リンクは既出のものも再掲し、代理店や日本法人ではなくメーカーの本家ページを優先した。
スタジオ(自宅スタジオレベルかレコスタレベルかを問わずに)を作ろうとしたときに、一社の製品だけでイケそうな(と筆者が勝手に印象を持っている)メーカー。
Sony(製品一覧、業務用製品):マイク・ヘッドフォンの大手。東京通信工業という会社が前身。MDの規格や、Philips Electronicsと共同でCD規格の策定をした。モニタヘッドフォンMDR-CD900ST、録音機デンスケ、オーディオプロセッサPCM-1、デジタルMTR(オープンリール式)PCM-3348のほか、ウォークマン、アンプTA-F333ESX、高級オーディオブランドESPRIT(なかでもスピーカAMPシリーズ)、スピーカSS-Gシリーズ、テープデッキTC-Kシリーズなどが有名。映像分野の製品も多い。2009年現在、昔ほどトガった製品を出さなくなり、ラインナップの整理も進んでいるが、PCM-D1PROなど「Sonyしか作らなさそう」な製品もまだ販売している。東京都。
オーディオテクニカ(製品一覧、業務用製品):マイク・ヘッドフォンの大手。レコード針(カードリッジ)の生産から始まってヘッドフォンやマイクも扱うようになったらしい。オーディオコンバータ、アンプ、ケーブルやプラグなどのサプライ品も豊富に提供している(日本ではこの会社しか扱っていない貴重なラインナップも多い)。ローエンド~ミドルレンジに安定した製品供給をしており、CDショップの試聴コーナーなどでヘッドフォンやヘッドフォンアンプが使われているのをよく見る。ローエンド製品はどれも無難なデザインで、耐久性に定評があるものを選べば、十分な機能を低いトータルコストで得ることが可能だろう。もちろんハイエンドにも多数製品を出している。2009年現在、コンデンサマイクやミキサなど、ラインナップの整理が進んでいる。東京都。
M-AUDIO(製品一覧):Avid Technology(もとは映像編集機器屋さんらしい:Pro ToolsのDigidesignも傘下にしている)のビジネスユニットだったが、2012年にinMusic(AlesisやAkaiなどを買収したグループ)に売却された(Fast Track系の製品だけAvidの管轄に残したらしい)。マトモな仕様情報をちゃんと出してくれるという意味ではヤマハに次ぐ親切メーカー。製品のデザインや作りとは関係ないが、公式サイトの「高解像度製品画像」がヤケクソなほど高解像度だったりする(きっとハイスペックなデジカメを使っているのだろう)。アメリカ。
BEHRINGER:創業者のユーリベリンガーさんが1000ドルの機材をバラしてみたところ「中身100ドルやんけ」ということに気付き、最初は自分用にコピっていたものがバンバン売れ出したので会社にした(本家サイトの紹介に「One day I opened up a signal processor of an established brand and I realized that despite a selling price of $ 1,000, the components inside were just worth $ 100.」とある)という根っからのパチモノメーカーで、2011年現在も有名メーカーの有名製品と「だいたい同じモノ」を大量にラインナップしており、またネーミングがステキである(ONYXのパクリでXENYXとか、SM58のパクリでXM8500など:そんなベリさんもついに、SAMSONにペンシルマイクC02をぶつけられる日が来たが、これまでの所業が所業だけに文句も言えまい)。ただし「Double the Features at Half the Price」がモットーなので、デッドコピーを追求しているわけではない(デッドコピーしたら性能2倍にならない)。一部の製品では内部構成の変更が頻繁で、ロットによって別回路になっているものがある模様。スタジオ用製品だけでなくPA方面にも積極的。あまり有名でないがデジピやエレキギターも販売しており、直接USB出力可能な変態プリアンプ搭載ギターもある。マニュアルの記述がいい加減で「Noise 100dBu」(DI120のUser's Manual version 1.0 october 2002より)などステキな表示がある(毎回お約束のプラグ形状説明はいらんから仕様の数字を正確に書いてくれ、と思わずにいられないがベリさんなので仕方ない)。2010年現在、設立者のベリンガーさんが立ち上げた持株会社MUSIC Groupのブランドの1つになっている(2008年に立ち上げられたチューブアンプブランドBugeraのほか、2009年にラージミキサーのMidas ConsolesとラックイフェクタのKlark Teknikが、2012年にはPAスピーカのTurbosoundもここの傘下になった)。BEHRINGER自体はドイツの会社だが生産拠点が中国広東省中山市にある。
