事前に考えよう(09/04/02)

録音に入る前に決めておかなければならない事項は多い。アレンジがキッチリ固まっていれば漏れることはないのだが、泥沼にハマるリスクが高そうなものを挙げておく。

アレンジさえ決まっていればレコーディングや演奏の内容は半分決まったようなものだが、「残りの半分」にしっかり集中するためにも確認は怠らないようにしたい。

上記に抜けがあった場合、レコーディングが即失敗するということはあまりないと思うが、ミックスの段階になって「どうやって混ぜんのよコレ」ということになりがちである(そして、そこからアレンジまで戻れる耳と勇気がないと、本物の泥沼にハマり込むかグダグダな曲が仕上がるかの二択になる)。


ドラムスティック買っちゃった(09/04/02)

当然のようにPearlの110Hである(左右とも50g)。わかっていない人が驚くほど多いが、筆者が使う限りにおいて、110Hは他のスティックよりも(絶対的にヘタクソなのでたかが知れているとはいえ)格段に「いい音」が出る。スティックだけでなく、たとえばエレアコだってタカミネならちっとはマシな音が出る。理由はもちろん「気分がいいから」である(だって「ノリ」とか「グルーヴ」とか、そういうもんでしょう)。

もちろん、楽器としての性能も重要なのに違いないが、音楽が「精神活動」でもある以上「イメージ」をおろそかにするのは馬鹿げている(肉体活動としての練度が重要なのはもちろんだが、だからといって無視できるような問題でもない:というか、どちらが欠けてもおかしなことになる)。この辺は、もう少し重要性が認識されてもいい気がするなぁ。

補足。Pearlの110Hは非常にスタンダードな作りなので、筆者のように「買っただけで幸せになれる」人以外にも普通にオススメである。スタジオの余り時間にちょっと遊んでみるだけでもリズムやビートに対する感覚がそれなりに変わるので、ドラマーでない人もぜひ試してみるとよい(スティックはレンタルしているリハスタも多いので、わざわざ買う必要はないかもしれない)。普段打ち込みドラムスしか使わない人は、音色の多彩さにも驚くことだろう。


フィンガーピックも買っちゃった(09/04/08)

ダンロップのフェイク鼈甲(シェル柄)を2つ。パーカッション用なので、ギターに使うならちょっとキツすぎないかというくらいカールしているのがありがたい(同じダンロップでも白いモデルは緩めのカールだった)。

第一関節を無理なく動かせるギリギリ(ギター用では考えられないくらい)まで深く装着するとしっくりくるのだが、イレギュラーな使い方なのと筆者の指が太いために、10分くらいで指先が冷たくなってくる(バンド状の部分だけ残して、ツメの部分を切り取ってしまおうか、とも思う)。

ボンゴに使う場合は、左手の指1~2本(人差し指or中指だけ、人差し指と中指、小指だけ:小指はワンサイズ小さくしないとユルい)と、必要に応じて親指(右手用のサムピックを、手を開いた状態でピックのツメが人差し指の方を向くように使う:ツメの部分は切り取る)に。普通に面で叩くほか、カールした指先部分を使って線で叩いたり、さらに斜めにして点で叩いたりできる(筆者は、100円ライターを使って似たようなことをよくやる:スティックで叩くより融通が利いて楽しい)。

リアル指ドラム(ドラムセットを主に指で叩く:普通のドラムプレイでも、クローズリムショットのときに左手の指でゴーストを入れることなどはある)にも使えないかなぁ。もし上手くいけばアコギと合わせるときなどに便利そうなのだが(だいたい生ドラムってアコースティック楽器のくせに音がでかすぎる)。


Drum Premier買っちゃった(09/04/10)

期待通りの素晴らしい音源である。いやぁ、買ってよかった。

当初はSoFtDrumからの使用を検討していたのだが、Reaperでは動かない(有料版の2.x系も落として試したがダメ:パラメータの渡し方がおかしいのだと思う)ため、RM FというRMシリーズの無料版を利用することにした(残念なことに、現在は配布が終了している)。このサンプラーは非常に有用だが、ノートナンバーの表記が1オクターブ食い違っているので注意が必要である(たとえばサンプラー上で「B1」のノートを受信するように設定すると、ノートナンバー47=B2のノートに反応する)。追記:設定がうまくいかないだけで、VSTHostでfxpファイルを作ってから読ませればReaperでも普通に動いた。

Drum Premier導入にあたり手元のサンプラー(ちょっと試用しただけしてプラグインコレクションフォルダで眠っていたものも含む)を総ざらいした。結局、ドラムサンプラーに必要な機能というのはベロシティレイヤー(ベロシティに応じて異なるサンプルを再生する)、グループミュート(たとえばハットペダルを踏んだらオープンハイハットの音が止まる)、自然な同音連打、設定のインポート/エクスポートくらいなのだが、これが揃っているソフトは意外なほど少ない(思わずBATTERYが欲しくなったが、それならKONTAKTという気もする)。

