用具と消耗品

重要な情報
以下はあくまで筆者の素人判断です。安全や財産に関わる行為・判断に際しては専門家の解説を参照してください。

20代の頃は「あるものでなんとかする」ことが楽しかったものだが、オッサンになるとお金でサクっと解決してしまうことが増える。ちょっと寂しい気もするが年とともに楽しみ方も変わるということだろう。新規に買う以外どうしようもないものについても触れる。


防護とプロテクター

頭と首

ヘルメットにはいくつかタイプがある。おもなものは、オンロード用フルフェイス(インテグラルとも:丸い形の、いわゆるフルフェイス)、オフロード用フルフェイス(顎の部分を守っているチンガードが遠く、多くはスクリーンなしで、バイザーがついている)、システム(フリップアップとも:チンガードを跳ね上げられる)、オープンフェイス(チンガードなしのもの:スクリーンつきのものをとくにジェット、スクリーンつきで小排気量車専用のものをとくにファミリーと呼ぶこともある)、帽子型(ハーフ、半ヘル)くらいだろうか。耳を覆って後頭部を覆わないものをハーフジェットorセミジェットorスリークォーターとすることもある。

オンロード用フルフェイスは、高速巡航がスムーズで、放り出されるような転倒に強い。エントリーモデルが1万円ちょっと、スタンダードモデルが2万円ちょっと、高級モデルが5万円前後という価格構成が(少なくとも15年くらいは)変わっていない。消耗品であり、いちど強い衝撃を受けた高級品を使い続けるくらいなら、エントリークラスのものに買い換えた方が安全だと思う。寿命は2~3年とするメーカーが多い。サーキットではヘルメットリムーバーを使うことが多く、最近はヘルメット自体に内蔵したものもある。

オフロード用フルフェイスは、低速で叩き付けられるような転倒に強い。長くスリットが大きいチンガードは呼吸を助けるとともに打ち付け衝突時のマージンを稼ぎ、ゴーグルの併用は砂埃や曇りの対策、バイザーは飛び石などを避ける目的もあり、オンロード用とはけっこう違う(公道ではスクリーン付きのデュアルパーパスモデルを使っている人も多い)。オフロードレースではネックブレイスという首の保護パッドを使うことが多く、令和に入って、オンロードの公道で用いる製品も充実してきている。コミネの製品でいうと、SK-646のような背中の上部~首一周をフルに覆うもの、SK-647のような背面のみのもの、SK-806のような首回りだけのもの、SK-606のような首回りのみU字のものなどがある(激しく動き回る前提のオフロード用製品と比べて、オンロード用は安定した姿勢で使う前提のものが多いように見える)。バイク用エアバッグにも首の保護機能があるものが多い(エアバッグの仕様をよく確認して、動作を妨げないようにしなくてはならない)。

オープンフェイスは、一応法律上フルスペックの(というか全排気量対応製品がある)ジャンルではあるが、筆者の認識ではフルフェイスが「普通の」ヘルメットで、オープンフェイスは(名前の通り顔面むき出しなわけで)「利便性優先の簡易な」選択肢でしかない。しかしジェットを半ヘルと比べれば、立ちゴケやUターンゴケでぶつけやすい側頭部と損傷が即生命に関わる後頭部を覆っていること、前から何か(水滴とか砂とか虫とか、そういう比較的軽いもの)が飛んできた場合にスクリーンが仕事をしてくれること、頭と接する面積はフルフェイスと変わらず衝撃の吸収自体は普通にできることから、ずっと優れた防護になる(ただ、フルフェイスとジェットを両方持ってる人(筆者自身を含む)に言っときたいのは、もしコケるとしたらきっとジェットを被ってるときだよということ、ジェットでバイクに乗るたびに「もしコケるとしたらこういうときなんだよな」という警戒を新たにすべきだということ:マーフィーの法則は交通安全にも役立つ)。筆者が通った教習所では貸し出しヘルメットがこれだった(会話がしやすいという利点を取ったのか、白バイ出身教官が多かったからなのかは不明)。

システムは、高速走行時の快適性を改善したジェットヘルの変種だと捉えるのが無難か(トップメーカーのSHOEIは「フルフェイスに匹敵する安心感と静粛性」としている:2015年現在のNEOTECの紹介より)。高速度域でジェット(風切りが酷くなる)より快適なのが本来のウリなのだとしても、速い速度で走るならフルフェイスにするべきだと筆者は思う。防護はジェットよりは高いはず(いちおうチンガードついてるし)だが、視界はフルフェイス並みに狭い。また快適性を改善とは言っても、チンガードを跳ね上げる都合で首回りの布が少なく冬はけっこう寒い。作りが複雑で、壊れやすく重く高価な傾向になる。それ以外のメリットはジェットと共通で、ヘルメットを外さなくても飲食や喫煙ができ、会話も比較的まあそれなりに。現実的な利点としては、眼鏡を外さずに着脱できる(「顔」の防護がフルフェイス並ではないことの裏返しでもある)タイプの中では最大の防護になるという点だろうか(バイク乗りにはコンタクトに抵抗がある人も多いので、利便性を取るための選択肢としては無視できない)。フルフェイスが普及する前のオフロード用ヘルメット(オープンフェイスにチンガードを追加していた:2012年現在もトライアル競技では足元の視界を優先してオープンフェイスが用いられることが多い)が元になったか。

帽子型は小排気量車で用いられる。防護は最低レベルで、利便性もオープンフェイスと比較すると優位性がなく、軽さと安さと小ささだけが実用上の利点になる(女性にとっては化粧が落ちないという利点もあるようだが、ワイズギアのZENITH MOCAでも買って降りてから直せばいいのにと思う:スクリーンないと日に焼けてシミがデキマスヨ)。リード工業のセリオRE-40など、スクリーンつきの半ヘルも一部にある。耳がむき出しになるタイプについては、別途何かしらの防護を追加しておくべきだと思う(地面を滑ったときに悲惨なのもあるが、低速転倒だと側面を打ちやすいのも理由のひとつ)。なお、JISやらSGやらの「125cc未満」指定は、メーカー側が「デカいバイクで使って頭を守れなくても知らんからね」と主張するため(というと語弊があるが、基準内の使い方だと不具合があったときの補償が手厚くなる傾向がある:頭ヤラれた後に補償してもらってどれだけ嬉しいのかは経験してみないとわからないが、あればないよりはマシなのだろう)のもので、道路交通法(令和4年改正)第七十一条の四の8では「乗車用ヘルメットの基準は、内閣府令で定める。」となっており、その「内閣府令」である道路交通法施行規則第九条の五(平成二〇年一〇月九日内閣府令第六〇号)には、

一 左右、上下の視野が十分とれること。
二 風圧によりひさしが垂れて視野を妨げることのない構造であること。
三 著しく聴力を損ねない構造であること。
四 衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること。
五 衝撃により容易に脱げないように固定できるあごひもを有すること。
六 重量が二キログラム以下であること。
七 人体を傷つけるおそれがある構造でないこと。
としか規定がない。ようするに、あごひもがあって風でずり落ちない構造であれば半ヘルでも公道は走れるし、超高性能のフルフェイス(ドラッグレースで使ってるみたいなのとか)でも2kg以上の重さのヘルメットなら交通違反である(一と三についてはバイク用のフルフェイスより視界が狭いor音を遮るヘルメットなんてそうあるものじゃないし、四と七は備えていないヘルメットを探す方が難しそうだし、六も普通はあり得ないので、実際的に問題になるのは二と五だけであることがほとんどだろう:きっと)。

筆者はオンロード用フルフェイス、システム、ジェットしか持っていたことがない(オフロード用フルフェイスやオープンフェイスは借りて使ったことがあるだけ)が、総合的に一番ラクなのは結局フルフェイスだと思う。買い物で近所の店を数軒回る、なんてシチュエーションではジェットの利便性にも魅力はあり、筆者もフルフェイスしか持っていないのが不便だとは思うし、ジェットも使う(以前はフルフェイス+システムの2個持ちだったが、システムは費用面でのコスパが悪いので、フルフェイス+ジェットの2個持ちに切り替えた:いいタイミングで面白そうな製品に出会ったら、またシステムを試すのもやぶさかでないが、メインはフルフェイスで動かないと思う)。黒いと夏暑く(いや熱く)なるし、白いと汚れて見すぼらしくなるので、シルバーくらいの色合いが好みである。

