イマドキの大会なら、なにかしらのコンピュータは使えることがほとんどだろうから、乱数出力(ないし抽選)と経過記録用のアプリは事前に用意して、ホワイトボードなんかをバックアップとして使うと効率がよいだろうと思う。デジタルでない抽選用品として、トランプが大変便利であることも付け加えておきたい。
人数別の、シングルエリミネーション(SE=単純勝ち抜き)、ダブルエリミネーション(WE=敗者復活つき勝ち抜き)、シングルラウンドロビン(SRR=総当り)、ダブルラウンドロビン(WRR=ホームアンドアウェイの総当り)の試合数。WEのみ、決勝が1試合増えることがある。5人(または5チーム)以下の場合SRRでもWEと試合数があまり変わらず、8人を超えると一気に増えるのがわかると思う(公差1の等差数列の和なので2乗のオーダー)。また予選に人数のおおむね2倍以上の試合数を費やすと、少人数多グループのSRRの方が効率がよくなる。
人数 | SE | WE | SRR | WRR |
4 | 3 | 6 | 6 | 12 |
5 | 4 | 8 | 10 | 20 |
6 | 5 | 10 | 15 | 30 |
7 | 6 | 12 | 21 | 42 |
8 | 7 | 14 | 28 | 56 |
9 | 8 | 16 | 36 | 72 |
10 | 9 | 18 | 45 | 90 |
11 | 10 | 20 | 55 | 110 |
12 | 11 | 22 | 66 | 132 |
13 | 12 | 24 | 78 | 156 |
14 | 13 | 26 | 91 | 182 |
15 | 14 | 28 | 105 | 210 |
16 | 15 | 30 | 120 | 240 |
20 | 19 | 38 | 190 | 380 |
24 | 23 | 46 | 276 | 552 |
32 | 31 | 62 | 496 | 992 |
64 | 63 | 126 | 2016 | 4032 |
1日がかりでやるにしても、おそらく午前は野試合と会場準備に当て、昼を過ぎて14時~17時くらいが予選の時間帯になるだろう(ひとまとまりの試合が3時間くらいを超えるとダレるし、時間が押した場合の調整も大掛かりになるので、このくらいが限度)。決勝は90分くらいで終わらせた方がキリがよく、表彰などを30分やって撤収開始を21時(電車の都合などがあるだろうから、撤収はあまり遅く設定しない方が無難)にすると19時開始になる。
なお、人数が4の倍数で実力が拮抗している場合、2勝で上がり2敗で脱落の変則スイス式を使うと、少ない試合数(人数の1.25倍:4人2グループSRRだと人数の1.5倍なので、差はそんなに大きくないが)で半分だけ選抜しつつ選抜者を連勝組と1敗組に分けられる。たとえば8人なら、ランダム組み合わせで4試合して、勝者同士と敗者同士でさらに試合すると、都合8試合で2人が2連勝して上がり2人が2連敗して脱落、1勝1敗が4人残るのでさらに(未対戦の相手と当たるように)2試合した勝者が1敗で上がり敗者が脱落して合計10試合になる。繰り返し選抜することもできるが、たとえば16人を20試合で8人に減らしてからさらに10試合で4人に減らすと30試合になり、4人4グループWEなら最大28試合で済むため試合数節約にならない。またちょうど4人でこれをやると5試合で4人の順位を決められる(SRRよりも1試合少なく、引き分けがないゲームなら同率にもならない)。
定期的なランキング戦などであれば16人制でスイス式とSEを折衷する案もあり、4回戦だと合計32試合で普通のWEとあまり変わらないが、試合数のバランスなどがよい。1回戦を、A(1-16)、B(8-9)、C(4-13)、D(5-12)、E(2-15)、F(7-10)、G(3-14)、H(6-11)という組み合わせで行い、2回戦は、AとB、CとD、EとF、GとH、3回戦は近いブロックと当たるように(同スコアが4人づついるので、1つの組み合わせが決まればもう1つも決まる)、4回戦は同じ成績のペアしか残らないので普通に行う(いわゆる変形スイス方式とSEの中間的やり方で、1~4位は16人SE3位決定戦ありと実質的に変わらない:13~16位も、SEの「負け抜き戦」と同様に決まるので、この4人をシード落ちにする)。勝ちをv、負けをlとしたときの序列は、lvvv(ランキング7~10位だとこうなりやすいはず)とvvll(ランキング3~6位が順当に勝ち負けを重ねると1人がこうなる)では後者の方が価値が高い(強い相手に勝っている)ため、vvvv、vvvl、vvlv、vvll、vlvv、vlvl、vllv、vlll、lvvv、lvvl、lvlv、lvll、llvv、llvl、lllv、llllと、前半の試合を重くするのがよさそう(初戦からの連勝数と連敗数が優先、同じだったら異なる部分に注目して繰り返し:勝ち抜き戦のコンセプトに近い)。または、2連勝または2連敗しなかった人の3回戦以降は行わないことにして、5~12位の8人で順位決定戦をやり、最終的な上位5~6人がSRRあたりのプレーオフに進む形も面白い(都合、勝ち抜き+負け抜き+順位決定戦+プレーオフの形になり、試合数が節約できるとともにある程度均等にもなる:予選が4人4ブロックのSEで、1回戦負けの8人で降格決定戦、5位以下を順位決定戦で決めると考えても同じこと)。