楽器メインでなく、複数の方面にわたるラインナップを持つメーカーorグループ企業。
TASCAM(製品一覧):ティアックのスタジオ・レコーディング機器ブランド。もともとは放送用の音響機器を扱っていた(設立当初の社名は東京テレビ音響:初期にはヤマハの研究部門としての業務を引き受けたり、IBMの委託でFDDを作ったり、ソニーと映像関係の会社を共同設立したりしていたらしい)。技術力はあるのだが「ウケ狙い」が恐ろしくヘタである(2010年ごろからローエンドでウケそうなラインナップが増えてきたが、筆者としては、旧来の鈍臭いスタイルも残して欲しい気が少しだけする)。不要な機能を削ってコストを下げたらユーザーに受けなかったというパターンが多々見受けられ、この辺のセンスはアメリカっぽさを感じさせる(TASCAM製品の開発は主に海外でやっているようだが、それがアメリカなのかどうかは不明)。MTRは老舗中の老舗(オープンリール式のTEAC A-3340Sはそれまで高価で特殊な機器だったMTRをスタジオに普及させ、テープ式のTEAC 144 Portasutdioでアマチュアミュージシャンにも手が届くものになった)。2010年現在は海外製品の輸入販売と自社製品販売を半々くらいで行っているようだ(2003年に上場廃止した後、損保代理店、ストレージ、映像機器などの部門を立て続けに売却したが、2008年現在は少し落ち着いたようである)。2013年3月(譲渡終了は5月らしい)にギブソン傘下になったが、記者会見の冒頭で両社のトップが背広にグラサン姿でギターセッションをするという暴挙に出た(ギブソンのCEOはファイアーバードに手を入れたようなギター、ティアックの社長がレスポールらしきギター、アンプはどちらもエピフォンのBlues Custom系に見えた:Daisy Rock GuitarやGA-100CDはさすがに持ち出せなかったか)。2020年にエボリューション・フィナンシャル・グループの投資会社エボファンド(EVO FUND)に売却された。東京都。
FOSTEX:フォスター電機(設立当初の社名は信濃音響研究所)が設立した子会社だったが2004年に親会社と合併したらしい。スピーカの製造から始まって、マイクなど他の製品にも手を広げていった(合併前の親会社はマイクやスピーカがメインだった模様)。スピーカとレコーダーに強く、ポータブルな業務用音響機器も扱っている。MTRもオープンリール時代から作っている。ホームオーディオ方面では「夢のハイエンドを考えられないような低価格で」投入することがけっこうあるが、普及品と混ぜて売るので存在感が独特。技術力とニッチ志向の相乗効果で異彩を放ちまくっている製品も多く、2010年くらいからはコンシューマオーディオにも変態デバイスを投入し始めた。東京都。
Harman International:旧ジャービス・コーポレーション(Jervis Corporation)。AKG、JBL、dbx、Lexicon、Crown(アンプ)、Soundcraft、Studerをはじめ、ハーマンさんという人が設立したらしいharman/kardonというブランド(見た感じスピーカがメインっぽい)なども傘下に置く。BSS Audio、DigiTechといったブランドもこのグループが展開しているらしい。他のグループ企業と比べて、各ブランドの連携(dbxのコンプをLexiconのプロセッサに積む、SoundcraftのミキサーにLexiconのプロセッサを積むなど)に積極的なようだ。アメリカ(日本法人はハーマンインターナショナル)。2017年に韓国のサムスン電子(三星)の完全子会社になった(買収直前の2016年の数字で、カーオーディオブランドとして世界シェアが40%を超えるとか、カーオーディオ関連の売り上げがグループ内で3分の2を占めるとかいう話があったので、自動車技術のホルダーとして買われたのだと思う)。
LOUD Technologies(ブランド一覧、MACKIE製品一覧):旧Mackie Designs、創業者のGreg Mackieさん(元ボーイングの社員だったそうな)は2003年にSun Capital Partnersという投資会社に事業を売却、2006年まで顧問を務めて退いた。2012年現在はMACKIE、AMPEG、CRATEなどのブランドを扱っている。以前はTAPCO(これもMackieさんが設立した会社で、ローエンド部門的な存在だった)も子会社にしていたが、いつの間にかブランドが消滅した模様。2015年追記:最近のMackieのローエンド戦略というか売り方のノリ(VLZ4シリーズなんかでは例の“戦車級に頑丈な”という売り文句が復活して、プロモーションビデオで車に踏ませたりしてる)を見るに、ぜったいTAPCOの中の人が噛んでいると思う。アメリカ。