性能を非破壊的に確認する手段に乏しく、製品の信頼性が重要な装備だが、トップブランドのアライとショウエイか、国内バイクメーカー(ホンダはSHOEI、ヤマハワイズギアは韓国のHJC、スズキスコーピオンはアメリカのスコーピオンがメインのOEMメーカーだと思われる:スコーピオンはさらにHJCのOEMだという説明も目にするが不明)のものを選べばとりあえず安心だろう。筆者はSHOEIが好きだったが最近はアライびいき(RAPIDE-IRはよくできてると思う)。余談ながら、デイトナからヘルメット乾燥機みたいなものが売られている(19264、通称リメットだそうな:布団乾燥機のノズルを突っ込んで乾かすのと、何がどのくらい違うのか筆者は知らない)。


手足

我々が脊椎動物である以上、最優先で守るべきは脊椎と脳で、胸(というか心肺)がその次、胸以外の胴体(というか内臓)と続いて、四肢の優先度はそんなに高くないのではあるが、怪我の頻度を考えると手足の防護も重要である。でその手足の守り方だが、基本的には、硬いところ(=変形すると壊れる:骨とか)は硬いプロテクターで、柔らかいところ(=面積が広く擦れたり切れたりしやすい:腿とか)は破れにくく摩擦熱を抑えられるシートで、中間的なところ(=打ち付けもあり得るし切り裂きもあり得る:掌とか)はクッションで、というのが目安になる(関節の可動域を超えないようにするブレース(ないしブレース機能付きプロテクターやブーツ)もあるが、基本的にはサーキット用)。さらに、振動とか熱(または寒気)とか湿気とか、疲労や不快感を引き起こす要素も排除したい(操作や判断のミスを未然に防ぐ意味でも)。

必要な防護は走る場所や走り方や状況や天候で大きく変わるものだが、筆者が重視しているのは、手首の小指側の部分、掌の手首に近いところ~小指に近いところ、くるぶしの3つ。手首の小指側というのは、専門用語でいう尺骨茎状突起のあたり。骨も出っ張っているし肉も薄いし、ここに布があるだけでも安心感はかなり違う。掌はまあ普通というか、正しく受身が取れるとけっこうな勢いでアスファルトに叩き付けられるので、クッションが欲しい。くるぶしは足首の両側にあり(内果と外果)、内側は熱や振動にさらされやすく、外側は転倒時に打ち付けやすい。靴にはいわゆるショートブーツ(6~9インチ丈を指すのが普通、だと筆者は思っている)くらいの丈が欲しい。
余談:解剖学では四つんばいになったとき身体の中心から遠くなる方を外側(がいそく)、近くなる方を内側(ないそく)というが、手首に関しては一般的な感覚でいう内側(うちがわ)外側(そとがわ)と反対でややこしく、尺骨がある方を尺側(しゃくそく)、橈骨がある方を橈側(とうそく)と呼んだ方が紛らわしくない。ちなみに「内果・外果」は「ないか・がいか」と読み「内踝・外踝」は「うちくるぶし・そとくるぶし」と読む。

グローブは、真夏用、真冬用、その他用で3種類用意するのが無難。1万円も出せばけっこういいものが買える(オフロード用は作りが違って、とくにモトクロス用のレーシンググローブなんかは非常にシンプルな作りで価格も安い:その代わり枚数を大量に使う)。自分の手の形と合っていることが最優先で、手首の保護や外れにくさも考慮して選びたい。夏用グローブはメッシュになったものが多い。レイングローブは予備グローブと兼用で持っておくとよい。ネオプレン素材(クロロプレンゴムの製品名のひとつで、普通は発泡ゴム形態)のものが安価で高性能(ドライスーツなんかに使われる硬質なものや、使い捨て手袋に使われるニトリルゴム引きのものでも、ある程度は水が染みる:外科用手袋の水密性AQL(Acceptable Quality Level)検査でさえ、1.5%までのピンホール検出は許容しているくらいだから、完全防水を求める方がムリな話)。

冬用の場合、雨でも普通のレイングローブでは防寒性能に無理があるため、オーバーグローブは別に用意するとしても、冬用かつ防水仕様のものをベースにするのが無難。国内のバイク用製品で本気の冬用装備はレア(氷点下で使う前提のものだと、北国で郵便配達員が使う業務用の特注品くらいだが、令和になって雪の中をカブで郵便配達する風景もだんだんと減ってきている:ちなみに車両も、ホンダのMDシリーズを始めとする郵便配達専用モデルが存在する)なので、ウィンタースポーツ用のもの(とくにスノーモービル用品:人間むき出しで常時氷点下の環境を走る内燃機関の乗り物って、これくらいじゃない?)を流用するなど工夫が必要。ハンドルウォーマー(オフ車のナックルガードだけでも効果絶大)、ブーツカバー(雨用のものでも十分ありがたい)、マスク(風邪予防用のものでもないよりマシだが専用品は断然よい)は効果的な寒さ対策になる。

ブーツは普及品で2万円くらいだろうか。降りてから歩き回る前提の場合と、乗っている間だけ履く場合でチョイスが異なることを覚えておきたい。ジャケットとパンツは好み次第(服だし)。ツナギは21世紀に入っても皮革製(カンガルーが人気らしい)がほとんどのようだ(雨天で長時間走ると相当寒いはずで、8耐の合同テストの映像や写真なんかを見ると、プロライダーでもツナギ用のカッパを使っている人が多い)。筆者自身は、単車に乗っていて暑くて困った経験はほぼない(長袖の服を透過してきた紫外線で日焼けの水脹れができたことはある)のだが、コミネのAK-091 クールマックスRクーリングインナーキャップというのは画期的だと思う。JK-084 3Dエアメッシュインナーベストというのもあり、真夏でもプロテクター入りジャケットを着て欲しいという思いを、製品として形にしているのがスバラシイ。

夏用ライディングジャケットの色

夏用ライディングジャケットは黒いものがやけに多い。白い方が涼しいのは当たり前だが、夏~秋にバイクで走るとどうしても虫とぶつかる。速度が速ければ速いほど多くぶつかる。ジャケットが白いとこれがシミになってしまう。環境規制が厳しくなって今は改善しているのかもしれない(首都圏の幹線道路なんて15年以上走ってない)が、都会だと煤煙で黒ずんでくることもある。ヘルメットも、ガワが固いので白いと線を引いたような汚れが目立つことになる。これだけが理由なのかどうか知らないが、実際に黒いものが多く売られているし、多くの人が黒いものを使っている(ついでに言えば、バイクのシートも黒いものが多い:レトロスタイルの機種ならライトブラウンとかのもあるけど)。ヘルメットならまだ、シルバーとかガンメタとかマットグレーとかの灰色系が選べるし、赤系や青系でもデザインとしてまあわかる感じのものが多いが、ジャケットのカラーリングは白か黒か原色かピカピカ系、みたいなノリでイマヒトツ振るわない。コミネなんかはカラーバリエーションが多いので、茶色系とか紺色系の選択肢もちょっとはあるのだが。


盗難防止とセキュリティ

今度は錠前(ロック)の話。バッテリーの進歩で携帯工具の性能が上がった結果、ポータブルグラインダー(サンダー)でロックが簡単に切断されてしまう時代になった。だいたいの目安として、ニッパー、ボルトクリッパー(デカいニッパーみたいなもの)、油圧カッター(テコではなく油圧で動くボルトクリッパーみたいなもの)、グラインダーの順に破壊力が高くなる(ダイヤモンドでさえ削ることはできるので、十分な時間と設備さえあればグラインダーで切断できないロックはないと考えてよい:ただグラインダーを使うと盛大に音が出るので、発見して通報するまでの時間稼ぎを期待するのがより現実的な考え方だろう)。バイクの錠前(ロック)にとっては大変厳しい時代になった。

海外製を中心にグラインダー耐性を謳うU字ロックも市販されており、AltorのSAF(持ち運び用ではなく、家のガレージや月極駐輪場のアンカー(器具の名前としては「駐輪パイプ」というのが通じやすいようだが、バイク用の駐車場検索サイトなんかでは「アンカー」の呼称が多い)に着けっぱなす前提:6kgちょっとある)とか、LitelokのX3(比較的小型で1.9kg、形状も普通のU字ロック:下位モデルの1Xは1.7kg)といった製品があるものの、国内流通は乏しい(2023年現在のメーカー直販だと、SAFは$299.00、X3は£249.99、X1は£149.99なのだが、国内販売品は割高傾向)。チェーン系のロックは(真っ直ぐな棒と比べれば、ぐにゃぐにゃ曲がって作業性が落ちる分)形状としてはグラインダーで切断しにくいものの、切れる切れないでいえば切れるし、U字ロックと比べると太さを稼ぎにくい。しかしチェーン系はU字ロックよりも取り回しがよく、アンカーとバイクのフレームを繋ぎたい場合なんかには唯一の選択肢になることもあるだろうと思う。反面、荷物としてはU字ロックよりも嵩張る傾向がある。ディスクロックは工具を持っていない相手には有効だが、ディスクごと外されたらor車体ごとクレーンか何かで吊られて持っていかれたらそれまでなのは変わらない。