変則スイス方式を実施する場合、くじ引きの手間を少なくしたいので、対戦順はあらかじめ決めておいた方がよい。たとえば8人でやるなら、最初のくじ引きで(または直前の試合の所属グループで自動的に)A1、A2、B1、B2、C1、C2、D1、D2の番号を割り振り、アルファベットが同じ人同士で最初の試合を行い、A勝者とB勝者、C勝者とD勝者、A敗者とB敗者、C敗者とD敗者で次の試合を、AかBで先勝した1勝1敗とCかDで先敗した1勝1敗、AかBで先敗した1勝1敗とCかDで先勝した1勝1敗で最後の試合を行う、とあらかじめ決めておく(最後の組み合わせは通常のスイス方式と反対の方針だが、選抜方式としてはこの方がよい)。この例なら同じ組み合わせの試合が行われることはなく、かつどの人も全員と対戦可能性がある。しっかりやるなら、参加人数確定後すぐに抽選をして、たとえば「B1-3」などと書いたカード(「B1グループの3番」の意)を配っておき、大会中はずっとその番号を利用するのがよさそう(試合が終わるたびに、たとえば「予備予選2位、順位戦勝者」などを結果を書き込んでいくと便利)。
SEの3位決定戦は準決勝で負けた同士が行うのが普通だが、シードなしのランダム組み合わせで上位をより高い精度で決めたい場合には、決勝で敗退した人(通常の2位)と、本戦で当たっていない方の準決勝敗退者が試合をして、勝った方を2位、残りの準決勝進出者をともに暫定3位とする案もある。3位の決定については同一カード反復や巴戦の可能性もあり、そのまま2者で試合をするよりはたとえば、敗者復活の勝ち残りと暫定3位2人でプレーオフをするような形が面白そう(敗者復活戦がSEなら、2位の入れ替えがあるだけで、敗者ブロックの勝者が3位になる変則WEとほぼ同じ形になる:16人トーナメントで、1回戦敗者の勝者、2回戦敗者の勝者、暫定3位2人が順位決定戦を行うのもよさそうだが、人数が半端だとまずいことになるのと試合順が不自然になるので、大人数大会のブロック決勝などに向くか)。
人数が4の倍数で4分の1を残したい場合、4人SEなら1グループにつき3試合だが一発勝負になる。4人SRRだと6試合必要だし決着がつかない可能性もあって効率がよくない。4人WEも6or7試合かかり、決着が明快でサドンデスもないが同一カードの試合が生じる可能性があるため、SRRとの使い分けはケースによるだろう。実力に差がある前提ならステップラダー(ノーシード2人がまず試合をして、勝者と第二シードが試合をして、さらにその勝者と第一シードが試合をする勝ち抜き戦)3試合が手っ取り早く盛り上がりにも寄与すると思う。
前の項で設定した条件だと、予選に75試合、決勝に30試合(決勝は予選ほどサクサク進まないことがほとんど)くらい割り当てることができる。大雑把にいえば、6人4グループSRRの予選と8人SRRの決勝を1台で回せるくらいのスケジュールになる。
台を増やさずに捌く人数を増やすには、予選を勝ち抜きにするしかない。75試合ということは、8人8グループSEくらいなら回るということである(実際筆者は、1996年にこの規模(参加総数はたしか68人)の試合をこの程度の時間で回したことがある:当時は1試合2.5分の見当で、16人の勝ち抜きブロックを各40分で捌くつもりでいたところ、手違いで4人増えた、のだったと思う)。
しかし実際のところ、予選が8人8グループSEというのはいかにも荒っぽい。大規模にやる場合、やはり予選だけは2台で回さないとラチがあかないと思う。いっぽう30人くらいの規模なら、予選を2段階に分けることで、1台回しでもけっこうきめ細かい予選ができる。
たとえば4つのグループで「1~4位が確定する」予備予選を行い、各グループの1位4人を本予選進出者にする。ついで2位4人同士で都合2試合、3位4人同士で2試合、4位4人同士で2試合を行い、2位戦の勝者を決勝進出者に、4位戦の敗者は脱落とする。そのうえで、2位戦の敗者と3位戦の勝者をシードして4人2グループSEの復活予選を行い、各グループの優勝者を決勝に進出させる(ここまでで都合12試合)。もっと明快にやるならステップラダー(6試合)で8人を2人に絞ってもよいし、もっと入念にやるなら順位戦をSRRや変則スイス式にしてもよい(試合数と相談)。
この方式は、ブロックを横断することができるため、実力者を本戦に拾いやすい利点がある。要点は「60試合前後の予備予選で4グループの1~4位を決定する」ことなので、参加者が20名程度なら予備予選を5人4グループSRRで行う(予備予選50試合と順位戦6試合と復活予選で6試合で計62試合)など、人数が多少変動しても応用がきく。予備予選1位通過者の試合数が少なく、やや物足りない人もいるかもしれないが、1位通過者も順位戦を行ってシード位置決定に使う手がある(他の順位戦を入念にやる場合でも、1位通過者だけは2試合か、多くても4試合(SE3位決定戦あり)でよいと思う)。もっと小規模に16人くらいの参加者でも、予備予選を4人4グループSE3位決定戦ありにしておいて順位戦を簡易に行えば、予備予選16試合+順位戦6試合+復活予選6試合の合計28試合で予選が終わり、決勝を8人WEにすればプラス14or15試合で全体が42or43試合になる。大規模大会のブロック予選にどうかなといったところ。
