居飛車入門の手前まで

いろいろな戦形があることを前のページで紹介したが、ここでは、自分が矢倉を志向した場合の実際の手順について触れてみたい。

序盤を「とりあえず」把握しておく

基本はやっぱり船囲いと美濃囲い。盤反転(左下のチェックボックス)機能も使ってそれぞれの組み方を眺めてみよう。

これらの囲いの優秀さは、やはり速さと発展性だろう。無理に組んで潰されることはあっても、組めずに負けることはほとんどない(皆無ではないが)。他のサンプルと重複しないように(というかシリーズものとして作ってから分解したため)居飛車が飛車先を遅くまで伸ばしきらない例を取り上げているが、特別な狙いがないのなら(向かい飛車の含みが消えた時点で)さっさと決めてしまうのがわかりやすい(どうせ相手の角上がりを強制して手数の交換になるだけだし)。

相矢倉を指そうと思ったときに現れる序盤について、初手から順にメジャーな分岐を追ってみたものも紹介しておく。

これらの手順を(そのうち理解することにはなるが)最初から全部把握しておこうとするのはムリなので、とりあえず眺めておくだけでよい。

上記の手順を検討して筆者が指しやすそうだと思ったものをまとめた総合アンチョコ集。

奇襲対策がとんでもなく長くなったので、待てない人はkisyu.kifを直接ダウンロードしてローカルで読んで欲しい。Kifu for Windowsなんかは、ローカルアプリだけあってたいへん速い。フラ盤の表示が好きで待ちたい人は、IEだと「中止」を「いいえ」、Firefoxだと「実行中止」を「キャンセル」して「待機」、Chromeだと「中止」を「キャンセル」とか、多分そんな感じ(kifファイルがグダグダに長いのは筆者のせいかもしれないが、ブラウザの表示が意味不明なのは筆者のせいではない)。

初心者の自覚がある間は、先手番横歩取り、後手番角換わり、相穴熊くらいは避けてもよろしかろうと思うのだが、居飛車の将棋は特定の戦形を避けていると強く指せない。戦形を誘導する順は、あくまで自信がない間のつなぎだと思って欲しい。後手番の相掛かりについては横歩取りにしようと思わなければ普通の急戦なので、わざわざ避けるようなものでもない(が、先手に主導権を握られるので、自分から横歩取りにしたくなるかもしれない)。なお話が矛盾するようだが、相掛かりに慣れておくと先手振りに相振り飛車で対抗するのが少しラクになる(感覚は違うが殴り合いになるのは一緒なので)。

現実的な問題として、相掛かりや穴熊が指せるといわゆる「ハメ手」をいくつか無効化できる、というか、指せないと受けにくい形もある。初心者の間に、横歩取りや相穴熊で完封されるのとハメ手に引っ掛けられるのとでどちらが多いかというと多分後者が多く、横歩取りや相穴熊自体はちゃんと指せば十分勝てる形である。相手が無駄な動きをしたら、その間に飛車先を(角交換から3三角打などにハマらないように注意しながら)交換して金開きなり中原囲いなり、または状況に応じた形の穴熊にしてしまえば悪くはならない。「飛車先を切って中住まい」というのは居飛車最強の構えの1つで、だから相掛かりは先後が似た形になるのだし、穴熊が強力な陣形なのは論を待たない。とくに後手番なら先手が何をやっても2手目8四歩という決め打ちは、ハメ手が嫌いな居飛車党にはうってつけの対応である(5手爆弾など変則手順がないではないが、数はぐっと減る:kifファイルを参照)。相手が振り飛車で早めに飛車先を決めると向かい飛車にされる順があるが、飛車交換できない形で飛車をぶつけられる先手振りの場合が面倒なだけで、後手の向かい飛車なら角で飛車先を切っても悪形(飛車の間に角が入る)になる。

上記で紹介している3手目4八銀の順は相手が居飛車だった場合の変則銀換わりがライバルなので、相掛かりよりそちらが指しやすいというのであれば候補になるだろう。中飛車に対しても比較的普通に指せるが丸山ワクチンなどは使えなくなるのでそのつもりで。先手振りに出る順はごく順当だが、振り飛車に慣れた人相手に相振りになるくらいなら、相掛かりの方がまだ指しやすくないかという疑問が残る。横歩取りで後手に好き放題されないための対策案(ただし素人考え)は次のページで紹介している。

