2014年7月更新。
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制作環境の要として地道に活躍するミキサー。
以下「N/Mch入出力」とあるのは「Nch入力とMch出力」の意、バスというのは「データの伝送路/経路/通り道」のことで、ミキサーの用語としては入力をグループ化(して出力)する単位を指す。横幅19インチ弱を境に、スモールミキサー(ラック幅より短い)、ラックマウントミキサー(当然ラック幅だが、縦が短い傾向がある)、ラージミキサー(ラック幅より長い)などと呼ばれることがある。スモールミキサーでも、アタッチメントを使ってラックマウントできる機種がけっこうある(ラックマウントミキサーと違い縦が長く3Uや4Uでは済まないが、奥行きは必要ないので、普通は大きく傾いたミキサー用のラックを使う:上部をミキサー用、下部を普通の機器用にしたケースをコンボラックケースと俗称する)。厳密な区別ではないが、PA用は左右独立のマスターフェーダー、スタジオ用は左右一体のマスターフェーダーを備えていることが多い。
スモールミキサーのローエンドではBEHRINGERのXENYX 1002がコンパクトタイプとしてまずまずの機能を揃えている(XENYX 1202は単純にモノチャンネルが増えただけ、XENYX 802は1002と外形寸法が同じでほんの少し軽く簡易キューボックスとしての利用を意識したような仕様)。ストレートフェーダーが欲しい場合、XENYX 1002B(電池駆動も可能なポータブル機)か、XENYX 1204USBまたはXENYX X1204USB(USB接続でサウンドカードとしても振る舞える:パソコンへのセンドはメインミックスとパラ、リターンはテープインと同じバス)あたりになるだろう。筆者はXENYX 1204USBを所有しているが、自宅環境の中心となるクラスの機器として十分な性能(ALTバスがあることで、凝ったことをやる場合の使い勝手が下位機種と決定的に異なる:メーカーはPA用途を意識しているようだが、マスターフェーダーは左右独立でない方が使い勝手がよかったと思う)。
1万円台はローエンドのホットスポットらしく、ヤマハのMGシリーズ下位機種とMACKIEのVLZシリーズが殴り合っているが、前述のXENYX 1204USBを含めベリさんのコストパフォーマンス押しも激しい。3万円前後はハイブリッド機が目立ち、MACKIEのProFXシリーズとYAMAHAのMG XUシリーズの競り合いを脇目にベリさんがXENYX QX2442USBとXENYX UFX1204(前者はPAミキサー、後者はレコーディングミキサーを意識した感じの作り:UFXシリーズのパラ出しの録音機能やEQバイパス機能は他のメーカーもぜひ真似して欲しい)をぶっ放している。5~6万円出せるなら、BEHRINGERのXENYX UFX1604(1204よりも充実したバスやトークバック機能を備え、イフェクタも2系統使える)、ヤマハやMACKIEの中級機(やはりブランド品は気分がよい)、SOUNDCRAFTのFXシリーズ(Lexiconのデジタルイフェクト搭載)、極限ローエンド(というかBEHRINGER)のアナログラージミキサーなどに手が届く。
ラックマウントのラインミキサーもローエンドはBEHRINGERが強く、RX1602 EURORACK PROは価格が安いだけでなくミュートボタンを搭載しており、入力もステレオ8系統(バランス受け、モノラルでも使用可)、モノラルのセンドバス搭載と利便性で押している。これに張り合っているのがARTで、とくにディストリビューションミキサーMX225は貴重なラインナップ、ラインミキサーMX622も思い切った構成、パッチベイも(普通のローエンドではベリさんとdbxに挟まれて苦しそうだが)コンパクトタイプをラインナップしてくれており貴重(筆者もT Pacthを所有している)。SAMSONも頑張っているようだが、国内では流通が少ない模様(ラインナップ自体はラージミキサーまで揃えている)。
マイク/ラインミキサーのポータブル機として、オーディオテクニカのAT-PMX5P(4/2ch入出力、約5×16×13cmの0.36kgと圧倒的に小型軽量、電池駆動可能、ライン/マイク兼用のTSジャック4つの他に常時プラグインパワーのステレオミニジャック1つとRCAジャック2つ、TSジャックの3~4ch/ステレオミニジャック/RCAジャックが排他利用)も用途によっては便利そう(前述のXENYX 1002Bよりかなり小さい)。