手順を抽象化すると、順位が決まり脱落者が少ない方法で予備予選を行い、順位戦でグループ分けのばらつきを均し、少人数の優先通過者と事前脱落者を選別し、残りでシードされた勝ち抜き線を行い本戦に復活させることになる。人数やコンセプトによっては、順位戦のあと復活予選を行わず、直接ブロック決勝を行う形もあり得る。また、優先通過は1位勝者だけにして、復活予選経由で決勝に進む人数を増やす案もあり、こちらの方がよりきめ細かい予選になるはずなのだが、どうしても試合数がかさむし観戦時間も長くなる。できるなら、総当たり戦は6人、勝ち抜き戦は8人ぐらいまでを1グループにできると試合間隔を保てる。また予選では、できるだけ同じ対戦カードが生じないようにすべきである。決勝ブロックの終盤なら再戦も面白いが、キャラ差のある組み合わせで同じ相手に2回負けて予選敗退、などというのはちょっと寂しい。
7人以下なら、SRRかWRRで予選を行って、上位3人でプレーオフ(ステップラダーとか)のような形の方がスッキリすると思う。決勝も2試合先取など複数試合を組む手がある。
8人以上の参加者がいるなら、予選を2グループSRRで行い、順位で足切り&シードすればよい。16人でも、8人SRR28試合+8人SRR28試合+決勝8人WE14or15試合で70試合ちょっと。
16~24人なら、SRRでも最大6人4グループの60試合なので、順位戦6試合と復活予選6試合を足しても計72試合。23人なら予備予選が5試合減って予選全体が67試合になるため、ムリをすれば決勝まで一気にできなくもなさそうな感じ。20人くらいだとラクなのだが。
24人くらいまで規模がふくれると、4グループでの総当りは試合数が多くなる。ちょっと荒くなるが、8グループで予備予選をやって上位2人を選抜、8人2グループWEで本予選を行うのがよさそう。計32人の場合で予備予選が4人8グループSRRになり48試合、本予選が8人2グループWEということは30試合で合計78試合、状況により決勝戦を省けば(決勝進出者4人をくじ引きで決勝のシード位置につければ)イケるだろう。予選を2台で回せば、予備予選で3位まで残し順位戦を変則スイス式でやるパターン(32人参加で予選100試合ちょっと)でも決勝まで一気にできるはず。
参加者が大きく増えると、ある程度の押し込みが必要になってくる。56人で予備予選を7人8グループSRRにするとそれだけで168試合になり、2台回しでもこれ以上はちょっと厳しい。8人8グループWEなら112試合に収まるので、8人グループから先に試合をして4位を次のグループの欠員補充にするなど、なにかしらの工夫が必要だろう。もちろん、先に触れた16人ブロックの予選(64人で170試合前後)も選択肢になる。本予選から決勝までを一気に行うことになるだろうから、決勝は少人数でのプレーオフなどがよさそう(予備予選3位までが参加するステップラダー(16試合)で8人まで減らし、変則スイス式(10試合)で半数にして、4人SE(3試合)で決勝とか)。
筆者の好みに過ぎないが、予選は慎重に、本戦は豪快に進めるデザインだと好戦を演出しやすいように思う。とくに予備予選は、順位戦の振り分けを決めるだけか、総当りで多めの人数を残す形式が望ましいと思う。人数が多い場合には妥協が必要で、できるだけ慎重な予備予選から、いったん荒っぽい選抜を経て、また少し念を入れて人数を絞り、最後は少人数での一発勝負という形がドラマチックだと思う(実力者の拾い出し>ある程度の番狂わせ>地力勝負>決戦、といった展開を期待している:実力者が予選でアッサリ消えてしまうのはもったいないが、決勝が始まったら、何人か波乱に呑まれても盛り上がりにつながる)。
筆者ならこうするかもな、という例をいくつか。
7人以下なら、人数によりSRRかWRRをやって上位3人でステップラダー式のプレーオフ。その後ひたすら野試合。少人数ならリクエストマッチなんかも面白そう。