HOSA(製品一覧):DI、アンプ、サウンドカード、マイク、ミキサ、スピーカ、PAシステム、各種サプライ品などを扱っている。とくにケーブル類や変換アダプタ類は、貴重なラインナップ(ミニステレオフォンメス<>標準ステレオフォンオスのケーブルとか、モノラルピンメス2本<>ミニステレオフォンオスのアダプタとか、安価なデジタルケーブルとか)が多く、しかも安い。ベルデン(アメリカの有名なケーブルメーカー)の製品も扱っている。アメリカ。
CLASSIC PRO:メーカーというよりは流通業者かVARベンダー(他のメーカーから製品を買ってきて、ある程度手を加えて、自社製品として出す)に近い印象で、サウンドハウスの独自ブランドという説明が多いが、関連会社なのか本体のブランドなのか不明(サウンドハウスの独自ブランドは複雑で、PLAYTECHは関連会社、ZENNは中国のメーカーで代理店のような扱いという説明も見たことがあるが、実際どうなのか筆者は知らないし、サウンドハウスブランドで売っている製品もあり正直わけがわからない:サウンドハウスの「プレゼントコーナー」がPLAYTECHのアウトレット処分場になっているのはちょっと微笑ましい)。スピーカ、単品のスピーカユニット、マイク、アンプ、ケーブル、アダプタ、ラックケースなどを大量に扱っており、とくにローエンドのラインナップは圧倒的で、CPシリーズや業務用コネクタなどPA用の製品が多い。多分千葉県。
楽器が主力のメーカーだが、デジタルオーディオ系との線引きは筆者の印象でテキトーにやった。
ヤマハ(製品一覧):グランドピアノからサウンドカードまで何でも作る。部品供給や仕様情報の充実度ではブッチギリの親切メーカー(マニュアルライブラリーひとつとっても他のメーカーとは格が違うし、ヤマハミュージックリースという関連会社で音レントというこれまた凄いサービスを全国展開している)。1880年代後半から輸入オルガンの修理(と後に自社製作)を行っていたらしく、1987年までは日本楽器製造という社名だった(今でも「ニチガク」と呼ぶ人が少数ながらいる:ヤマハは創業者の苗字から取ったブランド名で、最初期には山葉風琴製造所という社名だったらしい)。カワイの創業者である河合小市さんも元ヤマハ(当時ニチガク)の社員。MIDIのXG規格を策定した。工作技術そのものが高く、コンピュータ部品もLSIレベルから高品質なものを作っている(CDドライブやHDD磁気ヘッドはもう生産していないが、ハイエンドルーターはいまだに人気:もっと前にはMSXの互換機も作っていた)。圧倒的な企業規模と技術力のためか常に「上から目線」なところがあり、ハイエンドの製品では「これはこうやって使うように」と言わんばかりの構成で押すし、ローエンド製品のデザインでも「世間では騒がれるが実用上重要でない機能」をシレっと削ってくる(この辺の気質は好みが分かれるところだろうが、筆者は嫌いでない)。名機と呼ばれる製品は数が多すぎて書ききれないくらいある(中でもFMシンセDXシリーズのインパクトは大きかった)。ヤマハミュージックトレーディングという関連会社でマーシャル製品やモジュラス製品の代理店なども行っている(なぜか和楽器の取り扱いもここ)。80年代くらいから多角経営のやりすぎでいろいろと苦しいらしいが、本業では2005年にPinnacle Systemsの子会社だったSteinberg(Cubaseなどを作っている会社)を買収してパソコンとの連携強化を進めている。静岡県。
KORG(製品一覧):電子楽器メーカーで、海外製品の輸入販売も行っている。社名からわかるようにもともと電子オルガンを作っており、1980年代からヤマハの資本が入っている。1963年のアナログリズムマシンDONCA MATICが最初の製品だが、これは大好評だった(今でもリズムマシンをドンカマと呼ぶ人がいる)。思いつきだけで作ったようなイロモノ・キワモノ製品も多い。MSシリーズやPolysixなど、それまでプロ専用だった機材をアマチュアの手が届くものにしたり、M1のように制作環境全体を視野に入れた発想力で、個性ある(ときにはドギツい)製品を数多くリリースしている。1992年にRose Morris(イギリスの大手楽器店)からVoxブランドを買収した(Vox自体はもともとJennings Musical Instruments(後にJennings Musical Industriesに改称=JMI)のブランドで、1968年前後の経営上のゴタゴタを経て1974年にCBS Arbiterが取得、1978年にRose Morrisが引き継いでいた)。2014年のニューアルで公式サイトが絶望的なほど見難くなったのはどうにかして欲しい。東京都。