序盤と定跡についてもう少し

将棋世界の2009年の企画で、トッププロ4人と若手プロ4人で半香落ちを指すというものがあったらしい。詳細についてウェブでも紹介している方がいるので参照してもらうとして、結果は香落ちが下手の全勝で平手が1勝3敗(ただし、リンク先にもあるように、香落ちの上手は振り飛車が原則なので、普段振り飛車を指さない人にはやりにくさがあるし、香落ち自体をどれだけ好んで指しているかでも差がつくと思われる)。参加したプロのコメントを総合すると「ハンデはあるが小さく、現状で下手必勝とは言い切れない」ということらしい。いっぽう角落ちはかなり大きなハンデで、プロ棋士が女流の棋戦に混じる場合や企画でアマチュアと指す場合などに採用されることがあるが、上手が勝つことがけっこうある。「角落ちくらいの劣勢」からでも、プロとトップアマや女流プロくらいの差があればひっくり返ってしまうことがあるのだろう。なお2013年現在、里見香奈女流プロが奨励会三段昇段に昇格した唯一の例であること、いわゆる「トップアマチュア」には奨励会三段経験者がゴロゴロいる(というか構成主体になっている)ことから、女流のトップ層はアマチュアのトップ層よりもやや薄いくらいと思われる(一応断っておくが、女流だから弱いだろうと言っているのではなく、3段リーグに上がれた人の方が上がれなかった人よりは強いだろうというだけで、3段リーグで勝ちさえすれば性別がどっちでも「棋士」である:現在はフリークラスからの昇格もあり、3段リーグが絶対ではなくなったようだが)。

話を戻そう。上の例で何が言いたいのかというと、プロは序盤で「香落ちくらいの劣勢になる手」を(事前にわかってさえいれば)指さない。プロが指さない手は当然定跡にもならない(例外はあるが、少なくとも定跡と呼ぶべき根拠に弱さがある:アマチュア考案の戦法もあるが、プロがある程度の数を指して「たしかに指せる」ということを確認して初めて「定跡」と呼ばれるわけで、それ以前の段階では「詳細に研究されていないが可能性のある順」に過ぎず、またいったんプロが採用したものの数年くらいで「やっぱり無理筋」とされることもある)。つまり、一般に定跡として流通している順のほかに、微妙に悪くなるが十分ひっくり返せる順や、指せるかもしれないが好むプロがたまたまいなかった順が無数にある。もちろん、木村定跡のように「その形になったら相手が間違えない限り負け」という「閉じた定跡」もあり、これらを区別して考える必要がある。

すでに紹介した順で言うと、先手の強引な早石田を後手が咎めて龍を作った状況などは、K-Shogiの判断(は序盤だけに信用しにくいが)だと香落ちよりも微妙に有利くらいで、アマチュアの将棋なら紛れることはいくらでもある。優位を築いたときに勝ち切れて初めて序盤が生きるわけである。初心者が序盤を勉強する場合は、本筋とされる順をひとまず覚えて、間違えると一気に負ける順を把握し、相手が定跡を外したときに咎める順を拾っていくのが有効だと思われる。また「指したい形」があるならその場面に至る定跡は覚えておくべきで、「放っておくと不満のある順(たとえば後手飛車先不突矢倉とか)」を見せると普通の相手は咎めるため、違った形に流れることが多くなる(あえて咎めさせて、微妙に不利でも自分が得意な形で指したいのなら別)。これと表裏になるが、ある戦法が無理筋かどうかは相手の出方による。たとえば右四間飛車はプロの間で流行している戦法ではないが、それは相手が「右四間なら崩せる指し方」をほとんどしないからである。アマチュアの場合「他の攻め方だと難しくなるが右四間なら有利」といった形が出現することも普通に有り得る。あえて「右四間にさえされなければ有利」な指し方をする人もいるだろう(相手が右四間の指し方を知らないことを期待しているなら別だが、すでに触れたように、右四間の受けに自信があって勝ち切れるつもりで指しているならハメ手ではない)。