16人規模なら、参加16人を境に2グループか4グループのSRRをやり、グループ上位4人を選抜する。2グループでやったならそのまま8人WE、4グループでやったなら普通に順位戦(1位4人と2位勝者2人が上がり、4位敗者2人が敗退)と復活予選をやり、やはり8人WEでさっさと決着をつける。このくらいの人数だと、決勝にはダラダラ時間をかけない方がよい。1台だと野試合は回りが悪そうなので、余った時間は団体戦とか全試合別キャラ戦とか優勝者vs残り全員戦とか、変則的なことをやって遊ぶ。すでに触れたように事前の抽選で、A1-1、A1-2、A1-3、A1-4、A2-1、A2-2、A2-3、A2-4、B1-1、B1-2、B1-3、B1-4、B2-1、B2-2、B2-3、B2-4などと書いたカード(「たとえばB1-3」は「B1グループの3番」の意))を抽選しておいて、順位戦はA1とA2、B1とB2の組み合わせから始めてAの勝者とBの勝者を当てると進行がラク。ステップラダーの復活予選でも、Aの2位敗者とBの3位勝者とAの3位敗者とBの4位勝者、Bの2位敗者とAの3位勝者とBの3位敗者とAの4位勝者を同じグループに入れる案があるが、もっと素直に、2位1勝敗者と3位1敗勝者と3位1勝敗者と4位1敗勝者、2位連敗者と3位連勝者と3位連敗者と4位連勝者にしてもよいだろう。
32人規模で1台回しなら、予備予選は4人8グループSRR(48試合)でやり、順位戦を変則スイス式(30試合)でやって1位戦勝者が上がり3位戦敗者が脱落するところまで前半の時間でやり78試合。決勝ブロック前に復活予選をステップラダー(1位敗者、2位勝者、2位敗者と3位勝者の順にシード)でやって12試合、決勝ブロックはシンプルに8人WEを14試合やればだいたい時間通りか。人数が多い場合、順位戦を簡易にやれば18試合、2位戦をやらずにくじ引きだけにすればさらに4試合減らせる(予備予選での消化試合省略なども適宜行う)。初戦が4人SRRなので24人までなら人数が減っても問題ない。反対に52人でも予備予選は144試合で終わるので、2台ならけっこうムチャができる。もし時間が押したら、順位戦8試合+復活予選12試合を決勝ブロック前に2台回しでやっつければよい(決勝の準備がけっこう慌しくなるので、可能なら、順位戦までは終わらせておいた方がよい)。試合数に余裕があるなら、復活予選を8人2グループWE決勝省略でやるとさらにきめ細かい予選にできる(その分待ち時間が延びるのでコンセプト次第)。
64人規模なら、筆者はやはり4ブロック式がよいと思う。予選ブロックは、予備予選4人4グループSE3位決定戦あり(16試合)+簡易な順位戦(6試合:1位と2位勝者が上がり、4位敗者が脱落)+復活予選4人2グループステップラダー(6試合)の合計28試合。ブロック決勝は8人WE(14or15試合)で合計42or43試合。4ブロックあるのでやや厳しい数字だが、1時間くらいで回せればなんとかなるだろう(ムリそうなら、ブロック決勝だけ別の時間枠で一気にやる案もある)。決勝ブロックはまず予選1~4位(同じブロックから通過した人同士が当たらないようにシード)によるステップラダー(12試合)で8人に絞り、変則スイス式(10試合)で半数にして、4人SE3位決定戦あり(4試合:連勝で抜けた人をシードする)でシメると合計が26試合になる。参加者数が少ない場合予備予選を3人でやるグループを1ブロックに2つまで作り(というか全戦不戦敗の架空の参加者を8人まで用意できる)、4位戦の足切りで調整すればよい。それでも足りなければブロック決勝を4位スライド式(減った試合数の分で1位の順位戦もやり、順位が高いグループを8人にする)にすればもう3人減っても大丈夫なので、都合53人いれば予定通り試合を組める。もし3台とか4台で回せるなら、予備予選をSRRにして順位戦もちゃんと行い、復活予選は1位敗者~3位勝者のステップラダーにできる(予備予選4位と3位敗者を切り捨てられるのはSRRになった恩恵:参加人数の増加にもある程度耐えられる)。
もう少しざっくりした、カジュアルイベント向けのやり方も考えてみたい。まず、8~16人ならダブルエリミネーションが断然よい、というところから考えるのが手っ取り早い。8or16人ちょうどならスイス式系も可能だが、人数が読めないことが多いだろうし、やはり手間がかかる。8人ならSRRでやれなくもないが、消化試合が増えないように順位確定をスケジュールするのが大変だし人数が偶数なので順位決定がメンドクサイ(まだしも変形スイス式だろうと思う)。6or7人のとき、とくに7人のときはとても悩ましいが、頑張って募っても参加者を確保できなければ、総当りで構わないと思う(このページの冒頭の表で示したが、7人SRRの試合数は21で、12人WEよりも少ない:ただ、6人SRRだと順位決めの煩雑さは残る)。またスケジュールを管理するうえで、8~10人のWEは意外と試合数が少ない(14~18試合)ことに注意したい。
人数が多い場合の時間効率を考えるときは、5人SRRとWEの人数/時間効率が同じであることに注目して欲しい(どちらも試合数が人数の倍程度になる)。たとえば30人程度の参加者がいるとき、まとめてワンブロックのWEでも5人6グループのSRRでも試合数は同程度、SRRを採用したときはプラスで決勝の時間がかかる。4人8グループのSRRなら決勝をWEにしてもワンブロックWEと同じくらいの試合数で収まる。筆者としては、4人以下なら大会はやめて延々野試合、5人ならWRR、6~7人ならSRR、8~16人ならWEで時間があれば少し凝った敗者復活(後で触れる)、17~23人なら4グループSSRから予選勝者4人で決勝(グループリーグ2位に涙を飲ませるのが乱暴なら、違う組の1・2・3位でステップラダー)、24~30人なら6グループでやって2位から2人復活させ8人で決勝、と決め打ちしてしまうのがよさそうに思う。グループ分けが悩ましいが、くじ引き順に自分でポットを選ぶ方式が、結局効率がいいんじゃないか。露骨なキャラ被せ(も面白みのひとつになると思うけど)をどうしても避けたいなら、全員をいったん割り振ったあとで希望者はくじ引き再振り分けができることにしてもよい。くじで元のポットに戻ってしまった人は素直に泣き寝入りしてもらう。
