重要な情報:
以下はあくまで筆者の素人判断です。安全に関わる情報は専門家の解説を参照してください。
20代の頃は「あるものでなんとかする」ことが楽しかったものだが、オッサンになるとお金でサクっと解決してしまうことが増える。ちょっと寂しい気もするが年とともに楽しみ方も変わるということだろう。新規に買う以外どうしようもないものについても触れる。
ヘルメットにはいくつかタイプがある。おもなものは、オンロード用フルフェイス(インテグラルとも:丸い形の、いわゆるフルフェイス)、オフロード用フルフェイス(顎の部分を守っているチンガードが遠く、多くはスクリーンなしで、バイザーがついている)、システム(フリップアップとも:チンガードを跳ね上げられる)、オープンフェイス(チンガードなしのもの:スクリーンつきのものをとくにジェット、スクリーンつきで小排気量車専用のものをとくにファミリーと呼ぶこともある)、帽子型(ハーフ、半ヘル)くらいだろうか。耳を覆って後頭部を覆わないものをハーフジェットorセミジェットorスリークォーターとすることもある。
オンロード用フルフェイスは、高速巡航がスムーズで、放り出されるような転倒に強い。エントリーモデルが1万円ちょっと、スタンダードモデルが2万円ちょっと、高級モデルが5万円前後という価格構成が(少なくとも15年くらいは)変わっていない。消耗品であり、いちど強い衝撃を受けた高級品を使い続けるくらいなら、エントリークラスのものに買い換えた方が安全だと思う。寿命は2~3年とするメーカーが多い。サーキットではヘルメットリムーバーを使うことが多く、最近はヘルメット自体に内蔵したものもある。
オフロード用フルフェイスは、低速で叩き付けられるような転倒に強い。長くスリットが大きいチンガードは呼吸を助けるとともに打ち付け衝突時のマージンを稼ぎ、ゴーグルの併用は砂埃や曇りの対策、バイザーは飛び石などを避ける目的もあり、オンロード用とはけっこう違う(公道ではスクリーン付きのデュアルパーパスモデルを使っている人も多い)。オフロードレースではネックブレイスという首の保護パッドを使うことが多い。
オープンフェイスは「走っていて転倒」したときの防護としては半ヘルと大差ない。しかし、立ちゴケやUターンゴケでぶつけやすい側頭部と損傷が即生命に関わる後頭部を覆っていること、前から何か(水滴とか砂とか虫とか、そういう比較的軽いもの)が飛んできた場合にスクリーンが仕事をしてくれること、頭と接する面積はフルフェイスと変わらず衝撃の吸収自体は普通にできることから、低い速度域で利便性の高いヘルメットとして半ヘルと比べるなら、ずっと優れている。筆者が通った教習所では貸し出しヘルメットがこれだった(会話がしやすいという利点を取ったのか、白バイ出身教官が多かったからなのかは不明)。
システムは、高速走行時の快適性を改善したジェットヘルの変種だと捉えるのが無難か(トップメーカーのSHOEIは「フルフェイスに匹敵する安心感と静粛性」としている:2015年現在のNEOTECの紹介より)。快適性を改善とは言っても、チンガードを跳ね上げる都合で首回りの布が少なく冬はけっこう寒い割に、作りが複雑(=壊れやすく高価)でデメリットも小さくはない。それ以外のメリットはジェットと共通で、ヘルメットを外さなくても飲食や喫煙ができ、会話も比較的まあそれなりに。フルフェイスが普及する前のオフロード用ヘルメット(オープンフェイスにチンガードを追加していた:2012年現在もトライアル競技では足元の視界を優先してオープンフェイスが用いられることが多い)が元になったか。
帽子型は小排気量車で用いられる。防護は最低レベルで、利便性もオープンフェイスと比較すると優位性がなく、軽さと安さと小ささだけが実用上の利点になる(女性にとっては化粧が落ちないという利点もあるようだが、ワイズギアのZENITH MOCAでも買って降りてから直せばいいのにと思う:スクリーンないと日に焼けてシミがデキマスヨ)。なお耳がむき出しになるタイプについては、別途何かしらの防護を追加しておくべきだと思う(地面を滑ったときに悲惨なのもあるが、低速転倒だと側面を打ちやすいのも理由のひとつ)。