RM Fは「1スロットあたりベロシティレイヤー2つ」までしか使えないが、1つのトーンで複数のスロットを使えば問題ないため、実質上あってないような制限である(ぶっちゃけ、対応ベロシティの範囲さえ指定できれば、サンプラー本体にレイヤー機能がある必要はない:上記とは反対に1つのスロットに2つのトーンを詰め込むこともでき、サンプラーの枚数を節約したい場合に便利)。ドラムスはどうせパラ出しするので、バスドラ用に1枚、スネア用に1枚(2スネアのときは2枚)、ハット用に1枚、シンバル用に1枚、タム用に1枚、その他の音色に1枚、合計6枚のRMを立ち上げることにした。一応断っておくが、代替のサンプラーでも筆者の要求は満たせそうだという目処がついただけで、決して「KONTAKTいらねぇ」というわけではない(本来のパフォーマンスを完全に発揮するためには、やはりあった方がよいと今でも認識している)。

設定ファイルが専用バイナリなので、上記はなかなかホネの折れる作業になる。まだまだ暫定バージョンだが、とりあえず設定ファイルを先行公開しておく(予告なしにアップデートするので注意)。サンプル読み込み前のプログラムナンバーとベロシティレイヤーのみ設定したファイルで、Drum Premierに限らず本格的なドラムサンプリング音源全般に適用できると思う(GM規格の配列は完全に無視している)。ただし、サンプルの変わり目で音量感に大きな変化が出ないようにする加工をサンプラー側で行う予定であれば「1スロット1サンプル」で組む必要があるので、上記の設定ファイルは使いにくいと思う(サンプラー上でやってもグダグダになるのが目に見えているので、素直に波形編集ソフトでサンプルを加工した方が早いとは思う)。

音源としての品質には大満足しているが、現在認識している制作上の問題点も挙げておこう。まず気になるのはハットオープン>ハットペダルへの移行の問題。オープンからペダルを踏み込んでいくときの「みゅ」という独特のベンド感が出ないし、クローズめのハーフペダルから踏み込んだときの「みッ」という音も出ない。これはDrum Premierの問題ではなく打ち込みドラムス全般で避けられない問題なのだが、リアルな音が出るだけに唐突感がある(アレンジ/打ち込みやミックス処理での腕の見せ所になるだろう)。もう1つ気になるのは、バスドラのクローズ(ペダル踏みっぱorヒット後さらに強く踏んでベンド)やスネアのリムかけ(いわゆるオープンリムショットのほんのりバージョン)が普通のトーンと統合されているので、キットの組み方に迷う。ただしこれは、そういった細かい配慮を最初から按配してあるということでもあるので、大方の利用者にとってはむしろメリットになるだろうと思う。

ちなみにクローズリムショット時の指ゴースト(スティックでベンドされていることもあってかなり変わった音がする)やスネアやハットのタップゴースト(スティックを置くような感じのクローズショット:ブラシでは普通の技)などは入っていないが、そこまで行くと「入れろ」と言う方がムチャなので、弱いベロシティの音で代用すれば問題なかろう(ハットのフットスプラッシュは欲しかった:リムショット系はあえて数を絞ってあるのだろうから、不満には思っていない)。ライドやクラッシュの手ミュートを再現してくれるサンプラーってあるのかしら。


好みが違って面白い(09/04/12)

アレンジの打ち合わせを何回かやるうちに「この曲3つ割りだよね」が筆者のお得意フレーズになりつつある。マーチンはアコギ弾き語り専門(フォークも齧っている)で、本人曰く「ビート感やグルーブの薄い曲」を好むのだが、3連符ベースの曲を「タータ・タータ・タータ・タータ」と認識していることが多い(「ター」がダウンストロークで「タ」がアップストローク)。そこに筆者が「タッカ・タッカ・タッカ・タッカ」という解釈を提示すると「この曲はハネないよ」という話になるわけである。

似たような話はまだまだある。たとえばAメロ-Aメロ-Bメロ-サビという流れで基本8ビート>サビ16ビートの曲で、「サビより前の刻み方にも少し変化をつけよう」ということになって、筆者は「Aメロ1回目とBメロは普通の8分、Aメロ2回目はウラをゴーストにした4分風の8分でどう?」と提案するのだが、マーチンは「Aメロ2回は同じ刻み方でBメロに入るときに変化」という主張をする。要するに筆者は「ヒネリたがり」でマーチンは「直球派」なのだが、こういう違いは非常に面白い。


すごいよDrum Premier(09/04/15)

このところずっとドラムキットを組んでおり(終わらないとレコーディングどころかアレンジにも入れない)、当然のようにJeffの音を大いに参考にしている。レコーディングエンジニアとしても有名なSimonも素晴らしい音を出すが、どちらを真似したいかと聞かれれば、筆者はやはり前者を選ぶ。

