初代メタルヘッド


前フリ / 根底ルール / 基幹ルール1,2,3,4,5,6,7,8) /
要注意戦術 / 疑問と修正 / さらなるオマケルール /
立ち回り / 職業別 / 戦車キラー / 戦術基礎 / 中盤の戦術 /
シナリオの方針 / リアル(っぽい)考察 / 世界設定 / もどる

マキシマムより前の、いわゆる無印のメタルヘッドについて。元はといえばこのゲームについて書きたくて「マンチキン万歳」というコーナーを作ったのだが、10年越しでは済まない話になってしまった(と書いている今は2015年)。

2013年3月からPDFで無料公開されている・・・と思ったのだが、Jコミが絶版マンガ図書館に変わってから入手方法が不明になった(http://www.j-comi.jp/book/comic/44431にアクセスするとhttp://www.zeppan.com/book/detail/44431に飛ばされる)。もしかするとPDF配布は終了したのかもしれない(未確認)。


前フリ


出来は決してよくない

というか、正直に言うと酷い出来である。ルールの緻密さよりも手軽さを優先したと言い訳はしているが、それを差し引いてなおお粗末なルール体系で、そもそも力を入れたはずの世界設定がどこかで見たような話をツギハギしただけのシロモノである。ではなぜ筆者がこのゲームに入れ込むのかといえば、やはり(当時の)流行りモノを安直に取り入れたペラペラなノリが「ゴッコ遊び」に馴染むのが理由に思えてならない。それがメタルヘッド唯一の美点だと思う。

そういった事情からハウスルールが豊富なゲームでもあるが、現実的には、しっかりとしたルールを得ようとするのは無謀である。おそらく、マトモなバランスが見えてくるくらいまで補強を進めると、元のルールとは似ても似つかない別物になるだろう。真面目なロボットモノをやりたければメックウォーリアーあたりを使った方が早いし、簡易なルールで近未来モノをやりたければガープス(筆者が好きなゲームではないが)の方がはるかに洗練されている。かといってすっぴんのメタルヘッドで支障なく遊べるかというと、多少は手を入れないと不都合がいろいろ出てくる。どこかをイジるとどこかが破綻するという、出来の悪いルールの典型のような特徴があり、ルール整備もたいへんな作業になる。

ゲームバランスを乗りこなす観点から銃撃戦のルールについて言うと、ファンブル/クリティカルの頻度が非常に高く、先制して弾数の多い攻撃をするのがなによりも重要になる。反対に初手で躓くと一気に敗走シナリオになるため、マスターもプレイヤーも準備を怠ってはならない。またルールを変更するとき、メカをあまり丈夫にしすぎてしまうと、HPをゼロまで削る前にクリティカルするのが当たり前の状況になり、クリティカルの出る出ないとクリティカル表の出目がどんどん重要度を増してしまう。1ターン3秒という設定も非常にアレではあるのだが、これを6秒とか10秒に変更したところで劇的な効果はなさそうにも思える。また通常被害をもらうくらいならファンブルやクリティカルの方がマシという状況もけっこうある(気絶以上が確定する心理効果をもらったときはバーサークした方がずっといいし、バイクが戦車砲で撃たれても対メカクリティカルの1番や2番だったら大儲け)。

またこのゲームでは「マンチキンプレイ」が他とは少し違う効果を生む。というのは、ルールがあまりに雑で、裏をかいたり悪用したりというレベルに達しないのである(断言できるが、少なくともスタートセットは、ロクにテストプレイもされないまま出版されたものに違いない)。やたらとPCが死にやすくシナリオ崩壊の頻度も高いため危機回避手段として「ルール的にはまあそうなる」的な作戦がけっこう重宝するという事情もある。

人数が多い場合、2人GM制の検討はしておいた方がよい。5人だったらGM1のPC4でもまあ仕方ない(PCの人は数値処理など誰がやっても同じ処理をなるべく負担しよう:PCも重いがマスターはもっと重い)が、6人集まったらGM2のPC4の方がGM1のPC5よりずっとよい。GMの片方は半PCというか、NPCの行動、場面が分かれた場合のマスタリング、集団行動時の補佐などをやることになると思う。サブGMは(シナリオの詳細情報をメインGMと共有するか知らないでおくかは協議次第だが)独特な立ち居地で、これはこれで面白い役割だと思う。

以下を読み進めるにあたって、そういった点を念頭に置いて欲しい。


なぜゴッコ遊びにルールがありサイコロを振るのか

哲学的な考察に見えるかもしれないが現実的な問題である。ゴッコ遊びだけが目的ならサイコロなんぞ振る必要はない。実際、サイコロを振らないゴッコ遊びゲームも普通に存在する(ワーウルフとかディプロマシーとか、フィジカルゲームではサバゲーとか)。もっといえば、ルールを定めないゴッコ遊びだって普通にできる。

遊ぶ人がルールを持ち込む以上、それが遊びの世界を支配(rule)することになる。もっといえば、世界観と呼ばれるものを第一義的に左右するのはルールである。いくら「オレのバイクは速いんだ」と言い張っても、MVが低ければ他のバイクに置いて行かれるのがゲームのルールで、速いバイクに乗りたければMVを上げればよい。それらを受け入れた中でお互いに工夫を凝らそうというのが最初の合意だったはずである。

だから、ルールは遊ぶ人が「あんなことがしたい」「こんな活躍がしたい」と要求したときに手続きと結果を用意するものでなくてはならない。PCの運命は「ルールなき裁定」に委ねられるべきでない(反対に言えば、裁定と結果の間にルールというクッションが常にあるべきで、たとえば「バイクで200km/h出したい」「出せま(せんで)した」ではなく「バイクで200km/h出したい」「このルールで処理しましょう」「出せま(せんで)した」としたい)というのが筆者の主張であるし、ルールと反する裁定(「ルールはこうだけれど今はこう処理しよう」)がたびたび必要になるならルール自体を前もって整備しておくのが普通の対応だろう。

なお以下では、ゲームを作り変えることではなく補強することを目的として、本来のルールで残せるものは極力残す方針を採用している(結局別ゲーになるけど)。とくに解説文による説明やイラストの内容とルールが食い違っている場合、ルールが提示する世界観に沿って設定を再構築する作業を多く行っている(マスターズマニュアルの大部分とハンドブックのほぼ全部を無視した:もちろん、そもそもルールが存在していないケースでは説明やイラストを参考にルールをデッチ上げている)。


職業別の活躍イメージ

当然ながら筆者の勝手なイメージ。ルール提案などもこれに沿って行った。

バウンサーは身体的な負荷や損傷に対する耐性でより多くの危険を引き受けることができる。野外戦闘で大破の危険と引き換えに瞬間的戦力を向上させたメカを操る、市街戦で工兵の役割を担う、インドアで潜入行動や体内のセンサーを駆使した隠密行動を行う、といった活躍が典型的。幼少期からサイバー化を行った者が多く、大柄なサイバーボディを好む傾向があり、身体破損に対して冷淡、メカもあくまで道具として扱う傾向がある。

ランドブラスターはサイバーリンクでメカを操るのが本分。ドライバーであるとかガンナーであるとかいった個々の専門性ではなく、サイバーリンクとの高い親和性を持ち、それを武器に活躍するハンターがランドブラスターである(筆者としては、エンジニアとしての側面はあまり強調すべきでないと考えている)。メカは大切にするが用途に合わせて使い分け、本気で入れ込んでメンテナンスしているのはプライベート用のレジャー機やホビー機だったりすることが多い。

ブロックバスターは空中戦のプロだが、コンバットシェルを降りてもそれなりの活躍ができる。シェルのインドア利用については、建物を壊すつもりで突入するならアリとしておこうか(大型バイクを乗り入れるのと似たような扱い:後の項で詳しく触れる)。生還率が低い職業なので独自の理念で動いている者が多く、やたらと博学だったり意外な特技があったりすることも多い。コンバットシェルには愛着を持つが、当然壊れるものという認識もしている。

ハスラーは即応性とバランス感覚で立ち回る。いろいろな役割を担えること自体よりも、役割をシームレスに変化させる運用が武器になる。チームリーダー的な立ち位置になることもあればサポート役に徹することもあり、この辺も柔軟性や流動性が現れている。資金管理や公的組織への窓口をやらされる機会も多い。お気に入りのメカを持つ者は少ないが、借り物を使う機会が多いため扱いは丁寧な傾向がある。

ネットライナーはウィザードというよりハッカーで、ソーシャルハックのため変装や偽造に長けている者も多い(本音をいうと、このイメージはネットライナーよりもハスラーにこそ似合うと思うのだが、キャラを被らせても面倒だし、ウィザードになられてしまうとゲームの進行に支障がある)。生身での銃撃戦は嫌うのが普通だが、サイバーリンクしたメカでの戦闘に抵抗を感じる者は少なく、イメージファイトに比べるとぎこちないなと感じている程度。自分のコンピュータには強く執着し、たいていは名前もつけている(自作のソフトウェアに名前を付けるのも好き)が、AIは馬鹿にしていることが多い。

ゲームバランスの観点から言うと、ネットライナーの他職業との乖離をどう誤魔化すか(筆者は半分諦めている)、ランドブラスターのインドアとバウンサーの野戦をいかに救済して活躍させるか、ブロックバスターとバウンサーの差別化をどう図るか、といった点が重要になるだろう。ハスラーについてはプレイヤー自身の技量でなんとか立ち回ってもらいたいところ。ネットライナーを廃止する案もあるとは思うが、以下では(NPCに任せることはあっても)廃止しない前提で話を進める。


スキルの適正値

適正、というとやや語弊があるが、PCの能力としてどのくらいを期待すべきかという問題。

筆者のイメージでは、スキル50%が初心者で「完全な素人ではない」レベル。100%で一通り習得し「扱いは知っている」レベル。150%が駆け出しのプロで「難しい作業でなければそうそう失敗はしない」レベル。200%が並のプロで「難しい作業もソツなくこなせる」レベル。250%が優秀なプロで「ごく難しい作業にもそれなりに対応できる」レベル。300%が達人で「驚くべき成功を安定して続けられる」レベル。350%が世界的第一人者で「その人にできなければ他にできる人がいない」レベル。400%が限界点で「ヒューマノイドの概念を覆すような進歩がないと超えられない壁」のレベル。といった感じ。

おそらく一般的な理解よりはハイスキル寄りの解釈だと思うが、実際問題として、プロとして活動するなら、普通の作業(SR1)を悪条件(-50%ペナルティ)でも確実にこなせて、難しい作業(SR2)も万全に準備(+50%ボーナス)すればこなせるスキル150%くらいは必要なのではないかと思う。北米に1万人のハンターがいるとして、スキル200%に届くのが1000人くらい、と想像すれば近いだろうか(たいていのゲームと同様、PCは尋常でない速さでスキルを向上させる)。

こう考えるとキャラクター作成直後(スキル取得を100%までに制限すべきだと思う)のPCはせいぜい「扱いは知っている」程度のスキルしか持ち合わせておらず、ハンターとしては半人前だということになる。実際、ちょっと派手なカーアクションをすれば車はひっくり返るし、反動のキツい火器はあさっての方向に着弾し、コンバットシェルで勢いよく飛び出しても接敵する前に事故ったりすることが日常茶飯事だと思われる。

この時期をあまり長く続けさせるのはゲームの進行上望ましくなく、キャンペーンシナリオなら序盤の終わり(後述するように3~4シナリオめ)には主要スキルを150%くらいまで伸ばしてもらい「技量としては駆け出しのプロ並だが機転と工夫でベテランも一目置くくらいの活躍」を用意したい。すると、1シナリオで50%くらいはスキルを習得させる必要があり、けっこう気前よくやることになる。

このとき、特定のスキルに偏って集中育成されると困ったことになるので、シナリオボーナスのスキル上昇は「10%づつ5種類」のように集中育成に使えない形で渡すとか、筆者のスキルルールを採用しているなら「基礎スキル限定で30%+通常スキル20%」のような形にするとか、いっそ「3シナリオめまではスキル上限150%で」のように取り決めてしまうとか、なにかしらの対策が必要になると思う。

中盤にさしかかるとINT上げによるブーストが(バウンサーから順に)効いてくるので、序盤と同じペースで3~4シナリオこなすと、職業によりメインスキル200~250%くらいになると思う(1シナリオあたり50点配って300~400点、INTボーナスで300点くらいだとすると、クリティカル上昇も含めて700点くらい:筆者のスキルルールを使っていてもメインスキル200点には届くと思う)。PCの行動としても活躍らしい活躍が増えてくるだろうから、シナリオ成長を少し増やしてやってもよいかもしれない(このバランスは終盤の着地点(キャンペーンのラストシナリオでどの程度の技量に落ち着くか)を見据えながら調整すべきだと思われる)。


便利なツール

Tiled Map Editor(窓の社の紹介記事)というマップ制作ソフトがヘックスマップに対応しており、TilemapKit(使い方の説明)という画像セットも公開されている。これが非常に便利で、60*80のPointy Topを使うと、やや扁平だが隙間のないヘックスマップを簡単に作成できる。1マス50mくらいの大雑把なマップだとした方が便利だと思う(なにしろMV300~450で6ラウンドも飛べるメカがいるので、真面目に作るとものすごく広大になる)。

計算方面ではカシオの高度計算サイト(さすが計算機のトップメーカー)と運営者不明の数の帝国(2015年現在サーバはアメリカらしいが多国語対応がすごい)というサイトが便利で、これらとBunCalcがあれば面倒な計算も怖くない。

このほかに、1~6と0~9で重複を許した乱数表を作成しておき、マスターはサイコロ振りの代わりにこの表を(取り消し線などで)消費していくようにすると、いくらか負担が軽減される。


ゲームバランスが根底から覆りかねないルール


職業と購入価格の問題

ゲームの進め方を云々する前に、まずこれを考えなければならない(ルールを大きく変更する解決案については次の項で触れる)。ネットライナーとそれ以外の職業でチームを組むと、それぞれの活躍の場所がかけ離れすぎてダレる。ひとつ考えられるのはネットライナーだけのチームを作ることだがイメージファイトの出来もお粗末で、それメインで遊べるほどのモノではまったくないため、どうにかしてリアル活動(潜入とか交渉とか)を組み入れたシナリオが望まれる。が、そうすると結局リアル活動班とネット活動班が分かれてしまうわけで、スジはよくないように思える。

もうひとつは他のキャラクターによるリアル活動とネットライナーによるイメージファイトを同時進行させる案で、かなり周到な用意が要求される。もっとも安直なのは情報の奪取やコンピュータの制圧と物理戦力による制圧の競争で、たとえば、スタンドアロンのコンピュータにアクセスできる場所まで物理的に潜入し、ネットライナーがイメージファイトをしている間他のメンバーが拠点維持するようなシナリオ(またはその反対で、ネットライナーがコンピュータを守りながらほかのメンバーが侵入者を物理的に排除する)が考えられる。ネットライナーが普通にツールを自作しだすと資金が余り過ぎる(高価な市販ソフトを仕入れて振り回すだけならただのkiddyである)ことにも注意が必要。

ブロックバスターは意外と立ち回れる。後で触れるようにサイバー化の恩恵を強く受けられる職業で重火器スキルも高いはずなので、インドアでもバウンサーのサポートくらいは楽にこなせるし、主力スキルが偏っているのでサブスキルを取りやすい。というかそもそもこれ、基本ルールのコンバットシェルが思いの外役立たずだったので、中の人を優遇してなんとか活躍させたかったように見える(ロードラッシャーと同じく、同職業少人数のチームとか一匹狼+依頼者の恰好で進めるのもアリかもしれないが、混成チームでも悪いことはない)。

微妙なのはむしろランドブラスターで、必須スキルが多くサイバー化による能力値アップが苦しく金食い虫でもあるため、戦闘以外で活躍の場を得るにはGMの配慮も必要になる(ファンタジーRPGでいうマジックユーザーに似ているが、微妙に違う)。重機の運転とか進入した秘密工場の機械の操作とか、本来のスキルを流用する形で頑張ってもらうのがよいのではないか。精密メカニクスをブロックバスターに頼むとか、バウンサーをナビにして土地カンはお任せするとか、ある程度の分業も考えた方がよいかもしれない(その分、送迎やメンテでお返ししよう)。インドア作戦用に電気エンジン(この時代は水素エンジンも静かなのかもしれないが、雰囲気出るじゃない、なんとなく:用語としてエンジンというのは変だと思うが、ルールブックが「電気エンジン」だからまあいいだろう)に乗せ換えたクラッカー(か一般車両のウォンバット)を用意しておくとよい。念を入れるならタイヤも換えておこう。

バウンサーとハスラーは(ルール的に)冷遇されている。エキスパンションがないだけでも寂しいのに、スキルの区分(運転は「地上車全般」でOKなのにファイトスキルは無意味に細分化されてたりとか)やゲームが終盤になるほど無意味化する職業ボーナス、やたらとシンドイ序盤にゲームを進めるほど増える即死兵器と、初心者向けでない要素が揃っている(後の項で救済ルールもいくつか提案する)。インドアで天敵となるアクトポッド対策として、筆者は白兵戦を切り札にするルールを提案している(後述)。

購入価格縛りの扱いにも困る。元のルールではチーム内での「買い物依頼」が禁止されているが、普通にゲームを進めると「誰の」メカであるかが意味を成さなくなってくる。ここは最初からチーム内で独立採算制を取って、買い物依頼にも手数料みたいなものを各自で取る(とくにブローカーなんてのはそういう職業だし)のがせいぜいだろう(それでもなし崩しになるけどね)。ただし、キャラ作成時点での買い物とサイバー手術には、ルールに書いてある通りの料金を適用する。以下では、独立採算制を取る(ただし共同出資しての買い物は妨げないし、一定のルールに従って共同資金をプールしてもよい)前提で話を進める。

プレイヤーが初心者ばかりの場合、購入手数料はチューニング工賃込みで定価の50%(ただしチューニング失敗でオシャカにしたら実費のみ)が相場だと案内しておくことにしよう。このルールだと誰からも買い物依頼を受けないハスラーが資金的に遅れを取ることが多いため、ガレージや作業場所をハスラーが管理していることにして、ランドブラスターとブロックバスターの取り分から半分もらえることにしてしまおう。資金分配については、1人余しの頭割り(PCが4人なら収入を5等分して、余った1人分を共同資金としてプールする:別に2人余しでもいいし、メカの大破などは半額くらい共同資金から援助してもよい)や、半々しての等分(収入の半分を頭割りにして残り半分を共同資金に、各PCの実費経費などを共同資金から支払う:高価なメカを大破させたPCがチームの中で置いてけぼりになる事態を予防しつつ、全体の貯金額が多めになるので壊滅したときに再起を図りやすい)がお手軽である。プレイヤーがベテランばかりなら勝手にバランスを取ってもらえばよい。

PCがハンター稼業に使うお金と生活費の分離も、本当は考えなくてはならない(ハンター稼業の収入例について後の項で考察するが、枝葉の部分なのでムリに導入する必要はない)。分け前がチームの能力向上以外に使われると全体の損失になるため、とくに独立採算制を取る場合は生活費を別に管理した方がいいかもしれない(予期せぬ大破が起きたときの再起資金として、生活費になるはずだった分から自腹を切ってもらうという状況もありえると思う)。買い物依頼を許すルールだとPCに与えた資金の割に装備が充実しすぎることがあるため、その対策にもなる。単純に、個人収入の1~2割を生活費に回すと決めてしまうのがラクだと思う。分配前に給料分としてチームの収入から天引きしてしまうのも手。

もうひとつ、メカにバインドやターレットで火器を取り付けるときの追加料金だが、これを自分でやって安く上げられないのかという問題がある。できないとするのは大いに不自然なのだが、できるとするとゲームバランスが一変してしまい悩ましい。もともと、火器の値段が取り付け料金に直で跳ね返る設定自体がナンセンス(20mmバルカンを取り付けるより、10mmパルスレーザーを取り付ける方がずっと簡単に違いない)で、ゲームの表現ではなく進行上の都合でできたルールではないかと思われる。以下では値段を据え置いて自分で取り付けても費用は変わらないという設定に(苦し紛れだが)しておく。戦車に大型砲をいっぱい積むのは・・・まあいいんじゃないの、積めても(M50オントスみたいな愉快な見た目になりそうだけど)。


キャラクター作成ルールの大変更

かなり大規模なルール変更なので、導入は慎重に。このページの他の項でも、無条件に以下のルールを前提とした書き方はしない。バウンサーとブロックバスター、ネットライナーとランドブラスターが(状況に応じてどちらがメインになるかは流動させつつ)互いに支援できるようなルール変更を提案したい。3人または4人でのプレイで、ブロックバスターとランドブラスターは少なくとも1人づついる前提。

まずイメージファイトの処理を簡易化(単にSR2回の成功で防壁突破とするなど)して、ネットライナーに限りサイバーリンクしたメカ(火器含む)の操作に1/2倍で利用できることにする(ただし本来のスキルの2倍以内、ゼロスキルのものは扱えず万能スキルでの代用も認めない)。この恩恵を得て操作する場合、行動順決定に本人のREFを足すときと、100%越えスキルで火力を修正するときに、ボーナスが半分になる(動きがぎこちなくなるため、という説明にしておく:本来のスキルで判定するならノーペナルティ)。たとえばイメージファイトが240%、重火器が80%、地上車全般が40%なら、サイバーリンクした車載マシンガンを120%本人REF半分火力ボーナス+10または80%、車両を80%本人REF半分または40%のスキルで操作できる。スキルの再編(とくにファイトスキルが無駄に細分化されているのが気になり、ぶっちゃけ「格闘全般」にまとめた方がよかった気がする)も行いたいところだが、ちょっと大掛かりになるか。

コンバットシェル技能の半分を空中機動・0G機動の代用にできるルールを廃止し、コンバットシェルに乗っている間の(シェルを動作させての)技能行使はコンバットシェル技能の2倍を上限とする。たとえば投擲が70%あっても、コンバットシェルが30%ならスキル60%扱いになる。もちろん、シェルに乗ったまま未知の言語の話者と会話するような場合は、コンバットシェル技能の値に関わらず言語学技能でロールしてよい。コンバットシェルがタイプAであるときの機動回避には、空中機動・0G機動の2倍とコンバットシェル技能のどちらか低い方を用いる。万能スキルは「クリティカルするとSR通常成功扱いになるスキル」に置き換え、100%取得しなくてもスキル分配しても使えるものとしよう。他のスキルと重複で常に使えるようにする(たとえば変装75%の万能100%なら、75以下と81と91の出目で成功にできる)ルールも面白そうなのだが、少し便利すぎる気がしないでもない(メンツと遊び方次第でどっちでもいいと思う)。

各クラスの初期値を変更する。ランドブラスター:REFとDEX12以上条件、地上車全般50%、大型メカニクスと土地カンと重火器と搭載火器30%、精密メカニクスと暗号・信号と小型挺ナビゲートと偽装・カモフラージュとエレクトロニクス10%、所持金$35,000、サイバーリンクにボーナス(後述)。ネットライナー:WIL12以上かつINTとEDU10以上条件、イメージファイト50%、精神医学とエレクトロニクスとソフトプログラム30%、言語学とストーキング10%、エージェントカテゴリから任意の2つを30%と任意の3つを10%(自由選択ボーナスは廃止)、所持金$15,000、サイバーリンクしての行動にイメージファイト技能を応用できる。バウンサー:DEXとWILL12以上条件、サバイバルと応急手当を30%、地上車全般とコンバットシェルとイメージファイトを10%、投擲以外のウエポンカテゴリから任意の2つを40%と残りを20%、偽装・カモフラージュとブービートラップと爆発物とストーキングと素手戦闘とナイフコンバットと大型武器のうち任意の3つを30%と他を10%、所持金$20,000、STRの2倍までのENC、身体ダメージor負荷によるWIL判定を常に-5(これで耐Gスーツの着用を省く)、全身SUV:Sなら手足のMOで累積ダメージを得ず胴頭についても通常キャラの手足と同様に組織閉鎖(累積ダメージを1D6ターンで切り上げ)ににできる。ハスラー:DEXとSYMとWIL11以上条件、万能100%、地上車全般とコンバットシェルとサバイバルと応急手当と小火器とイメージファイト30%、所持金$25,000、STRの1.5倍までのENC、SAリンクボーナス(後述)。ブロックバスター:DEX12以上とSTRとREF10以上条件、コンバットシェル50%、精密メカニクスと重火器と空中機動・0G機動30%、大型メカニクスと地上車全般10%、言語学と素材工学と建築土木工学とサイエンス・メディカルカテゴリ全部とコンピュータカテゴリ全部のうち任意の4つを20%と任意の2つを10%、所持金$25,000、筆者の複数行動ルールを採用する場合空中機動にボーナス(後述)。

能力値については、ぶっちゃけ「選択したい職業の下限能力値+自由振り分けボーナス5点」とか、サイコロを振らない決め方の方が無難な気がしている。そこまでやらなくても、新規作成時に能力値条件で引っかかった場合はキャラ作成をやり直すくらいの手当てはしておくべきだと思う。LUCはランダムに決めず、初期値8くらいから1~2シナリオごとに1点で一律成長させるのも手(一番重要な能力値が「一生そのまま」ってのもアレだと思うし)。バウンサーとハスラーを優遇したのはエキスパンションがないのを補う意図(もちろん、部分的に採用しないのはGMの自由)。STRの2倍までのENCはバウンサーの特権としてハスラーは1.5倍まで(四捨五入、というか切り上げ)とする。また手に持って(運搬するだけでなく)射撃できる火器は職業に関わらずSTRまで、片手での扱いはSTRの半分までとしておく(もっと詳細で重い選択ルールを後の項で紹介する)。ランドブラスター以外の複数機器へ同時サイバーリンクは、操作対象が1つ増えるごとに1/2、1/4・・・と修正を受け、同時射撃はランドブラスターも含めスキル分配式とする(ただし標的が1つで同じスキルを使うなら、スキル分配は行うが倍率修正はまとめて1回しか受けない)。

サイクロンP2「2.小火器のリンク射撃」にあるSAリンク・インターフェイスの運用について、操作対象は常に単一(後の項で提案するSAリンク拡張ルールを選択すればある程度まとめることはできるが、火器の場合は不可)でサイバーリンクとは併用できない、戦闘中のジャック=イン/アウトは移動フェイズ(正確には電子戦装備フェイズ)の行動として処理(たとえば両手に拳銃を持って、リンクを切り替えながら射撃を続けることは可能)、通信ファイバーは事前に接続しておく必要がある(または1戦闘ラウンド使って差し替える)とするが、ハスラーのみ半額購入で小火器以外の操作を行える(サイバーリンクと同様に操作できるだけでスキル倍加はしない:普通は運転に使うことになり、SAリンクと通常運転の切り替えもシームレスにできる)。ハスラーでも、身体に埋め込んだ火器には使えない(最初からSAリンク相当の操作を行っており、設置のアンバランスさと相殺している設定にでもしよう)。人間側のインターフェイス(というか人間側のジャックよりも脳みそ側)が異なるだけで、メカ側のインターフェイスは共用としておこう。アクセスファイバーのルールは全面削除して、SAリンクで代用する。

このほか、ブロックバスターはコンバットシェル操作時、ランドブラスターはコンバットシェル以外のメカ操作時、バウンサーは生身行動時に全能力値+0.2のボーナス、ハスラーは無条件で0.1のボーナスを得る、というルール(ヒューマノイドの限界も突破し40.2が上限になる:スキルボーナスも30.2が上限になるが、四捨五入してから適用することとして結果的にスキルへの影響はなし)も考えたのだが、ネットライナーにいいボーナスが思いつかず不憫だし、終盤のゲームバランスがぎこちなくなりそうな気もする。まあ、いい打開策を思いついた人だけ導入すればよろしかろうか。

人数が増えると、重さもさることながら極端にダレるため、PCは3人かせいぜい4人くらいまでがいいところなのではないかと思う。キャラクターを何名か用意しておいて、シナリオごとの乗り換えだとか、サブキャラの貸し出しみたいなものも認めてよいかもしれない。人数が減った頃にはBクラスAIも入手可能になっているだろうし、稼動していないPCをNPCとして動かすことにも検討の余地がある。


それでもスキルは再編しておきたい

大掛かりにはなるのだが、従来のスキルルールはいかにも無理があるので、やはり再編しておきたい。

まず小火器スキルを「自分の手(人間サイズであればサイバーリンクしたサイバーパーツも含む)で使用する火器全般」に対象拡大し、VIII類の手持ち火器とメカに搭載したIII類火器にも1/2で適用。重火器スキルは「VIII類火器とメカに搭載したIII類火器」を対象に生身で扱うIII類火器とシェルのハードポイントに搭載したIV類火器にも1/2で使用できることにしよう(別種の火器には違いなくVIII類とIV類の同時射撃はできない:あくまで重火器スキルの半分を搭載火器スキル扱いできるだけ)。搭載火器スキルは「コンバットシェル以外のメカに搭載した火器全般とシェルのハードポイントに搭載したIV類火器」をカバーし、シェルのハードポイントに搭載したVIII類火器にも1/2で適用する。狙撃スキルを廃止して通常射撃と同じスキル(またはバウンサー以外は通常射撃スキルの半分)を使用する。

ファイト技能は格闘全般スキルにまとめ、格闘回避は格闘全般の半分で上限70%。エレクトロニクスと大型メカニクスは精密メカニクスに1/3、精密メカニクスは大型メカニクスとエレクトロニクスに1/4で代用できる(もちろん、どちらか片方を選んで使う)。素材工学、建築土木工学スキルを廃止して、サイエンス・メディカル技能に工学スキル(EDU+INTボーナス)を新設する。サイエンス・メディカル技能に博学スキル(EDUボーナス)を導入、すべてのサイエンス・メディカル技能を1/4で代用できる。鑑定、写真・映像・偽造スキルを統合して鑑定・偽造スキル(受動行為でPERボーナス、能動行為でDEXボーナス)を新設する。暗号・信号スキルを暗号・信号・無線スキルに変更する(対象は操作で修理などはエレクトロニクスか工作・通信を使用)。

複数のスキルの代用となるが100%まで(ハスラーのみ150%までだが火力へのスキルボーナスはつかず、SAリンクのスキル倍加ボーナスもなし)しか取得できない基礎スキルを新設する。護身術スキル:I類火器、II類火器と応急手当とサバイバル1/2、格闘回避1/3。工作・通信:偽造・カモフラージュとブービートラップ2/3、暗号・信号・無線と大型メカニクスと精密メカニクスとエレクトロニクス1/3。操縦全般:ナビゲート技能1/2、搭載火器1/3。潜入:スリ、変装、ストーキング1/2。基礎スキルをすでに取得している場合、本来のスキルを取得する際に基礎スキル分を反映できる。たとえば、操縦全般を60%所有していれば、地上車全般がスキルなしの状態から10%の取得で40%になる(その後操縦全般が上がっても、ふたたび地上車全般を上げるまでは反映されない:護身術所有時に小火器を上げる場合は1/2扱い)。クリティカル成長は行使中のスキルが対象で、操縦全般で運転中にクリティカルすると(地上車全般でなく)操縦全般が上がる。能力値ボーナスは、判定の都度GMが有効だと判断したものを適用する。

上記ルールを採用する場合、職業別の初期スキルを以下のように変更する。ランドブラスター:地上車全般50%、大型メカニクスと土地カンと搭載火器と工作・通信と護身術と操縦全般30%。ネットライナー:イメージファイト50%、精神医学とエレクトロニクスとソフトプログラムと潜入と護身術30%、言語学10%(自由選択ボーナスは廃止)。バウンサー:小火器50%、サバイバルと応急手当と投擲と搭載火器と操縦全般30%、イメージファイト10%、偽装・カモフラージュとブービートラップと爆発物とストーキングと格闘全般のうち任意の3つを30%と他を10%。ハスラー:万能100%、護身術と工作・通信と操縦全般50%、イメージファイト30%、投擲以外のウエポンスキル1つを40%、残り(投擲含む)を20%。ブロックバスター:コンバットシェル50%、精密メカニクスと重火器と空中機動・0G機動30%、地上車全般と投擲10%、言語学とサイエンス・メディカルカテゴリ全部とコンピュータカテゴリ全部のうち任意の4つを20%と任意の2つを10%、任意の基礎スキル1つを30%。

ついでに、200%を超えて取得できるスキルは4つ(ハスラーは6つ)まで、そのうち2つ(ハスラーは1つ)だけが300%を超えられ、ヒューマノイドの限界を400%としておく(クリティカルにより望まないスキルが限界を超えそうなとき、成長を放棄でき、放棄してもLUCは補充される)。150%を超えるスキルをクリティカル上昇以外で取得するときは取得効率半分、350%を超えるなら3分の1としておこう。250%を超えるスキルではさらに、取得したいスキルの半分以下のスキルを同じだけ取得しなければならないことにする。たとえば、INTが2点上がって20%のスキル取得を行うとき、すでに360%持っているスキルに使えるのは10点までで、9点使うと3%上昇し、180%以下で取得しているスキルを合計9点分(160%のスキルを2%上昇させて4点+120%スキルを5点上昇させて5点とか)取得しなければならない。250%くらいを境にスキルを細分化する(たとえば地上車全般をバイク・ホバーと脚メカとそれ以外に分けるとか)ことも考えたが、煩雑になるしノリを損うような気がする。


SR2の危険さ

メタルヘッドのSRはファンブル率が10%もあるため、判定をしなければならないという時点でかなり危険な行動だといえる。このこと自体には問題がないというか、銃撃戦をすればジャカスカ弾が詰まり、敵味方合計10台くらいでブンブン機動戦をやると1台くらいはひっくり返り、その合間を縫ってガチャガチャと叩き合いをするのがメタルヘッドの世界なのだと思う。では何が問題なのかというと、このファンブルが完全に運任せだということである。

とくに運転や操縦への影響が大きく、たとえばバギーでSR2の簡単な運転SRをするとき、スキル50%のドライバーもスキル300%のドライバーも等しく10%の確率でファンブル失敗し、そこに運以外の要因はない。バギーならまだしも、飛行中のコンバットシェルなんかは何もせずに戦線離脱させられてしまう。これはちょっと不自然だし興醒めである。銃撃戦に限っては、スキルボーナスによってファンブルには手を付けないまま高スキル所有者を優遇しているが、他のSRにはそいうったルールがない。またそもそもの大問題として、射撃ファンブルにはファンブル表があるのに、それ以外のファンブルはたんにファンブルである(いまさらながら清清しいまでの粒度だ)。

筆者の意見としては、射撃以外のSRではファンブルの度合いに成功率を反映させるべきである。具体的には、失敗出目ファンブル、成功出目ファンブル、2倍成功出目ファンブルの3段階くらいを想定したい。たとえばバイクでスキル150%のライダーが運転SR1/2(成功ボーダー75)に挑戦するとき、81と91の出目は失敗ファンブルで、通常通り重大な失敗になる(ハイサイドでぶっ飛ぶとか、障害物に正面衝突とか)。出目41・51・61・71は成功出目ファンブルで、運転自体は成功しているものの何かしらのトラブルが発生する(積んでいる荷物がぶっ飛ぶとか、ミッショントラブルで修理するまでACL半分(MVは影響なし)とか)。出目1・11・21・31は2倍成功出目ファンブルで、突発的な事態により重大ではないが被害が出る(偶然落ちてきた看板を避けてバランスを崩し次の移動フェイズ終了までメカREF0とか、ミュータント昆虫がゴーグルにジャストヒットして潰れ掃除するまで暗視装置が使えなくなるとか)。通常失敗は、被害の程度としては成功ファンブル以上失敗ファンブル未満でよさそう(スピンしていったんMV0までの減速を強制とか、単純に物にぶつかって単一部位に固定火力ダメージとか)。

難しいのは工作とか通信などの成功ファンブルの扱いだろう。基本的には「不可抗力での不利益」が生じるものと考えて、修理中に停電したとか、無線を使おうとしたら磁気砂嵐が起きたとか、そんなところだろうか。高いスキルを保有していればこれらのトラブルを2倍成功出目ファンブルにして、些細な影響で乗り切ることができる。また成功ボーダーが200を越える場合、つまりスキル100%以上でのSR2とかスキル200%以上でのSR1は、GM裁量でロールを省略できるものとする(サイコロの出目で生じるようなトラブルで失敗するような作業ではないという意味:地殻変動に飲み込まれたとか建物ごと爆破されたみたいなレベルのトラブルは、ロールの結果としてではなくシナリオのイベントとして用意するべきだと思う)。

どっちにしてもマスターのドンブリ裁量になってしまうのは避けられないが、ある程度の目安は立てられるのではないだろうか。以下このルールを採用する前提で話を進めるが、運転・操縦・機動回避の判定やファンブルは、後の項でもっと入念な(かつ重い)ものも紹介するので、適宜選択して欲しい。なおARについては、心理効果のWILチェックファンブル(バーサーク)以外ちゃんと設定されていないが、これも成否判定なら1ゾロ失敗を「重大な失敗」として、1ゾロが出た結果が成功出目ならペナルティを軽減するのが妥当だと思う。


偵察と見張りの問題

雑な設定を不便さと安易なアンチ設定で相殺するルールが多いため情報がものすごく重要になるのだが、その情報を得るためのルールが整備されていない。本当は有線偵察メカみたいなものも設定したいのだが別の項に譲り、以下では基本的な事項の確認だけ行う。

たとえば、ホバータンクが上面の装甲を薄くしているのか後面の装甲を薄くしているのか、IMPは何発積んでいるのか、メイン火器はレーザーか実弾か、中に何人乗っていてどの程度の腕前なのか、事前にわかっていれば撃破が飛躍的に簡単になる。たとえば、後ろから追いかけてきたバイクが軽武装の快速機なのか重武装の鈍足機なのか、目で見てわかるなら対応も変わるはずである。また偵察したり偵察を防いだりということをやるなら、見張りや発見のルールも必要なはずだが、これが丸ごと抜け落ちている。

基本的には、明るい近距離で目視したメカの特徴(装甲が厚そう/薄そうとか、走っている状態で見たなら速そう/遅そうとか、車外設置火器の大まかな種別(マシンガン/キャノン/ミサイル程度)とか、ガンポートがあるなとか、そのくらい)はわかってもよさそうに思う。毎回だとうっとおしいが、珍しいメカを見たなら、大型メカニクスSR1くらいを振らせてもよいかもしれないし、裏でカモフラージュロールをしておいてもよい。コッソリ見られているのに気付くか気付かないかの処理は・・・カモフラージュの振り合いにでもするのが無難なのかねぇ。たとえば監視カメラの類を乗っ取って写真を撮るとか、そういう活動を暴く(ないし暴かれずにやる)のがどんな手順になるかと考えると頭が痛くなってくる(そんな本格的な活動は他のゲームでやってくれ、とプレイヤーに頼むのが、一番現実的な気がする)。

装甲やフレームの種類が事前にわかると大きな情報になるのだが・・・装甲はリアクティブやミラーコートを貼っていなければわかることにしておこうか(ただし複合装甲ルールを用いるなら一番上の装甲だけ)。フレームの種類は、メカを外から見ただけでわかるというのもアレだし、撃ってみて効果が薄いのを装甲のせいなのかフレームのせいなのか見分けるのも難しそうに思える。本体以外の命中と本体命中を両方見たら、本体だけダメージが通りにくくなっているようだとは気付いてよいかもしれない(積極的には教えず、プレイヤーから「このメカ、メタ=カーボンなんじゃないの」と言われてから「そんな感じもする」とぼかして伝えてもよい)。マグネットアーマー系の装備については、よく見れば設置されているのはわかるとしておこう(これでまた、ダミーを装備したりなんだりと始めるとややこしくなるのだが)。

メカのHPについては、多少の傷がある、傷ついている、大きな傷がある、壊れる寸前くらいの粒度でわかるとするのが妥当か。ドライブについてはパンクしているタイヤがあればわかるだろうし、動いていればエンジンも調子が悪そうかどうかくらいはわかると思う。操縦は、中に人がいて動かしているのか、遠隔操作なのか、AI操作なのか、ある程度わかってもよいと思う。ルール的にAIはREFが圧倒的に低い(反応が鈍い)し、遠隔操作もジャミングへの反応や電波探知でそれなりにわかりそう。ヒューマノイドの負傷については、ひと目でわかってよいと思う。後で触れるオーバーキル関連の処理にも関わるので、少なくともMO以上の負傷についてはぱっと見てすぐわかり偽装もできないことにしておくのが無難。

面倒な話が増えてしまうが、ハンターチームにとって、チーム構成を隠しておくのはほとんど不可能に近い。どこのチームは何人で車両を何台持っている程度の情報は、近所のハンターなら(有名になればこちらが知らないような相手でも)普通に知っていると考えるべきだろう。合同作戦なんかに参加すれば、戦闘メカの装備も大方はバレると思う。これらについては、装備を流動的に変更するなどして、情報が出て行くのはあまり気にしないのが普通だということにしておきたい。


生死情報と重複射撃と標的変更

ゲームバランスが一変してしまう要素なので、プレイヤーともよく話し合って決めたい。

重複射撃(オーバーキル:すでに無力化した相手に銃撃砲撃を続けること)の回避はとても厄介な問題である。たとえば、敵のメカ3体(量産キャラだとREFがまったく同じこともままあるし、メカのREFだけでの射撃ではPCでも容易に重複し得る)が味方野戦ワゴンへの射撃を宣言していて、最初の1発でワゴンが大破したようなときに、残りの射撃がどうなるのか、とても悩ましい。被害判定は命中判定の後なので、すでに命中した射撃を取り消すのはどうかとも思うが、ハチの巣状態で大破すると脱出もヘッタクレもなく死んでしまいそうである。いっぽうで、たとえばフル装備のサイボーグがシェルキャリアを操縦しているようなとき、どう考えてもメカより乗っている人の方が脅威で、意図的に重複射撃するべきような場合もあると思う。

ひとまずは、ヒューマノイドにMO以上の負傷または気絶以上の心理効果があったとき、メカに大破、ドライブ破壊、エンジン破壊があったとき、たとえ戦車の中にいようと敵味方全員に瞬時に伝わり偽装もできないことにしよう。もしこれを認めないと、無駄な重複射撃を避けることが難しくなる(避けない方が自然かもしれないが、ゲームの進行上は避けた方がずっとスムーズだと思う)。ハリボテなんかを偽装してメカに見せかけた場合、1発でも被弾すると瞬時にばれる。兵装の破壊なんかもその場の全員にわかることにした方が面倒でない(いちいち知らん振りするのもアホらしいし)。狙っていた対象が大破した場合(に限らず任意に)、射撃フェイズ未行動でバーサーク状態でなければ、フェイズの最後に回って標的を変更(または射撃自体を中止)できることにしておこう。

同REF射撃はどうなるんだとか大破したメカへの被弾はどうするんだとか、大きな問題がたくさんあるのだが、一挙には解決できないので、とりあえず、原則として上記を設定しておく(その他については後の項に譲る)。また、少なくとも1回のオート射撃で被弾した分については、すべて同時に当たったものとして互いに影響を与えず、被害がまとめて一度に生じるものとしておく。たとえば、メカに3発当たって本体に2点、本体に5点、ドライブにCP超1発なら本体に7点+ドライブに1発、のように扱う。SUV制ヒューマノイドの負傷についても同様で、1発ごとにダメージ修正を累積させるのではなく、まず3発分の負傷を処理して、それ以後の被弾にダメージ修正を適用する(ただ、この処理を採用してかつ同REF射撃を同時成立とみなすと、微妙にタイミングをバラした射撃の方が有効になってしまう:そもそも元の負傷ルールがかったるく、SUV制とHP制の格差を埋める必要もあるように思うため、ラウンドごとにMW何回HW何回と集計して次のラウンドからダメージ修正適用、という処理に変更する案に後で触れる)。

もし死人をできるだけ出さないように進めたいなら、大破したメカへの攻撃は一律無効(いいじゃないか、ゲームなんだから撃墜した敵に当たり判定なんてないんだよ、とでも言い訳する)、ヒューマノイドがMO以上のダメージをもらったときも以後の射撃が当たらない(理由はまあ、吹っ飛んだでも倒れたでもいいでしょ、ね、ね)、といった取り決めにしておけばよい(が、以下ではそのような設定でない前提で話を進める)。


決めておかないとエラいことになるルール

項目が多数に及ぶので、章内リンクを設けておく。

同時行動・スキル・能力値・サイバーリンク
メカの被弾・損害・大破
コンバットシェルの被弾・損害・大破
装甲、防具、サイバーパーツ
火力、被害、その他のルール
運転と機動回避に関するルール
行動宣言と近接攻撃関連をまとめて整理したい
メカの燃費とか大きさとか
その他確認しておかないと支障がありそうなもの

個別の項でとくに断りがない限り、このページ全体を通して、この章で提案するルールを採用している前提で話を進める。


細かいものを先にまとめて

パーセント効果は足し算、倍率効果は足し算の結果に掛け算することにしておく。どういうことかというと、たとえばサラマンダー(MV80)にタマハK2K(MV+20%)を積み、MVを30%チューニングしてバッドイヤー・Sスリック(MV3倍:筆者ルールだと2倍)を装着すると、80の50%増しで120に3を掛けて360、または80の3倍が240で50%増しだと360、という計算にしておく(もし3倍ではなく+300%なら、合計すると80の350%増しで280になる)。数値効果(直接増減効果)は、とくに断りがなければパーセント効果や倍率効果の後に処理するが、後からパーセント効果や倍率効果で修正を受けることはある。たとえばREF15のPCが操作するシュリケン(メカREF25)がブースターでREF+6を得ているとき、REF1/2のペナルティがあったら、最終REFである46に1/2修正を適用して23になる(+6を後から適用するわけではない)。パーセント効果で端数が出た場合は整数に四捨五入する(これもねぇ、とくにREF値で重大な違いが出そうだから迂闊に決められないんだけどねぇ:たとえばベルマニャックにハイモビルを積んでREF18の+40%は25、フォーチュナのホバイクにハイモビルだとREF19の+40%で27になる計算で、この違いは大きい)。

処理が面倒なので、HPが0にならないメカの損害は十分に時間をかければ無料(というか自前の修理)で回復可能としておく。生身の人間もHWまでは時間だけで回復。MOだったらサイバーパーツへの交換か、2倍の費用で入院治療(次のシナリオまでお休みになってしまうのが面倒だが、NPCなり予備PCなりを用意しておいて担当してもらうのがせいぜいか)。サイバーパーツはHWまで時間で回復、MOをもらったら(サイバーパーツ単体の)2倍の費用で修理するか、別パーツへの付け替え(メタルスキンなどは貼り直す必要があるが、STRとかはそのままでいいと思う、面倒だから)を選べる、とでもしておこう。HW程度の損傷でも治療費を(生活費の一部扱いとして取らなくていいと思うが)取る場合、部位当たり一律$500くらいで済ませた方がラクだと思う。大破したメカは修理不可能。キル・クリーム(HW以上の負傷者に故意にセル・クリームを適用する)とかの裏技は・・・まあいいんじゃない、そのくらいなら認めておいても。

隣接スキルの扱いも考えなくてはならない。本来のルールではコンバットシェルの1/2で空中機動・0G機動の代用を可としているが、他にも、たとえば化学と生物学とか、搭載火器と重火器とか、状況により流用可能になるスキルはありそうに思える。これらはGMの判断でどう処理しても構わないと思う。すでに紹介したルールの変形として、サイバーリンクしたメカの扱いにイメージファイトの1/2ないし1/3くらいを足せるというのも面白い。ネットライナーがヒマにしている時間を短縮するとともに、いちいちジャック=インしなければならないことを制約として活用できると理想的。これに限らず、2つのスキルの合算(の半分)で、2つのスキルの高い方で、2つのスキルの低い方で、別のスキルの半分をボーナスにして、といった複合的な判定を必要に応じて導入してみると、ちょっとしたアクセントになりそう。

ゲームのルールでなくリアル物理の問題ではあるが、地球がなめらかな球だとすると、水平線までの距離xは観測者の高さhによりx=3570×√h(m)で与えられ、h=1.6のとき4.5km程度である。よって、1.6mの高さを持つ観察者2名が9km離れたところにいると、地球に遮られてお互いが見えない(目から上だけ見える)。同様に、1.6mの高さを持つ観察者と0.4mの高さを持つ観察者が7km弱離れたところにいると、地球に遮られてお互いが見えない。もちろん、地上では地面に起伏があるので上記の式を直接当てはめることはできないし、まったく水平だとしても弾道が放物線になる影響で射線が通ることがあり得るが、視界上限の参考値としては把握しておいて損がないと思う。

また、SUV制ヒューマノイドの負傷(心理効果含む)が効力を持つのは次のラウンドから(狙撃除く)としよう。テイザーをもらいながら撃ち返したりすることが可能で、運悪く3人から同一部位に射撃をもらっても負傷による追加ダメージは次のラウンドまでもらわない(ラウンドの最後に、もらった負傷を累計して次以降のラウンドのペナルティを決める:プレイヤーズマニュアルP27「ラリーカンパニー日誌14」の記述を尊重して「累計」としたが、部位ごとに一番深刻な損傷を抜き出す方がスムーズだしバランスも取りやすいと思う)という意味。ただしMO以上の負傷または気絶以上の心理効果を得た場合、未実行の行動はキャンセルされるとしておこう。HP制のサイボーグは即死ダメージをもらいにくいのが特徴だが、SUV制だと集中砲火にいくらか耐えられることになる。


メカ関係の補足

火器の取り付けについて、基準が曖昧だし面倒なので、ハンギングはENC15まで、プロップはECN25まで、ガンポートはENC35まで、ハウジングはENC45までを限界とする(バインドとターレットは制限なし)。レーザーもミサイルも銃砲も関係なしに、火器本体(取り付け前)のENCだけを基準にする。メカが大破したとき、ハンギング搭載のミサイルor爆発物でない火器は、大破した直後(GM裁量だが1ラウンド限定とか)に限り1戦闘ラウンドを丸々使って回収でき、それ以外は回収できない(取り外す火器が重い場合、他の荷物を捨てながら拾うことも1ラウンドでできる)。これで厳しすぎるようなら、ENC16~30のレーザーは最終命中率に1/2の修正でハンギング可能としておこう。コンバットシェルの兵装は墜落しなかったときのみ回収可能で、バインドで搭載してあるものは地上大破でも不可としておく。また火器を持ち運ぶだけの目的(射撃しない)なら、ENC30までのものをハンギング搭載してよいことにしておく(貨物TPでなく兵装TPで運べるのがメリット:もし射撃したら、たとえレーザーでも1発で脱落し、決して命中しない)。なおターレットサイドカーの「元のENCが30までの火器をワンタッチでターレット搭載できる」ルールは廃止しない。

オンロードタイヤによるMV3倍ルールについて、エンジンのチューンや載せ替えと組み合わせると数値がインフレしすぎるので、オサフネとバギー以外はMV2倍ということにしておきたい。放置しておくと、MV30%チューンしたタマハK2Kをサラマンダーに積みオンロードタイヤを履かせてMV360、MV30%チューンしたV16無限をキングピンIIに積みオンロードタイヤを履かせてMV306みたいなことになってしまう。バギーは修正しないのでサンダーフォックスは余裕でMV300を超えられるが、どうせバギーだしいいんじゃないのという気がする。ついでに、トラクター(トレーラーの前の車)単独の場合もオンロードでMV1.5倍くらいなら認めていいんじゃないかという気はするが、オフロードタイヤのバイクやバギーより速くなってしまいやや不自然ではある(気前よく、オフロードタイヤの装輪バイクやバギーやワゴンにもMV1.5倍を認めるという手もあるが、そうするとホバイクが割りを食うし、オンロードタイヤの存在意義が薄くなるのであまりオススメしない)。

カーゴ/バトルトレーラーからのスクランブルについて明確な規定がないが、筆者は、1ラウンドにつき重量ナンバー1のメカだけなら2台まで、重量ナンバー2のメカは1台だけ、発進できるものとしている。発進する全員がSR1程度に成功すれば、上記の2倍くらい発進させてもよろしかろう(失敗したら、というか誰かがファンブルしたら、もちろん多重転倒)。タラップを降ろしたりなんだりは「素早くできる」で流すが、発進したラウンドの移動はカーゴから降りるだけ(せいぜい数m離れるくらい)としておこう。卵王からの3機同時スクランブルには、制限を設けなくてもよいと思う(ハンターチーム単独ではまずないだろうが、複数の卵王からコンバットシェルの編隊をスクランブルさせたらカッコよさそう:母機の性能が半端なので、見た目ほどの戦力にはならないと思うが)。

カーゴ/バトルトレーラー関係でもう1つ。カーゴ部分が大破した(HP0になった)とき中身はどうなるのかという問題。人間が乗ったメカの大破に準じるなら、ロール成功で慌てて飛び出すことが可能とするのが妥当か(バトルトレーラーはともかくカーゴはただのハコなので、爆発ダメージは必要なさそうにも思える:転倒はするはず)。このとき、トレーラーなら運転手もREFでAR20くらいを振って、切り離しに失敗したらトレーラーごとひっくり返るのが自然だと思う(不自然ではあるが、ルール上AIに運転させているとほぼ間違いなく転倒する:何度も触れる話題だが、メタルヘッドの世界のAIはとにかく反応が鈍い、のだということにしておきたい)。