筆者はオンロード用フルフェイス、システム、ジェットしか持っていたことがない(オフロード用フルフェイスやオープンフェイスは借りて使ったことがあるだけ)が、総合的に一番ラクなのは結局フルフェイスだと思う。性能を非破壊的に確認する手段に乏しく、製品の信頼性が重要な装備だが、トップブランドのアライとショウエイか、国内バイクメーカー(ホンダはSHOEI、ヤマハワイズギアは韓国のHJC、スズキスコーピオンはアメリカのスコーピオンがメインのOEMメーカーだと思われる:スコーピオンはさらにHJCのOEMだという説明も目にするが不明)のものを選べばとりあえず安心だろう。筆者はSHOEIが好きだったが最近はアライびいき(RAPIDE-IRはよくできてると思う)。
我々が脊椎動物である以上、最優先で守るべきは脊椎と脳で、胸(というか心肺)がその次、胸以外の胴体(というか内臓)と続いて、四肢の優先度はそんなに高くないのではあるが、怪我の頻度を考えると手足の防護も重要である。でその手足の守り方だが、基本的には、硬いところ(=変形すると壊れる:骨とか)は硬いプロテクターで、柔らかいところ(=面積が広く擦れたり切れたりしやすい:腿とか)は破れにくく摩擦熱を抑えられるシートで、中間的なところ(=打ち付けもあり得るし切り裂きもあり得る:掌とか)はクッションで、というのが目安になる(関節の可動域を超えないようにするブレース(ないしブレース機能付きプロテクターやブーツ)もあるが、基本的にはサーキット用)。さらに、振動とか熱(または寒気)とか湿気とか、疲労や不快感を引き起こす要素も排除したい(操作や判断のミスを未然に防ぐ意味でも)。
必要な防護は走る場所や走り方や状況や天候で大きく変わるものだが、筆者が重視しているのは、手首の小指側の部分、掌の手首に近いところ~小指に近いところ、くるぶしの3つ。手首の小指側というのは、専門用語でいう尺骨茎状突起のあたり。骨も出っ張っているし肉も薄いし、ここに布があるだけでも安心感はかなり違う。掌はまあ普通というか、正しく受身が取れるとけっこうな勢いでアスファルトに叩き付けられるので、クッションが欲しい。くるぶしは足首の両側にあり(内果と外果)、内側は熱や振動にさらされやすく、外側は転倒時に打ち付けやすい。靴にはいわゆるショートブーツ(6~9インチ丈を指すのが普通、だと筆者は思っている)くらいの丈が欲しい。
余談:解剖学では四つんばいになったとき身体の中心から遠くなる方を外側(がいそく)、近くなる方を内側(ないそく)というが、一般的な感覚でいう内側(うちがわ)外側(そとがわ)と反対でややこしく、尺骨がある方を尺側(しゃくそく)、橈骨がある方を橈側(とうそく)と呼んだ方が紛らわしくない。ちなみに「内果・外果」は「ないか・がいか」と読み「内踝・外踝」は「うちくるぶし・そとくるぶし」と読む。
グローブは、真夏用、真冬用、その他用で3種類用意するのが無難。1万円も出せばけっこういいものが買える(オフロード用は作りが違って、とくにモトクロス用のレーシンググローブなんかは非常にシンプルな作りで価格も安い:その代わり枚数を大量に使う)。自分の手の形と合っていることが最優先で、手首の保護や外れにくさも考慮して選びたい。夏用グローブはメッシュになったものが多い。レイングローブは予備グローブと兼用で持っておくとよい。ネオプレン素材(クロロプレンゴムの製品名のひとつで、普通は発泡ゴム形態)のものが安価で高性能(ドライスーツなんかに使われる硬質なものや、使い捨て手袋に使われるニトリルゴム引きのものでも、ある程度は水が染みる:外科用手袋の水密性AQL(Acceptable Quality Level)検査でさえ、1.5%までのピンホール検出は許容しているくらいだから、完全防水を求める方がムリな話)。
冬用の場合、雨でも普通のレイングローブでは防寒性能に無理があるため、オーバーグローブは別に用意するとしても、冬用かつ防水仕様のものをベースにするのが無難。国内のバイク用製品で本気の冬用装備はレア(氷点下で使う前提のものだと、北国で郵便配達員が使う業務用の特注品くらいだが、令和になって雪の中をカブで郵便配達する風景もだんだんと減ってきている:ちなみに車両も、ホンダのMDシリーズを始めとする郵便配達専用モデルが存在する)なので、ウィンタースポーツ用のもの(とくにスノーモービル用品:人間むき出しで常時氷点下の環境を走る内燃機関の乗り物って、これくらいじゃない?)を流用するなど工夫が必要。ハンドルウォーマー(オフ車のナックルガードだけでも効果絶大)、ブーツカバー(雨用のものでも十分ありがたい)、マスク(風邪予防用のものでもないよりマシだが専用品は断然よい)は効果的な寒さ対策になる。
