筆者は大きな音が苦手なので耳栓を常備している。ライブなどに行くときも、小さなハコでかつ関係者に知り合いがいる場合以外は耳栓を使うが、普通の耳栓を使うとどうしてもf特が変わる。具体的には、高音域ほど減衰がキツくなり、会話に使用する1~2KHzあたりと低音域が抜けてくる。
ナチュラルなバスブーストとして楽しめない音でもないのだが、元音の低音がキツい場合はさすがにバランスが崩れる。まあ耳に詰め物をしている以上仕方がないのかなと思っていたら、なんと「音質を変えずに、音量だけ約20dB減衰させることができる」耳栓があるらしい(音楽専用ではない模様)。ETYMOTIC RESEARCHのER20という製品で、サウンドハウスが輸入代理店になってワンセット1500円で販売している。音質がまったく変わらないわけではないのだろうが、f特をあえて変えないというのは面白い発想である。
聴いたことがない人が多いと思うが、エレピの生音にはなかなか味がある。筆者が好きなのは、ローズタイプ(音叉に取り付けた鉄板を叩くことで音叉が震える)やエレクトリックグランドタイプ(鉄弦とピックアップがついている)ではなくウーリータイプ(鉄板をただ叩く)のものである。
ウーリータイプと書いたが、筆者が知っているのは(というか、国産でヤマハではなかった気がするので多分)カワイの製品だったはずで、チェレスタよりもおとなしく、もちろんピアノとも違う独特の響きがあって、とくにメロディ弾きしたときに非常に心地好かった記憶がある(筆者が持っていたわけではなく、sLyの実家にあったのを触らせてもらっただけ:どこにいったかわからなくなったらしい、もったいない)。
基本的にはピックアップとアンプを通す楽器なので、サンプリングものの音源にエレピの生音が入っていることはまずないだろうが、もし実機に触れる機会があったら、アンプのスイッチを入れる前にちょっと生音も聴いてみてはどうだろうか。
生まれて初めてグランドピアノを鳴らした。とりあえず鍵盤が重いが、思ったほどツラくはない。
鍵盤の目の前でピアノの音を聴くのも初めてだったが、少し離れて聴くのと比べて、意外なくらい「シンプルな」音だった(一応録音もしたのだが、そちらの音は鳴らしていたときの印象とはけっこう違う:あまりにヘタクソで恥ずかしいため公開はご勘弁願いたい)。安物のキーボードでデフォルト音色になっていそうな音というか、思ったほど複雑な響きのない音だった。
ついでで楽器屋にも寄ったので、電子ピアノの鍵盤にもちょっと触ってみたのだが、高級品でもグランドピアノのタッチとはそれなりに違うんだなぁ、と素人なりに感心してみた次第。多分、鍵盤の作りが云々という問題ではなく、出した音の響き方の問題なのだと思う(定位などと同じく、鍵盤のタッチも脳の高次野が担当しているため、指先からの情報だけで決定されているわけではない)。