コンバットシェルの限界STRより中の人のSTRが高い場合の扱いは、中の人優先でいいんじゃないかと思う。大型マニュピレーターさえ装備していれば壊れはしないわけだし、わざわざメンドクサイ制限をかける必要はなさそうに思える。影響がある機種は限られており、主力級ではパラダインプラスとソルシェくらい。どうせバスターライフルは持てるんだし、30mmロックガンやラムシールドなら持てても持てなくても大差ないだろう(ラムシールド+他の武器が持てるほどならちょっと問題だが、上限40なのでその心配はない)。

TPの入れ替えについて、クロムビートP15「[3.3]チューンナップ」に「片方の数値がそのもともとの(完成市販タイプの)データの半分になるまで入れ替えが可能」とある。これは「最終値が元の半分」としか読めず、たとえばウォーライノ(TP750/600で乗員8)に揚命EX高麗(TP+30のCP4だが、エンジンサイズボーナスがついて都合+40%)を積むとTP1050/840になり、貨物TPを300点(ノーマルの半分)残して兵装に回すとTP1590/300、座席を7つ潰して350TP稼げばTP1940/300にできる(ことになる)。反対に、兵装TPを375点残して貨物に回すとTP375/1515になり、座席をいっぱいまで増やすと32人乗れる(残りTP375/315:10%分の費用で10%未満の入れ替えをすることも、筆者がGMなら認める)。これもパーセント効果なので、あくまでノーマルの値(上の例ではTP750/600)が基準になり、座席を潰した分(直接増減効果)は最後に加算するだけ(50点+40%=70点、とはならず50点のまま)としておこう。


無視するルール

サイクロンで追加されたルールの大半を無視する。射程倍加は対物狙撃銃の項で触れるものに入れ替えた方がよいと思う。SAリンクについてもすでに触れたし、さらなる拡張ルールも後述する。一般車両と擬装用シート(職業に関係なく定価販売)、防盾(ランドブラスターのみ半額)、新兵器の章にある商品くらいなら採用してもよさそう。取捨選択の余地はもちろんあり、オートグレネーダーなんかはクリティカルが出やすいので導入は慎重に(P12の説明では「12発」「全弾射撃することが可能」でP13のチャートでは「B2/(A6)」だから、12発分の榴弾でA6射撃ができるということなのだろう:単一目標だとオート射撃の3発上限ルールに引っかかるが、嫌がらせでバラ撒いたorバラ撒かれたときの被害が凄いことになる)。

ついでに、クロムビートP25「シュワルツコフC」の説明に「先行量産機のメカニックデータはそれぞれ50%増しとのことだが、入手は困難」とかなんとかザックリしたことがシレっと書いてあるのも見なかったことにしたい(いいじゃん「そういうウワサがあるだけですよ」で:都市伝説なんだよ、きっと)。さらにオマケで、入手確率ルールもかったるいので全廃して、ハンターとしての地位が上がってきたらGMの独断で買えるように変更しておきたい。ガソリンの入手については・・・これってようするに、ヤバい性能のエンジンも用意したけど封印するならGMがご自由に、ということなのか。本当にアレなのはキングトロールNFだけだし、筆者の燃費ルールを採用すると費用面もそれなりに足枷になるはずなので、キングトロールだけ削除して、たんに「高性能だが高価な燃料」にしてしまうのが無難かなと思う。

マスターズマニュアルP14「ハンティング・スポット」のコラムには3大メガシティ間は2000~5000kmという記述があるが、2017年現在のハイウェイだと、サンフランシスコ~ヒューストン(サン・アンジェルス~テキサナに相当)が3100km弱、ヒューストン~ニューヨーク(テキサナ~ネオ・アップルに相当)が2600kmちょっと、ニューヨーク~サンフランシスコ(ネオ・アップル~サン・アンジェルスに相当)が4700km弱である(グーグルマップより)。経路が延びるのは、険路隘路とか危険地帯とかいろいろ迂回するだろうから理解できるが、なぜテキサナ~ネオ・アップルが2020kmに縮んでいるのかたいへん不思議である(ロサンゼルス~ヒューストンでさえ2500km弱、直線距離でも2200kmくらい)。この記事を書くためにマスターズマニュアルP15の地図をもう一度眺めてみたところ・・・大陸ごとめっちゃ歪んでるやんこれ。いや、図法によって多少の歪は出るけどコレそんな高緯度の地図じゃないし、なんか日付変更線中心の円錐図法系の地図(北東部がニュルっと歪む)からアメリカ大陸だけ雑に切り出したような・・・いや、筆者の想像を絶するほどに天変地異とか縮地補天とか凄かったんだろう、きっと(後の項で地理関係を丸ごと見直すが、面倒なら放置してもよいと思う)。


複数行動・スキル・能力値・サイバーリンク


サイバーリンクの概要と問題点

サイバーリンクについて、ジャック=インとジャック=アウトともに1戦闘ラウンドを消費する行動で、リンク中は身体が仮死状態になる。パラレルインターフェイスで、操作する機器1つに1本のケーブルを使う(タコ足配線というか、パッチベイみたいなものが用意されている)。バイクとコンバットシェルについては原則サイバーリンクで動かすことができず(例外はアクトポッド)、その他のどんなメカでも搭載可能。大型センサーや電子戦装備の操作は操縦と同系統。ここまではマスターズマニュアルP56「[6.5]サイバーリンクシステム」に書いてある。人間側のジャックは$1,000と規定されているが、メカ側の「インターフェイス」(サーバというか、中継器みたいなものなんだと思う)は値段の規定がなく、バイクやシェルには積めないほど大きいらしいがENCも規定がない。

しかしこのジャック=イン/アウトに1戦闘ラウンドを消費するというルールは、ドッキング型コンバットシェルの操作と矛盾する部分があり、運用上もかったるいばかりでメリットがあまりない(杓子定規に解釈すると、シァバリエなんかはアホらしい運用になる:母機がサイバーリンク運転専用だから、1ラウンドかけてジャック=アウトして仮死状態から戻り、それから(シェルをマスタースレーブで操縦して)分離)。またサイバーリンク運転から他の人のサイバーリンク運転に引き継ぐことが、ルール上できなくなってしまう(ジャック=アウトして、配線を変えて、ジャック=インしなければならないので)。さらにもしサイバーリンクを「固有の対象が定まった排他的な操作」なのだとすると、1つのメカ内でサイバーリンク操作を系統分けして、どれがどの系統か(運転と電子戦装備が運転席からのサイバーリンク系統で、主武装がガンナー席からの系統で・・・みたいな感じに)設定して把握する必要が出てくる(実際、プレイヤーズマニュアルP56「追記」はそういう趣旨=メカにジャック=インするのではなくメカの操縦系だとかメカの火器管制系なんかに複数同時ジャック=インする、ということなのだろう)。

だいたいからして、接続がパラレルでハードウェアパッチベイみたいなものを使っているのがまず鈍臭い。マルチケーブルを使ったり帯域確保のために本数を増やしたりするのはありかもしれないが、基本は1本の線で途中から分岐させるべきだろう。そうしておくことで、同じメカにジャック=インしている者(AI含む)同士で分担を流動させたり、ドライバーやガンナーが気を失った(あるいは死亡した)ときに操作を代わったりといったことが可能になると思う(というか、こういう需要がないと考えるのはいくらなんでも不自然である)。またルールの構造的な問題として、サイバーリンクのデメリットが「死にやすい」だけであることから、PCには使いにくくバンディッドなど人命コストが安い集団には使いやすい選択肢になっている。これについては後の項で詳しく触れたい。


サイバーリンクルールの大変更

この際なので、バイクとシェルで使えないのは仮死状態になる(バイクならコケるしシェルはマスタースレーブなので動かない)からとして、メカ側のインターフェイスも$1,000のENC0にしてしまおう(MADメカニックなら標準搭載、外して持ち歩く場合のみENC2とする)。オサフネやイダテンのタンデムシート、戦闘ホバーなど微妙なものもあるが・・・筆者としては頭までガッチリ固定するサイバーリンク用のシートベルト+開きっぱなしのエアバッグみたいなものが(ドッキング型コンバットシェルやアクトポッドみたいな例外を除く普通のメカには標準装備として)必要だと考えており、イス型のシートなら可で跨るサドルは不可というのを基準にしたい(ホバイクや戦闘ホバーは不可、イダテンやオサフネのタンデムシートは可、望むならサイドカーも可、カンガルーは不可でマザーグースは可:リンクのための装置自体はついているので、ハスラーならSAリンクでの射撃は可能)。ヘリと一般車両は、総費用$3,000でサイバーリンク対応に改造できることにしておく(全部まとめてENC0で兵装にも貨物にも含めない)。なお戦車にシートベルトがなく車内にガンガン頭をぶつけながら戦車帽で耐えていたのは黎明期だけの話で、2017年現在は装甲車でも先進的なものはフローティングシート(エアバッグは撃たれると誤作動するので、クッション性で力押しする)やシートベルトを備えている(でないと地雷で中の人が全滅する)。

通信ファイバー部分(ジャックイン端子~メカのインターフェイス)は光通信として、ENCも価格も設定しない(電気だといろいろ面倒なので、折り曲げに強い光ファイバーが開発されたことにでもしておいて欲しい)。通常の最大長は5mで延長できないではないが、サイバーリンクは原理的に「有線リモコン」操作なので、コントローラーを手元に置かない理由は普通ないはず。人間側のジャック<通信ファイバー>メカのインターフェイス<通常の電気回路>操作対象、という接続になる(ここでいう「通常の電気回路」とは、ようするにリモコンからメカへの接続配線である:フライバイワイヤとかドライブバイワイヤにおける「ワイヤ」と同じ)。センサースーツを着たままのジャック=インは不自然だが、シァバリエなどのルールと矛盾するのも困るので可としておく(サイバーリンク用に穴でも空いてるのだろう)。無線によるリモコン操作は(元のルールに規定があるものも含め)安定運用ができず一般には用いられないことにしてしまいたい。

なおすべてのMADメカニックは有線リモコン操作に対応している(というか、リモコン操作に相当する機能がないならサイバーリンク操作なんてできない:バイクでも兵装部分はサイドカーからサイバーリンク操作できるし、シェルのハードポイントも(通常は外部に配線しないだけで)有線リモコンで兵装を動かしていることには変わりない)。リモコン操作できるということは、銃器を動かすモーターや視界を確保するカメラなどもついているということでないとおかしいが、ハンギング以外の取り付け方法は費用とENCにサイバーリンク用機器の分も含まれていることにしたい(ハンギングの場合メカ本体の視界で前に撃つだけなので必要ない:ペナルティはすでに設定されているので追加しなくてよいと思う)。またサイボーグの感覚センサーや車両系メカの窓ガラスなどと同様、本体や兵装が壊れない限りリモコン装置も壊れないものとしておく。

ジャック=インはあくまで「メカに対して」(正確にはメカのインターフェイスに対して)行うものとして、1つのメカに複数人でサイバーリンクしていれば、役割の配分などは自由に行えるものとしてしまおう(操作可能な最大範囲はメカのインターフェイスからリモコン配線が繋がっている先全部で、通常はソフトウェア的に権限管理や役割分担をする)。ついでに、同じメカにリンクしている者同士のコミュニケーションも自由に行えるものとしたい。サイバーリンクしている者としていない者のコミュニケーションはテレビ電話的なものを備え付けておけば可能だと思うが、筆者はアクセスファイバーのルールをSAリンクと統合して置き換える(別の項で後述)ので、それで済ませることにしている。サイバーリンクでの運転について、サイバーリンク同士か、他の人にあらかじめ運転席(航空機以外のメカなら1つであることが多いだろう)に座っていてもらえば引き継ぎ可能とする。バックアップ用にスタンバイさせておいたAIは、人間が操作を(ジャックアウトなどにより明示的に、というかあらかじめ設定した手順で:設定内容について、ゲーム上は気にする必要はない)放棄すると勝手に運転を引き継ぐ。この辺はごちゃごちゃしているので、後の項でまとめてルール案を示す。

パッチベイ部分(メカ側のインターフェイスに内蔵されていることにしよう:もちろんソフトウェアによる仮想的なもの)の操作ができるのは1人だけとしてもよいし誰でもできることにしてもよいと思う(雇われの操作要員は低い権限しかもらえない)。パッチベイ操作が重複したら上書き(後からの操作が優先)としてもよいし、あらかじめ決まった優先順位に従うとしてもよい(所有者なりシステム管理者なりがどちらにも設定できる)。操作の受け渡しは移動フェイズに含めてしまおう(行動宣言順の項で後述)。AIについては、(割り込み権限のある)人間が割り込んできたら操作が無効化され、誰も操作しなくなったらまた勝手に操作を続けることにする。上記はすでに同一メカにジャック=インしている人同士の操作の受け渡しで、ジャック=イン/アウトに1ラウンドかかるルールは「つぎのラウンドの最初に完了する」という形で部分的に残すので注意。

サイバーリンクしている者のルールは以下のようにする。

電子戦装備の使用は行動宣言と処理の順番とも関わるが、詳しくは行動宣言順の項に譲る(基本的には、移動とジャック=イン/アウト>電子戦装備>射撃の順番を想定)。シェル着用は、ドッキング型コンバットシェルの構造を考えると結局可能とするしかなく、どうせならシェル全般に認めた方が運用範囲が広がるという考えで採用した。

本格的な遠隔操作はどうなんだろう。たとえばゲリラのアジトなんかで、中央の制御室に何人か集めて(もっと徹底するならガレージに駐車したバトルトレーラーから)ジャック=インさせ、建物内の監視や警備を集中的にやるなんてのは、できるといろいろ面倒そうだができないのもおかしい気がする(筆者のルールではサイバーリンクの通信ファイバーを原則最大5mとしているが、あくまで「メカのインターフェイスまでの距離」であって、そこからカメラや銃器までの配線は普通に延長できるはず)。まあきっと可能なんだろうと思う。むしろ、このサイバーリンクによる陣地運用(建造物が丸ごと、移動しないGメカのように振舞える)により戦車であっても正面からの攻略が難しくなっており、機動力重視の戦力運用が主流になったとかなんとか、ソッチ方面にこじつけた方がよさそうな気がする(そもそもが、サイバーリンクって待ち受ける側にこそメリットがある戦術要素だと思う)。なお停止したサドルシートのメカに搭乗したままサイバーリンクを使用することは妨げないが、攻撃者がいれば乗員を任意に狙い撃ちできる(イスに座ったまま寝ている人を射つのと同じ難易度)ことにしておく。


REFとスキルとサイバーリンク

メタルヘッドの銃撃戦においては相手より先に行動できることがかなり重要で、その順序(イニシアチブ)を決める際にはREFが用いられる。REFの決定についてはプレイヤーズマニュアルP23「[4.2]射撃・投擲」の「1イニシアティブ決定」や同P22「ラリーカンパニー日誌10」の記述が基本で、ようするに「ヒューマノイドはREF能力値、メカニックはメカに固有のREF値」である。攻撃フェイズの行動についてはクロムビートP5「[1.3]アドバンスト・メカニック戦闘ルール」に修正ルールがあり、運転をしていない者がメカの搭載兵器で攻撃する(ガンナーが手撃ちする)ときのみメカREF+操作者のREFを用いる。これが本来のルールである。

なにがマズイのかというと、ようするに、銃撃戦の最重要課題であるイニシアチブの行方が人数をどれだけ揃えるかだけで決まってしまう(たとえばREF6の戦車に、REF15の「少しは強化しました程度の」サイボーグがガンナーとして乗っていると、クラッカーやサラマンダーの搭載火器より先に撃ててしまう)うえ、サイバーリンクの運転手+手撃ちのガンナーみたいな構図が動かせなくなってしまい、いくらなんでもあんまりである(ゲームバランスで言っても、頭数=火力=戦力という構図がさらに圧倒的なものになる)。ガンナーが乗ったポケットタンクが他の中型メカに対して優位になりすぎる問題も深刻で、ヴァルムビク(チャンピオンと性能比較すると、REFが2点高いのとドライブに耐久力が1発ついただけで、他にいいところがまったくない:ポケットタンクのドライバーは常時サイバーリンク前提なので、たとえインセクターに常時機動回避を認めたとしても挽回にならない)なんかはほとんど粗大ゴミになってしまう。

このルールはもう丸ごと無視して、メカニックのREFは「メカREF+操作者REF」を原則に、ヒューマノイドのREFは能力値の2倍として帳尻を合わせ、複数動作の処理は別に決めてしまいたい。筆者が提案するルールの骨子は以下のとおり。

たとえば、REF13のPCがREF14のバイクに乗っている場合、REF27で運転+REF21でスキル1/2射撃か、REF21でスキル1/2で運転+REF27でペナルティなし射撃の、どちらかを選択できる(機動回避が必要になったとき、運転の優先順位が2であれば1/2ペナルティを受ける)。また同じPCがREF10のバギーをサイバーリンク運転しているとき、REF23で運転+REF17で射撃か、REF17で運転+REF23で射撃の、どちらかを選択できる(ランドブラスターであれば両方REF23)。同一スキル複数行使がわかりにくいが、ようするに、地上車全般スキル150のPCがサイバーリンクと有線接続を併用して2台のメカを同時に操縦するとき、行使スキルが合計150点かつ各51点以上になるよう分配(たとえばメカAを90%で操縦+メカBを60%で操縦とか)、もし互いに無関係な動きをさせるなら優先順位も別に設定する(2台を併走させるなど、2つの操作で1つの動きをみなせるなら1つの優先順位の中で解決:最終的にはGM裁量)という意味。ファンタジーRPGでいう攻撃回数みたいなノリで射撃数が増えることになろうか。

選択ルール1はヒューマノイドの全力移動を置き換える意図で、たとえばREF11のPCなら、MV3かつREF22の移動+REF22かつペナルティなしの射撃か、MV6かつREF22の移動+REF11かつ1/2ペナルティの射撃を選択できる。選択ルール2はそれを他のメカにも援用したもの。タイプMの最速MVはキューピットの13、次点がヴァルムビクとキウィの10(シェル最速はスティンガーの8)で、全力で走ればガンドックあたりは(短距離なら)追い抜ける計算。選択ルール3は・・・常識的に考えればそのくらいのペナルティはあるに違いないと思うのだがどうだろう。サイバーリンク(仮死状態になる)したままバイク・コンバットシェルの操縦や手持ち武器の射撃はできないことに注意。なお解釈上、距離がごく近ければ(狭いインドアとか)近接武器と射撃武器の併用もできることになるが、これは戦闘ラウンドの処理手順で禁止する(詳細は後の項に譲る:まあマンガ的なノリでやるなら認めても悪くないのかもしれないが、必ずしも認める必要はないということ)。

上記は起動回避の効果をREF準拠にするルール(高REFで機動回避できるランドブラスターのメカが少し硬くなる)もあわせて導入する前提ではあるが、このルール単独で使用しても悪いというほどは悪くないだろうと思う。またサイバーリンク射撃の最低1発命中ボーナス(筆者は途中で放棄できるものと考えている)は廃止しないでおく。


サイバーリンクと同時作業と斉射

サイバーリンクを利用した一斉射撃のルールもちゃんとした定義がされておらず、たいへんアレである。もしこれがスキル分配制であれば、まあそんなに酷いことにはならない(命中率を1%に調整して確定クリティカルを狙っても、ファンブルばかりで戦力にならない:数が極端に多いとさすがにアレではある)。が、もしスキルが丸々生きて射撃数だけ増えるなら、戦闘バギー(できればサンダーフォックス)にリキエル500Sを乗せて5.56mmミニガンを(当然ハンギングで)積めるだけ積むというアホ技ができてしまうし、戦車やバトルトレーラーに20mmバルカンをたくさん積まれると、アウトレンジ攻撃とワンターンキル以外ノーチャンスになる(というか、ほとんどの野外戦闘が3秒で終わる)。搭載ルールにも関わることだが、複数の火器を同軸搭載(あるいは航空機に見られるような交差弾道搭載)した場合にも同様の問題が生じる。主砲+同軸機銃みたいな構成を単射キャノン+連射火器(実弾レーザー問わず)とかで作られるのもたいへん困る。元はといえば戦車のTPと機関砲の対物火力がエラいことになっているのが元凶なのだが、なっているものはしゃあないのでどうにか誤魔化したい。

同軸搭載(あるいは交差軸搭載)については、同一機種複数設置であれば射撃方式が変わるだけ、異種混合であれば1つをメインにさせるのがラクそう。たとえば、発射方式Sの火器は2台で全距離命中+30%・3台でB2・4台でB2かつ+30%(弾薬消費はSの台数分:以下同様)、発射方式B2の火器は2台でB3・3台でB4・4台でA2、発射方式Aの火器は2台目以降のオート射撃数を半々(切捨て)にして累積、といった感じ(IV類の特例ルールであり、搭載火器にB3やA3は存在しない前提なので、オリジナル火器導入の際は注意)。ただしオート射撃数はA9を上限として、最終的にこれを超える場合に限り射撃数を半分(切捨て)にして全距離命中率+30ボーナスと引き換えることができる、くらいでどうだろう。このグループ化は同機種複数搭載でしか認めず、射界はもっとも不自由なものと同じになり、1グループの上限数は4、ジャムなどで稼動できないものがある場合数が減る扱いで、兵装に被弾したときも個別に壊れるが、射撃のたびごとに任意の同種火器をグループ化できる(のが面倒なら設置の際に設定でもいいが、流動化を認めた方が自然だと思う)。

異種混合設置や、同種でも8台積んで2グループみたいな場合、射撃対象を複数にする場合などは別行動扱いとし、スキルを分配した上で(分配したスキルに対してさらに)筆者の行動優先順位ルールに従いペナルティを得る。ただしこのとき、射撃するのがすべてIV類火器で、ひとつの火器を必ず外れる扱い(優先順位もスキルも設定しない)にしたうえ、他の火器を操作者REF0扱いにすることで、命中率に30%のボーナス(センサー扱い:後で触れるが、複数適用可能な場合一番効果が高いものを適用し、ミサイルには効果がない)を得られるものとする(同軸射撃本来の運用:曳光弾を混ぜたりとかは、やりたい人だけ演出として設定することにして、ルール上は無視)。オート射撃の複数目標射撃は(IV類に限らず)廃止しないが、複数の火器で同一範囲に射撃しても1つの目標に複数回命中することはなく、スキル修正は累積(順番は射撃者の任意)、異種混合でもよいがスキル修正の適用順にオート射撃数は半々にしながら加算する(スキル修正はすでにかかっているのでスキル分配はしなくてよく、またオート射撃数のA9上限も適用しないが、グループ化と同様4台までのを上限とする:高スキル者が4連装の20mmバルカンを使えば非武装車両を36台まとめてなぎ倒すことも不可能でなくなるが、ぶっちゃけそんなもんというか、別に不自然ではないと思う)。またA2の火器(元のルールだとマグナムカービンだけのはず)には(範囲掃射による)複数目標射撃を認めない。

このルールを採用するとき、ブロックバスターP3「6.戦闘時の特性」にある同時射撃ルールは撤廃する。だいたいからして、重火器なんぞ何丁同時に撃ったところで搭載火器には射程も火力もボロ負けなのだし、対人なら手持ち火器だけで最初から必殺レベル、シェル対シェルならお互い同じ条件なのだから、元のルールはありがたみがあまりない。ゲームバランスへの影響としては、ようするにシェルからREF勝ちの遠距離射撃ができるかどうかということなのだが、これに関わるのは、ソルシェのアセンブルガン(微妙なところだが、筆者はVIII類扱いすべきではないかと思う)、シェルビンスクの肩ハードポイントにバリアブルフレームを使っての30mm機関砲or20mmバルカン、ハードポイントに搭載した40mmビームキャノン、マルクスに追加兵装を認めたときの搭載火器だけである。これらはぶっちゃけ認めていいんでないのというか、シェルの対物火力がゴミすぎる(バスターライフルじゃねぇ)方が問題なんじゃないかと思う。シェルだけ操縦の放棄を認めないペナルティも設けたし、原則どおりの適用としたい。

選択ルールとして、2丁拳銃など手持ち火器の場合や、近接武器の2刀流の場合、特例として同一目標であれば片方にスキルのみ1/2ペナルティとする(ただし単一目標への命中数上限は4で、高いスキル射撃から先に処理する:ヒューマノイドが片手で運用できる火器を荷重制限の1/4までに限定し、ファイトスキルを統合している前提)。このルールを適用していても、スキル分配での射撃を選択することは妨げない(瀕死のHP制サイボーグや大破寸前のメカを狙う場合に、命中数を稼ぐことができる)。筆者の白兵戦ルールと併用すると、レーザーブレードの2刀流がけっこう有効(アクトポッドやソルシェに対してかなり確実なキルを望める)になるはずで、そのくらいは認めてもいいかなという気がする(むしろレーザーブレードをミラーコートの対象外にしてあげたいくらい:砂か何か吹き付けながら斬ることにでもして)。このルールを適用しない場合、通常の複数スキル同時行使と同じ扱いで、スキル分配(目標が異なればさらに別行動扱い)とする。


メカの被弾・損害・大破


メカの被弾部位と被害タイミング

本体以外への命中について、プレイヤーズマニュアルP29「ラリーカンパニー日誌20」の記述から、命中判定>装甲判定>細部命中表判定と進む(これに対し、ヒューマノイドの場合は命中判定が命中部位判定を兼ねる)らしく、メカの装甲とDCの恩恵は一律で受けられる(ただしメタ=カーボンは本体命中にのみ適用:でないとヘビークロムとの整合性が取れない)。装甲車などに上面攻撃を加えて装甲を抜けつつドライブに当たることがあるのは、お互いが動いている状況でそういうこともあり得ると解釈しておく(本来なら、ホバークラフトへの後面射撃なんて半分以上推進ファンに当たらないとおかしいし、バイクへの上面射撃も装甲無視で乗員に当たりそうなものだし、コンバットシェルの手持ち武器にどうやって装甲が効くのか想像もつかないが、簡略化を優先する:メカの被弾ルールを全面改訂するつもりでないと手が出せないと思う)。ボディのないAIが操縦や火器管制に関わっていても乗員扱いとはせず、搭載に用いているTPに従って処理する。PCの持ち回り品としている場合は命中対象にならないが、所有者がHW以上の負傷または気絶以上の心理効果を得たら接続が外れるものとする(本人が意識を取り戻せば1ラウンドで再接続できる)。

メカの細部命中表で「エンジンまたはドライブ」とか「兵装・貨物・乗員」などとあったら、まず(D6などで)分類を決定し、その後で具体的な損害(貨物ならどれに当たったか、乗員なら誰に当たったかなど)を判定する。これをもし「対象となりうるもの全てからランダムに選択」とすると、ホロ神棚(やその廉価版であるEB)の大量導入がうっとおしい。複数乗員メカで空席がある場合も、実際に乗っているうちの誰かが命中対象になるとしておこうか。牽引車(KKKロワイヤルのもののみ独自装甲)やサイドカー(バイクの兵装扱いでHP1だが本体の装甲有効、サイドカーに着席していてもバイクの乗員扱い:プレイヤーズマニュアルP36「[5.7]メカアクセサリー」を読む限り、筆者にはそういう解釈しかできなかった)が大破した場合、積載物は(GM裁量で特例扱いするような極端に丈夫なものでない限り)まとめて全部壊れるとしておこう。KKKロワイヤルの牽引車以外、搭載物自体は被弾対象にならない(積んでいる車が大破したときのみ一緒に壊れる)。トレーラーの前の車(トラクター)が大破してもカーゴに影響はない(移動できなくなるだけ)とするが、バトルトレーラーが大破したときはカーゴ部分も一緒に大破する。KKKロワイヤルの牽引車に人が乗っていて大破した場合、通常のメカ大破と同様に処理する。

ドライブ命中時のREFペナルティは中の人の行動全部にかける(タイヤが1つ吹っ飛んだ装甲車から射撃すると、普通にやるより動きにくいことにする)。エンジンやドライブの破壊を含め、メカ性能の低下が有効になるのは、ダメージを与えた射撃と同REFの射撃がすべて終わった直後とする(REFの変化により射撃順番が入れ替わることがある)。ドライブが壊れたときのノーマルドライブへの交換は無料でよいと思うが、どうしても費用を取りたいなら、交換ドライブがある機種は一番安いものの半額、交換ドライブがないものは本体価格の2割(装輪メカは1割でスペアタイヤを1本オマケ)でひとそろいとでもしようか。無限軌道の多耐弾ドライブはCPの2倍以上のダメージで2発分のダメージを受ける(上限2発分)としておきたい。また動けなくなった(または動く気がない)メカについて本来のルールの「必ず命中」というのを「命中+60%でDC0」に改める(タイプHの補正もなくなるし、機動回避も当然できない:ただし、レベル3以上の遮蔽またはレベル2遮蔽かつCSD相当品使用時にはDCペナルティのみ免除する)。

運転を担当していた乗員が行動不能になった(気絶以上の心理効果とか、MO以上の負傷とか)or意図的に運転を放棄した場合、他にサイバーリンクしている者、運転席に物理的に搭乗してサイバーリンクしていない者、またはバックアップのAIはノーペナルティで運転を引き継げる。運転席におらずサイバーリンクもしていなかった者が運転を代わるには、運転席に移動するにしてもジャック=インするにしても、1移動フェイズを要する(交代する間メカの運転は放棄された格好で、惰性で進み障害物があれば衝突する:射撃フェイズには射撃可能だが、そのラウンドはメカREFゼロの扱い)。バーサークした乗員からメカの操縦を奪うことは、サイバーリンクしていてかつメカの管理者的立場にあれば可能(あらかじめ権限を決めておく設定だが、ゲーム上は意識しなくてよい)。殴って気絶させたければ次のラウンドの攻撃フェイズでノックアウト攻撃を試みる(か、場合によっては車内でテイザーなんかを使うこともあるのかもしれない:とっても危なそうだけど、ペナルティまではいらないと思う)。

オート射撃に対するリアクティブスモークの動作は、同じREFの射撃がすべて終わった後とする。このルールだと味方のREFを(ホバーブースターなどで)調整して同時射撃にすることでリアクティブを掻い潜ることが可能になってしまうが、まあそこまで目くじら立てなくてもいいんじゃないかという気がする。筆者としては、CSDとリアクティブともに、MV10以下でないと役に立たないルールを採用したい。重くてもよいなら、発動時(移動フェイズの最後)にMV60までの移動ならオート単発関わらず次の射撃1回(ただしラウンドをまたがない)まで、MV30までの移動なら射撃フェイズの終了まで、効果が持つことにしてもよさそう(ボフっと煙が出て中からメカが現れるようなイメージ)。使った次のラウンドにMVが10以下になったら、効果時間を2ラウンドに短縮して(=使って効果が途切れた次のラウンドの間)機能することにしておこうか。スモークを焚いたままでもMV10以下の移動は自由としておく。MV60以上の移動をしたラウンドは、CSDの効果が完全になくなる。また後面からの射撃に対しては、上記ルールのMVを2倍に読み替えて適用する。


大破と乗員ダメージの概要

基本的に、メカはHPが1でも残っていれば完全に作動し、0になった瞬間スクラップになる。これはまあ、ゲームの表現として受け入れておきたい。しかし、プレイヤーズマニュアルP33「[5.2]メカ能力値」にある「普通AR20でREFチェックを行います。もし失敗したなら機動・地上メカならD100+100、空中メカならD100+200のダメージ」というのはあまりにも大雑把(空中でダメージが増えるということは落下ダメージも込みなのだろうが、脱出に成功した後のフォローがなく、時速数百km/hで動くメカから緊急脱出して無傷というのもあんまり)である。

墜落ダメージが(コンバットシェルが空中でザックを壊したときにはほぼ必ず発生するにも関わらず)きちんと定義されていないのもアレ。クロムビートP10の「[2.5]事故」にある「1D100+衝突時のMV値+本体重量差による火力値(装甲必ず適用本体命中)」を援用すると、空気抵抗を無視した10mからの自由落下で50km/h(MV40)程度、20mからの自由落下で70km/h(MV60)程度だからざっくりMV50として、重量差(相手は地球なので地盤が硬ければランク5とする)で火力+90、1D100+140点くらいのダメージになる計算(事故と同じ扱いなら中の人は1D100の全身ダメージだけのはず)。これでは煩雑だし、実際には自由落下成分による叩きつけよりも水平速度による転がりや衝突が問題になりそうに思える。

複数乗員メカの脱出が定義されていないのも困りもので、たとえばポケットタンクに2人とかホバータンクに4人とか乗っていたとして、全員同時に脱出できるものかどうか(戦車なら人数分ハッチがあるはずで、装甲車の類は上面に多数のハッチと後面に大型ハッチ(ランプドア付き)があるのが普通)。サイバーリンク前提かつコンバットシェルに上から撃たれるのが当たり前の運用思想で、脱出がどう扱われているかの設定はたいへん悩ましい(が、深く考えずにある程度知らん振りしたい)。

大破ルールの取り決めは、もちろんあまりに不自然なものであっては困るが、基本的にはPCの死にやすさをコントロールするもので、職業や活動場所であまりにも生存率が異なるというのは望ましくない。メカに乗っていないときの死にやすさについて考えると、まあようするに胴部か頭部にKダメージをもらったら死亡で、LUCを使えばMOにできる。メカに乗っているとき、乗員命中判定はバイク類で2/10、通常メカで1/10、戦車で1/3、コンバットシェルはなしである。これらを勘案した上で、コンバットシェルはやや危険に、大型メカはやや安全になるようなバランスを目指したい(基本的には、あんまり死なない方向に持って行きたい)。

一応数字も出しておくと、乗員命中1/10の通常メカが70%装甲だと、乗員に装甲を抜けた攻撃が当たる確率は被弾1回ごとに3%、10発もらって1発以上直撃確率が26%、23発もらうと1発以上直撃確率が50%を超える。同様に、装甲80%だと直撃は2%、10発被弾で18%、35発で50%を超える。装甲90%だと、直撃は1%、10発被弾で10%、69発で50%を超える。解釈は人それぞれだろうが、終盤の搭載火器がヒューマノイドを直撃するとほぼ助からないので、死にやすさの下限としてこの程度のリスクが常にあるということは確認しておきたい(序盤は大破がとにかく怖いが、火力が充実してくるにしたがって直撃のリスクも上昇する)。

なお筆者は、アクトボッドの大破=即死ルール(Kダメージでなく死亡)は廃止しないことにしている。有線リモートコントロールを認めているので、中に人が乗り込んで銃撃戦を行うこと自体がイレギュラーだという扱いで、いっそのこと搭乗不可(AIは搭載可)にしてしまった方がスッキリするのではないかと思う。以下ではクトボッドの大破=即死ルールを撤廃しない前提で話を進める。


大破ルールの提案

まずは大破のタイミングなのだが、惰性がついているため、コントロールを失ったメカにも1ラウンドは移動処理が必要だろうと思う(地雷などの例外を除けば、大破が生じるのは射撃フェイズで、すでに移動は完了している:この項では以下、地雷などによる大破でも処理は変わらないものとする)。メカの処遇が決まるタイミングを移動フェイズの最後に設定すれば、大破した次のラウンドの移動を脱出に当てれば効率よく処理できそうである。ということで、メカが大破したら未実施のすべての行動をキャンセル(手持ち火器の射撃も認めない)、次の移動フェイズは大破時MVから1m動くとMVが1減る扱いで直線移動し、MVが0になった地点で止まることにしよう。つまり、MV50で大破したとき、20m先の障害物にぶつかるならMV30、40m先の障害物ならMV10、何にもぶつからず50m移動すれば止まる。奇妙な処理ではあるが、止まるまでの距離がどんなに長くても、この移動は1つの移動フェイズで終わる(タイプAのコンバットシェルは、例外として後の項で紹介するルールを使用する)。面倒なのでドライブ破壊も同様に扱ってしまおう。

大破またはドライブ破壊が生じた次の移動フェイズでは、惰性移動を処理する前(普通にやるなら移動の直前)に転倒チェックを行う。大破orドライブ破壊時MVを、バイク類、ガンドックは2倍、野戦ワゴン、シェルキャリアは1.5倍、ポケットタンク、バギー、トレーラーはそのまま、戦闘ホバーは1/2、装甲車、インセクター類は1/3、バトルトレーラー、ホバータンクは1/4、戦車は1/5修正をかけ、修正後の値が11以上なら1D100して、値以下であればひっくり返り(ないしあちこちぶつかりながら派手にスピンして)、中の人に1D100の火力で単一部位ダメージが入る(防具は有効でクリティカルしない:兵装については、面倒なので「よほど丈夫なもの以外は全部壊れる」としておき、とくに重要な物品があれば乗員と同じ判定でHPを減らせばよいと思う)。タイプAでないコンバットシェルのみ、耐衝撃性が万全だということで、このダメージを火力半減とする。転倒時にサドルシート(筆者ルールでサイバーリンク設備を設置できないシートのこと)に搭乗していた者は振り落とされてメカと一緒の方向に吹っ飛び、上記ダメージの代わりに1D100+転倒時MVとその半分の火力で各一箇所(重複しない)にダメージを得るが、爆発炎上しても脱出ロールの必要がなくなる。このダメージは障害物への衝突なども加味したものなので、メカが障害物にぶつかっても爆発炎上しても、追加ダメージは必要ない(壁に向かって突進している最中に転倒したなど、よほど極端な状況であれば吹っ飛びダメージを増やして反映させればよい)。

転倒したメカは、D6を2回振って、上・上・下・下・左・右面を下にして、元の方向から12・2・4・6・8・10時方向を向いて止まることにしよう(ホバータンクの側面など下になるのが不自然なものについては、振り直すなり他の面に振り分けるなりテキトーに処理する)。ひっくり返って(=下面以外を下にして)停止したメカは、ドライブ破壊だけで本体が健在でもまったく行動できず、停止ペナルティ(筆者ルールでは被命中+60%でDCゼロ)を得る(下面に攻撃をもらったらメンドクサイが・・・一番薄い部位の半分の装甲%と、後面の装甲厚の半分を適用しようか)。もしドライブ破壊だけで本体が無事なら、重機(バギーくらいまでのメカならコンバットシェルでも)を使って元に戻し、それからドライブ交換ということになる。レアケースだと思うが、停止中でなく大破とドライブ破壊が両方生じた場合は、無条件で転倒とする(同じラウンドに両方壊されるか、あとは地雷くらいかねぇ)。またドライブだけ破壊されて転倒もしなかったときは(メカREFとDCがゼロになるだけで)普通に射撃できるとしておく(ちょっと不自然だがエンジン破壊との差をあまり大きくしたくない)。ひっくり返っても(砂丘に刺さったり底なし沼に沈んだりでもしなければ)ハッチが開かなくなるようなことはない、としておく。

大破ないし転倒したメカのエンジンが破壊されたとき、エンジンが破壊されたメカが大破ないし転倒したとき、エンジンが破壊されたメカがふたたびTPを超えるエンジン被弾を受けたとき(オート射撃でエンジンに複数発もらったときもそれぞれ有効)、次の項で触れる累積ダメージの基準を超えたとき、次の移動フェイズの最後に爆発炎上する(障害物と衝突するなら衝突の後:切り離されたカーゴや、最初から遮蔽物にするつもりで少ない燃料で突撃させたメカなどは炎上させなくてよい)。このとき通常の移動行動とは別に脱出のチャンスがあり、元のルール通りREFのAR20とする。ただし、サイバーリンクをしていた者と、サイバーリンクをしていなくてもメカが転倒チェックに失敗していた場合には脱出のチャンスなしとなる。消化バーを設置していれば爆発を遅らせることができ、サイバーリンクありで転倒なし、またはサイバーリンクなしで転倒ありのパターンでもAR20、サイバーリンクなしで転倒もなしなら無条件で脱出できるが、サイバーリンクありで転倒もありの場合、消化バーがあっても脱出のチャンスはない。消化バーを設置していても、脱出タイミングはラウンドをまたがない(大破した次のラウンドの移動フェイズの最後で固定)。爆発に巻き込まれると、メカの種類や状況に関わらず1D100+200と1D100+100(実弾扱い)の火力で各1箇所のダメージを受けるが、MOまでのダメージなら脱出自体は失敗しない。以後少なくとも戦闘ラウンド終了までの間は燃え続け、無理に接近すると炎ダメージを受ける(火炎放射器のデータを元にメカサイズを勘案しながらGMの感覚で)。

射出シートのルールはたんに搭乗者をメカの外に放り出すだけの機能に改め、ガンドック、ポケットタンク、戦闘バギー、野戦ワゴン、インセクターの標準装備として、別売は廃止、ENCと費用もゼロとする。宣言タイミングは転倒チェックの直前で、作動させるとサドルシートメカと同様の処理になる(シートベルトでシートに固定されたまま放出されるので、シートが防具代わりになって被害が減ることもあれば、サイバーリンクしていようがしていまいが否応なしに受身がとれずかえって痛いこともある、ということで処理上は同じ1D100+転倒時MVとその半分で各1箇所にしておく)。なお、射出シートは個々の乗員が操作するが、メカの管理者がサイバーリンクして強制作動させることは可能だと思う(安全方向に振った設計なので、通常は管理者であっても操作をキャンセルすることはできないが、たとえば捕虜の移送などで一時的に無効化することは、数分の設定ないし配線処理でできることにしておこう)。

大破しただけで転倒も炎上もしない場合、中の人はまったく無事である(いいじゃん、モノバイクの兵装に戦車砲が直撃したってライダー無傷で転びもしないんだから、いまさらそのくらい)。障害物に衝突したときの扱いは後の項に譲るが、筆者としては、乗員にはダメージを入れなくてよいのではないかと思っている。なお上記ルールを採用すると、大破していないメカが爆発炎上することがあり、その場合は大破と同様に扱う。またルールが厳しすぎると感じるなら、消化バーの効果を「爆発炎上を1回だけなかったことにする(作動により消費される)」に変更するのも一案だろう(そこまで手厚くすることはないと思うけど:この救済策を採用するとしても、複数積んだ消化バーは全部一斉に作動することにしてしまった方が無難)。


大破したメカの扱い

まず、大破したメカであっても装甲は元のまま有効としておく(ただし前述の停止ペナルティや転倒ペナルティを得ているはず)。この前提だと戦車への立てこもりなどが可能になるが、まあいいんじゃないのという気がする(有効性を下げたければ、大破した時点で一律に装甲%に30のペナルティとか、そんな感じでいいんじゃなかろうか:軽量メカが爆発炎上しやすくなるが、多くの場合は射出シートで脱出するだろうと思う)。

まず大破の原因となったダメージがHPをどれだけマイナスにするか計算し、マイナス分から本来のHPを引いて、有効となるオーバーダメージを決定する(オーバーダメージ自体はマイナスにならず最小値がゼロ)。以後普通に被弾処理(ただしクリティカルはすべてダメージ2倍扱いで本体命中とする)を行い、装甲を通った火力によるダメージ(本来のHPを引く処理は行わない)をオーバーダメージに加算してゆく。もしオーバーダメージが元のHP以上になったら、メカは次の移動フェイズの最後に爆発炎上する。このとき、無効な命中箇所(本体は常に有効、あとはGM裁量)を振り、かつメカの後ろに誰かいた場合、ランダムで流れ弾が当たる(外れない:すでに装甲が効果を発揮している場合、その効果は取り消されない)。後ろに誰もいないときの無効な命中(全員脱出した後に乗員命中とか)は、たんに無効としておく。

たとえば、元のHPが7のメカが、HPを3まで減らした後に、12のダメージを得た場合、HPは9点のマイナスとなるから、元のHPである7を引いて2点がオーバーダメージになる。これに引き続いてオート射撃の残り(原則どおり、大破の原因となるダメージを与えた射撃と同REFの射撃がすべて終わるまで、命中率+60%やDC無視のペナルティは発生しない)が命中していた場合、装甲を通ったダメージがあれば加算してゆく。またもし上の例で、元のHPが7のメカが、HPを3まで減らした後に、17のダメージを得た場合、HPは-14になり、オーバーダメージが7点だから、即座に爆発炎上が決定する(つまり、無傷の状態からでもHPの3倍のダメージを得ると1発で爆発炎上)。

メカを遮蔽物にしているキャラに射撃して遮蔽されたときは、通常命中と同様に扱う。遮蔽物にしているメカが爆発炎上するとき、極端に狭い環境でなければ移動フェイズに距離を取ってダメージはもらわないものとしておく。炎上しているメカを遮蔽物にする場合の扱いが面倒だが、接近できないため遮蔽物として利用できない(あるいはごく限定的な遮蔽効果しか得られない)ことにしてしまうのが面倒でないと思う(それでも接近する場合は前述の通り火炎放射器くらいの火力でダメージを与え、もう少し念を入れるなら50%くらいの確率で追加の爆発を起こして、脱出失敗の半分くらいの火力で実弾ダメージを入れてもよさそう:搭載火器でバリバリ撃たれるくらいなら爆発に巻き込まれた方がまだマシ、という状況が、もしかしたらあるかもしれない)。炎上しているメカ越しの射撃は、センサーが無効になることにしておく。

インドアに持ち込んだメカが爆発炎上したときの処理も面倒な問題。基本的には、廃墟であれば可燃物は風化しているのが普通、現役で使用されている建物ならスプリンクラーくらいはついているものとして、とくに設定した場合以外は建物規模の火災は起こさなくてよいと思う。狭い室内で酸欠になるとか、危険物が貯蔵されていて引火するとか、特別な事情がある場合はGM裁量で。爆発の影響(密閉されているので威力が上がるはずだが、大爆発を起こすようなサイズのメカはそもそも乗り入れられないはず)は、脱出失敗時火力の半分を基準に広さなどを勘案することにしておく(部屋から飛び出すときのREFロールも20でいいと思うが、人数が多い場合遅い者にペナルティを課すのはアリかもしれない)。

大破したメカの壊れていない兵装は、ハンギング設置またはターレットサイドカーなら(戦闘ラウンド中でも移動フェイズで)回収可、それ以外は無条件で回収不可(取り付け工賃と同額の費用がかかるので外す意味がない)と、ざっくり決めてしまおう(ただし、大破していないメカの兵装は無料で取り外せるので注意:もちろん、再設置には規定どおりの工賃がかかる)。


メカへのクリティカルがちゃんと定義されていない

ゲームバランスを一変させてしまう要素なのに、とても困ったことである。

クリティカルに装甲が適用されないルールは、新クリティカル表でもキャンセルされていないと解釈するのが自然だろう(アストロナイトがクリティカルダメージを防げないあたりからも)。DCについては微妙で、基本は装甲チェックの前に処理なのだが、クリティカル時に無視するよう指示があるわけでもない。「ダメージ2倍」とか「ダメージ3倍」(チャートブックP4によると火力でなくダメージが3倍)が必ず本体に入るのか、エンジンやドライブなどにも当たり得るのかもわからないし、「Gメカ無効」の項目を振ったとき外れ扱いになる(のはあんまりだと思う)のか振り直しになるのかも不明である。

筆者は暫定的に、新クリティカルでも装甲は無視されDCも無効、クリティカルに対する機動回避は可能だがクリティカルで成功し返さないと無意味(クリティカル回避できたら本体に出目のままの火力で装甲無視ダメージ)、クリティカルの倍ダメージは必ず本体に入る、としている。上記のうち機動回避に関する部分は、ハウスルールであるファンブル転倒(後述)を導入しているから盛り込んだもので、導入しないなら機動回避不可としてしまった方がよいと思う。

DCが機能するかどうかというのは実際にはあまり重要でないが、低い出目(01とか)でクリティカルしたときにDCで吸収されてダメージ0点、3倍してもゼロはゼロ、みたいなケースが興醒めなので無効としておく。戦車などに豆鉄砲でクリティカル待ちされたとき少しやっかいだが、それは別途対策した方がよい。リアクティブは機能しないと明記されているが、電磁パルスシールドについては記述がない。かったるくなるので機能しないことにしておく。また電磁パルスシールドの同一箇所複数装備はできないものとする。メタ=カーボンは(ヘビークロムだけ無効化されないのも変なので)クリティカルでも機能することにしておこう。

ひとつ引っかかるのはCSDの効果で、もしこれが「クリティカルでも振り直し」なのだとしたら戦車を撃破するのがほとんど不可能になり、止まったまま煙幕を焚き合って銃撃戦というのが戦術として成立してしまう。だいたい、あの価格とENCでそんな効果がノーペナルティで出るのはいくらなんでも酷すぎるし、リアクティブなどの効能とも整合性が取れない。ということで、CSDを使っていてもクリティカルには影響がないとしたい。CSDの効果はプレイヤーズマニュアルP35「電子戦装備解説」によると「相手の行なうすべての射撃を1射につき1回だけ振りなおさせる」で、メカへの射撃処理は命中判定>装甲判定>ダメージ算出>細部命中表と進むから、命中判定が終わったところで効力を発揮すると考えるのが自然だと思う(細部命中表を振り直せるという解釈は、不可能だとは思わないが採用したくない)。

ついでにいうとファンブルもちゃんと定義されておらず、手持ち武器が暴発したときのダメージの計算も決まっていなければ、コンバットシェルの手持ち武器が暴発したときや、搭載火器がジャムったときの処理などもまるで決まっていない。メンドクサイので、筆者は「暴発=武器の基本火力で、人間なら脚部以外にランダム、シェル手持ちなら本体、ハードポイントなら搭載物全滅、車載なら近そうな兵装(なければ本体)にダメージ」「ジャム=シェル手持ちは降りるまで処理不可、レーザー兵器のみ1ラウンドで回復(ジャムでなく同期ずれとか安全装置作動の類だと解釈)」「ささいな故障=シェルでもメカでもレーザーでもミサイルでも降りないと修理不可」としている。


コンバットシェルの飛行・損害・大破


コンバットシェルはどのように飛び墜落するか

んなこと言われてもわかるわきゃないというか、後の項で考察するようにあんなモン空を飛べる方がおかしいのだが、この際それは言わないことにして、元のルールを眺めてみると「一般的なシェルの飛行MVは300」というのが目に付く。筆者の想像に過ぎないがこれはおそらく、多くの搭載火器の射程である500m地点からほぼ水平に地面スレスレを飛んで、重火器(やVIII類火器)の射程限界である200mから攻撃するという意図なのだと思う。しかし、これは非常に危険というか、落ちたらほぼ助からない決死隊的な運用である(下が砂砂漠とかでメチャメチャラッキーだったら助かることもあるのかねぇ:んなこといったら戦車砲が直撃しても助かることはあるわけで、まああるんだろうかねぇ)。

より安全に運用するには斜めに飛ぶのが妥当で、シェルが斜め上方30度に飛び立ち1ラウンド後にMV300で飛んでいるとき、垂直MVは150で秒速に換算すると50m/s、面倒なので重力加速度を10m/s^2で近似し空気抵抗も無視すると、推力を失った後5秒間で125mほど高度を上げ、頂点から7.4秒ほどで地面と接触する(ちなみに水平MVは260くらい)。つまり、飛び立ったラウンドに大破ないしザック破壊が生じたとしても、地面に落ちるのは12秒(=4ラウンド)くらい後になる(後で考察するように、ブースターの推力からしたら重力なんて誤差みたいなものだし、そもそも推力は余っているので飛び出す角度は90度=真上でも差し支えないはず)。これなら脱出行動もまるで無理ではないだけの時間が稼げる。

ただ、シェルの移動を3次元で把握するのはものすごく面倒なので、地上からは「ある程度の角度」で飛び出して、高度150m付近(空気抵抗なしの垂直落下でも5.5秒くらい、空力特性がよほどおかしくなければ少なくとも2ラウンド=6秒くらいは滞空できる)から攻撃を仕掛けるのが普通だということにしてしまおう。この高さだと水平距離132mまで寄らないと直線距離が200m以内にならず、500mからの離陸ならMV300では届かないが、タイプAのMV300を「水平距離にして300mを詰め寄れるくらいのMV」だと強引に解釈してしまおう(スティンガー以外のシェルの使い道を無駄に制限しても興醒めなので)。

しかしそうすると別のやっかいな問題が生じる。シェルからの攻撃が真上近くからだとすると、地上メカが火器を上に向けられないと一方的な攻撃になってしまう。主武装をターレットにしたり対空専用に副武装を積んだりできるTPの余裕は大型メカにしかない。ぶっちゃけこれは放置して構わないというか、そもそも搭載火器を積んでいないクラスのコンバットシェルが飛んでいるとき、あまり射撃対象にならない(火力が高いメカを先に落とした方が得だし、落とした頃には射程外に飛び去っていることが多いはずだから)。ただあんまり制限がキツくてもアレなので、バインドやハンギングを含め、上下左右25度くらいの射界は常にある(上面攻撃でなく前面射撃になるくらいの範囲なら撃ち返せる)ことにしておきたい(筆者としては、垂直距離が水平距離の半分、つまりarctan(1/2)≒26.565度を上面射撃の境界線にしたいのだが、ムキになって厳密に計算する必要はないと思う)。