また最序盤は戦型を大まかに決める部分だが、その後の細かい選択は態度の表明でもある。たとえば相矢倉の加藤流がなぜ成立するのかというと、加藤一二三プロがとんでもない棒銀上手だからで、加藤流の1・2筋は「棒銀で殴り合ったら私が勝ちます」という宣言である。それに対して、羽生善治プロは「銀で攻めるのは私も大好きです」と8五歩を決めるし、森内俊之プロは「なら受け倒します」と9筋を突き越す。そのうえで、定跡が終わったところから好手悪手の問題になってくる。初心者が序盤の指し回しを覚える際、どれがよい手なのかよりも、どの形になったらどんな勝負になるのかを意識しておくとよい。

少し特殊な事情ではあるが、プロとアマの将棋では千日手の扱いが異なる場合が多く、プロの定跡は「後手が千日手にできる順は先手が避ける」ことを前提にしていることにも注意が必要。たとえば相矢倉の持久戦で先手が総矢倉に組んで専守防衛に出ると、後手は千日手にするか打開して負けるかのどちらかしか選べない。もちろんこの例なら持久戦になる前に急戦矢倉にしてしまえば問題ないが、先手が仕掛けを完全に放棄して守った場合、後手が「仕掛けるだけ無駄」なことに気付かないと勝ち目がなくなる。先手番の風車だけは例外と言ってよいのかもしれないが、将棋の棋譜でーたべーすに登録された棋譜を見る限り、後手が仕掛けて先手優勢になっているものが多いように思う(後手が悪くしたと思って突っ込んだ結果返り討ちというパターンはある)。プロの棋士というのは(勝負を職業としている他のプロと同様)基本的に意地っ張りなので、千日手でも構いませんよと出られると仕掛けたくなるのかもしれないし、またそうやって仕掛けてきた相手が悪くしたと見たら万全の勝勢でなくても切り込むものなのかもしれない。

なお、ある順or指し方が有力なのかどうかという話題になったとき「これはプロも指したことがある順で(だから有力だ)」という説明をする人が稀にいるが、言うまでもなくナンセンスである(プロに指された「ことがある」のと「今でも指すプロがいる」のとでは天地の違いがある)。上で例に挙げた角換わりの木村定跡だって、後手番を指したプロはいる。有力だからプロが指すのでも、ましてやプロが指したから有力なのでもなく、有力かどうかわからない順を人類最高の精度で指して、現時点でわかり得る様子を教えてくれるのがプロなのである。

仕掛けと手入れと転戦

仕掛け(と受け)の準備は最高に難しいが、仕掛け自体もそれに次ぐくらい難しい。2014年1月現在、ある仕掛けが「成立する」かどうか適切に判断できるのはプロの棋士だけで、そのプロにしてもすべての仕掛けを適切に評価しているわけではなく、研究が進んだ結果「実は無理筋だった」とか「こうすれば成立する筋だった」などといった発見が次々に出てくる。トップアマレベルの人がコンピュータを駆使すればプロに近い精度で吟味できなくはないのだろうが、コンピュータの序盤評価というのはどうしても信頼性に欠ける場面がある(ただし最近は、プロの中にもコンピュータを活用して研究を進める人が増えたらしく、ツールの使いこなしが同程度ならば差は縮まっていないのかもしれない)。

初心者にとって現実的なのは、プロが「成立するはず」と言っている仕掛けを真似して、見たことがない形であれば自分の勘で判断することである。当然、毎回正しい仕掛けをすることは不可能だが、自分と同レベルの相手なら、多少無理のある仕掛けでも一局にはなる(自分が無理攻めする可能性と同程度に、相手が受け損なう可能性がある)。あとはまあ好みの問題でしかないのだが、初心者同士の将棋だとお互いに定跡をしっかり把握していないことが多く、せっかく形を覚えてもその順にならないことが多いので、自前の勘を養うのが先かなという気がする(まあ勘を養うためには手筋を知らなければならないので、結局定跡形の仕掛けを勉強することにはなるのだが、そのままの形で活用する機会はそんなに多くないということ)。