で、実際に真似した音がこれ。バスドラスネアハット。Human Touch (Bruce Springsteen: 1992)より引用、本来の演奏に1箇所だけ音を追加してある(ちょっと注意して聴けば追加個所はすぐわかると思う:バスドラとハットはEQなどの調整だけ、スネアはオーバードライブとリバーブを使っている)。設定などはもう少し詰めてから公開する予定。スネアはもうちょい練らないとダメだなぁ(真面目にやるならリバーブをパラ出しして質感を整えないとダメ:サンプルではFreeVerb2を単にかけただけ)。

話を戻そう。もちろん、Jeffと同じ音は出ないし出るわきゃないし出たらたまったもんではない(相手はプレイヤーもエンジニアも完全に本気な「大人サウンド」で、使っているドラムセットも違えばチューニングも奏法も録音方法も違う)のだが、カジュアルな機材(上記ファイルの作成に使ったソフトは、Drum PremierとWindowsを除いてすべて無料、作業の中心はAudacity:ハードは5年落ちのパソコンとタダでもらったジャンクのサウンドカードと3000円のヘッドフォンだけ)と素人の技術でもこの程度はできてしまうのだから、すごい時代になったものだと思わずにはいられない。

肝心のDrum Premierだが、使っているうちに贅沢はいくらでも言いたくなるものの、加工のしやすさが本当に素晴らしい。これをキッチリ「音楽」に組み上げられるといいなぁ。


音決め難航中andシンセ物色中(09/04/23)

うぅむ、ドラムの音色の時点で音が決まらない。ハットについて「でかい音」「オールクローズ8分ベタ刻み」「生ドラムっぽい音」というかなり凶悪なリクエストをもらっているのだが、そうすると、たとえば斉藤和義の「郷愁」のような「ごん太ベース」「ハットがある程度フラフラ」「おとなしめスネア」という構成にせざるを得ないのだが、その辺の理解を得る努力がちと足りなかったようだ(上記の郷愁にしたって裏がやや弱いビートで、ベタ8分ではない)。もう少しすったもんだしそうな気配。

アレンジが停滞している一方でドラムスのキット組みと音源漁りを続けている。これまでシンセ系にはあまり興味がなかったため、ダウンロードしただけでまだ音も出していない「未整理フォルダ」からの掘り出し物がけっこうあった。シンセストリングス系のStringSynthCheezeMachineCRAZY DIAMONDS、エレクトロニックドラム(というかTRのビンテージシミュレーター)のDrumatic 3とDrumatic VEあたりが面白い。ついでにAZRというドローバーオルガンも掘り出した(CRAZY DIAMONDSと同じ開発元)。

実機シミュレーション系に偏っているのは筆者が極度のシンセ音痴だからで、プリセットにそれっぽい音があらかじめ入っているものしか検討していない。SGMのシンセパッドあたりもよさそうなのでドラムの音が決まったらかぶせてみたい。


19KHzが聴こえないand大失敗(09/04/24)

筆者は高音に比較的敏感なのだが、サウンドバランスの検討のためモニタ環境の再点検を行ったところ、19KHzより上が聴き取れなくなっていた。18.5KHzはまだかすかに、18KHzなら明確に聴き取れるが、これからどんどん耳が悪くなっていくと思うとちょっと怖い。情報のインプットが途絶えても経験でカバーできるよう、耳は若いうちに鍛えておくべきである。

ということで、聴力の衰えに合わせて(もしかしたら機材のヘタリも手伝っているかもしれない、と考えた方が精神衛生上よさそう)モニタ用のEQを補正したところ、音作りのニュアンスが多少変わった。なんつー初歩的なミスをするんだか自分でも情けないが、時間が経てば歳もとるし機材もヘタるので、微妙な作業の前にはぜひモニタの再チェックを行うべきだろう。体調によっても聴こえ方は変わるだろうから、念を入れるなら毎日作業前にチェックしてもよいくらいだと思う。

また、これまでは手間をかけて補正した安物モニタで十分だったが、今回はモニタの信頼性を鉄板にしておきたいので、ヘッドフォンの購入も検討している。が、サウンドカード(サインスイープの上の方でチリチリとしたノイズを確認した)も買い替えが必要そうなので懐が寂しい。ちなみに、マーチンは盛大に音が漏れるヘッドフォンを(録音のときも)愛用しているので、筆者が今録音モニタに使っているSE-M390(ドンドンシャリシャリなので気持ちよく録れるし、ハットが前に出てくるので合わせやすいだろう)を使ってもらう手もある。


またVSTi発掘(09/04/29)

Phibesというドローバーオルガンが(筆者はNuBiLEがお気に入りなのでメインにはしないと思うが)いい感じ。Raspierというベースも、操作にクセがあるもののかなりいい音が出た。が、ベロシティを無視される(仕様なのか筆者の設定が悪いのか不明)ので真面目な用途には使えなさそう。

いやぁしかし、探しているのはシンセパッドとシンセストリングスなのだが・・・未整理フォルダのアーカイブを展開しては音を出して分類の繰り返しで、死蔵していた音源が出てきたのは嬉しいものの少々食傷気味になってきた(分類しないでごちゃ混ぜに放り込むのがそもそもマチガイではある)。せめて中身がベースなのかオルガンなのかくらいはわかるようにしておけばよかった。



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