コンバットシェルの空中運用は再構築した方が早そう

このルールはかなり重いので、無理に採用しなくてもよいと思う(以下でも、断りなくこのルールを前提とした書き方はしない)。

コンバットシェル・マニューバーフロッピーの設定を利用して、飛行パターンをいくつかデッチ上げてしまおう(フロッピーという名前だが記憶媒体はサイバー素子)。プレイヤーズマニュアルP35「[5.7]メカアクセサリー」の続きにあるマニューバーフロッピーの設定は全廃、シェルが逆噴射で空中機動できて云々の設定も全部なかったことにして、ロケットブースターで飛び、パラシュートとロケットブースターで減速し、自由落下に近い軌道からブースターを少し使って垂直MVを殺し着地するという方式に改める。後の項で触れるように、コンバットシェルの出力について検討したところ、脚REFだけで2mくらいはジャンプできそうな感じになったので、地面さえ平らならそんなに神経質にならなくても着地できそうな気がする。射撃が上面命中するボーダーは、垂直距離が水平距離の半分を超えるかどうかとし、上面命中する射撃をシェルから見て「下方射撃」と呼ぶことにする。シェルのみの特殊な転倒として「着地転倒」を設定し、クリティカルなし火力1D100の実弾ダメージが、本体と本体以外の各1箇所に入り(細部命中表を使う:装甲は有効だが%判定)、次の移動フェイズで起き上がるまで行動できない。また耐GのWILチェックは、SR1の機動はなし、1/2はAR10、1/3は15、1/4は20で心理効果表に従う(機動の難易度とGの強さに直接的な関係はないが、簡略化のためこれで固定したい:条件変化でSRに修正がかかってもARは変化しない)。

パラシュートはブースターザックに2つ標準装備されており、シェル本体にも緊急用のパラシュート(ザック用とは別物だが、使い切ったときの予備として代用することは認め、性能上のペナルティもなしとする)が1つ装備される。どちらも使用するたびに新しいものを装備するが費用は無視(完全使い捨てというか、空中で切り離す前提)、兵装命中の対象にならず、ENCはザック用が5の緊急用が10とする。この変更に伴い、ブースターザックのENCを一律で10引き下げ、あまったTPで本体にパラシュートを装備するのを標準としよう(ザックへのパラシュート増設は不可だが、肩ハードポイントへの設置は許してまとめ搭載可能、ただしENCが2倍扱いになる)。本体のパラシュートを取り外せばTPを10点稼げるがザックを失ったときとても危険である(ザック用は外してもTPに影響しない)。ザック用パラシュートは姿勢制御だけを行う小さなもので、ようするに、パラシュートでシェルの頭を引っ張って強制的に逆向きにして、ロケットブースターを噴射してブレーキをかけるという寸法である(んなことが可能だとも思えないが、飛んでる時点で奇跡なのでいまさら気にしてはいけない:というかねぇ、真っ直ぐ飛ぶだけでも、パラシュートでも引き摺ってないと飛行姿勢安定しないと思うんだよねぇ、ルール上は無視するけど)。なおシェルにドラッグシュートを搭載してもタイプAではマトモに機能しないことにとしておく。

パラシュートとブースターを併用した減速にはいくつかのパターンがある。もっとも簡単なのは、水平飛行中にザック用パラシュートを展開し、背中から引っ張られて空中で仰向けになったところでブースターを噴射、水平MVが大方削れたら噴射をやめ、自由落下が始まってもパラシュートを切り離さないでおくと勝手に機体が直立するので、高度が下がったらブースターを軽く噴射して軟着地するやり方(ブースターを規定ラウンド使い切っても、減速して着地するのに必要な分は残る)。これはシェル飛行の基本動作で、極端な悪天候でもなければSR1、失敗しても着地地点がずれる程度。ファンブルしたときのみ着地転倒とする。しかしこれだと仰向けになったとき下方射撃できない。そこで減速して水平MVがなくなったところで機体を捻って反転(ロール軸回転)する技が生まれ、減速終了の次の移動フェイズにSR1/2でうつ伏せ姿勢になれる(下方射撃できないのは減速している1ラウンドの間だけ)。うつ伏せ姿勢を取るメリットは射撃だけでなく、ブースターに再点火するともと来た方向に引き返すことができる(うつ伏せ姿勢なら再加速自体はSRなしで行える)。またうつ伏せでの垂直落下中にSR1で方向転換(ヨー軸回転)ができ、もと来たのと違う方向に飛ぶこともできる(方向転換だけで移動フェイズを1つ消費する:1ラウンドで50mほど高度が下がるはずだが、この際無視)。さらに高度な技として、水平飛行中に一瞬背面飛行になってからパラシュートを出すこともでき、これだと減速するときすでにうつ伏せになれるが、SR1/4と難度が高い(失敗すると仰向けになる)。減速噴射の終わり際にヨー軸回転を済ませてしまう技はSR1/3(背面ターンと併用できる)。

高難度のターンで失敗ファンブルが起きるとキリモミなども生じるが、射撃や機動回避や能動的移動が一時的にできなくなるだけで、パラシュートを出してMVさえ殺せば墜落するほどではないものとする。パラシュートの補助なしでの着地(減速したあと水平姿勢をとってからピッチ軸回転で垂直姿勢に戻すケースを想定)はSR1/2で、パラシュートを節約できるが、失敗すると軽い墜落、成功ファンブルでも着地転倒、失敗ファンブルなら通常の墜落になる(墜落効果は後の項に譲る)。水平MVが残ったままでの方向転換は、操縦ルールの範囲でしかできない(飛んでる最中にクルっとヨーorピッチ軸回転しても墜落するだけ:減速を伴わないロール回転はSR1/2、背面飛行の継続はSR1でできる)。すべて、水平MVの1/10をペナルティ、メカREF+搭乗者REFの1/2をボーナスとして倍率修正後の値に加算する(風などのペナルティはGM裁量で設定)。筆者の優先行動ルールを採用している場合、上記SR修正はすべて第2優先行動でのもの(ブロックバスター以外は人REFにも修正が入るので微妙につらくなる)。

パラシュートを使わない(=ブースターの推力を切るだけの)減速についてもドンブリ勘定しておく。後の項で計算するようにシェルの低空大気中の終端速度がMV525程度だとすると、このときの減速力がちょうど1G(=BRK30)だから、現在水平MVの1割(切捨て)で統一してしまおう(抗力は速度の2乗に比例するので、微分方程式を解いてやれば一般化できるはずだが、んなことやってらんない:上記はあくまで「下に向かって飛ぶ姿勢」をキープしたときの話なので、姿勢制御とかで多少増やせるんでしょ、きっと)。緊急用パラシュートでの減速は・・・扱いが面倒だが、着地までのラウンド数は変わらずに現在水平MVの1/3でBRKくらいでどうだろう(多分低速でBRKが効きすぎなのだが、機体を失ったブロックバスターにムキになってトドメを刺す必要はないと思う)。


コンバットシェルの飛行パターン例

前の項で紹介したルールを採用するときの、シェル購入時に標準で設定されている飛行パターンの例。飛行中の旋回については後の項で触れる運転ルールに従うか、筆者のルール(かなり重い)を採用しないなら「MV100くらいで地上を移動するメカの動きには追従できる程度」としてしまおう(減速も同様:大きな減速はパラシュートを使わないとできない)。またシェルがMV100未満で墜落するルールは撤廃し、ブースターの最小MVを100とする(厳密に考える必要はないはず)。

これ以外の飛行パターンを使いたいときは、事前にマニューバープログラムをディスクに書き込んでおく必要がある(というタテマエで、PCが望む機動がゲームの進行上差し支えないか、GMが事前判断する機会を設ける:非定型の動きをされると位置の計算とかメンドクサイし、あらかじめ計算しておくのが無難だというのも理由のひとつ)。ディスクへの書き込み料金は取らなくていいと思うが、GMの裁量なのでそこはお好きに。なお筆者は、ブースター減速時にも機動回避は可能としている。


コンバットシェルへのオーバーダメージとザック破壊と墜落

墜落やコンバットシェルの破壊などでは乗員が無事であるとは限らないはずだが、本来のルールでは単に脱出ロールをするだけである。筆者としては、コンバットシェルの場合オーバーダメージは乗員に入ることにして、爆発を省く方が自然に思える(重くなるけど)。リンゲル液が爆発しないのが変に思えるかもしれないが、そんなことを言ったらKダメージをもらったサイボーグだって爆発しないし、どうしても気になるなら設定の方を変更すればよい。

まずコンバットシェルへの本体ダメージを、大破したメカと同様いったんHPを全快させてから積算しておく。もしHPがマイナスになったら、マイナス分を戦闘結果チャートから逆算して余剰火力を出す。このとき「余剰ダメージを出す最小の火力」が基準にする。たとえば、最大HPが6で現在HPが1のコンバットシェルが12点のダメージをもらった場合、11点分のダメージから最大HPの6を引いて最終のオーバーダメージが5だから、火力は91の扱いになる。この火力を(乗員かハードポイントかの判定を1/2でまず行い、ついで細部)命中箇所を改めて判定して与え、墜落や爆発物なら半分の火力でもう1箇所に追加で与える(部位は重複しない)。HPがマイナスを突破したシェルへの追撃(意図的な重複射撃)は、コンバットシェルへの本体命中をアーマーのみのオートプロテクターとみなす(ただし対物扱い)。アクトポッドのHP0=乗員死亡ルールは撤廃しない(Kダメージではなく即死)。

ザック破壊については「ザックを使った移動」が不可能になるだけだと解釈している(でないとパラシュートザックやトラベルザックを装着したときの扱いが不可解になる)。ドライブへの命中はないので、大破とザック・パワープラント同時破壊以外では完全な移動不可能状態にならないと考えるべきだろう(脚移動とザック移動は独立していると考える:ただしパワープラントが破壊されたら(REF0ペナルティに加えて)移動に関わるすべてのSRに1/2のペナルティを課す)。すぐに歩ける(地上で脚MV以内まで減速できる)状態なら、移動フェイズの最後にザックをノーペナルティで捨てられることにしておく。簡易ホバーザックやダッシュローラーザックで、かつ脚MVを超える現在MV(射撃フェイズを想定)のときザックが破壊されたら、速度超過分をペナルティに、オンロードでSR1/2、オフロードでSR4/1を行い、成功したら脚BRKの10倍で減速、失敗したら着地転倒と同じダメージとする(自分の意思でザックを外した場合は転倒チェックが1段階易しくなる)。またレアケースだとは思うが、移動に使えるザックを装備していないシェルが脚移動中にパワープラントを破壊されたとき、即座に着地転倒と同じダメージを得る(動力がないので起き上がれないが、地面が平らなら転んだ状態でも中の人は外に出られる)。

墜落効果は段階別に固定してしまおう。軽い墜落は本体に1D100+100と本体以外の2箇所に1D100(合計3箇所で重複せず、すでに壊れたザックなどが出たら振り直しだが、ハードポイントが2箇所壊れることはあり得る:着地転倒同様装甲は%ロール)火力でダメージ+中の人にAR20のノックアウト心理効果、通常の墜落は本体に1D100+200点と本体以外の3箇所に必ず壊れるダメージ+中の人にMOの心理効果、深刻な墜落は本体・兵装・貨物・ザック・パワープラントがすべて壊れたうえ、本体に改めて1D100+100の装甲無視火力が入る(心理効果は負傷に従い、単体では設定しない)。ダメージはすべて実弾扱いでクリティカルせず、地面が硬かった場合の値(補正はGM裁量)。これらを「墜落レベル」で区分けし、着地転倒がレベル0、軽い墜落が1、通常の墜落が2、深刻な墜落が3とする(もし最終的な墜落レベルが4以上になったら、判定を行う余地なく乗員は即死、搭載物はすべてスクラップになる:これもKダメージではなく即死)。どの場合も、墜落の結果シェルが大破しなくても転倒状態になる(移動フェイズを1つ消費して起き上がらないと行動できない)。

墜落したシェルの処遇は以下の基準で決定する。なお緊急用パラシュートを展開しても着地までのラウンド数は変わらず、展開中はタイプAのボーナスを失い(タイプMの値を使用)、機動回避できず、被弾すると細部命中表の9と0がパラシュートへの命中になる(CP1の1発め効果なし2発めで破壊)。パラシュート自体を狙い撃った場合(カーゴへの射撃と同様、射撃側が任意に選択できる)細部命中表は振らずに必ずパラシュートに命中する。アーミーでは緊急用パラシュートの展開=投降と規定されている(パラシュートの色も銀色でなければならない)が、あくまで正規軍同士の戦闘に限った話。

上限被害の扱いが冗長になったが、こんな感じでなんとかひとつ、誤魔化したいと思う。なんだかんだいって、本当に危険なのは乗員の気絶くらいではあるが、メカクリティカルの3番は本当に危険なので、死人の少ない進行を望むならシェルのみ違う効果(電子戦装備が全滅するとか)に差し替える手もあるかもしれない(ちなみに筆者は、メカクリティカルの4番をパワープラント破壊、5番をザック破壊、10番を(爆発なしの単なる)大破、2番を「ハードポイント1つの搭載物がまるごと落下」に差し替えている)。墜落ルールが重過ぎる場合や筆者の飛行ルールを採用しない場合は、最後のブースターレッグ脱出だけ使い、ほかは「墜落してバラバラになる」とかなんとかいうことにしてもよいと思う。


装甲、防具、サイバーパーツ


装甲%の移動が便利すぎる

またまたゲームバランスが一変してしまうルール。メカの改造ルールはとくに必要なときだけ採用するという注意書きがあるが、実際にはノーマルメカだけ使ってゲームを進めても盛り上がらないので、ほぼ必ずなにかしらの改造をしてメカに乗ることになると思う。そのときに問題になるのがMVチューンと装甲%で、前者については被弾時に1D100でチューニング率以下を振るとエンジン破壊にするルールが考えられる(後述)。ここでは後者について考えたい。

装甲%の移動でなにがアレなのかというと、分割装甲メカで前側面90%がほぼ無条件採用になってしまうことだろう。またたとえば、前70%+上70%+後70%のホバータンクを前90%+上70%+後50%に改造したら、どうせ%の低い後面に高くて重い装甲板を貼るのはナンセンスで、前90%+上90%+後30%で後面はA10にする以外選択肢がなくなってしまう。このルール自体をなかったことにするのも一案で、割を食うのはまず真っ先にホバータンクとフェアリー、ついで野戦ワゴン、装甲車とスパルタンも少しといったところ。反対に、単一高%装甲を持つチャンピオンとフォーチュナ(とオサフネも一応:ゲイシャロードはTPがキツい)は株が上がる。

制限を課すなら、装甲%を移動すると必ず10%装甲が無駄になることにして、たとえば前70%+上70%+後70%なら後面を30%削り、10%無駄になり20%前面を増やして前90%+上70%+後40%になるなどである。この制限のかけ方は、たとえば単純に費やした%の半分しか効果が出ない(後面を30%削っても前面を15%しか増やせない)とするよりも少しホバータンクに優しく装甲車(どうせ10%しか動かさないので無駄が多い)に厳しい。また、デフォルトで30%くらいしかない装甲をとりあえずで動かす改造を少し非効率にできる。

もうひとつの制限案として、移動上限を90%から80%に引き下げるのも手軽で、上記の10%無駄になるルールと併用してもよいと思う。ぶっちゃけ、ホバータンクに多い前70%+上70%+後70%の装甲なんかは、入れ替えを前提にしているとしか思えない節があるのだが、これが前80%+上80%+後30%になるくらいならそう悪くないのではないかと思えるし、インセクターやガンドックが(相対的に)硬くないという問題もある程度緩和できる(ただ今度は戦車の100%装甲との落差が大きくなる)。なお戦車でも改造で装甲100%を作るのは認めない(または相応のペナルティを課す)のが無難だと思う。

ホバータンクの前90%+上80%を許したくない(前90%+上70%と前80%+上80%は許す)なら「基本的に20点の消費で10%補強でき、最初の10%と90%にするとき(重複する)は10点余計に消費する」くらいが落としどころかなと思う(前70%+上70%+後70%のホバータンクなら前90%+上70%+後10%または前80%+上80%+後10%または前90%+上40%+後30%、前80%+上80%+後80%の装甲車なら前90%+上80%+後40%または前90%+上90%+後0%にできる:移す部位が変わると「最初の10%」ペナルティをもう一度得る)。ホバータンクの前90%+上80%を許すつもりなら「基本的に10点の消費で10%補強でき、最初の10%と90%にするとき(重複する)は10点余計に消費する」でよろしかろう(戦車とのバランスを考えると許してもいいかなという気がするが、インセクターとのバランスを考えるとやりすぎかなという気もする)。

そもそもの話として、装甲区分が「前側面・上面・後面」になっていること自体がとてもアレである。3分割を変更するのは大掛かりになりすぎるとしても「前面・上面・側後面」であるのが真っ当だと思われる。これなら、装甲%移動を無制限に許したとしてもホバータンクの相対的地位は低下する(と同時に、戦車が無敵でなくなる)。またどのくらいの角度から「上面」になるのかという基準もないのだが、コンバットシェルの項で触れたように、垂直距離が水平距離の半分を超えたら上面命中(普通にバインドで搭載した平射弾道火器も当たらなくなる)としたい。


複合装甲の導入を検討したい

多くの人は1種類の装甲だけ選択するルールで遊んでいると思うが、複合させたらまずいのかという話(ハイ=チョバムは名前が複合っぽいが、そういう問題でなく)。もっとも無難な回答は「できない」で、もちろんゲームバランスは変わらない(クロムビートP36「[5.3]装甲板」のリアクティブの項に「他の何らかの装甲板のさらに上に取りつけられるごく薄いもので」云々とあるため、本来の意図はきっと重ねちゃダメなんだろう)。

装甲厚を真面目に計算する方法も無難で、たとえばファイバニウムをA40で貼ったら装甲厚の40%を消費すると考えて、上からA120(装甲厚の60%)までライトチタンを貼れる、と計算する。都合、耐実弾A160かつ耐レーザーA40のENC140になる。この方法だと、ファイバニウムA10+ライトチタンA180という組み合わせで対物△のレーザー対策ができる。計算が少し面倒になるのが玉に瑕。

もっと大胆な方法で、それぞれの装甲(ただしチタン合金はルールから削除する)の限界厚まで貼ってよしとする案もある。たとえばファイバニウムA100の上からライトチタンA200を貼ると耐実弾A300の耐レーザーA100でENC300となる(判定は1回)。軽量級メカはどうせファイバニウムA10+ライトチタンA200が関の山なので大きな影響を受けないが、インセクターや装甲車(と重コンバットシェル)はそれなりに硬くできる。アクトポッドが硬くなり過ぎるのはちょっと困るので、このルールを導入する場合でも例外として禁止しておいた方がよいと思う(筆者ならミラーコートの重ね塗りも禁止する:ミラーコート単独は許可)。

またステンレス>ハイ=チョバム>ライトチタンと重ねて貼ることで、ENCを犠牲にしつつ安価な対弾装甲を厚く貼ることができる。戦車だけ装甲無制限というルールが唐突過ぎるので、筆者としてはこのくらいのバランスでも構わないのではないかと感じる。装甲%の移動ルールでホバータンクが有利になりすぎている場合に他を底上げする効果もある。ただし、このルールを採用してしまうと対物△のレーザー(ようするにレーザーライフルとミニレーザーとレーザーガンポッド)が対人専用になるし、そもそもA10で装甲を貼る習慣自体が奇妙なのだが、戦闘ホバーやトラクター(トレーラーの前の車)がマシンガン系の火器で撃たれた場合の耐久力を水増しするために必要なルールでもあり悩ましい。

装甲%の項で触れたように、対物△は装甲とDCを2倍換算、対物×は4倍換算するくらいのルールに改めておくのが妥当な気がする。ついでに、戦車やバトルトレーラーに対するI・II類火器も、上記のペナルティをさらに倍にするだけのものに改めておきたい(クリティカルは・・・してもいいんじゃないのという気がするが、Gメカ無効の記述をGメカ以外に適用することにしてもよさそう)。


装甲区分と装甲%移動ルールの修正案

筆者としては、装甲区分は「前面・両側面・上面・後面」の4つ、側面の装甲%は装甲車とバトルトレーラー70%・ホバータンクと戦車80%・その他の均一%メカ(グランパとか)他の区分と同じ・その他の不均一%メカ(卵王とか)前面-20%と後面+20%のうち高い方(ただしどの場合も前面<側面となったら前面と側面を入れ替えたものが初期値)、装甲板(装甲厚)は側面と後面で共有(穏やかめのルールにするならここを「前面と側面で共有」に変更すればよい)、上面射撃の基準は「水平距離<垂直距離」、「前面・右側面・左側面・後面」は「12分割方位を4等分」、装甲%移動はプラマイ10%を上限とし90%装甲を100%にするには他の3区分を-10%しなければならない、装甲板のチタン合金を削除し種類ごとに限界厚までの搭載を認める(ただしコンバットシェルとアクトポッドは1種類の装甲のみ)、対物△は装甲とDCを2倍換算、対物×は4倍換算、戦車やバトルトレーラーに対するI・II類火器は上記のペナルティをさらに倍かつクリティカル表でGメカ扱い、という組み合わせのルールを提案したい(装甲板については複合装甲の項も参照)。ただし影響が大きいため以下でも、無条件にこのルールを前提とした書き方はしない。いづれにしても、ホバータンクにとっては本当に死活問題になるルールなので、慎重に検討してから選択して欲しい。

効果としては、戦車は側面が脆くなり、ホバータンクや装甲車は前側上面90%装甲を封じられどこかしらが弱点に、TPが多く全面一律装甲のメカ(つまりゲイシャロード以外のインセクター類:オマケでバトルトレーラーも)が硬くなり、TPカツカツのメカにはあまり影響がなく、対物△のレーザーが使いにくくなる。副作用としてフォーチュナがかなり硬くなるため、子機への命中をKKKロワイヤル方式に改めるのがよいとおもう(母機本体命中確率が30/100から40/100に上がり、素通り本体命中率が8%、9発撃ってやれば1発以上本体に抜ける確率が50%を超える:ゼットンにも巻き添えになってもらうとして、ドッキング型コンバットシェルは・・・修正しなくていいんじゃない、主体のはずのシェルがそんなに恩恵得てないんだし、筆者のルールだとドッキング状態のシェルがかなり壊れやすいから)。バトルトレーラーも上限値としては硬くなるが、筆者の機動回避ルールなら多少相殺されるし、構造的に上面70%が限界くらいのペナルティでどうだろう(側面も80%が上限なので、細部命中表と子機がない影響でフォーチュナよりはかなり本体に通りやすい:側面素通り本体命中率が12%)。もしバイクが硬くなりすぎるように感じるならバイクも複合装甲禁止にしてよい(が、バイクの本体なんて硬くしてもそう嬉しいものではないと思う)。


重ね着とサイバーパーツの補足

地味なようだがコレ、生存率にけっこう影響する。ようするにジャンプスーツの上にファイバーシャツを着ることが可能か、オートプロテクターを使うときに服は着ないのか、フルボーグはオートプロテクターを着用できるかといった問題。

まずジャンプスーツの解釈だが、これが本来の落下傘部隊の制服(jumper suit)を指しているのか、エンジニア用のいわゆる「ツナギ」あるいは戦車服のことなのか、自動車レース用の革ツナギみたいなものなのか、サッパリわからない。「ジャンプスーツと同じ扱い」の服がけっこうあるので、単に「丈夫なワンピースの服」くらいに捉えておき、形態は勝手に考えるのが妥当か。ファイバーシャツが下着なのか中間着なのかも不明だが、アーマーが20点あるあたりそれなりに厚く、腕に防護があるということはチョッキ状ではあるまいから、ジャケットみたいなものかもしれない。

オートプロテクターについては(プレイヤーズマニュアルのイラストからも)「全裸で着るものではない」はずで、コンバットシェル用センサースーツ(A0)の上から着用するものだとしておこう。制式フルボーグでも、ワイルドアイ以外は着用可能とするのが妥当だろうか(ブロックバスターP9の「コンバットシェルへの搭乗」で言及されている非標準的体格の搭乗者に関する扱いを援用するなら、ネッガーあたりも調整でなんとかなると思われる)。服なら、手足を伸ばしたカメレオン以外着られると考えるのが自然だろう。オートプロテクターによる能力値上昇でヒューマノイドの限界である40を突破できるかというのは(発展形であるコンバットシェルには許されているので)微妙な問題ではあるが、許可しない方が無難ではある(終盤に能力値がカンストして、あとは着ているプロテクター次第みたいなことになると興醒めなので)。なおオートプロテクターの装甲効果対象は一律で「火、弾」、メタルスキンは「弾」としておく(GMの裁量で変更するのはもちろん可)。身体に設置したCSSや腕に仕込んだ火器と防具が干渉するかどうかも、かったるいが考えておかなくてはならない。

考え合わせると、重ね着は全部自由、オートプロテクターのみ単一の装甲、普通サイズならサイボーグでもノーペナルティ、能力値の限界突破はしないというのが妥当だろうか。ファイバーシャツを下着扱いするならジャンプスーツ(まさか下着なしで着る前提でもあるまい)との併用は可能だろうが、センサースーツの上に羽織ることはできないはず(筆者は羽織れる衣服だと解釈している)。マグネットアーマーシステムについては、これこそ全裸で使うのは不自然だし、ボディアーマーやファイバーヘルメットの上からでも有効としておく(オートプロテクターとの併用については、プレイヤーズマニュアルP72「[8.2]防具」に「オートプロテクターを着用しているときには、他の防具は使えません」とは書いてあるものの、併用して害があるようなものでもなく、GMの裁量で許可してもよいかもしれない)。メカ用の電磁パルスシールドについても、他の装甲と組み合わせて使える(ただし電磁パルスシールド自体は1つしかつけられない:装着は部位ごと)ものと解釈している。サイボーグのセンサースーツ着用は微妙な(そもそも全身SUV:Sなら必要ないんじゃないかとも思う)ところだが、着られるとした方が面倒が少ないように思える。メタルスキン(筆者は、頭、胴、両腕、両脚が対象と考えている)と特殊繊維皮膚は、まあ併用してもよろしかろう。

片目に装着するサイバーパーツは違う種類のものを2つ装備可能、サイバーIRビジョン(後述のルールで廃止しない場合)は他のサイバーパーツと併用できることにする(同じものを両目に入れても効果は重複しないが、目眩ましされたときのバックアップにはなることにしよう)。ジャック=イン端子(SAリンク端子も数に入れる)の取り付けは6つを上限とする(または上限を4つとして前述のハブを用いる)。目、耳、腕、脚に装着するサイバーパーツはSUV:Sにしてからでないと取り付けられない(片目のものはOK、脳と器官もOK)。頭部と胴部が両方(結局全身だが)SUV:Sになると、サイボーグ用でないドラッグ(セル・クリームやドラッグスタビライザーを含む:プレイヤーズマニュアルP76「ドラッグ類チャート」掲載のものでは、ハードポイントのみ有効)の影響を受けなくなり中毒も直ちに完治するが、上昇したバーサーク値やブランクブレインで失った記憶は元に戻らない。アイアンレバーは服用と皮下or血管注射と座薬によるドラッグを無効化する。頭部が生身でサイバーボディだけ入れた場合、スーパーストマックも同時に入れないと生存できない。

サイボーグの腕に低反動APガンとショットガン以外の火器は仕込めないのか。筆者の認識では奥の手としてもっとも頼れるのは低反動APガン(II類で唯一サイボーグに有効な火力を持ち、一応対物にも使える)で、他の小火器を仕込めないとする理由はないと思う。スナイパーライフル以外のII類武器は全部OK、I類なら腕にアーマーのある服(ジャンプスーツ相当品しかないけど)を破かずに撃たせてあげてもよさそう。だいたい、.22calブラスターなら脚に入れておいてもいいわけだし、テイザーや短針銃やソニックガンは取り回しが悪く、腕に入れられて嬉しいのはレーザーライフル(HP制のサイボーグに有効なのと、オート射撃ができる)くらいである。まあ長さもあるわけだし、ライフル類を禁止するのはアリかもしれない。ついでに、ブースターレッグの燃料は両脚分でENC6値段$100、タンクを外した状態でオプションのハードパック2つセット$1000を装着すると、通常のサイバーレッグと同様TP3を得るとしておこう。

腕に設置したCSSを袖つきの防具と併用しても構わない(手首のあたりから出すんでしょ、きっと)とは思うが、わざわざサイボーグの本体に収納しておく利点があまりわからない装置でもある。オートプロテクターとの併用は認めない(が、プロテクターの腕部分にカメラを取り付けるとか、いっそのことカメラを手持ちするとか、そういう話まで禁止しようとも思わない)。


耐Gスーツとホバーブースター

どうもバランスを取りにくいのだが、耐Gスーツ関連のルールも一応。どういうことかというと、センサースーツが「わずかながら耐G機能」を持っている(ブロックバスターP7「[1.2.4]センサースーツ」参照)なら、ホバーブースター使用時のWILチェックにボーナスがつかないのはおかしいのだが、ブロックバスターP6「[1.2.2]飛行とブースター」には、コンバットシェルのコックピットについて「パワードスーツ時代からの伝統でG対策(本来は対衝撃)はほぼ万全」となっており、片方だけ無視するのが不自然だからである。さらに、クロムビートP38「5.4その他のアクセサリー」の続きを読んでも、耐Gスーツの具体的効果が書いていない(「耐G/耐火ツナギです」で話が終わっている)。

たとえば、最初からシェル前提でない対G判定に、センサースーツ着用で1点、耐Gスーツ着用で3点、オートプロテクター着用(筆者ルールで重ね着するセンサースーツ分込み)で5点くらい、シェルを着ていれば(=ドッキング型シェルの子機に搭乗していれば)ACL2桁程度の機動にWILロールは不要、などとしてしまうと、ホバーブースターの便利度が跳ね上がってしまう。これで即バランスが崩壊するほどの問題ではない(他の激ヤバなルールに比べれば)のだが、不自然に優遇されている感のあるホバーやホバータンクを、ことさら持ち上げてやる必要もないのではないかという気もする。もし導入するなら、パラダインプラスのメカREFは2点くらい下げておきたい(代わりにARは+15点とか)ところで、ホバーブースターの効力を1~9点に変更するのも有効だと思う(バランスの取り方は後の項で検討する)。

なお、対G判定失敗時のペナルティは、プレイヤーズマニュアルP28「心理効果表」を流用し、かつ心理効果表の「基本命中率」を「SR全般」に書き換える(射撃をする場合スキルボーナスも減る)。対Gロールのファンブル(負傷時心理効果のWILロールと同様バーサーク値が上がっていれば2ゾロ3ゾロでもファンブル:まあバーサーク値のルール自体、かったるいだけだから無視してもいいけど)は、運転者なら平衡感覚を失うなりしてあさっての方向(GM裁量)に運転、ガンナーなら状況がわからなくなり無意味に火器を乱射(弾は減るがどこにも当たりはしない)、といったところだろうか。他のAR同様、成功出目でのファンブルは被害を軽減するのがよいと思う。


火力、被害、その他のルール


自動兵器と火力ボーナスの確認

オリジナルのルールに「自動兵器」という表現が何度か出てくるが、なにを指しているのか明確でない(自動の兵器かどうかと聞かれれば、自動拳銃だって自動兵器には違いないのだが)。そしてこれがまた、プレイヤーズマニュアルP23「基本命中」に「スキル%が100%を超えていたら、その分は出目の(クリティカル、アクシデントを除いて)サイの目に加えることができます(略)自動兵器の命中率は100%を超えてはならないのでこのボーナスはありません」とサラっと書いてある(なおクリティカル云々は、たとえばスキル102%で9の目を出したときにクリティカルするわけではないという意味だと思われ、クリティカルするとスキルボーナスが無効になるわけではないというのが筆者の理解)。プレイヤーズマニュアルP26「戦闘ターン手順」に「搭載兵器以外はスキルが100を超えていたらその分を出目にプラスしてよい」とあり、IV類火器全部がスキルボーナスの対象外だとしか読めないが、そうすると30mm機関砲よりバイクから手撃ちしたサイボーグライフルの方が痛いとか、戦車砲よりAPライフルが痛いみたいなことになりかねず、これはちょっと採用しにくい。

プレイヤーズマニュアルP69「[8.1.4]武器IV類(搭載火器)」のビームキャノンの説明に「自動兵器の対人追加被害は」云々とあり、少なくともビームキャノンと、おそらくIV類で対人追加被害がないものが自動火器に含まれるのだろうと推測できる。5.56mmミニガンには対人追加被害があるので自動兵器ではないと推測でき、7.62mmシリーズには記述がないものの自動兵器だからという理由ではなさそうに見える。誘導兵器を除外するのもおかしいしので、きっと含まれるのだろう。20mmバルカンは「対人にも便利」と書かれていて「当たりました即死です」と扱うにはムリがあるように見える(バルカンが即死ならサイボーグライフルも即死でないとおかしいし、そもそもの話をすればメカに乗員命中の判定があるのに対人被害が定義されていないのはどうかと思う)。別の発想として「発射方式がAでない(あるいはSの)もの」という解釈も不可能ではないが、ミサイルとレーザーを特例扱いするとしても単発キャノンの扱いに困る(実弾キャノンを優遇するための措置としては可能性があるので、後の項でまた紹介する)。

正直わけがわからない。読んだ感じとしては「レーザー兵器と誘導兵器」だと取るのが無難かなという気がするが、ゲームデザイナー自身がこの設定を忘れてクロムビートを書いたんじゃないかという雰囲気がヒシヒシとする。仕方がないのでバランスが取れるように読み替え、以下では「誘導兵器にはスキルボーナスがつかない」「レーザー兵器を含む非誘導のIV類火器にはスキルボーナスがつく」という扱いで話を進める。またコイルボムや爆発物扱いの火器(ショットガン類や筆者ルールでのビームスプレーなど)も「出目は足すがスキルボーナスはつかない」扱いにしておこう。格闘武器のスキルボーナス(STRボーナスが別にあるので、100点上限くらいが妥当かなと思っている)やIV類火器の対人追加被害(おおむねシフト2程度に改定したい)については別の項で触れる。

なお、上記の「自動兵器の命中率は100%を超えてはならないので」云々の絡みで、火力ボーナスの基準がどこにあるのかという問題がある。筆者としては、火力ボーナスはスキルによって決まり最終命中率とは関係ないことにしたい。つまり、スキル120%で命中-40の火器を射撃しても命中+20の火器を射撃しても火力ボーナスは20点まで(命中率-40の火器で出目65を出したら、15点使って出目80扱いにできるがファンブルではない)ということである。もしこれを最終命中率基準にしてしまうと、たとえば、距離80mで120mm無反動砲を撃つより、20mmバルカンを撃った方が痛いというアホみたいな結果になってしまうし、5.56mmミニガンや20mmバルカンの近距離火力が恐ろしい値(センサーもプラスしていいなら、スキル150%のバルカンにレーザーサイトを積むと50m以内で火力240)になる。

ただ、この解釈だとスキルが上がるにつれて火力が固定されてゆき、スキル180%で火力ボーナス対象外武器とチェーンシューターとRPG以外の全火器が固定火力(基本火力+100)になる。正直これはかったるいし、終盤の硬いメカ相手には豆鉄砲のクリティカル待ちしかできないことになり、退屈である(40mmビームキャノンでさえ、機動回避とDCで130点減らされるとメタ=カーボンでなくても12点ダメージにしかならないし、DC90のメタ=カーボンボディなら装甲板なしでも10点ダメージ:20mmバルカンなんて、DC90の相手には機動回避なしで装甲を抜けても4点しか通らない)。もっとぶっちゃけた話、コンバットシェルでもライトチタンならA200は普通に可能なので、機動回避で80点も減らせば155mmキャノンを無傷で受け止められる(のに、装甲を抜けたら150点減らしてあっても一発でぶっ飛ぶ)。いくらなんでもあんまりである。

ここでさらに「自動兵器でなければ命中率は100%を超える」という素直な解釈に立ち返ると、たとえばスキル120%で命中+20の火器を射撃したとき、出目95なら20足して出目115扱いにしてよいということになる。この解釈だと、スキル100%以上かつ最終命中率が100%になったところで火器を完全に「使いこなした」ことになり、合計修正がプラスの火器は常にスキル−100が火力へのボーナスに、合計修正がマイナスの火器は出目が小さい領域の火力計算は同じだが、出目が100−合計ペナルティとなる領域で基本火力+スキル−合計ペナルティの一定火力になる。このため、たとえば20mmバルカンと30mm機関砲のセンサーなし500m以遠射撃を、両方を使いこなせるスキル150%以上で比較すると、出目1~50では基本火力の分で機関砲が30点火力が高く、51~80の領域でバルカンが追い付き、81~100の領域ではバルカンの方が痛い。機関砲の方が火力が安定するとはいっても、3発も当てると半々近い確率(48.8%)で80以上の出目が1回は出るので、十分侮れない。


火器のパワーバランスと火力ボーナス修正案

クロムビートでもプレイヤーズマニュアルでも、実弾キャノン系が時代遅れの兵器になりつつあるという説明が繰り返しなされているが、安易な価格設定と雑なアンチ設定(機動回避で100点+ファイバニウムで100点削ってメタ=カーボンで受ければ火力300でもカスダメージ)によりレーザー兵器も主力とはなりにくく、結局機関砲が天下を取っている。これらを真面目に是正しようと思うと多くのルールをゼロから作り直すハメになり、最初から別ゲームとしてデザインをやり直した方が早い。そこで、便利すぎる連射砲をやや引っ込める方向で調整してみたい。

すでに触れた話ではあるが、実弾は弾自体のエネルギー(RHA換算値=均質圧延鋼装甲貫通能力など)の正の平方根で武器の火力を決め、オート射撃前提のものは2倍程度水増しされているように見える。それが1ラウンドに3発当たってしまうのだから、攻撃力が過剰にならないわけがない(コンバットシェルの機動力やメタ=カーボンの設定などでもそうだが、一応下地になるデータなり物理法則なりはあって、しかしそれをまったく理解しないままルールがイジられたような印象を強く受ける:ルール案を作った人と実際のゲームデザイナーが別人で、コミュニケーションが欠如していたのかなという気もするが確認のしようはない)。

話を戻そう。修正を入れるとして、単発火器やレーザーを強化するか連射砲を弱体化させるかと考えると、バランスを保ったまま前者に手を入れるのはいかにも難しそうである。とくに大口径キャノンは、スキルさえ十分なら外れることはないし、細部命中表で即大破or無傷のお祈りを繰り返すのも興醒めだし、火力半分ダメージ2倍の特殊徹甲弾みたいなものを用意しても対物ダメージのインフレに追い付かない。

連射砲へのペナルティとして真っ先に思い付くのは、スキルによる火力ボーナスを半減させる案だろう。すでに触れたように、筆者の解釈としては、着弾点の工夫や避弾経始の無効化などで攻撃効果を上げる表現として見ているため、精密に狙わない射撃でこのボーナスが減るのはそれなりに自然だし、スキルボーナスが勝ってきて火器本来の火力の意味が薄れていくことへの対策にもなり、唐突にスキルボーナスがゼロになるミサイル類とのクッションにもなると思う。

ということで、オート射撃のみスキルボーナス半分というのはどうだろうか。スキル300%で30mm機関砲を使い250点の火力を出したとして、A200で弾かれてカスダメージならそれなりに説得力はあるように思える(あくまで数を当てて偶然の装甲抜けを狙う火器だということにしてしまう:同じ条件で120mmキャノンなら火力430で230点抜け、機動回避されても十分ダメージは通る)。さらに、複合装甲を許すとレーザー類が弱体化するので、IV類は1/4、VIII類は1/3、III類は1/2に価格改定するという大胆かつ大雑把な案も提示しておく。実弾キャノンは相対的に優遇されるはずなので触らないでおこう(大火力をもらったら運転SRでコケさせる案も考えたが、APFSDSなんかのコンセプト(押す力ではなく貫通する力を高める)ってそうじゃないし)。

火力ボーナスも元のルールは正直面倒だし、筆者としては、単純にスキル−100をボーナスにしてしまってよいのではないかと思う(たとえばスキル140%で合計修正-50の火器を使うとき、出目90以上で当たらないというのは十分なリスクになっていると思う)。以下ではこのルールの採用を前提に話を進める(キャノン類の最大火力が上がり一発落ちしやすくなるが、戦車の装甲の厚さを考えれば酷くはないと思う)。なお、青天井ではあまりにアレなので、火力ボーナスは200点を上限としておく(筆者の解釈では、スキルによる火力ボーナスは戦車の砲塔を狙ったり垂直に近い角度で着弾させたりといった工夫を反映したもので、ぶっちゃけ上限100点くらいまでに制限した方が無難ではあるのだが、ゲームにおけるマンガ的表現として「達人だからこんなアホなことができちゃいます」はある程度認めてもよいかなと思っている)。

これらのルールを採用すると、スキル100%まではオート射撃火器が便利で、300%に近付くにつれ火力が見劣りしていくが、400%まで到達すると(単発火器のボーナスが200点に対し連射火器にも150点ボーナスがつくので)差が小さくなる。


ミサイルと地雷と爆発物の扱い

不明なものが多すぎるので筆者の暫定ルールを紹介するだけにする。

ATMとSAMについては特別ルールが採用される。これはわかる。ルールを読む限りミサイルの火力は爆発物扱いでないらしく出目は足せるはずで、前述のようにスキルボーナスはつかない。これもすでに触れたが筆者は、チャフやフレアはあらかじめ撒いておく使い方しかできないものとしている(ロックオンされたらわかる前提なので、次のラウンドの移動フェイズに使えばよい)。チャフやフレアの有効範囲も不明だが、面倒なので常に自機のみとしてしまおう。役立たず兵器なのでどうせ使うPCはいないだろうが、バンディットなんかに撃たせるのはアリかもしれない。

ADAMシリーズは1ラウンドのロックオン時間を要する。記述がないがあの性能で通常着弾というのはいくらなんでも酷い。筆者がGMなら、IMP以外のミサイル類は1ラウンドのロックオン時間を要し、発射したラウンドの最後に本体命中(どのタイミングで射撃宣言を行っても到達はラウンドの最後なので、他の射撃の様子を見てから撃った方がお得な場合もあるが、宣言だけ先にしておけば発射したメカが到達前に大破しても当たる)、ロケット類と攻撃に使ったIMPと投擲兵器はラウンドの最後に通常命中とする(手榴弾系の火器もそのラウンド内で処理終了)。ただし、射程外(1000m超)からミサイル類をロックオンして射程内に入ってすぐ射撃することも認める(これで30mm機関砲の万能性が少し揺らぐとともに、コンバットシェル(とヘリ)が遠距離急襲兵器として(いくらか)機能するようになる)。命中率を-100%(ジャミングと累積)することで、こちらに気付いていない相手に気付かれないままロックオンできる(カモフラージュが成功していることが前提)が、戦闘が開始されたら即座に相手はロックオンされていることに気付くことにしよう。なおモーターランチャー類は「リロードに時間がかかる」だけで、最初の射撃は準備ラウンドなしに行えるものとしておく。

曳火榴弾(エアバースト弾)やアンダーバレルグレネード(プレイヤーズマニュアルP68「[8.1.3]武器III類(重火器)」に載っているライフルグレネードは、ちゃんとした説明がないが先込め式のものだと思われる)がないのも不満だが、爆発物のルールを根本的に作り変えるハメになるため導入が躊躇われる。

ADAMシリーズの無効化手段はIMP、ダミーバルーンパック(ダミー(複数可)と本物にランダムで当たる:手番でなくともインタラプトで使える)、着弾前に使用されたXレイ系の兵器のみだが、ECMポッドSクラスとALPDで40%、フラッシュボムで30%、チャフとフレアとECMポッドAorBクラスで20%命中率を落とせる(フラッシュボムとフレアの併用はフラッシュボム優先、ECMポッド同士以外は累積する)。ADAM-Sは任意の地面を狙って地雷散布に使えることにする(MVをペナルティにしてナビゲーションSR1で回避、1ラウンドで止まれない速度で前進しているタイプMでないメカにADAM-Sが当たった場合必ず対戦車地雷を1発踏む:後述の爆発確率を適用)。ADAM-UのみタイプAの標的にも使えることにしよう。

IMPでADAMミサイルを狙う場合、相手が50mより近くで発射した場合と、200m以遠で発射して51~200m距離で迎撃する場合、すでに触れたように分裂前にまとめて落とせることにする。相手が51~200mで発射した場合と、遠距離発射されて50m以内で迎撃する場合、同じ目標に向かうミサイルが1D6-1発づつ無効化される(同じミサイルに複数のIMPを撃ってもよい)。迎撃でインタラプト射撃する場合、すでにスキル分配で射撃していても本来のスキルを全部使えて、インタラプト射撃の後で普通に射撃する場合もスキルは普通に使えることにする。能動的に撃ったIMP(1台のIMPから発射する限り、分配したスキル全部をすべての命中判定に使える:たとえばIMP8に50%のバルカンに50%という配分で撃ったなら、IMPについては50%スキルでの判定を8回行える)の無効化はADAMシリーズと同条件(自分が使っているフレアやチャフで命中率が落ちることに注意)。味方のメカに飛んできたミサイルを落とす場合で、かつ攻撃者と標的の距離−自分と標的の距離+100がプラスになった場合、計算結果を命中率へのペナルティとする(自分と味方が違う種類のジャミングをしていた場合、効果が累積する)。これらにより、あえてフラッシュボムとミサイルを併用する(着弾ラグがあるので順番は気にしなくてよい)ような戦術も可能になると思う。

地雷類はルール上の「爆発物」(=周辺火力を持つ兵器)ではない。必ずドライブ(簡易ホバーザック以外のコンバットシェルは本体)に命中し、脚移動でないメカ(簡易ホバーザックのシェル含む)ではドライブCPを超えるのに必要な最小火力を引いた火力が本体に入ることにする(ドライブ本体ともに装甲無視、DCは本体被弾分にのみ効く)。ホバイクと簡易ホバーザックのコンバットシェルは10%、戦闘ホバーは30%、タイプMのコンバットシェルとバイクとホバータンクは50%、バトルトレーラーと戦車は100%、それ以外のメカは80%の確率で、踏んだ(という表現は正確でないが上を通過した)対戦車地雷を作動させる(この判定で失敗ファンブルしたらメカクリティカルの5番)。カーゴつきのトレーラーの場合、D10で8以下なら前の車、9以上なら後ろの箱が命中対象で、カーゴ以外の牽引車やサイドカーも20%の被弾率を持つ。地雷類は機動回避できず、吸着地雷も含め固定火力が単一箇所に入る。なお、ホバークラフトは(地面にかかる単位面積あたりの力=圧力が、足で立っている人間などと比べてもかなり小さいため)感圧式の地雷にはほぼ反応しないが、戦闘ホバーやホバータンクが普及した世界で圧力しか感知しない地雷をわざわざ使う意味がないため、ホバーだから地雷無効というのはちょっと乱暴だと思う。

地雷投射器の地雷は、着弾地点との距離をボーナスMVをペナルティにしてナビゲーションSR1(筆者の運転ルール採用なら、曲がらなければならない角度を決めて普通にロール)で回避できる。ホバー類がスパイク投射器のスパイクを踏んだ場合、ドライブにCP超え1回分のダメージが入る。元のルールが酷すぎるので、こちらは上記と同条件のSR1/2くらいで回避できることにした方がよいのかもしれない。装軌メカに対するスパイク投射器は一律無効とする(ファンブルだけ起きることにしてもよいがかったるいと思う)。210mmと260mmのグレネーダーは、すでに触れたようにルールから丸ごと削除するべきだと思う。地雷散布ミサイルによる地雷原は、前進を続ける限り車種によらず1ラウンドに1回だけダメージを与える(不自然だが、高いMVで走り抜けた方が被害が小さい)。

爆発物扱い(=周辺火力を持つ兵器)の命中についても整理しておきたい。命中率以下なら本体に中心火力と本体を含む単一部位に周辺火力を適用(細部命中表で本体が出た場合、本体に2回当たる)し、近くにいた人やもの(複数でもよい)には周辺火力で単一部位命中する。命中率を超え命中率の2倍以内なら、単一部位に周辺火力を適用し、ほかに巻き添えになりそうなものがあれば周辺火力で単一部位命中する、ことにしておく。メカへの全部位命中を許すと、コンバットシェル同士の空中戦がジャイアントショットガンを先に撃った方が勝ち(撃たれた方はザックが壊れて落ちる)になってしまうため認めない方がよいと思う。細部命中表で乗員を振った場合は中心命中かつむき出しの場合のみ全身被害(上記の2箇所命中処理)、それ以外は単一部位被害(腕だけとか:もちろん、中心命中なら中心火力、周辺命中なら周辺火力)としておこう。ミサイルと地雷以外の、飛ばして当てる爆発物で、特殊な指示がないものも同じ処理。ミサイル類や爆発物の対物クリティカルは必ずダメージ2倍、爆発物の周辺火力はクリティカルしない(火力を-1して通常判定)ものとする。ミサイルがバイクに当たった場合の特例措置は、筆者のルールだとどうせ爆発炎上するのでとくに設けない。


射撃関連の補足

バースト射撃のファンブルについて、ファンブルを振る前に命中していた射撃があれば、それを有効にしてかつファンブルも起きるものとする。命中、命中、ファンブルであれば、都合がよい方の命中を選べる。またファンブルが出たらその時点で命中判定を中止するが、クリティカルが出ても命中判定は最後まで行い、クリティカルとファンブルが同時発生することもあり得ることにしよう。さらに、命中射撃の取捨を最終被害算出の後にするルールも提案しておきたい。ようするに、オート射撃と同様に最終被害まで出して、そのうちもっとも有効だと射撃者が判断する被害を1つ選択する(不自然ではあるが、結果的に手加減射撃にも使える)。

オート射撃の上限3発命中について、3発目が当たった時点で命中判定を打ち切ることにする(プレイヤーズマニュアルP23~24のラリーカンパニー日誌11と13ではやたらたくさん当たっているが、選択ルールを採用していない前提なのだと思う:HMGはA6で8発は撃てず、数字は明らかに間違ってるけど)。ファンブルして継続射撃が可能な場合は、命中しなかった扱い(オート射撃数が残っていれば命中判定を続ける)。3発命中を「有効打撃が3発通るまで」とか「命中判定のうちもっともよいもの3つを選べる」などと解釈するルールも見たことがあるが、これもゲームバランスを激変させる解釈で、筆者としては損害に関わらず3発当たった後の弾はなかったことにする(命中判定もしない)のが無難だと思う(プレイヤーズマニュアルP24「[4.3]射撃ルール・選択」には「オート射撃で1目標を撃つときは3回までの命中、被害判定が適用されます」とサラっと書いてあり、被害判定に至らない射撃は3回制限に関与しないとするのが無理なわけではない)。もし「装甲を通らなかった弾は命中扱いしない」ことにすると、戦車が一気に弱体化する。基本的に、メタルヘッドは連射火器の火力が高すぎ(どうも、火力を想定エネルギーの1/2乗に比例させ連射火器は2倍としているように見え、いくらなんでも優遇されすぎ)なので、オート射撃の火力にいくらかペナルティを課しておきたいところなのだが、ゲームバランスが激変するので他の項に譲る。

制式フルボーグも定義されていない問題が多くある。HP制になった後に対人被害シフトがある攻撃を受けた場合、対物チャートで被害を2倍シフトさせることにしよう(たとえば火力95でシフト2なら被害12)。HP制のヒューマノイドへの対人全身ダメージ火器は被害を2倍、クリティカルは一律で装甲無視のダメージ(火力でない)2倍、爆発物がクリティカルしたらダメージ3倍としておく(対人被害シフトがあるときは倍にしたダメージからシフトする)。限界ダメージの適用は微妙なところで、30mm機関砲やバスターライフルが防具ナシで直撃しても確実に耐えられるというのはちょっとアレだし、I~III類に限って適用することにでもしておこうか(上記ルールの全身被害は限界ダメージの2倍まで認める:VI類については制限するメリットがないように思う)。HPが0になったときはSUV制の全身Kダメージと同じ扱い(LUCで生き残って治療すればHP制に戻るが、頭部と胴部が両方Kダメージなので8点必要)。他のボディから制式フルボーグに乗り継ぐ場合、サイバー化で上げてあったREFとPERは生身相当に戻してから新たな修正を適用(制式フルボーグ以外への普通のサイバー化では引き継げる)。くらいでよかろうか。筆者はHPも40がヒューマノイドの限界だと考えている。

限界ダメージについて、チャートブックP4「[4.0]対物ダメージチャート」でも「200以上」が40点となっており、また限界ダメージが40+の火器はあっても40の火器はないことから、対物ダメージ(というか、I~VIII類火器)自体の上限が40点なのだと解釈するのが自然ではないかと、筆者は考えている。もしこの上限を取っ払うと、ダメージの推移から火力211で50点、221で60点(ヘビークロムを入れたKKKロワイヤル以外の全メカが1発で落ちる)というのが最低線で、ちょっと興醒めに過ぎる。以下では対物ダメージの上限を40とする前提で話を進める。

IV類で基本火力50以上で対物対人とも○以上で追加被害が定義されていないものはシフト1、基本火力100以上または対人効果×で当たりそうなものはシフト2とする(すでに触れたように、命中対象がHP制の場合、対物ダメージチャートで2倍シフトさせる)。ただしミサイルや対戦車地雷などが対人無効なのは変化なし。実際問題、HPが35点くらいのフルボーグが相手だと、55mmオートキャノンや30mmロックガンくらいが当たっても一撃必殺ではない。防具と装甲で200点くらい火力を減らされることはままあるため、確実に即死させるには300点以上の火力が必要(1点でも残すと元気に反撃される)。もっとシフトさせてもよさそうに思えるかもしれないが、メカに射撃して乗員命中が出たときに「装甲からカスダメージが抜けてきてシフトで死亡」というパターンが興醒めなので妥協したい。