結局のところ、他のセキュリティや安全対策と同様、リスクをゼロにすることはほぼ不可能で、盗まれたときのダメージと盗難対策のコストを天秤にかけて、自分に合ったレベルの対策を採用する以外にないことになる(極端な話、どんなに頑丈なロックを使ったとしても重機で固定先を引っこ抜かれたらお手上げだし、少なくとも自分自身は開錠できるわけだから、泥棒ではなくスリや強盗にバイクを奪われる可能性だってある:ただ安物のバイクなら、そこまでして強奪しても相手に経済的なメリットがないため、現実味は薄くなる)。コストパフォーマンスを追及する上では、この発想がもっとも大切だと思う。

現実的な対策をと考えると、やはり固定+警報の2段構えかなという気がするものの、警報器は誤作動するととんでもない近所迷惑になるので、信頼できる製品を選びたい。ただし(連続した振動にのみ反応して鳴りっぱなしにならないものもあるとはいえ)どんな製品を使っても、突風でバイクが倒れたりすれば誤作動する可能性はある。ディスクロック一体型のものは利便性が高いが、警報機は「すぐには手を触れられない場所」に設置するのが効果的なので、トレードオフがある。令和になってGPSトラッカーも普及しているが、ジャマーも(悪人には)普及してしまっているので、物理ロックを無効化できるような相手に通用する可能性がどれだけあるかは疑問が残る。やはり最重要なのは駐輪環境で、自宅にガレージがある場合を除くと値段が高い順に、有人or遠隔のセキュリティがあるバイクガレージ、バイク用のミニ物置みたいなレンタル駐輪スペース、アンカーつきの駐輪場、普通の駐輪場くらいのイメージになる。昔は月極駐輪場を探すのがとても大変だったが、便利な世の中になったもので、一般社団法人日本二輪車普及安全協会というところが「全国バイク駐車場・駐輪場案内」という駐輪場検索システムを提供してくれている(https://www.jmpsa.or.jp/society/parking/)、がバイクを駐められる場所自体が(増えたとは思うけど、それでも)少ないのは今も昔も変わらない。

駐輪環境の面からも荷物の面からも、一時的な出先でできる対策には自ずと限界があり、家and/orガレージではチェーン系、出先ではU字ロックかディスクロック、アラームを必要に応じて追加、といったあたりが無難だろうか。雨風も防げるし、鍵がかかるガレージが自宅にあったら管理がぐっとラクになるんだろうけど。

余談:風雨を防ぐといえば、モーターサイクルドーム・バイクガレージ・バイクシェルターとか、自転車も視野に入れたものはサイクルハウスなどの名称で、バイク用のテントみたいなものも数万円で売られている(大きいものだと210*250*190cmとかで、完全に「物置小屋」サイズ)。たしかにこれ便利そうではあるが、風で飛ばないようにするのが相当難しそうに見える(ドームやシェルターを名乗る製品には、中身が空のときは折りたためるものもあるが、前1/4くらいは残して畳むのが普通みたい)。このくらいのサイズ感だと普通の物置(田舎ならホームセンターで買えるが、イマドキは通販もあるみたい:ホームセンターで買った場合は軽トラを貸してくれるのでそのまま持ち帰ればよいが、通販で買ったときに引き渡しがどうなるか筆者は知らない)の方が丈夫で安心なようにも思える(バイクが入るくらいのサイズだとおそらく50kg前後、出入口の寸法と場所には注意が必要)。

追記:バイクの固定先を示す用語で「地球ロック(アースロック)」という言い方があるようで、なんとなくのイメージが先行して語弊があるように思う。バイクの固定先が地面に埋まったアンカーであることに決定的な意味はない。というか、バイクを丸ごと盗めるような装備(車載クレーンとか)を持った相手だと、ただ埋めただけのアンカーは簡単に引き抜かれると考えた方がよい。実効性を担当するのはアンカー自体の重さと大きさと丈夫さで、たとえば、ただの鉄板(昔は親切な鉄工所を探すorコネのあるトコに頼むしかなかったが、いまはネットがあるので、素人でもけっこう探せると思う:敷鉄板or敷板鉄板として一般的な4尺8尺=シハチの19mm厚で450kgくらい、6mm厚なら140kgくらい、Wボードだと大幅に軽い)にチェーンを通す穴(吊り穴)を空けたものを地面に敷いて、そこにバイクを固定しただけでも、チェーンを切らずにバイクを吊し上げるのは困難になる(バイクを持ち上げたら一緒に持ち上がるような繋ぎ方でなく、鉄板がブラーンとぶら下がるような繋ぎ方だとなお困難だと思う)。もちろん、動かない物(家の基礎とか)に固定できるならそれに越したことはないが、アンカー自体がデカくて重くて丈夫であることがより重要になる場面もある。


消耗品といわゆる「維持費」

オンロードバイクの消耗品について。まあ一口に「オンロード」といってもピンからキリまであるわけだが、250ccクラスを想定してみよう。価格は2025年現在の目安。

一番消耗するのはもちろん燃料(ガソリン)だが、これはとりあえず置いておくとする。つぎに頻度が高いのはオイルで、一般に3000~5000kmまたは半年で交換ということがよく言われるが、国内メーカーの多くは6,000km毎または1年を推奨しているところが多い。もちろん、ガンガンにぶん回して乗っているとオイルの寿命も短くなるし、空冷車やオイル容量が少ない車種は交換頻度が短めに設定されていることもある(ようは取扱説明書の記述が最優先:妙な誤解があるようだがメーカーだってカツカツギリギリの値は書いていない)。交換費用は普通グレードで2000円+工賃で1000円、フィルター(9000kmか18000km指定のものが多い)も換えて合計6000円とか、そのくらい。

そのほか主なもので、タイヤは製造から5年or購入から3年or走行1~2万キロが目安(バイアスでGT601あたりだと、前後で2万円ちょい+工賃8000円くらいで3万円くらいか)、チェーン(シールタイプ)とフロント(ドライブ)スプロケは1.5万キロくらい(チェーンは5000~10000円くらいで幅が広く、スプロケは3000円くらい)、リア(ドリブン)スプロケは3万キロくらい(1万円くらい:チェーンと前後スプロケのセットが2万円台前半くらいで、工賃はセットで1万円ちょい)、エアクリーナー(ビスカス)は1.5~2万キロ(部品4000円の工賃1000円くらい:これは自分でやってもそう大変でない)、ブレーキパッドは製品や乗り方で減りが大きく変わるが目安としては1万キロくらい(デイトナのハイパーで2000円、赤でも3000円ちょい、工賃3000円弱)、ブレーキフルードが2年に1回(工賃込みで5000円くらい)、といったところか(灯火類も消耗品だけど、みんな切れてから随時で替えるよねぇ)。

全部の周期を合わせようと思うと大変だが、1.5万キロというのはひとつの目安になりそう。この周期でタイヤ、チェーン・スプロケ、エアクリーナー、オイルフィルターを換えたとすると、7~8万円の出費になるはず(リアスプロケを換えなければ1万円くらい浮く)。オイルとブレーキパッドをこれに合わせようとしても大変だし、ムリに合わせるメリットもないので、オイルは5000kmでブレーキパッドは減ってたら都度交換くらいのノリでよいと思う。ざっくりで、ガソリン以外の消耗品費は5円/キロくらいになるのだろうか。バイク本体も考えようによっては消耗品で、50万円で買って10万キロ走ると5円/キロになる。