ローランド(製品一覧):1973年(設立は前年)にシンセサイザーの製作から出発した電子楽器メーカー。シンセ以前にもアンプやイフェクタを作っていたらしいがよくわからない(リズムマシンのTRシリーズが最初の製品だとする解説もある)。エース電子工業(ACE TONEブランドでの自社製造やハモンドのOEMなどをやっていたメーカーで、阪田商会(旧称阪田インキ製造所、現在のサカタインクス)が出資した会社らしい)の創業者が再度独立するような形でできた会社だとかなんとか(未確認)。MIDIのGS規格を策定した(GS音源の互換品がSW SynthとQuickTimeで採用されており、パソコン用MIDI音源のデファクトスタンダードになっている)。メインブランドのRoland以外に、Edirol(edit + Roland)やRSS(Roland System Solutions)などのサブブランド、RODGERS、Boss(OD-1やDS-1のメーカー)など買収企業のブランドでも製品を販売している(Cakewalkは2013年にギブソンに譲渡)。大胆な製品デザインでユーザーに優しいのか厳しいのかよくわからないのがご愛嬌。リズムマシンTRシリーズやデジタルレコーダーVSシリーズで有名。もとは大阪府の会社だが2005年に本社を静岡県に移転した。
Gibson Guitar Corporation:ギターメーカーだが、他メーカーの買収に意欲的でものすごく手広い。公式サイトの「GIBSON BRANDS CELEBRATES 120-YEAR LEGACY OF EXCELLENCE AND INNOVATION, DEBUTING MOST EXCEPTIONAL GUITARS EVER CREATED AT 2014 NAMM SHOW」という記事で挙がっている名前を引いてみよう。
(略)a premier portfolio of brands-including Gibson, Epiphone, Dobro, Valley Arts, Kramer, Steinberger, Tobias, Slingerland, Maestro, Baldwin, Hamilton, Chickering, Wurlitzer, Cakewalk, KRK Systems, TASCAM, Cerwin-Vega!, Stanton, Onkyo, Integra, TEAC, TASCAM Professional Software, and Esoteric.なんだかもうやけっぱちに近い。ギブソン自体は69年からECLのCMI部門傘下、74年からNorlin Musical Instruments(Norlin Industriesの楽器部門:ECLのトップNortonさんとCMIのトップBerlinさんの名前をくっつけたそうな)の子会社になる。同じく74年にナッシュビルへの移転が始まり、75年に新工場が完成、カラマズー工場は特注品のみの生産に移行した後84年に閉鎖。このとき従業員の一部が独立しギブソンから工場などを買い取りHeritage Guitarsが設立される。86年にはHenry Juszkiewicz、David Berryman、Gary Zebrowskiらに売却された。頑張りすぎたのかその後経営が悪化し、2018年5月に米連邦破産法第11章(日本の民事再生法に相当)の適用を申請、2018年11月に投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)傘下に入り、CEOもJames Curleigh(ジーンズのリーバイスで有名なリーバイ・ストラウスの元幹部らしい)に交代した。2020年にはティアックを売却したり、Heritage Guitarsに訴訟を起こしたりしている。アメリカ。
Kurzweil Music Systems:本文では紹介していないのだが面白い会社なので。レイモンドカーツワイルという人が創業者で、Technological Singularity(科学技術が指数関数的に発達するというLaw of Accelerating Returnsが有名:Moore's Lawの応用らしい)の提唱者でもある。創業前は視覚障害者用の読み上げ機を手がけていたそうな。会社自体はシンセ/デジピのメーカーで、デジタルイフェクタも有名。もともとアメリカの会社だったのが、1990年にYoung Chang(詳細不明だが韓国でトップシェアのピアノメーカーらしい)に買収され、2006年にはYoung ChangがHyundai(現代)に買収された(2010年現在の製造部門はYOUNG CHANGが担当している模様)。