運転と機動回避に関するルール


ホバータンクは3秒でUターンできるか

これもゲームバランスを根本から変えてしまう要素。もしホバータンクが1ラウンドでUターンできるのだとすると、3方向挟み撃ち以外では後ろから撃たれる心配が(移動フェイズは射撃フェイズの前なので、REF負けして回り込まれるパターン以外には)なく、ものすごく便利なメカになってしまう。というか、後面装甲の意味がほとんどなくなる。

そもそも、このゲームの1ラウンド3秒という規定はヘックスマップの導入に問題がある長さで、たとえばMV130で130m進む間に60度方向を変えたとすると、130Rのコーナーを156km/hで通過する計算になる。レーシングマシンをサーキットで走らせるなら「普通」(SR1)くらいの難易度でよかろうが、荒野でマシンガンを撃ち合いながら同じことをやるのはとんでもなく難しいと思われる(多分)。

そこで、ヘックスマップを使う場合、方向をさらに分割して12方向(30度刻みで方向を表現できる)で運用するのがよいと思われる(ついでに、前面側面後面が各3方向=90度づつになりスッキリする)。

単純計算上、円運動による力(遠心力)は角速度の2乗と半径に比例するから、MVと方向変更の回数を掛けた値を基準にするのがよさそう。たとえば、100m進んで30度方向を変えるのと、50m進んで60度方向を変えるのは、角速度が2倍(20度/sから10度/sに)で半径が4分の1(1辺100mの12角形と2辺50mの12角形)なので同じ遠心力を生む。つまり、MVと方向変更回数の積である100*30=50*60=3000が一定なら、受ける遠心力(が運転の難易度に直結するかという問題やドライブの摩擦や空力はどうなっているんだという疑問はあるがとりあえず)も一定になる。


操縦ルールの大変更

ということで、MV100で30度方向を変えるのとMV50で60度方向を変えるの(とMV33で90度方向を変える・・・)は同じ難易度、装輪メカでのオフロード走行は単純に1/2の最終修正にしよう。わき目を振らずコーナリングだけする(ヒューマノイドの突撃移動のような感じ:、自動的に運転が第1優先行動になる)ならDCと機動回避を無効化(面倒なのでタイプ補正はそのまま)しつつ射撃(独立したガンナーによるものを含み、速度ペナルティと重複する)に1/2ペナルティを課してナビゲートSR2倍修正、というあたりでどうだろう。上記の例でいうと、銃撃戦のないオンロードでMV130の60度方向変更がSR1の難易度になるメカであれば、MV65で方向変更120度とか、MV43で方向変更180度とかいったこともSR1で可能、オフロードで機動回避やDCや射撃を捨てないならMV65で方向変更60度のときSR1/2、という計算になる。ここから、速度が2倍で1/4見当のペナルティを課してやればよい。曲がらず直進するときは速度に2倍ボーナスくらいが相当だろうか。

ではSR1で1回(30度)曲がれるMVはいくつにすればよいかと考えると、これはREFと重さを反映させるべきだと思う。REFが高い戦闘バギー(ブッシュランナーで10点、サンダーフォックスで13点、純粋なレーシングカーよりは鈍いはず)にREFが高いドライバー(生身だとしてREF15くらいか)を乗せたときに100~150くらいを想定したいので、(ドライバーのREF+メカのREF)×10÷(重量ナンバー+補正値)くらいだろうか。補正値は、脚移動メカ(ガンドックと脚移動のインセクター含む)とダッシュローラーザックでターンピック使用中のコンバットシェルは0、装輪メカは1、装軌メカとタイプAのコンバットシェルは2、ホバー類(簡易ホバーザックのコンバットシェルを含み、ホバイクの常時SR1/2修正は撤廃する)とヘリ(小型ヘリで重量ナンバー3とする)は3で、装輪メカ(ターンピックの有無に関わらずダッシュローラーザックのコンバットシェル含む)以外はオフロードの影響を受けない、といったあたりか。このルールを採用するとき、ホバイクのSR1/2ペナルティは廃止する。またこのルールと筆者の同時行動ルールを併用するとき、サイバーリンク操縦ができないコンバットシェルとバイク類と戦闘ホバーは、修正値を1つ減らす(表の値を倍にしてもよいし、合計REFを倍に扱っても結果は同じ:運転に集中することで高い機動力を発揮できるメカ、という表現になる)。

MV10未満まで減速してからの旋回はMV10扱いとする。戦車とホバー類とモノバイクは超信地旋回(移動せずその場で旋回)可能だが、戦車以外が戦闘ラウンドで行う限りMV10旋回と同じSRになる(戦車はMV0ならいつでも好きな方向へSRなしに向ける:無限軌道のボーナス)。上記の例でいうと、ホバータンクは180度旋回をSR2にできないということで、ファンブルがあるため10回に1回は失敗する(それに対し、戦車なら停止していればロールなしで確実に180度旋回できる)。ホバー類については方向を変えてもすぐには移動速度に反映されない(極端なドリフト状態になる)挙動も付け加えたいが、そこまでやると重すぎるかもしれない。人間とサイボーグは重量ナンバー0なので、いつでも好きな方向を向いて移動できる(伏せ撃ちしてるときとかブースターレッグで飛んでるときとかは例外)。

最終難易度がSR2以下かつスキル100%以上であれば、ファンブル判定の改定を反映させてSRを省略(ファンブルも起きない)してよいと思うが、この運転ルールに限ってはスキルが400%あってもSR1を省略しない。というのは、最終難易度がSR2というのを「マシンの能力から見て無理なく成功する運動」だと解釈できるためで、運転者のREFはマシンの能力を引き出す要素、スキルは無理な運動を成功させる要素となるのを期待している。最終難易度SR1は「それなりにムリをさせる」状況で、「何かあればひょっとするかもよ」というレベルにしておくのが、メタルヘッドのノリに合うと思う。直進しているだけでもファンブル転倒の心配なく射撃できる速度に限界ができることに注意。

低速での転倒(ファンブル以外ではめったに生じないと思う)については、ブースターの誤動作でまったく曲がらなかったとか、脆くなった地盤に乗っていったん停止したとか、適宜表現を変えた方がよいと思う(銃撃戦の最中にバイクで立ちゴケするハンターというのも傍目で見るなら面白そうだが、さすがにオンロードで20km/hのホバータンクがひっくり返るようなこともあるまい)。転倒チェックは、サイクロンP6「1.追加装備」やクロムビートP8「[2.2]高速走行中のアクション」のルールだと大雑把なので、新規に定めておきたい。単純に、転倒の原因になったSRに1/2ペナルティをつけてもう一度振り直させればよさそうに思える。ドラッグシュートを緊急で使うと、1/2ペナルティを相殺できる(複数同時使用は無意味)ことにしておく。ひっくり返ったら、1D100+転倒時MVを火力に本体ダメージ+乗員にAR20の心理チェック+乗員がむき出しの乗り物ではAR20失敗で投げ出される(大破ルールを参照)+乗員がむき出しでない乗り物では乗員が閉じ込められる(バギーくらいのドアなら重火器を内側からぶっ放せば開く)+移動不可(機動メカは1ターン、投げ出しARに成功したバイクは移動込みで2ターンかけて起き上がれる)、くらいの処理か。

このルールを採用する場合、クロムビートP8の「高速走行時難易度修正チャート」を差し替える。大雑把には、運転SRにマイナス修正がかかる難易度の運転をしているときは他の行動にも同じ修正がかかり、コーナリング専念でDCが機能していないような場合はさらに1/2くらいでよいと思う。たとえば、本来SR1/3になるような激しい運転をコーナリング専念でSR2/3に変えた場合、射撃など運転以外の行動はSR1/6になる(本来の難易度1/3に1/2の追加修正)。MV200以上で前側方射撃不可となるルールは丸ごと廃止する(戦闘機や攻撃機だって前に弾を撃つ位できるはずだし、速度が高いから撃てなくなるのではなく運転が荒いから当たりにくくなるのだと解釈:真面目にやるなら相対角速度でもペナルティを課すべきなのだろうが、マップが2枚必要になりとんでもなく重いので、パソコンで計算しながら遊ぶのでもなければ現実的でないと思う)。なおサイクロンP6「1.追加装備」にあるスーパージャイロは削除する。


ルール変更時のおおまかな数値と補足

最初の話題に戻ってホバータンクが3秒でUターンできるかどうか考えると、REF25のサイボーグが乗ったREF15でBRK30のマシンだったとすると、合計REF40の10倍を6で割って67点、BRK前MV36(43km/hくらい)だったなら、機動回避はしない前提でDCを捨てればSR1、DCを捨てないなら1/2判定でUターンできる。横まで向ければよいなら、コーナリング専念のBRK前MV52でSR1/2になる(MVが2乗で効くことに注意)。表にするとこんな感じ(表の値はBRK後のMVで、この値を下回っていれば最上段の難易度でロールできる:戦車以外のメカでBRK後のMVが10未満の場合はMV10とみなす)。括弧内の数字は基本速度への修正で、基本速度にこの値を掛け算すると括弧の前の数字になる。

 SR4
(÷2)
SR2
(÷√2)
SR1
(×1)
SR1/2
(×√2)
SR1/3
(×√3)
SR1/4
(×2)
直進(×2)67(*1)95(*√2)134(*2)190(*2√2)232(*2√3)268(*4)
30度(÷1)34(/2)47(/√2)6795(*√2)116(*√3)134(*2)
90度(÷3)11(/6)16(/3√2)22(/3)32(*√2/3)39(/√3)45(*2/3)
180度(÷6)6(/12)8(/6√2)11(/6)16(*√2/6)19(*√3/6)22(/3)
ルートの計算が出てくるのが面倒ではあるが、結果だけ見ると、方向を変える回数×MV(ただし直進は1/2回と数える)が47以下ならSR1/2、67以下ならSR1、95以下ならSR1/2というだけのことである(網羅的な表を別ファイルで用意したので必要な部分を印刷しておき、あとは基準速度だけメモしておけばロール難易度がわかるはず:上手く開けない人は同じ内容のファイルを利用して欲しい)。合計REFが60でスキルも200%あれば、MV67(80km/h)からでも(ファンブルしなければ)機動回避しながら横を向ける。またコンバットシェルの場合、たとえばソルシェにREF40のサイボーグを乗せて合計REF80で飛んだとして、重量1の補正2で基本速度は800/3だから267が30度SR1、90度旋回はMV100でもSR1/2でしかできない計算(シァバリエならギリギリできる)。

ドラッグシュート(現在MVの半分をBRKに加算するものに改める)を使いながらのコーナリングは認めないもの(直進のみ)とし、ドラッグシュートを使いながらの機動回避も認めない(移動フェイズの最初に切り離せることにしよう)。ホバークラフトのブースターをBRKに使えるルールは削除して、ニトロパックがACLとBRLの両方に20%で効くことにしておく。このルールを採用しない場合、2台積んでおけばBRKとREFに1台づつ使えるが、1つの用途に2台以上使っても無効、BRKに使う場合のARチェックは必要なし(ドラッグシュートでさえ必要ないんだし)でよろしかろう。スラローム走行(左右に何度も曲がる)の場合も、合計の方向変更回数で処理する(障害物の多い地形や荒れた路面を選んで走り抜ければ、戦車や装甲車のようにMVだけ高くてREFが低く重いメカを振り切りやすくなると思う:合計REF45の装甲車でも、普通のオフロードならロールなしで30度曲がれるMVが80になる)。

90度旋回できれば真後ろから接近されても(相手に回りこまれなければ)横を見せられるし、安全に曲がれない速度を常用するのもナンなので、上記の表のメカがBRK30なら、MV45が警戒速度(manoeuvring speed at full ahead)、MV77が巡航速度(navigation speed at full ahead)ということになる(実際の用語とは食い違うが、ゲームのルールに当てはめるとそんな感じ:後面が薄いメカだと筆者のルールでCSDが効かなくなるBRK後MV60も基準になる)。バイクとポケットタンクが優遇されすぎな感じもするが、もし問題があるようなら(ひっくり返りやすいメカだということで)重量ナンバー修正を1つ増やしてもよいかもしれない。

重くなる反面ドライバーにもそれなりの作業ができるので、分業制でやる場合にどうかなと思う。後で紹介するコンバットシェル(合計REF72だとタイプAの基準速度が240、合計REF90だと300になる)が斜め前に飛び出して包み込むような戦術と親和性があるが、重いルールと人数がいないと成り立ちにくい作戦の組み合わせになってしまうので慎重に導入して欲しい(このルールは「時速500kmも出せる車があったとして、まともに運転できる者がこの世にいるでしょうか?」という質問に「熟練したサイボーグならできることもある」と回答するものである)。


本来の機動回避ルールの概要

プレイヤーズマニュアルP24「[4.2]射撃・投擲」の4(最後)では「SR1/2、SR1/4ロールなどに成功すれば、それと同じ割合でダメージを軽減」とあり、クロムビートP5の「機動メカおよび操縦系にサイバーリンク中のメカの回避」では「バイク、飛行中のコンバットシェル、ガンドッグ、アクトポッドなど」が「SR1で、成功すれば出目の分をそのまま受けたダメージからマイナス」「SR1/2に成功すれば出目の値は2倍」「成否に関わらず、今回はメカニックの装甲の恩恵はまったく受けられなくなります」とある(書き方からDCには影響がないように読めるし、DCを失うと処理の順番的にも遡ることになるので、意図としてはおそらく機動回避が失敗してもDC有効なのだろう)。

基本ルールを採用すると、大型のメカがものすごく硬くなる。お互いのスキルが200%のとき、155mmキャノンを撃って350点くらいの火力、DCが50点だったとすると残り300点、SR1/2の機動回避で半分減らされて150点くらい、装甲を抜けなければカスダメージも入らない。これは倍率機動回避とDCを併用した弊害でもあるのだが、DCがないコンバットシェル(兵装にTPを取られないので意外と硬い)でも、装甲で100点くらい防げば3点くらいの損害で済むため、基本的には防御側有利なルールである。もし採用する場合、バランスの偏りを緩和するため、DCの適用は機動回避の前にするべきだろう(機動回避後に回すと、機動回避のロール成功倍率がDCにも効いてしまう)。

これに対してアドバンストスールでは装甲を無視することになった。これがどういうことかというと「大型メカは機動回避をせず、機動回避をするメカは装甲を(対小火器用の10点以外)貼らない」ということである(もちろん、ゲームバランスは一変する:クロムビートの軽量メカはこの前提でTP設定されているように感じるが、ブロックバスターのシェルのTPは(装甲板を貼るのが無難なのだろうが)いまひとつピンとこない)。そしておそらく、戦車やバトルトレーラーのDCはこちらのルールを前提に設定されている(というか、機動回避しない分のゲタとして導入したように思えてならない)。このため、クロムビート準拠のメカデータを使うなら、アドバンストルールを採用しないと話がややこしくなる。

処理の順序が、命中判定>火力算出>(DCを適用)>回避判定>装甲判定>細部命中判定(プレイヤーズマニュアルP26「戦闘ターン」およびP29「ラリーカンパニー日誌20」を参照)であることを確認しておきたい。つまり、機動回避の判断は「火力だけわかった時点」で行う。なお筆者の複数行動ルールを採用している場合、機動回避への修正は運転SRに準じるものとする(受動行動なので無制限がスジという考え方もあるが、運転に専念することでダメージを減らし逃走用に使えるようにしたい)。


本来の機動回避ルールの運用と修正案

基本ルールは、DCとの併用さえしなければそんなに酷いものではない。装甲と回避が独立しているので、たとえば20mmバルカンの3人撃ちで210点前後の火力を9発当てて6発本体に入り2発装甲を抜けたとしても機動回避に成功していれば100点2発程度に抑えられ、損害は10点ちょっとになる。火力400の射撃なら火力200に、火力40の射撃なら火力20にと割合で効くため、戦闘は穏やかに(あるいはダラダラと)進むことが多いだろう。スキルが100%くらいの間は、機動回避の効果が安定しない。

アドバンストルールは、最終火力が1D100+基本火力+スキルボーナス−nD100−DCになるため、ダメージの振れ幅が大きくなる。たとえば20mmバルカンで210点前後の火力を9発当てて6発本体に入ったとして、機動回避とDCで130点減らしてあれば80点が6発で21点くらいのダメージだが、たまたま機動回避で50点くらいしか出なかったときに相手の火力が235くらいあると、最終火力155で16点の損害が出る。同じ射撃をA200/80%の装甲で受け、1発通って火力180だと20~25のダメージ、出目次第で5点も40点もありえる。防御力的にはトントンくらいだが、装甲板を買う費用と積むTPを火力に回せるため、スキルが十分にあり装甲80%くらいなら機動回避の方が得に見える。スキルが100%くらいの間は、A100/70%くらいでも装甲で受けておいた方が無難だろう(機動回避の期待値が50に対して装甲の期待値が70)。

しかし問題は、常時機動回避で運用しているとファンブルがそれなりに出るということで、ここの取り決めでゲームバランスが一変する。もちろん、機動回避でファンブルが出たらどうするかという規定は元のルールにない。もし単純に機動回避が失敗するだけだとしても、10回に1回くらい装甲素通りと同じダメージ(上記の例なら火力180の25~25点)が通ってくることになり、機動回避で10~20点くらいしか削れない出目が1回や2回は出そうなことも考え合わせると、装甲80%なら機動回避しない方が得だろう。装甲70%だと、装甲で受けようとして2発抜けると終了なので、どっちにしても望みは薄いが祈りながら機動回避だろうか。ただし、(脱出部分も含めて)本来のルールでサイバーリンクしていた乗員はメカが大破したときほぼ助からないし、ファンブル=射撃者がクリティカル扱いくらいのペナルティがつくなら装甲頼りで祈った方がマシかもしれない。

どう解釈するかは遊ぶ人次第なのだが、筆者としては「機動回避効果はアドバンストルール準拠+成功したら装甲有効DC無効+失敗したら装甲DC無効+クリティカルしたら完全回避」というのが落としどころかなと思える。機動回避効果は基本ルールだといくらなんでもうっとおしい、機動回避成功で装甲を無視すると中量級メカが簡単に落ちすぎる、重量級メカに延々機動回避され続けるのを防ぐためのリスクは必要、というあたりが理由。DCを無効にするのは鈍重メカの機動回避をお得でなくするためだが、メカの丈夫な部位で射撃を受け止めることができないから、とかなんとか説明しておきたい。

失敗ファンブルはメカクリティカル5番相当(無限軌道なら履帯が外れて駆動輪に巻き込まれたとか、ホバーなら推進ファンが捻じ曲がってあさっての方向を向いたとか、装輪車両ならドライブシャフト破壊とか、脚移動メカなら片脚制御不能で暴走とか、そういったレベルのアクシデント:ドライブに最大負荷をかけた状態で跳弾なり破片なりをもらったのだろう)。成功ファンブルは通常失敗と同じで装甲無視、倍成功ファンブルなら装甲%半減くらいでよろしかろう(もちろん起動回避の効果は生じないし、DCも無効)。


機動回避ルールの抜本改定

前の項で元のルールを手直しして使う案を紹介したが、やはり運用に限界があるので、丸ごと改定する案も紹介しておく。ルールデザインの方針として「オート射撃のスキルボーナス以上かつ単発射撃のスキルボーナス以下」「スキル400%でも上限250点くらい(30mm機関砲の期待火力が100+150-300+1D100で50点に、55mmオートキャノンやサイボーグライフルのバースト射撃で70~80点になる)」くらいを狙いたい。 (メカREF+人REF/2)/SR難度

速度や車重や射撃距離に関わらず機動回避を認める(ゲーム中では機動回避という名前でないが、回避運動自体は無条件で行っていることに注意)のもどうかと思う。というか、そもそもの話をすれば機動回避が可能なメカが明確に定義されていなかったりする。バイクとコンバットシェルについてはプレイヤーズマニュアルP24「[4.2]射撃・投擲」に、ガンドッグについてはクロムビートP18「[4.3]ガンドッグ」に「できる」と明記されているが、脚移動時の重コンバットシェルにまで機動回避を認めてよいものか、大いに疑問である。いっぽうで、戦闘ホバーや戦闘バギーやタイプM時のインセクターなど、いかにも機動回避できそうなメカについてできるという明言がない。細かい制限をかけるよりも機動回避効果にREFを反映させたいところだが、アクトポッドが無敵の硬さになってしまわないよう注意が必要である(装甲が不要になるほどの効果にはしない方針)。

この際なので、機動回避の効果は(メカREF+人REF/2)/SR難度として、全メカ機動回避の実施自体は可能、サイバーリンク操縦できないメカ(コンバットシェルとサドルシート)には、行動優先順位によるSRペナルティを1段階緩和するボーナスを(人車一体な操縦ができるとかなんとかいう理由で)つけておきたい。成功したら装甲有効DC無効+失敗したら装甲DC無効+クリティカルしたら完全回避+失敗ファンブルは装甲DC無効かつメカクリティカルの5番+成功or倍成功ファンブルは装甲%にSR倍率*20のペナルティ。やはり、機動回避への優先行動修正は運転SRに準じるものとする。SR2での実施は認めるが、SR2/3などは認めない(自然数または自然数の逆数のみ)。

人REFを半分にして扱っているのはバランス調整のためで、人REFがカンストしたとき、メカREF5の戦車が合計45でメカREF20のモノバイクが合計60みたいな差だと少し不満があるし、シェルやアクトポッドが硬くなりすぎる(スキル300%でREF90なら270点も減らせて、スキルボーナス200点の射撃でも相当厳しい)。上記の設定でも、筆者の連射砲火力ボーナス半減ルールを採用していると、たとえば互いのスキル200%でREF40のサイボーグが乗ったタイプAのソルシェを30mm機関砲で撃つとき、機動回避で(40+40/2)*2=120点減らせるから、火力ボーナス50点を加味した最終火力は100+50-120+1D100=30+1D100になる(一発で落とせるかどうか微妙くらいのセンだと思う)。いっぽうこれが55mmオートキャノンだと、最終火力は80+100-120+1D100=60+1D100で、筆者のバースト射撃ルール(最終被害がわかってから有効にする射撃を選択できる)を採用していれば、装甲を抜けたときの危険さ(ソルシェのHPは7なので期待値の火力=110でちょうど落ちる)では上回れる。

装甲80%のメカでも、十分厚いなら常時の機動回避はしない方が得(スキル200%の最終REF40点でSR1/2でDC30なら、合計で100点減らせるが装甲%が70になり成功ファンブルが10%)くらい、シェルや軽量メカは数発のハイスキル射撃にはけっこう耐えるが、AI撃ちで数を当てられると脆い、くらいのバランスになるはず。DCを無効にしているのもバランス調整のためで、ようするに重いメカほど機動回避のメリットが薄くなるようにしている(戦車の機動回避が意味なさすぎに見えるかもしれないが、KKKロワイヤルの装甲がアホすぎるだけで、スパルタンくらいのクラスならハイスキルサイボーグによる機動回避が有効な場面は普通にあるはず)。


行動宣言と近接攻撃関連をまとめて整理したい


完全先制攻撃体当たりと白兵戦の処理

コンバットシェル同士で戦闘する場合、ルール判断によってはREFの高いメカによる体当たりが有効になる。というのは、体当たりは(普通に考えてぶつかった直後=移動フェイズで処理されるべきなので)射撃フェイズの前に火力を通せるためである(地雷や落とし穴などを除いた能動的な攻撃では唯一)。

やり方は簡単で、シァバリエにラムシールドを持たせて飛んできたコンバットシェルに突っ込ませるだけ(REFの関係で先飛びが必要だが、遠距離から飛ばれたなら相手の移動中に浮ける:まあ遠かったら母機の20mmバルカンで撃った方が早いんだけど)。相対MVは数百で済まないレベルなので、機動回避を許すルールで150点減らしてライトチタンA200で受けても一発大破する可能性がある(真面目に考えると、相対速度200m/s(機種によっては最大300m/s)にもなったら物質が固体として振舞う領域を超えてしまい、装甲板なんてものの役には立たない:水風船に水風船をぶつけたような結果になるはず)。当たらなかったとしてもそのラウンドにまともな射撃ができるとは思えない(すでに紹介した筆者の運転ルールなら、まったく撃てなくはならないが当たらないと思う)。ぶつけた方もタダでは済まないので、PCはもとよりバンディットやアーミーにも現実的な戦術ではないが、テロリストになら可能かもしれない(地上メカでやられるとまた面倒なことになり、AI操縦との組み合わせが凶悪なのだが、別に触れる)。

体当たりの処理(メカREF有効でAR振り合い>地上車全般SR1>相対MV+SRの出目を火力にして本体命中装甲必ず有効>「乗員にも1D100でダメージを算出」>体当たりした側に相対MV+1D100を火力にして本体命中装甲必ず有効、人間相手にぶつける場合はREF振り合いで+10ボーナス、サイバーリンク操縦はどちら側でも+20ボーナス:まあシェルならシェルSR、乗員ごとに1D100の全身ダメージという意図なんだと思う、多分)がアレなので、実は相手がシェルでなくても有効で、装甲車くらいならスティンガーを突っ込ませるとかなりの確率で沈黙させられる(重量ナンバー差2で30点の修正がつくとはいえ、筆者の複合装甲ルールを採用していない場合A200が上限だから、MV60で逃げても(400-60)-30-200+1D100-DCは本体に抜け、もしラムシールドの体当たり火力が「たんに+60」なら170+1D100-DCになる)。筆者の解釈としては、体当たりの火力にスキルボーナスはつかない(し、つけない方が無難)。白兵戦武器についても(すでにSTRで火力ボーナスはあるのだから)スキルでの火力ボーナスは上限100点として、代わりにスキル振り分けでの2刀流で火力を補わせるのがスマートじゃないかと思う(銃剣パイルバンカー+レーザーブレードみたいなスタイルがオンリーチョイスになりそうだが、それはまあしゃあないことにして)。相対MVが10未満の体当たりは必ず互いにノーダメージとしておこう(押されるだけ:ただしエレキ=シールドが無効になったりはしない)。

ただし、シェル同士の空中戦を棒切れを持った殴り合いに終始させない(まあレーザーブレードがビームサーベルみたいなノリになって、それはそれでアリなのかもしれないが)ため、白兵戦の命中判定で相対MVをペナルティとする(すごい速度ですれ違う相手を殴るのは難しいが、高速移動中でも併走していれば殴れるかも、ということ:筆者の運転ルール採用時は自機速度で別にペナルティがつくことに注意)とか、体当たりについてもMV差(の1/10か1/5くらい)をARのペナルティにすると少し無難になると思う(たとえば、MV100のバイクがMV400のシェルに突っ込まれても、MV差300でARに30点ペナルティがつけば、メカREFが30点違うときちょうど互角の振り合いになる、とかそのくらい)。なお、。斜めから当たって相対MVの計算がメンドクサイ場合は、12方位で11~1時までが正面衝突、10or2時以降は1段階(30度)ずれるごとに20%減、5~7時はMV引き算、くらいのドンブリ勘定でいいと思う(側面に当てられるかどうかはあまり深く考えず、ぱっと見で判断できそうならGM裁量で決めてしまい、頑張ればできそうなときは「体当たり判定で2~4点勝ちすればOK」くらいで手を打つのが無難だと思う)。

マンガ的なノリでやるなら、コンバットシェルにブースターキックとかシールドチャージ(盾の火力を自分の被火力から引けるってのはどうかしらね:ラムシールドなら火力+60のA50/70%、ショルダースパイクなら火力30のA30/40%、本体装甲と違い防御効果は100%発動でない)をやらせても面白いと思う(普通のキャンペーンでそこまではやりすぎだろうけど:VIII類火器の射程上限が200mのままだと、体当たりされない距離からの射撃ができなくなっちゃうし)。まあ普通にやるなら、シールド類の基本ルールである「装甲として使うターンのREFは1/2」のペナルティは課しておくのが無難だろう。なおショルダースパイクは両肩に装備して初めて効果を発揮するものとしておく。ダブルハーケンとかいう場違いな武器が(ブロックバスターP28の解説でもサラっと無視されつつ)ひっそりと設定されているのを、見なかったことにするかどうかはGM次第だと思うが、筆者としてはハルパー(古代ギリシアの刃物で、神話上もクロノスの持物として有名:大鎌みたいな描かれ方をすることもあるが、持ち主がクロノスだけに元は農具だと思われ、筆者は柄が短い鉈鎌みたいなものだったろうち想像している)とか、いっそハチェットとかトマホーク(片手斧)みたいな厚くて重くて短い系の方がシェルのパワーを有効活用できそうな気がするのだが(ククリナイフorククリマチェットくらい長くなると、取り回しとか強度とかいろいろメンドクサイと思う、多分)。

この延長線上の話なのだが、筆者としては、白兵戦攻撃は上記解釈の体当たりに準じる処理(自分の移動フェイズ行動の直後に解決)にするのがよいのではないかと思っている。というのは、移動してから手で殴るのと上記のブースターキックみたいなのが別の処理になるのは不自然だし、インドアでアクトポッドが無敵すぎるのを緩和することにもなるし、白兵戦攻撃にある程度のアドバンテージがあった方がマンガっぽいノリになって面白そうだからである(近接ルールの項で触れる行動宣言順の処理や、他で触れる重ね着や2刀流やレーザーブレードのSTRボーナスの扱いなどが影響し、組み合わせ次第では「ホントにマンガ」なノリにもできそう)。この場合、メカに対する(orメカ同士に限って)白兵戦攻撃に体当たりと同様のREF振り合いを求めるかどうかはけっこう影響の大きい判断で、振り合いありにすると結局アクトポッドには白兵戦攻撃を当てられず(だって素のメカREFが40とか50のレベルで、しかも常時サイバーリンク操縦なんですもの)導入メリットが薄くなることと、やはり回避系の判定を重複して設けるのはおかしい気がするので、筆者としては必要ないかなと思っている(すでに挙げた速度ペナルティを盛り込むのがよいだろう)。

元の体当たりルールには機動回避が可能なのかどうか記述がないが、体当たりに限りREF振り合いを要求して「必ず本体命中+装甲有効」とすでに特殊処理に入っているので、機動回避はできない方が自然(回避系の行動を重複させるべきでない)だというのが筆者の解釈。メカに対する白兵戦については、ブロックバスターP10「[2.2.2]近接/格闘戦ルール」に「コンバットシェルが格闘の回避を行なうとき、<格闘回避>は使用しません。機動回避を行ないます」「コンバットシェル以外のメカニックの機動回避について、格闘戦に対しても可能とします」とあり、それを援用するのがおかしいとまでは言わないが、せいぜい「格闘回避と体当たり回避と機動回避のうち1つを操縦者が選択」くらいが妥当な気がする(筆者としては、体当たりと白兵戦は攻撃者の側で使い分けられるべきで、体当たりは体当たり回避、白兵戦は機動回避しかできないとした方がスッキリすると思う)。

行動が衝突する場合の処理として、互いに体当たりを仕掛ける意思がある場合は(移動により当たる距離まで到達していれば)必ず命中としておく。どちらにも体当たりの意図はないが移動の都合でゼロ距離近くまで到達した場合はロールなしでぶつからないことにしてよいと思う(狭い通路を押し通る場合は「体当たりの意図あり」と解釈する)。体当たりvs白兵戦はREFに関わらず白兵戦を先に処理して、ヒューマノイドによる格闘回避以外で白兵戦攻撃を外したら体当たりが必ず命中・白兵戦攻撃が当たったら普通に体当たりを処理(相打ちみたいな感じ)・当たって重大な結果(大破、ドライブorエンジン破壊、操縦者(または対象がヒューマノイドだった場合)にMO以上の負傷か気絶以上の心理効果、くらいかな)なら体当たりキャンセル、としておきたい(ちょっと不自然だしザックリしすぎているが、ここはひとつマンガのノリでなんとか)。白兵戦を互いに仕掛ける場合は普通にREF順処理で(ファンブルでもしない限り)衝突はしないものとする。もっと複雑で重いルールについては近接ルールの項で提案する。

ついでに白兵戦兵器についてもさらっておきたい。対物で意味がありそうなのは、レーザーブレード、高周波ブレード、パイルバンカー、VIII類の格闘兵器、オマケで単分子ナイフくらいだろう。レーザーブレードの説明には「ライトセーバー」とあるが、だとしたら刃は使うときだけ出て、切り付けた対象からは干渉を受けるはずである(ようするに、光る鉄棒(本家のレーザーブレードはこのタイプ)、レーザートーチ、伸縮棒のうち、伸縮棒的な性質のはずだということ:本家のライトセーバーは、設定or構造上はトーチ的だが運用上は伸縮棒的で「アーク波によって、触れた物体の密度に比例した抵抗を生む」ことになっている)。筆者の解釈では、使用者のSTRボーナスは有効、クロムビートにレーザーレベル2とあるがミラーコート無効でよい(基本的には鉄パイプで殴っている手応えなのだし、トーチだとしても砂でも吹き付ければよさそうだし、ファイバニウム+メタ=カーボンでお手上げになるのはどっちみち変わらない)と思っている。収納時のENCは1(コンバットナイフと同じ)でいいんじゃないか(サイボーグが手に仕込むところまで許可するかどうかは別として)。パイルバンカーはIII類火器に銃剣のように装着できるらしいが、ENCが小さいのでラムシールドにも普通に仕込める(サイボーグやシェルのSTRで突きをかましたら銃器が壊れると思うのだが、この際それは言わないお約束にしたい)。パイルバンカーや高周波ブレードやインパクトナックル(や上で触れたレーザーブレード)は火力補助型の格闘兵器で、使用者のSTRボーナスは有効。筆者の解釈では白兵戦でもスキルによる火力ボーナスは有効(ただし100点まで)で、例外はコイルボム(出目は足せるがスキルボーナスとSTRボーナスがつかない)と単分子ワイヤー(これ格闘に使えるルールなかったことにしない?)とマインスピア(固定火力で吸着地雷と同じデータを使用)と、体当たりに使った体当たり兵器だけ、としておきたい。


ラウンド手順の大変更

プレイヤーズマニュアルP26「戦闘ターン手順」の記述があまりにもザックリしているのと、筆者の提案ルールで多少入れ替わりがあるため、行動宣言や行動処理の順番について確認するとともに、もう少し根元から手を入れた(そしてとても重い)ルールを提案する。元のルールでは、「REFの低いキャラクターから宣言する」「電子戦装備の使用があるなら、その作動を宣言する」のが移動フェイズで、「REFの高いキャラクターから攻撃を行なう」のが攻撃フェイズである。REFの決定についてはクロムビートP5「[1.3]アドバンスト・メカニック戦闘ルール」に従うが、これはあくまで「射撃REF」の規程であって、本来は移動宣言などに適用されないことに注意。筆者としては移動でもメカREF+搭乗者REFを基本にしたいので、ヒューマノイドのREFを2倍換算して帳尻を合わせておきたい(以下この前提で話を進める)。なお、後の項で触れる近接攻撃ルールを採用しない場合、該当部分を読み飛ばし射撃と同様に扱えばよい。

同REF行動の処理もゲームバランスに大きな影響を与えるが、PCの行動を優先的に処理してNPCは結果を知らないつもりで操作し、PC同士のREFが被ったらPCに都合のよさそうな順で解決してしまうのがラクだと思う(まあなんというか、PCの特権ということで)。筆者の職業ボーナスルール(バウンサーは生身行動、ブロックバスターはシェル操縦、ランドブラスターはシェル以外のメカ操縦で0.2点、ハスラーは常に0.1点のREFボーナス:NPCにはボーナスがつかないものと考えてよいが、終盤にバランスが崩れそうなら変更してもよい、というかREFがいくつのNPCを出そうがGMの裁量の範囲なのでテキトーに)を適用していれば、PC同士で職業被りがない限りそうそう同REF行動にはならないと思う。NPC同士の同REF行動はGMがコントロールすればよいがラウンドごとにバラつかせるのもナンなので、量産キャラならキャラ番号の小さい順とか、固定キャラなら小数点以下のREF値を具体的に決めておくとか、ある程度固定的に運用した方が無難だと思う。

筆者は電子戦装備のインタラプト使用を認めたいし、IMPなどの処理もまとめた方がラクだろうし、近接攻撃には射撃に対するインタラプト(阻止行動)としての機能も持たせたいと考えている。これらを考え合わせて、前ラウンドに大破したメカからの脱出>運転の受け渡し(筆者のサイバーリンクルールを採用している場合)やガンナー交代(サイバーリンクしていない場合移動フェイズで行える)やジャック=イン/アウトの宣言>移動の宣言>射撃の宣言>移動の実行>近接攻撃の宣言と実行>射撃宣言の変更>電子戦装備使用・IMP発射の宣言と実行>移動の確定と前ラウンドに大破したメカの爆発炎上>射撃の実行というシーケンスを提案したい(かなり重くなるけど)。以下断りがなければREFが遅い順に宣言する。また「重大な被害」とあるのは、大破、ドライブorエンジン破壊、操縦者(または対象がヒューマノイドだった場合)にMO以上の負傷か気絶以上の心理効果、その他転倒や障害物への衝突など、戦闘ラウンドの行動を大きく妨げる被害のこと(最終的にはGM裁量)。メカの移動モード変更は移動の宣言時に一緒に行うものとして、(可変型シェルの変形のように処理を別途定めているものを除き)即座に変更後のモードで行動できる。

細かい部分は飛ばして移動の宣言から。各キャラは自分の都合だけで移動先を決めていく(ほかのキャラの移動と衝突する移動を宣言してもよい)。このとき「特定のキャラへの接近」や「特定のキャラの進路を塞ぐ」といった動きを宣言してもよく、相手よりREFが低くても(届くかどうかは別として)移動への追従はできる。移動宣言が出揃った結果、衝突する(移動経路がぶつかるorゼロ距離(だとGMが認める位置)になる)移動があった場合、当事者は接触地点で「近接可能状態」になる。そのうえで、近接可能状態にあるか否かに関わらず、全キャラが「当初の意図通り移動できた前提で」射撃を宣言する。射撃宣言が出揃ったら、近接可能状態にあるキャラは近接攻撃を宣言でき、自分の宣言順で近接攻撃を宣言しなかったキャラも近接攻撃の対象となったときに改めて宣言することができる(あえて近接攻撃せず、かつ重大な被害を受けなければ、先に宣言した射撃を実行できる)。近接攻撃を行うキャラは体当たりか白兵戦かを宣言する。近接攻撃を解決し、その結果当初の標的キャラが重大な被害を得ていたり予定と異なる位置関係になっていたら(あるいは取り決めによって無制限に)、射撃フェイズで最後に回って射撃内容を変更できる(変更者が複数いる場合は変更者同士でREF順:複数回の変更は認めないのが無難)。行動可能なキャラは電子戦装備(迎撃IMP含む)の使用を宣言・実行する。REFが高い順に射撃・投擲などを実行する、といったところ。

なお加減速や移動距離については、大幅にデフォルメして考える。たとえばMV300でACLとBRKも300のシェルが静止状態から全力前進(後退でもいいけど)するとき、移動フェイズ終了後の速度は300で移動距離も300、次のラウンドで停止するときはあたかもその場で止まったように扱う(つまり2ラウンドで300m移動して止まった扱い)。ただし、地上メカを含め、前進と後退を入れ替えるときは必ずいったん停止するものとする。またACLの値に関わらず、前ラウンドのMV+目標までの距離を到達MVの上限とする(たとえば、MV100で飛んできたシェルが150m先に停止しているバイクに体当たりするとき、MV250が到達時の速度上限になり、バイクの側がACL50で遠ざかるように加速したなら到達速度は-50、最終的な相対MVは200が上限になる:もちろん、機体性能でMV200しか出ないなら200が到達速度上限)。また反対に、減速の上限も(BRKの範囲内で)移動距離に支配され、MV100で前進中に30m先の進路を塞がれた場合、MV70までしか減速できず、白兵戦攻撃をしない(あるいは装備やメカの種類的にできない)なら体当たりせざるを得ない。いづれも、戦闘ラウンド外(または戦闘ラウンド内でもとくに必要なとき)ならREFロールや運転SRなどを結果に反映し、一律の扱いにしなくてよい。

本来なら制圧射撃みたいなもの(とくに遮蔽物から遮蔽物への移動を妨げる行動)もルール化してしかるべきなのだが、そこまでやってしまうと(牽制射撃もしなきゃいけなくなり)銃撃戦のルールがほとんど別物になってしまうし、とんでもなく重くなりそうで手が付けられない。筆者の理解としては、メタルヘッドの移動は「行きたいところに(MVの範囲内で)ポンと行ける行動」なのだと思う(相手が潜んでいる遮蔽物の裏側まで回れるかは別として:まあマンガ的なノリでやるならズカズカ回り込んでレーザーブレードでぶった斬るのもアリだとは思うけど)。


近接攻撃の処理

すでに紹介した白兵戦や体当たり(近接攻撃)は、REFが低い方からの宣言+実行だとREFが高いキャラが一方的に攻撃されることになる。これはこれで面白い現象かもしれないが、普通のキャンペーンで導入するにはちょっと勇気がいりそうなので、もう少し(重いけど)自然さを取り繕ったルールを紹介したい。

近接可能状態と近接攻撃の解決については、まず近接攻撃(白兵戦攻撃と体当たりのどちらでも)によって重大な被害が生じたら即座にそのキャラをいないものとして扱い、無事だったメカは何事もなかったように移動を続ける(いいんだよ、ゲームなんだから撃墜したメカに当たり判定なんてないんだよ、と言い訳しておく:ご都合主義だが、次のラウンドからは残骸を障害物ないし遮蔽物扱いする)。白兵戦攻撃vs体当たりでは白兵戦攻撃を先に処理し、外れたら体当たりが必ず命中するのはすでに触れたとおり。ただしヒューマノイドのみ白兵戦攻撃が外れても格闘回避で体当たりを回避するチャンスがあり、成功した場合は当初の予定通り移動を続け、もし回避された側がヒューマノイドへの接近を宣言していた場合、体当たりMVのまま素通りする(障害物があれば衝突するが、BRK値までの減速は許す:ドラッグシュートを積んでいればインタラプトで使える)。体当たり攻撃が外れた場合または一方的な白兵戦攻撃が重大な被害に至らなかった場合、当初の予定通りの移動となり、体当たりを外したキャラの扱いは格闘回避で避けられたときに準じる(筆者のルールでは体当たりに対する機動回避を認めていないが、認めたとしても当たった扱いにするのが自然)。

体当たり攻撃が当たった場合または双方白兵戦攻撃を選択した場合で、かつどちらも重大な被害を得ないときは、接触地点から併走するか、正面からぶつかったのであれば接触地点で双方MV0(停止扱いではなくDCなども失わない:もみあっている状況)になり、近接可能状態が維持される。たとえMV50同士で正面から突撃したとしてもその場でのチャンバラになるが、少なくとも一方がタイプAのシェルだった場合のみ双方移動を続けることにしよう(空中でぶつかっても、大破しない程度のダメージだったなら墜落はしないと解釈する:だってアナタ、戦車砲が直撃したってザックが無事でHPも残れば落ちないでしょ、ね)。体当たり攻撃が当たると近接可能状態は解除されず、どちらのキャラも、射撃宣言の変更、タイプMのキャラ(高機動ブースターザックのシェルも入れていいかな)が重量ナンバー差2以内のキャラに受動的に体当たりされた場合に限りMV値(ヒューマノイドは突撃時MV)までの後退(近接可能状態を離脱する)、または同じ相手に2回白兵戦攻撃する形でなければ白兵戦攻撃を行うことができる(体当たりを当ててから白兵戦攻撃するのは可)。

近接可能状態のまま射撃フェイズに入った場合、もみ合っている相手が(たいていの場合は味方に)射撃されると、普通の射撃で4/10、RR1/2で3/10、SR1/4で2/10(これが上限でSR1/8にはできない)の確率で、流れ弾が当たる(スキルへの修正であって最終命中率ではない)。命中数と火力を普通に算出し、装甲チェックの前に個々の命中について1D10でチェック、重量ナンバーに2以上の差があったら出目をプラマイ1、という処理(バースト射撃で被害確認可能なルールにしている場合、どちらに当たったかわかってから有効射撃を選べる)。もし3キャラ以上で互いに近接可能状態になっているときは、まず流れ弾かどうかを判定し、それから(等確率で)被害を振り分ける。爆発物も同様にチェックするが流れ弾が直撃しなくても周辺火力はもらうはず。オート射撃は、対象が2キャラなら合計4発まで、3キャラなら5発まで・・・と判定打ち切り命中数を引き上げる(サイバーリンクして最低1発命中ボーナスを使うときも含め、1キャラには最大3発しか命中しない)。近接可能状態からの射撃自体にはペナルティを設けず、近接可能状態からの離脱も(次のラウンドに)移動するだけで可能(先制打撃を必ずもらうということで、すでにリスクはあるという判断:組み付きとか振り切りとかメカへの肉薄攻撃なんかも導入できるが、とても重くなるのでオススメはしない)。

通路が狭いことなどの影響はあくまで体当たりや機動回避や格闘回避のロールに難易度修正として反映し、衝突するかどうかは体当たりが成功するかどうかだけで判断する(両方に回避の意図があるときのみ運転SRを課して、どちらかがファンブルでもしたらぶつかってももいいかな、といった感じ:単純な失敗は自損事故でいいでしょ、メンドクサイし)。明らかに行き違いできない狭さでかつ相手を通り越して移動しようとする場合は「近接攻撃の意思あり」と判断される(体当たりではなく白兵戦攻撃を選択することは可能:REFが高い側が先に意思表明することになる)。白兵戦攻撃を仕掛けても、相手が応じない限り移動は阻止できないことに注意(当たっても重大な被害が出なければすり抜ける:このルールでは「ブロックする」のと「体当たりする」のを同義に扱っている)。白兵戦攻撃を実施すると射撃はキャンセルされる(体当たりと格闘回避は何度やっても射撃OK)が、複数のキャラに進路を塞がれてかつ移動を止められなかった場合、近接攻撃を複数回行うのは自由とする(最初から特定キャラへの近接攻撃を意図していた場合、割り込んできた他のキャラを薙ぎ倒してから当初の標的キャラに近接攻撃を加えるパターンもあり得る)。重量ナンバー差5以上(戦車のみ装軌ボーナスで4以上:ようするにGメカor戦車vsヒューマノイド)のとき、大きいメカは体当たりで行動を消費しない(普通に走っているだけで踏み潰せて、対象が密集していればまとめて蹂躙攻撃できる)ことにしてもよい。

武器の携帯方法(右手にサブマシンガンで左手にレーザーブレードなのか、腰にぶら下げて抜き打ちするのか)まではこだわらなくて(=PCが自分の好みで描写するで)いいと思う(ルール上はENC制限内で持てていればそれでOKにしたい:シェルがメンドクサイが、いっそ腕のハードポイントに仕込んで手持ちと同様に扱えることにしてもいい)。シェルが移動モードを変更するのは「移動の実行」の段階で、近接攻撃をする時点ではタイプ変更済みとしておく。またホバーブースターを装備していても、最初のラウンドの移動フェイズには効力を発揮しないことになる(ブースターだけ先に処理する案もあるのだが、もともと便利すぎる装備なので、このくらいでちょうどいいと思う:シェルだって最初の移動フェイズは脚REF行動になるはずだし)。ヒューマノイドのMV(通常で3、突撃で5)は低いが、室内ならそこそこ追いすがれそうでもある(REFボーナス/10の切り捨てメートルくらいのボーナスはあげてもよさそうに思う)。


メカの燃費とか大きさとか


メカサイズと出力のオーダーの確認

筆者としては、ホバータンクや装甲車は15~30トンくらいのイメージ(実在の装甲車だと、M113の重めのバリエーションや96式が15トンくらい、ストライカーがバリエーションにより15~20トンくらい、ボクサーが25トンくらい:ちなみに陸自の軽装甲機動車が5トンくらい)。戦車は30~60トンくらいだろう(61式が35トンで、10式が45トン、フル装備のM1エイブラムスやメルカバが60トンちょい:あんまり重いと戦車運搬車に載らないからねぇ)。ノーマルカーゴくんの貨物TP5000は10トン積み相当くらい(ENC1=1kgが目安だが、コンパクトで重い荷物を満載したときちょうど10トンくらい、という意味)、カーゴ満載のトレーラー全体で40トン前後(サイズ5エンジンで頑張れる限界がこのくらい:内訳など詳しくはトレーラーの項に譲る)。バトルトレーラーは満載100トンクラス。ヘリはぜんぜんわかんないのであてずっぽうだが、バンパイア・バットがOH-6(カイユース)相当でサイズ4エンジンくらいの出力、スカラベはOH-58(カイオワ)とかEC145とかのクラス相当でサイズ5エンジンくらいの出力、なんだろうか。なおサイズの参考として、日本における自動車の幅は、軽自動車が1.48mまで、小型自動車(5ナンバー)が1.7mまで、最高限度(公道を普通に走れる限界)で幅2.5mの高さ3.8mまで。ハンヴィーの後期型が幅2.3m高2.0m長4.9mくらいの6トン前後(使われるうちに肥大化しただけで、当初の要求スペックは3.4トンだったそうな)、ボクサークラスの大型装甲車が幅3m高2.4m長8mくらいの30トン前後(筆者想定のシェルならちょうど後ろに隠れられるかな)、M1エイブラムスやメルカバあたりが幅3.5mちょい高2.5m前後長10m弱の60~70トンくらい(発見されにくくするために、戦闘用の車両は全高を低くしてあるものが多い)。

コンバットシェルの大きさ(平均全長3mとしか説明がない)のイメージは人それぞれだろうが、筆者は、身長2mの人まで普通に着られて、中の人の足元がシェルのひざの位置で高さ60cm、頭の上は装甲とクッションだけで20cmとすると、合計で280cmが最小サイズ(十九式とかアルバトロスとか)かなと想像している(イラストでは「ヒューマノイドだったらかなり太め」くらいに見えるが、参考までに、幕内力士の平均で185cm160kgくらいらしいから、単純に掛け算でスケールアップすると550kgくらい)。空も飛ぶわけだから極端に重くはないだろうが、水に浮くほど小さい密度でもないだろうし、大型の機種(3mちょいかな)でザックとか兵装とか込みで1000kgいかないくらいじゃなかろうか。上から見て長軸0.7mの短軸0.45mの楕円だとすると投影面積が1m^2弱になり、バストだかウエストだかわからないが周まわりが365cmになる(長軸0.6mの短軸0.4mだと0.75m^2の270cmくらい:小型の機種ならザック込みでこのくらいかねぇ)。悩んでも結論は出ないので、高さ280cm横幅120cm厚さ80cm装備重量700kgを最小サイズとして、パラダインIIなどの大型機種は高さ320cm横幅140cm厚さ90cm装備重量1000kg程度、と勝手に決めてしまおう。重コンバットシェルはブロックバスターP17「[3.2]重コンバットシェル」に全長5~7mとあるが、筆者のイメージではガンドックより「微妙に大きくやや非力」くらいなので多少小さめに見て、高さ4.5mの重さ8トンくらいを想定することにしたい(イメージ上はエンジンサイズ2相当だが、ルール上はサイズを設定しない)。

筆者の勘と当て推量だと、エンジンサイズに対する車両の最適/限界重量と最大出力(KW)は、サイズ1で1/2トンの100、サイズ2で4/6トンの150、サイズ3で6/10トンの200、サイズ4で10/20トンの300、サイズ5で20/40トンの600、サイズ6で60/120トンの1800くらい(もちろんドライブ効率や想定稼働時間などにもよるし、あくまでオフロード装輪運用前提の目安:軸出力か車輪出力かも想定してないふわっとした値)。戦闘バギーのサイズ感が実機のIFAV武装型(アメリカ)やVBL(フランス)やストーム装甲型(イスラエル)くらいのクラスだとしたら3トンちょいの100KW前後(ハンヴィーの装甲型とかサンドキャットくらいまで行くとデカすぎる気がするけど、エンジンサイズ2-3ならそのくらいデカいのかなぁ)、野戦ワゴンがL-ATV(アメリカ)やZeev(イスラエル)やティーグル(ロシア)やイーグル(スイス)くらいのクラスだとすると6.5~8トンの200~250KWくらい(これも、グーガーやRF-33ではデカすぎるし、グレイハウンドだとゴツすぎるように思う:上で触れたように、15トンクラスは装甲車カテゴリに入れたい)。これらのクラスはサイズ・防御力・搭載力のトレードオフがポイントで、イメージしにくいのがポケットタンクで、小さめのバギーサイズだとしたら、CVR(T)(FV101スコーピオンとかストーマーとか)のイメージではちょっとデカい。ヴィーゼル1とかvz.33~AH-IVとか、ポーランドのTKみたいなノリなのかも(軽バギーのエンジンに重バギーの重量だから走行性能がちょっと劣る、と解釈しちゃえばいいかな:4トンの100KWとか、そのくらい)。次の項で検討するように、コンバットシェルのパワープラント(サイズ0)が最大出力70KWくらい、フルボーグの常時出力が1KW(最大出力5KW)くらいかなという見当。脚移動メカのサイズや重量については後の項に譲る。