16人近いくらいの人数なら、トリプルイリミネーション的なやり方も比較的簡単に実現できる。まず普通の勝ち抜きトーナメント(これを無敗トーナメントとする)を行い、ダブルイリミネーションと同様に敗者同士のトーナメントも組む(これを1敗トーナメントとしよう)。普通のダブルイリミネーションと違うのは、1敗トーナメント勝者が直接決勝に進むのではなく、予選2位の扱いになること。こうして、予選1位が無敗、予選2位が1敗、ほかは全員2敗という条件になり、全員が最低2試合を消化できる。さらに、2連敗した人と1勝2敗の人(16人参加なら各4人いるはず)でダブルイリミネーション(敗者も優勝可能な通常のもの)を行い勝者を予選4位に、それ以外の2敗者でシングルイリミネーションを行い勝者を予選3位にする。決勝はステップラダーにして、3位と4位の勝者が2位と対戦、その勝者が1位と対戦して優勝を決める。16人参加の場合、無敗トーナメントが15試合、1敗トーナメントが14試合、2敗トーナメントが5試合、敗者復活が14試合、決勝が3試合、合計51試合で、全員が少なくとも4試合こなせる(4連敗した2人でブービー決めをやれば、最低試合数は5になるはず)。4位決めをダブルイリミネーションにしているのは単に試合数確保のためで、時間がなければシングルにしてもまったく構わない。勝ち抜き戦をやると、半数の参加者が少ない試合数になることに注目して、その人たちの試合数を確保しつつ決勝に進むチャンスも付加するのが狙い。とくに、トップレベルと第2集団の力量に差があるとき、第2集団からも決勝進出者を出した方が盛り上がると思う。
シングル-シングルの2on2は、アーケードの対戦ゲームなんかでは一般的な方式なのだが、デザインが難しい。たとえば、AとBがチーム、aとbがチームを組んで、ABチーム対abチームで勝負をする場合、試合の組み合わせはA対a、A対b、B対a、B対bの4通りに限られるわけで、これらをどう配置して勝敗を決めるかがデザインのキモになる(以下このABチーム対abチームの構図を説明に用いる)。
もっとも素朴な勝ち抜き戦(負け抜け勝ち残りで先に全員1敗したチームの負け)は、進行が早いのが特徴。最小2試合最大3試合が確定しているので時間管理がしやすい反面、チーム戦らしさが薄いというか、飛びぬけた能力の選手が所属するチームがそれだけで勝ってしまうことになりやすい(メリットにもデメリットにもなり得ると思う)。また相性の問題(プレイヤーの相性なり、いわゆるキャラ差なり)があった場合の吸収効果が小さい。たとえば、Aはaにまったく勝てず、それ以外の組み合わせは勝率1/2、という極端なケースを考えると、細かい計算は省くがABチームの勝率は1/4になる(初戦がB対aになるパターンのみ3/8だが、abチームの側で避けられるので起こり得ない:Bがaに勝ちさえすればキャラ被せは防げるし、負けたら必ず被せられる)。
勝ち抜き戦の反対で負け残り戦というのも活用したいのだが、先鋒が連敗して終了というパターンは興醒めなので避けたい。いろいろ検討してみた結果、3勝決着で、先鋒は相手に知らせずオーダーを同時提出、試合に負けたチームが次の出場者を選んでから、勝ったチームが次の出場者を選ぶ、ただし2勝した選手は競技から取り除かれ、また直前の試合と同じ組み合わせになることが確定する選手選択はできない、という方式が有望そうだった。非常に強いプレイヤーが無敗で2勝したとしても、パートナーが3敗すると負ける方式で、いわゆるキャラ被せはほぼ確実にできるものの、挽回のチャンスもそれなりにある。上の例のように極端すぎる相性は補正できないが、A対aの1試合ごとの勝率が30%で2試合こなすと、Aの2連勝は9%、1勝1敗が42%、aの2連勝は49%で、Aも「連敗はしない」という現実的な目標を持てる。もちろん、ABチームはA対aが2試合になるのを避けたいはずだからBの出番を極力後に回すとか、abチームは早い試合でBとaを当てたくない(勝ってもA対aの最大数が1回減るから)とか、細かい駆け引きはいろいろあると思う(どういう作戦でどういう勝率になるか、詳細には検証していない)。
もうひとつの素朴な考えである星取り戦(オーダー順に1人1戦して、合計勝数の多いチームが勝ち)は、人数が2人であることを考えると単純には実施できない。すぐに考え付くのは2戦めまで事前オーダー制にして「第3試合は初戦で負けた人同士」というもの。シンプルではあるがこれはこれで味わいがあり、参加者の実力が拮抗しているときに、広めに決勝に上げるタイプの(落とすタイプでない)予選に使うとマッチしそう(時間も勝ち抜き戦と同程度に短く読みやすい)。連敗者はけっこうヘコみそうなやり方なので、知らない人と組む前提のイベントには使いにくいだろう。