費用として考えるときは固定費のオフセットが生じるので計算がメンドクサイ。税金と自賠責は125ccで6000円くらい~リッタークラスで12000円ちょい、任意保険料(条件や業者にもよるが、125cc超の30歳以上対象で新規加入なら3万円/年くらいか)、もし250cc超なら車検代(整備費用込みで5万円前後/2年くらいじゃなかろうか)、と考えると車検なしで4万円/年くらい、車検ありで7万円/年くらいになるのだろうか(保険料の振れ幅が大きいので参考までだけど)。ただこれ、車検のタイミングにも左右される問題で、検2年付きで中古を買って4年で10万キロ走って廃車、みたいなペースで乗るなら自前の車検は1回で済む(4年間の固定費が20万ちょいだったとすると2円/キロちょい:上の計算だと消耗品の方がかなり高い計算になる)。反対に、同じ10万キロでも20年くらいかけて走るなら変動費よりも固定費が重くなり、固定費の総計は100万円を超えるはず。

結局のところは走る距離次第。たとえば筆者は学生時代に、30万くらい(正確には覚えてない)で買ったCB400SFを、最初の車検まで2年間で4万キロちょい、その後2年で3万キロちょい走って乗り潰したが、タイヤやチェーンなんかは毎年交換、車検の年はプラス5万くらいかかって、整備費+車検料で4年間に25万くらいは払ったのだと思う(オイル交換費用も入れたら30万弱、自賠責とか任意保険とか税金とか含めたら45万くらいなんじゃない、多分)。それだけ走ればガソリン代もかなりかかったはずで、5円/キロとしても7万キロなら35万、車両・燃料・維持費の合計で110万/4年くらいバイクに費やした計算。用具用品を10万とドンブリ勘定して年で均すと40万、月当たりで3.3万円くらいだろうか(通学定期はもちろん、通勤定期でもバイクよりは安く移動できたくらいの金額だが、このくらい「バイクライフを満喫」していたのなら、まあそんなもんじゃないか)。都心部へは往復35km、通学と遊びで年に300日はカタく1万キロ/年ちょい、休みの日には遠出することも多く月500キロくらいは遊び回り、年に数回の本格的な遠出で一回当たり1000キロとかそのくらい、普段使いでおそらく年に数千キロ、くらいの使い方でこのくらいになる。新車を買って7~8年で乗り潰すプランもアリな感じの数字。

年に5000キロ(月に400キロ、週に100キロ)くらいの使い方なら、消耗品全とっかえは3年に1回くらいで、ガソリン代も年に2.5万くらい(ニーハン前提)、3年で合計15万として30万の中古に6年乗ったら60万、保険やら税金やら用具やらで30万かけたとしたら6年で90万だから年15万で月1.2万くらい。純粋に趣味で乗るなら「まあそんなもん」といった感じだし、通勤通学に使ってこの数字(往復10キロを250日で2500キロ、往復20キロなら5000キロ)なら通勤定期よりは安いくらいの数字になる。走行距離がこれより少なくても、固定費でかかる分はあまり目減りしないので、コスパがいいのはこの辺(具体的には年5000~8000キロくらい)じゃないのという気がする(新車で買ったなら4~6年で買い替えるか、15年くらいかけて乗り潰すか、どっちもありそうな感じ)。反対に距離が長く、年に3万キロとか4万キロとか走る場合(通勤が往復100kmとか・・・:市原~東京、牛久~神田、東松山~池袋、厚木~新宿、茅ケ崎~品川とか、そのくらい)は、バイク本体を2~3年で買い替える(というか乗り潰す)ことになるはずで、移動手段としてのコスパは大きく下がる(これだけ酷使する用途に新車はちょっともったいないよねぇ)。のだが、鉄道の定期代は地域差が激しく、本厚木~新宿は1.5万円ちょいだが札幌~余市なんかは4.5万円くらいする(キロ単価はおおむね、北海道>四国>九州くらいの感じ:まあ北海道は冬がアレだから例外として、通年でバイクに乗れる離島以外の地域では、四国の鉄道料金が高め)。


これも消耗品?

ヘルメットは意外とサイクルが早い。タイヤと同じく「製造から5年or購入から3年」で考えるか、たんに車検の度(2年毎)に取り換えるか、といったところだろう。値段の幅が大きい製品で、フルフェイスだと有名メーカーのエントリーモデルが15000~通常ラインナップの上位製品で60000円くらいだから、モノと交換頻度によって5000~30000円/年くらいの出費になるか。無名メーカーの無名な製品ならもっと安いが、7500円で買って1年半で交換するくらいなら、15000円クラスのを3年使う方がまだ安心感があると思う(筆者は)。もうひとつ意外と持たないのが車体カバーで、製品にもよるが基本的に「真夏を2回」経験したらダメになるものと思っておいた方がよい(まあ1枚/年ペースと考えておくのが無難そう)。マフラーに触れる部分が耐熱シートになっている銘柄もあるが、ノーダメージになるわけではないので、少し冷やせる余裕があれば冷やしてからかけるのに越したことはない。

グローブとブーツはモノによって長持ち度合いが極端に違う。ダメになるものは1シーズンでダメになるし、持つものは平気で5年、場合によっては10年以上持つ。しかもこれ、値段や見た目で判断するのが難しく、安かったし作りがいいとも思わなかったモノが長持ちしたり、高かったしいい出来だと思っていたモノがあっさり寿命を迎えたりする(筆者は「運」だと思っている:補修ができる作りできない作りとか、消耗が激しい部分に補強が入っているかどうかなんかは、けっこう値段に比例するのだが、それらの工夫が必ず役に立ってくれるわけでないことも、話を複雑にする)。ただまあ、普段のメンテナンスで寿命を延ばせるジャンルの製品だし、あまりに過酷な状況(土砂降りの雨とか)には専用品を使うことでも消耗を抑えられるので、まずはそちらに気を遣おう。ジャケットやパンツも傾向としては似たような感じ。まあそもそも、人によって使用頻度やら環境の過酷さやらがまったく違うので、何年でとも言いにくい(ヘルメットとかタイヤのように生死に直結する用品なら「未使用でも3年」とか主張しやすいんだけど)。

ロック類も寿命の差が大きいが、筆者が思うにおそらくは、モノの当たり外れよりは使用環境と手入れの影響が大きいのではないか。まずは過剰な水に晒さないこと。チェーンタイプのものは、ロック部分が地面につかないような形で使った方がよい。カバーの下でしか使わないロックでも、潤滑と防錆はしておいた方がよい。濡らした時も干せるに越したことはないが、筆者は干していない(ビニールチューブにチェーンやワイヤーが入ったような製品の場合、水抜きだけでもしておいた方がよい)。

紹介が前後するが、ゴム紐類の寿命は実によくわからない。工業情報とメーカー実務の百科事典というサイトの記事に、「オゾン」「油や溶剤、ガソリン」「温度」|高温と低温」「水」が「老化や劣化を促進させる要素」になり得るとあった。とくに温度については「ゴムの種類にもよりますが、硬度3Hsアップ(ばね特性15%アップ)までにかかる時間で見た場合、10℃に保っていれば17年、15℃で9年、23℃で3.6年、30℃で1.6年、40℃で5.5か月程度と言われます」とあるので、濡らしたらちゃんと(洗ってから)干して冷暗所(日光にも強くはないはず)に保管するようにしていれば、きっと寿命は延びるのだろう(やってらんないけど)。雑に扱う場合、おそらくはシーズンごとに取り換えた方が無難なんじゃないのという気はする(筆者は1年で自転車用に「お下がり」させている)。パラコードの類も判断が難しく、ガチのパラシュートコードなんかでは「製造から8年」「飛行時間で200時間」なんて言われるらしいが、いわゆるアウトドア用途では寿命の目安ですら明確でない(見た目が変だったらとか、使ってみて違和感があったら、みたいな書き方の説明ばっかり)。屋外張りっぱなら1年くらいじゃない、という意見もあるようで、筆者としても「まあそんなもんに受け止めておくのが無難なんだろうな」という印象。ネットやロープより先にフック(プラのものは割れ、金属のものは曲がるか被覆が割れて地金が出る)がダメになることもけっこうある。


積載

主役のネットはやはりバイク用のもの、というよりデイトナの「ポーチ付きネット&フック」40*40cm(黒だと72185:サブコード2本とフック6個つき)が鉄板である。ネットのサイズはデイトナもタナックス(モトフィズ)も、Mが30(タナックスの目安で10L)、Lが40(30L)、LLが50(60L)、3Lが60cm(80L)になっている。ゴムロープ(ストレッチコードとかショックコードとかバンジーコードとも)はまあどれも似たり寄ったりだが、やはりバイク用のものはフックの形や長さ調整の機能が洗練されている(デイトナの91965とかタナックスのMF-4606とか)。伸縮しない(伸びが小さい)ロープは使う人が少ないが、パラコード(化学繊維の撚り索+被覆:もとはパラシュート用のコードだったが、一般に覆い付きの化繊ロープ全般を指す)やガイロープ(実質的には太めのパラコード:テントロープとかタープコードなどとも)は普通に使える。平ベルトを使う機会は多くないものの、フェリーにバイクを乗せるときはスリングコード(両端に輪がついた平ベルト)で車体を固定するのが普通だし、デイトナあたりはラッシングベルト(ベルトを締め上げるカムバックルとセットになったもの)もラインナップしている。またロープと併用してテンションを保つためのショックコード(フックつきの伸縮性サブコード)もある(自分でループを作って予備のフック取り付けてもいいけど)。