余談ながら、ヒューマノイドや脚移動メカの身軽さをイメージするために、ちょっと垂直跳びをさせてみよう。重さをw、重力加速度をg、ストローク(ジャンプする前に身体や機体を低くする分)をsとして、sと同じだけ跳び上がるには、2wgの力をsの長さにわたり√(2s/g)秒間加えればいいから、仕事率が(2gw)*(s)/√(2s/g) = 2^(1/2)*g^(3/2)*w*s(1/2)になる。身長2m体重150kgのフルボーグが1mのストロークで1mの垂直跳びをするとき3.3KWの仕事率で、これをバネとパワープラントの出力で分け合うのだが、バネをまったく使わず力だけで跳んだとすればパワープラントの負担は丸々3.3KWになる。同様に1000kgのシェルが1mの垂直跳びをするとき22KW、8000キロのインセクターなら179KWの仕事率である(生身の場合バネと筋肉の働きを分けられないが、世界記録が120~130cmくらいのオーダーらしいので、仕事率だけ見ると1.5~2KWくらいなのかなといったところ)。サイボーグの出力を5KW程度、シェルは70KW、インセクターは300KWくらいを想定しているので、サイボーグとインセクターは1mでも少し余裕があり、シェルは軽い機種を完全非武装にして中の人も軽めにすれば3m(600kgなら72KW)に迫れそうな勢い(もちろん、最大出力をジャンプに必要な部分だけに集中できはしないだろうから、あくまで雑な単純計算として)。


フルボーグの燃費と発電力とケミカルリンゲル液

人工筋肉はケミカルリンゲル液で収縮することになっているが、センサーなどは多分電動だと思われ、サイボーグが発電装置を持っていないとは考えにくい。

まずフルボーグの活動エネルギーだが、生身の人間だと2000kcal/日くらい、普通の男性アスリートで5000kcal/日くらい、特殊な分野のトップアスリート(自転車や水泳の長距離種目、場所中の力士など)で最大1万kcal/日くらいらしいので、ドンブリ勘定で倍として100メガジュールくらいに見ておき、最大1割まで発電に回せると考えて10メガジュール/日、仕事率にすると115Wくらいか。使い道(よほどの省エネ炊飯器でないとご飯は炊けない)はともかく、内部の消費電力を抑えれば100Wくらいは外部供給できていいんでないのという数字になった。

なお脳でのエネルギー消費はたいしたものではなく、Google Answersの回答によると、

Energy consumption by the brain is 230-247 calories, based on 17 calories/gram and human brain sizes of 1,350-1,450 grams. During periods of peak performance, adults increase that energy consumption by up to 50%, according to psychology lecturer Mark Moss, of the University of Northumbria.
ということらしい。せいぜい多く見積もっても400kcal/日(約19.37W)くらいだろう。またこの消費エネルギーのうち、直接的に「考えるという仕事」に費やされる割合はわずからしく、50%の消費増というのは「活性な状態を維持する」ために使われるようだ。

自転車競技のトップアスリートなどは数十秒オーダーの時間なら1KWくらい、5分くらいの時間で500W、1時間でも300Wくらいの運動を維持するらしいが、上記の計算どおりフルボーグが1KWの出力を1日中維持できるなら、生身との対比としてもそんなものではないかと思う(最大瞬間出力は、骨格の丈夫さなども関与するのでフルボーグの方がずっと高いはず:ちなみに2015年現行のスーパーカブ50の最高出力が2.7KW)。コンバットシェルが2時間でリンゲル液1本分の燃料を効率50%で使うとすると70KWくらいの出力、2015年現在のナナハンのバイクの全開出力とそう変わらない数字(まあエンジンサイズゼロなのでそんなもんだろう)。後で触れるようにコンバットシェルの質量を中の人込み600kgと見積もると、人間のトップアスリートと比較したパワーウェイトレシオが7倍以上にはなるので、コンバットシェルはザックなしでも人間よりはるかに素早く動けるらしい(サイバー化でREFが上がってないと全開では動けなさそうな気もするが、そこまで細かくやらんでもいいと思う)。

ついでにリンゲル液1本分のエネルギーも計算してみると、全部使い切ったとして多分1ギガジュールくらいのオーダーで、ガソリンor軽油30L、エタノールで50L、純粋な液体水素だとしても7kgの100Lくらいにはなる計算のエネルギー。これを20Lのジェリカン(ブロックバスターP6「[1.2.1]動力」参照:一般には容量20Lくらいの(一斗缶などに比べて)やや平べったい携行容器を指し、燃料に限らず水の運搬などにも使う)に詰め込んでいるのだからけっこう高密度である。ヒューマノイドサイズのボディに20Lのリンゲル液を収納するのはちょっと現実的でない(人間の血液だと体重65kgで5Lくらい)のだが・・・サイボーグは内臓がコンパクト(肝臓とか腎臓とかいらないし胃袋小さいはずだし)で、筋肉組織の水分も全部リンゲル液に入れ替わると勝手に考えて、なんとか収納できていることにしておく。反対にコンバットシェルは、中に人間を乗せてザックも積まなければならない都合上、大きさの割に少ない燃料しか積めないはずである(ということで、サイボーグもシェルも燃料はジェリカン1本分だと納得しよう、うん:制式フルボーグの場合、機種によって容量やら消費効率やらが違って交換頻度も違う)。

ヒューマノイドはコンバットシェルと違い、常時全開出力(「待機」を可能とするルールもあとで紹介する:起動したら燃料切れまでノンストップというのも、それはそれで味があるのかもしれないけど)ではないし、エネルギーを全部使い切らないうちにリンゲル液を交換する。交換タイミングはフィルタの都合で決まるとしておいた方が面倒が少ないと思う。排気なり廃液なりもそれなりに出るはずで、二酸化炭素を排出するというのもなんかヤボったいので水だけだとすると、水素の燃焼熱がH2(気) +1/2 O2(気) -> H2O(液) + 286kJ、水1molが18gだとして、ジェリカン1本(1GJ)を使い切ると60Lちょっとの排水が生じる(サイボーグなら6L/日、稼働中のコンバットシェルは1L/2分の排水が生じる:リンゲル液は揮発性で可燃性らしいので、水素を取り出すところではエネルギーがプラスになるのだろう)。このとき、排水の水分子に含まれる酸素は大気から得ると考えないと、質量保存の法則がまずいことになる(さすがに、リンゲル液20Lで60kg越えは苦しい:筆者のイメージでは、水よりはちょっと重いくらいかなと思う)。なお、リンゲル液の廃液は上記の排水とは別に出る。

リンゲル液1本で250KWh(最大出力10KW)くらいの発電機も売ってみようかしら(フランスの主力戦車ルクレルクなんかはかなり本格的なのを積んでるらしく、ハイブリッドエンジンのガスタービン部を補助動力装置として使って9KW供給ですって)。


燃費ルールを統一したい

燃料の扱いが面倒なので、水素化合金をやめて全部ケミカルリンゲル液の燃料電池にしちゃいたい。戦車のエンジンが1000KW出力だとして、効率20%(無限軌道だしもっと悪いのかな)ならジェリカン20本あれば最大出力でも1時間動く(オフロードの巡航実燃費がディーゼル換算5L/kmだとして、ジェリカン1本で6kmくらい走れる)くらいの計算だろうか。もっといえば、タービン(クロムビートP14「燃料の消費」のコラムに「サイズ5以上のエンジンはガスタービン方式で、能力は落ちるもののアルコールなどでも作動します」とある)使うにしても、別に軸出力で走らせる必要はないわけで、シリーズハイブリッド(発電機+駆動モーター)的な構成も想定することは可能だと思う。航空機の燃費(高精製灯油であるケロシン系と、灯油3:ガソリン7のワイドカット系がジェットエンジン(ガスタービンエンジン)用、多くのレシプロエンジンには航空ガソリンを使う)はあまり想定したくないが、一応実機データだけ孫引きしておくと、ジャンボジェット機で0.2~20L/km(ケロシン)くらい、ヘリコプターは大きさ(単座の超小型機~大型輸送ヘリまであるが、レシプロエンジンはR22のような小型機に限られ、たいていはターボシャフト式のジェットエンジン)によりさまざまで、おおむね0.2~2L/kmくらいらしい。

燃料と費用のバランスも考えてみたい。まず元のルールを確認しておくと、燃料用のペレットパックがENC10の$100で500km走れて、ガソリンはリッター5km~20kmで1リットル$50(クロムビートP14「燃料の消費」のコラム)。リンゲル液はENC10の$50(プレイヤーズマニュアルP35「[5.7]メカアクセサリー」の続き)。シェルのブースター燃料は$30のENC10(ブロックバスターP13「ブースター燃料について」のコラム)。リンゲル液のジェリカンはだいたい20リットル(ブロックバスターP6「[1.2.1]動力」)。燃料の費用やENCが大幅に変わらないようなバランスを考えてみたところ、ブースター燃料もリンゲル液も$30のENC10で中身は20L、ということでいいんじゃないかという結論に達した(サイボーグやシェルのメンテが副作用で$20安くなっちゃうけど、いいでしょ、そのくらい)。この項では以下、上記のデータで元の設定を書き換える前提で話を進める。戦車やホバータンクがけっこう割を食うことになるが、燃費無視が過剰優遇の一因になっているメカなので、むしろバランスは取れそうにも思う(バイクと戦車で同じ燃費ってのは、さすがにいくらなんでも)。ガンドックとインセンターも窮屈になるので、射撃関連ルールなどで優遇してあげたい。なお、ガソリンのジェリカンのみサイズが違い、ENC15の$50(ジェリカン1本あたりの航続距離はリンゲル液と同じ:上で触れたように内容量は30L)として、サイズに関わらずガソリンエンジンはガソリンでしか動かないものとする。誉2153PとキングトロールNFの扱いをどうしたいかで価格調整の余地はあると思うが、スパルタンの500km燃費で$5,000になるから、このくらいで元ルールと桁はずれないくらいなんでねーのという気がする(そもそも戦車を3000kmとか5000kmとかいった距離で自走運用するのがアレなのだが、いまさら言ってもねぇ:一応、後の項で戦車運搬車も設定するので、そちらと併用する前提)。

設定としてリンゲル液直接の内燃機関にするか抽出した水素を燃やすかは(ゲーム上「~ということになってる」以上の影響はないわけだし)さておき、ジェリカン燃料ルールを使う際の燃費例をまとめておく。機種、満載かつオフロードかつ巡航速度でジェリカン1本あたりの走行距離(オンロードだと、装輪でないメカや機動メカは2倍、ポケットタンクと装甲車とバトルトレーラーで2.5倍、それ以外の脚なし装輪メカは3倍走れる)、最大出力1時間維持に必要なジェリカンの本数、ジェリカン換算した標準タンク容量、オンロードでの代表的航続距離、オンロードでの代表的1000km燃料費の順。
バイク類、200km、1本、1本、600km、$50。ホバイク、80km、2本、2本、150km、$188。戦闘ホバー、40km、3本、5本、400km、$375。バギー類とシェルキャリア、100km、1.5本、3本、900km、$100。ポケットタンク、70km、1.5本、2本、350km、$171。ワゴン類、100km、2本、4~5本、1500km、$100。装甲車、30~40km、5本、30~50本、3000~5000km、$342。インセクターとガンドック、30km、3本、3本前後、150~200km、$500。トレーラー、15~20km、5~10本、カーゴ部分から連続供給、最大数万km(トラクターの燃料だけで1500kmくらい)、$550。トラクター単独とモビルマスター、25km、3~4本、10本前後、750km、$400。バトルトレーラー、10km、10本、30本、7500km、$1200。ホバータンクとフェアリー、10km、15本、30~40本、600~700km(フェアリーは800km)、$1500。スパルタン、5km、30本、70本、700km、$3000。KKKロワイヤル、3km、50本、100本、600km、$10000。
上記標準タンク容量を超える燃料はジェリカンのまま貨物として搭載して手作業で補給するか、補助タンク(費用0ENC任意HP0の貨物扱いで、標準タンクと同容量までは被弾対象にしないが、標準タンク容量を超えると「貨物TPを消費する兵装」扱いになる)を使う。装輪メカの利点である燃費が少し反映されるだろうか。1日の移動距離は500kmが目安(基本的に夜間走行はしない前提:装甲車やホバータンクなどを交代で運転すれば1000kmくらいは走れるだろうが、筆者の運転ルールだと(多分常識的にも)、ミュータントやバンディットがウヨウヨいる荒野をベタ踏み全開で走り続けるのはかなり危険である)なので、航続300kmクラスのメカは昼飯時に給油も済ませるような感じか(燃料タンクを空にはしないのが荒野の作法)。現実的な運用としては、チーム内で燃料補給タイミングを合わせるような感じで補助タンクを積んでおくのが無難だろうか。

参考までに、ノーマルカーゴくん(TP500/5000)に燃料だけ満載するとジェリカン500本で、オンロードだけ単独省エネ走行すると3~4万km走れる(3大メガ=シティを3周くらい回れる)。同様にグランパはジェリカン50本積めて1万5000kmちょっと、シュプルフントも50本積めて1万km近く(標準タンクが大きいためけっこう頑張れる)、ブッシュランナーは10本で4000kmくらい(燃料満載の牽引車を引っ張れば5000kmは余裕)、ディンゴは5本積めて3600kmくらい(トライクだしもうちょい燃費悪い設定でもいいかなー)走れる計算。ホバー類や戦車が単独無補給で長距離移動するのは現実的でなく、タンク容量分走ったら補給するのが妥当だろう(それでも、ホバイクとインセクターとガンドック以外はオンロードなら300~600kmくらいは走れる:高密度なジェリカン燃料のおかげ)。本来なら、無限軌道メカが数百km走ったら覆帯のメンテなども必要になるはずだが、そこまでやるのはメンドクサイので燃料補給と同時にある程度のメンテもする(イチイチ処理しない)ことにしておこう。無限軌道メカのドライブ寿命(交換目安)はオフロードで3000km(ただし300kmごとに覆帯調整が必要)、脚付き装輪メカは5000km、それ以外の装輪メカとホバー類は1万km、ホバー以外はオンロード限定使用なら燃費と同様に寿命が延びる(が、計算がメンドクサイので上記の数字をそのまま当てはめた方がラク)。

コンバットシェルの連続稼働時間は一律で2時間(すでに触れたように可変型は1時間)、アクトポッドの連続稼働時間は一律で30分としておく。リンゲル液を交換する際にはフィルタなどもメンテが必要で少なくとも数分(カーゴくんDXや卵王のメンテナンスベッドで10分くらい)+起動に1分程度かかるが、リンゲル液だけ(シェルはジェリカン2本分、ポッドは1本分)入れ替えることで、シェルは1時間、ポッドは15分の延長稼動ができる(フィルタの劣化などトラブルの可能性についてはGM裁量で)。リンゲル液だけの入れ替えは、メンテナンスベッドでやれば数十秒、それ以外(精密メカニクスSR1が必要)だと数分のオーダー。待機状態(スクランブル可能な状態)の扱いは待ち伏せや迎撃に大きな影響を与える困った問題なのだが、通常稼動時の10分の1程度にしておこうか。元のルールはおそらく、待機は無制限にできていったん稼動したら燃料切れまで、という意図なのだと思うがかったるいので、停止(燃料消費なし)、待機(燃料消費10分の1、スクランブル可能)、活動(もとのルール通り「加減」はできない)の3段階としてしまおう。アイドリング状態でも3.5KWくらいのエネルギー消費がある計算なので、待ち伏せ関連を真面目にやるときはIR迷彩とかリモートラジエターとかいろいろ用意した方がいいかもしれない(動いてないんだから当然熱に変わるはず:もしかするとフィルターが疲れてくるだけで、リンゲル液のエネルギーはそんなに消費しないのかもしれないけど)。宿直でないブロックバスターが朝起きたらまずシェルを起動して、寝る前にリンゲル液を交換するようなサイクルを想定している(夕方稼動させると1時間くらいしか動けないが、そんだけ動ければ十分だと思う:もちろん、作戦行動があるときは開始時刻に合わせてリンゲル液を交換)。ダッシュローラーザックと簡易ホバーザックの充電ルール(丸1日)はあまりに不自然なので廃止、リンゲル液交換のついででザックの充電やジェット燃料補給も完了することにする。サイボーグのリンゲル液交換もシェルに準じ、オートプロテクターの稼働時間は20時間くらい(多分燃料切れ前に着ている人間がグッタリすると思う)としておく。


インドア運用とメカのサイズ

戦闘用のサイボーグが普及したメタルヘッドの世界では、CQB(Close Quarters Battle)やCQC(Close Quarters Combat)の概念もかなり風変わりだろうと想像できる。背景設定の捏造はさておいて、ロボコップとかターミネーターみたいなのが普通に出てくる世界(例えが古いけど、このゲームのノリ的にはそんな感じでしょ、多分)でのインドアファイトを考えてみたい。おそらくではあるが、戦術カテゴリがサイボーグとノンサイボーグに2極化するのではないかと思う。ぶっちゃけ、サイボーグの身体能力がべらぼうすぎる(というか、REFの重要度が高すぎて、生身の能力値上限18を突破するためのSUV:S化なしではやっていけない)ので、ほぼあらゆる場面でサイバー化が必須になり、戦闘区域に生身の人間がいることの方が奇異である(なにしろ激安お手軽だからねぇ、サイバー手術:生身の腕とか脚とかすぐなくなるし)。

ともあれひとまずは、使えるメカや銃器のサイズを制限する(あるいは大きいものにペナルティを課す)「狭さルール」を適用しないと、話が始まらなさそうである(さらにソニックガンなんかのルールを固定して、進入可能不可能や行動ペナルティなんかを明確化してからでないと、戦術セオリーの構築もしようがないわけだが、なにしろルールがまったく設定されていない)。ざっくりとした案として、ヒューマノイドが1、モノバイクとアクトポッドが2、シェルが3、ガンドックと重シェルが4、インセクターが5くらいのランク付けをして、広さのランクも1~10くらいにランク分けして、サイズと広さが同じだと辛うじて移動はできる(REF0扱いで静止しないとスキルに1/8ペナルティ)、1つ余裕があれば1/2判定で行動可能、2つ余裕があればノーペナルティくらいの設定が無難だろうか。たとえばゴチャっとした雑居ビルの中なんかはサイズ2で、ヒューマノイドでも動きにくいし、モノバイクやアクトポッドは機動力を失う、少しスッキリした建物の中はサイズ4で、ヒューマノイドは普通に動けるがモノバイクやアクトポッドは動きにくくシェルは辛うじて通過できるだけ、とかそんな感じで。上記のうち車輪移動であるモノバイクは障害物が多いとサイズにペナルティを1点、天井が高ければシェルにボーナスを1点、とか増減をしてもよさそう。ごく狭いところ(通気ダクトの中とか)ならサイズレベル1を想定して、ヒューマノイドでも匍匐前進くらいしかできないことにしてもよさそう。

しかしなんだか、重量・サイズに関連したレベル設定が重複しすぎてかなりアレな感じになる。ゼロから再構築した方がラクそうではあるんだけど、収納サイズと活動に適した広さが食い違うこともあり得るからなぁ。一応、重量ナンバーの丸ごと再構築案も掲載しておこうか。

種別行動通過収納代表的装備重量備考
ヒューマノイド20.52100未満フル装備のサイボーグはもう少し重い
アクトポッド(脚)41.58300+乗員高さは低くても大丈夫
モノバイク415150+乗員 
コンバットシェル(脚)41.510800+乗員通過はカニ歩きすれば1m*
通常バイク516150+乗員側車付きはトライク扱いでいいと思う
コンバットシェル(高機動ブースター)61.510  
アクトポッド(ホバー)81.58  
オサフネとホバイク81.510300+乗員オサフネは幅がやや狭くホバイクは高さが低い
コンバットシェル(ローラー)81.510 コンクリート床でもターンピックは使える
ガンドックと重シェルとマルクス103154000~8000サイズ的にはガンドック<マルクス<重シェル
コンバットシェル(ホバー)101.510 
トライクとシェルキャリア12212500(空荷) 
バギーとホバー152.5203000~6000 
ポケットタンク122.5224000前後 
インセクター153258000~12000収納時は高さが低くなる
野戦ワゴン20以上2以上30前後5000~10000車両形状による
ワンマンヘリ10030直径8m1200(最大離陸)バンパイア・バットクラス
小型ヘリ15045直径12m3000(最大離陸)スカラベクラス
*ブースターザック、ブースターウィング、スタビライザーブレードのどれかを装備しているシェルとマルクス以外の可変型シェルはカニ歩きしても通過1.5m。行動サイズは、通路状の空間を想定して「単独で普通に動き回るには最低このくらいの幅は必要なんじゃない」という長さ(メートル)を勘で設定した。機動回避はギリギリ修正を受けないが、失敗したら壁にぶつかると思う。これより狭いところで行動する場合は動きを伴うSRに1/2の修正を受け機動回避は一律で不可、行動サイズの半分以下の狭さになるとREFとMVにも1/2修正を受ける(伏せ撃ちなど動かずに行う行動には影響しない)。通過サイズは同様に「まあこのくらいあれば通過はできそうだよね」という幅。このくらい狭いと静止していてもスキルの行使には修正を受けることがある(伏せ撃ちや棒立ち撃ちでも1/2修正、REFやMVは1/8くらいか)。代表的装備重量(単位キログラム)はまあ目安として。収納サイズを10分の1にして整数に四捨五入すると従来の重量ナンバーになる(たとえば、普通のバイクを1台停められるスペースがあれば、人間がすし詰め状態でギリギリ3人座れるだろう、くらいの目安:収納サイズを20~40倍するとおよそのENCになる)。個別の事情や状況に合わせた増減はGMが適宜行う。

原則として、一般住宅サイズのドアを壊さずに通過できるメカはモノバイクとサラマンダーだけ。バイクとアクトポッドはサイズが許せば階段を移動できるが、それ以外の脚移動メカにとっては単なる坂道と変わらず、重いメカを華奢な床や階段に乗せると崩れる(GM裁量)。状況による変化(廃工場みたいな場所で障害物が多ければバイクよりインセクターが動きやすかったり、廃スタジアムの入り口が広くて低ければホバイクは通過可能でシェルはムリだったりとか)ももちろんあるだろう。参考までに、日本の公共施設の廊下には建築基準法施行令119条で幅の下限が決まっているものがある(病院の患者用通路や集合住宅の共用部分で両側に部屋があれば1.6m・片側だけなら1.2m、学校で両側に部屋があれば2.3m・片側だけなら1.8m)が、メタルヘッドでは想定しているのがメリケンサイズなので、多分もう少し広いのだろう(ただまあ、ガンドックサイズのメカは、商業施設とか展示施設とか、そのくらいのレベルで広くないと中で動くのはムリだとは思う)。シェルのサイズに関する考察はコンバットシェルの機動戦術の項に譲るが、高さ3m程度の幅1.4m程度を想定している。

シェルのブースターザックはインドアで使わないはず(いいでしょ、単に「使えません」で)。マルクスとソルシェは、それぞれホバータンクorガンドックとして見ると極端に小さい。ソルシェ(1500kg+乗員くらいのサイズを想定している)のインドアペナルティは・・・この際いいんじゃない、高機動ブースターザック使えない分でハンデにはなってるから。マルクス(ガンドックより大きく重シェルより小さい想定:6000kgくらいかねぇ)のホバータンクモードは、サイズ的にはちょっと大きめの戦闘ホバー程度(こっちもサイズ的には戦闘ホバーと同一視しておきたい)。反対にランスロットのトライクモードはディンゴよりもやや大きい(これもルール上は無視)。

手持ち火器や大型武器の取り回しはENC1~7(シェルの大型マニュピレーターで扱えないサイズ)、ENC8~20(シェルの標準型マニュピレーターで扱えるサイズ)、ENC21以上の3区分(両手に物を持っている場合は合計のENCで扱う)くらいでザックリやってしまおう(こんなところで重くしてもしょうがないし)。ENC1~7なら狭さによる追加ペナルティを受けず、メカが扱う場合ENC8~20もノーペナルティ。ENC8~荷重制限の半分のものをヒューマノイドが扱うときと、ENC21以上のものをメカで扱うときは、通常の狭さペナルティに加えて火器のENC(センサーなどの付属品も込みで判断、基準を超えるものが複数あるならその合計)をREFへのペナルティにする(ただしこのペナルティだけでREFが0になることはなく、移動不能の原因にはならない:ペナルティを受けない下限の広さは変わらない)。ヒューマノイドが荷重制限の1/2を超える物を手持ちするとき、上記のとは別に、1/2のREFペナルティを受ける(もちろん狭さによるペナルティと累積して、1/2修正が1/4修正になったりする)。倍率効果>数値効果の順で処理するが、REF修正は最終REF(メカならメカREF+搭乗者REF、ヒューマノイドならREFの2倍)にかけること、筆者ルールではハスラーの荷重制限がSTRの1.5倍に修正されていることに注意して欲しい。


その他確認しておかないと支障がありそうなもの


遮蔽物の扱い

元のルールがないに等しいので、筆者の提案を示すだけ。かなり重いルールなので導入は慎重に。樹木を含むミュータントでない高等生物がほぼ死滅しており、地面の凹凸と人工建造物以外に遮蔽物がないことに注意。後述する筆者の停止メカルール(命中+60%でDC0)を併用する前提だが、レベル3以上の遮蔽を得た場合とレベル2の遮蔽+CSD相当品を使用した場合は、DCにペナルティを受けず、レベル4遮蔽かつ位置がバレていなければ命中率にもペナルティを得ない(ちょっと不細工なやり方だがしゃーないと思う)。

メカが小さな起伏地形で遮蔽を得る場合、細部命中表でドライブを含む判定になったら遮蔽された扱いにする(これに限らず1箇所(本体は半分扱いで細部命中表の出目偶数のみ)を隠せる程度の遮蔽をレベル1とする)。適した地形(戦術スキルで探させるか、ヘックスマップで射線を確認する)があれば「細部命中表で奇数を振っての本体命中」と兵装命中(見えていない兵装は存在しない扱い)以外を遮蔽できる(本体を半部程度隠せる遮蔽をレベル2とする)。トーチカのようなスッポリ入れるタイプの遮蔽物については、兵装命中以外を遮蔽された扱いとして、兵装が壊れた後になお兵装命中が出たら本体命中に読み替えよう(兵装に限らず単一部位以外が隠れる遮蔽をレベル3とする)。まったく見えていない場合はすべての平射(直線的な射撃)が遮蔽される(レベル4)。

12方位を使用する筆者のヘックスルール(後述)を採用している場合、遮蔽物の切れ目はヘックスの角として、遮蔽レベルを1点落とす。バイク類、戦闘ホバー、CSSなしのコンバットシェル、シェルキャリア、トレーラー類などは、自然物で一方的なレベル2遮蔽を得るのがごく難しいことにしておく(SRで探すなら、普通の地形で1/4、平坦な地形で1/8くらい:あくまでランダムエンカウント時の目安であって、GMが地形をとくに設定している場合はそれに従う)。CSSつきコンバットシェルを含む脚移動メカ(の真の利点はこれだと思うのだが)は全高をある程度変えられるため一方的遮蔽を得やすく、遮蔽物に沿った移動もしやすい(装甲車やホバータンクの側方射撃は、プロップ・ターレット・旋回可能なハウジングで搭載していればペナルティなしとしておく)。レベル4の遮蔽を一時的に得ている場合は被命中率に1/2のボーナスを与える(2ラウンド以上継続して姿を隠したら、まったく見えず音だけを頼りに射撃することになり、完全な暗闇と同じ1/8ペナルティになる)。レベル3までの遮蔽は停止による被命中+60%ペナルティをキャンセルせず、レベル4遮蔽を得ても停止したのが明らかであればプラマイゼロ修正とする。

基本的にメカは動けてナンボなので、戦車が中に入れるトーチカを作るよりはノーマルなトーチカに戦車砲を設置するのが普通の考えだと思う。いちおう、簡易な掩体壕はレベル1、本格的なものはレベル2として普通の遮蔽物と区別しないことにしておく(筆者のルールではレベル1遮蔽で停止ペナルティをキャンセルできないため、掘るならちゃんと掘らないと効果的でない:土塁を作って陣地の中で動き回るようなケースがレベル1だと想定)。兵装を設置したトーチカは個別の兵装を狙い撃てることにしよう(動けない分と小ささで相殺して命中修正なし、D100で対象のENC以下なら兵装命中、射撃をSR1/2(最終命中率に修正)とすることでENCを2倍扱いできる:背後にメカがある場合、メカ狙いと兵装狙いを選択でき、兵装狙いで外した場合メカには被害なしとする)。この時代のトーチカを真面目に考えると、有線での遠隔操作と工兵代わりのアクトポッド(ないし普通のロボット)による運用が当然だろうと思われ、コンバットシェル対策として後方に高射砲(あるいは対空装備が充実した通常メカ)を配置するのが一般的だとしておこうか。当然、トーチカ自体も地形で遮蔽して十字砲火になるよう配置し、数で運用するのが普通。

遮蔽物にはDCとHPとCPを設定する。遮蔽物越しに命中したらまず遮蔽物のDCを火力から引き、ゼロ以下になったら完全に遮断される。DCを通った火力は遮蔽物HPへのダメージとなり、そこからCPを引いたダメージを生じる最小火力が、背後のメカや人の被弾火力になる。たとえば、DC50HP100CP20の壁越しに火力100の攻撃を受けたら、DCで火力が50になりダメージ2が壁に入り背後のメカや人は被害なし、火力300の攻撃を受けたらDCで火力が250になりダメージ40が壁に入り、CP20を引いた20点ダメージを生じる最小火力170が背後の人やメカに命中する。なお、ヘックスマップを使っており複数ヘックスにわたる遮蔽物に共有HPを与えているとき、遮蔽物の端へのダメージを軽減(半分とか)にしてもよさそう。HPがゼロになったら穴が空く。本来なら、隣接する壁が壊れたらHP半分(支えがなくなって脆くなる)とか、連続何枚の壁が壊れたら建物自体が崩壊とか、そういった設定もしておくべきなのだろうが重くなる。やるとしたら、D100で10*壊れた壁の枚数−建物固有の修正値以下を振ったら崩壊とか、そんな感じだろうか。最初から固定で「壁を何枚失ったら崩壊」と決めておいてもよいし、個別の構造物のHPと別に建物全体のHPを設定しておきゼロになったら倒壊(ようするに累積被害で判定)でもよいと思う。崩れたら、中のメカや人にはHPの1/10ダメージで、重機を使って掘り出すまで行動不能くらいが相当か。むき出しでオキシジェンタンク相当品を装備していないヒューマノイドは5分くらい毎にD100を増やしながらサバイバルSRで軽減できるダメージ(3回目のチェックなら3D100−SRの出目*難易度倍率)を頭部ないし胴部にプレゼントしよう。

基本的に、レンガのような脆い遮蔽物はDCが低く壁本体にダメージが入りやすい。HPは構造物としての丈夫さ(壊れる際の途中経過はいいでしょ、メカだってHP1までは元気に走れるんだから:大きな建物なんかは、いったん半壊させた方がいいのかも)。CPが防壁としての性能で、ダメージの通りやすさを示す。サンプルデータ:天然の大岩DC50HP数万CP40+(よほど不安定な地形でなければ、HPが0になっても形が変わるだけでなくなりはしない)、対戦車トーチカDC200HP1000CP37、簡易なトーチカDC150HP500CP30、異常気象対策のコンクリート壁DC100HP100CP20、しっかり積んだ土嚢+塹壕DC30HP400CP15、強力な多層防弾ガラスDC120HP5CP25、ちょっとした地面の凹凸DC50HP200CP12、普通の防弾ガラスDC80HP3CP10、建物(廃墟含む)の外壁DC30HP40CP8、建物の内壁DC0HP20CP4、簡易な防弾ガラスDC50HP1CP6、ひっくり返したテーブルDC0HP5CP2。エネルギー供給が豊富な(あるいは発電所を併設した)軍事施設なら電磁パルスシールド的なものを追加してもよいが、処理が面倒。防弾ガラスへのミラーコートくらいはできてもよいかなと思う。なお、これらはあくまで戦闘ラウンドにおける処理で、ビルを内部から爆破するような場合は工学SRとか爆発物SRをなんかを使いながら長時間(少なくとも分オーダー)かけて作業する。建物内部での銃撃戦でイチイチ構造物への被害を計算するのも面倒なので、外れクリティカル(命中判定の1の位が1で外れ)だけ構造物に影響することにして、他は無視するのがラクだろうか(計算するフリだけして「建物壊れそう」とかなんとか言ってしまうブラフマスタリングもひとつの方便ではある)。

メカを遮蔽物として利用する場合はドンブリ勘定で、メカが大破しない限り後ろへは弾が抜けず、大破した瞬間はオーバーダメージだけ後ろに抜け(細部命中表は振り直す)、以後DC元のままHPとCP重量ナンバー*10のスクラップとして見ることにしよう。自分と遮蔽メカが停止していて相手が動いている前提で、自分と遮蔽メカの重量ナンバーを引き算した結果が遮蔽レベルになる(ヒューマノイドは戦車やトレーラーをレベル4遮蔽物にできる)。射撃する側も停止している場合、ヘックスマップで「何割見えているか」で判断することにしよう(完全な直線で並んでいる場合、重量ナンバー差1で遮蔽レベル3)。遮蔽しているメカの被弾は必ず本体(ヒューマノイドがバイク類に隠れると少し困ったことになるが無視)、遮蔽しているメカ(に限らず遮蔽物自体)を狙った射撃は外れクリティカルで後ろの人(レベル3以下の遮蔽に限る)に通常命中としよう。カーゴをわざとひっくり返らせて橋頭堡にするとか、安くて大きいメカを先行させ後ろにピッタリつけて移動堡塁にするとか、AI操縦と併用されると少し面倒なことになりそうだが、あまりやかましくしない方がよさそうに思える。遮蔽物を狙った射撃のクリティカルはメカクリティカル表を援用して、無効そうな結果ならダメージ2倍に読み替える。遮蔽されたキャラにクリティカルして、遮蔽されているはずの部分(遮蔽レベル2のとき、本体へのクリティカルは遮蔽されない)への被害が出たとき、遮蔽物へのダメージ2倍クリティカルに読み替える。

本当は実質被害に「構造物」を追加したいところなのだが煩雑なので、吸着地雷を除く爆発物は火力半減、ミサイルとロケット類とフレシェットライフルのような分裂弾体はDC2倍、コンクリートに対するレーザーは火力半減(メタ=カーボンと似た扱いだが、半減するのはダメージでなく火力で、背後の人も恩恵を得る)、ガラス類に対するレーザーはDC半減とでもしておこう。対物△の火器はダメージ(火力でない)半分、×の火器は1/4としておこう(多少乱暴なのは気にしてはいけない:モノバイクにHMGを乱射しても対物△で止まる弾はけっこうあるじゃないか)。正面から撃ち合う限り、トーチカの兵装は遮蔽されない扱いになることに注意。


可変型orドッキング型メカとサイバーリンクについて

ちゃんと定義されていないので筆者の解釈だけを書く。

可変型コンバットシェルが変形したとき、HPを共有しており引き継ぐ。大破したときとパワープラント/エンジン(一律で3発め破壊)が破壊されたときは変形できなくなる。コンバットシェル形態でザックが破壊された後メカに変形するのは可、メカ形態でドライブが破壊された後コンバットシェルに変形するのはソルシェのみ不可、マルクスはドライブ/ザックを共有しており変形しても壊れたままとする(脚移動はできる)。装甲とTPは共通とし、マルクスはシェルの装甲とホバータンクの前面装甲が共通、装甲%の入れ替えは認めない。エンジンやドライブの乗せ換えは不可として、MVチューンは認めるがメカ形態にのみ効果が出る(壊したら、エンジンドライブとも工賃込み本体価格の1割で純正品を買う:マルクスはドライブ倍額、ランスロットの専用ドライブは半額で同じタイヤ4本のセット売りのみ)。マルクスはホバータンクへの兵装追加(電子戦装備を含み装甲板を含まない)不可で、火器でない兵装は胸以外のハードポイントに搭載しても普通に使え、例外としてバリアブルフレームの使用を認めないることにしよう。各シェルの専用武装は(スペック上の互換兵装がIV類にあっても)常にVIII類とする(サイボーグライフルを車に積んでもIII類なのと一緒)。コンバットシェル形態の重量ナンバーもメカ形態時に準じる(後述のドッキング型コンバットシェルの場合と違って、質量保存の法則が守られる)が、ある程度コンパクトになるのでカーゴ搭載時の消費スペースはマルクス2でランスロットは1でいいと思うのだがソルシェはどうしよう。1が自然だと思うし2だとかったるいのだが、カーゴに4機積んで数押し運用されるとちょっと面倒である。やや大型化してるらしいし2でいいだろうか(1にしたいんだけどなぁ)。シェルキャリアや卵王やシンセミアにはどれも乗らない。

可変型コンバットシェルの連続運用時間やメカモードでの機能範囲について考えると、正直頭が痛くなってくる(だって、マスタースレーブで人工筋肉駆動のパワードスーツとエンジンつきの車両を一体化してるんですよ、どう理解すりゃいいのさ:ブロックバスターP7「[1.2.3]コックピット」に「パイロットはコンバットシェルの大腿部から上に収まっています」って書いてあるし、プレイヤーズマニュアルP38「[5.8.3]コンバットシェル」の透過図なんてもっと下まで入ってるけど、変形したとき骨折とかしないのか?)。まあ、それを言ったらホバー類の扱いだってナンセンスだし、後で考察するようにシェルが空を飛ぶこと自体ムチャクチャなので、ここは「そういうモンだ」と3回唱えてキニシナイことにしよう。ということで、細かく取り決めるのも面倒なので、どのモードでも連続稼働時間は1時間、メカモードならリンゲル液交換だけで航続可能、シェルモードでの稼動が累積1時間になったらコンバットシェルと同様にリンゲル液交換+フィルタメンテが必要、としておく。1時間分の燃料は、ランスロットがジェリカン1本、ソルシェが2本、マルケスが3本。ただしメカモードでかつ巡航速度での移動のみならオフロード/オンロードで3~6時間くらい、全速力でも単純な移動だけならオンロードで2時間くらい走れる。

ソルシェは移動モードが3つある特殊なコンバットシェルだが、ダッシュローラーモード(REF25)で移動中に即飛行モードに移行できないとするのも(他のシェルが全速力で走っているときでも、静止しないと飛び立てないようなルールはないわけだから)不自然で、ブースター全開のパラダインプラスに次いで高いREFで離陸できる機体になる。次項で触れる射撃REFルールとの兼ね合いによっては飛び抜けた戦闘力になるため、事前に確認しておいた方がよい。ガンドック形態での手持ち武器は「丈夫なハンギング」扱いとしてセンサーが機能しないことにする(専用兵装はバインド扱い)。ガンドックに装備した兵装をシェルで使えるかどうかは微妙なところだが、10mmパルスレーザーをシェルのREFで使われると(もともと少ないTPを圧迫するので効率的かどうかは別として)面倒なので、ハードポイント搭載火器と同じ扱い(搭乗者のREFだけ反映)としておくのが無難だと思う。ダッシュローラーザックの稼働時間は通常のザックと変わらず1時間(つまりシェル自体の稼働時間と同じ)としておこう。なお燃費の項で触れたように、充電に1日かかる設定はあまりに不自然なので、リンゲル液交換と同時にザックの充電も終わることにしておく(他のシェルの簡易ホバーザックも同様)。

ドッキング型コンバットシェルは、シェル乗員が(母機などに)サイバーリンクしていなければ母機大破時にインタラプトでスクランブル発進できるものとする(ハスラーがSAリンクでジャック=アウトできるルールを採用するならSAリンクはノーペナルティ:またもや、ゲームデザイナーが、コンバットシェルはマスタースレイブ操作で、サイバーリンクは仮死状態になるのを忘れていたとしか思えない)。サイバーリンクしていない場合、シェルが行うはずの未実施射撃も有効で、母機大破の直後タイプAになる(オート射撃は通常の大破と同様全部処理してからの分離になる:同REFでも未実施射撃が残っていれば標的変更可能)。サイバーリンクしていても分離のみ可能だが、事前プログラムされた移動(標準的な動作は数メートルの垂直浮上から軟着地:たとえ障害物があってもプログラムどおりに移動し衝突する)しかできない(メカ大破の爆発ダメージはもらわない)。描写としては、シェルが勝手に浮上している間に中の人がジャック=アウトしてマスタースレーブ動作に移行する感じ。

シェル乗員が(母機などに)サイバーリンクしたままコンバットシェルの兵装を使用することはできない(電子戦装備などスキルを使わないものは可:特例あり)。母機にAIやサブコックピットを搭載していても、ドッキングしたシェルからの母機操作が優先される(シェルからの操作を中断すると勝手にAIが引き継ぐ:設定変更ができないではないが、メリットがないと思う)。母機からはシェルの機能(電子戦装備含む)が一切使えない(例外として、シェル(のハードポイント)に積んだAIに指示を出すことは、事前に配線しておけばできる)。またドッキング状態かつ母機の運転を誰か(AIまたはサブコックピットのドライバー)に任せていれば、使用可能な手持ち火器は母機REF+シェル乗員REF(つまり普通のメカにガンナーとして乗り込んだときと同じ扱い)で、使用可能なハードポイント兵器はメカREF0(つまりシェル単独時と同様)で扱える。ドッキングにより物理的に塞がって使用不可になっているハードポイントは、兵装命中の判定でもないものとして扱う(電子戦装備も使用不可になるが、分離するラウンドの移動フェイズには使用可能になる)。サイバーリンクせず両方の操作が可能な機種で、シェルから迎撃IMPを使うのは、まあアリとしておこう(他のメカでも重火器を撃ってからIMPとかできるわけだし)。筆者のハウスルールとして、母機への乗員命中をシェルへの命中とみなす(見た目に乗員っぽいから:つまり出目1、2に加え0もシェル命中:要人警護に悪用できそうだが、まあいいでしょ、そんなに堅いメカじゃないし)。ドッキング状態ではシェル命中時に母機の装甲が有効(威力を減らしてからシェルに当てる)だが、母機のメタ=カーボンは機能しない。

走行しながらのドッキングは曲芸の部類で、オンロードならナビゲーションSR1/2程度に母機と子機の両方が成功すれば可能とする(オフロードなら1/3~1/4にはなる:失敗したら両方転倒)。ゼットンやフォーチュナに関してはクロムビートP33「[4.14]RAFTメカニック」に「母機が移動中でも迅速にスクランブル発進/緊急ドッキングできる」とあるが難易度の指定はなく、オンロードでSR1、オフロードでSR1/2くらいかなといったところ(失敗したら子機のみ転倒)。停車していればコンバットシェルはSR1、シェル以外はロールなしでOK。センサー類は、ドッキングしている間に限り子機に積んだものが母機にも有効だとしておこう。電子戦装備はどちらで使っても有効だがCSDだけ例外で、ドッキング状態で子機がCSDやリアクティブスモークを作動させてもまったく効果がないことにしておく。母機と子機を別々に改造する際の「本体価格」は別売り価格を用い、セットで改造するなら安くしてもいいと思う(フォーチュナのホバイクを1台だけメタ=カーボンにするのは・・・面倒だから2台いっぺんにしない?:ついでに、ゼットンとフォーチュナは子機の前方射撃を認め上面命中以外装甲も機能することにしておこう)。

パラダインプラスについて、ドッキング状態だと、シェルの手持ち武器と足腰胸のハードポイントに収納した兵装は使えない(腕のは塞がらない)。ドッキング状態でシェルに乗り込んでいる限り、ホバーの操作はペナルティなし(=普通のメカに人が乗り込む場合と同じ扱い)で行える。貨物or兵装TPで母機にAIを積み運転させるのも、筆者は許可したい。シァバリエとシンセミアについて、ドッキング姿勢はパラダインプラスと大差ないものとして、武器の使用可否も同じとする(パラダインプラスも「前部に深く座る」という説明であのイラストだし、いいでしょ:描写上はライダー乗りか土下座か○|‾|_かの違いを設定して差し支えないが、ルール上は無視する)。シェルからの操作は元のルール通りで、シンセミアはドッキング状態かつ非サイバーリンクでスキル0(かつメカREF0)射撃+ラジコン程度の簡易な運転、シァバリエはサイバーリンクのみ(サブコックピットとAIの優先順位は任意に設定できるが、シェルからのサイバーリンクは必ず両方に優先し、サブコックピットからのサイバーリンクがもしあってもシェルから割り込める)。パラダインプラスも含めた3機種はドッキング状態でもカーゴに乗せられ、重量ナンバーも2として扱ってよい気がする(同様に、空のバイクも人が乗ったバイクも重量ナンバーは1)。シァバリエは母機も最初からメタ=カーボンだというのが筆者の理解。

シェルビンスクについて、シェルからのインセクター操作はドッキング状態でのサイバーリンクのみとする(母機をAIに運転させる場合、AIへの指示はシェルの中からサイバーリンクなしでできる)。ドッキング状態でサイバーリンクすると母機と子機が一体になったインセクター扱いになり、シェルのハードポイントに搭載したIV類火器は、通常のインセクターに搭載したIV類火器と同様に操作できる(サイバーリンクの特例:ソルシェやマルクスのようなメカニズム、というか、シェエルビンスクは本質的には「パーツ追加式により変形を極限まで速く、かつシステムトータルのコストを安くした、可変型コンバットシェル」で、母機に見えるのは自走機能付きの脚部パーツ、乗員の知覚上はドッキングするとシェルに4脚が生えたように感じるだけ、という意味不明な説明でわかったことにしておこう)。手持ち火器や肩と右腕のハードポイントも使用可能だが、IV類とVIII類の同時使用はできない。サイバーリンクしないドッキング状態でシェルの手持ち火器を使う場合は普通にガンナー扱い(インセクターのREF+射撃者のREFを合計してよい:シェルを着たまま自走する台座に乗っているような知覚)、ハードポイント兵装を使う場合も普通にメカREF無視、サブコックピットからシェルの操作が一切できないのも原則どおり。シェルビンスクも特例で重量ナンバー3だがカーゴには入る扱いにしたい(筆者のメカサイズルールを採用するなら入るはず)。


ハードポイント関連

ハードポイントの搭載ルールもよくわからない。ブロックバスターP10-11「[2.3]ハードポイント」によると、「センサー類は火器にプラスしてひとまとめ」「I・II類は搭載不可」「III・IV類は手持ち形状でなければOK」「VIII類は全部OKバインドENC料金増加なし」とはなっているものの、どう考えてもVIII類1(手持ち)をハードポイントに搭載するのはおかしい(認めないと105mmロングライフルが重コンバットシェル専用装備になってしまい引っ掛かりがなくはないが)。VIII類2(ボディ設置)については、ブロックバスターP25の「[4.1]コンバットシェル専用兵器」に「ボディ(のハードポイントに取り付けて)」と説明がある。筆者は、VIII類は2のみ搭載可能としている。そもそもの話をすればVIII類という設定自体がムリヤリすぎで、なんでシェルのハードポイントに積めてメカに積めねーのよという疑問は忘れる以外にどうしようもない。なお火器の種別は利用形態に関わらず火器そのものに固有と考えられる(たとえばサイボーグライフルはオプションパーツでメカに搭載してもIII類なので、他もきっとそうなのだろう)。

ブロックバスターの説明には、さらに「TPがあまっていてもひとつのハードポイントに2つ以上の兵器を搭載してはいけません。ただしCSDなど効果を発揮する兵装やごく小さなアイテムは何個かまとめてひとつとしてかまいません。また、兵器用のセンサーも同様の扱いとなります」とあり、後の説明で「センサー、ジャマーなどもハードポイントに取り付けます」「予備弾などはパックに入れてハードポイントに取り付けます」とある。つまり、兵器(ハンギングまたはバインドで取り付ける火器、パッシブレーダーポッドなど本体設置のメカニック用センサー、ラムシールドやスタビライザーなど直接の攻撃or防御に使うコンバットシェル専用アクセサリー)は1つ+付属物だけ、搭載したままの状態で消費するアイテム(電子戦装備=ジャマー)は複数個まとめられる、ハードポイントから取り出して使う前提のもの(貨物TPで扱うべきもの)はパック(ハードパックのことだと思う)に入れるということになる。

しかし、ハードポイント搭載火器の予備弾をハードパックに入れマニュピレーターで取り出して給弾しなければならないとするのはいかにも不自然で、「予備弾など」は「手持ち武器の予備弾」を指すと考えた方がよさそうである。パック類の扱いも不明瞭で、たとえばTP30のハードポイントにプロペラントタンクやダミーバルーンパックを同種3発搭載するのは可能かとか、もし可能ならプロペラントタンクとハードパック10とミミクリーパックみたいな組み合わせはどうなんだとか、追求しだすとキリがない。この辺はGMの裁量で決めてしまった方がラクだと思う(筆者なら全部許可)。センサーについては、コンバットシェルの手持ち武器には手持ち武器用センサーまたはシェルのサイバーセンサーを、ハードポイントに(バインドで)搭載した火器にはメカニック用センサーを用い、中の人がサイバー化でセンサーを装備していてもコンバットシェルの射撃には使えない、というのが筆者の理解(シェルでなくオートプロテクターだと微妙なところだが・・・本人の知覚はバイパスされていることにして無効扱いした方が、取捨選択の余地ができてよいのではないか)。火器管制AIについては、シェルのどこに搭載していようと有線で火器と接続することに制限はない、と考えるのが普通だと思う。

ブロックバスターP30「[4.2]コンバットシェル専用アクセサリー」のコンバットシェル専用アクセサリーチャートには、バリアブルフレームが10*2のものしか掲載されていないが、本文の説明に「設定されていた合計TP×2倍のTP」とあり、元のTPが10だとは限定していないようにも読める。しかし、コンバットシェルに(20+20)×2=80のTPを持たれてしまうとかなりバランスが崩れるし、価格に比してメリットが大きすぎるようにも思える。いいのかなぁ、これ。2倍ボーナスがないとシェルに搭載火器が積めなくて、それはそれでまた困るわけでもあるが。とりあえず「2倍ボーナスあり、20+20で80にするときは価格が2倍、30+30で120にするときは価格3倍」としようか。肩のハードポイントへの適用も・・・できると明記してあるからいいのか、たぶん。肩というよりは頭なのかもしれないし。

兵装被弾時はハードポイント単位で命中判定を行い、同じハードポイントに搭載されていた物品は同様に被害を受けるというのが筆者の理解(手持ち武器、ブースターウィング、ハードポイント1、ハードポイント2、、、みたいな感じ:大型プロペラントタンクを搭載したときはハードポイントが1つ減る扱い)。ハードパック自体は壊れない(いいでしょ、バイクの貨物に大口径キャノンが直撃しても荷台が壊れたりしないんだから)ことにして、中身全部に一律ダメージか入ることにしてしまおう。ハードポイントに収納した予備の手持ち武器は、今もっている武器を投げ捨てるなら、1ラウンドで交換できることにする(収納してあったマガジンを使った給弾も1ラウンド)。シールド類以外のコンバットシェル専用アクセサリーにはCPもHPも設定されておらず、一律でHP1でいいかなという気はするが、シロウトにポケットナイフでつつかれても3秒で破壊(動いてればムリだろうけど駐機してるときとかね)というのはちょっとアレなので、対物扱いということにしておきたい。ハードポイント全部について、本体のメタ=カーボンは適用されない。


AIがちゃんと定義されていない

さすがである。BクラスAIについてはコアストライク・エキスパートマニュアルP42-43の「AI」に記述がある(プレイヤーズマニュアルP49「ジャック=イン/サイバーリンク必須アイテム」を上書きするものと解釈する)が、もっとも利用頻度が高いと思われるCクラスAIの記述が実に乏しく、AIの能力値が規定されていない(BクラスAIについて「EDUのみ30」という記述があり、他は一律0なのだと読めるが、不自然に過ぎる)。いっぽう、普通に考えるとコンピュータの反応速度は人間よりずっと速く、もしサイボーグの限界(40)よりも速いとなるとゲームバランスが崩壊する。ここはひとつ、現在のコンピュータとはまったく異なるメカニズムで動いており、人間さながらの判断力を持つ(実際には、プレイヤーがある程度行動を選択できる)反面反応が遅いのだということにしてはどうだろうか。センサーに何かが引っかかったら即反応するだけの単純な装置(AIではなく機械スイッチなり光学スイッチなり)なら、50程度のREFを設定してお茶を濁すのがよさそう。

CクラスAIについて、プレイヤーズマニュアルP34の「[5.4]メカニック用センサー」の記述から、単一の技能を30%程度で有しPCのサポート的な機能も少し果たせる程度だということはわかる。目的地を入力して(障害物や銃弾を避けながら)運転させるとか、コンバットシェルのメンテナンスを(もちろん自動の作業台みたいなものは用意するとして)寝ている間にやってくれるとか、そのくらいの遂行能力を持った機種は普通に市販されているのだろう(多分)。とくに運転用AIは、本来のルールでは定義されていないが、ワンマン射撃に中の人のREFが反映されないルールのときは必須のメカになる。AIは兵装貨物のどちらでも扱え、BクラスAIはPCの持ち回り品扱いも可としておく。コンバットシェルのハードポイントにAIを搭載することは妨げないが、シェル本体のAI操縦は(マスタースレーブなので)できないことにしておく(ハードポイントに積んだBクラスAIに搭載火器を制御させることは可能)。ボディなしのBクラスAIがバイク類を運転するのは、筆者がGMなら認めない。もしこれを戦闘ホバーにまで広げてサイバーリンクとAI操縦を認めないことにすると、ホバーがバウンサー専用機みたいになる(筆者が嫌いな不便さでの制限:ホバータンクに先制できる長射程メカがガンドックだけになってしまう都合もある)ので、筆者は制限をバイク類(ホバイクは含む)のみに留めている。