CREATIVE:サウンドカードSound Blasterがトップシェアだが、E-MU製品の販売なども行っているし、デスクトップスピーカ・ヘッドフォン・ポータブルオーディオなどにも積極的。本業のサウンドカードについては、ハードもドライバもまずまず堅実な作りだと筆者は思うが、ドライバのインストーラーとオマケソフトのグダグダぶりは2014年現在も相変わらず。日本法人のクリエイティブメディアはI-O DATAとの合弁会社。シンガポール。
E-MU Systems:シンセサイザーやデジタルオーディオを扱っており、サンプラーの老舗でもある。1993年にCREATIVEの傘下に入った。アナログシンセAudityやデジタルサンプラーEmulatorシリーズなどが有名。アメリカ。
ZOOM:デジタル音響機器メーカー。1983年設立のメーカーで、海外製品の輸入販売も行っている。生真面目な品質追求と全部盛りデザインが絶妙なキャラを演出していたが、2010年前後からやたらと気の利いた製品(Rシリーズ、Qシリーズ、GとBとAシリーズなど)を立て続けにリリース、マーケティング方面でもアーティストモデルをこれでもかと連発し、2012年12月現在公式サイトの「アーティスト」ページには100人近い登録がある。面白いのはアメリカのSAMSON(現在は輸入販売なども多く手がけているが、もとはワイヤレスマイクの会社:名前が似ているが、ハーマンを買収した三星(Samsung)とは無関係)との関係で、SAMSONはアメリカでHartke(アメリカのベースアンプメーカー)とZOOMの代理店を、ZOOMは日本でHartkeの代理店をやっている。東京都。
Alesis:ミキサ、MTR、デジタルドラムなどを作っている。ADATオプティカルの仕様を策定した。2005年に破産宣告を受けたアカイ・プロフェッショナルが日本代理店だったが、現在はプロ・オーディオ・ジャパンが引き継いでいる。
Line6:ギター用のイフェクタ、モデリングアンプ、サウンドカードなどを作っている。日本国内の代理店がよく変わる(KORG、ティアック、ヤマハなど)。アメリカ。
Neumann:コンデンサマイクメーカー。U 87で有名。1991年からSENNHEISERの子会社になっており、1992年からは国内販売もゼンハイザー・ジャパンが行っている(以前はエレクトリが扱っていた)。2000年には測定機器部門が独立(management buyout)してNTi Audio AG(リヒテンシュタイン)になっている。ドイツ。
SHURE:マイクメーカー。SM57/58で有名。1925年に無線機器メーカーとして創業、1929年にマイクの販売代理店になり、1932年からマイクメーカーに、1936年にはコンデンサマイクも発売する。設立年不明だがシュア・ジャパン・リミテッドという日本法人があり、業務用はヒビノインターサウンド、楽器店系はオールアクセス、コンシューマ製品は完実電気の扱いになった模様。石崎電機製作所が展開するはんだごてのブランドSUREとはまったく関係ない。1990年からワイヤレスマイク、1996年からDSPイフェクタ、2006年から高遮音イヤフォン、2009年からヘッドフォンと、新規分野への参入にも積極的。アメリカ。
SENNHEISER:ヘッドフォンとマイクのメーカー。マイクはコンデンサ式とダイナミック式の両方を扱っている。バスドラ・タム・ベース/ギターなどによく使われるMD-421や、超指向性のガンマイクMKHシリーズが有名。音楽用でない製品(おもにヘッドセット)はSennheiser Communicationsという会社(なぜかデンマーク)から出している模様(航空機用ヘッドセットHMEC 46-1-KPなんかは、どう考えても音楽用ではなさそうだが本家SENNHEISERの扱い)。ドイツメーカーの気質なのか、製品のコンセプトのシンプルさ(というか「ここで勝負する」という意図の明確さ)が目に付く(デザインが決まった後に、設計と精度で押し切るか生産と流通で押し切るかというのがベリさんとの違い)。日本ではゼネラル通商(2011年に倒産)が代理店だったが、2012年現在はゼンハイザー・ジャパン(2007年設立)が扱っており、子会社であるNeumann製品の扱いもここ。ドイツ。
Bose:スピーカとアンプのメーカー。業務用スピーカの101/201/301が有名だが、リスニング用ヘッドフォンのTriPortも秀逸だった(いづれもクセのある音だが筆者は好き)。アクティブノイズキャンセリングに力を入れている。アメリカ。
AKG:ヘッドフォンとマイクのメーカー。1947年設立、1993年からハーマン傘下。設立当初は映画制作用の音響機器がメインで、社名もAkustische und Kino-Gerate Gesellschaft(本来はGerateのaにウムラウトがつく:英訳するとAcoustic and Cinema Equipment)だったらしい(現在の社名はAKG Acoustics)。スタジオ用ヘッドフォンはヨーロッパで人気がある。音も筆者好みだが、仕様情報の親切さや耐久性をちゃんと考えたデザインが好印象。マイクはコンデンサ式とダイナミック式の両方を扱っている(最初期の製品がダイナミックマイクだったそうな)。オーストリア。