積載に使うとなると強度が気になるところだが、その前に問題になるのは形状。ようするに、重い荷物はロープでなく平ベルトで固定する(細いロープで固定すると、ロープが切れる前に荷物が壊れる:丈夫なフックでもついていれば別)。さらにそれ以前に固定先がバイクなので、荷物が耐えたとしても車体がもたない可能性もある(パラコードでも5mmで耐荷重500kg、スリングベルトなら25mmで1000kgくらいのものはある:フレームの太いところなら耐えるかもしれないけど、荷物フックとかは弾け飛ぶし、よほど丈夫な荷物でないとバラバラになるよねぇ)。そういうわけで、(ちゃんとした荷役用の)パラコードや平バンドを使う分には、扱いやすさだけ考えて太さを選んで大丈夫(筆者は2.4mm耐荷重125kgのパラコードをメインで使っている)。ゴムロープやネットも、バイク用のものであれば「だいたいバイクに積めそうな重さ」に合わせてあるだろうから、常識的な使い方をしていればめったに問題にならない。ゴムロープではなくパラコードを使う利点は「伸びでずれる心配が少ない」「自由に切れて縛れる」というところだと思ってよいだろう(パラコードでも10%くらい伸びるものはあるので注意)。とくに、小さいリング(ループ)を作りたいとか、カラビナを併用したいとか、そういったときには便利である。

箱を積むときは、ネットとロープを併用するのが妥当だと思う。立方体(Cube)にある程度近い直方体(長方体と言っても直六面体と言っても同じ意味だが、とにかくRectangular cuboidのこと)を固定するとき、ロープを「巻く」感じにすると前後(ロープの輪がなす平面の方向)にずれる自由度が残ることと、ねじれる方向に力が加わると外れやすいことに注意。立体なので、前後・左右・上下の3軸だけでなく、ロール・ピッチ・ヨーの3回転軸も制限してやらないと、効果的な固定にならない(積み終わって荷物をチェックするときも、上下は省いてよい場合が多いものの、前後・左右・ロール・ピッチ・ヨーの2軸+3回転軸は確認した方がよい:理屈上はともかく実用上のハナシ)。理想は、上から見た長辺の左右に2本+短辺に1本のロープを、完全なコの字になるようにかけること(巻いてしまうと滑ってずれるのはすでに触れたとおりだが、ハの字になっても動きやすい)だろうが、現実的に難しいことが多いので、ネットを先にかけて摩擦による保持力を上げるとともに、できるだけ箱の「地面に垂直な面」と近い位置で固定することが重要。

バイクの車体で丈夫かつ動かないところというと、フレーム(ここが最強)、シート(大人が座れる強度)、ステップ(大人が立てる強度)がブッチギリなので、重量物はいわゆるシートバッグに収納した方がよい。通常のネジを延長する格好の「荷かけフック」なんかも市販されているが、耐えられる荷重が元々のネジの強さに依存する(たとえばナンバーのネジとリアサスの根元のネジでは、耐えられる重さが違うはず:荷重超過で曲がったときのダメージも、設置場所によって違う)。パニアケースと呼ばれる固定型の容器もあり、乗せっぱなし前提のハコとして利便性が高いものの、重量制限がキツいものが多い(普通はハードケースなので、丈夫なものであればあるほど自分自身が重い)。振り分けバッグと呼ばれる、左右ワンセットで中央で繋がった格好のバッグ(中央はシート下を通すタテマエのものが多い)は、比較的容量が大きく(通常品だと片側で10~30Lくらいじゃない?)、リアシートがある車種でさえあれば「乗る製品」を探せる見込みがけっこう高いため、積載量アップの有力選択肢になる。ただこれ、ケースと比べると積みっぱなしにしにくいし、シートバッグに比べると乗せ降ろしが面倒なので、他の選択肢が有効でないときの次善策とか、他で積載量を稼いだうえでの追加策として考えた方が、より実用的かもしれない。

結び方

せっかくロープ類を紹介したので、結び方にも少し触れておこう(筆者はknot/hitch/bendの区別がついていないので間違ってたらゴメン:普段は全部「~結び」で呼んでる)。具体的な話の前にコツのようなものを(結び方自体の説明は、図解入りの親切なものがいくらでもあるので、他を当たって欲しい)。

これだけ覚えれば十分といえば十分なので、満足した人はこの項を読み飛ばそう。

オーバーハンドノットはいわゆる片結び(止め結びともいうが、遊び端(自由端)の末端処理を意味するStopper knotと紛らわしい)。この形で固定物を締め付けて結ぶのがオーバーハンドヒッチ(ひと結び:締めたあともう一度同じ形で締め付けるとふた結び)、片結びに他のロープを巻き込むことを(シングル)ハーフヒッチ、というらしい(筆者は全部片結びと呼んでいる)。輪を作ってすぐサキ(先端)を輪にくぐらせるのがオーバーハンドだとすると、輪を作ってモト(本線)に引っ掛けてから輪にくぐらせるのがエイトノット(8の字結び)。この2つは非常に応用範囲が広く、ふた結び・自在結び・テグス結び・二重8の字結び・インライン8の字結びなんかはとくに重宝される。

「ロープの途中に輪を作る」ときは、インライン8の字結び(前後がある結び方になる)かアルパインバタフライリング(中間者結び:前にも後ろにも引っ張られるときはこれ)。結び方はいろいろな流儀があるが、手のひらに3回巻いて、真ん中を下から手首の方向に引っ張り、上から指の方向に戻し、指でつかんで引き込むのが手軽。「ロープ全体を輪にしたい」ときの方法は、用途で非常に細かく分かれているのはあるが、バイスバーサという結び方が強くて簡単。スクエアノット(本結び:巻いて、まっすぐ交差して、巻く)とかダブルフィッシャーマン(二重テグス結び)の方が一般的ではある。パラコードでなく普通のロープなら、さつま編み(アイスプライスというらしい)で完全に編み込むこともできる。

すでにリング(切れ目がない小さめの)があってロープを結び付けたいときは、リングを自由に動かせるならラークスヘッド(ひばり結び:カウヒッチとも)が手軽、念を入れるならキャッツポウ(ねじ掛け結び)にしてもよい。2つに折ったロープを奥から手前and下から上にリングに通し、ロープを折ったところを手で持ち、バックスピンの方向にリングを(2本のロープの間を通るように)半回転させるとひばり結び、もう1回転させるとねじ掛け結びになる(巻いてるだけで結んではいない、とも解釈できる)。リングを動かせないときは、サキを長くとって普通の8の字結びを作り、サキをリングに通してから同じルートで戻ってやる(できあがる結び目は二重8の字結びと同じ:筆者は往復8の字と勝手に呼んでいる)のが手軽だと思う。

「輪を作ってから張る」ときはボーラインノット(もやい結び)が便利(1対1荷重には強いが、複数方向から引っ張られるリング荷重に弱いことに注意)。片結びを途中(「引っ張れば片結び」になるところ)まで作り、サキをモトに引っ掛けて、元来た方から輪に戻してやれば作れる(輪を通す前に引っ掛けると8の字、通してから引っ掛けて戻るともやい)。結んだ後の遊び端(ロープ直径の10倍以上残すのが原則)は片結びで止めるのが一般的だが、筆者が知っている漁師さんたちは解け結びの片結びにして、輪の中に端を通す人が多かった(山方面ではダブルオーバーハンドが本式なんだそうな)。もやい結びは便利だが、解きやすさがウリの結び方であることを忘れず、解けては困るところには二重8の字結びなどを使う(普通に使う中では、8の字+二重止めが最強クラスだと思ってよい)。