BクラスAI用のボディについて、本来のルールでは「サイバーパーツを利用」としか言及がないが、AIの教育(ボディの動かし方を覚えさせる)込み$20,000で、STR10、REF0、PER0、HP15、装甲なし、リンゲル液交換1月、改造不可のアンドロイドボディを用意したい。AIは5分ほどの作業で積み降ろすことができるが、設置箇所は頭部または胴部に限定し脚部への設置は認めない(マウントに必要な装置でENCが嵩むことにしておこう:PCがサイバーレッグのTPでAIを持ち運ぶのは普通に許可、収納したままでの運用には後述のSAリンク拡張を使うことにしたい)。制式フルボーグの頭部スペースへの埋め込みも認め、REFとPERについては元の能力値を0として計算(スキルには加算しない)、教育と埋め込み工賃で$10,000とする。いったん埋め込んだAIを取り外すときは専門の工場に依頼する必要があり$5,000の費用、ボディ引っ越しなら$10,000(制式フルボーグ本体を含め、どれも職業割引なし)。AIのジャック=イン端子を1本に限定するルールは撤廃。オートプロテクターは制式フルボーグの重ね着ルールに準ずる(後述するが認めてよいと思う)。アクトポッドをボディとして使うことも認めてしまおう(標準搭載のAIは地上車全般とコンバットシェルと重火器を各50%取得したBクラスAIで、乗せ降ろしは上記と同じルール、外部にジャック=イン端子1本を持つ:操作に必要なスキルについてはアクトポッドの項で触れる)。もっと小型で安いアクトポッドも後の項で提案している。

「AIのジャック=イン端子を1本に限定するルールは撤廃」と書いたが、これも「不便にすることでバランスを取っている」悪い例の1つで、ぱっと見ただけでも不自然だし、中盤以降1タスク1台でAIが増えまくる元凶にもなる。ただ、BクラスAIのコストパフォーマンスが高くなり過ぎるので、AI用のジャック=イン端子増設は(進行上の都合ではあるがこの時代のコンピュータの特性だということにでもして)$10,000(本体またはボディ埋め込みで本来のジャックと同じように使える)、1つのジャックを3つに分岐させるハブみたいなもの(増設ジャックと違い外部設置でき、蛸足配線もできるが、ハブを1つ通るたびにスキルが-20%される)を$20,000に設定したい。標準搭載のジャックは2つとして、片方は所有者がSAリンクするためのもの(ここにアクセスしての操作は2015年現在のコンピュータで言うコンソールからの操作と同じで、外部機器用のジャックからアクセスしても管理者権限は得られない)とする。もうひとつの問題として、ネットライナーはCクラスとBクラス、ランドブラスターはCクラスのAIを半額で買えるという記述があるが、その他のクラスには言及がない。コンピュータソフト扱いするのも変だし、サイバーパーツでもないし、仕方がないので上記以外は一律定価販売としておこう。

複数のAIを運用している場合のスキル共有や、AIのバックアップを作成したい場合の扱いも悩ましい。あまり煩雑にしてもナンだし、どうせスキルは上限100%なので、取得したスキルはすべて自由にコピーできる(1台のAIのスキルを上げれば、所有するすべての同クラスAIで共有できる)ことにしよう。無料でも構わないような気がしないでもないが、一応、コピー内容に関わらず1回$1,000としておこう。

2015年現在のコンピュータ技術に照らすと、音声入力や遠隔操作くらいはCクラスAIでもできてしかるべきに思えるが、ジャミングや乗っ取りの標的にもなるはずなので扱いが微妙である(真面目に考え出すと本格的なルールが必要になるので、メタルヘッドのノリにはそぐわない気がする)。PCの手元で運用する場合には上記の制御用ジャックを利用し、自律行動させるときは外部入力可能モードと不可能モードを使い分けるくらいだろうか。後述するように、AIの乗せ替えが容易にできないルールは進行上の便宜が主目的に見えるため、不自然な決まりではあるが撤廃の検討は慎重に行った方がよい(こういう、不便にすることで設定の甘さを誤魔化すルール運用って、ゲームを重くしちゃうのよねぇ)。


放置しておくとアレな兵器と戦術たち


ミサイルとIMP

数式など詳しい話は後の項に譲るが、メタルヘッドのルールでは100発程度の命中をもらうと(クリティカルによって)95%くらいの確率でドライブかエンジンか本体が大破し、300発もらうと95%くらいの確率で本体が大破する。なので、クリティカルしたミサイルをもし撃ち落とせないのだとしたら、物量作戦でGメカでないすべてのメカを高確率で撃破できることになる。

コストパフォーマンスを考えるとADAM-Sが最適で、$30,000(弾薬だけなら$27,000)でA6扱いだから、$510,000使って17発積めば102発の打撃、$1,500,000使って50発積めば300発の打撃を加えられる。ENC17だから、ハンギングを許すと17発で289、50発で850のTPで積めてしまい、シュリケンかシューターダックをフルチューンすればよほど速いメカ以外には邪魔されずに100発ぶっ放すことができるし、シュトルムビクならノーマル状態でも17発は余裕、マムートをフルチューンすれば50発積みも普通に可能である。

KKKロワイヤルをキッチリ武装すると$4,000,000前後かかるので、本体込み$2,000,000のミサイル攻撃専用マムートでほぼ確実に落とせるなら、コスト的には十分ペイする。しかも、ミサイルは誰が撃とうとほぼ外しようがない命中率(タイプHの命中率ボーナスは「自分が狙いやすく相手が回避しにくいところから撃てる機動力」を反映したものだと解釈しており、鈍重で車体が大きいメカのペナルティも兼ねているはずなので、筆者はミサイルにも適用している:適用しないとしても射手を数人増やせばよいだけで焼け石に水)を持ち、サイバーリンクすれば10台でも20台でも同時に発射できるので、人的コストもわずかでよい(そもそも、射撃1回当たり1発や2発外れても、相手が動いてさえいれば地雷で命中する)。

後述する筆者のルールで「ENC15を超える武器は一律バインド搭載不可」ということにすると、ADAM-Oを使わざるを得ないことになり、$675,000で25台積んでENC375、$2,000,000ちょっとで75台積んでENC1125となり、ADAM-Sを使われるよりはかなりマシだが根本的な解決にはならない。ミサイルキャリアには装甲を積む余裕がないので奇襲に弱そうに見えるが、ミサイルを15台積んだシュリケン(TPの移動だけでちょうど積めるし、2台くらい減らすかエンジンを乗せ換えればブースターも積める)をカーゴの中に2機待機させておけば、単機の戦車はほぼ確実に黙らせることができる。

これで対象がもし戦車だけなら「ミサイルいっぱい撃たれるとコスパ悪いから戦車が廃れました」でそれなりに妥当なセンなのだろうが、普通のメカがADAMに狙われたときにIMPの発射数が足りなくなる問題も生じる。どうにもアレなので、後で触れるように、遠距離発射したADAMは分裂前にまとめて撃ち落とせるルールを提案しておきたい(つまり、撃ち落としの判定が攻撃側の命中判定より前で、落としてしまえばクリティカルもしない)。50m距離まで寄ってIMP100発なんてのはそう効率的ではないし、レーダーポッドとATMを併用してもチャフでなんとかなるので、ミサイルのクリティカル自体は普通に認めてよいと思う。


夜間行動とセンサーと極悪兵器フラッシュボム

暗視装置なしでの夜間行動は、プレイヤーズマニュアル25P「[4.3]射撃ルール・選択」にある「命中率1/4」を援用してSR1/4を標準にするのが妥当だろう。もちろん、夕暮れ時や閉め切った室内などなら1/2とか1/8でもよい。メカの操縦については、ライトを点灯すればペナルティなしでもよいと思う(ライトを別売りするのも面倒なので、すべてのメカに標準装備されていることにしよう:兵装命中で壊れることはないものとする)。暗視装置を潰されて緊急でライトを点灯する場合は本来の半分くらいのペナルティでよかろうか。IR投光器がENC40の$10,000で範囲100mなので、(標準装備のライトよりはかなり大規模な)可視光投光器をENC30の$2,000で範囲100mとしよう(どちらも、投光角はそんなに広くないが、ある程度自動で目標を追うと考えるのが妥当だと思う)。夜間ペナルティはミサイルなどの誘導兵器にも適用するが、ミサイルの命中補正は夜間ペナルティのあとに加算する(目標を補足して発射することが難しいという意味)。夜間戦闘ですでに命中率にペナルティを得ているとき、CSDの効果も出るのかどうかは・・・まあいいんでないかな、有効で(かえって効果高まりそうな気もするし)。

投光器やライトを含む暗視装置を有効距離の半分以上で使うとき、夜間ペナルティを半分(1/2ペナルティ時に使えば無効化)にする効果しか出ないとしておきたい(命中率上昇センサーは有効範囲ギリギリまで普通に機能する)。暗視装置と命中率センサーの併用は、まあ認めてもいいのではないか(たとえば普通の暗闇でノクトビジョンとLRLSを150m距離で併用すると、累積して(スキル+30)/2の補正になる)。暗視装置なしでも、そのラウンドに投光器やブースターを使用したメカに対してはペナルティなしで、実弾を射撃したメカに対してはペナルティ半分で狙えることにしておこう(発見されていない場合でも自分の射撃の後射撃フェイズの行動が終わっていない相手からは射撃対象になり、2人以上が射撃行動を遅らせたときは全員が行動を保留するまでREFが遅い順に宣言を繰り返す:GMは発見されていないNPCの動向をPCに伝えなくてよい)。

光学系サイバーパーツには有効範囲の規定がないが、PER*10*(対象の重量ナンバー+2)くらい(狙撃用のものは射程倍加ルールですでに補正されていると考え除外、レーザーサイトもメカ用とあまりかけ離れるのは変なので200m)まで、それ以遠では命中判定ボーナスを失い、暗視装置の有効距離も同じとしてしまおう(上記と同じく有効距離の半分以上でペナルティを得る)。昼間の有視界射撃も裸眼ノーペナルティで行えるのは上記までとして、それより遠い場合はスコープなどを使わないと1/2ペナルティ(距離2倍を超えると1/4ペナルティ)を得ることにしようか。普通に考えて、生身の人間が裸眼で500mの対人射撃を行うなんてのは現実的でない。筆者としては、センサー類はメカに搭載するものより人体に埋め込むものの方が(サイバー技術で脳の機能を有効活用できるとかなんとかいう理由で)高性能であって構わないと思う。コンバットシェルやAIのボディに搭載した場合はメカ用センサーに準じるものとする。

フラッシュボム(とフラッシュグレネード)の効果が曖昧で、光学サイトやIRビジョンが眩むなら普通の可視光カメラも眩む(レーダー探知か無事だった中の人が外に出ての射撃しかできなくなる)と思うのだが、明確な規定がない(ゲームバランスが一変するので厳重に注意)。とりあえず、至近距離で夜間なら可視光カメラも眩むが普通はバックアップがある(暗視装置も複数積んで一部だけ稼動させればよい)ということにしておくか、センサー自体はフィルタ(高性能サングラスみたいに強い光だけ遮る)で守れて光っている間だけ見えないことにするか、その辺が無難だと思う(筆者としては後者を採用して、生身の人間用にも後述の汎用ゴーグル的なものを用意したい)。

ともかく、フラッシュボムをあまり大胆な効果にすると、プロペラントタンクを2発装備したシァバリエにフラッシュボム6発入りのソリッドシューターを持たせて飛び毎ラウンド射撃するというアホ技や、屋内でフラッシュボムやフラッシュグレネードを使われたときの扱いが大変なことになる。というか、フラッシュボムは射撃の扱いも曖昧で、命中させる必要はないと思う(せいぜい爆発物と同じ命中率2倍扱い)のだが、たとえば500m距離から射撃して相手の前方300m(射程倍加はできないと明記されている)まで飛ばしたときにも効果を発揮するものかどうか疑わしく、1D100で距離−10以下を出したら無効(反対に言えば、遠距離から撃てば一方的にセンサーを潰せる)くらいが妥当にも思えるが処理が重いので悩みどころ。

対策センサーであるFIS(夜営のたびに2発($10,000)打ち上げるのは費用がかかるので、普通のシチュエーションでPCが常用することはないと思う)について、センサーカプセルとメカ本体は有線接続(兵装命中の目を振ると(他の兵装や乗員への命中であっても)効果半減し、もう1発当たると無効化、上面への爆発物命中は一発無効化)として移動しながらの使用は原則認めたくないのだが、フラッシュボムコンボが必殺の威力になってしまうのも困る。筆者としては、停車(機動回避とDCを失う)専用の装備として、フラッシュボムは普通の爆発物同様最終命中率の2倍までで命中扱い(狭い屋内ならファンブル以外命中)、外れたら効果なし(ボム越しで狙ったSAMだけ無効化:以下同様)、距離が足りなくても無効としておきたい。光学センサーが壊れることはなく視界が1ラウンド遮られる(射撃はSR1/8、ロックオン済みのミサイル(SAM以外)は発射できるが、ADAMやIMPは後述の新設ペナルティを受ける)だけで、2ラウンド以上連続で使っても効果はなし(1ラウンドおきなら普通に機能)としてしまおう。FISは基本的に野営用の装備として、随伴車両が射出してメインメカに有線で情報を流す運用になると思う(火器ではなくメカ本体に取り付け、有線接続で情報を共有できることにしておく)。

IRビジョンの設定が杜撰なので、サイバーアイの標準機能として近めの中赤外線~可視光までの4.5素子カメラ(素子は5種類だが波長が長い赤外領域の解像度を半分に落とした4素子1ドット構成)を設定し、価格を$2,500に改定したい。ノクトビジョンを熱赤外線カメラと微光暗視装置を併用したカメラ(サイバーパーツならAN/PSQ-20 ENVGを両眼仕様にして埋め込むような感じで、見た目はメカっぽく、人相が変わる:知覚上は通常のカメラ映像に半透明で重ねるのが一般的としよう)に変更して$1,000で追加可能、オートプロテクターには同様の機能を持った補助カメラをENC1の$1,500で追加可能にして本来の特殊装備は無視してしまう。メカニック用のカメラも同様に変更し、地上メカの標準カメラ(直接外が見えないメカならついてるでしょ、普通)は4.5素子仕様が標準とする(光学サイトは火器に近い場所にカメラを増設して命中を助ける装備だということにしよう)。ノクトビジョン仕様のCSSは+$3000で、サイボーグの場合設置場所(腕or脚)にマグネットアーマーシステム以外のアーマーがあると使えない(ノーマルCSSは腕設置なら袖つきの防具と併用できる)、といったところでどうだろう。人間用にはヘッドマウントディスプレイ(目隠し状と透過型を選択可能、オートプロテクター用と同じ4.5素子カメラとハンディコンピュータ用(以外にも使えるが)の映像入力端子つきでENC1の$1,000、サイバーパーツを取り付け可能だがメカのセンサーと同じ扱い、それなりに丈夫だが防具としては機能しない:フラッシュボムの被害無効化は前述の通り)を用意する。手持ち火器のセンサーはこれらの装置で読み取る前提(元のルールと少し矛盾するが気にしないで欲しい)。サイボーグの頭部埋め込み以外(サイボーグの腕脚に埋め込んだCSSを含む)の視覚PERは、本体+5上限20としておく。


対人最終兵器ソニックガンと究極ソフトキル兵器ビームスプレー

SUV制のサイボーグは火力116点以上をもらうと即死するわけだが、ソニックガンの火力が防具無視の60点(マグネットアーマーシステムは有効とする解釈もあるようだが、不自然だし、対策としてどうなんだろね)なので、初心者(スキル40%で修正後命中率100%)に撃たれても45%の確率で死ぬし、相手のスキルが153点以上あるとファンブルしない限り助からない(対人兵器として、装甲車に200ポンドメーザーや80mmビームスプレーを積むより、ホバイクから手持ちのソニックガンを撃った方が強力)。室内使用ルールがまたとんでもないことになっているが、これをブービートラップとして使われるとたいへん困ったことになる。さらには、屋内でモノスクーターにでも乗りながらぶっ放されたらどーすんだという疑問もある。

メーザーについては単一部位命中として扱った方が無難である(不自然だが、反射や屈折の都合で当たり方にムラがあることにでもしておきたい:屋外でも地面はあるし、大気でも曲がるんだからいいでしょ、ね)。このゲームでの全身ダメージはかなり強烈(判定を4回もやれば1回くらいは素通りダメージをもらう)なので、固定火力でない全身ダメージを設定するのはちょっと無謀に思える。メカの装甲(200ポンドに対するミラーコート含む)は有効で、乗員ごとに装甲チェックを行う。命中判定>被害乗員数と被害乗員決定>メカの装甲判定>乗員の命中部位判定>乗員の装甲判定と進む(ものすごく重い処理だがやむを得ないと思う)。

80mmビームスプレーも大胆かつ雑なルールで激しい効果。処理は、命中判定>乗員の全身装甲判定と進む。ただしあくまで「むき出しで設置されており細部命中表からの処理で命中し得るすべて」が対象であって、むき出しでない乗員や貨物は対象から外す(バギーやガンドックなど半分くらい見えているメカは、単一部位命中としよう:いちいちどこが見えているか検討するのもかったるいので命中表どおりにする)。とくに接近してきたコンバットシェルの迎撃に使うと、AIでもまず外さない命中精度とあいまって、ほぼ確実な無力化ができる(ハードポイントも含め兵装はまず全滅するし、なにより6点ダメージに耐えられるザックがトラベルザックしかない:筆者の解釈だとメタ=カーボンは本体にしか効果がないし、シェルにファイバニウムというのも厳しく、機動回避してもブースターザックのHP2はあまりに脆い)。ただし、タイプAならREF勝ちできMVも圧倒なので、対策としては200m以内に寄らなければよく、筆者のルールを採用してVIII類も射程倍加できるなら攻撃自体は可能。

もっと問題なのはセンサーの扱いで、フラッシュボムどころの騒ぎではなく、夜襲で使われると間違いなくすべての暗視装置が破壊される(だって車内以外のどこに搭載していようと実弾キャノンと放水銃以外のあらゆる兵装が一発で壊れるような威力なんですもの:戦車のカメラならペリスコープくらいは噛ましているだろうが、スコープ自体が壊されたら結局見えなくなる)。この際なので、密閉メカの通常カメラについては存在自体を忘れて壊れないことにしてしまいたい(サイボーグの頭部に40mmビームキャノンの直撃をもらってもセンサーは壊れないし、バギーが乗員命中をもらってもガラスが割れるような処理はしていないので、いいでしょこの際)。

しかしまああんまりといえばあんまりなルールなので、80mmビームスプレーの射程を50m以内命中+100に変更し、50~200mでは単なる当たりやすいレーザー(火力105/75で命中+40の爆発物扱い:もちろん耐弾装甲のみでは防げない)ということにしたい。ソニックガンはビームスプレーの小型版で、火力105/75で命中+60の爆発物扱い(対人○対物△)ということにしてしまいたい(室内での反射ルールは削除)。メーザーは上記のルールでよいと思うが、51~200m距離でレーザーレベルが1つ落ちるとか、被害乗員に1/2くらいのペナルティを得るくらいの修正はしてもよいかもしれない(筆者なら両方の修正を適用する)。


無敵の戦術兵器グレネーダー

260mmと210mmのグレネーダーは、射程距離の例外があるため戦術的なバランスを大きく左右する。210mmをバインドで積んでもTPが3000必要なので、バトルトレーラーと戦車以外には搭載できない。もしこの火器を元のルールのまま採用してしまうと、野戦や拠点攻略戦は待ち受ける側が圧倒的有利になってしまう(ソルシェが野戦で無力化されてしまうのが痛い:カーゴに積んで運んで途中で動けなくなったらお手上げ、というのではなんとも)。

260mmグレネーダーに対して4000m距離から1000mまで接近するには、MV90でかつ直線移動できたとしても34ラウンドかかり、その間4ラウンドに1回射撃できるわけだから、8回は射撃をもらうことになる。210mmグレネーダーに対して3000m距離から1000mまで接近するには、同じ条件で23ラウンドかかり、その間3ラウンドに1回射撃できて7回射撃をもらう。DCの高いメカにとってはそう恐ろしいものではなく、260mmでも固定火力135だから、DCが80点あれば素通りしてもダメージは2点、DC90なら素通りしても1点しか入らない。しかし軽中量級メカにとってはシャレにならない脅威になるし、数を用意してクリティカル待ちされると戦車でもお手上げになる(メカに積もうと思うから大きなENCが足かせになるのであって、トーチカや建物の装備にするなら何門でも並べられる、と思う、きっと)。

筆者としては、グレネーダーの存在を丸ごと削除してしまうのが無難だろうと感じており、以下では削除する前提で話を進める。どうしても導入したいときは、260mmで2000m、210mmで1500mくらいに射程を短縮して、曲射武器に対する機動回避を効果2倍にするとか、そのくらいの対策はしておいた方がよいと思う。ミサイル類と爆発物については後の項で「対物クリティカルは必ずダメージ2倍、爆発物の周辺火力はクリティカルしない(火力を-1して通常判定)」修正案も紹介しており、これもぜひ導入しておくべきだろう。1000m超の射撃に限って回避を認める案も考えてはみたのだが、ルールの作り変えが大掛かりになりすぎるように思う(簡単に回避できるようにしてしまうと、今度はどうせ当たらない遠距離射撃を繰り返す時間がかったるい)。

とくにメカへの爆発物命中時のルール次第では酷いことになる(むき出しで積んでいる兵装が全部壊され、CPが低いメカはドライブやエンジンがやられ、コンバットシェルに至っては飛んでいようが地面にいようがザックを失う)ので、元ルールの射程のままでの採用には慎重を期して欲しい。曲射砲の運用には戦術的な面白さがあるが、もし導入するなら新たに設定を作り直した方がずっと早く、また野戦戦術が根底から覆ってしまうはずなので、根気と意欲とバランス調整に自信がある人以外は手を出さないのが無難だろう。


本当にいいのかテフロン弾

プレイヤーズマニュアルP70「特殊弾」のコラムに「9mm口径以上の銃器は次の特殊弾を使用できます」とあり「テフロン弾:火力値倍、弾価格は10倍」とサラっと書いてある。しかしこれを素直に適用すると、サイボーグライフルで140、バスターライフルに至っては200というものすごい火力を叩き出す。プレイヤーズマニュアルP63「低反動APガン」にATライフルは最初からテフロン弾という説明があり、少なくともIII類火器には適用されるルールらしい。適用をキャノンまで広げると、155mmキャノンが火力400に到達する。弾薬がミサイル並みの価格になるのでそんなものといえばそんなものなのかもしれないが、本当にいいのだろうか。

ともかく、このルールを採用すると、サイボーグライフル、バスターライフル、HMGなど弾薬が安く火力もそこそこある火器が飛躍的に有力になる。とくにHMGなんかは元値が安く使用回数も多いので、テフロン弾がメイン弾薬になるはずである(「銃器」と書いてあるから口径20mm未満に限定、と考えても12.7mmなら普通に銃器:対人火力がものすごいことになる)。適用範囲をどこまでとするかが問題で、HMGに使えてサイボーグライフルに使えないのもアレだし、サイボーグライフルに使えるなら20mmバルカンにも使えそうだし、だったら30mm機関砲に使えないとおかしなことになるし、そうするとキャノン類にも適用しないとバランスが取れない。プレイヤーズマニュアルの記述を無視して、小火器のみないし対物が○未満の火器のみ適用とするのが無難だと思う。以下では対物が○未満で9mm口径以上のI・II類火器(スラッグ弾などを除く)のみの適用とする。単純に「9mm以上12mm未満」としてもよいかもしれない。

なおインチ口径は、.22calが5.56mm、.32が7.65mm、.38と.357が9mm、.40が10.2mm、.44が10.9mm、.45が11.5mm、.050が12.7mm相当。.22LR(22ロングライフル:200J前後)は世界一大量生産され世界一安い弾丸として有名、練習用に使われる。.25ACP(25オート:90Jくらい)は小型拳銃用で、FN ポケット(M1906またはM1905)と派生モデルのFN ベビー(ベビーブローニング)やコルトベストポケットなどに使われた(ジュニアコルトは、スペイン製の類似モデルをコルトが輸入販売したものなんだって:このクラスの拳銃本体は、ベレッタM950も含めて、2インチバレルで0.6~0.8ポンドないし10~12オンスくらい)。.32ACP(170Jくらい)は、FN ブローニングM1900やコルトM1903など古い拳銃に使われた。.380ACP(270Jくらい)はルガーLCPやマイクロイーグル(チェコ製らしく、デザートイーグルに見た目が似てるという理由でマグナムリサーチがつけた名前らしい:ベビーイーグルも、開発元が同じだからという理由で付けたらしく、とてもテキトー)のほか、短機関銃(サブマシンガン)であるイングラムM11も採用している(反動でパラベラムが使えなかったそうな:M10はパラベラム)。9x19mmパラベラム弾(350J前後)はもっともポピュラーな拳銃弾で、短機関銃にも使われる。自動拳銃だとだいたい、4.5~5インチバレルで700~1000gくらいがフルサイズ(一定でないが、4インチバレルはコンパクト、3~3.5インチはサブコンパクトを名乗ることが多い)。ルガーLC9やワルサーPPSのような極限小型機種、ブローニングハイパワーやベレッタ92(M9)のような歴史的名機、グロックシリーズやSIG SAUERのP226とP250など斬新な機種、ベレッタ93Rのようなマシンピストル(定義は一定しないが、フルオートメインがサブマシンガンでバーストメインがマシンピストル、と筆者は勝手に分けている)などバリエーションが豊富。サブマシンガンには、やはり有名なUZI、安くてオシャレなステアーTMPなんかがある。PDW(も感覚的な用語だけど、専用弾を使うものがPDWで拳銃弾がサブマシンガン、と筆者は勝手に分けている:ので、FN P90やH&K MP7はPDWだけど、MP5はサブマシンガン)はアサルトライフル用の中間弾を小さくしたような弾が多い。.45ACP(900J前後)は大きい拳銃弾でコルトガバメント(M1911)やHK45なんかが採用、.50AE(2000Jくらい)はデザートイーグル(ノーマルで6インチバレル、ロング10インチのほか14インチもあったそうな)で有名になったがほとんどネタ、.500マグナム(3000~4000J)に至っては小銃弾並のエネルギーを持つ。

断りなく中間弾といったら「拳銃弾とフルロード弾(最大サイズの小銃弾)の中間」の意が普通で、アサルトライフル(小口径小銃:交戦距離をだいたい300mくらいに見ているものが多い)や分隊支援火器(二脚がついた弾数の多いアサルトライフル)などに使われる5.56x45mm NATO弾(1700J前後)が代表。拳銃と違いマガジンとグリップを兼用しなくなるので、拳銃弾よりもかなり細長くなる。AR-15(M16)とM4カービン、SIG SG550とSG551とSG552のようにフルサイズ~カービンでシリーズになっているものが多いが、HK416とHK417やFN SCARのようにサイズ違いのモデルもある(HK416はM4カービンの独自改良型だから、元をたどればM16系:M16やHK416で全長1mくらいの3~4kg、HK417で4~5kgくらい)。PDWの普及機種も出てきている。分隊支援火器としてはミニミ軽機関銃(M249)が有名だが、HK416派生のM27 IARが後釜になったらしい。フルサイズ小銃弾としては7.62x51mmNATO弾(3400Jくらい)が代表。バトルライフル(2次大戦後くらいまででいう小銃)のほか、M240、M60、FN MAGなどの汎用機関銃(古い言い方では軽機関銃:もとの分類では据付か移動式かが軽重の基準だったそうな)、M24やドラグノフやM110(カスタムしたSR-25)やM110A1(カスタムしたG28E)のような狙撃銃、ミニガン(M134:5.56mm口径のマイクロガン(XM214)は試作だけで断念された)のような多銃身の据置機関銃にも使われる。12ミリとしては12.7x99mm NATO弾が代表、重機関銃(永遠の名機ブローニングM2など)や対物ライフル(バレットM82、TAC-50、AR-50、KSVK、OSV-96、ヘカート2など)に使う。日本やアメリカで砲扱いになるもっとも小さい弾(M61バルカンなど)として20x102mm、軽量30ミリ(M230など)として30×113mm、30ミリ(GAU-8アベンジャーなど)として30×173mmなどがあり、12ミリくらいから焼夷弾や曳光弾など特殊弾のバリエーションが増える。30mmを越えるとガトリング式のものは減り、対空対艦を主目的に榴弾を用いるものか、戦車用の滑空砲(APFSDS=細長くして貫通力を上げた軽量超高速弾か榴弾を使用:ライフリングのある砲も完全に絶滅してはいない)になる。ボフォース 57mm Mk3(装備重量14トン、砲弾重量6.5kg、有効~最大射程8.5~17kmですって)は220発/分、オート・メラーラ76mm(3インチ)は60発/分、127mmコンパット(砲弾重量31.75 kg)は45発/分らしい。戦車砲も120mm(ロシアは115or125mm)がホットスポットのようで、ラインメタルの120mm L44(M256)や120mm L55がメジャーどころ。戦車砲(APFSDSが前提)の砲弾は艦砲(対空使用や曲射もする)よりは軽く、M256用のM829A3で砲弾重量22.3kgの弾体10kgだそうな。

APFSDS(固体が流体として振舞う領域まで加速した細い筒をぶつけて装甲に穴を開ける)はどうなんだろうね。2015年現在ですら20mmのAPFSDSは実用化されていると聞くが、本気で「火力2倍」とかになっちゃうと収集がつかないし、APFSDS化可能な火器はすでにAPFSDSになっているとしておこうか(フレシェットライフルのシフト1なんてのもあんまりスジがいいと思えないところなんだけど)。なお、速度や圧力の高さがポイントで、温度の高さはAPFSDSに必須ではない。メタルジェットは「高温の金属ガス」でも「高圧の金属ガス」でもない。WikipediaJPの説明が秀逸だったので引いておく。

メタルジェットは冷間で超音速で挙動する可塑性を持つ固体金属である。メタルジェットが形成されるためには爆薬からライナーへ伝わる衝撃波の伝播速度が金属中の音速を超えている必要があるため(金属中の音速は、3000 m/s から 4000 m/sになる)、爆速が5000 m/s以下の爆薬ではメタルジェットが形成されず、効果が無い。一般に火薬の爆発によって生じるガスの平均分子量は小さく、高速であっても持てるエネルギー量は少ない。ノイマン効果を利用すると重たい金属粒子が超音速で吹きつけてくるため、火薬のみの場合に比べて目標表面に与えるエネルギー量が多くなる。また融着体の衝突による運動エネルギーも利用できる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%AD%E3%83%BC/%E3%83%8E%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%B3%E5%8A%B9%E6%9E%9C


爆弾と無人攻撃

テクノロジーの活用を真面目に考え出すと、「無人機(いわゆるドローン)に爆発物を搭載して体当たりさせたらいいんでねーの」という、ごくごく平凡な発想に行き当たる。爆発物を積んで目標への誘導機能を使いながら自前の推進力で飛翔する体当たり兵器なのだから、これはもうミサイル(と単にいうと巡航ミサイルが思い浮かぶが、限定せず広義の)と呼ぶ以外になく、冒頭の疑問は「ミサイルの操縦をAIにやらせたらバンバン当たるんじゃないか(オマケで、待機可能時間も伸びるし自律的に索敵できる)」というアイディアと同値である。2019年追記:なんか現実世界でこういう話が顕在化してきたねぇ、怖い世の中だ。

とくに制式フルボーグをAI用ボディとして認める場合、マスタースレーブの操縦制限がなくなってしまうため、コンバットシェルのハードポイントに爆薬を積んで突撃させるという戦術がとても厄介である。拠点防衛時に真上の上空から急降下されると、ルール上撃ち落とすのが不可能に近く、コンバットシェルを要撃機的に運用して上をとられる前に片付けるしかないと思われる(この要撃で落とされるリスクがあるので、有人のコンバットシェルが爆弾を手に持って落とす作戦はあまりスジがよくない)。

もしラジコンなど小さいサイズのメカでこれをやろうとした場合には、本体が大破した時点で爆弾も爆発することにしてしまえばそれほど酷いことにはならないはず(飽和攻撃はできるけどバカ高い効率にはならなさそう)。地上メカに爆弾を積んで突っ込ませる案にしても、大破さえさせれば止まるためコンバットシェルほどは怖くない。後の項で提案する偵察メカに爆弾を積まれるとまた困ったことになるので、TPをイジるときは慎重にやった方がよい。コンバットシェル同士の要撃戦については、これはこれで戦術として面白いかなという気もするのだが、避けたいなら正式フルボーグをAI用ボディとして認めないのが無難だろう。

なお爆薬の質量効率は、TNT(1gで1160calの化学エネルギー:便宜的に4184Jを「TNT1gが爆発したときの実効エネルギー」として換算基準にする)を1として、C4で1.34、ニトログリセリンでも1.5~1.6程度なので、驚異的に質量効率と体積効率が高くメタルヘッドの荒野でも扱える夢のような爆薬(ただし戦術核以外)が実用化されていたとしても、漬物石サイズの爆弾で建物を丸ごと吹き飛ばされる心配はしなくてよい。プレイヤーズマニュアルP71「[8.1.7]武器VII類(爆弾)」にある「1kgで火力95程度。以後3kg増えるごとに火力を+10」というのを「1kg=ENC1」で計算すると、ENC31(プレイヤーズマニュアルでいう「ビルを爆破できる」レベル、1kg=$200程度らしいから$6,000ちょい)で火力195、ENC91で火力395で$18,000、ENC約500(ノーマルのグランパや装甲車に満載)で火力1750くらいで$100,000、ENC5000(ノーマルカーゴくんに満載)で1万7000弱で$1,000,000になる。筆者の燃料ルールでは20リットルのジェリカン(何kgあるのかは知らない)をENC10扱いにしているが、爆発物は収納とかも大変だろうし、量が増えたときにイチイチ運搬方法を考えるのもかったるいので、一律で正味量1kg=ENC1扱いがいいと思う。

余談ながら、ENC5000=5トンというとバンカーバスター(地中貫通爆弾、もとはドイツ読みでブンカーと呼ばれる防空施設を破壊するための爆弾で、航空機から投下する:丈夫な本体と高高度投下(機種によってはロケットエンジンの補助つき)により、刺さってから爆発する2段構え)なんかと同等の炸薬量。実在の機種でいうと、総重量5.4トン炸薬2.35トンのトールボーイ、総重量9.9トン炸薬4.1トンのグランドスラムなどが古典的で、現代的な機種では総重量2.1トン炸薬0.29トンのGBU-28(バンカーバスター)や総重量13.6トン炸薬2.7トンのGBU-57(MOP)などがある(バンカーバスターは建造物の破壊用で、相手が戦車ならヘルファイア(弾体重量45キロ)とかマーベリック(210キロ)とかニムロッド(96キロ)なんかで十分である:ミサイルに定価なんてあったもんじゃないが、10~100万ドルくらいのオーダーらしく、歩兵用のジャベリン(対戦車)やスティンガー(対空)は1セット5万ドル前後らしい)。メタルヘッドの世界だと航空機からの投下はできないし、シェルビンスクの肩ハードポイントにバリアブルフレームを使ってもTPは120にしかならないから、火力にすると485、KKKロワイヤルならそのくらいの正面or上面火力が直撃しても耐えそうというか、仮にA300としたらDC90だから100点も通らないし、対物火力は19点までダメージゼロなので、A380以上なら無傷である。


異次元の遠隔兵器アクトポッド

インドアにおけるアクトポッドは、実はオープンフィールドにおける戦車並みのモンスターメカになり得る。もちろん、圧倒的なREFとカンストフルボーグ並のSTRという基礎性能があってこそではあるが、とにかくサイバーリンクによる遠隔操作がヤバい。

ブロックバスターの説明ではそのような言及が一切ないが、サイバーリンクで操作できるということは、当然複数人での操作も(筆者のルールを採用して高度な無線操作を全廃していたとしても有線でなら)可能なはずである。だからたとえば、キュービット(4本アームでSTR30だから、等分切捨てで計算するとして1本あたりSTR7)にレーザーライフルとレーザーブレードを各2本持たせて、5人がかり(1人は本体)で操縦されると、エライことになる。単にメカの性能が高いというだけのことではなく、人数=火力=戦力であるメタルヘッドの世界で、飛び抜けた人員効率を実現できる点が非常に大きい。

これをルールで規制するのは簡単で「アクトポッドは特殊な機構を用いており1人でしかジャック=インできません」で済む話ではあるのだが、筆者としては、ゲームが進むにつれて危険になり過ぎるインドア銃撃戦(だってサイボーグライフルとかバスターライフルとか、届きさえすれば20mmバルカンや30mm機関砲と変わらない火力なんですもの)を少し変化させる要素として使いたいように思う。ようするに、AI操縦(標準搭載のものについて、ブロックバスターP24「[3.5]アクトポッド」には「パイロットサポート用の高級AI」としか記述がないが、すでに触れたように「スキルつきのBクラスAI」として扱う)のアクトポッドを連れ回して、突入戦などは最小限の護衛(まあNPCがやることになるだろう)を残して全員で操縦する戦術を認めたいということである。

そうすることで、脆いアクトポッド(しかもAI操縦させている間はロクな戦力にならない)をいかにして守るか、サイバーリンク中の操縦者が襲撃されにくい拠点をいかにして作るか、アクトポッドが撃破されたときにいかにして逃げるか、(相手に使われたときに)有線接続をいかにして遮断するか、といったあたりを争点にできる。すでに触れたように、サイバーリンクというシステム自体の特性で待ち受ける側が圧倒的に有利なため、いかにして相手の目を塞ぎ死角を作るかといったあたりもポイントになる。あまり深く突っ込むと、有線操作メカの扱いや視界と探知のルールを丸ごと新設することになってしまうので、戦闘中に通信ケーブルが切れるのは乗員命中が出たときだけにするとか、配線の経路にアタリをつけたり監視カメラを探したりするのを部屋に入るとき一括で判定するように申し合わせるとか、ある程度なあなあでやった方が無難だと思う。

後で触れる戦車の扱いと同様、アクトポッドの操縦はPCの担当にせず、アーミーの皆さんがアクトポッドを運用するための支援と操縦中の護衛をPCの役割にしたり、あるいはアクトポッドを迎撃するシナリオなんかも考えられる(従来のインドア戦と同様にPCが直接攻撃に晒されることにはなるが)。注意点として、アクトポッドはTPの制限がキツいためレーザー兵器中心の装備になりやすく、レベル2レーザーを効果的に妨害できる手段(後述するようにチャフのインドア使用とか)をもし設定するならかなり弱体化する(それでも20mmコンパクトマシンガンとか高周波ブレードとかすっごい脅威だけど)。

なおアクトポッドの操縦に必要なスキルについても元のルールには明言がないが、筆者は、操縦関連は地上車全般(サイズが小さいだけで、インセクターなどと同じ感覚で操縦できる)、マニピュレーターを使った作業はコンバットシェル(サイバーアームみたいなもんだろう)と別々にしている。またマニピュレーターでVIII類の手持ち武器を扱うことは妨げないが、本体TPでVIII類のハードポイント設置武器を搭載することは認めていない(設定として自然不自然というより、10mmパルスレーザーは(どうせレーザーランチャーは持てるんだし)積みたければ積んでもいいけど、レーザーガンポッドをたくさん積むのは勘弁して欲しいという意味:「コンバットシェルと同じようにハードポイントを」云々の記述は忘れることにしたい)。


疑問と修正ルール

崩壊したバランスを取り繕うだけで手一杯なので、この項で紹介するルールはムリに導入しようとしない方がよいと思う。


VIII類火器の射程倍加

難しい問題ではあるが、ショットガン以外には認めてもよいのではないかと思う。というのはMV300のコンバットシェルが強襲に向かなさ過ぎるためで、1000m距離から2ラウンド全速前進すれば命中率1/2の射撃くらいはさせてあげてよさそうに思える。スティンガー(とシェルビンスクとソルシェ)とそれ以外という線引きはちょっと興醒めだと感じる。もともと、コンバットシェルというのは大雑把な動きと高い機動力を組み合わせたメカだと思うので、精密動作系の行動は優遇しなくてもよさそうではあるが、200m縛りだとちょっと窮屈な気がする。

バスターライフルが400mまで届いたところでシェルvs通常メカの戦力差はひっくり返らないし、シェルvsヒューマノイドでアウトレンジ(手持ち可能な対物○の火器は射程倍加しても200m射程なので、その外)攻撃したいなら500mまで離れて20mmバルカン相当火器でよい(そのくらいの機動力は余裕である)わけで、悪影響はあまりないと思われる。ただし、元の射程が1000mのものやハードポイントに設置した火器についてば(筆者のルールでVIII類扱いになっていても)倍加を認めない。

最大射程2000mの対物狙撃銃を導入しロングライフルの射程倍加を3倍まで認めるルールも後の項で提案するが、筆者の運転ルールを採用する限りMV400で飛んで600mから撃ってもそれほど有効な火力にはならないし、シェルがヒューマノイドにアウトレンジ攻撃されても圧倒的な機動力でなんとかなると思う。いちおう、射程倍加オプションはブロックバスターに限るということにしておこう。


結局どのメカが速いのか

MVについていえば、タイプAのソルシェが450、スティンガーとシェルビンスクが400でブッチギリである。標準的なコンバットシェルの飛行速度は300か200。REFについてもトップクラスは突出した性能で、タイプAのシァバリエとタイプHのキューピットが50、簡易ホバーザックのスティンガーが48、シェルモードかつタイプHのマルクスが45、簡易ホバーザックのアルバトロスとオートサムライとパラダインIIが42。タイプAのソルシェとタイプHのキウィが40で、お互いにREFがカンストしていると、筆者のREFルール(メカREF+操縦者REFを基本とするが、メカに乗らないヒューマノイドのREFは2倍扱い)でも元のREFルール(射撃以外はメカREFだけ)でも、ヒューマノイドと互角になる。ここまでがトップ集団と見てよいだろう。

REFの第2集団を素の速さで並べると、脚REF6のシェルが簡易ホバーザックで36、タイプAのスティンガーが32、ソルシェが30、脚REF7でタイプAのシェルとシェルビンスクが28、ハイモビルを積んだフォーチュナの子機が27、タイヤ交換したクラッカーが26、シューターダックとハイモビルを積んだベルマニャックとローラーモードのソルシェが25、ゲイシャロードとダッシュローラーザックのスティンガーが24、タイヤ交換したゼットンの子機が23、トップヘビーとタイヤ交換したサラマンダーが22、脚REF7でダッシュローラーザックのシェルが21、オクトボールとタイヤ交換したディンゴとハイモビルを積んだアダムスキーとパラダインプラスが20。大型メカでREFが速いのはやはりレミングで15、ヴァルムビクとシュトルムビクとハイモビルを積んだシュリケンとタイヤ交換したオサフネはそれより速く18、チャンピオンがギリギリ滑り込んで16というのが第3集団になる。

しかしREFはホバーブースターで簡単にドーピングできるため、これでどこまで伸びるのかが問題になる。ようするに、ブースターのWILロール失敗でどれだけのリスクがあるのかで、REF競争の順位が(銃撃戦の最重要要素のひとつなのに)簡単にひっくり返ってしまう。筆者の暫定ルールのように銃撃戦の心理効果表を流用する場合、どうせ1ゾロはファンブルだから、1ゾロで-4(出目3~5で焦り:確率9/36)が常用パターン、1ゾロで-7(出目3~5で混乱、6~8で焦り:それぞれ9/36と16/36)が勝負パターンになると思う。そうすると、WILが15のとき、REF+6が常用パターン、REF+9が勝負パターンになり、WILが16以上になると勝負どころでは常にブースター全開ということになる(ドラッグが有効な状態であればカミカゼで2点水増し可能)。

ではこのWIL16がどのくらいレアかと考えると・・・初期能力値が12か13くらいであれば、3~4回クリティカル成長すればよいわけだから、ロールを100回くらいこなす計算、10シナリオのキャンペーンでもかなり頑張らないと無理そうな数字ではある。しかし、キャラ作成がランダムなら、ゲーム開始時点ですでにWIL18というキャラも当然あり得るわけで、戦術的な重要要素がこれだけで決まってしまうのはちょっとアレかなという気がする(この辺もキャラ作成ルールを作り変えたい動機のひとつなのだが、大掛かりになるため導入には慎重を期して欲しい)。また筆者の耐Gスーツルールを採用すると、オートプロテクターでボーナスがつくため、ブースター全開が常套手段になるだろう(筆者自身は導入に積極的でないが、能力値勝負になってしまうのを比較的簡単に避けられるメリットはあると思う:すでに触れたように、ブースターの効果上限を9点に引き下げるのも有効だろうと思う)。

ともあれ、ブースターを全開にすると、レミングで24か25、ボクサーでも22か23のREFを得られるわけで、シェルとアクトポッド以外でこれに先制しようと思ったら、フルチューンのホバイクかモノバイク、ブースターを使った戦闘ホバーしか選択肢がなく、シューターダックやゲイシャロードは微妙なところ、となる。バイク類では先制しても火力が出ないため、結局、戦闘ホバーが安定した選択肢で、場合によってはシューターダック、みたいな構図になるだろう。ホバータンクがある程度脆くて、攻撃メカとしての戦闘ホバーをソルシェ(野戦で唯一戦力になりそうなコンバットシェル)で狙えるなら、まあアリなんじゃないかという気はする。

以下では断りなく上記の選択ルールを前提とした書き方はしないが、導入する場合は、耐Gスーツ有効(センサースーツ1点、耐Gスーツ3点、オートプロテクター5点、シェル10点、オートプロテクターとシェルはセンサースーツ分込み:お好みでオートプロテクターの修正値は機種ごとに設定してもよい)でブースターの上限は9点、パラダインプラスのREFは17に据え置き(16にしてアダムスキーをアンチにすると無駄に面倒そう)という組み合わせが無難なのではないかと思う。


レーザーの減衰条件がわからない

わからないので勝手にでっち上げるしかなかろうと思う。一応、クロムビートP44「湿地、降雨状態でのレーザー」に「霧が発生していたり雨が降っているとき、また極度にほこりっぽいところではすべてのレーザーの火力は半減します。あまりにひどいときは火力を一律0にしてもかまわないでしょう」とあり、例によって「状況によって判断してください」と投げっ放しのシメで説明が終わっている。しかしこれ以外に手がかりがないので「霧や降雨程度の状況で火力半減」を基準にして考えてみたい。

ぱっと思いつくのは、CSDで遮断できないかという案だが、これは不可としたい。CSDの効(1回振り直し)はただでさえコストパフォーマンスが高いのに、さらに追加でレーザー無効というのはちょっとバランスが悪い。雨で火力が半減するならスプリンクラーとか放水砲で水撒いたらいいんでない、というのは自然な考えだと思うのだが、どうせ撒くなら水よりもう少し効果的なものがありそうに思える。

戦車のストラグルスモーク(水蒸気放出なんだよねぇ、アレ)は・・・クロムビートP36「[5.2]電子戦装備」に「CSDとほぼ同じ」とあるから、同じことにしてしまおう、うん(しかしプレイヤーズマニュアルP35「[5.7]メカアクセサリー」のCSDの項には「光とレーダー両方に効果」とあるのに、クロムビートP36「[5.2]電子戦装備」には「センサーを使用していない射撃」と明記されている:どうにも胡散臭いが、ストラグルスモークは「使い放題だけどセンサーで無効化されるCSD」という扱いで統一するのが面倒でないかも)。

それから、射撃しないレーザー(ようするにレーザーブレード)は雨霧や粉塵の影響を受けるのかという問題もある。筆者のルールでは、レーザーブレードを(光る鉄棒やレーザートーチではなく)伸縮棒的なものだと解釈しているので、影響なしの方が面倒でない気もする。一応、秘匿性があるが環境の影響を受けるレーザーブレード、かさばるが効果が安定する高周波ブレードみたいな使い分けをさせる案はあるが、そんなトコロでわざわざ不便にしてもなぁ、という気がする。


重コンバットシェルはガンドックとどう違うか

ルール的には、コンバットシェル技能で運転するか地上車全般技能で運転するか、STRやハードポイントや脚移動やDCや貨物TPやドライブの設定があるかないか、細部命中表とエンジンの扱い、REFの高さと装甲%あたりが重コンバットシェルとガンドックの違いである。戦術的に重要なのはREFと硬さと同時射撃制限で、先制攻撃を目指すガンドックに対し、重コンバットシェルは1ラウンド耐えてからの反撃が前提になる。細部命中表の違いはけっこう大きなポイントで、なにしろコンバットシェルには乗員命中がない。マトリューシカなんかは全面90%装甲でTPも十分あり、硬さだけならインセクターよりも硬くできるうえ、本体が安いのでメタ=カーボンも入れやすい(そう考えると、フォーチュナの1人乗りホバイクなしバージョンとして見た方が近いのかもしれない)。

重コンバットシェルのカーゴへの搭載は微妙なところで、インセクターと同サイズと考えるなら重量ナンバー3だろう。重量ナンバー2でダッシュローラーを使えば(しゃがんだままローラーで動いて)カーゴには積めるが、かさばるので1点余計にカーゴの容量を消費して積み降ろしに1分くらいかかるという案もなくはない(都合重量ナンバー3扱い、ダッシュローラーのないロングトムは普通のカーゴに乗らない)。筆者としては運べてよさそうな気がしている(扱いが不自然ではあるが前述のマルクスの重量ナンバーとバランスを取りたい都合もある)。搭載関連のルールについてはトレーラーの項で詳しく触れる。

そのマルクスだが、実は標準型コンバットシェルと重コンバットシェルの中間みたいな特性があって、ホバータンクモードの防御力を無視してTPを集中させると、シェルにしてはかなり厚い装甲を得られる(筆者の装甲ルールではホバータンクモードで側面の装甲も犠牲になるが、そもそもシェルモードしか使わない前提の運用なので大きな影響はあるまい)。標準型コンバットシェルで一番硬いパラダインIIがTP130の装甲70%、重コンバットシェルのマトリューシカがTP300の装甲90%のダッシュローラー縛りなのに対し、マルクスはTP280の装甲70%のホバーザック縛りで、値段も高いし壁役になれるほど硬くないものの、スペック的には中間的存在だといえる(本体価格的にメタ=カーボンを入れるのが難しく、実際にはけっこう脆い)。

AIやサイバーリンクによる重コンバットシェル操縦についても認めてしまっていいのではないかと思う(マスタースレーブじゃないわけだし)。それよりもタンデム搭乗されるといろいろ面倒、というかロングトムを含め複座式のものは存在しないことにしたい(ガンドックと同様に操縦する:ガンドックや他のコンバットシェルとのバランスや整合性が取れそうなら、バイクやバギーにだってタンデム式のものはあるわけだし、設定していけないわけではない)。大破ルールもガンドックと同じでいいんじゃなかろうか。


過積載はできないのか

普通に考えるとできない。だいたいが、HP1で元気に動き回っていたメカがHP0で爆発炎上し、オートプロテクターはSTRが1点足りないだけでまったく身動きできなくなるような世界で、過積載なんてできるわけがない。

マンチキン的手法としては、TPを使い切ったメカにラバースプレーの缶かなにか(ENC1以上のもの)を投げ込んだら動けなくなるのかとか、もう少し巧妙に吸着地雷を投げつけて爆発させなかったらどうなるのかとか、他人のメカに搭載されたマシンガンに勝手にレーザーサイトをつけたら嫌がらせになるかとか、駐車時にあえて過積載状態にしたら泥棒対策になるかとかいった話があるが、この際それは無視して、たとえば奪還した重要物品が予想より重かったとか、メカが大破して定員が足りないとかいった場合の処理を考えたい。

これはまあ、貨物のみENC1点でREFとMVに1点ペナルティくらいで許してもよいのではないだろうか(MVかREFが0になったら本気で動けない)。兵装については認めないのが無難で、TPを超えた分は貨物としてしか機能しない(運搬はできるが射撃などには使えない)とするのがよいと思う。


エンジンが硬すぎる気がする

エンジンにCPを超えるダメージをもらうとMVが半減し、MVが0になると移動不能になるのが本来のルールである。が、これだと、たとえばMV64のメカを停止させるためにはエンジンに7発撃ちこまなければならず、撃ち込まれるのがデリンジャーだろうと155mmキャノンだろうと7発は7発である。またMV0=エンジン破壊と考えるなら、MVが高いメカほどエンジンが硬いことになる。

かといって、CPを超えたダメージを本体に入れてしまうと軽いメカがますます落ちやすくなるし、たとえばCPの2倍超ダメージで2発分、CPの3倍超ダメージで3発分なんてことをやってもバランスは取りにくい(バイクや戦闘ホバーが大火力で撃たれた場合、エンジン命中と兵装命中は生き残る目として貴重)。ここはひとつ、コンバットシェルのパワープラント(サイズ0扱い)は2発、エンジンサイズ1~3は3発、エンジンサイズ4~6は4発のCP超ダメージで破壊される(メカクリティカルの4番)と一律に決めてしまおう。もちろん、修理(後述するように無料でよいと思う)してMVが戻ったら被弾数もリセットする。

