やパンチカット(くりぬくようにしてくぼみを作る)は専用の器具でしかできないが、フラットカット(単にちょん切るだけ)なら割と手軽にできる。フラットカットにしても、専用の器具でやるのと普通のハサミでやるのとでは仕上がりに差が出るが、要は吸い口(ヘッドといい、葉っぱの撒き始めの部分をとくにキャップという:火をつける方はフット)を潰さないようにスパっと切れ味よく切断すればよい。
自分でフラットカットをする場合は、ヘッドの丸みがやや残る程度を限界として、好みの太さに切ればよい。大きさの目安としては「極端に強く吸わなくても好みの濃さの煙が得られる程度」としかいえないが、切り口が大きいほど緩やかな吸引でも大量の煙が流れ、小さいほど燃焼部分の空気通過量を繊細にコントロールできる。最初は小さめの切り口にしておいて、ある程度喫ってから切り直す作業(リカット)を好む人もいる。
次に点火。点火の前にまずは香りを楽しんでから、ということがよく言われるが、その辺で売っているドライシガーの場合、嗅いでもせいぜい「牧場のニオイ」がする程度なのでむりに嗅ぐ必要はない(このニオイは、それはそれで悪いものでもないが)。葉巻全体を軽く暖める程度にあぶることもあるが、これもぜひ必要な作業ではない。
点火具はシガーマッチかガスライターを使うと臭いが移らなくて便利。火力が安定しているのとススが出にくいのとで、ターボライターが最適だと思う。いずれにせよ、直接火に当てず遠火で熱する(このため、ライターは上向きに火が出るものがよい)。葉巻を斜め下に向けてゆっくり回しながらフット全面にぐるりと火を移し、燃えが悪ければ軽くふかすか上下に振って空気を通す。火にかざす時間は、あまり長くすると過熱してしまうので注意(ラッパーを焦がさないように)。
火がついたらできるだけゆっくりとふかして香りを楽しむ。ふかすだけか、深くは吸い込まないのが原則だが、ある程度しっかりした風味のある葉巻でないと物足りなくなることも多い。実際、筆者はたいていやや深めに吸い込んでいる(もちろん、もしホンモノの高級品で露骨にこれをやったらさすがに品がないが、安物のシートシガーなら、ふかすだけよりも濃く味わえると思う:体にも悪いし、他人にオススメはしない)。余談ながら、かなり前にテレビで見たキューバのタバコ農園のオジイチャンが(自家製自家巻きの自分専用葉巻をナイフでカットして)ガッツリ吸い込みながら喫っていたが、さすがにアレは肺を痛めるんじゃないかとちょっと心配になった。
火がついた部分の温度が上がりすぎると、渋くて臭くてどうしようもない煙が出てきてしまう(火傷の原因になることもある)ため、温度を上げすぎないように注意する。が、あまり放っておくと火が消えてしまうので、同じ葉巻を何度も喫っていくうちにリズムを覚えていくとよい。灰はある程度の長さまで落とさずにつけたままにしておくと、放熱効果が高まり温度が下がりやすくなる。筆者は、ふかした後に葉巻を「吹く」ようにしている(根元の方の葉がヤニ臭くなるのがイヤなので)。パイプ喫煙でよく見られる動作だが、多分、葉巻では一般的ではない喫い方だろう。
灰皿は葉巻用のものでなくても構わないが、水平に置くようにする(斜めにすると、葉が熱せられて出てきた液体が流れてまずくなる)。手から湿気が移るので、無駄に手に持たない方がよい。シガーのヘッド付近にはシガーバンドというバンド(手にヤニがつくのを防ぐためのものらしい)が巻いてあるのが普通で、タバコの側に湿気を移さないためにもこの周辺を持つとよいのではないか。シガーバンドを外す流儀の人も多い(コレクションしている人もいる)が、ある程度葉巻が燃えてバンドが温まってから取らないと、ラッパーを傷めることがある(熟練していて、上手く外せる自信があるなら火をつける前に外しても構わないのだろう)。
葉巻が短くなってくるのに応じて当然味も変わってゆくが、完全に根元まで喫ってしまうと、熱いしけむたいしでロクなことがない。「うまさ」を感じられる範囲内でやめておくのが賢明。喫い終わったら、灰皿にそのまま置いておけば3分くらい(モノによるが)で消える。葉巻をもみ消すと「こんな葉巻はマズくて喫えん」もしくは「(居合わせた人に対して)お前のお陰で葉巻がマズくなった」という意味になるので、人前ではやらない方がよい(筆者はシガレットサイズのシガリロのみ紙巻と同じように消している)。
ドライシガーの場合、銘柄を云々するよりも鮮度の方が重要になる(この辺、コーヒーにも似ている)。値段が倍くらい高い製品でも、鮮度が悪ければ安物にまったく敵わない。できるだけ回転のよいお店で、よく売れている銘柄を買った方がよい。ドライシガーも必要に応じて保湿ケースに入れて保管している真面目な煙草屋さんもあるので、そういったお店を探すのも一案。状態が悪い場合、湿度を調整しながら少し寝かせてやると改善するが、市販の保湿ジェルは高いし水皿と一緒に保管するのも管理が難しいので、最初から状態がよいものを買うに越したことはない。