ブーツは普及品で2万円くらいだろうか。降りてから歩き回る前提の場合と、乗っている間だけ履く場合でチョイスが異なることを覚えておきたい。ジャケットとパンツは好み次第(服だし)。ツナギは21世紀に入っても皮革製(カンガルーが人気らしい)がほとんどのようだ(雨天で長時間走ると相当寒いはずで、8耐の合同テストの映像や写真なんかを見ると、プロライダーでもツナギ用のカッパを使っている人が多い)。筆者自身は、単車に乗っていて暑くて困った経験はほぼない(長袖の服を透過してきた紫外線で日焼けの水脹れができたことはある)のだが、コミネのAK-091 クールマックスRクーリングインナーキャップというのは画期的だと思う。JK-084 3Dエアメッシュインナーベストというのもあり、真夏でもプロテクター入りジャケットを着て欲しいという思いを、製品として形にしているのがスバラシイ。
今度は錠前(ロック)の話。バッテリーの進歩で携帯工具の性能が上がった結果、ポータブルグラインダー(サンダー)でロックが簡単に切断されてしまう時代になった。だいたいの目安として、ニッパー、ボルトクリッパー(デカいニッパーみたいなもの)、油圧カッター(テコではなく油圧で動くボルトクリッパーみたいなもの)、グラインダーの順に破壊力が高くなる(ダイヤモンドでさえ削ることはできるので、十分な時間と設備さえあればグラインダーで切断できないロックはないと考えてよい:ただグラインダーを使うと盛大に音が出るので、発見して通報するまでの時間稼ぎを期待するのがより現実的な考え方だろう)。バイクの錠前(ロック)にとっては大変厳しい時代になった。
海外製を中心にグラインダー耐性を謳うU字ロックも市販されており、AltorのSAF(持ち運び用ではなく、家のガレージや月極駐輪場のアンカー(器具の名前としては「駐輪パイプ」というのが通じやすいようだが、バイク用の駐車場検索サイトなんかでは「アンカー」の呼称が多い)に着けっぱなす前提:6kgちょっとある)とか、LitelokのX3(比較的小型で1.9kg、形状も普通のU字ロック:下位モデルの1Xは1.7kg)といった製品があるものの、国内流通は乏しい(2023年現在のメーカー直販だと、SAFは$299.00、X3は£249.99、X1は£149.99なのだが、国内販売品は割高傾向)。チェーン系のロックは(真っ直ぐな棒と比べれば、ぐにゃぐにゃ曲がって作業性が落ちる分)形状としてはグラインダーで切断しにくいものの、切れる切れないでいえば切れるし、U字ロックと比べると太さを稼ぎにくい。しかしチェーン系はU字ロックよりも取り回しがよく、アンカーとバイクのフレームを繋ぎたい場合なんかには唯一の選択肢になることもあるだろうと思う。反面、荷物としてはU字ロックよりも嵩張る傾向がある。ディスクロックは工具を持っていない相手には有効だが、ディスクごと外されたらそれまでなのは変わらない。
結局のところ、他のセキュリティや安全対策と同様、リスクをゼロにすることはほぼ不可能で、盗まれたときのダメージと盗難対策のコストを天秤にかけて、自分に合ったレベルの対策を採用する以外にないことになる(極端な話、どんなに頑丈なロックを使ったとしても重機で固定先を引っこ抜かれたらお手上げだし、少なくとも自分自身は開錠できるわけだから、泥棒ではなくスリや強盗にバイクを奪われる可能性だってある:ただ安物のバイクなら、そこまでして強奪しても相手に経済的なメリットがないため、現実味は薄くなる)。コストパフォーマンスを追及する上では、この発想がもっとも大切だと思う。
現実的な対策をと考えると、やはり固定+警報の2段構えかなという気がするものの、警報器付きのロックは誤作動するととんでもない近所迷惑になるので、信頼できる製品を選びたい。ただし(コミネのLK-122のように、連続した振動にのみ反応して鳴りっぱなしにならないものもあるとはいえ)どんな製品を使っても、突風でバイクが倒れたりすれば誤作動する可能性はある。やはり最重要なのは駐輪環境で、自宅にガレージがある場合を除くと値段が高い順に、有人or遠隔のセキュリティがあるバイクガレージ、バイク用のミニ物置みたいなレンタル駐輪スペース、アンカーつきの駐輪場、普通の駐輪場くらいのイメージになる。昔は月極駐輪場を探すのがとても大変だったが、便利な世の中になったもので、一般社団法人日本二輪車普及安全協会というところが「全国バイク駐車場・駐輪場案内」という駐輪場検索システムを提供してくれている(https://www.jmpsa.or.jp/society/parking/)。
