コーヒー


豆の銘柄と保管 / 焙煎・粉砕・湯温・抽出 / ブレンド / 重力ドリップについてもう少し // もどる

非常に詳細な解説をしている百珈苑というページがあるので、マトモな情報はそちらを参照。



豆の銘柄と保管

焙煎済みのものを買う場合「ブレンド」という名称で売っている豆を買うのが正解。コーヒー(に限らず食品全般)は鮮度がモノを言う(鮮度が落ちた高級豆より、新鮮な普通の豆の方がはるかにうまい)ので、回転のよい品目を買うのが常道。ストレート豆を買うのは、コーヒー店に通い詰めて、どの銘柄がどのくらい出ているのか把握できてからでも遅くない。

コーヒー豆の鮮度は1日単位で変化する。焙煎直後は非常にトガった風味。焙煎2日後くらいで味が安定し、もっとも飲用に適する。焙煎後3〜4日までが常温(といってもせいぜい20度くらいまで)で風味が保てる限界。冷蔵庫(欲を言うなら野菜室くらいの温度で、湿度は低め)で保管すると7〜10日くらい、冷凍庫だと20〜30日くらい保存できるが、冷凍する場合は焙煎後少なくとも1日置いてからの方がよい。豆を挽いてしまうと、せいぜい丸1日くらいで風味が劣化する。

豆についてよく言われる「酸味が強い」とか「甘みがある」とかいう特徴は、実際のところ「適する焙煎度の特徴」であることが多い(と思う)。たとえばマンデリンなんかはフルシティくらいが好まれるため「苦味主体で香ばしい」とか、キリマンジャロあたりはミディアムくらいが好まれるため「酸味主体でさわやか」などと言われがちだが、それ以外の焙煎度にしても相応の味が出る。

代表的な豆として

この他、特殊な豆としてブルーマウンテンとモカがある。



焙煎・粉砕・湯温・抽出法・分量

原則として、深く焙煎すると酸味やアクが薄れて苦味が強くなり、豆の表面に油が浮く。暗褐色で微妙に油が浮き出る程度の焙煎をシティローストといい、これが「中くらいの」焙煎になる(1つ浅いハイローストを中煎りとする人もいるが、筆者の感覚だとハイローストは中浅煎り:シナモン=極浅、ミディアム=浅、ハイ=中浅、シティ=中、フルシティ=中深、フレンチ=深、イタリアン=極深くらいだと思う)。

粉砕は、細かければ細かいほど同じ抽出時間で味(雑味も含む)がよく出る(ただし、細かい方が選択的な抽出になる:理屈上、表面積を増やして抽出時間を減らすと、お湯が豆全体に一様に作用することになり、同じような濃度でより温度や時間による選択性の高い溶液が抽出できるはずだし、粒が大きいと表面と中心の差が大きくなり、いろいろな特性の抽出が入り混じった状態になる)。粉砕の度合いは抽出法によってある程度決まる(後述)。粉砕後の豆が入った容器を軽く叩くと渋皮や破砕されすぎた微粉末が上の方に集まるので、風を吹きかけるなどして飛ばしておく(機械が処理してくれるミルもある)。

抽出効率の高さは豆に触れる溶液の濃度でも変わる。たとえば容器の中に湯と粉砕した豆を入れ、一定時間後に豆だけ取り出せばコーヒーはできる(サイフォンでは実際にそのようにしている)。しかしこの方法だと、抽出の終盤は濃度の高い溶液中で行うことになる。つまり、すでに高い濃度で存在する旨味は抽出速度が下がり、まだ濃度の低い雑味が急速に抽出される条件である(親水性の源が異なる分子は、互いの濃度に影響を与えにくい)。そのためコーヒーサイフォンでは、抽出時間を短くしたり途中でかき混ぜるなど、雑味を出しすぎない工夫をする。