回転のよい商品という意味ではキングエドワード(アメリカ)やビリガーエクスポート(スイス)がかなり安定した銘柄で入手性がよい。ちょっとランクを上げるならビリガープレミアムもなかなか回転がよく、1番や3番あたりはモノもそんなには悪くない(ただし筆者としては、8番を初心者に勧めるのは同意しかねる:というか「隠し味」的でないフレーバーシガー全般を、初心者には勧めない)。やや回転は落ちるが、スカンジナビアタバコのヘンリーウィンターマンズシリーズ(オランダ)や、ラ・オーロラのプリンシペシリーズ(ドミニカ)など、もう少し本格的なコストパフォーマンス銘柄もある。筆者自身はヘンリーウィンターマンズ・ハーフコロナとプリンシペ・ショートロブストでほぼ落ち着いた。2010年の値上げで価格帯が少し変わり、1本あたり150円くらいがローエンド、200~250円が普及品、400円前後が高級品くらいの住み分けになったようだ。
シガリロ/リトルシガーだとアルカポネポケットが売れ筋で、シガレットのつもりで喫うとかなりキツい(筆者は、シガリロはシガレットの互換品だと思っているので同じように喫っている)。コイーバブランドのコイーバシガレット(紙巻フィルターつき)も似たような価格帯で、こちらは普通のシガレットっぽいキャラ。ダビドフも紙巻を出している。一時期ブラックストーンもよく見たが一過性のブームだったようだ。
プレミアムシガーの値段は本当にピンキリだが、2009年現在、キューバのトップブランド「トリニダッド」のロブストでも5000円出せば買えるし、コイーバ(キューバ)やダビドフ(ドミニカ)のコロナなら3000円を切る場合もある(数万円オーダーになるのはプレミア品だけ)。モンテクリスト(キューバ)は1000~2000円の価格帯に商品が多い。タバカレラ(フィリピン:アルタディスと合併した後買収され、現在はインペリアル傘下のはず)あたりは600~800円くらいで買えてしまうのだが、品質自体はともかく、ドライシガーでないのに(単価が安いからなのか)温度や湿度の管理がキッチリされていない場合があるので店をよく選びたい。
初めて葉巻を喫う場合、知り合いに葉巻好きの人がいるならば、その人に好みを伝えて選んでもらうとよい(銘柄選びよりも個体選びが重要)。相談できる人がいない場合はなかなか大変だが、手探りで好みの葉巻(や好みの煙草屋さん)を探していくのもまた面白い。サイズ的には、ハーフコロナ~コロナくらいが「とくに熟練しなくても喫いやすい」太さだと思う(極端なサイズは上級者向け)。
プレミアムシガーの場合はヒュミドールという保管箱を使う(humidorは保湿箱ないし保湿室のこと:日本のように多湿な国はそう多くないので、加湿だけを意図して言うことが多い)。ヒュミドールを持っていないなら、食品保管用のガラス瓶などに入れて冷暗所に保管するのがよいだろう。
乾燥しすぎると辛味が増すが、湿気りすぎるとカビが生えるので注意が必要(本当の高級品の場合、保管ではなく熟成の工程になるので、また話が変わってくる:高級品の葉巻にはあえてカビを生やしたものもあるらしい・・・)。参考までに、ケースなし葉巻の持ち帰り用に煙草店がくれるフカシロ製の紙箱(サービスのいい店だとドライシガーにもつけてくれる)には「シガーの保管は湿度70~72%温度18~20℃がベストです」と書いてある。
湿度調整用のグッズ(多くはヒュミドールで使う前提)も市販されていて、蓋つきの水皿や水を含ませた多孔質の石を使って加湿するもの、シリカゲルやプロピレングリコールを使って調湿するものなどがある。プレミアムシガーも含め、流通(少なくとも卸まで)の段階では65%程度の相対湿度(温度や湿度の変化でラッパーの割れが生じやすくなる領域ではあるが、カビが生じにくい)で保管されることが多いそうで、小売店での保管方法にもよるが、多少湿り気を補給してやった方がいいのかなという気がする。
携帯用ケースも種類が多い。葉巻を1本だけ収納する筒状のタイプはシガーチューブとかシガータブなどと呼ばれ、ごく簡易なものはちょっと高級めのドライシガーを買うとオマケでついてくることがある。ケースとしては2~3本収納のものが主流のようで、ボックスタイプのシガレットのように葉巻を並べて入れるものが多い(仕切りがついたものもある)。ペンケーススタイル(面積の広い面が天地で蓋が天開きになる)は少数派で高級品に限られる模様。
真空パックとか、竹炭(備長炭だったかも)と一緒に保存とか、イロモノな方法も聞いたことはあるが、筆者はどれも試したことがない。タバコに虫がついていることが多かった時代には、いったん冷凍するのが常套手段だったらしい。