パッシブは、ARTのSPLIT Mix 4、DODのResistance Mixer 240、トモカのJK-3Mなど、意外と選択肢があるものの、入手性が悪くなってきたように思う。他のインプットへの逆流を防ぐため、チャンネルインプット>抵抗>合流>ミックスアウトプットという構造になっているものがほとんどで、ラインレベルの信号を扱うものだと思った方が無難(筆者が所有するREXERのMX-6も、ライン用に使った方が良好に機能する)。つなぐだけで使えることやコンパクトさがメリットになる一方、フェーダー操作が他のチャンネルに影響するという欠点があるのが普通(シグナルをグランドに落とす量と抵抗で削る量をうまくシンクロさせれば回避可能なはずだが、フェーダーが特注品になってしまうので現実的でないのだろう)で、性能的にはアクティブの方が有利。
キューシステムはBEHRINGERのPOWERPLAY16シリーズが圧倒的に安い。16ch(アナログorADAT)のインプットモジュールP16-Iから、Ultranetという独自のデジタル規格(ケーブルはカテゴリ5)でキューボックスP16-Mに信号を送る。子機を6台(ディストリビューターP16-Dを使わない最大接続)用意したとしても、ケーブルまで全部込みで15万円までかからない。しかもUltranetはバスパワー対応で、子機にはスルー端子とリモートコントロール用のMIDI端子もついている。やはり凄いのはUltranetデジタルネットワークの仕様自体で、2013年4月現在のマニュアルから数字を引用すると以下の通りである。
ようするに、ADATよりも安くてチャンネルが多くてケーブルが長くできてハブをかませる。
- デジタル プロセッシング
- A/Dコンバージョン:24ビット、44.1/48kHzサンプルレート
- コンバーター:24ビット、デルタ-ジグマ
- システム
- シグナル:16チャンネル、P16-M用バスパワー
- レイテンシー:<0.9ms(P16-I、16-M間)
- 周波数特性:20Hz-20kHz(+0/-3dB)
- ダイナミックレンジ:92dB typical
- ケーブル接続
- コネクター:RJ45
- ケーブル:シールドCAT5
- ケーブル長:最大246ft/75m推奨
専用に買う人がどれだけいるのか知らないが、探してみるとけっこう種類がある。
MIDDLE ATLANTICが出している大型デスクはエディットセンターと称しているようで、QuikLokは単にワークステーション、Studio RTAはレコーディングステーションと呼んでいる。エンジニアリングに特化したものと楽器演奏も考慮したものがあり、似たような机を自作している人もいるようだ。
同じ「ワークステーション」でも、ArgosyやKeoda(Eにアクサンだと思ったらアクサンなしが正式名称らしい)などが出している本気系の机(モニタスピーカの音を反射しにくいよう斜めになっているものがほとんど)はサイズも価格も段違い。Omniraxは手広くやっているようで、コンパクトステーションという名前で小さい製品を出している。
座奏用の椅子は、K&Mの14046と14047(14044と14045は旧製品の継続販売で、座ったまま高さ調節するための空気バネがついていない分ちょっと軽い:いづれも15000円くらいで、背もたれは別売りの14042または14043が5000円ちょっと)のほか、背もたれ標準装備の機種ではキクタニ(キクタニミュージックの自社ブランド)のKT-5302やZENNのHC1あたりか。ドラムスローンやキーボードベンチについては専用品が豊富にある。
座面の形状や高さや前傾、フットレストの有無や位置、設置スペースの取り方や脚の形状など、好みと都合に左右される要素が多いので、実物を見てから導入するのが無難だろう。
ラックもやはり、安いのはクラシックプロ。ラミネート仕上げ平積み台座なしのCRKシリーズと、カーペット仕上げ斜積み台座ありのCPSシリーズがある。なお、ラックマウント機材はたいてい、背面から見て左=前面から見て右に電源ジャックがついていることが多い(統一していないメーカーもあるし、TASCAMなどはあえて反対にしているようだ)。
比較的高価な機材をマウントするだろうから、あまりひょろ長いものは避けるのが無難だろう(倒れたら目も当てられない)。筆者は、平積み台座なしで幅50cmの奥行き40cmだとしたら、直置きで40cm(8Uくらい)、キャスター使用で30cm(6Uくらい)を限度にしたい(ただし直置きなら、耐震マットとか耐震シートとか転倒防止シールなどと称して売られている製品である程度のフォローは可能なはず)。