CAD Audio:変わったラインナップが多く、USBマイクやUSBヘッドセット、ノイズキャンセルイヤフォン、安価なリボンマイク、クラシック用オーバーヘッドマイクなどを扱っている。元はマイクメーカーらしい。アメリカ。
AUDIX:マイクメーカー。指向性のキツいマイクやワイヤレスマイクが得意で、ステージマイクなどに力を入れているらしい。アメリカ。
JTS:マイクメーカー。楽器用マイクやワイヤレスマイクが得意な模様。台湾。
JBL(業務用機器部門とホームオーディオ・カーオーディオ部門):業務用スピーカの老舗で、映画館やPAなどによく使われる。アメリカ。
ITT-Cannon:キャノンコネクタを開発したCannonという会社がITTに買収されてITT-Cannonになった(コネクタは現在も製造している)。カメラメーカーのキヤノン(Canon)とは綴りが違う。
NEUTRIK:ケーブルやコネクタなどのオーディオサプライ用品のほか、以前は測定用機器も扱っていたようだ。キャノンコネクタの安価な互換品で有名。AKGとつながりがあるらしい。リヒテンシュタイン。
カナレ電気:電子機器メーカーで、オーディオサプライ用品を豊富に扱っており、ケーブルやコネクタなどは定番機材になっている。仕様をきっちり表示してくれているのがありがたい。神奈川県。
モガミ電線:名前の通りケーブルメーカー。長野県と東京都を中心にグループ企業として活動しているらしい。
オールパーツ・ジャパン:ギターやベースの部品を圧倒的な手広さで扱うAllpartsの日本代理店。多分東京都。
Texas Instruments:通称TI。ICとDSP(digital signal processor:デジタル信号を処理するチップ)を製造している。ICに関しては通称キルビー特許の裁判で知られる(サブマリン特許問題が顕在化するきっかけになった)。DSPだとTMS32010という製品が有名。最近は電卓、プロジェクター、ミサイルなどを作っているらしい。FireWireのデジタルオーディオ機器などは、推奨動作環境として「TI製のチップを搭載したFireWireホスト」を指定しているものが多い(TI以外のチップでは動作保証しないものもある)。DAコンバータやADコンバータなどのチップも作っている。アメリカ。
Intel:言わずと知れたCPUとチップセットの会社。USBのホストコントローラ規格であるEHCIやxHCIを策定した(音楽用では使わないだろうが、ワイヤレス規格のWHCIもある)。コンピュータ用オーディオの規格であるAudio Codec 97(AC'97)やHigh Definition Audio(HD Audio)もインテルが策定したもの。アメリカ。
Realtek :カニのマークで有名なICメーカー。パソコン用のオーディオコーデックチップのほか、ネットワークコントローラチップでもトップシェア。台湾。
その他のICメーカー:高級品のDAコンバータやADコンバータなどに使われるものとしては、旭化成エレクトロニクスやcirrusなどが有名。自社で作っているところもある。
トモカ:販売店。音響機器や映像機器中心に扱っており、自社ブランド(TOMOCA Products)も展開している。東京都。
秋月電子:販売店。電子部品とキットのラインナップが豊富。東京都。
荒井貿易:自社ブランドのARIAのほか、Legend(ギターとベースのコピーモデルなど)やBlitz(ギブソンのエレキのコピーモデルなど:ロゴにby AriaproIIの文字が入っている)やARION(コンパクトイフェクタなど)の製品、各種輸入楽器も扱っている。愛知県。
ヒビノプロ:業務用オーディオ製品を手広く扱っていたが、2009年1月からヘビームーンという子会社をヒビノインターサウンドと改称して代理店業務の一部を移管した(ハーマン傘下ブランドの扱いは本社に残したようだ)。HIBINOという自社ブランドで音声編集ソフトなども販売している。
inMusic:詳細不明。2000年前後にAlesis、Akai Professional、Numark、ION Audio、Alto Professional、MixMeisterなど(ようするに、日本でプロ・オーディオ・ジャパン(2011年にニュマークジャパンコーポレーションに名称を変更)が扱っているブランド各種)の親会社になったようだ。Jack O'Donnellという人が社長なんだとか。2012年にはAvidからM-AUDIOも買収。