ノーマルエンジンの価格が設定されていないため、これも一律で「同じサイズで最も高い水素エンジンの半額」でよろしかろう。サイズが大きいノーマルエンジンを積んでも性能は変わらないことにする。コンバットシェルのパワープラントは$2,000(可変型コンバットシェルについては前述)として、CP超被弾時は脚MVではなくREFを半分にする(ザックに耐久力がある機種の場合、ザックCP超被弾でザックMVを半分にする)。

エンジンに被弾したときMVチューンの%でロールを行って、チューン率以下が出たら一発でエンジン破壊というルールも考えはしたのだが、MVチューン自体が費用的にリスキーなので、そこまでやらなくていいかなという気もする(お好みで)。タマハK2Kが$3,000と安いので、50台くらい買ってきてMV80%チューン(スキル192%なら成功率2%)して合計修正100%にできるが、CP1のエンジンに被弾して80%でエンジン破壊ならそれなりに釣り合ったリスクになると思う。


レーザーとレーダーの種類

当然のように、元のルールでは単に「レーザー」「レーダー」でひとくくりなのだが、いちおう考察しておこうかと思う。

普通の物理で考えると、大気中で用いるレーザーは(天変地異で大気の組成も変わっているのだろうがとりあえず)波長3.4~4.2μm(3400~4200nm)にある「大気の窓」(電磁波が減衰しにくい領域)を使っていると考えるのが妥当だろう(21世紀始めのレーザー兵器だとフッ化重水素GDLが主流のようで、ほぼこの窓と一致する:コヒーレンス長=揃えた位相が乱れてタダの赤外線に戻るまでの距離が長いのもガスダイナミックレーザーの特徴で、2020年の水準で100mくらいのものは実存する)。破壊用だとして吸収スペクトルも考えると、Cの三重結合を狙うには少し波長が足りず、CーH結合を狙うなら3.5μm付近ではないかと思われる(メタ=カーボンの発想はこのCを置換する意味なのだろうが、戦闘メカの装甲やフレームって金属製じゃないのかねぇ)。水素の単結合も狙いにくいので、波長を短くするとしたら1.7μm(1700nm)の窓狙いだろうか。とりあえず、3.5μmと1.75μmを重畳していることにでもしておこうか。反射させるのが目的なら4μmあたりでよく、どのみち近めの中赤外線くらいの領域になる。波長が長い方が浸透力は(せいぜいミリメートルオーダーではあるが)出て、10μmあたりを狙うと熱赤外線領域(実在のCO2GDLがこのくらいの波長)。媒体に何を使っているかまでは考える気がないが、ポータブルな自由電子レーザーでも実用化されたのだろう(どう説明するにしても、分厚いチタン装甲を無視してメカを破壊できるようなシロモノになにを今更、という話にすぎない)。

レーザーでの切断を真面目に考えると、溶かしたカスを吹き飛ばす(工業的にはアシストガスと呼ばれるガスを吹き付ける)必要があるため、高速移動してくれた方が切りやすい(のだと思う)。まあその辺は細かくなるので気にしない方がいいかもしれないが、静止したメカにレーザー兵器を使うときに火力をいくらか落とす(筆者のルールなら、DCが無効にならない程度)のはアリかもしれない(隠れ撃ちに適しすぎな気もするので)。レーザーポインタ的に使うなら上で挙げた4μmか近赤外~可視光くらいの領域だろうが、近赤外線領域が使いやすいだろうか。ジャイロの類は多分光学式で、おそらくはレーザーを使っているのだろう。

メカに積むアクティブレーダーは変調波レーダーとドップラーレーダーのセットだということにして、位置と半径方向の移動速度を検出できるとしておこうか(面倒なので、アクティブレーダーはパッシブレーダーを兼ねることにする)。真面目に考えるとレーダー車みたいなものを用意して2次元レーダーを運用するのがスジなのだろうし、地形データも(精度は別として)あらかじめ用意しておくべきなのだろうが、正直かったるい。その辺はなあなあに、上空を飛行しているものや山陰に入ったもの以外はなんとなく写ることにしておこうか。レーダー車の使用自体はまあそんなに悪くなく、序盤ならハスラーのメカ、中盤以降はAIを乗せた雑用車両に有線接続して、野営の際の哨戒に役立てるのがよさそう。原理上解像度はあまり上げられないので、ちゃんとした塗装をして地形が複雑な場所に静止していればそうそう発見はされないと思う(レーダー画像の解析は通信スキルで判定するのが素直なのかな)。

パッシブレーダーは方向だけを検知するが、たとえば丘からの反射と直接波のずれを計算して「この辺かもな」という位置情報がわかることはあるのかもしれない(多分)。視認距離でなければ「誰かレーダーを使っている奴がいる」以上のことはわからないし、視認距離ならすでに位置がわかっているため、レーダーの使用をそれほど神経質に控える必要はないと思う(文化的な問題は後述するが、戦闘車両がウロウロしているのが普通の世界で、わざわざ自分に目隠しする必要はあまり感じない)。むしろ、前述のレーダー車使用などで野営の際のナワバリ主張(レーダーで移動物体を発見したら無線で呼びかけて、無断接近やアクティブレーダーを使わない潜伏は敵対行動と見なす:野営地はメインの通行路からある程度離れたところを選ぶのが常識で、ある程度経験のあるハンターならお気に入りの野営地はだいたい決まっており仲間内のチームにも知れていることにしようか)に使うのも面白い。こういう状況に限らず、無線通信は(分単位の時間をかければ)水平線の向こうくらいまでは届くものとして、事前の通信なども含めたゲーム進行にするのが妥当だと思う。


その他

コンバットシェル用の牽引ザック(シェルに人が搭乗して稼動状態でないと牽引できず、牽引する側からいつでも切り離し可能、牽引シェルキャリアと違いザックを外すことでタイプMでなら即座に活動できる:牽引する側から切り離した場合、シェルはザックを外さない選択もできる)をENC50価格$500で販売(ブロックバスターP12「ザックチャート」の注記がおかしいが、たとえばブースターCを装着した新品のアルバトロスが簡易ホバーザックに装換したら、兵装TPの消費は10点増えるはずである)。


さらなるオマケルール

せっかく取り繕ったバランスをまたひっくり返してもアホらしいので、この項で紹介するルールはぜひ必要な場合のみ慎重に検討してから導入して欲しい。


対物狙撃銃がないのはおかしい

おかしいのだが導入しようとするとルール的に微妙である。データをイジって20mm対物狙撃ライフル(長距離狙撃できるほどの精度は出ないらしいが、実在の銃だとダネル NTW-20というのがある)を登場させるのは容易いが、運用がメンドクサイ。

狙撃のいやらしいところは、基本的に一方的な攻撃で、しかもほとんど防ぎようがないレベルの不意打ちだということである(歩兵同士の野戦やジャングルなどでの追跡合戦などは例外だろうが、それらを本気でやられてしまうのもまた困る:そもそもミュータント植物のジャングルって、あったとしてどんな感じなのかねぇ)。他のゲームやマンガ的表現でも、これを(都合が悪いときには)存在しないもの、あるいは常識外れな能力でなぜか回避できるものとしていることが多いが、メタルヘッドのルールだとことさら扱いが難しい(どこにでも当てられる設定が最初から間違っていると思えてならない)。以下ルールの差し替え案を示すが、基本的には、狙撃スキルを廃止して普通の射撃スキルで代用、制式フルボーグは対物チャート2倍シフト、サイバーレーザーサイトは200mまでなど、筆者提案のルールを全部盛りにしている前提。

狙撃銃を豊富に導入したいなら、単純に上級者向けの長射程単射火器として扱ってしまうのが無難に思える。たとえば、SR1でプラマイ1点、SR1/2で2点、SR1/3で3点・・・とロール難易度に応じて、火力の1の位を任意に上下させられる(ただし0と1にしてはならない:1の位だけ振り直しできるという案も考えたがクリティカルの扱いが面倒になる)くらいに留め、射程倍加ルールも変更して、1/2修正で最大射程の2倍まで、1/3修正で最大射程の3倍まで(最大3倍)を、最終命中率ではなくスキルに掛け算する。火力ボーナスは有効で、射程倍加で命中率と同じ修正を受ける(不自然ではあるが、スキルボーナス分だけが影響を受ける)。狙撃を試みるときの被命中は、伏せた姿勢と動けないことで相殺して修正なしにしておく。非戦闘状態(戦闘ラウンドが開始していない)状態のヒューマノイドへの狙撃は1点、拘束されたり睡眠薬を飲まされるなどして動けない対象ならさらに1点、命中判定の1の位を多く動かせる。メカへの狙撃も(命中判定の1の位でなく細部命中表の出目を動かすだけで)上記に準じるが、戦闘状態なら移動REF/20−重量ナンバーの修正ができ、機動回避の成功でさらに狙撃効果を相殺できる(SR1/3の狙撃をSR1で機動回避したら動かせるのは1点になる:ゼロにはなるがマイナスにはならない)ことにしておこう。戦闘状態でなく常識的な移動をしている場合はプラマイゼロ、戦闘状態だが移動不可能or非戦闘状態でかつ停止状態なら1点多く、非戦闘状態で移動も不可能ならさらに1点動かせることにしておく(移動不可能時に被命中+60でDCを失うルールと重複する)。格闘戦ルールの修正ファクターは使用しない。

狙撃のARは廃止してスキルロールのみとし、心理ダメージで命中率にペナルティがある場合2倍の効果とする(狙撃自体はできる)。対象がなんであれ、10m以内とショットガンやロケット類による狙撃は一括でできないことにする。複数人が狙撃を選択した場合、通常射撃(REF順)>行動を遅らせた通常射撃(REF逆順)>狙撃(REF順)>行動を遅らせた狙撃(REF逆順)>行動をさらに遅らせた通常射撃(REF逆順)と処理する。すでに戦闘状態の対象への気付かれないままの狙撃は、普通に上記の手順を踏む(行動を浪費するつもりで警戒していた敵対者のみ反撃できる)。カモフラージュ(ストーキングではない)に成功して気付かれないまま戦闘状態にない対象を狙撃した場合、戦闘ラウンドを射撃フェイズから開始して、戦闘開始のきっかけとなった狙撃を最初の行動として扱う(つまり敵対者全員がそのラウンドのうちに反撃できる:が、正確な位置はわからないと思う)。固定物への狙撃は、大きさを人間の頭くらいとか胴くらいなどと指定して、非戦闘状態で拘束された人間への狙撃と同じルールで処理する(たとえば頭サイズなら、命中判定で頭命中にできなければ外れ)。人間の頭より小さいものはGMの勘でSR1/2とか1/3とか、人間のよりも大きいものは非戦闘状態で移動不可のメカと同じ扱いでよかろうか。筆者としては、大口径キャノンとか大型メカのドライブなんかは狙撃の直接対象にしてもよいと思うのだが、重くなるので一律不可としてもよい(可能にするなら、大きさと動きの程度を上記を参考に適宜決めればよい)。

このルールを使う場合の火器の性能例を一覧にしておく。武器分類としてII類2狙撃銃とIII類2対物狙撃銃を新設して、従来のスナイパーライフルを削除する。もし狙撃スキルを廃止しない場合、これらの火器は狙撃スキル(または小火器や重火器スキルの半分)で扱う。狙撃サイト相当品(ハスラー以外でもSAリンクすればサイバー狙撃サイトと同じ効果を得る)、II類2は小型脚(ENC4の$500、ライフルに取り付けるタイプはENC+2の$800で命中修正-20、通常射撃には効果なし)、III類2は大型脚(ENC7の$1,200)を使う前提。狙撃でない射撃では一番遠い射程倍加を使用不可とし、狙撃スコープ相当品と脚固定を併用した狙撃(これを正規狙撃と呼ぼう)以外は最終命中率に1/2のペナルティを課す(通常スコープは有効だが1/2修正は消せない:狙撃スコープを通常射撃に使う場合も1/2ペナルティ)。たとえば、スキル200%の狙撃スコープつき5.56mm自動狙撃銃にSAリンクして、500m距離のSR1正規狙撃をすると(200/3+30)=96%の成功率で火力ボーナス33点、サイバーアイを使って300m距離の通常射撃をする場合(200/2+0)/2=50%が命中率、火力ボーナスが50点になる。

種別火力ENCHP回数命中修正追加被害価格実質効果限D
5.56mm自動狙撃銃II類2107150@20m0@50m-10@100m-20@200mなし$1,500人○物△15
レーザー狙撃銃II類210516+10@20m+10@50m-10@100m-50@200mなし$18,000人○物△15
12.7mmサイボーグ狙撃銃III類2501111-50@50m-40@200m-60@500mなし心-2シフト1$3,500人○物△20
12.7mmサイボーグ狙撃銃III類2501417-60@50m-60@200m-90@500mなし心-2シフト1$4,000人○物△20
レーザー対物狙撃銃III類2401814-70@50m-110@200m-170@500mなしなし$45,000人○物○20
20mm対物自動狙撃銃III類2702523-100@50m-90@200m-130@500m-160@1000m心-3シフト2$7,000人○物○25
上記のうちレーザー狙撃銃(レーザーレベル1)とレーザー対物狙撃銃(レベル2)と20mm対物自動狙撃銃については射程の倍加を2倍までに制限(通常射撃に使う場合倍加できない)、バランス調整のためVIII類のロングライフルとロックガンに3倍の射程倍加を認める(上記と同じルールだが、準精密作業アームの制限に引っかかるので狙撃には使えない:準精密作業アームを使った狙撃についても、一番遠い射程倍加を認めないペナルティをつけておきたい)。HPが1になった20mm対物自動狙撃銃は通常射撃にのみ使える(修理は可能)。弾薬は5.56mmで10発$200ENC1、12.7mmで5発$500ENC2、20mmで1発$300ENC1、レーザー狙撃銃は.22calブラスターと共用、レーザー対物狙撃銃はレーザーライフルと共用、特殊弾は使えないとしておこう。上記以外の単射火器で狙撃を行うのも自由とする。

20mmにボルトアクションを用意していないのは、もともと大雑把な精度しか出ずボルトアクションにする意味がないからということにしておいて欲しい(実機だと、エリコンFF20mm対戦車型は機関銃からの改造、ゾロターンS-18/100シリーズも基本構成は機関銃、カールグスタフpvg m/42は無反動砲、ラハティL-39はセミオートとフルオート両方ラインナップ、九七式自動砲はセミオート、ボルトアクションはアンツィオMag-Fed20mmくらい、のはず:重量級のサイボーグが、おそらくは四肢にスパイクとか仕込んだうえで伏射するなら、一人運用できてしまってまあいいんじゃないの、と思う、2150年の技術があれば)。サイボーグライフルと同様ENCと値段2倍で改造するとメカにも積める(筆者のルールだとバインドかターレットにしなければ積めないので、都合100点のENCを消費する:命中1/2ペナルティはやはり消えないので20mmバルカンの方がずっとよいものの、値段は安い)。対人火力が酷いように見えるかもしれないが、高いスキルで撃つとHMGの方がもっと酷いので気にしなくてよいと思う(射程の長さは脅威だが、そもそも、メカが使えない状況で400m超の対人射撃をする状況なんてほとんどない:市街地でこんなものを使った狙撃をするなら、建物にミサイルでも撃ち込んだ方が早いだろうし)。

実銃では12.7mm弾での対人狙撃が3500mに迫る勢い(2017年6月にカナダ軍の狙撃手がTAC-50で3450m先への殺害射撃を成功させたそうな)、2000m前後での狙撃例はざらにあるが、これらは精密な観測があってこそのものなのだと思う。メタルヘッドの世界は異常気象だの航空and宇宙技術の制限だのがあるので、12.7mmで最大1500mという制限はそう突飛な数字ではないと思う(もし突飛に感じられたとしても、上記ルールでもかなりゲームバランスを動揺させるはずなので、スペック変更には慎重を要する:というか、こういうこと考え出すと広い屋内(地下街の廃墟とか)での狙撃はどうなのよとか、ヤブヘビな問題が出てくるのであんまり考えたくないのが正直なところ)。なおTAC-50は(少なくともカタログスペック上)突出した性能で、有効射程が3750m、精度も0.5MOA(=0.5/60度=1/120度、つまり1000m先での集弾直径が15cm弱:およそ0.15mil=0.15ミリラジアンくらい)レベルだという。M82やKord重機関銃の有効射程が2000m、M2も有効射程2000mで最大射程(多分、上方45度に打ち上げたとき弾が届く範囲なんじゃないか)が6770m。

筆者としては狙撃ルールもある程度整備した方がよいとは思うのだが、凝りすぎると、ネットライナーの一人舞台と同様バウンサーの活躍の場が他のPCから離れてしまう可能性があるので注意して欲しい。威力の距離減衰とか集弾ばらけによる部位狙い無効化とか、考慮したいけど絶対重くなるよねぇ。


狙撃されるならアクティブ防護もいるよね

狙われたときにある程度自動で防護してくれるアクティブ防護システム(APS:実在のものだとトロフィーとかC-RAMとか)も必要になると思う。

いちばんお手軽なのはCSDを作動させるもので、レーダーやレーザーの照射を感知したらとりあえずで煙幕が出る。それだけだと自分の居場所を知らせてしまうので、無人(AI運転か有線リモートコントロール:有線の扱いはこれまた面倒ではあるのだが、できないとするのは不自然だろうし、悩ましいところ)のデコイを用意するべきだろう。ハンターチームでは密集陣形を取らないことが多いだろうから、大胆なアクティブ防護(ジャイアントショットガンをぶっ放すとかフラッシュグレネードを焚くとか)もアーミーなどと比べれば使いやすいはずだが、やりすぎるとゲームが無駄に重くなる。前の項でも触れたが、アクティブ防護を掻い潜っての狙撃(まず相手の近くにある複数の障害物を対象に測量開始とか、照準器で簡易測量とか)をやりだすとバウンサーの行動がチームから突出してしまうので、ほどほどがよいと思われる。

ミサイルの迎撃はIMPがあるし、そもそも対戦車ミサイルの種類が少ないので追加しなくてよいと思う。電磁装甲(電磁パルスシールドのことではなく、装甲板自体をぶっ飛ばして弾体を破壊しようという愉快な装置:散弾や榴弾などによる迎撃と違い、相手が徹甲弾でも効果を期待できる)が実用化されるかどうかは知らないが、設定的にメンドクサイので無視してしまおう(どうせリアクティブアーマーで防げちゃうし)。

ミサイルの迎撃で言うと本来のルールの80mmビームスプレーが完全に狂った性能なので、IMPなんぞで撃ち落とすよりスプレーしまくった方がずっと簡単なはず(というかルールに設定されたミサイルが全部ゴミになるレベル)なのだが、この際それは知らん振りということにしたい。狙撃対策にはコンバットシェルを飛ばして反撃するのが一番なのではないかと思われ、夜間などで迂闊に動けない場合はまずフラッシュボムでも撃ち込むことになるのだろうか。


AIへの指示とSAリンク拡張ルール

筆者の勝手な理解ではあるが、サイバーリンクは基本的に(中間のハードウェア層はシリアルにするべきだという主張はすでにしたものの、人間側の知覚として)パラレルの直接処理であり、たとえば運転と射撃を同時に行ったりできる。これに対してSAリンクをシリアルの間接処理として設定したい。

もっと細かく言えば、全意識的な情報が本来の情報処理(手足を動かしたり目や耳を使ったり)に取って代わるのがサイバーリンクで、複数の機器のパラレルな操作を統合して1つのタスクをこなす。たとえば右手に箸と左手に茶碗を持って口を動かしてものを食べるようなイメージ。いっぽう根元(人間側のジャックよりも脳寄り)でシリアル化された情報をやり取りするレイヤーを1枚追加するのがSAリンクで、情報はあくまで付加される。たとえばタッチパネル付きのヘッドアップディスプレイみたいなものを使っているようなイメージ(この解釈だと小火器SAリンクのスキル倍加がかなり奇妙なのだが、すでにあるルールなので放置する)。

BクラスAIとのやり取りはSAリンクを介して行うのを標準として、AIに繋がった各機器の操作は(PCがAIに指示を出すことはできるものの)あくまでAIが行うということにしたい。SAリンクを介してAIに複数のタスクを行わせる場合も、たとえばAIに運転と射撃を行わせようとするとき、人間が意識するのはAIへの指示だけである(これに対してサイバーリンクでは、ハンドルをこっちに切って狙いをここにつけてとすべて人間が処理する)。ハスラーによるSAリンクはこの制限を(SAリンクによる操作を他の身体動作と同じレベルまで使いこなして)乗り越えてしまうものだとしてしまおう。AIに細かく指示を出すことで技術的な向上(ゲームの表現としてはスキルの上積み)ができないかなという検討の余地はあるが、ゲームバランスの崩壊が怖いので知らんぷりしておく。

ということで、持ち回り品ないしサイバーレッグに収納して持ち歩いているAIとは常にSAリンクしているのが通常の運用だとしたいのだが、いくつか確認しておかなければならない設定がある。まず、サイバーリンクと共通としたSAリンクのマシン側インターフェイスは、どのジャックをSAリンク用に使うかも動的に切り替えられる。たとえば、AIと小火器の両方に接続した状態で、AIの操作から小火器の操作へとSAリンクの対象を切り替えることができる。完全な体内設置にした場合、人間とAIの間は体内配線として、外部用のジャック=イン端子を通常の(=人間がサイバーリンクに使う)端子の隣にでも設置することにしよう。頭部と胴部がSUV:Sなら胴部へのAI収納(ただし1台まで)も許していいのではないかと思うのだが、生身のPCがAIを持ち歩くのは取り回しが悪そうである。ENC3なら拳銃くらいの大きさだからホルスターみたいなものに入れておけばよいだろうか(線が多少邪魔なのは仕方ないと思う:ルール的なペナルティがあるわけじゃないし、まあいいでしょ)。

上記のモデルで考えると、少なくとも全身SUB:Sのサイボーグについては、SAリンクを使って身体器官の情報を外部出力することも可能なはずで、そのためのサイボーグ用情報ユニットを提案しておく。接続としてはAIと人間の間に設置し、本体センサーからの任意の入力を記録ないし出力可能、ジャック=イン端子から外部データを取り込むこともできる。保存したデータは本体の知覚にもジャック=イン端子で接続した機器にも出力可能。単体では高度な演算能力を持たないが、人間の脳と情報ユニットをSAリンク、情報ユニットと他のコンピュータ(BクラスAIなど)もSAリンクという形の連結により、人間の知覚としては情報ユニットとAIが合体して1つの知覚対象として認識できる(対象が増えたのではなく大きくなった扱い:単純にAIの性能が上がったor機能が増えたように感じる)。ENCなしの$4,000で、体内に埋め込まずに運用する場合はENC2で$3,000。サイバーパーツと同じ購入ボーナスを適用するがネットライナーも半額で買える。

この情報ユニットを使用している者同士は、簡易な有線接続(マッチ箱くらいの中継器を用いるが、サイバーリンク用のケーブルと同様、誰でも普通に持っているレベルの日用品で、価格やENCはとくに設定しない)を使って相互に情報のやり取りができる。この通信自体はSAリンク+情報ユニットを介さず普通のサイバーリンクでも可能だが、いちいち身体が仮死状態になるのは不便なので、カジュアルな情報交換手段として利用するのはSAリンク機能を常用している者に限られるのが普通、としておこう。安全確実かつ正確な情報伝達が素早くできるため、ハンターチーム内では音声会話よりも重宝される。

なお、セキュリティ上の問題(見聞きしたデータを盗まれると面倒なことになる)があるので、SAリンクのネットワークは階級的(下位の機器は上位の機器にアクセスできず、上位の機器は下位の機器に一方的にアクセスできる:BSD系OSのjailを独立リソース前提で作り直したような感じ)になっているとしよう。乗っ取りは相当難しいはずで、悪くしても体内のBクラスAIのサンドボックスの中をゴミデータで埋められる程度だと思われる(なおサイバーリンクの方はというと、触っているレイヤーがかなり低いため、こちらも乗っ取りの対象とはなりにくい:対人のサイバー攻撃は、周辺機器を狂わせて誤った情報を流したり、あらかじめ乗っ取っておいた機器を使わせて意図しない結果を強要したりといったものに限られ、もっとも直接的なものでも(ポケモンショック的な刺激などにより)不快感を煽る程度で、それも簡単にフィルタないし遮断できる)。


偵察メカも欲しいよね

ルール的に偵察がものすごく重要なのにもかかわらず、その手段がまったく用意されていない。無線メカを出すと扱いが酷いことになる(無線通信が役立たずになっていないと成り立たない設定が満載されているのは、メタルヘッドに特有の事情ではなくこの手のゲームのお約束)ため、有線メカを提案しておく。

有線ミニチュアバギー:バギーとはいっても、モンスタートラックとかビッグフットとかロックバギーなどと呼ばれるタイプのもののミニチュア版。全長40cmくらいの本体に250mの通信ケーブルを巻きつけたリールとビデオカメラ(本体でも操作元でも録画機能なし、暗視装置つきは$100プラス、本体録画可能な機種は$10プラス)を積んでいる。操作ユニットにSAリンク(ハスラー以外でも可、サイバーリンクでも操作可能)して地上車全般機能で操縦する。本体は自前のバッテリーで動きケーブル(グラスファイバー製)は通信にだけ使う。本体(リールとバッテリーを搭載してもENCは変わらない)がENC8の$400、予備バッテリー(充電可能で3時間持つ)がENC3の$150、操作ユニット(バイクなどから電源を取るか、本体用のバッテリーをもう1つ用意して動かす:メカとの通信ケーブル、SAリンクジャック、データメモリー用スロットを備える)がENC4の$1,200、ケーブルとリールのセット(使い捨て)がENC4の$50。本体はMV6(オンロードでMV12)。ランドブラスターとバウンサーは半額。

地形が複雑だと転倒する(階段の上り下りや瓦礫の山を越えるときでSR1/2くらい)ことがあり、ひっくり返っただけなら丸いフレームの助けを借りて元に戻るが物音はするだろうし、ケーブルが絡む(ファンブル)と動けなくなる。偵察が済んだら本体は物陰に隠し可能なら回収するが、近くで銃撃戦が始まると壊れることがある(近さや隠し場所により10~30%くらいかな)。攻撃対象をカメラで捉えていれば劣化版のFIS(命中+20%)として働く。野営前の地形チェックなどを「重い」と感じないのであれば、ミサイルの隠れ撃ちもアリかもしれない。その場合、相手の宿営地がわかっているなら、後述する1000mケーブルを先に敷設して単体カメラ(ENC1の$100)だけ設置しておいてもよいし、ダブルリールのケーブル(価格やENCは1000mリールと同じ)を使って付近に潜ませることもできる。ただし、通信距離は1000mが限界としておく。

有線ミニチュアポケットタンク:ポケットタンクの兵装をカメラに取り替えたような恰好はしているが、遠隔メカというよりはCSSの派生バージョンとして使う。操作ユニットは不要でSAリンクケーブルを引き摺ったまま走り、パッテリーも市販の電池(ENCや価格は設定しない)で15分くらいしか持たない。多少の段差は乗り越えるがインドア専用(オンロードなら屋外でも走れはする)で階段の上り下りはできないし、手榴弾を乗せて運ばせるくらいなら手で投げた方が多分早い。ENC4(全長20cmくらい)の$250。バウンサーのみ半額。

有線ミニチュアインセクター:全長60cmくらいの6脚インセクターにビデオカメラと1000mの通信ケーブルを巻きつけたリールを乗せたもの。本体がENC25の$3,500、予備バッテリー(1時間しか持たない)と操作ユニットはミニチュアバギーと共通、ケーブルとリールのセットがENC20の$200、リール搭載状態の本体(ENC35)と操作ユニットと予備バッテリー1本をまとめて収納できるケースがENC30の$250でHP2(効率的に収納できるためかさ張りが減るとともに、兵装TPを使ってバイクなどに搭載できる:もちろん貨物としても積める)、中身全部入りのケース付きセットが$5,000。本体はHP2のMV3/12で車輪移動はオンロードのみ可能、走破性が高く瓦礫の山でもSR1程度で超えられる。リールを積まない場合は貨物TP10の運搬メカとしても使えて、BクラスAI搭載キット(リールの代わりに操作ユニットとAIと予備バッテリー1本を積むための箱:中身が入っていても空でもENC10)は$500。ランドブラスターのみ半額。

ミニチュアアクトポッド:全長40cmくらいの4脚アクトポッド(に見えるが稼働時間などは普通のサイバーパーツとの中間くらい)。有線メカではなくAI用ボディ。タイプM(脚移動のみ)、REF20(ただしメカの操縦や射撃にはREF0を使用:あくまで本体の機動力を表す値)、MV5、STR5、HP3(メタ=カーボンではないし、フレーム改造もできない)、TP0(AIを収納するスペースは別にある)、固定装甲A20/60%(弾・レーザー・火:対物扱いでない)。AIの教育込み$15,000、荷物として運ぶときはENC16、ジェリカン1/10のリンゲル液(他のメカやサイボーグのメンテナンス時にちょっともらえばよいことにして、実際には消費しなくてよい)で3日動く。全員定価販売。


シェルキャリアが不遇すぎる

性能が低いのは仕方ないが、エンジンが電気固定なうえカーゴ用重量ナンバーの説明でも無視されていて不憫である。

この際なので、エンジンスペース2,3、重量ナンバー2、オンロードタイヤによるMV修正は2倍、シェル搭載スペースを潰す/復元する工賃は$1,500(潰すとTPが200点でき、シェルのハードポイント(にハードパックを取り付けた状態)と同様に扱い、100点+100点に分割し兵装命中時にも独立して扱えるセパレーターを$500で販売する)、兵装TPを削って貨物TPに回した場合運転席からアクセスできる場所にものを積めるとしよう(かなり自由な感じだが、いいでしょ、シェルキャリアだし)。シェルの積み込みは慣れていれば1分くらい、発進は(すでに中に人が乗っていれば)3ラウンドでできる(1ラウンドめにシェル被弾に対するキャリアの装甲が無効になり、2ラウンドめから別メカ扱い、3ラウンドめから通常行動可能:あらかじめハッチを開放しておけば1ラウンドめを飛ばせる)としておく。なお、マザーグースのキャリア部分は前後に分かれており、左右にスライドドアがついていると勝手に決めよう(両方をハードッパック化したうえ追加費用を$1,000かけると、貨物TP400の箱つきトラックにできる)。

他のメカでは搭載したコンバットシェルへの命中が設定されているのにシェルキャリアだけないのは不公平なので、細部命中表を、1~2シェルまたはハードパック、3~4シェルまたはハードッパック、5~6本体、7エンジン、8ドライブ、9兵装・貨物、0乗員とする(ハードッパック自体は壊れない)。あわせて、ファイティングアミーゴのラックは側面命中時に1~2、後面命中時に1~4、上面命中時に1でシェルに命中、卵王は前面命中時に1と2、側面命中時に1~3と4、後面命中時に1~3と4と5、上面命中時に1と2と3で、それぞれ見えているシェルに命中することにしてしまおう(搭載方法に関わらず母機の装甲は有効だが、母機のメタ=カーボンは母機への本体命中にしか効かない)。どれも、命中位置にシェルを積んでいなかった場合は本体命中になる(卵王のラックが空いていたらヒロポンでも積んでおこう)。ファイティングアミーゴのラックからの発進はシェルキャリアと同じ手順、卵王への再搭載は3ラウンド(2ラウンドめから搭載扱いだが、ちゃんと固定されるのは3ラウンドめの開始時)でよいだろうか。ブースター燃料のスピード補給はなかったことにしたい。

シェルキャリアならではの利点として、アクトポッドを搭載できることにしてしまうのはどうか。野戦に晒すとやたらと脆いメカだし、キャリアに積んだくらいで万全に安全かというとそんなことはないため、まあまあ面白そうな案に思えるのだが。さらに調子に乗って、簡易寝台(性能的にはパラダインプラスの仮眠室と同じ)をENC100の$1000(ただしカーゴとシェルキャリア以外に積むときはTPを2倍消費、シェルキャリア以外に積むと寝ている人は貨物扱い)、もうちょっと豪華な普通の寝台(カプセルホテルのカプセルみたいなもので、パラダインプラスの遠隔操作ユニット相当のリモコンユニット、座席として使うときのためのリクライニング機能などを備え、手回り品と別にTP50までの荷物を持ち込める)をENC200の$3,000くらいで販売してもよいかもしれない(これもカーゴとシェルキャリア以外ならTP倍消費、シェルキャリア以外に積んだ場合中の人は乗員扱い)。グランパに限りシェルキャリア化が可能で、工賃込み$5,000とTP500を消費して、メンテナンスベッドや搭載ハッチなども含めシェルキャリアと同等機能のシェルボックスを(車の中に)積めるものとしてしまおう(被弾時の扱いはファイティングアミーゴと同じだが装甲有効)。

ついでなので、カーゴくんDXは上記の寝台4人分+節水シャワーユニット(サイボーグがフロに入る必要は多分ないだろうが、ミュータント細菌や放射性物質対策で長距離移動には有効だとしておく)とTP200の共用ストッカー(食料や日用品などのENCをイチイチ考えないために導入するもので、真面目に計算しなくてもよい)のセットが標準搭載され、ノーマルカーゴくんに積む場合はTP1000の$12,000としておこう(安全性と利便性を考えて両脇がシャワーとストッカーになる配置でカーゴ最前部に積むのが普通だが、ルールではケアしない)。同様に、メカとシェルとサイボーグに対応したメンテナンスユニット(電源ユニットつき)がTP1500の$8,000、引き込みタラップがTP300の$6,000、メカ搭載スペース(固定装置込み)を重量ナンバー4点分でTP1500の$4,000、重量ナンバー2点分でTP800の$2,500とでもしておこうか(これらはカーゴ以外には積めない:というか、TPを移したKKKロワイヤルに積まれるとたいへん困ったことになる)。単体電源ユニット(水素エンジン用の水素化合金ペレットを10パック内蔵できる燃料電池兼燃料ストッカー:電磁パルスシールドやレーザー兵器はハイアンペアの特殊な1次電池を使っていることにして、兵装への給電は認めない)は燃料込みTP200の$1,000でカーゴとシェルキャリア以外に積むときはTP2倍消費。護送用の安全カプセル(他の寝台と同じTP命中の扱い)をENC200の$7,000で装甲板専用TP100点、高級安全カプセルをENC200の$180,000で電磁パルスシールド相当の装甲(ただしバッテリーの持ちは3回分で替えバッテリーはENC20の$4,000、電池が切れるとただの箱で装甲0:カーゴ内の電源ユニットが無事である限りはバッテリーではなく外部給電で動く)で用意しようか。これらの装備にはHPを設定しない(カーゴくんDXの内装と同様兵装命中の対象にならず、カーゴが大破しない限り壊れない)。


トレーラー類が大雑把すぎる

この際なので、コンテナ輸送ルールをデッチ上げてしまいたい。まず主役のコンテナだが、規格品として小(前述のシェルキャリア用ハートパックと同じもの:収納サイズはとくに定めないが、ハコつきの軽トラくらいのノリで、モノバイクくらいならバラさずに積めるかもしれない)、大(ノーマルカーゴくんと互換:外寸は縦6m横2.5m高さ2.5mくらいで、実在の20フィートコンテナとほぼ同じ、収納サイズは50でコンテナ自体の能力としては30トン積み、自重2トンくらい)の2種類を用意する。カーゴは台車+箱+コンテナの3部分(ノーマルカーゴくんの場合それぞれ$10,000、DXのコンテナ部分は$20,000:以下カーゴくんシリーズを台車抜きで買うときは$10,000引き)からなり、台車の上にコンテナを固定して箱をフタのように被せることで、1台のカーゴを構成する(載せ替えはクレーンがあれば箱とコンテナ各15分くらい、カーゴ丸ごと繋ぎ替えなら5分もかからない)。HPとDCとCPは台車、兵装と装甲は箱、貨物と乗員はコンテナの性能に依存する。

積載量のボトルネックはトラクター(前の車)で、オフロード走行を含む前提だとサイズ5エンジンの限界が総重量40トンくらい(機動力を最大限に発揮できるのは20トンくらい)じゃないかというのが出発点。トレーラーの重量構成として、トラクターと台車と箱と荷物が各10トンくらいというのが(ちょっと非効率に過ぎるのだが)オフロードありで装甲付きの箱を引っ張る前提なら妥当かなぁと思える(実在車両だと73式がトラクター10トン+トレーラー8トンくらいなので、箱と装甲板と兵装をプラスしたらそんなもんじゃないかという当て推量、M1070はトラクターだけで20トンくらいだが、このクラスだとエンジンサイズ6が適当だと思う:HEMTTなんかは総重量50トンくらいまで対応して384KWのエンジンでゴリゴリ走るみたいだから、ちょっと余裕を見た感じではある)。完全非武装かつオンロード専用にするなら、普通のトラクターでも30トン満載のコンテナを積んだ台車を引っ張って問題なく走れる(非武装輸送ではありふれた運び方:ただしノーマルカーゴくんをこの用途に改造するのは非効率で、専用の台車を使うのが普通)。そもそもカーゴの積載量があまりにも少ない(TP入れ替えをされるとKKKロワイヤルにアッサリ負ける)のがおかしいのだが、今更言っても始まらないので、上記の説明でわかったことにしてしまおう。

ノーマルカーゴくんとカーゴくんDXの台車が共通なら箱の載せ替えでDCが変わるのが奇妙だが、台車本来のスペックはDC70で、DX用の箱やコンテナ(ノーマルより大きいか重い:多分後者)が載るように改造するとDCが50になる、とムリヤリ説明しておきたい。改造費用はDCを10増減させるごとに$1,000で、当然ながらDC70が上限(台車と箱をセットで買う場合、箱に適したDCまでの改造費用はセット価格に含まれる)。カーゴくんDX用の台車にノーマルカーゴくんの箱を乗せるのは自由(DC50以下まで改造した台車ならノーマルのコンテナもDXのコンテナも乗る、という解釈)。箱を載せず台車単独で引っ張ることも可能で、ノーマルカーゴくんの台車ならTP0/3000(積載効率が下がるので箱付きよりも減る)、シャンハイカノンの展開時と同様装甲0%になる(TPを移して火器を搭載することは可能)。カーゴくんシリーズの(台車の)フレーム改造は、種類に関わらずノーマルカーゴくんのセット価格基準を原則としておこう(特殊カーゴは勘で数割増しにしてやればよい)。筆者としては、重コンバットシェル(重量ナンバー3扱い)とインセクターはカーゴの搭載スペースを4消費すればカーゴくんDXにも乗り、ソルシェ(重量ナンバー1扱い)とマルクス(重量ナンバー2扱い)は搭載スペースを2消費する(どちらも収納時はシェルモードにする:少し省スペースになる)、としておきたい。筆者のメカサイズルールを用いる場合、カーゴくんDXの余剰収納サイズは40点とするが、余剰積載量は8トンちょいである(まあ多少ナアナアに運用しても構わないと思う:ただし装甲車とホバータンクは寸法的にカーゴには入りっこないので不可)。

筆者の燃料ルールを採用する場合向けに、重量ナンバー2または3のメカ1台をむき出しで搭載できるシャンハイキャリーを$90,000で販売する(重量ナンバー1と2で合計2台積むのは不可だが、重量ナンバー1を3台ならムリヤリ積める:他のカーゴと違い輸送機能だけで、メンテナンス設備などは付属しない)。筆者のメカサイズルールを用いる場合も、ホバータンク、装甲車、モビルマスター、フェアリー、中型まで(スカラベ以下)のヘリが問題なく載る。台車はDC0の専用品で、タラップ、固定装置、幌などが付属、TP(貨物兵装両方)はゼロ、それ以外のスペックはカーゴを展開したシャンハイカノンと同じ。また搭載状態でのオフロード走行はREFとMVに1/2のペナルティを得る(バイク2台とか、明らかに軽いメカなら大丈夫)。細部命中表は1~3本体、4~9搭載車両、0ドライブ。発進搭載は3ラウンド(2ラウンドめから別メカ/搭載メカ扱い、発進の場合3ラウンドめから自由移動:スタンバイしてあったヘリなどは例外)、停車していなくてもSR1で発進できることにしておこう(走行しながらの搭載はオフロードでSR1/2、カーゴの進行方向と逆を向いてのスクランブル発進はオフロードでSR1/4くらいかな)。停車かつタラップが降りた状態かつ前向きに台車を降りるなら、普通に1ラウンドで発進し自由に行動できる(通常の移動と同じ扱い)。台車に乗せたままの射撃はトラクターのREFをメカREFとする(射界とかはとくに制限しない:いいじゃないの、メンドクサイから)。このメカをルールに導入する場合、カーゴの天井にヘリを積むルールはなかったことにする。

さらに、バトルトレーラーのTPを3000/1500+搭載車両と乗員全部消費し、大コンテナを2つ搭載できるようにする改造も$100,000で用意する(元に戻すのも同じ費用)。搭載方法は普通のトレーラーと同じで、コンテナを台車に積んでから箱を被せる(箱は前後分割になっているが、ルール上は意識しなくてよい)。細部命中表は変化しないが、兵装・貨物・乗員を振ったら1D10して、0~1が本体、2~5が前コンテナ、6~9が後コンテナに振り分けられる(乗員のいないコンテナなど、無効な目が出たら振り直し)。前後のコンテナ間は必要に応じて通行可能にできる(改造費用はルール上無視)が、両方のコンテナに加工を施さないと有効にならない(半分を輸送に使う場合、前のスペースを荷主のコンテナ、後ろをメカなどの搭載スペースにすることもできる)。余剰積載量はメカ全体で60トンくらいあるものの、前後スペースを連結してもホバータンクや装甲車やモビルマスターは搭載できない(横幅が足りない:インセクターならコンテナ1つ分に入る)。大コンテナの容量をいっぱいまで使えるため、貨物専用にすればコンテナあたり15000のTPを利用でき、両方貨物コンテナにすればカーゴ6台分の荷物を運べるため、人員面でも燃費面でもコストパフォーマンスが高いが、メガ=シティ間の陸運は軽くて高価な品物(サイバー素子やバイオ素材やエレクトロニクス部品など:普通のトレーラーでもコンテナに満載できる)が大半なので、輸送の主役にはなっていない(普通のトレーラーのようにカーゴだけサっと挿げ替えることができないし、バックアップのトレーラーを用意して不測の事態に備えるようなこともできないなど、デメリットもある)。冷凍コンテナ、流体or燃料コンテナ、丸ごとプラントコンテナなど、バリエーションコンテナも豊富にあるので、テキトーに考えて追加しよう。

これとは別に、ムスカ派生の特殊車両として、TPが1200/0、カーゴだった部分がただの台車になっておりすべての戦車(ないしそれ以下のサイズのメカ:中型ヘリも運べるが、大型ヘリには台車の全長を延長したカスタムタイプを使う)を1台搭載可能、価格$300,000の戦車運搬車を用意する。搭載するメカはむき出しで、普通のトレーラーと同様トレーラーと搭載メカのどちらかを狙い撃ち可能、シャンハイカノンと違ってトレーラーへの被弾に限り装甲は普通に機能する(搭載メカへの被弾には機能しない:トラクターとカーゴの関係が、台車付きトレーラーと搭載メカに置き換わったような感じ)。ベヒモス派生の特殊車両としては、TPが800/200、乗員が4+2、価格が$800,000になった戦車運搬車を用意したい。カーゴ内で簡易なメンテナンス(覆帯交換とか)と燃料補給が可能(TPと別に戦車1台分(筆者ルールならジェリカン100本程度)の燃料タンクを備え、タンクを外せばKKKロワイヤルも牽引車つきのまま収納できる:小型でもヘリは積めない)。どちらも乗降は引き込みタラップを使って1分くらい、普通のバトルトレーラーを改造するのではなく最初から戦車運搬車として注文、台車部分は外寸で縦12m横4mくらいありメガ=シティといえど通常の幹線道路は走れない(郊外を迂回する)。

汎用品の使い回しでなく専用品の戦車運搬車はおもにアーミーで運用されているが、スペック的にはバトルトレーラーの派生車と大差ない(というか、バトルトレーラー自体がMAD規格の戦車輸送車を元に作られたもので、先祖返りをするだけになる、ということにしておきたい)。


高機動戦闘

射撃スキルが200%くらいになると、武器の命中率が意味を成さなくなるうえ基本火力も重要度を失ってしまうことへの対策。マスターズマニュアルP11「SRおよび戦闘時の命中について」の反対のルール。内容は簡単で、移動フェイズに高機動戦闘を行うと宣言(徒歩でもメカでも、誰の合意がなくとも一方的に宣言できる)すると、自分に関わる全ての判定が、SRなら1/2、WIL以外のARなら+10になる(取っ組み合いの肉弾戦の最中にも宣言はできる)。メカの場合操縦者が宣言するとガンナーにも一律で適用される。

自分と相手が両方宣言していた場合射撃のSRは補正が累積するが、射撃する側が宣言したときはスキルが半分になった扱い(スキル240%で火器の命中ボーナス-80%なら、スキル120%扱いで最終命中率40%、火力ボーナスは+20になる)、射撃される側が宣言したときは最終命中率と火力ボーナスが半分の扱いになる(スキル240%で火器の命中ボーナス-80%なら、最終命中率80%、火力ボーナスは+60になる:双方が宣言していたら、最終命中率20%で火力ボーナス+10)。機動回避は撃たれた側だけに関わるので、互いに宣言していてもスキル半分扱いだけ(高機動回避ということで効果は倍加しており、都合スキル半分の効果2倍で、ペナルティやボーナスがついていなければ普段のSR1/2と同じ効果が出る)。

スキルが高くないうちも、能動的行動をせず高機動戦闘を宣言することでパリィ(回避専念)のように使えるし、150%くらいのスキルであれば少し火力を犠牲にして当たりやすい兵器で一方的に攻撃する作戦も取れる(ただし転倒チェックなども難しくなる)。ただまあ20mmバルカンみたいな当たりにくくはないレベル以上の火器にはあまり影響がなく、また重戦車にこれを使われるとちょっと困ったことになるのだが、主力メカが宣言したらおそらく先に随伴戦力を削られるはずで、戦術的にはそれほど強烈なオプションではなさそうにも思う。

夜間行動でも上記と似たような効果が得られるため、昼夜織り交ぜてのシナリオが多いなら選択しない方がよいルールかもしれない。昼間の展開ばかりなら検討してみても悪くないと思う。キャンペーンシナリオならスキルが上がってきてから導入してもよいだろう。


提案ルールの部分的導入

ここまで多数のルールを提案してきたが、もちろん、これらをすべて採用する必要はないし、同時に採用すると都合が悪いルールもいくつかある。またあるルールを採用するにしても、部分的な採用や制限をつけた採用にして構わない。

たとえば複合装甲の例であれば、施工ができる工場を探す必要があるとして入手確率30%扱いにするとか、敵役メカの特権装備(アーミーとか大企業がバックにいる前提)にしてしまうとか、有力なNPCに「自分だけの技術」として提供させるとか、考えようはいろいろとある。

ルールがある程度流動的になるのもやむを得ないゲームなので、なにか不都合があったら「次からはこの処理で」といった確認をしておくとよいだろう。


立ち回りに関する部分


メカと人の立ち位置

コンバットシェルという一発屋が存在するために、戦闘バランスはここを出発点にせざるを得ない。コンバットシェル単機の(とくに対物)火力は大したものではなく戦車キラーには程遠いように思えるかもしれないが、後で触れるように、後方から6機編隊くらいで急襲して弾数の多い武器を乱射するような攻撃なら中戦車くらいは潰してもおかしくない火力になる。PCの場合はもちろん、そういう頭数任せかつ運任せな戦術は取れないわけで、コンバットシェル本来の派手な活躍よりも、もう少し地味な立ち回りが必要になる。

またハンターの任務として戦闘集団の殲滅は(バンディッド相手くらいで)そう多くなく、逃走する重要人物や重要物品の奪取or破壊もゲリラやテロリスト相手に限られるだろう。ゲームを進める上でのメインがどんな任務になるかは別として、ハンターの仕事の大半は、やはり護送や輸送や救助や捜索といったあたりになるのだと思われる。バランスの取れた対応力を目指すなら、高速移動可能なメカ、支援火力の出るメカ、コンバットシェルがチームに各1つは欲しい。序盤の野戦では相手のメイン火力メカがファーストターゲットで、これを沈黙させないと捕獲も撤退も殲滅もままならない。筆者のルールだと中型メカはどこかしらに装甲の薄い部分ができるはずだが、1000m距離から飛び立つと回り込むまでに少なくとも3ラウンドはかかるので、正面からぶつかって後ろを取るのはかなり難しいはず。

シェルの武装はどれも一長一短。総合性能が安定しているのはバスターライフルだろうか。ハードポイント搭載火器として便利なのはやはりガンポッドで、軽さと命中率のよさとタイプAボーナスの恩恵でセンサーなしでもスキル0%射撃で十分当たる5.56mm、手持ちをバルカンライフルにしたとき対物火力を補える20mm、やたらと高いが対策のない相手には効果的なレーザー、安定した使い勝手の7.62mmとそれぞれに得意分野がある。地上に降りたコンバットシェルは戦闘車両を潰せるほどの火力を持たず歩兵や軽車両などを叩く役割になるため、装備もその前提で選ぶのがよい。ハードポイントに余裕さえあるなら、ダミーバルーンパックはもちろん、ドラッグシュートも持っておくに越したことはない。

地上からの支援火力(というか戦力的にはコッチが本命)ももちろん重要で、万能兵器20mmバルカンがサポートしてくれると心強い(ブロックバスターがスティンガーに乗り換えた頃には、このくらいの火器も手に入っているだろうと思う)。このバルカンをバインド(ENC60の2倍:敵コンバットシェルに張り付かれることも想定するならターレットの方がよいが高いので、メカを乗り換えるときにでも検討)で積める兵装TPと相手主力メカの先手を取れるREFの高さを兼ね備えているメカというとやはりガンドッグ(ただしREFルール次第で役立たずになることもある:とくに序盤)だが、どちらかというと(秘密工場やバンディッドのアジトなど)動かない標的向き。追跡や撤退のしやすさを考えるとポケットタンクがやや勝るか。900mくらいの距離で支援している限り、相手のコンバットシェルが飛んできても(数さえ多くなければ)射程に入る前に落とせるので、注意すべきは相手の主力戦闘メカということになる。

序盤にガンナー(との分業はゲームが単調になりやすくあまり筆者好みではないのだが、ダメというほどではない)が必要なルールなら、多くの場合バウンサーかネットライナーが担当することになるだろう。ハスラーがもう1台のメカ(バギーなど)でバックアップすると、野戦がかなり安定する(どうも、メカはチームに1~2台くらいの想定でデザインされている部分があるような気がするのだが、シェルを運ぼうとすると序盤の編成がファイティングアミーゴと卵王の二択になってしまうとか、ホバータンクや装甲車の単独行動があまりに脆くあまりに不自然だとか、メカが大破したときに完全に詰んでしまうといった問題があって、複数メカでの行動の方が無難だと思われる)。


能力値とスキル

前提知識として、サイボーグは、PER、REF、STRを$3,000-18,000で3-18点(プレイヤーズマニュアルP21「ラリーカンパニー日誌9」にあるように複数回強化でき、合計の上限が+18とという趣旨でもなさそうに読める:というか上限+18なら制式フルボーグ以外終盤はクリティカル成長頼りになり、それも面白いかなという気はするが微妙)、INTとEDUを1回$10,000で1D3点、それぞれ上昇させることができる(ヒューマノイドの上限40は突破できない)。サイボーグになっても上げられない能力は、DEX、SYM、WIL、LUC(WILのみドラッグでわずかに上げられる)。

最重要能力値はもちろんLUCで、メタルヘッドの世界ではラッキーマンでないと長生きできない(低くないことが重要なのであって、極端に高い必要はない:筆者は、LUCポイントは0点になるまで使える=残り1点で1点消費することはできるとしている)。高ければ高いほどよい能力値といえばWILで、1シナリオに36回撃たれたりブースターを使ったりしても10シナリオで平均10点しか上がらないので、元の値がいくつだったかは非常に重要。戦闘系のスキルはほとんどDEXを使うため、スキルを広く浅く取ると意外と効く。戦闘中のロールとしてWILを多用するが、数をこなしていると勝手に上がるため挽回ができなくはない。SYMは高いPCがチームに1人いればあまり困らない。

サイバーメモリー手術(INTとEDU)について筆者は、INTとEDUの両方を1D3上げるのではなく、INTを1D3+EDUを1D3と独立して上昇させるものだと理解している(どっちでも大差ないが、その方が雰囲気は出ると思う)。INTの増加に伴ってスキルポイントももらえる(のだと思う)ため、費用分の価値はある強化だと思う。中盤までサイバー化が難しいランドブラスターが低いREFになりやすい(コンバットシェルやサイボーグに対して後手を踏みやすい)ことは、戦術的な影響があるため覚えておきたい。運転手に専念するならREFの優先度を落とすのも手なのだが、過度に分業するとゲームが単調になる恐れがある。