テンションをかけるときはテンションノット(自在結び)やトラッカーズヒッチ(南京結び:荷締め結びとも)が代表的だが、筆者は、自在結びにするくらいなら自在金具を使ってしまうし、南京結びはできないので、インライン8の字>荷台のフックで折り返し>サキを輪に通して倍力締め>ふた結びでお茶を濁している(ここがもうちょっとスマートになったら便利なんだけど)。棒状の物(やリング)に巻いてかつ締めたいときは、巻いてから締めるならクラブヒッチ(巻き結び)、締めながら巻き付けるならふた結び系(イメージしにくいが、意外と強い)が手軽、カジュアル用途なら後者だけでも用は足りることが多い。どのやり方でも、ロープの引っ張り強さで支えているところと、摩擦力で保持しているところの区別をしっかりつけておくと、適切な選択の助けになるだろう。


実際の装備をもう少し

足元からいってみようか。シフトパッドはソフト系(ゴムの板っぽい雰囲気)とハード系(プラスチックの板を曲げたような雰囲気)があるが、どちらも熱可塑性ポリウレタン(Thermoplastic Polyurethane:TPU)製のものがほとんどで、単に硬さ調整のバランスをどちらに振ったかでしかない。靴に傷がつくと水が染みるようになるので保護したいところではあるのだが、足や靴の形や材質によって事情が大きく変わるため、どれを選べばよいというものでもない。ハード系は製品が少ないものの、大手ではコミネがBK-204、フラッグシップがFSPD-01というのを出している。シフトアップのときに靴が「ヘコむ」ことまで防ごうと思うならハードタイプなのだが、いわゆるハイカットブーツやスニーカーのような湾曲がキツい靴だと、つま先あたりが擦れて靴の表面が削れる(本末転倒)し、普通の運動靴・革靴シェイプだと歩くときにパッドの上端が足の甲に当たる感じになる。パッドの下にクッション(キジマの208-005とか)を入れてやればマシになるのかもしれないが、筆者は試したことがない。ソフト系はどれも似たり寄ったりで、シフトペダルの側にクッションを巻いた方が手軽じゃないかと言われるとその通りなのだが、つけて意味がないのかというとそうとも言い切れず、微妙なところ。遠出するときだけ使うとか、バイク用に使う靴を決めて付けっぱなすとか、そんな感じの運用になるのだろうか。足裏にバンドを回すタイプのものである程度の距離を歩くときは、耐久性を謳う製品であっても取り外す(または短時間なら靴紐バンドだけ残して引っ掛ける)方がよい。

靴は・・・これまた分類がとてもメンドクサイ。筆者の理解だと、シューズ(短靴)とブーツ(長靴)は少し被っている。シューズのうち、踝を出すスタイルがローカットシューズ、踝をちょうど隠すのがミッドカット(ミドルカット)シューズ、足首までサポートするものがハイカットシューズなのだが、トレッキングシューズ(登山靴)なんかだとだいたいこの通りの分け方が多いものの、カジュアルシューズで「ハイカット」というと踝までしかないものもけっこうある。いっぽうブーツは、丈6インチ(高さで見るとハイカットのトレッキングシューズはブーツ並といえる)が下限で、9インチまでがショートブーツのレンジ、なのだがバイク用のブーツだと10インチくらいまでのものはショートを名乗っていることが多い。もう一つ重要な違いとして、芯入りと芯なしの区別(安全靴かどうか)がある。バイク用の靴は芯なしがほとんどだが、デイトナ(ヘンリービギンズ)のHBS-001+なんかは「安全靴同等レベル(JIS規格S級相当)」を謳っている。自分の足に合っていることが最優先(長時間使う人はなおさらに)ではあるものの、そこをクリアしてさらにこれだけの要素があって、選ぶだけでも大変である。ブーツカバーは、裾(開口部)を絞っていないものが筆者好み。というのは、合羽のズボンを上から被せる前提なので、余計な締め付けがない方が快適だから。貫頭衣(ポンチョ・ヤッケ)タイプのビニール合羽で凌ぐときには裾絞りがあった方がよいのだろう。破れても困るので、左足の甲にはある程度の補強が欲しい(シフトパッドを併用するとしても、靴とカバーの間に着けるのが普通だと思う)。

あとはもう個人の好みと乗り方次第ではあるのだが、筆者個人としては、いわゆるレーシングブーツ(オン用オフ用とも)やツーリングブーツ(ツアラーブーツ)の類は、バイクを降りてから普通の生活活動をすることを思えば、ちょっとヘビーすぎる(用途がツーリングなら、バイク用と歩き回り用で靴を分けるのは有効:靴を休ませることにもなる、が今度は置き場所運び方の問題が出る)。かといって踝が隠れない靴でバイクに乗るのは、防護の面からも不安だが快適性の面でも劣る気がしてならない。そういうわけで、ハイカットのライディングシューズかショートブーツタイプが折衷案として現実的なんじゃないのという気がしている。ではハイカットのライディングシューズとショートブーツタイプはどう違うのかといえば、根本的なところでは「前が開いているかどうか」じゃないかと思う。ブーツ類は基本的に前に「切れ目」がなく雨に強い(編み上げブーツも一部にあるし、スニーカーブーツとかハイカットスニーカーなんて分類もある:スニーカーは「静かに歩ける」=底が柔らかい靴が原義)。構造上は雨に強いのだがたいてい革製品で、濡らすと手入れがメンドクサイものが多い。だったらライディングシューズにして強く降ったらブーツカバーを着けるのがいいんじゃないのというのは自然な考えなのだが、歩きやすさや着脱を優先して踵部分のカットが低くなっている製品が多い。歩きやすいのはいいことなのだが、ズボンの裾を被せられない靴だと、雨や低温時にとても切ない。本格的に降り始めたらブーツカバーはかけるがある程度は水に耐えて(防いでではなく)欲しいし、冷たい風と皮膚との間が靴下1枚になる状況も避けたい。痛し痒しで、なかなか結論の出がたいところだと思う。


ズボン(パンツ)と上着(ジャケット)は、服だけに個人の好みがさらに大きく、走ること自体が目的のツーリングに行くとき、行楽の移動手段としてバイクを使うとき、、バイクで通勤or通学してそのまま働くor授業に出るとき、買い物なんかの普段使いでは、それぞれ事情が異なる。ここは個人の経験と習慣にも左右される部分で、筆者の場合バイクに乗り始めたのが大学生のころで、それ以来通学も通勤もずっとバイクだったため「普段着」でバイクに乗ることにあまり抵抗がない(素手でバイクに乗ることはないし、どんなに薄いものであっても長袖の服は必ず着るけど:というかバイク生活が長くなるにつれ、真夏でも長袖が普通の生活になった)。バイクにパニアケースの類を積みたいとか、メットインスペースのあるバイクに乗りたいなどとはあまり思わないものの、もし着替えの問題が解決する(=脱いだジャケットを入れておける)なら、快適装備としては有用そうな気がする(ジャケットの側でも、脱いだ後狭いスペースに突っ込める収納性を、もっと前面に出した製品があってよさそうなものなのに)。防護についていえば、筆者もバイクで走っているときにコケたことは何度かあるが、腰と膝を守れるに越したことはない(頭と手はすでに守れている前提)。速い速度でコケたことはないが、もしそうなったらと想像するに、背中と首だけは守っておきたい。できるなら肩(出っ張ってるから)や肋骨(そもそも折れやすい)も保護したい部位ではあるのだが、ここを守るのはとても難しい。万全の装備をしたプロのオンロードレーサーでも、クラッシュで大けがをするのは肩回りや肋骨が多い(手足の骨折もよく見られるが、プロレーサーの場合、ソッチは割り切っているようにも見受けられる:まあ死なないことが優先だからねぇ)。人間むき出しで速い乗り物に乗っている以上、ここはある程度しゃあないのだろう。

ライディング用のズボン(パンツ)のラインナップはジャケットほど豊富でない。いわゆるライディングパンツ(ツーピース式ライディングウェアの下)以外だと、プロテクターを入れられるジーンズみたいなタイプがほとんど。もしくは、膝プロテクターだけ上から装着する格好になる。ジャケットと違って「脱ぐ」という選択肢がない(丸ごと着替えることが可能ではあるけど)こともあって、外付け式はありがたいオプションではある。防寒も重要な要素で、真冬だと膝~腿にかけて強烈に冷える。筆者は北海道出身なので北国風に防寒ズボンを普通のズボンに重ねるスタイルに親しみがあるが、寒くない地方だとほとんど売っていない(裾上げが難しい作りのものが多いので通販もちょっと手を出しにくい:筆者個人についていえば、帰省したときついでに買って帰ればいいだけなんだけど)。いわゆる「前スリットの腰エプロン」をひざ下まで伸ばして、裏地とベルクロをつけた感じのモノ(伝わるかなー?)を作ったら、それなりに需要ありそうな気がするんだけどどうだろう。ポケット類については、筆者の場合、バイクに乗るときはなるべく「服の中」に物を入れないようにしている(落としても困るし、鍵みたいに硬いものだとコケたとき身体に刺さりそうな恐怖感がある)ので、ズボンにも収納力は求めていない。