キョーリツコーポレーション:国内外のブランドを手広く扱う。B.C.Rich、Daddario、Elixir、MESA BOOGIE、PEAVEY、Schaller、SHUBB、TKLなど楽器方面のメーカーが多いが、PEAVEYやPHONICのレコーディング製品も扱っている。小売分野ではサクラ楽器を展開しており、エレキギターとエレキベースのフォトジェニックもここが代理店だとか自社ブランドだとか言われるが、2013年7月現在公式サイトの「取扱いブランド」一覧に「photogenic」はない。愛知県。
ニュマークジャパン:旧プロ・オーディオ・ジャパン(2011年に社名変更と移転)。代理店業務と輸入販売を行うinMusicグループの会社。アメリカのニュマークはDJ機器を扱っている。東京都。
オカダインターナショナル:ギターのSadowskyやSHUR、アクティブピックアップのEMG、Axe-FxのFractal、アンプのFryette(もとVHTブランドでアンプを作っていたが、訴訟などがありブランド名はAXLが取得した模様)、アンプメーカーだがやたらと凝ったアッテネーターを扱うKOCH、電気周り全般のCustom Audio ElectronicsとCustom Audio JAPAN、ストラップのComfortなど、ギターやベースを中心とした機器を扱っている。
Electro-Harmonix:本文では紹介していない会社。もともとはエレキギター用のイフェクトメーカーで、日本代理店の日本エレクトロ・ハーモニックスは輸入業務も手広くやっているようだ。
Mix Wave:これも本文では紹介していない会社。輸入販売を手広くやっており、t.c. electronicの扱いもここ。東京都。
WiseTech:DR. DACなどパソコン用アンプのほかモバイル用やPCI接続を含めサウンドカードの扱いが手広いAUDIOTRAK、DJ用や「分解できる」もの(Juli@XTe)などイロモノなサウンドカードのESI、モニタ用の極限ローエンドヘッドフォンのiSKなど、取り扱いメーカーの顔ぶれが濃ゆい。アジアメーカーが多いが、丸スピーカで有名なフランスのElipsonもここの扱い。東京都。
フィリップス(日本語サイト):電子機器一般を手広く扱う会社で、最初(1891年設立)は電球を作っていたらしい。コンパクトカセット、CD、LD、S/PDIFなどの規格に関わったほか、1950年代に松下と合弁会社(松下電子工業)を作ったり、1980年代から2000年代にかけて日本マランツの親会社だったり、すでに触れたようにソニーと組んで規格を立ち上げたり、日本企業との付き合いが頻繁。オランダ。
ART(日本エレクトロ・ハーモニックスが管理する日本語サイト):アンプ、イフェクタ、ミキサ、サウンドカードなどを作っている。コンパクトサイズ(幅10~15cm、奥行き5~10cm、高さ1U前後で、同じ機種ならスタック可能なものが多い)のARTcessoriesシリーズが豊富なラインナップ。MXR Innovationsという会社の人が独立してできたようで、Applied Research & Technologyの略らしい。2011年現在、Traynor(アンプ)、VTC(PAスピーカ)、Apex(マイク)などとともに、カナダのYorkville Sound(本体はPA寄りの準総合メーカーorベンダーっぽい)のグループ企業になっているようだ。
Dunlop Manufacturing:本文では触れていないメーカー。ギター用のピック、弦、小物、イフェクタなどを扱っている。創業者の名前からJim Dunlopと俗称されるが、上記が正式名称っぽい(現在もピックの一部に「Jim Dunlop」の表記がある:創業者の苗字が同じだけで、ダンロップタイヤとは関係ない)。イフェクタ部門はMXRやWAY HUGEなど買収ブランドの製品が多いが、CRYBABY(なんでも、Thomas OrganとVoxがCry Babyの商標登録をしくじっていたのでその名前で出してしまったのだとか何とか)やDunlop Electronicsなど自前らしきブランドも複数ある。アメリカ。
Hosco:本文では触れていないメーカーで、旧サガジャパン。ギターやウクレレのメンテナンスグッズを扱っているのだが、削りと磨きとセミハードケースに情熱を燃やす変わった会社。輸入楽器も売っており、ブルーグラス系に強いらしく、National Guitars(National Reso Phonic Guitars)やRecording KingやRegalを始め、バンジョー、マンドリン、リゾネーターギターの扱いが手広い。サムピックやフィンガーピックの扱いも豊富で、自社ブランドで本鼈甲ピックを売っていたり、V-PICKSの製品も扱っているほか、なぜかウクレレ組み立てキットも売っている(しかも自社ブランドで)。