駐輪環境の面からも荷物の面からも、一時的な出先でできる対策には自ずと限界があり、家and/orガレージではチェーン系、出先ではU字ロック、アラームつきのディスクロックを必要に応じて追加、といったあたりが無難だろうか。雨風も防げるし、鍵がかかるガレージが自宅にあったら管理がぐっとラクになるんだろうけど。
オンロードバイクの消耗品について。まあ一口に「オンロード」といってもピンからキリまであるわけだが、250ccクラスを想定してみよう。
一番消耗するのはもちろん燃料(ガソリン)だが、これはとりあえず置いておくとする。つぎに頻度が高いのはオイルで、一般に3000~5000kmまたは半年で交換ということがよく言われるが、国内メーカーの多くは6,000km毎または1年を推奨しているところが多い。もちろん、ガンガンにぶん回して乗っているとオイルの寿命も短くなるし、空冷車やオイル容量が少ない車種は交換頻度が短めに設定されていることもある(ようは取扱説明書の記述が最優先:妙な誤解があるようだがメーカーだってカツカツギリギリの値は書いていない)。交換費用は普通グレードで2000円+工賃で1000円、フィルター(9000kmか18000km指定のものが多い)も換えて合計6000円とか、そのくらい。
そのほか主なもので、タイヤは製造から5年or購入から3年or走行1~2万キロが目安(バイアスでGT601あたりだと、前後で2万円ちょい+工賃8000円くらいで3万円くらいか)、チェーン(シールタイプ)とフロント(ドライブ)スプロケは1.5万キロくらい(チェーンは5000~10000円くらいで幅が広く、スプロケは3000円くらい)、リア(ドリブン)スプロケは3万キロくらい(1万円くらい:チェーンと前後スプロケのセットが2万円台前半くらいで、工賃はセットで1万円ちょい)、エアクリーナー(ビスカス)は1.5~2万キロ(部品4000円の工賃1000円くらい:これは自分でやってもそう大変でない)、ブレーキパッドは製品や乗り方で減りが大きく変わるが目安としては1万キロくらい(デイトナのハイパーで2000円、赤でも3000円ちょい、工賃3000円弱)、ブレーキフルードが2年に1回(工賃込みで5000円くらい)、といったところか。
全部の周期を合わせようと思うと大変だが、1.5万キロというのはひとつの目安になりそう。この周期でタイヤ、チェーン・スプロケ、エアクリーナー、オイルフィルターを換えたとすると、7~8万円の出費になるはず(リアスプロケを換えなければ1万円くらい浮く)。オイルとブレーキパッドをこれに合わせようとしても大変だし、ムリに合わせるメリットもないので、オイルは5000kmでブレーキパッドは減ってたら都度交換くらいのノリでよいと思う。ざっくりで、ガソリン以外の消耗品費は5円/キロくらいになるのだろうか。バイク本体も考えようによっては消耗品で、50万円で買って10万キロ走ると5円/キロになる。
費用として考えるときは固定費のオフセットが生じるので計算がメンドクサイ。税金と自賠責は125ccで6000円くらい~リッタークラスで12000円ちょい、任意保険料(条件や業者にもよるが、125cc超の30歳以上対象で新規加入なら3万円/年くらいか)、もし250cc超なら車検代(整備費用込みで5万円前後/2年くらいじゃなかろうか)、と考えると車検なしで4万円/年くらい、車検ありで7万円/年くらいになるのだろうか(保険料の振れ幅が大きいので参考までだけど)。ただこれ、車検のタイミングにも左右される問題で、検2年付きで中古を買って4年で10万キロ走って廃車、みたいなペースで乗るなら自前の車検は1回で済む(4年間の固定費が20万ちょいだったとすると2円/キロちょい:上の計算だと消耗品の方がかなり高い計算になる)。反対に、同じ10万キロでも20年くらいかけて走るなら変動費よりも固定費が重くなり、固定費の総計は100万円を超えるはず。
自転車のヘルメット着用が2023年4月から努力義務になったのを機会に、購入したときのメモ。以下紛らわしいので、軽車両でないエンジンつきの2輪車は「バイク」、軽車両に該当するエンジンなしの2輪車(アシストつき含む)は「自転車」と表記する。