仕掛けていったん落ち着いたときは、相手のカウンターにもっとも注意すべきときである。1度仕掛けたらそのまま押し切る、あるいはいったん受けに回ったら完全に受け切るのが理想ではあるが、相横歩取りのような「激しい将棋」「中盤を飛ばして終盤に入る将棋」でなくある程度以上のレベルで実力が拮抗していると、一気の攻め潰しも徹底的な受け潰しも難しく、いったん仕切り直すポイントがどこかで生じる(優勢を保つというのとは別の意味で)。このとき、仕掛けた側は陣形が崩れているはずなので、手抜けない攻めが途切れそうになったらまず、相手の逆襲の糸口を探して潰すことを考えなくてはならない(仕掛ける前から意識できればなおよいが難しい)。反対に手抜けない攻めをとりあえず凌いだら、どこかで反撃できないかを検討してみるべきだろう。基本的に、仕掛ける側は攻めて手入れしてまた攻めて勝ち、受ける側は受けて反撃して勝つのが本筋のパターンになる。また双方とも、駒割や陣形から「新しい攻め味」が生じていないか(自分と相手の両方について)探す時間をどこかで設けたい。仕掛けと同様手入れや転戦にも、センスや大局観のようなものが強く求められる。慣れないうちは難しいが、中盤で優勢を築いたら「どうやって勝つか」をしっかり検討するだけでもかなり違ってくる(もちろん、序盤から勝ち方を意識してさせればなおよい)。級位者同士の将棋だと攻め込まれた側がズルズルと後手に回る展開もありがちで、終盤力もお互い鋭くはないため、切らし勝ち狙いが意外と有効だったりする。

ついでに触れておくと、コンピュータは自前の仕掛け判断が苦手で最新定跡に追従していないことも多いため、古すぎて(またはプロが好まない順で)定跡ファイルに入っていないような戦型や話題になったばかりの新手を見せてやると、どうにも素人臭い筋悪な手を指すことがある。そうやって出し抜いても圧倒的な終盤力で押し切られることの方が多いが、コンピュータと指すときに勝ち目が見えるチャンスには違いない。さらに余談だが、この点きのあ将棋(ハム将棋の次くらいに有名なネット越しのコンピュータ将棋)の「あひるがあがあじごく」というモードが面白く、名前の通りあひる戦法に類似した戦型を好む設定になっている。これは自分から仕掛けずに相手の失着を待ち続けるハメ手で、成立する仕掛けを見抜く能力には劣るが悪手を咎める精度は高いコンピュータの特徴と噛み合う(もちろん新手もめったに出てこない)。大量のリソースをぶん回せばプロとも戦えるほどコンピュータが進化した時代ではあるが、限られたリソースでそこそこ指せるレベルのアマチュアに勝とうと思ったら、このやり方は実に合理的である(まあ、相手が間違える前提で指すという意味では、原始棒銀でもムリヤリの大駒交換でもいいわけだが)。

なお、あひるやひらめなどは駒落ちの上手の戦法として採用されることがあるが、これは「下手は上手より失着を見抜く力が劣り、また穴熊には組まない」という前提があるから成り立つもので、駒落ちで勝てる相手になら平手の先手で同じことをしてももちろん勝てるだろうが、上級者同士の平手では勝ちにくい指し方である(だからハメ手として扱われている:初心者同士なら平手でも通用するのは、無理攻めを咎めるより攻めの形を作って繋ぐ方が難しいからだろう)。これらの指し方と風車が決定的に違うのはおそらく、あひるやひらめは相手が間違えないと負けるが、風車は相手が間違えなくても負けはしない(勝てないだけ)という点だろう(必ずそうなるというのではなくコンセプト的に)。この辺の事情は「古い戦法」にも通じるところがあり、たとえば旧式振り飛車(=ツノ銀中飛車など居飛穴の流行で絶滅した指し方)を「相手が居飛穴にしても勝ってやろう」というつもりで指すなら勉強や練習の類だろうが、同じ手順でも「相手が居飛穴の指し方を知らなければ有利になる」と思って指すのは単なるハメ手である(余談の余談だが、対する側はどんどん咎めてもらって居飛穴の指し方を覚えるのがよい)。

終盤

これはもう慣れと訓練しかない。ただ、同じ時間をかけて勉強するなら、詰将棋よりも必至問題、必至問題よりも寄せを先にやった方がよいかもしれない。というのは、寄せなければ必至はかからないし、必至をかけなければ詰ますことも難しい。もちろん、詰めの手筋を知っているから必至をかけられ、必至の形を心得ているから寄せられるので鶏と卵ではあるのだが、詰将棋だけ解き倒しても総合的な終盤力にはならいということに注意したい。