ビクター:音響・映像機器メーカー。もとは蓄音機を作っていた。戦後からは松下電器産業の資本が入っており、最近はケンウッドとも提携している。ハイエンドにドギツいセンスのイロモノ商品を投入する果敢な会社だったが、少々果敢すぎたのかしばらく元気がなかった。2008年にケンウッドと経営統合したあたりから持ち直しつつある模様。
AIWA:Sonyと合併後の製品ラインナップは非常に寂しいが、以前はローエンドにハイコストパフォーマンス品を多数供給していた(設立当初は、VM-17やDM99など放送向けマイクも作っていたようだ)。密閉型ヘッドフォンHP-X122、ダイナミックマイクDM-H220、ステレオコンデンサマイクCM-DS6などの生産終了がとくに惜しまれる。ステレオシステム(と一部の大型ラジカセ)が一律10cmウーファーなのには、何かこだわりがあったのだろう。すでに存在しない(現在はブランドだけ残っている)会社だが、合併前は東京都に本社があった。
東芝:地味ながら、録音機能付きラジカセのローエンドラインナップを(筆者が知る限り90年代から、2011年現在まで)維持している。実は、国内のマイクメーカーとしては老舗中の老舗だったりする(NHKと共同で1937年にリリースしたマツダA型や、1952年の東芝G型などが有名)。1993年まではオンキヨーも東芝傘下だった。
パイオニア:スピーカ、PC用ドライブ、システムコンポなど、コンシューマ製品を手広く扱う。俗にピュアオーディオと呼ばれる製品を扱う企業の中では良心的な売り方をしているように思える。スピーカ製作から出発したらしい。このページでは紹介していないが、もとトランスメーカーでアンプを得意とした山水電気、もと無線部品メーカーでチューナーを得意としたケンウッド(旧称トリオ)と合わせてサン・トリ・パイと呼ばれた時代があった。2009年11月現在、マイクやモニタ周りなど制作向けのラインナップはすっかり元気がなくなったが、DJ機器方面で盛り返してきているようだ。
I-O Data:ストレージ、メモリ、ネットワーク機器、インターフェイスカードなどのメーカー。CREATIVEの日本法人クリエイティブメディアにも合弁の形で参加している(これとは別口でDAVOXL(旧DAVOX)という外付けサウンドカードも売っている)。各オーディオメーカーの「動作確認済み周辺機器」として名前が挙がることが多い。石川県。
サンワサプライ:パソコン周辺機器、オフィス家具、サプライ品などを扱う。直接的なメーカーではないようだが、流通業者なのか親会社なのか輸入販売会社なのかイマイチわからない。電源タップの有力サプライヤーで、どちらかというとオフィス向け製品に力を入れているような印象。パソコン周辺機器では他社に押されがちなのか、やたらと思い切ったデザインのものやアイディア勝ち一点狙いっぽいものをたまに出してくる。岡山県。
エレコム:パソコンなどのサプライ品を扱う。もとは自社製品販売にあまり積極的でなかったが、2004年にロジテック(スイスのLogitechではなく東京都のLogitec)を子会社化し、ストレージ、インターフェイスカード、ディスプレイなどに強くなった。子会社のLogitecでは、iPod用簡易スピーカシステム、ワイヤレスヘッドフォン、FMトランスミッターなども販売しているし、エレコム本体でもパソコン用簡易スピーカやヘッドフォンなどを(大々的にではないが)販売している(USB-SAV51という外付け簡易サウンドカードも売っているし、オーディオケーブルの品揃えもバッファローコクヨサプライやサンワサプライよりは充実している)。エレコム自体は大阪の会社。
バッファロー:旧メルコ(現在も持株会社としてメルコホールディングスという名前が残っている)で玄人志向の親元(子会社のシーエフデーのブランドだそうな)。ストレージ、メモリ、ネットワーク機器、インターフェイスカードなどのメーカー。もともと音響機器から始まった会社らしいが、現在はすっかりパソコン周辺機器メーカーである。サプライ品はコクヨの子会社アーベル(京都府)に資本参加して改称したバッファローコクヨサプライが担当していたが、2012年に親会社に吸収され、iBuffaloというブランドに移った。バッファローとメルコホールディングスはともに愛知県の会社。
メイビス:石橋楽器のオリジナルブランド。ギター、エレキベース、周辺機器など。東京都。
Noah'sark:イケベ楽器のオリジナルブランド。ギター、ギター用イフェクタ、ギターケース、電源周りやケーブルなど。音楽スタジオのリボレも池部の運営。東京都。M.I.D.:宮地商会(宮地楽器)の輸入部門。SPLやMXL(Marshall Electronics:Marshall Amplifiersとは無関係)の製品をはじめ、輸入販売を手広くやっている。東京都。
キクタニ:キクタニミュージックのオリジナルブランド。スタンド類など。愛知都。