ここまでに出てきたやり方をいろいろ組み合わせて筆者がデッチ上げたのが、相手チームの1人を互いに「ターゲット」に指名し、もう1人を「ハンター」にする方式(ハンター・ターゲット方式、略してハンタゲ式と命名)。ようするに、試合ごとの重みが均等だから組み合わせ数4という2on2の制限がネックになるわけで、意図的に重要度を変えた試合を設定しよう、というのが骨子。まず両チームのハンターとターゲットを組み合わせて2試合、ターゲット同士で1試合、合計3試合を組む。ここで3連勝したチームがあれば、そのチームを勝ちとする。決着がつかない場合、必ず2勝1敗チームvs1勝2敗チームという形になる(引き分けのあるゲームなら再試合をして勝敗を確定させる)。ハンター同士の試合を行い、2勝チームがさらに勝てば、そのチームの勝ちとする。双方2勝2敗になった場合は代表戦を行うが、リーグ戦などで引き分けがあってもよい場合は、4試合消化した時点で序列(というか勝ち点の評価)をつけることもできる。一番価値が高いのはもちろん3連勝で、その次が3勝1敗、この2つは文句なしの「勝ち」として扱える。2勝2敗は引き分け相当だが、ターゲットが2勝しての引き分けはやや価値が高い。これを基準に勝ち点を設定すればよろしかろう(3連勝が5.1点、3勝1敗が4点、ターゲット連勝の引き分けが2点、普通の引き分けが1.5点、とかそんな感じ)。オプションルールとして、2勝2敗から代表戦を行う場合で、もし2勝しているターゲットがいるときは、そのプレイヤーが所属するチームが両方の代表を選べる。2勝したターゲットがいない場合、先に2敗したチームが両方の代表を指名できるが、先に2勝したチームが片方の代表者を変更できる(しなくてもよい)。参加者間で実力の開きが大きい場合や、キャラ差の大きいゲームにどうかなと思う。
キャラ差が均されやすく人も集めやすい3on3は、やはりアーケードの対戦ゲームなんかで一般的だが、ここにも勝ち抜け負け残りのアイディアを取り入れてみたい。手順自体は通常の勝ち抜き戦と同じだが、2勝したプレイヤーは試合から除外し、2勝する前に1敗したプレイヤーはチーム全員が2勝または1敗した後チームが望む順番で試合に復帰できる(トランプなどを使い、出場者は同時に申告する)。バランス的には先に4勝したチームを勝者にするのが無難だろう(5勝決着なら総当りでよいわけだし)。星取り戦ほどはオーダーに左右されず、勝ち抜き戦よりも展開が読めない感じになるはず(勝ち逃げ式と命名:フェンシングの団体戦みたいなフィールを導入したかった)。さらなる変形案として、初戦の出場者のみあらかじめ決め(相手チームが選ぶ形がいいかな)、勝った方が先に次戦の出場者を決定、負けた方が後から次戦の出場者を決定する方式(ただしどちらのチームも同じプレイヤーに連戦させることはできない)を繰り返し、全員が1勝以上かつ1人が2勝以上になるまで続けるというのも面白そう(1勝ノルマ式と命名)。戦略性はそんなに高くないがルールは単純だし、相手の勝利を妨げるためすでに2勝しているエースをあえて出すという作戦が可能(やりすぎだと感じるなら、3勝したら試合から除外としてもよい)。
お次は星取りの拡張バージョン。まず普通に星取り戦を行い、3連勝したチームがあれば勝者とし、決着がつかない場合に必ず2勝1敗チームvs1勝2敗チームが残り、以後4勝を勝利ラインにする、というところはハンタゲ式の2on2と同じ発想。決着がつかなかったら、2勝したチームの勝利プレイヤー2人と、2敗したチームの敗北プレイヤー2人が、まだ対戦していない組み合わせで試合をする(予選リーグとかであればここで勝ち点を割り振って終わらせてもよい:3連勝5点、4勝1敗4点、3勝2敗2点、2勝3敗1点くらいかな)。まだ決着がつかない場合は、勝ちが先行しているチーム(必ず3勝2敗になっている)の試合数が少ないプレイヤー(1試合しかしていない)が第6試合に出場し、負けが先行しているチーム(当然、必ず2勝3敗になっている)は同一カードにならないプレイヤー2人のうち好きな方を選べる。第7試合までもつれたら反対の手順で、1試合しかこなしていないプレイヤーがまず出場者になり、そのプレイヤーと対戦していないプレイヤーのうち所属チームが望む方が対戦相手になる。試合数が3~7で時間が読みにくいが、チームの総合力が問われる対戦形式だと思う。