終盤の指し方はプロでも人によって特徴が強く、読みの深さで鋭く指す人もいれば、わかりやすい形を作って間違いなく終わらせるのを好む人もいるし、相手玉を効果的に追い詰めていくことで結果的に詰むという態度の人もいる。ようするに向き不向きでスタイルの違いが出やすい部分で、これは序盤の形をどうするのかにも影響する。たとえば、鋭い終盤を武器にする人は角換わりや横歩取りなど一気の寄せがものを言う戦型を好むことが多いし、セオリーと計算で詰ませる人には終盤に入るまでのリードが必要なので序盤の研究家が多い。中盤の形の好き嫌いのほかに、終わり方(勝つときと負けるときの両方)がどんな風になるのかを気にしてみるのも一興である。

アマチュアの将棋では意識されないことが多いが、終盤をきちんと指すには時間がかかる。詰将棋(詰みであることがわかっていて、王手にならない手を除外できる)と実戦(寄せるまでの過程でどうやって詰ますかある程度見当がついている)は事情が異なるが、目安として「標準的な5手詰みを平均30秒で間違えずに解き続けられればアマ3段」などと言われるようだ。またたとえば、2009年の第6回詰将棋解答選手権の初級戦では、3~5手詰6問を45分という設定で「全問正解するには有段の実力が必要」とされたらしい。2007年の企画でプロが「3手詰ハンドブック1」「3手詰ハンドブック2」「5手詰ハンドブック」の3冊合計600問を解いたときの時間は、糸谷哲郎プロが20分台後半、長沼洋プロが40分台後半だったらしいから、1問平均5秒で全問正解できればプロと張り合える計算(序盤から終盤までの総合力でなく、詰めの部分だけに特化すれば、アマチュアでもそのレベルに達している人はいる:情報処理速度の勝負なので若い人の方が有利らしく、小学生が大きなコンテストで入賞することもある)。時間制限のある将棋の場合、考慮時間(持ち時間がなくなった後に使える時間)があるのとないのとで、かなり違ったゲームになる(ちなみにプロの場合、30秒読みの将棋では終盤のために必ず1分残すという人と、構わず使い切ってしまう人がいるようだ:渡辺明プロが終盤に勘で指すことについて「だって読めないですもん、1分じゃあ全部はわかんないですもん」と言っているので、1分で読み切れるわけではないらしい)。2019年12月追記:藤井聡太プロがイベントで「1分間で7手詰の詰将棋を17問正解」して「神業」だとニュースになっていた。3.5秒平均くらいで7手詰を正確に解き続けている計算になる(同じルール(最終手だけ口で言う)で、中川女流プロは3問、杉本プロは9問解いたので、20秒でアマ強豪レベル、6.5秒でも十分人類最高峰レベルなのだろうが、いやはやブッチギリに速い:3人とも誤答なし)。

実用的な注意として、自分と相手の持ち駒に何が何枚あると詰むのかという計算はできた方がよい。正確にできなくても「金がなければ多分詰まない」とか「桂を取られると多分詰む」とか「角を使わされると多分詰まなくなる」くらいの見当だけでもつけておけるとかなり違う。取らせてもすぐには負けない駒と、取ればすぐに勝てる駒を見分けられれば、勝ちのチャンスは一気に広がる。もちろん、詰めろや何手抜けるかの判断も勝ち負けに直結しやすい。

オマケ(駒落ち定跡)

ネット将棋ではごくマイナーだが、駒落ちでの考え方には参考になるものが多くある。

なかでも角落ちは上手がいろいろと変なことをやれて面白く、コンピュータに上手を持たせても面白い(定跡ファイルが整備されていないため人間の高段者と比べれば駒落ちが苦手なのだが、10手未満くらいで結果が出る失着を咎めるのが抜群に上手いため、トチ狂って穴熊に組み始めたりしなければそこそこ楽しめる相手:穴熊自体は、角落ち上手の戦法として有効ではあるが、ソフトは穴熊を活用する指し方をしてこない)。


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