平積みか斜積みかの選択は好み。斜めだと床置きしたときに下段の機材を操作しやすいが、下段の奥行きが制限されることが多い。当然ではあるが、棚(シェルフ)とか引き出し(ドロワ)などをマウントする場合、斜積みだと棚や引き出しも傾く(傾けた方が便利な場合もあるだろうし、傾けて使う前提の製品もある:まあ、自宅で使うなら横にカラーボックスでも置けば問題ないのであまり気にしなくてもよさそうだが)。
台座は、強度(比較的広い面積で形状を支えられる)、下段機材の操作性、埃対策(地面から遠ざけられる)などで有利だが、ラック本体が大型化しがちである。机の下や横に置いて椅子に座ったまま操作したい、などといった事情があるなら、斜積み台座ありというのは便利そう。なお、机やサブテーブルの上に置くなら、スチール製のオープンラックという手もある。上面(トップ)と前面(フロント)の両方にレールがある機種は、上面にミキサーをマウントする前提のものが多い(別にミキサー以外のものをマウントしても構わないが)。
パワーディストリビューター(ラックマウントできる蛸足電源タップ)は1万円弱くらいがローエンド。パワーシーケンス(時間差をつけて電源のオンオフができる:たとえば、デジピ>アンプの順に電源を入れて逆順で電源を切るなど)がついた機種はやや高く、安定化電源(おもに真空管機器のために、電圧などを調整する:普通は「ちゃんとした」アースが必要)として使えるものはもっと高い。この2つの機能がいらないなら普通の蛸足電源タップをラックの後ろに転がしておいても大差はない(いづれの場合も熱がこもらないよう注意)。
最初に知っておくべきこととして、ライン用ケーブルとスピーカ用ケーブルはモノが違う。ライン用のケーブル(とくにバランス伝送用のもの)はシールドやツイストペアの信号線を備えており、微妙に抵抗にはなるがノイズに強い。またツイストペアの場合2本の導線の磁気的な結合が強まり、アンバランスステレオで使うとクロストークが大きくなる。スピーカ用ケーブルは4Ωとか8Ωとかいったローインピーダンス回路に数百ワットの電気を流す。このため少しでも抵抗があると発熱して、発熱で抵抗が上がって、さらに発熱する。絶縁が破損してショートしたり、燃え出したりする可能性がありたいへん危険なので、できるだけ抵抗が小さくなるよう作ってある(信号レベルがごく大きいのでノイズを多少拾っても大きな問題にはならない)。
ケーブルやコネクタは、激安品ならクラシックプロ、よいものが欲しければカナレ電気(高品質製品の定番)あたりのものが選択肢になるだろう。HOSAもケーブルやコネクタのラインナップが豊富(ローエンドではクラシックプロに負けない価格設定)。オーディオテクニカ、Sony、ビクターあたりもサプライ品を多数そろえている。
TRS(ステレオフォーン:3P)のジャックにTS(モノラルフォーン:2P)のプラグを差し込むとリングとスリーブがショートし、アンプやファンタム電源を破損する恐れがあるため注意が必要(ファンタムの場合最悪火災につながるのでしっかり確認すること:ドロップ抵抗が入っているため即炎上することは普通ないが、それでも危険なことに変わりはない)。トランスによるバランス出力をアンバランス変換する場合はコールドをグランドに落として(ショートさせて)やらないと、コールドが浮いて(未接続になって)ノイズが乗るし、トランスレス(オペアンプなど)でのバランス出力だとオープンにしないといけないものもあればショートを検出してコールドを切り離してくれるものもある(この辺がよくわからない人は下手な変換を噛まさない方がよい)。3PのXLR<>TRSの変換は、XLRの1番(グランド)がTRSのスリーブ、XLRの2番(ホット)がTRSのチップ、XLRの3番(コールド)がTRSのリングに接続されるものが多い(2番ホットと表示されているものはこの方式:もし3番ホットであれば2番と3番が入れ替わるが、1番がグランドでスリーブに接続されるのは同じ)。3PのXLR<>TSの変換は、TRS<>TSの変換と同じく(TSプラグのところで)リングをスリーブに落としているものが多いようだ。
マイクケーブルは、XLR3-11C(メス)<>XLR3-12C(オス)だとクラシックプロのMIXシリーズやカナレ電気のECシリーズ、XLR3-11C(メス)<>標準TSオス(2P)だとクラシックプロのMIPシリーズやカナレのPCシリーズあたりが候補になるだろう。MIX010とMIP010(両方1m)が700円くらい、EC01(1m:0.3mや0.5mのものもあるが、あまり値段は変わらない)とPC03(3m:以前はもっと短いものもあったようだが、現在のPCシリーズは3mが最短)が1700円くらい。ライブならともかく、録音では長いマイクケーブルを避けるべきである(1.5mかせいぜい3mくらい、生ドラムやグランドピアノなど大型の楽器に使う場合でも5mくらいまで:ヴォーカルやアコギなどに使う場合でDIやアンプを置く台があるなら30~50cmでもよい)。