ハンタゲ式は3on3にも応用できる。ここでは「全員1勝1人2勝方式」と折衷した、同一カードの繰り返しを許さない(=ひとり最大3戦までの)4勝制のものを紹介したい。まず相手チームの選手1人を選んで「ハンター」(序列1)に指名、残る2人を自分のチームで「シニアターゲット」(序列2)と「ジュニアターゲット」(序列3)に割り振る。最初の4戦は「ハンターとターゲット」の組み合わせ(順番はテキトーでよい)で、4連勝したチームがあればそこで終了。5戦めは、もし未勝利の選手同士の対戦が可能ならその組み合わせ、両チームに未勝利選手が2人いる場合は序列の高い選手(両チームのハンターが2連勝した場合にしか生じないので、ようするにシニアターゲット)同士の対戦とする。6戦めは負け残り(ターゲットなら個人で3戦めなので相手は確定している)だが、ハンターが全敗してしまったチームはシニアターゲットが代役を務める。3勝3敗までもつれこんだら、追いついたチームが残る3カードのうち好きな組み合わせを選んで最終戦を行う。最初の4戦で決着がつかず、かつ全員1勝したチームがあるのは、3勝1敗でハンターが負けているパターンのみになる。このときは、3勝したチームからジュニアターゲット、シニアターゲット、ハンターの順に出場させ、3敗したチームが選んだ相手と試合を行う。
人数が3人なら、総当りも現実的な選択肢になる。全部消化しても9試合と大した数ではなく、しかも奇数なので5勝した方が必ず勝ち、チームの総合力も十分に反映でき、なによりわかりやすく納得感が大きい。ただこの場合、チーム内同キャラはなにかしら制限しておかないと、天敵キャラが複数いたプレイヤーが悲惨な目にあってしまう。また全試合消化できる(最終戦までに4勝4敗で並ぶ)ことは稀なはずで、試合順の調整にも課題がある。
筆者が一番注目しているのは、勝ち点式に倍率をかける方法(バイバイ式と命名)。準備としてまず、相手チームのプレイヤーに序列(ランク)を設定し、互いに通知する。そのうえで星取り戦か総当たり戦を行うのだが、1試合あたりの基本勝ち点が4、1ランク上の選手に勝つと勝ち点2倍、2ランク上なら4倍、1ランク下なら2分の1、2ランク下なら4分の1になる。星取り戦の場合は、1人最大2試合までの5戦(もちろん、オーダーは相手に知らせずに組む)で、同点なら試合数が少ないプレイヤー同士の代表戦というのがピッタリとハマる(ガチめのイベントなら完全自由でもいいが、ランク3のプレイヤーは代表にできない(本戦に必ず2試合出場)縛りを設けてもよい)。もう少しはっちゃけた設定にしたい場合は、ランク1のプレイヤーは8点、ランク2のプレイヤーは10点、ランク3のプレイヤーは12点くらいの基礎点を与えて、試合ごとに出場する選手2人の基礎点の合計を基本勝ち点にする方法もある(先に紹介したやり方は、全員の基礎点が2点のときと同義)。たとえば、ランク2で10点持ちの選手がランク1で8点持ちの選手に勝ったときは、10+8で18点が基本勝ち点、ランクの倍率2を掛けて、最終的に得る勝ち点は36点になる。
思うに、本当にガチるならシングル戦をやればいいわけで、2on2とか3on3というのはイベント的な性格が強い傾向があるわけだから、多少大味になっても波乱の要素があった方が盛り上がるのではないかと思う。
ラウンド数が多いとキャラ差をひっくり返すのがツラくなるのは一般に知られていることだが、それがどの程度の影響を持つのか計算してみたい。
勝率がもし1:2(33%)で引き分けなしだと、1ラウンドだけの一発勝負では当然1:2の勝ち負けになる。2本先取だと、連勝が9分の1、1勝1敗が9分の4でその後の勝率も1:2だから、全体の勝率は7:20(25.9%)になる。一般化すると、ラウンドごとの勝率がn(ただし0<n<1)のとき2本先取での全体の勝率は、n^2 + 2n(1 - n)n = -2n^3 + 3n^2 = n^2(-2n + 3)になる。
これが3本先取になると、3連勝が27分の1、2勝1敗が27分の6でそこから4ラウンド目勝利が3分の1+5ラウンド目勝利が9分の2、1勝2敗が27分の12でそこから2連勝するのは9分の1、というのを合計すると、全体の勝率は51:192(21%)になる。同様に一般化すると、n^3 + 3n^2(1 - n)n + 3n^2(1 - n)(1 - n)n + 3n(1 - n)^2*n^2 = 6n^5 - 15n^4 + 10n^3 = n^3(6n^2 -15n + 10)になる。3連敗が27分の8(29.6%)もあるのはちょっと意外かも知れない(勝率1:1なら3連敗は8分の1=12.5%)。
一般化した式をグラフにするとこんな感じ。
座標(0,0)と(1,1)に極値を持つ対称なグラフで、次数が膨れると両端の値が端に寄る。どういうことかというと、互角近い組み合わせでは勝率があまり影響を受けないが、片方が厳しい組み合わせ(勝てないことはないが勝ち越すのが難しい組み合わせ)ではより極端にキャラ差が出る。
だいたいの計算として、ラウンド単位で3回に1回勝てる相手なら、2本先取だと4回に1回、3本先取だと5回に1回くらい勝てる。これに対してラウンド単位で5回に1回勝てる相手なら、2本先取だと10回に1回、3本先取だと17回に1回くらいしか勝てない。実際には、ラウンドが増えると引き分け(勝率が悪い側が苦しくなる)が増えるため、上記よりもう少し差が開くと思われる。
上記は1回開催の大会の例だったが、定期的なランキング大会についても考えてみた。たとえばこんなデザインはどうだろうか。ランキングは毎回リセットして、直前の大会の成績のみを反映する前提(前々回のポイントの半分とその前のポイントの1/4くらいの持ち越しはアリかもしれない)。