まず驚いたのが、小売のタマがないこと。昔(20年くらい前)は、ドンキとかオリンピック(関東ローカル)なんかに行けば、半ヘルはもちろんジェットヘルなんかも普通に置いていたと思うのだが、令和の世の中になって探してみるとサッパリ見つからない。法律が変わったので「ここが商機」とじゃんじゃん仕入れてるのかと思ったが、そうでもなかった模様。しゃあないのでAmazonに頼ることにした。
選択肢としてはおおまかに、バイク用の普通のヘルメット、ロード自転車用またはそれを模した穴空き系、帽子を模したフェイクレザー外装系、帽子+インナーキャップ系、乗馬(馬術)用のレプリカ、作業用の安全帽や他スポーツ用ヘルメットの流用、といったところ。筆者の感覚だと、顎紐がないものをかぶるくらいなら普通の帽子でも大差ないように思えてならないので、ヒモなしはまず却下。アゴヒモは顎の下を通らないと嫌なので、チンガードっぽいプラスチックがついているもの(スケボー用?)も却下。もちろん、バイク用のフルフェイスで自転車に乗ろうというつもりは筆者にはない。
防護面ではバイク用のオープンフェイス(ないしジェットからスクリーンを外したもの)が理想で、ビーアンドビーという初めて聞く名前のメーカーがBB-403という「SG安全規格品(全排気量対応)」のジェットヘルを2,678+送料600円という破格で出しており、老舗のリード工業(LEAD)もCROSS CR-720というモデルが送料無料の3,979円でとても安い。そもそも、自転車で普通にコケたときに守りたいのは頭のテッペンではなく側頭部と耳、深刻なコケ方をしたときに守りたいのはまず後頭部なので、ちゃんとした防護を望むならこれ以外に選択肢はないのだが・・・筆者としてはもう少し手軽なものが欲しかった(まあ今までずっとノーヘルで乗ってたわけだから、急には、ねぇ)。耳当てつきの半ヘルは、よさそうなのもあったが価格が少し高い(上記の格安オープンフェイスの倍くらいはする)。心底どうでもいい余談:グーステールってのは後頭部のところが後ろに突き出してる形を指し、突き出してかつ上にめくれてるのはダックテールと呼ぶ(使い分けは厳密でなく、どっちがどっちでもようするに、後頭部がキン肉マンの横ヅラ風になってる)はずなのだが、なぜかバイザーつきの(普通の丸い)半ヘルで「ダックテール」や「グーステール」を名乗っているものがけっこうある。そんな用法あったっけ?
で、どうせむき出しならと考えてみたのだが、そうするとある程度の「出っ張り」があって先に地面に当たってくれることを期待するタイプなのかなという気がして、探してみるとロード自転車用モドキの方がバイク用の半ヘルよりは気が利いた形状のものが多かった(帽子っぽいタイプにも面白そうなモノはあったが女性用が多く、デザインはともかくサイズが合いそうになく諦めた)。結局、わりと平凡な作りでかつ安物のロード自転車用モドキを買ったのだが、全体に穴が空いている作りなので、雨は防げないもののチェーンロックで車体にくくり付けられる(バイク用のフルフェイスヘルメットでもできる技だが、ヘルメットホルダーがない自転車ではありがたみが大きい)。とりあえず、ノーヘルよりはいくらか守られているようだし、利便性もそこそこなので本人としては満足している。
余談のそのまた余談だが、ヘルメットを着けて自転車に乗っている人でも、手は素手であることが意外と多い。筆者はノーヘルで自転車に乗ることはあっても素手ではまず乗らない(半袖や半ズボンで乗ることもほぼない:というか、バイクに乗り始めてからの習慣で、夏でも常に長袖長ズボンが普通になっている)ので、なんだか奇妙に感じる。軍手1枚だとしても素手よりはマシだと思うんだけどなぁ。
重要な情報:
以下はあくまで筆者の素人判断です。具体的な判断に際しては専門家の助言を仰いでください。
自転車は法的な扱いがとてもメンドクサイ。1970年までは普通に「車両」扱い(馬車・人力車・そり・乗用の牛馬などと同じ軽車両)だったし、2023年現在も軽車両であることには変わりないため、車両として振舞って(法的に)ダメというケースは少なく、関連当局も「車道が原則歩道は例外」を推進するつもりらしいが、慣例や習慣と食い違う部分もある。