XLR3-12C(オス)<>XLR3-12C(オス)のケーブルが必要な場合は、カナレ電気のEC-Xシリーズ(長さにより1700円前後)などがこれに当たる(オス-オスの激安品はあまりない模様:オス出しメス受けが一般的なのであまり使わないが)。なおキャノンコネクタは、本家ITT-Cannon製のものとNEUTRIK製の互換品(比較的安価)が大半を占める(多くのメーカーが、このどちらかに自社製ケーブルを取り付けてコネクタつきケーブルとして販売している)。
クラシックプロ/カナレ電気の製品だと、標準TSオス(2P)<>標準TSオスはGICシリーズ/LCシリーズ、標準TRSオス(3P)<>標準TRSオスはGSSシリーズ/SPCシリーズ、RCAオス<>RCAオスはCRRシリーズ/RCシリーズ、RCAオス<>標準TSオスはCPRシリーズ/QCシリーズ、XLR3-11C(メス)or XLR3-12C(オス)<>標準TRSオスはCXSシリーズ(XLRがメスのものはCXS010Fなど末尾にFがつく)/SPCシリーズ(XLRがメスのものはSPC01B1など末尾にB1が、オスのものはSPC02B2など末尾にB2がつく)があり、長さにもよるがそれぞれ500円前後/1500円前後。XLR3-11C<>標準TRSオスをマイクケーブルとして使う場合は、激安品を避けた方がよい。RCAケーブルは、オーディオテクニカ、ビクター、Sonyあたりの製品も入手しやすい。ラインケーブルならあまり神経質になる必要はないが、ギター/ベース~アンプの接続などにはそれなりに気を使いたい。
Y字ケーブル(1:2の分岐ケーブル)は結線に注意したい。とくにステレオ1本<>モノ2本のものは、ホットをパラレルに出しているものとホットとコールドを分けて出しているものがある。インサーションケーブルという表記があれば、TRSをTSとRSに分岐しているのだとほぼ確実にわかる(普通はリングが赤でチップが白:ピンプラグと同じ配色)。
インラインの単機能パッシブ機器には、グランドリフターとしてHOSAのGLT255、アッテネーターとしてクラシックプロのTXXシリーズやトモカのATシリーズ(オーディオテクニカやNEUTRIKのほか、SHUREなども出している)、位相反転(というかクロス結線)としてクラシックプロのAXX212やHOSAのGXX195やトモカのADREVなど、オンオフスイッチとしてHOSAのGMS274などがあり、BNC<>RCAのインピーダンス整合器あたりは各社から豊富に出ている。
重要な情報:
特定の製品(純正品や社外指定品)を使うよう指示がある機器は、指定のACアダプタで電源供給してください。たとえ使用に差し支えないように見えても、電源変更によるリスクは消えません。また十分な知識と技術がない人は以下の実験や運用方法を真似しないでください。
非常に重要な注意:
パラレルケーブルやハブを使うと、危険な接続が簡単に生じ得ます。
一斉給電を安価に行うためのチョイスとして、まず挙がるのは大容量ACアダプタとデイジーチェインケーブル(パラレルケーブル)の組み合わせで、アダプタにはCUSTOM AUDIO JAPANのPB12DC9-2.1、VISUAL SOUNDの1 SPOT 9V AC-ADAPTER、ローランド(BOSS)のPSA-100Sなどがあり、どれも2000円前後。ケーブルはIBANEZのDCシリーズ(DC3で1500円くらい)、Danelectrode(Evets)のDA-5(1000円くらい)、キクタニのDC-5(500円くらい)がある。ショートなどが起きるとコトなので、ケーブルは丈夫なものを選びたい。
上記に準じるチョイスとして、アダプタとケーブルがセットになったBEHRINGERのPSU-HSB-ALLがあり、ケーブル込みで2500円程度と安い。筆者も所有してはいるが、デイジーチェインケーブルが(からまるし、ショート防止のキャップもなくすし)好きでないため、PSA-100SにハブとしてCUSTOM AUDIO JAPANのPBHUB6-C(これも2500円前後で、分岐ケーブルよりはやや高い)を追加して使っている(荷物を減らせるのでPSU-HSB-ALLは出先用にした)。だいたいの目安として、この手の給電は2500~5000円くらいあれば可能で、費用と設置スペースの面で優位性がある。
