ちょっと前から書いている曲が一応完成した(ウタ入りの古いデモと、ヴォーカルとギターがちょっとだけマシなもっと古いデモ)。
できれば各パートオーバーダブなしで録音したいと思っているのだが、そうするとそれなりに練習しなければならず、1つの曲をじっくり練習する根気のない筆者にはなかなか高いハードルになる。ヴォーカルはできればもう少し上手い人にお願いしてしまいたいところだが・・・。
ヴォーカルを1オクターブ上げた新しいデモができるにはできたが・・・トシなのでハイトーンにムリがありまくり。スタジオに入れば大声出せるのでもう少しマシになると淡く期待しよう。
ラストはエレキとユニゾンっぽくキメたいのだが、曲の後半になるとリズムがヨレヨレになってそれどころではない。左手もどんどんヘタレてくるし。もうちょい弾きやすいギターが欲しいかも。
ギターは半拍ハシって入るアップストロークにアクセントを入れているのだが、強いアップストロークは難しい。ダウンストロークなら力任せでもイケるのだが。
EマイナーのつもりでEm>Gと弾き始め、Dを鳴らしたところでふとAに行きたくなった。しばらくEm>G>D>Aを回しながら「ハーモニックマイナーならAは鳴るけどこれってDmajだよな」と一人ツッコミ。
循環に飽きたのでAの後Gに飛んでD、次どうしようかなと思っていたところ左手が勝手にCを押さえた。普段Gmajで弾くことが圧倒的に多いので、G>Dときたら条件反射でCに行ってしまったようだ。
とりあえず続けてBmを鳴らしてみたのだが、やっぱりDmajの調性に引っ張られてAでシメた。結局G>D>C>Bm>Aになる。CのところはEのトーンが欲しかった場所なのでAやEmに差し替えてみたがなんとなくイメージと違う(ギターだと押さえられないので後からMIDIを起こして確認したがC#φもダメ)。
G>DはSD>Tのつもりで使っているので一時転調はCから。BmはGmajで取ってもDmajで取ってもTで、両方の調性が決め手なく混在している状態だろうか(いわゆるゆるやかな転調)。真面目に考え出すとメンドクサイなぁ。
冷静に考えれば不思議でも何でもないことなのだが、まずはこのサンプルファイルを聴いてみよう。
2回鳴る音はどちらもサイレントギターの1弦開放と2弦開放で和音を作りライン録音したもの(ハイパス、ハム消しノッチ、ごく軽いオーバードライブを入れている)だが、最初の方は「打ち込みギターっぽい感じ」で、あとの方は「弦が2本そろって鳴ってる感じが強い」ように聴こえないだろうか。
実はこれ、最初の和音は1弦と2弦を別々に鳴らして後から(ちょっとだけ時間差をつけて)ミックスしたもの(つまり打ち込みでサンプリング音源を鳴らしたのと同じ状況)、あとの和音は普通に1弦と2弦をピッキングしたものである。
別に録音してミックスした方は、弦同士の相互作用がゼロでまったく独立して音が出ている(録音時に音を出さない弦はミュートした)ため、波形に妙な揺らぎが出る(サンプリング音源ではなくモデリング音源だとまた少し事情が変わってくるが、楽器のモデリングというのは難易度が非常に高い)。
録音レベルが厳密に揃っていないので参考までだが、スペアナ画像を重ねるとこんな感じになる(赤が別録音でミックス、青が普通に同時ピッキング:上記サンプルはmp3に圧縮した都合で高域が切れていると思う)。
同時ピッキングだと低音域の音程感がやや丸く、別録音ミックスだと高音域(とくに10KHzくらいから上)が強く出ている(ただし、サンプルがこれ1つだけなので、ピッキングやディレイタイムの都合でたまたまこうなった可能性は否定できない)。基底音(B3=246.9Hz)より下の音もやや違うが、160Hz以下はフィルタが入っている。
普段打ち込み中心で音楽制作を行っているが、生楽器は奥が深いなと改めて思う次第。もちろん、単音を複数回オーバーダビングして和音を作り、この「不自然な音」を積極的に活用することも可能である。
理由はまったくわからないのだが、マイナーキーでコードを回しながら鼻歌をつけると必ず井上陽水モドキになってしまう。何度やっても「陽水を半端にパクりました」と言わんばかりのメロディしか出てこないのはどういうメカニズムなのか。
悔しいのでスイングさせたメトロノームをモニタしながら再挑戦したが、どうやらV7>Imのところで陽水モドキになるらしい。キーをEmからAmに変えてテンポも少し落としてV7ではなくVmを使ってみたが、陽水っぽくはないもののやはり昭和の香り満載である(上記3つの録音をつなげたmp3)。
鍵盤で作ったメロディ(たとえば他のページで使ったこのサンプルも即興で作ったものだし、普通に書いた曲にもマイナーキーのものはある:これとか)はかなり違った傾向なので、作曲手順によって出てくるメロディが違うということなのだろう。
街まで出る用事があったのでまたピックを買ってきた。大当たりだったのがBig-West Creationのチタン製ティアドロップ(手元のPickBoy Carbon Nylon 1.14mmよりはわずかに厚いので、多分1.2mmだと思う)。ステンレス、銅、ニッケル、アルミ、穴空きタイプ、トライアングルタイプなど種類がたくさんあったが、一番硬く酸化などにも強そうな(メッキかもしれないけど)チタンにした。