ライディングジャケットは実にピンキリ。背中にプロテクターがあるとよいのは論を待たないが、強度を保ってかつ柔軟性のあるものは高価で(期間的な)耐久性が低い。防風防寒はやはりライディング用のものが優秀(人間があんな強い風にさらされ続けるシチュエーションなんて、4輪のフォーミュラカーとオープンコックピット時代の飛行機くらいじゃない?:スノーモービルの方が段違いに寒いけど、風はバイクの方が強そう)。防水はそんなにムキにならなくてもいいというか、単品で強い雨に耐え切ろうとすると蒸れとも戦う必要が出てきて、結局高価で短寿命な製品になりがちなんじゃないかと思う。強く降ったら上から何かしら重ねる前提の方が、バランスのいいデザインになるんじゃないかという気がしてならない(同じ理由でオーバーグローブも有用で、自分のブレーキ操作に合ったものを探したい:筆者は少数派の3本がけなので、選ぶのにけっこう苦労する)。筆者は若いころ、使い捨てのビニール合羽からフードを切り取った上で後ろ前にして「レインエプロン」を自作していたが、流通の進歩で普通の既製品も簡単に手に入るようになった(TRUSCOのTEV-MKとか、袖付き防水エプロンの類とか)。いわゆるメッシュジャケットには、真夏でも上に着られる(シャツ1枚で走るのを避けられる)という大きな利点がある。表面に虫がつく(ぶつかる)のを避けにくい時期の製品でもあるが、コミネのJK-149 13010など、上から羽織るオーバージャケットもある。エアバッグもすっかり普及して、価格もかなりこなれてきた(さっきチラっと眺めたら、無限電光のMotorrad-2MeshがAmazonJPで¥33,595だった)。

ライディングジャケット以外の上着でバイクを運転する場合、裾のバタつきはゴムバンドかなにかで頑張るとしても、襟元への風が気になることがよくある。冬ならマフラーが有効だが夏場は暑い。候補になるのは、タクティカルラップとかアーミースカーフとかスナイパーベールなどと名乗るミリタリーレプリカ(風を通しすぎるものが多い)、普通の夏マフラー(ファッション用で華奢なつくりのものが多い)、シュマーグ(本来は頭巾なのだが、ミリタリー用途で覆面風の用途が一般化した:クーフィーヤとかグトラとか、地域地方によって呼称が多様、国内の商品は1mくらいの正方形に近い形でアフガンストールとかアラブスカーフなどと名乗っていることが多い)あたりだろうか。モノさえ選べばタオルも意外と悪くないし、シュマーグと比べると小さいもののバンダナは首にも巻ける(同じ布でも頭に巻いたらバンダナで首に巻いたらスカーフだという主張もあるらしいが、バンダナはヒンドゥ系・スカーフはヨーロッパ系だったりする:共通祖先はあるのかもしれないけど、進化の過程で少なくとも一時期は別系統だった)。西部劇でカウボーイがやってるスタイルの他、ネクタイ風の結び方などけっこうバリエーションがある。余談だが「モーターサイクルジャケット」は、一般的なライディングジャケットのことを指すこともあるが、クラシックミリタリーレプリカのオートバイ兵ジャケットを指すことが多い(60年代スウェーデン軍のレプリカが人気らしい:筆者は映画のイメージが強く、オートバイ兵といったらドイツで、緑のコートに太めズボンに黒い腰鞄でBMWのR75に乗ってるような、そんな感じのを思い浮かべるんだけど)。さらに心底どうでもいい余談:スクーター用の防寒・防水・防風装備にはスゴいのがたくさんあるが、コレは群を抜いていると思う(https://www.amazon.co.jp/dp/B0DMNTJN3C/)。


合羽はけっこうかさばる。常に持ち歩く非常用のものと、遠出するときや出発前に雨がわかっているときに使う本格的なものは、分けた方が便利なんじゃないかという気がする。非常用のものにしても、走る場所によっては降り出してからコンビニに駆け込んだ方が早い場合もある(それでも、何かしら持ってた方がいいとは思うけど)。いわゆるウインドブレーカー(北海道ではちょっと違うものを指すのだが普通の意味で)とかマウンテンパーカー(のレプリカでフードなしのもの)なんかを羽織っていると、小雨くらいなら耐えられる場合もある。いづれにしても、フードがついていると風でバタついて邪魔なので、フードなしのものか取り外せるものが望ましい(使い捨て合羽ならハサミで切り取っておくのも手ではある)。ポンチョ系の合羽(前にボタンがないので雨が吹き込まないのが利点)は原付のスクーターなんかには(風に煽られやすいので天候に合わせる必要はあるものの)有効だが、普通の中型バイクだとバタつくし裾が邪魔になりやすい。ヤッケを名乗る製品(前開きのものも多い)には細めのシェイプの貫頭衣タイプもあるが、今度はポリエステルに撥水処理をしただけのものが大半になってしまう(トラスコのTPJ-55なんかは「本製品をレインウェアとして使用できません」と言い切っている)。雨に耐えられて風にバタつかないもの、と考えると、やはり性能的にはバイク用(かせめて自転車用)のものに優位性があるのだろう。

雨具類は使った後に干すのもこれまたメンドクサイ。防水性の高いものは風も通しにくいので、乾いたと思っても水をため込んでいることがけっこうある。まあこれはどうしようもないのだろう(雨に逢うたびに使い捨て合羽を消費するのも、費用とか環境負荷とか考えるとあんまりよくないんだろうしねぇ)。雨の中を走って帰ってきたときは合羽だけでなく、ヘルメット、オーバーグローブ、ブーツカバー、リュックカバーなど濡れたものが盛りだくさんで、しかも雨が降っているということはすぐに外干しするわけにもいかず、けっこう困った状況になる。バスタブのある部屋に住んでいる人なら、まとめてカゴ(できれば網目から雫が落ちる作りだとよいが、なければ最悪ポリ袋でも)に入れて風呂場にでも置いておくのがよいだろうか(濡れて帰ってきたらまずは自分がフロに入りたいので、その後にでも)。シャワーカーテンのレールがあれば、ハンガーをひっかけて物干し代わりにすることもできる(耐荷重には注意)。布団乾燥機(できれば衣類にも使える前提のもの)があるとここでも活躍するが、熱に弱い品物があるかもしれないので、製品の仕様は事前に確認しておいた方がよい。バスタオルなどで水分を拭き取ってから干した方が乾きが早いのは言うまでもない、がメンドクサイ。もうひとつ困るのが車体カバーで、雨上がりならまだしも、まだ雨が降っている間に出発しなければならないときは置き場に困る。網目になっている洗濯籠でも用意して、玄関先に置いておくくらいだろうか(中が濡れるとまた厄介なのよねぇ)。

車体カバーといえば、猫とか鳥なんかに「引っ掛けられる」のも切ない。これはまあ、車体を守るという本来の役目を果たしてくれたといい方に考えるしかないが、中に入られるのはたまらないので、地域によっては猫除けグッズなんかも必要になるかもしれない(まあ雨にも当たらないし、冬だと走った後はしばらく暖かいし、快適なんだろうねぇ)。野良or野生生物の糞尿は衛生的にもかなり危険なので、車体カバーを外した後や車体にかけた後は手を洗いたいのだが、帰ったときはともかく出掛けにそれはかなりかったるい。最低限、バイクで出かけた先で何か飲み食いするときは、しっかり手洗いしよう。洗車はまあなんとかなるんじゃないか。手洗いメインの洗車場なんかも探せばけっこう見つかるし、高圧洗車は避けた方が無難(手洗いしかしない派の人も多い:昔の外車なんかは雨の中で走っただけでメーターに水が入るのとかあったからねぇ)ではあるものの、変なトコに水を入れないように注意しておけば洗えないことはない。


オマケ1(自転車用のヘルメット)

自転車のヘルメット着用が2023年4月から努力義務になったのを機会に、購入したときのメモ。以下紛らわしいので、軽車両でないエンジンつきの2輪車は「バイク」、軽車両に該当するエンジンなしの2輪車(アシストつき含む)は「自転車」と表記する。