湯温は、高温ほど味がよく出るが雑味も増す。だいたい、85〜90度あたりが「中くらいの」湯温で、それ以上が高温、それ以下が低温だと思っておけば大外れではない。抽出時間(蒸らし終わってから落とし終わりまで)は2〜3分が中庸か(粉砕度合いにもよる)。酸味成分の多く(全部ではもちろんない)は比較的低温(85度くらい)でも抽出でき、苦味成分の多くは温度さえ高ければ比較的短時間でも抽出できる。あまりに高温(95度超とか)だと雑味が顕著になる。極端な薄味や濃味にならないようにすると、結局「低い温度で長時間」と「高い温度で短時間」の選択になる。おおまかな傾向として、苦味>酸味>雑味の順にピークがきやすいことを覚えておきたい。また挽き方が極端に粗いと、豆内部の温度が上がりにくく苦味が弱まることがある。原則として、深い焙煎の豆(苦味主体)は高温短時間、浅い焙煎の豆(酸味主体)は低温長時間の抽出が向くことが多い。

どの抽出方法でも、豆を湯(ないし水蒸気)に触れさせて成分を移動させることに変わりはない。煮出し系(パーコレーターなど)と上澄み系(コーヒープレスなど)は荒挽きの豆を使う(イブリックないしジャズベと呼ばれるひしゃくのような鍋で煮出した後、上澄みを飲むトルココーヒーは例外的に細挽きの豆を使うが、特殊な抽出法なので割愛)。細かい豆を使ったり、微粉末の除去が不完全だと粉っぽくなる。湯温と抽出時間の組み合わせで仕上がりを調整する。

ろ過系のうち加圧による強制抽出(エスプレッソマシンなど)は細挽きの豆を使う(抽出時間が短いのと、圧力を稼ぐため)。マキネッタ(エスプレッソやかん:機械加圧式ほど細かい豆は使えない)だと抽出温度はコントロールしにくいので、圧力(火力)や時間をコントロールして仕上がりを調整する。

ろ過系のうち重力で落とすもの(ドリップやサイフォンなど)はやや細挽きの豆が好まれる。ドリップの場合フィルタを「適度に詰まらせて」速度をコントロールする(蒸らしたあと最初の注湯で出る灰汁を使う)ことが多く、湯温の選択も容易でバリエーションが豊富。

なお、サイフォン(siphon)は管の意で「管に液体を満たして(重力で)導く装置」を指し、風船型に代表されるコーヒーサイフォンは「管を使って液体を移動させる」ことから名前がついたのだと思われる。マキネッタは「小さいマシン」のことで、もとはモカポット(エスプレッソやかん)やナポリターナ(倒立式)の総称だった模様。またモカポットとコーヒーサイフォンは、湯を押し上げるところまで同じ原理で動作する。

コーヒー1杯の分量はマチマチだが、一般的なコーヒーカップは満水165〜170cc前後で1人前125〜130cc前後のものが多い(米液量オンス準拠だったり常用オンス準拠だったりミリリットルでキリのよい数字だったりバラバラ:ただし、6オンスでほぼ170ccだと覚えてしまってもほぼ差し支えない)。コーヒーサーバの目盛りは1人前=125ccのものが多いように思う。いわゆるLサイズのカップは10オンスor300ccくらい。



ブレンド

自分でブレンドをして楽しむのは楽しいが、豆の消費量がネックになる。たとえば100gづつ3種類の豆を買うと、1杯=10gとして30杯分になるわけだが、これを3〜4日で飲み切るのはつらい。冷蔵/冷凍保存が必要になるだろう。50gで売ってくれるお店もまれにあるので、探してみてもよい。

方針としては、気に入ったストレートコーヒーをベースに足りないものを補っていく(または強すぎるクセを丸くする)感じで試していくとやりやすいと思う。この場合ベースの豆の個性を損なわないよう注意が必要で、ベースの豆と比べてクセの強すぎる豆は足さない方が無難。自己主張の穏やかな豆をベースにする場合はもっと大胆なブレンドができるが、難易度も相応に上がる。

ブレンドの豆を買ってきて、そこにストレートコーヒーを混ぜていく手もあり、手軽にいろいろな風味を楽しめる。大失敗はしにくい方法なので初心者でも安心。



重力ドリップについてもう少し

重力ドリップ(ペーパーor布)の場合、抽出場所に湯を「溜めて」いるわけだから「何度のお湯に何秒間豆を浸すのか」という問題になる。すでに触れたように、粉砕度合いが濃度変化の選択性に影響し、抽出効率は温度と豆の量と細かさで与えられる。