もっとも根本的なところからしてまずわかりにくいのだが、走るのは車道(しかも「左側端から数えて一番目の車両通行帯」に限られ、左端が左折専用レーンであってもそのレーンを直進する)が基本で、路側帯は歩行者専用路側帯(白二本線)でなければ「通ることができる」だけである(平成25年の法改正で「道路の左側部分に設けられた路側帯」に限定され、「路側帯の内側を逆走」は明示的に違反となった)。なお「路側帯」というのは「歩道の設けられていない道路又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられた帯状の道路の部分で、道路標示によって区画されたもの」を指し、歩道がある側にもし線が引いてあってもそれは「ただの白い線」(区画線のうちの車道外側線)であって、路側帯(基本的には歩行者が通行する)を示すわけではない。車道を走っている普通自転車は、自転車用と標識された信号があればその信号に、なければ車両用の信号に従う。また交差点で「当該交差点又はその付近に自転車横断帯があるとき」は自転車横断帯を通行しなければならない。
普通自転車(おおまかには、サイズ制限以内で1人乗りで4輪以下で牽引しない自転車:要件は道路交通法施行規則第9条の2の2、形式認定は道路交通法施行規則第39条の5による)は歩道の通行も例外的に認められており、その場合(でかつ自転車用と標識された信号がないとき)は歩行者用信号に従う。歩道を通行できるのは、「普通自転車歩道通行可」の標識等があるとき、13歳未満の子ども・70歳以上の高齢者・身体の不自由な人が運転しているとき、「道路工事や連続した駐車車両などのために車道の左側部分を通行するのが困難な場所を通行する場合や、著しく自動車の通行量が多く、かつ、車道の幅が狭いなどのために、追越しをしようとする自動車などの接触事故の危険性がある場合など、普通自転車の通行の安全を確保するためにやむを得ないと認められるとき」(警視庁ウェブサイトより:https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/bicycle/menu/five_rule/five_rule01.html)。このとき自転車が通行できるのは歩道の車道側で、歩道を通行する自転車同士は対面通行になる(道路の両側に歩道がある場合、対面通行が2セットできる)。
他の区分と自転車を比べてみる。自転車(に限らず軽車両)は、原付一種と違い常に二段階右折する(歩行者と同じ)。自動車に対する「追越し禁止」の「追越し」は自転車などの軽車両を対象としないが、原付は対象になる(黄色のセンターラインや「はみ出し追越し禁止」(追越しのための右側部分はみ出し通行禁止)が示す「追越し」は軽車両も対象)。普通自転車を押して歩くとき、原付自転車や自動二輪車と同様に「みなし歩行者」になる(リアカーや人力車を引く人は軽車両の運転手扱い、動力なしの荷車や手押し台車が軽車両になるか歩行補助車等になるかは「長さ190cm以下、幅60cm以下」が最初の基準になる:70*70cmくらいのリアカー(荷物台車でもいいけど)を力持ちな人が担ぎ上げたらどうなるんだろね)。原付の強制保険(自賠責)は自動車損害賠償保障法で定められており全国一律だが、自転車保険の義務化は都道府県が担当しておりバラバラ(ヘルメットもそうだけど、この手の「罰則もないし誰もチェックしないけどそういう決まりにはした」的な対処をするくらいなら、最初から「~しましょう」という呼びかけだけの方がいいんじゃないかという気がしてならない)。
積載制限も都道府県によってバラバラで、道路交通法第57条第2項には「公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは、軽車両の乗車人員又は積載重量等の制限について定めることができる」としか記述がない。実際には、自転車単独では30kgまで、牽引する(「普通自転車以外の自転車」扱いになる)場合は120kgまでのところが多いみたい。これとは別に車体の仕様上の制限もあって、2010年のJIS改正により「リヤキャリヤの表示」で積載可能重量が明記されるようになった(さらに別の話として、乗車する人の体重は65kgを想定しており、極端に体重が重いとか、通常では考えられないくらいの荷物を背負っている場合は、車体が耐えられるかどうかを(走り出す前に安全な場所で)確認した方がよい)。