これが大当たりで、ブラスチックピックとはアタック感が全然違う(想像に反して、弦に当たったときの音が甲高くない)。ちょっと忙しくなってきたのでまだラインの音は確認していないのだが、生音は非常によい。ただし、弾力性はゼロに近いのでピックをしならせるピッキングは当然できない。材質の違いでこれほど音が変わるのは意外だったので、次は木製なども試してみたい。
ついでに、前回も買ったサムピックErnie Ballを買い足した。これは改造用で、ピック部分をギリギリまで短くして「サムピックなしで弾いているのと同じ感覚で」サムピックが使えるようにしたものと、もう少し長く残して「ストローク弾きに移行したときアップストロークに支障が出ないギリギリ」を狙ったものの2種類にした。そのうち画像を掲載するが、短くする場合はとくに、親指先端側の側面を丸めないように切り取る必要がある(ここの角度が浅くなると弦をしっかり弾けなくなる)。
本当は山崎まさよしモデルのサムピック(普通のピックとサムピックを合体させたようなデザイン)も欲しかったのだが、売っていなかったのでPOPという似た感じのモデルを買ってきた。これは指に合わず、普通のピックとして使う角度とサムピックとして使う角度がうまく噛み合わなかった。今度オリジナルを試してみよう。
ちなみにBig-West Creation(会社名なのかブランド名なのか不明)は、PO-3Pという変態仕様(3箇所のカドですべてタッチが違う)のステンレス製トライアングルピックもラインナップしていた(現在は生産していない模様)。
今回買ったのは分厚いタイプ。紫檀(ローズウッド)、黒檀(エボニー)、牛骨、水牛の角。やたらと値段が高いので鼈甲は買わなかった(今回は目にしなかったが、大理石なんてのもあるらしい)。ちなみに、なんの断りもなく括弧書きで書いてしまっているが、紫檀は赤紫色の木材、ローズウッドは薔薇のような芳香のある木材を指し、概念としてかならずしも一致するものではない(ギターの材料でローズウッドといえばクスノキを指すのが普通:一方エボニーは黒檀と同じものを指しカキノキのこと)。
キャラはそれぞれかなり違う。材質の差もあるとは思うが、形状のバラツキも大きい(天然素材なので同じ材質の同じ製品でもかなり質や形状が違う:とくに木製のものはよく吟味して買った方がよい)。滑り止めと思われる掘り込みも形にかなりバラツキがあり、似たような厚さでも手に持った感覚はけっこう違う。熟練工が手作りする高級品の事情はわからないが、数百円クラスのものについては、そういったバラツキや遊びや偏りを積極的に楽しむ使い方が合うのではないかと思う。
厚く硬いものが多いため自然とピッキングがソフトになったり、弾き語りの場合はピッキングにつられて声までソフト傾向になったりする。輪郭がやや丸い音が出るのも影響しているかもしれない(硬さだけならチタンピックの方が上だろうが、あちらは輪郭の鋭いハキハキした音が出る)が、もしそうなら同じ形状の合成素材ピックでも似たような効果が得られるかもしれない(今度試してみる予定)。
録音などに使うかどうかは別として、気分を変えて弾いてみるための材料としてはなかなか面白い。
4/11に妙な調性のコードを回した話を書いたが、この進行でベースラインをイジろうと思ったところどうにも上手くいかない。知り合いのベテランベーシストに(最初のEm>G>D>Aの部分だけ)相談してみたところ、結論として「Emがトニック」というアドバイスを頂いた(曲名は失念してしまったが、キーだけ別で上記とまったく同じ展開をする有名曲があるそうな)。
近いうちにもう少し掘り下げて独立した記事にしようと思うが、これは単純に「筆者が調性を取り違えた」という話ではない。調性に限らず、解釈の問題は「展開に対してどのような可能性を期待するか」という問題と直結する。
筆者はEm>G>D>Aを2415と取ったが、前述のとおり、この解釈だとAがドミナントになってG>D>C>Bm>Aは軽い一時転調になる。一方EmをImに取ると1374-37654になり、AはEハーモニックマイナーでIVm add -11 omit 3thかEブルースメジャーのIVで3thナチュラルということになる。前者に取るとドミナントがB7になって面倒なことになるので、ブルースメジャースケールで取るのが自然だろう。
GをDへの、AをEmへのセカンダリードミナントとみなせば前半部分に必要なコードはEmとDだけになるため、解釈の可能性はさらに広がり、Emをトニック扱いできるものを探すと、Cmaj(Em=IIIm)、Gmaj(Em=VIm)、Emin(Em=Im)が挙がる(ただし、Cmajで取るとDの解釈が苦しいし、Aをセカンダリードミナントに取るとGmajはイケるがD>Aの展開がやはり苦しい)。
筆者はAのドミナント感にこだわりたいのでDとGに綱引きをさせる方向でアレンジを進めようと思っていたが、たとえばそこに第3勢力のEを登場させる案も魅力的である。このように、ある進行に対する解釈を複数提示できることがあり(とくにマイナーコードの役割が大きい場合)、ひとつの進行から多様な表現を引き出すことができる。