一般的に、コーヒーカップ3杯分(出来上がり375cc)に対して25〜30gくらいの豆を中細挽き(8番前後)にして、90〜95度で30秒蒸らして85〜90度で2分くらいかけ(1:2:1の湯量で3回に分けるか、1:2で2回に分け)て落とすと、だいたい無難に仕上がる。蒸らしだけ高温でやるのはやや手間だが、濡れ布巾でポットの底を冷やすとか、水を混ぜるとか、コーヒーカップを暖めたお湯を戻すとか、まあ適当にやる。抽出は量よりも温度と時間を基準に行うのがよく、落とし終わりになったらドリッパーにお湯が残っていてもそこで打ち切る(ちょうどのタイミングで落とし切るのが理想だが、自信がなければ、最初からある程度残すつもりでやった方が調整はラク:蒸らしも少し多めのお湯でやって汁を捨ててしまう簡易技がある)。

すでに触れたように、重力ドリップでも「低い温度で長時間」と「高い温度で短時間」の選択が第一になり、粉砕の細かさによる時間選択性が加わって大枠の抽出具合が決まる(ただし、粉砕の粒度を変えると抽出時間も影響を受けることに注意)。これで濃度が適切でないなら豆を増減し、追従できなければお湯で割る。落ちの速いドリッパーと遅いドリッパーを用意しておくと便利(フィルタの質でも調整できるが、ハリオの円錐>カリタの3つ穴>メリタの1つ穴の順に速い傾向がある)。

基本的に、高温・短時間だとすっきりした風味、低温・長時間だと濃厚な風味になりやすい。温度と時間をキッチリ管理できるなら、粉砕はある程度細かい方がボケた味になりにくい。豆の量は好み。



オマケ(マキネッタの話)

筆者のように濃厚な旨味を好む人がエスプレッソに行き着くのは当然の帰結である。もちろん、蒸らしの方法とアクの取り方が自由で温度や豆の量や抽出時間にも制限の少ない重力ドリップが王道であるのは間違いないが、雑味を許容上限までに抑えつつ旨味を最大限に引き出そうと思うと細かい豆を使うことになり、短い時間で抽出しないと雑味が勝ってしまう一方、豆が細かいと通過にかかる時間が長くなってしまうジレンマがある。この限界を突破するには、重力よりも強い力で強制的に湯を通過させるのが手っ取り早い。

ということでエスプレッソマシンを買ってしまうのが覇道に違いないのだが、なにしろデカいし高いし維持が面倒である。そこでマキネッタの登場ということになる。

でそのマキネッタだが、蒸気圧で強制抽出する仕組み上、湯温はかなり高い。ボイラーのお湯は沸騰しているわけだから、低く見積もっても95度以下ということはあるまい(低温高圧抽出が可能な機械式とは決定的に異なる:機械式の場合、90〜92度、9気圧、20〜30秒がスタンダードらしい)。そのため、抽出時間はかなり短くする(機械式より高い温度で、やや粗い豆を使うのだから、数十秒オーダー)。

この「高温短時間抽出」という条件は器具の仕様上変更しがたく、他の条件をコントロールして嗜好に合うコーヒーを得なければならない(別に義務じゃないけど)。ボイラーに入れる湯量を減らし、穏やかな沸騰で、少量の抽出液を得る方法を試したのだが、どうもバランスが悪い気がする。やはり、標準的な挽き方(ペーパーより少し細かいくらい:豆を細かくすると温度に敏感になるので、やや粗さを残す必要があると思う)で、普通の湯量を使った方が無難なのだろう。

もちろん、豆の粉を均等に入れる(蒸らされて膨むので、軽くすり切るのがよいと思う)とか、パッキンに豆の粉を噛ませないとか、高温抽出に耐える深い焙煎の豆を使うとか、念のため蒸気逃がしは人体に向けないとか、マキネッタを使う上で基本的な注意事項はしっかりと守る。漏斗の先のお湯は温度が低い方が望ましいので、ボイラー底面の中心以外(=周囲:ただし出来上がったコーヒーを煮立たせるとまずくなるので、側面はダメ)を集中的に加熱できるとなおよい。



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