まず驚いたのが、小売のタマがないこと。昔(20年くらい前)は、ドンキとかオリンピック(関東ローカル)なんかに行けば、半ヘルはもちろんジェットヘルなんかも普通に置いていたと思うのだが、令和の世の中になって探してみるとサッパリ見つからない。法律が変わったので「ここが商機」とじゃんじゃん仕入れてるのかと思ったが、そうでもなかった模様。しゃあないのでAmazonに頼ることにした。

選択肢としてはおおまかに、バイク用の普通のヘルメット、ロード自転車用またはそれを模した穴空き系、帽子を模したフェイクレザー外装系、帽子+インナーキャップ系、乗馬(馬術)用のレプリカ、作業用の安全帽や他スポーツ用ヘルメットの流用、といったところ。筆者の感覚だと、顎紐がないものをかぶるくらいなら普通の帽子でも大差ないように思えてならないので、ヒモなしはまず却下。アゴヒモは顎の下を通らないと嫌なので、チンガードっぽいプラスチックがついているもの(スケボー用?)も却下。もちろん、バイク用のフルフェイスで自転車に乗ろうというつもりは筆者にはない。

防護面ではバイク用のオープンフェイス(ないしジェットからスクリーンを外したもの)が理想で、ビーアンドビーという初めて聞く名前のメーカーがBB-403という「SG安全規格品(全排気量対応)」のジェットヘルを2,678+送料600円という破格で出しており、老舗のリード工業(LEAD)もCROSS CR-720というモデルが送料無料の3,979円でとても安い。そもそも、自転車で普通にコケたときに守りたいのは頭のテッペンではなく側頭部と耳、深刻なコケ方をしたときに守りたいのはまず後頭部なので、ちゃんとした防護を望むならこれ以外に選択肢はないのだが・・・筆者としてはもう少し手軽なものが欲しかった(まあ今までずっとノーヘルで乗ってたわけだから、急には、ねぇ)。耳当てつきの半ヘルは、よさそうなのもあったが価格が少し高い(上記の格安オープンフェイスの倍くらいはする)。心底どうでもいい余談:グーステールってのは後頭部のところが後ろに突き出してる形を指し、突き出してかつ上にめくれてるのはダックテールと呼ぶ(使い分けは厳密でなく、どっちがどっちでもようするに、後頭部がキン肉マンの横ヅラ風になってる)はずなのだが、なぜかバイザーつきの(普通の丸い)半ヘルで「ダックテール」や「グーステール」を名乗っているものがけっこうある。そんな用法あったっけ?

で、どうせむき出しならと考えてみたのだが、そうするとある程度の「出っ張り」があって先に地面に当たってくれることを期待するタイプなのかなという気がして、探してみるとロード自転車用モドキの方がバイク用の半ヘルよりは気が利いた形状のものが多かった(帽子っぽいタイプにも面白そうなモノはあったが女性用が多く、デザインはともかくサイズが合いそうになく諦めた)。結局、わりと平凡な作りでかつ安物のロード自転車用モドキを買ったのだが、全体に穴が空いている作りなので、雨は防げないもののチェーンロックで車体にくくり付けられる(バイク用のフルフェイスヘルメットでもできる技だが、ヘルメットホルダーがない自転車ではありがたみが大きい)。とりあえず、ノーヘルよりはいくらか守られているようだし、利便性もそこそこなので本人としては満足している。

余談のそのまた余談だが、ヘルメットを着けて自転車に乗っている人でも、手は素手であることが意外と多い。筆者はノーヘルで自転車に乗ることはあっても素手ではまず乗らない(半袖や半ズボンで乗ることもほぼない:というか、バイクに乗り始めてからの習慣で、夏でも常に長袖長ズボンが普通になっている)ので、なんだか奇妙に感じる。軍手1枚だとしても素手よりはマシだと思うんだけどなぁ。

オマケのオマケ(自転車あれこれ)

重要な情報
以下はあくまで筆者の素人判断です。具体的な判断に際しては専門家の助言を仰いでください。

自転車は法的な扱いがとてもメンドクサイ。1970年までは普通に「車両」扱い(馬車・人力車・そり・乗用の牛馬などと同じ軽車両)だったし、2023年現在も軽車両であることには変わりないため、車両として振舞って(法的に)ダメというケースは少なく、関連当局も「車道が原則歩道は例外」を推進するつもりらしいが、慣例や習慣と食い違う部分もある。

もっとも根本的なところからしてまずわかりにくいのだが、走るのは車道(しかも「左側端から数えて一番目の車両通行帯」に限られ、左端が左折専用レーンであってもそのレーンを直進する)が基本で、路側帯は歩行者専用路側帯(白二本線)でなければ「通ることができる」だけである(平成25年の法改正で「道路の左側部分に設けられた路側帯」に限定され、「路側帯の内側を逆走」は明示的に違反となった)。なお「路側帯」というのは「歩道の設けられていない道路又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられた帯状の道路の部分で、道路標示によって区画されたもの」を指し、歩道がある側にもし線が引いてあってもそれは「ただの白い線」(区画線のうちの車道外側線)であって、路側帯(基本的には歩行者が通行する)を示すわけではない。車道を走っている普通自転車は、自転車用と標識された信号があればその信号に、なければ車両用の信号に従う。また交差点で「当該交差点又はその付近に自転車横断帯があるとき」は自転車横断帯を通行しなければならない。

普通自転車(おおまかには、サイズ制限以内で1人乗りで4輪以下で牽引しない自転車:要件は道路交通法施行規則第9条の2の2、形式認定は道路交通法施行規則第39条の5による)は歩道の通行も例外的に認められており、その場合(でかつ自転車用と標識された信号がないとき)は歩行者用信号に従う。歩道を通行できるのは、「普通自転車歩道通行可」の標識等があるとき、13歳未満の子ども・70歳以上の高齢者・身体の不自由な人が運転しているとき、「道路工事や連続した駐車車両などのために車道の左側部分を通行するのが困難な場所を通行する場合や、著しく自動車の通行量が多く、かつ、車道の幅が狭いなどのために、追越しをしようとする自動車などの接触事故の危険性がある場合など、普通自転車の通行の安全を確保するためにやむを得ないと認められるとき」(警視庁ウェブサイトより:https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/bicycle/menu/five_rule/five_rule01.html)。このとき自転車が通行できるのは歩道の車道側で、歩道を通行する自転車同士は対面通行になる(道路の両側に歩道がある場合、対面通行が2セットできる)。

他の区分と自転車を比べてみる。自転車(に限らず軽車両)は、原付一種と違い常に二段階右折する(歩行者と同じ)。自動車に対する「追越し禁止」の「追越し」は自転車などの軽車両を対象としないが、原付は対象になる(黄色のセンターラインや「はみ出し追越し禁止」(追越しのための右側部分はみ出し通行禁止)が示す「追越し」は軽車両も対象)。普通自転車を押して歩くとき、原付自転車や自動二輪車と同様に「みなし歩行者」になる(リアカーや人力車を引く人は軽車両の運転手扱い、動力なしの荷車や手押し台車が軽車両になるか歩行補助車等になるかは「長さ190cm以下、幅60cm以下」が最初の基準になる:70*70cmくらいのリアカー(荷物台車でもいいけど)を力持ちな人が担ぎ上げたらどうなるんだろね)。原付の強制保険(自賠責)は自動車損害賠償保障法で定められており全国一律だが、自転車保険の義務化は都道府県が担当しておりバラバラ(ヘルメットもそうだけど、この手の「罰則もないし誰もチェックしないけどそういう決まりにはした」的な対処をするくらいなら、最初から「~しましょう」という呼びかけだけの方がいいんじゃないかという気がしてならない)。

積載制限も都道府県によってバラバラで、道路交通法第57条第2項には「公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは、軽車両の乗車人員又は積載重量等の制限について定めることができる」としか記述がない。実際には、自転車単独では30kgまで、牽引する(「普通自転車以外の自転車」扱いになる)場合は120kgまでのところが多いみたい。これとは別に車体の仕様上の制限もあって、2010年のJIS改正により「リヤキャリヤの表示」で積載可能重量が明記されるようになった(さらに別の話として、乗車する人の体重は65kgを想定しており、極端に体重が重いとか、通常では考えられないくらいの荷物を背負っている場合は、車体が耐えられるかどうかを(走り出す前に安全な場所で)確認した方がよい)。



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