それに対して、1万円前後の価格帯まで手を伸ばすと、VOCUのBaby Power PlantシリーズやPROVIDENCEのProvolt9 PV-9(どちらもDC12V入力、アダプタ付属)、CUSTOM AUDIO JAPAN のAC/DC STATION Ver.2(AC9-12V入力、アダプタ別売AC12V ADAPTER)、ARTECのCPB-12 Power Brick(DC15Vの専用ACアダプタ付属)、GUYATONEのPower Gang AC-106(電源内蔵でコンセントにつなぐだけ)など、本体でDC9Vを作る機種が増える。似たような出費で縦並びのタコ足タップとPSA-100Sを4つ(タップの真ん中用)とPSUSBを2つ(両端用)買えるので、サイズのコンパクトさはともかく、性能面でどれだけの優位性があるかは不明(言うまでもないが、別アダプタで給電すれば完全独立レギュレートになる)。
中間価格帯にMAXONのPS/PDシリーズがあるのだが、ラインナップがちょっと不思議。PS2のマニュアルに「ACアダプタAX2009、パワーディストリビュータPD2とDCコードから構成」とあるので、PS2とPD2の違いはすぐわかる(ACアダプタがセットになっているかどうかだけ:AC2009はDC9V2A出力)。PD-01にもAC310というアダプタが付属しており、これがDC10V300mA出力である(2012年3月現在の本家サイトに「『DC 9V』または『DC10V』のACアダプタで動作」とある)。LEDもあるし入力ジャックも指定されているのでダムハブではないのだろうが「ACアダプタに電圧安定回路を内蔵」とあるので、安定化はアダプタに任せているのだろう。
さらに変わっているのはイケベ(Noah'sark)のAC/DC-1で、普通のタコ足コンセント(3P)にDC9VとDC12Vもオマケでつけた格好(一括スイッチつき)。1万円くらいするし、DC出力は実際に試してみないと使い勝手がわからないが、便利そうなのでちょっと欲しい(普通のコンセントがついているので、デリケートな機種や電源ラインにノイズを撒く機種だけ別アダプタで運用できる)。1万円を越えるチョイスだと電圧調整などの付加価値がついたものが多い。
スタンド類は、マイクスタンドが重要なのはもちろん、スピーカなど直接音が出るものの場合は音質に、鍵盤などスタンドに乗せたまま演奏する楽器では演奏フィールに影響するため、そこそこのものを使った方がよいと思う。反対に、ギタースタンドなどはさほど神経質に選ばなくても大丈夫だろう(倒れたり楽器に傷をつけたりさえしなければ)。
マイクスタンドは標準ブームの普及品が4000~5000円くらいで買える。ブームかストレートかの選択は基本的に、マイクの真下にスタンドの脚やポールがあって邪魔でないかと、可動域をどれだけ取りたいかが問題になる(どちらでも構わないなら、構造がシンプルな分ストレートの方が耐久性の面で有利)。結局は三脚の標準ブームが無難なのだが、卓上スタンドに面白い製品がいくつかあるのでちょっと挙げてみよう。
マイクホルダーは普及品が500円前後なので適当に選べばよろしかろう(製品の質がどうこうよりも、マイクに合ったものを選ぶのが第一)。サスペンションホルダー(ショックマウント)はコンデンサマイクでなければ必須でないが、使うなら純正品が無難か(クラシックプロのMS40やAKGのH30など、面白そうな製品がないわけではない)。
マイクスタンドのアクセサリで面白いのはK&Mの製品。ペン立て、灰皿、タバコ入れ、ドリンクホルダー、携帯電話ホルダーなど何でもアリ。自宅でチマチマとアイディア出しをやっているときに、あったら便利そうなものが揃っている。ヤマハのスピーカマウントアダプタBMS10Aなんかも面白い。
ケース類は、ハードケースの方が当然丈夫だが、それなりに重いし値も張るので覚悟しておこう。譜面台やら椅子やら足台やらは好みで選んで差し支えないだろう。クリーニング用品は、どれでもあまり変わらないのだろうが一応楽器用/電子機器用のものを使おう。
ファンタム電源はBEHRINGERのPS400 MICROPOWER(ACアダプター動作のみ)が1chで2500円くらい、ARTのPHANTOMII(ACアダプターもしくは付属の9Vバッテリーで動作)が2chで5000円くらい(本格的な製品は1chあたり1~2万円くらいするが、一般人にはほぼ必要ないだろう)。デシケーター(コンデンサマイク保管などに使う除湿箱)は小型のものが2~4万円くらい。