まず本戦出場者を序列つきで16人(1位~16位)選ぶ。1回戦の組み合わせはランキング最上位者が最下位者と当たるように、つまり1位と16位、2位と15位、3位と14位・・・8位と9位で組む。1回戦の勝者は8ポイントを得る。2回戦は1回戦の勝者同士と敗者同士(どちらも8人)で行う。これもランキング最上位者が最下位者と当たるように配置し、勝者は4ポイントを得る。3回戦は連勝者、勝ち負け、負け勝ち、連敗者(いずれも4人)同士が同様に行い、勝者は2ポイントを得る。4回戦も同じ戦績の人同士(2人しかいない)で行い、勝者は1ポイントを得る。こうして最終的に得たポイントの順で新しいランキングを決定する。
この方式のメリットとして、全員が4試合を消化でき(勝ち抜き戦のように負けたら終わりではない)、順位が明確で(引き分けを再試合にすれば一意)、大会が進むにつれて接戦のカードが増える。デメリットとして、1回戦に実力差の大きいカードが増えるが、獲得ポイントが大きいため、上位者の緊張感と下位者の希望を保つ効果があるのではないか(中位者はずっと接戦になるはず)。同時進行で次のトーナメントの参加者決定戦(前回成績下位者を加えた入れ替え戦)を行って、下位リーグのように扱うことも可能だと思う。
これを(たとえば)毎月やって、優勝経験者(どんなに波乱があっても最大11人しかいない前提)を合計ポイント順にシード、それ以外の中からやはりポイント順に人数を合わせて、チャンピオン大会みたいなものをまた16人(なり24人なり)でやり、年間チャンピオンみたいなものを決められたら面白そうなのだが。
トーナメント的な一発勝負の面白さを離れて、個々の実力をじっくりと発揮し合おうと考えるなら、やはり繰り返し対戦の長期リーグということになるだろう。この形式がアーケードゲームに適するとはちょっと考えにくい(キャラ差出すぎちゃうし)のだが、たとえばこんなことも考えられはする、という案を紹介したい。
具体的な話の前に他のゲームにおける大規模リーグ戦について見てみよう。2024年現在、日本のプロ野球(NPB)は6チームのリーグが2つあり、以前は他の5球団と26(ホーム13+アウェイ13)試合して合計130試合だったのが、交流戦導入で5球団25試合(=120試合)+交流戦24試合=合計144試合に、その後通常のリーグ戦125試合+交流戦18試合の143試合になった。メジャー(MLB)のレギュラーシーズンでは、同リーグ同地区の4チームと19試合(=76試合)+同リーグ他地区の10チームと6or7試合(=66試合)+インターリーグ(交流戦)で6チームと3or4試合(20試合)=合計162試合になっている。いっぽうサッカーのJリーグはカテゴリ制で、18チームがホームアンドアウェーで1試合づつ対戦し、合計34試合を行う。野球と違い毎日ではなく毎週の開催なので、試合数はぐっと少ない。
ではアーケードの対戦ゲームではどういうパターンがあり得るか。これもサッカーと同様、毎日開催というのはまったく不可能なので、せいぜい毎週か、より現実的には月に1回+臨時で数回くらいのペースになろう。1台2時間で50試合回せる想定なら、開催1回あたりでSRRを、5人リーグなら5回、6人なら3回ちょい、7人なら2回半、8人なら2回にちょっと足りないくらい回せる。これはとても微妙な数字で、8人でホームアンドアウェイ(というか1P2P入れ替え制)のリーグ戦をすると、それだけで2時間ちょっとかかる計算になり、いっぽうキャラ差なんかを考慮すると5人とかではちょっと少なすぎる。
実力差をしっかり反映させるために、同じ相手との対戦回数は10回程度確保したいし、合計試合数は100試合ないしホームアウェイ各100試合くらい欲しい(数学的な根拠は薄いのだが、いちおう、60勝40敗とか9勝1敗が「95%の確率で他の人より強い」と(援用の仕方が強引で大いに語弊があるけど)いえるボーダーラインになっている:択一ゲームの確率のページのオマケを参照)。もし8人リーグでホームアンドアウェイのリーグ戦を年に15回実施できるなら、1人の相手と1P側で15回+2P側で15回=合計210試合できることになり、試合数としては足りる。数だけ見れば足りるのだが、年15回開催のリーグ戦に8人が皆勤できるなんてことは想定しにくい。
としたら、リーグ戦を独立で開催するのではなく、野試合の形式で結果だけ記録するような形式(ようするにネットワーク対戦ゲームの「戦績」記録みたいなノリ:ただしマッチングの偏りを均すなどそれなりの工夫は必要)にしかならないのではないか。たとえばだが、8人の選手に(時間が合わない人なんかもいて簡単ではないだろうが、たとえば月2回くらいでイベントをやって人を集めるような格好にするとか、何かしら工夫して)「毎月他の7人とリーグ戦用の試合をホームアンドアウェイでやってくれ」とする方が、月に1回日程を決めて「この日に全員来てくれ」とするよりは負担が少なそうに思える。