サイバー手術が激安(サイバーアーム2本+サイバーレッグ2本+サイバーボディ+サイバーヘッドで全身SUB:Sになり$9,000、メタルスキンAを全部位に入れて$16,000、STRとREFとPERをカンスト(40まで上昇)させるのに各$30,000くらいだがバウンサー以外はREFだけあればなんとかなるので、その他チョコチョコと費用をかけても$100,000まではかからないし、INTとEDUをカンストさせてもプラス$300,000くらい、バウンサーなら全部半額:脚1本より頭の方が安いんだね)かつ効果絶大なので、中盤に差し掛かる頃には全員フルボーグになっているのが普通の展開だろう

元のルールのメカREF(中の人の能力に関係なく機種で一定)なんかは、ランドブラスターはサイバー化しなくていいよという意図だったのかもしれないが、メカに乗員命中がある限り全身SUB:Sの有効性には疑問の余地がないし、生身の人間をはるかに超えるREFやPERがあれば運転や操縦で有利にならないはずはないと思われる(これらを考え合わせると、戦車や重コンバットシェルやバトルトレーラーは、生身の人間にとってこそ有効なメカなのかもしれない)。


中量級メカとTPとハンター

ランドブラスター4人組(これはこれで面白いけど)とかでないかぎり、ハンターチームがホバータンクや装甲車を本格的に運用するのは、ムリがあるしムダが多い(ランドブラスター+ハスラー+BクラスAIがレギュラー乗員でバウンサーも手伝う、くらいの運用がせいぜいで、主力メカに人が集まると護衛が手薄になるうえ大破時の脱出処理が面倒になり、ゲーム自体も単調になる:すでに触れたように、ホバータンクやポケットタンクに全員一斉脱出が可能な空間的余裕はなさそうに見えるし、脱出できたとしても残ったメカがコンバットシェル1機だけなんてことになったら目も当てられない)。ハンターチームでは基本的に、どうせ万全の運用ができないのでいかに誤魔化すかという点がテーマになる。

ホバータンクと装甲車を比べると、タイプHで当てやすく避けやすいことを踏まえても(装甲%を移せないルールならなおさらに)ホバータンクの方が落ちやすく、攻性の兵器(重武装のメカに先制攻撃を当ててナンボのメカ)といえる。先制攻撃が魅力とはいっても、戦闘ホバーなどの軽量攻撃メカよりは遅いので、それらをシェル(というかソルシェとパラダインプラス)で排除できて初めて満足な活用が見えてくる。30mm機関砲を2発積めるのがホバータンクのアピールポイントで、ハンターチームがせいぜい4~5人の構成であることを考えると火力支援メカとして貴重なのは間違いないが、とにかく脆いので落ちる前提で運用しなければならない(資金面と戦術面の両方でフォローが必要:落ちたら困るメカだが落ちる)。機種としてはレミングが有望で、ブースター(必ず積むべき)を使えばゲイシャロード以外のインセクターに先制できるし、ホバータンク同士のREF競争でももちろん有利。

装甲車は野戦ワゴンの上位機種だと思えばよく、ユーティリティを優先すると便利に使える。戦闘メカだと思ってフルチューンを目指すと効率が悪いが、火力を出しやすいためハマると強烈で、機動回避を人間がやって硬さを稼ぐ選択肢もあるし、相手がキュプロクス程度のサイバー化で、中の人のREFでブッちぎれるなら途端に強みを発揮する。TP入れ替えが$1,000/10点でできることと、ホバータンク/装甲車のエンジンスペースが4,5(インセクターは4)であることから、ウォーライノに揚命EX高麗を積んで限界までTPを入れ替えると、本体価格込み$150,000くらいで1590/300という大きなTPを得られる。これの廉価版として、グランパにリキエル500Sを積んで貨物TPを上げ、限界までTP入れ替えをすると$8,000くらいで855/250のTPになる(装甲%が低いものの、クロムビート版の機動回避ルールを適用するならコストパフォーマンスに優れる:座席を潰して貨物TPを作りさらに兵装TPに回すことも、ルールを素直に読む限りできるはず)。前面番長にするならキングピンIIも有望。ハンターチームでの装甲車の位置付けは戦闘メカとしてよりも、野戦ワゴンより高級なバックアップメカ(普段は無人運用して荷物の運搬や主力メカが壊れた際の移動手段として使う)というのが有望に思える。

インセクターはというと、戦力がルール(タイプM時の機動回避とか、機動回避時の装甲やファンブルの扱いとか、射撃REFの決定とか、シェルビンスクのスクランブルとか)に左右されやすいメカで、取り決め次第といえる。REFの高さ以外に取り柄がない(硬くてMVが遅いポケットタンク的立ち位置)ので、ワンマン運用で中の人のREFが生きないルールならほとんどゴミになる。シュトルムビクにDMWフラクタルを積んでTPをいっぱいまで兵装に振るのが安定チョイス(機動メカ扱いのため、バインドでも即座に後ろを向いて射撃できてよさそう:どうせ乗員1だし真上には撃てないので筆者がGMなら許可する)。シェルビンスクは接近戦で脆いものの高い火力とそれなりのMVが魅力で、シェルを脱出ポッド的に使うこともできる(肩ハードポイントの兵装をドッキング状態で使える筆者のルールだと、中盤以降の使い捨てメカとして圧倒的なコストパフォーマンスを誇る)。ゲイシャロードはシューターダックやオクトボールに対して確かに優位性はあると思うが、落ちやすさの割に価格が恐ろしく高い。インセクターらしいメカではあると思う。フォーチュナは鈍重メカの中では高いREFで戦車や装甲車に先制でき火力も十分、DCの低さがやや気になるが装甲が全面一律なので奇襲に強い。価格が高い(鈍重メカにしてはかからない方)のと運用に人数がかかるのが難点。

貨物TPがゼロのメカはけっこう存在するが、クロムビートP39「貨物と乗員用TP/ENCについて」を素直に読む限り、BクラスAI(ENC3)は持ち回り品として持ち込んでよさそうに思える。火器管制AI(Cクラス)を容易に乗せ降ろしできない設定は、メカごとにAIを買うかBクラスにグレードアップしくれというメッセージだと解釈している。


遠距離兵器

普通に考えて戦車砲の射程が1000mなんてことはあり得えない(2015年現在の実在兵器でも3000mくらいは届く)し、1000mまで至近距離と同じ威力を保っていた弾丸が1001mでポトっと地面に落ちるのも不自然極まりないが、そこはそれゲームなので、現在あるルールで有効な戦術をいろいろと考えてみよう。オート射撃のスキルボーナス半減ルールやレーザー安売りルールなどは採用していない前提。

1000mからの射撃を実現できる火器というと、連射ものでは20mmバルカンと30mm機関砲、単発系ではキャノン類、それ以外だとミサイルかレールガン系になる。この中でバルカンは価格もENCもそれなりに安く命中率まで高く、無効化手段もほとんどない(CSDで1回振り直させても焼け石に水)ため、最初に導入される遠距離火器はこれだと思われる。このゲームでのアウトレンジ射撃は強力で、MV400のコンバットシェルが1000mから飛んでも接近に2ラウンドかかるし、MV100程度の地上メカなら全速接近してもまず射程に入る前に大破する。IV類武器には射程倍加ルールが適用されないため、40mmビームキャノン(高価すぎる)以外のレーザーで迎え撃つこともできない。結局対抗策は、自分も遠距離兵器を積む以外にない。

20mmバルカンは導入期に対抗火力がほとんどなく猛威を振るうが、本当の恐ろしさはその命中率にあり、搭載火器100%のBクラスAIがたった$30,000(バインド搭載のバルカンとセットで$90,000、ターレットでも$130,000)で買えてしまうことから、適宜センサーで補えば火力の底上げが簡単にできる(ジャミングが常套化すると、AIのスキルでも命中率を保てるのはタイプHのメカに積んだバルカンだけになる:タイプHならLRLSは積まなくてよいと思う)。終盤のメイン武装が30mm機関砲になるのは必然だとしても、頭数=火力の世界で人手不足のハンターチームが野戦戦力を望むなら、AIか雇われガンナーのどちらかは必要になる(結局、頭数=火力=戦力なので、優秀な(というかREFが高い)人員をどれだけ集められるかにかかっている:雇う側でサイバー化の料金出してあげてもいいけど、そこまでやっちゃうと「誰でもREF40」の世界になっちゃうしねぇ)。

40mmビームキャノンは唯一1000mまで届くレーザー兵器で、レベル3なのでミラーコートも無効化できるが、戦術兵器として見るとものすごく扱いにくい。筆者のルールだと、スキル210%同士で基本火力が270点になっているとき期待火力が320、機動回避で100点ファイバニウムで100点DCで50点減らすと残り70点で、ノーマルフレームなら3点のメタ=カーボンで1点のダメージになる。つまりレーザーを待ち構えている相手には大した脅威にはならないが、機動回避でファンブルすると40点のどっかんダメージ、メタ=カーボンでも20点もらう。反対に、せっかく撃ってもつまんない兵装(昼間のフラッシュライトとか)に当たるとそれまでで、下手にクリティカルしてハッチが開いても「ああ、そうなの」としか言えない。こういう効果にムラのある武器は、PCが使うと頼りなく、相手に撃たれるととんでもなく面倒である(筆者は、こういうストレスフルな非対称デザインが好きでない)。ただし、実弾兵器でも当たれば落ちるような軽量メカをわざわざ狙う必然性のない火器なので、大型メカの側で実弾防護とうまくバランスを取って対策できれば脅威が減る。ルール云々でなく兵器としての特徴的には、高射砲にこそ用いるべきモノだと思う。

40mmビームキャノンにはコンバットシェルのハードポイントにも(筆者のルールだとバインドにしなければならず20+20+バリアブルフレームが必要だが、最終命中率半分で積む追加ルールも適用すればハンギングで)積めてしまうコンパクトさがあるが、大破の頻度が高いコンバットシェルに高価な兵器を積むのは怖いし、ぶっちゃけキャノンやミサイルなんぞ後ろの連中に撃たせておけばよい(後述の空中戦ルールを使うなら別)。ただ、重コンバットシェル以外のハードポイントTPはバリアブルフレームを使っても最大120(シェルビンスクだけ)で、80までの機種(パラダインIIとパラダインプラス、マルクス、ランスロット、シァバリエ:筆者のルールならマルクスは除外)ではとくに、長射程大火力を望む場合に有効な選択肢ではある(コンバットシェルを脱出ポッドとして使う運用になると思う)。費用的な都合で壁メカ(戦車と重コンバットシェル以外)にメタ=カーボンやファイバニウムは入れにくいので、これを先制で落としてしまう用途には適するのだが、なにしろ本体に当たらなかったときが大変で、けっこうなバクチになる。

55mmオートキャノンは半端な性能で、資金さえあるなら30mm機関砲の方がずっとよいのは明らかだが、なにしろ価格が安い。バギーのTPを少し上げれば積めるため、ハスラーでもランドブラスターが半額バルカンを買うのと似たような時期に導入することが可能で、ライトニングかイダテンにバインドで積むなら本体とエンジン込み$40,000ちょっとで済む。装甲をステンレスにすれば副武装やセンサーを買っても$50,000までかからないだろう。序盤の野戦メカには貴重な選択肢だし、いらなくなったらカーゴにでも積んでおけばそれなりに使える。

105mm以上のキャノンは値段が手軽でHPが高い(80mmビームスプレーが当たっても1発なら耐える)が重く、装甲車、戦車、トレーラー系くらいにしか積めない。105mmをスキル200%で撃つと基本火力が250、戦車以外には十分ダメージが通るが、装甲を抜けない限り一撃必殺の威力はないし、装甲%が低い相手なら30mm機関砲の方がよい。30mmレールガンも似たようなものだがHPの利点はなく、もし拾ったら簡易ホバーザックのコンバットシェルのハードポイントに積んでみてもいいかな、くらい。この手の「効果が不安定」な武器は、敵に使われるといやらしく自分で持っても頼りないため、GMが意図的に敵に持たせることがある(拾ったら遠慮なく使おう)。210mmまたは260mmグレネーダーは、筆者のルールでは丸ごと削除扱いなのでここでは触れない。


手持ち武器

まず、サイボーグはSUV制とHP制で傾向が異なることに注意。前者は単発大火力に弱いが1ラウンドであれば集中砲火に耐えやすく、後者は集中砲火に弱いが単発大火力ならそれなりに耐える。進行が面倒になるので、射撃対象がSUV制かHP制かは無条件でわかることにしてしまうのが無難だと思う。すでに触れたように「限界ダメージ」のルールをHP制フルボーグに適用すべきなのかどうかという話があるのだが、筆者としてはIV類以外には採用した方が無難なのではないかという気がしている。ここを規制しておかないと、スキル押しのサブマシンガンでフルボーグがバッタバッタなぎ倒されたり、スナイパーライフル程度の狙撃で事故死したり、あまり嬉しくない状況になると思う。まあ不自然ではあるんだけどねぇ、適用するの(そもそも「対物」ダメージじゃないし)。限界ダメージをもし無視するなら、筆者のハウスルールである対HP制フルボーグ対物2倍シフトは適用しておいた方がよいと思う。

以下では両方適用して、I~III類は限界ダメージ制限ありでHP制フルボーグへの被害シフトは対物チャートで2倍という前提で話を進める。SUV:Sでも76点以上のシフト2火力が通るとMO、96点でKダメージになり、筆者のバウンサー優遇ルールを使っていたとしても手足が吹き飛べば(少なくともそのラウンドは、重いペナルティまたは)行動不可能になるだろう。HP40点の制式フルボーグが相手でも141点(シフト4なら101点)以上のダメージが3回通ったら即死である。終盤のヒューマノイドがかなり死にやすいバランスだが、これはもうそういうもんだというか、サイバー化でヒューマノイドは硬くなったかもしれないが、火器も相応に進歩していて、銃器で撃たれたら即命に関わるという構図はメタルヘッドの世界でも変わっていないと解釈した方が早そうに思える。ただしHP40点の制式フルボーグが相手だと、96点の火力が通ってもダメージは5点にしかならず、筆者のルールでシフト4扱いでも161点の火力を通さないと一撃では沈黙させられないため、単発大火力攻撃は戦車砲でも使わない限り一撃必殺にはならない。

手持ち火器の対人ストッピングパワーは、サイボーグライフルとレーザーライフルが2枚看板である。サイボーグライフルについては、III類トップクラスの火力と限界ダメージと被害シフトに加え、安定して3発当たるA4発射が可能で、届きさえすれば20mmバルカンとほぼ同等の威力を誇る。とくにSUV制サイボーグに対しては、防具が完全に機能してもKダメージを出せる可能性が高い。レーザーライフルは火力が30点低く被害シフトもないが、対抗手段が限られる。防具で防ごうにも、マグネットアーマーシステムのA100/80%というのはヒューマノイド用防具としてほぼ上限に近く、フルボーグのセラミック装甲(ユーロボーグMのA50/60%よりは硬い機種がありそうだが)にしてもA100(非戦車メカのファイバニウム上限)より硬いものを用意するのはちょっと不自然すぎる。どちらも射程100mではあるが、届きさえすれば一撃必殺に近い。この2つを比較すると、取り回しに優れるレーザーライフルvs対物でも有効打撃になりやすいサイボーグライフルということになるだろう(インドアで使うようなメカはせいぜい70%装甲でHPも低いが、ファイバニウムで消されるのはやっぱり痛い:ここまでジャンケン構図が露骨だと、後出しできるGM側があんまりにもやりたい放題でシラケるのよねぇ)。

他にサイボーグに有効そうなものというと、III類で唯一限界ダメージ制限のないATライフルと、III類で唯一200mまで届く対物○兵器ソリッドシューター(のAT弾:筆者は、ポケットバズーカのAT弾ともども固定ダメージではなく通常命中だと解釈している)、筆者の追加ルールを採用しているときの対物狙撃銃くらいだろう(ソニックガンとかは除外)。このうち、ATライフルは(普通に撃つならサイボーグライフルを3発当てた方が確実なので)狙撃以外での有効活用がしにくい。対物狙撃銃も本来の用途はもちろん狙撃で、アウトレンジ射撃にも使えなくはないが、オープンスペースならメカに乗り込んだ方が早い。そうすると、サポート火器としてはソリッドシューターが頭ひとつ抜けていることになり、特殊弾もそれなりに便利なのでチームに1本くらいは携帯しておくのがよさそう。VIII類火器も含めるならバスターライフルも強力で、命中率100%でもジャムで2発しか当てられないケースがけっこうあるものの、ぶっちゃけ2発当たれば十分な火力で、ソリッドシューターと同等の射程を持つ(対物火力を考えると、届くならサイボーグライフルの方が安定すると思う)。

筆者の近接攻撃ルールを採用していれば、射撃に白兵戦攻撃で割り込むことができる。とくに筆者のREFルールを採用している場合、ヒューマノイドがコンバットシェルに対してREF勝ちできるので、インドアの要になれる(インドアでも主役はブロックバスターってんじゃ、バウンサーがかわいそうというもの)。ただしやっぱりレーザーには弱いので、筆者の追加ルールであるチャフやCSDの屋内使用、爆発物の運用などでフォローしてあげて欲しい。


夜襲と待ち伏せと不意打ち

最初に確認しておくべきこととして、メタルヘッドの不意打ちは一方的な先制攻撃ではない、というか、一方的に先制攻撃されたらそれだけで終わってしまいかねない(不意打ちされても、3秒あって撃ち返せないというのはちょっと不自然だし)。REFにボーナスorペナルティをつけるか、相手の移動フェイズを飛ばせるくらいのボーナスでも、状況によっては圧倒的な差になることがある。ぶっちゃけ、相手メカの種類がわかってから接触できるだけでも相当有利である。ただしルールの組み合わせ次第では、サイボーグがアクトポッドに(もともと天敵だけど)勝ち目ナシになってしまうので、生身かつ屋内の不意打ちのみ優遇するのも手(まあ常識で考えれば、800m後ろに隠れていた敵からの不意打ちと、80cm後ろに隠れていた敵からの不意打ちは、質が違うはず)。

夜襲に関しては、FISを買えるようになると待ち構える側が有利である。というかほとんど夜襲できない。FISの有無に関わらず夜間は移動を避けるのが無難で、メタルヘッドの荒野が500m先の車両を音で判別できるほど静かかどうかわからないが、暗いだけでもカモフラージュする側に有利なのは間違いない(暗視装置ありでも発見の難易度を1ランク上げてよいと思う:暗視装置の有効範囲半分以遠でつくペナルティと累積するが、アクティブレーダーの併用で1段階分相殺する)。IR迷彩とかは話がメンドクサイので、知らん振りしておきたい(すでに触れたシェル用のリモートラジエターとか、あとは化学冷却とかも、まあ導入して悪いわけではないだろうけど)。

筆者のルールなら、PERをカンストさせノクトビジョンを装備したサイボーグは、800m以内のヒューマノイド、1200m以内のバイクやコンバットシェル、1600m以内の軽量級メカを(カモフラージュに騙されなければ)発見できるので、歩哨に立つメリットはそれなりにあると思う(レーダーによるサポートは作戦次第だが、一般には使った方がいいと思う)。夜襲をかける側としても、バイクに乗ったバウンサーが偵察に出て、位置を確認できたら遠距離から(できれば有線遠隔操作で)近くに照明弾でも撃ち込んで嫌がらせするか、翌日の移動経路を推測して待ち伏せするなどの対応になるだろう。FISを使っていない場合、遭遇距離が近距離になるためコンバットシェルが活躍する。

待ち伏せを迎撃する場合、飛んだシェルを先に落とせればそれが理想で、シァバリエが哨戒任務に当たるのはほぼ必須といえる(ブロックバスターとハスラーかバウンサーの2機で運用できると心強い:待ち伏せ相手ならすでに近距離のはずなので、相手の行動に関わらず飛んでしまってよいはず)。相手のシェルにハードポイントの搭載火器を撃たせると被害が拡大するので、射撃REFが51以上でそれなりの火力と装甲がありトレーラーと併走できるMVも持ったメカ(ようするにポケットタンクか野戦バギー、MVに目を瞑るならガンドックやフォーチュナ以外のインセクターでも可)を有人でカーゴの外に出しておきたい。

エンジンを乗せ換えて80mmビームスプレーを積んだサラマンダー(オサフネでもいいが、筆者のルールだと戦闘ホバーは奇襲には使いにくいはず)に兵装を潰されるところまで防ごうと思うと、シューターダックかゲイシャロードが必要になり、現実的にはコンバットシェルが相手シェルの迎撃から外れて対応することになるだろう(手持ち火器は撃たせてもやむを得ないという判断)。人手さえ足りるなら、少し離れた最後尾に有人の戦闘ホバーを置くのも奇襲対策になる。

自分たちが待ち伏せた場合、十字砲火などのボーナスはルールにないので、デコイを使って相手の火力を削ぐのが効果的だと思われる(ただし、発見されなければ戦闘ラウンドをやりすごせるルールが前提:なお筆者の装甲ルールでは側面攻撃の有効性を上げることで間接的に十字砲火のボーナスを設定してある)。CクラスAIを安いメカに乗せて突っ込ませ(あるいは地面に設置した火器につないで射撃させ)、相手が無駄撃ちしたところで攻勢に出る(コンバットシェルが近い距離から飛び立てれば言うことがない)とか、デコイと思わせて実はバウンサーが乗り込んでおり態度を保留している間に撃ち逃げするとか、そんな感じだろうか。

待ち伏せや夜襲をかける場合、そもそも相手が本当に自分の狙っている集団なのかという確認手段に乏しいことに注意。この辺を考えても、強奪や破壊の類はあまりハンター向きの依頼ではないように思える(むしろ防御側に回るシナリオの方が自然だと思う)。反対に、初期の依頼としてあえて人違いで襲撃されそうな(という事情を隠して)輸送をもちかけ、本命のチームが別ルートを走るようなパターンもあり得ると思う。


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ブロックバスターはフルボーグ化すべき

マシンの大破は避けようがない職業だが、どうせ落ちるなら味方の近くに落ちたいので、引き際を見極めたい(といっても、ポーンと事故って落ちてしまうのがコンバットシェルではある)。空中からブースターレッグでの脱出>着地は、(センサースーツは破れるだろうし丸腰で戦場に投げ出されることになるだろうが)すでに触れたように認めてあげたいところ。コンバットシェルの利点をルールから見ると、REF/MVの瞬間的な高さと生サイボーグを上回るSTR+VIII類武器、欠点は中の人の死にやすさということになる。高価な可変型コンバットシェルに手を出すくらいなら、中の人のサイバー化を急ぐべきだろう。

ブロックバスターの初期所持金が$25,000だとして、本体を全身SUV:S($9,000)にすると残り$16,000。最初のコンバットシェルはアルバトロス($4,000の半額)で決まりだろう。ということで$14,000残っているから、装甲はハイ=チョバムをA10で貼り、左腕ハードポイントに7.62mmガンポッド、手持ち兵器は7.62mmLMGあたり。予算があればカンガルー(半額か、悪くても通常価格で買えると思う、たぶん)も欲しい。早いうちにSTRを15まで上げたいものの、頭と胴だけでもメタルスキンAを入れておきたい。他に欲しいものというと、やはりレーザーガンポッドか。初期所持金が$30,000あれば、最初からスティンガーというのもあると思う(が、十分に武装できないまま壊すともったいない)。

コンバットシェルは基本的に使い捨て兵器であって、大枚を叩いて高級機に乗る必要はなく、廉価な機種を気前よく乗り継ぐのが基本なのだが、アルバトロス(名機なのは間違いない)の限界STR25とハードポイントの貧弱さはやはり足かせになる。乗り換え候補はスティンガーだろう。アルバトロスを使い続けてシンセミアor卵王を先に購入する案もないではないが、やはり火力は早く欲しい。オートサムライ、パラダインII、重コンバットシェルあたりにもそれぞれの強みはある(後述)。もう少し余裕が出てきたらミニレーザー(「原則として車載のみ」とは書いてあるが、コンバットシェルのハードポイントに積めない理由はなさそう)も悪くないかもしれない。

スキルはコンバットシェルと重火器だけ突出して重要なため、他のPCの手が回らない分野に余力を回したい。搭載火器(ハードポイントorドッキング型コンバットシェルの母機)はAI任せでもいいかもしれない。


バウンサーは便利屋

設定上はハスラーが便利屋の地位ということになっているが、実際のチームではバウンサーが担当することになる。生サイボーグの戦闘力はザックなしコンバットシェルにも及ばないものの、なにしろ運転/操縦ができる。ブロックバスターがお下がりのアルバトロスを(大破させない状態で)くれればシェルにも乗れるし、ランドブラスターが余しているガンドッグにも(壊したら弁償させられるとは思うが)乗れる。

もちろん、車両の運転はランドブラスターの専門分野だが、彼らの多くはサイバー化にかける予算をあまり持っていないため、身体的危険が大きい場合にはバウンサーの出番になる。サイボーグライフルを携えたバウンサーは、身体がむき出しになる車両(シェルキャリア含む)とも相性がよい。いっぽうで、正面切っての戦闘でメカに立ち向かえるほどの強さもないため、あるときはガンナーとしてまたあるときは臨時のメカ乗りとして、立ち回りを工夫する必要がある。ただまあ、ハスラーがいるならコンバットシェルは任せることができるし、運転はAIに任せればよいから、ナビゲーションスキルは最小限だけ取っておけばよい(ハスラーがいるいないで事情が少し変わる)。

バウンサーの初期所持金を$15,000として、キャラメイク時点では車両の入手より本体強化の方が急務なので、さっさと全身SUB:S($9,000の半額)+頭と胴にメタスルキンA(合計$8,000の半額)、残り$6,500しかないので服と護身用の武器と日用品を買ったらおしまいになる。PERとREFとSTRを合計90点上げてカンストせても$45,000にしかならず、メカ乗りがマシンを買い換えている間にトレーニングベッドも活用して、ナビゲート、ミリタリ、ウエポン、ファイト分野のスキルを能力値押ししておく。INT上げも安いので、スキル伸ばしは意外とラク。レーザーライフルとマグネットアーマーシステム、筆者の白兵戦ルールを採用しているなら単分子ナイフも早めに欲しい。序盤は搭載火器スキルを上げる余裕がないことが多く、ガンナーをやる場合、最初はLMGを積んでもらった方がよいかもしれない(筆者のルールでやるなら問題ない)。腕には低反動APガンを仕込み、GMが許可しているならレーザーライフルも反対の腕に埋めておきたい(テッポーいっぱいぶら下げて歩かせるよりはいいと思うんだけどね、認めた方が:まあダメなら仕方ないのでガチャガチャ背負うことになるだろう)。

車両を持っていない間は、シェルキャリアの運転手(本体が硬く降りても多少は持ちこたえられる分ハスラーよりも向く)でもやって、そのうちバイク(乗員が死にやすいメカなのでけっこう拾える:ホバイクだったらちょっと悲しいが贅沢は言えない)を拾ったら真っ先にもらおう。墜落したブロックバスターの回収(望みは薄いかもしれないが)ができるメカが手に入ると嬉しい(お金持ちになってもまだ拾えなければシュリケンかディンゴあたりを買おう)。借家暮らしの下働き期間が長いうえに、サイバーパーツはメカ類よりもかなり安いため終盤は荷物をたくさん持てるだけの人になる(まあなんといってもエキスパンション出なかったからねぇ:筆者のルールでも救済しきれてはいないと思う)。怪我も多いがどうせフルボーグだし、撃たれるということはWILが上がるということだと開き直ろう。


ランドブラスターは支援火力担当

やはり戦力面で頼りになるのはランドブラスター。

ランドブラスターの初期所持金を$30,000として、最初にチャンピオンかシューターダック($22,000または$15,000の半額)を買ってしまうと無駄がない。この選択は難しく、ルール選択次第で正面戦力としてはガンドッグが勝るかもしれないが、ポケットタンクにはユーティリティ性がある(最初期にガンドッグだと運用面でも多少窮屈になるが、装甲に予算が回らない間はとくに、有力な選択肢であることに変わりない:コンバットシェルやサイボーグにはどうせ先制されるためREFの高さが生きず、逃げのききにくさもあって、ランドブラスターよりはバウンサーに向いたメカなのかなとは思う)。

装甲は、ガンドッグならファイバニウムを10点($4,000の半額)、ポケットタンクならステンレスを50点($1,000の半額:余裕ができたら剥がしてファイバニウムにする)で貼るのが無難か。ミラーコートもそのうち検討する。LMG/HMGかミニガン系(とりあえず5.56mmミニガンをプロップで積み、スキルが上がってHMGを買ったらバウンサーかブロックバスターへのお下がりにすると効率的)と、センサーをいくつかつけるくらいだろうか。キャラメイク時のジャック=イン端子は2本もあれば十分だと思う。インドア用のクラッカーも早めに欲しいが燃料やメンテやアクセサリもけっこう金食いなので、予算は多めに残しておきたい。

メカを降りるとただの人になりがちなので、スキル押しよりは作戦立案などプレイヤーの技量で貢献したい。メカを強化するより先にオートプロテクターだろう(GMがクローを外すのを認めてくれたとしても、ワイアードギアだと少し不安なのでSTRさえ足りればコマンドウかな:クロー外しは筆者がGMなら認める)。資金に余裕が出てきても急いでマシンを乗り換える必要はなく、まずは20mmバルカンの入手(と取り付け)が優先、ついで本体強化だろう。REFを上げないと高価なメカに乗っても活躍できないため中だるみのような時期があるが、ここをしのげばすぐに楽になる。ホバータンクや装甲車に手を出すのは資金が十分溜まってからにするのが無難。

トレーラーについては、ぶっちゃけどこかで拾うまで待ってもよい(当然自分で直さなければならない:運転はハスラーかバウンサーに任せて、自分は支援火器を搭載したメカに集中するのが吉)。サイバー化を進めれば、ドッキング型コンバットシェルに乗ってもそこそこ活躍できるし、バイクや戦闘ホバーなど乗員がむき出しのメカにも乗りやすくなるが、基本的には後方で支援に徹するのが無難。柄にないことはあまりするものではない。


ハスラーは上級者向き

ハスラーをPCとして扱うのは思いの外難しい。もとより専門性を求める職業ではないし、雑用係としてバウンサーと比較すると物理的な硬さで劣る。決定的な優位性はコンピュータソフトが買えることで、ネットライナーがいる場合はそのお供として、いない場合は代理としての役割をまずこなす必要があるだろう。イメージファイトをやらない前提、ないしごく簡略化する合意がある場合は、この舞台が遠のいてしまうのでさらに立ち回りが難しくなる(筆者のルールでは、かなりの優遇をしたつもり)。

ということで、イメージファイト以外の場面では2番手のメカ乗りとして立ちまわることになるが、必要に応じて、メインメカのガンナーだったり運転手だったり、機動メカや高速駆逐メカにも乗ることがあるだろう。この「必要に応じて」のセンスの部分で勝負できないと、なかなかぱっとした活躍はしにくいと思われる。インドアとコンバットシェルと車内のどれを重視するかも、他のメンバーの構成や選択に左右される。

ハスラーは買い物もスキルも他のメンバーの穴を埋める形になりやすく、初期所持金のばらつきも大きいのでこれといったセオリーはない。サイバー化にもペナルティはないが、少人数プレイではチーム事情として、本体強化よりも野戦メカを買って欲しいことが多いだろう(序盤は全身SUB:Sのみに留め、REFだけ上げながら途中でオートプロテクターを買い、車両が揃ったら一気に本体強化すると効率的か:この辺もバランス感覚を問われる)。


ネットライナーはNPCでよくね?

まったく正直にそう思う。いろいろとフォローはしてもやはり活躍の場が他の職業とは異なっているし、収入や支出も異質だし、チームの中では一番のソフトターゲットだし、これはもうNPCでいいじゃないかと思う。そうすれば、シナリオによってはほとんど「お休み」になるような回があっても文句が出ないし。

というか、もしPCがハスラー・バウンサー・ランドブラスター・ブロックバスターの4人チームでレギュラーNPCを追加するとしたら、序盤はネットライナーでもそう差し支えないが、本当に必要な助っ人はランドブラスターだと思われる(ようするに、野戦でガンナー、市街地周辺で連絡役、インドアで荷物番ができればよいわけで、そのうち高いスキルが要求されるのはガンナーだけ、ブロックバスターやバウンサーが複数いると面倒だという進行上の都合もある:別に「ガンナー」を新設しても構わないというか、ない方が不自然なようにも思える職業で、PCより少し劣るくらいの技量を身につけてもらうための方便として、そういうのを設定しておくのもアリかもしれない)。

ネットライナーは本来の活躍の場が他のPCとかけ離れていることもあるし、最初だけNPCとして帯同させて、途中からランドブラスターかハスラー(かガンナー)のNPCと交代し、事務方というか裏方というか、他のメンバーとは一緒に行動しないチームメイトとして活動させるのが無難なのではないかという気がする(たまにアクセントで団体行動させるのはもちろん妨げないし、最初から複数NPCが入れ替わりで加入するパターンもあり得れば、シナリオごとにPCが自主的にNPCを勧誘なり雇用なりするパターンでもよい:筆者は、ハンターには運送業者としての日常業務が別にあって、シナリオに反映されるのはその合間の非日常業務、という立場なので、普段は裏方なり単独行動でシナリオ開始すぐor開始前に合流するような形でも構わないと思う)。


職業別のオススメメカ

といいつつ、単に筆者のお気に入りを羅列するだけ。すでに触れた機種が大半。もっと具体的な話は戦術の項で後述。

バウンサーにはやはり(拾えるかどうかは別として理想は)戦闘ホバー。高いMVとそれなりのREFがあり、ドライブに耐久力があるため1発停止が少なく、タイプHでスキルの低さを補え、身体がむき出しになる特性もフルボーグにはむしろ利点になるし、WILの高さでブースターも使いやすい。シュリケンもアダムスキーも甲乙つけがたいが、序盤なら人を乗せられて本体一発大破の恐れが小さいシュリケンが便利だろうか(ランドブラスターにZAABファルシオンを乗せてもらえば完璧)。戦闘向きのメカではトップヘビー(コンバットシェルとも張り合えるREF、高い火力とサイボーグライフル持ち込みを可能にするTP、DCこそないもののそれなりに頑丈と、好条件が揃っている)が手軽だが、中盤以降はシュータダックの方が使える。REFとSTRの高さを生かしてスティンガーという手もある(バウンサーなら簡易ホバーザックもアリだと思う)。偵察任務はランドブラスターにクラッカーを借りればまあこなせるだろう。自分が操縦するメカではないが、タンデムシートやサイドカーなども面白いポジション。重武装のサイボーグならポケットタンクあたりにデサント(車体の上に乗る)しても悪くないかもしれない(ルールにはないがダメというほどダメではないと思う)。本体REFで力押しできるルールならフォーチュナなんかが意外と使える時期もあるが、バウンサーの個人持ちメカとしては大げさか。むしろキングピンIIのような、ハマれば強力だが穴がある系のメカが似合うと思う。まあどっちにしても、メインメカか使い捨てメカのガンナー席に座っていることが多くなるだろう(搭載火器スキルは重要)。

スティンガーはブロックバスターにとってもベストパートナーになり得る。アルバトロスも傑作に違いないが、やはりSTR+20とREF32はモノをいう(大火力で先制できてこそのシェルなのだし)。MV400という数字も、1000mから2ラウンドで射程に入れることから大台といえる(ただし相手が停止or前進した場合=迎撃戦でのみ有効)。スティンガーと比べたパラダインIIは、機動力こそ及ばないもののSTRは同じで、やや落とされにくくハードポイントの使い勝手と容量で勝る。サブでちょっと持っておくには価格が高いのが難点か。パラダインプラス(終盤になって使い捨てられるだけの財力がつくと主力になる)も悪くないが、序盤だとやはりコンバットシェル本体の性能が半端で、だったらスティンガー+シンセミアの方が説得力がある。シェルビンスクも悪い機体ではないが筆者のルールだとハスラーやランドブラスター向きか。オートサムライはトレーラーからのスクランブル発進などに向くものの、スティンガーのザックを簡易ホバーに換装した方が早くて速いことに気付くと購入の動機はなくなる。マトリューシカ(というか重コンバットシェル)は、デザイン的には悪役メカにしたかったのだろうが、戦線維持力があるコンバットシェルとして貴重(とにかく火力が出るので撃ちたいだけ撃つのが吉:重量ナンバーについてはすでに触れたが、少なくとも2として扱うべきだろう)。シァバリエも値段が高いだけあり、スティンガー+シンセミアと比べて、バギーの性能(とくにMV)とシェルのREFと硬さとハードポイント容量と飛行時間で勝り、劣るのは飛行時のMVとシェルのSTRだけである。MVが300なのは惜しいが、本体REFだけでサイボーグが操縦する鈍重メカをブッちぎれるうえシェルvsシェルの空中戦にも強く、ブロックバスター本体のSTRをカンストさせたらぜひ欲しい。ソルシェも潜在能力は高い(ルールで優遇されていなくてもインドアでは使えるし、優遇されていれば大活躍できる)が、脆くて高価なので覚悟を決めて購入したい。

ランドブラスターのメカは本人が気に入ったものを好きに使えばいいだけだが、できるだけ乗員を危険に晒さない運用で、行動範囲が狭い純戦闘メカを速度でサポートでき、しかも十分な支援火力とそれなりの耐久力が欲しい、と考えるとやはりチャンピオン(エンジンをZAABファルシオンに変更)が頭ひとつ抜けるように思える(ドライブが脆いのは我慢)。ルール次第でガンドッグが有力な選択肢になるのは変わらないが、バウンサーと違いシューターダックを選んで支援火力1点豪華主義にするのも手。やはりルールに左右されやすいもののインセクターも悪いものではなく、シェルビンスク(メーカーがロマノフだし、多分半額で買えると思う)も生存能力(コンバットシェルを脱出ポッドとしてのみ利用する)に優れ、筆者のルールだと30mm機関砲を回収できるので使い捨てに向く。裏技的だしコストパフォーマンスや人数面に問題があるが、フォーチュナも戦線維持能力が高い(ホバイク2台(2台セットでしか買えないものとする)が高価なリアクティブアーマーとして機能するため)。いづれにしても、大型メカの導入には必要性の検証や運用能力の評価が欠かせないので、慎重に検討したい。

ハスラーには戦闘バギーが面白い。バギー自体も中途半端なメカだが、それがハスラーに合うように思う。カーゴの中でシェルに乗り込みコックピットだけ開けSAリンクでトレーラーを操縦するのも、筆者がGMなら認める(筆者のハウスルールを採用しないなら、発進時には1ラウンドかけて操縦をAIに引き継ぎ、1ラウンドかけてコックピットを閉めて、3ラウンドめにタラップから発進することにしたい:採用するなら、ケーブルはコックピットを閉めたまま接続できすぐ外せるものとして1ラウンドで出撃するが出たラウンドは移動のみ、SAリンク用の機外インターフェイスはENC10で$8,000の半額本体設置、普通のサイバーリンクインターフェイスも$6,000くらいで空けさせてよいと思うが、卵王をサイバーリンク運転してのスクランブルは認めない)。単純に戦闘ホバーやオープンバギー、窓を開けた野戦ワゴンなどでもよいかもしれない。ランドブラスターと同様シェルビンスクも有力だし、終盤になってパラダインプラスを使い捨て運用するときは、ブロックバスターよりもハスラーの任務になりがち。

輸送能力のあるメカの選択は、チーム構成と好みと志向に大きく左右される。真面目に考えると、乗員がむき出しになるメカ(ラタやシェルキャリアを含む)で車上泊というのはムリがあるので、長距離移動をするならなにかしらの屋根つきメカは必要になる(フォーチュナとソルシェくらいは例外にしてもよいかもしれないが、脚移動メカの中で寝るというのも、筆者がGMなら無条件では認めない:ガンドッグでの長距離移動にも何かしらペナルティが欲しいが、ややメンドクサイ)。みんな大好きカーゴくん移動基地DX(性能的にはノーマルカーゴくんを手カスタムした方が硬いはずだが、改造ルールが不明:筆者の改造ルール案は前の項で紹介した)は、前述のスクランブルルール次第。これをガンドッグ輸送車兼屋根なしメカの車庫として使い、ポケットタンクやインセクターは自走(短距離じゃないと無理がありそうだけど)、コンバットシェルは卵王やシンセミアなどスクランブル可能なメカで運ぶのが無難か。これらは、カーゴを買えない間の宿泊車両としても使えてお得である。それすら手が届かない間はテントでも張って、バンディッドやミュータントや砂嵐が来ないことを祈りながら寝よう。トレーラーを手に入れたらガソリンと誉2153Pを買い集めて30%くらいMVをチューンして積むと、ランニングコストは高くなる(普段はアルコールで走らせよう)が格段に速くなる。エンジンは安いのでトレーラー入手前から集めておいた方がよいかもしれない。カーゴにドラッグシュートを積むのと、トラクター(前の車)にニトロパックを積むのを忘れずに。


序盤に目指すべき戦力

買い物依頼なしで、1人あたり$100,000くらいの予算を想定。

ブロックバスターが一番わかりやすく、全身SUB:S、本体のREF30、ブースターレッグ、スティンガーにバスターライフルを持たせて、腕のハードポイントにチャフとフレア、肩のハードポイントに予備の手持ち火器、残ったTP10のハードポイントにタイプM時用のCSDと7.62mmガンポッド、サイバーレーザーサイトとサイバーIRビジョンとCSSあたりでよろしかろう。元の能力値にもよるが、$60,000弱くらいだろうか(REF強化は多少遅れても大丈夫なので$50,000もあれば恰好はつく)。シンセミアも買ってそれなりに武装、インドア用の装備(予備の手持ち火器をサイボーグライフルにして、シェルを降りるときは手で扱うとか:空中機動なんかも使って派手なことをやって欲しい)をいくつかと、余裕があればメタルスキンAも貼ったくらいで$100,000に届くはず。スキルはシェル関連と重火器が必須、地上車全般も10%くらいは取っておくとよさそう。将来的には搭載火器も必要になるかもしれないがまだ急がなくてよい。

ランドブラスターはやはりチャンピオンだと思う。ZAABファルシオンに載せ換えファイバニウムを50点貼り20mmバルカンをバインドで積み、レーザーサイトとノクトビジョンとパッシブレーダーポッド、CSDとチャフポッドMと消火バーくらいまで積んだ時点で$75,000くらい(工賃はかからない計算:レーダーなんかはハスラーに任せるなら省略)。オートプロテクターとクラッカーを買い適当に武装、降車時の火器はクラッカーにハンギングで積んだLMGを降ろして使えばよろしかろう(せっかく重火器スキルがあるのだから、わざわざ小火器を取ってまで豆鉄砲を持つ必要はないと思われる:そういう任務はハスラーやバウンサーに任せよう)。ただしコマンドウが着られるところまではSTRを上げておかなくてはならない。あとはジャック=イン端子を2本開けて$100,000くらいだろう。スキルは地上車全般と搭載火器と大型メカニクスが必須だが、ガンナーを完全に任せてしまうなら搭載火器は後回しでもよい。

バウンサーはもちろん本体強化。全身SUB:SでメタルスキンA、STRとREFをカンスト(40)、サイバーレーザーサイトとサイバー狙撃サイトとサイバーIRビジョン、腕のスペースにCSSと低反動APガン、セイフティラングとオキシジェンタンクに(必要性がイマイチわからないが)スーパーストマックとアイアンレバーもオマケで付けて$40,000くらい。ファイバーシャツとジャンプスーツにボディーアーマーとファイバーヘルメットを足してマグネットアーマーシステムも付けると$80,000くらい。スナイパーライフルを持ってジャック=イン端子も2本くらい、残った資金はバイオメモリー手術と知覚センサーに回す。スキルは、インドアでアウトレンジ攻撃されないために重火器(LMG/HMG)を使いたいのだが、本当に必要なのはその1点だけでスナイパーライフルを持てはある程度フォローでき、サイボーグライフルとの比較ならレーザーライフルで見劣りしない対人火力を出せる(取り回しははるかによい)ため、小火器と搭載火器を優先するのが効率的か。いっそのこと重火器はブロックバスターに任せてしまってもいいかもしれない(ブロックバスターが制圧射撃係でバウンサーが突撃係:ミニレーザーの手撃ちを許可してしまうと、インドアでバウンサーがブロックバスターにカモられまくるので、本末転倒になる)。だいたい、インドアでHMGを撃ち合うようなハメになるのなら、最初からガンドックやコンバットシェルあたりで乗り込んだ方がよさそうに思える。筆者のスキルルールを使うなら、素直に小火器と搭載火器を伸ばせばよく(ソリッドシューターやサイボーグライフルが使いやすくなる)、近接攻撃ルールも採用するなら格闘関連も(急ぎはしないだろうが)有力だろう。

ハスラーはいろいろなパターンがありえるが、PC4人で他のメンバーが上記の構成だとすると、野戦型のメカが有望(コンバットシェルとポケットタンクが各1だけではいかにも火力が足りないし、弾除けや他のメカが壊れたときのバックアップも必要:この際ポケットタンクのガンナーはバウンサーに任せる)。ライトニングにリキエル500Sを乗せてTPを少し動かし55mmオートキャノンをバインドで積み、ステンレスをA50にレーザーサイトとノクトビジョンも積むと$60,000くらい。イダテンでもできなくはないがTPがカツカツでタンデムシートを潰すことになりユーティリティ性に劣る(単なる戦闘メカを求めるならポケットタンクの方がよい)。中の人の強化は全身SUB:SとSAリンクジャックとジャック=イン端子2つくらいにしてオートプロテクターを買うと$85,000くらいの出費になるか。チームの中のソフトターゲット的な立ち位置になってしまいがちだが、たとえREFが遅くても遠距離火器を1本追加できるメリットは計り知れない。バウンサーがいないチームではインドアで主戦力にならなければならないため、メカをパラダインプラス(どのみち欲しい機体だが、オートキャノンを積めるTPはないし、バルカンだと予算オーバー)あたりに変更してメタルスキンや重火器を仕入れることになるだろう。バギーに乗るなら搭載火器と小火器を重視して重火器はそこそこにしておくのも手だし、パラダインプラスにするならコンバットシェルと重火器に集中する案もある。将来的には搭載火器が重要になるので、重火器はブロックバスターに任せた方がラクかなという気はする(バウンサーはもちろん、スキル的にはにランドブラスターも扱えるし)。インドアではSAリンクつきの低反動APガンなんかも便利。

ネットライナーは、自前でメカを買うことがそもそもできないし、簡易ルールを採用するならソフトウェアにも出費しないで済み、サイバー化もジャック=イン端子数個とSAリンク端子とせいぜい全身SUB:Sくらいで足りるため、資金が余る(ジャック=イン端子については半額でよい気がするが、どうせ安いのでどっちでもいい:まあ合計で$10,000ちょっとだろう)。護身用の武装はオートプロテクターと.22calブラスターなんかでも悪くはないのだろうが、短針銃とかテイザーとかソニックガンみたいな面白火器の方がハッカーのイメージには合う気がする。ネットライナーが入るということはチーム全体がインドア寄りにシフトするということで、野戦ではポケットタンクのガンナー席が定位置になるだろう。PC4人でランドブラスターとブロックバスターの他に、バウンサーがいるなら押し出し式にシンセミア(購入前はシェルキャリア)の運転席に、バウンサーでなくハスラーなら前述の装備への変更などで対応する。プレイヤーが5人で全部の職業を網羅しているなら、バギーに乗っても面白い(戦術云々でなく、狭いポケットタンクより乗り心地のいいバギーが好きそうなイメージ)。$100,000では足りないが、資金が本当に余ったら制式フルボーグ(バイパーとかカメレオンとか)も面白いかもしれない(ガンナーをやるならREFをカンストさせた方が戦力になるが)。

共同資金も$100,000あったとすると、そろそろトレーラーとカーゴが買える時期になる(厳格にやるなら共同購入は一律定価としてもよいが、自分で使わないわけではないし、ランドブラスターに買ってもらってもいいんじゃないのという気はする:独立採算制なら、チームへの貢献ということで普通に手数料を取ってもよさそう)。すでに触れたようにトレーラーは速度重視だと運用がラクで、普通に星龍+カーゴくん移動基地DXでよいだろう。カーゴの兵装は悩みどころで、人員が少ないハンターチームの場合中に残って頑張るよりも外に出た方がずっと早く、カーゴ搭載火器は出られないときの時間稼ぎ用(兼泥棒避け)に過ぎない。とりあえずステンレスでも貼って、ミニガンかチェーンガンを積んで、余り物の遠距離火器があればそれも積んで、気休め程度のエレキ=シールド(筆者がGMなら常時運転も認める)、電子戦装備をちょろちょろ、あとはドラッグシュートを忘れないようにしておけばよろしかろう。将来的にはIMPも積むべきだろうが急がなくてよいと思う。


少しだけ真面目に戦車キラー


ルールの確認と基本戦略

これはもう、弾数をひたすら多く当ててクリティカル待ちする以外にない。ようやく「マンチキン万歳」的なネタになってきたので、以下ルールを確認したい。

ザルルールのままだとシァバリエでフラッシュボム>シェルビンスクでビームスプレーというコンボが成立してしまうので、これは修正しておこう(できてもいいのかなぁ、できるという世界観もジャンクな味わいがあって悪いものではないかもしれないけどなぁ)。ルールで許しているなら、トーチカに260mmグレネーダーを10門くらい設置して撃ちまくると戦車だろうがコンバットシェルだろうが近付く前に蜂の巣になる(最大射程の5000mから反撃可能な1000mまで、MV100で全力移動しても40ラウンドかかり、4ラウンドに1回の射撃でも100発くらい当たるため、クリティカル待ちで十分沈む:念を入れるなら30門くらい置いておけばよい)のでこれも削除なりなんなりしておこう。コンバットシェルを高度1100mくらいで飛ばせて爆弾を数千発落とすとかいうのも却下の方針で。

まず確認すべきは、本来のルールだと射撃のクリティカルが「命中判定からクリティカル表へ一気に飛ぶ」処理だということである。相手メカの装甲や特性は(Gメカであるか否かだけが問題で)考慮されず、ただ「クリティカルで当たる」ことだけが求められる。攻撃側の火器や特性も(n倍ダメージの結果には影響するが)大きな問題にならない。命中率と火器設置数だけの力押しでよいことになる。クリティカル率は命中率の10分の1(端数切り上げ)で、クリティカル表を振ると、ドライブ破壊、エンジン破壊、一発大破が各10分の1で出るため100発も当てればかなりの確率で大破または停止させられる。

数式も書いておくと、a,bを定数としてlim(n→∞) ((n-a)/n)^bn=e^(-ab)ということで、n=100くらいあれば収束に近い値になり、命中率91以上の射撃を100発当てれば、Gメカ以外のあらゆるメカが63%くらいの確率で大破、ドライブもエンジンも(クリティカルで)壊れずに健在である確率は5%程度になる。また300発当てられれば95%の確率で一撃大破のクリティカルが出る。実質効果が×でさえなければよいので、単分子ナイフ(戦車にはI・II類火器からのダメージが通らない設定だが、VI類武器なので関係ない:もちろん、クリティカル待ち戦術なのでアストロナイトにしても無意味)でも300ラウンド=15分ほどカツカツやれば高確率で戦車を大破させられる(あえてレーザーブレードを使わないのがマンチキンの心意気:単分子という名前からして意味不明で味わい深く、筆者はポリウレタン製だと信じているが、もしかしたらエチレン酢酸ビニル製かもしれない)。人数を集めて2刀流でやれば、1分もかからないかもしれない。

なおプレイヤーズマニュアルP25「[4.4]格闘戦」に「原則として格闘戦は空中、地上メカには行えません」という記述があるのは「MVが違いすぎるため多分接近できない」ということを言っているだけで、同じページの「3命中判定」に対物ダメージの扱いが出ていること、VI類武器に限界ダメージが設定され対物○のものが存在していることから、ブロックバスターP10「[2.2.2]近接/格闘戦ルール」の「接近/格闘戦は状況が許す限り、メカニックに対しても可能です」という変更を採用しなかったとしても、無条件に行えないものだとは判断しにくい(まあブロックバスターのルールはたいてい採用するだろうから、どっちでもいいっちゃどっちでもいいけど)。

さらに、火力が出る攻撃でDCを無視できるならクリティカルの倍ダメージも生きて、たとえば30mm機関砲を命中率100%で射撃して火力が1D100+100、期待火力が150でダメージ2倍が2/100とダメージ3倍が1/100だから期待ダメージは75/100くらい、100発撃てば75点でKKKロワイヤルでも沈む。もしDCが効くと、スキル150%射撃で100発の期待ダメージが35点くらい、スキル200%でいい感じのクリティカル(出目91の2倍ダメージor出目61以上の3倍ダメージ)を出せば一発大破もまああり得るくらいのバランスなので、効いてもいいかなという気はする。上記はあくまでクリティカルによるダメージだけで、実際には装甲を抜けた被弾の分も加算される(DC90で100発撃って30発抜ければ、スキル加点なしで75点くらいになる)。

ただし、KKKロワイヤルの牽引ユニットやフォーチュナのホバイクのように、リアクティブアーマーとして使えるオプションがついているメカだともう少し弾数が必要。また命中率100%でもファンブルがあるため、100発撃つ前にジャムる可能性があることに注意。まあしかし100発というのはいちおうの目安にはなるだろう。で、100発撃つためには何が有効かと考えると、それはもうコンバットシェルしなかい、というかシァバリエのシェルがベストチョイスである。

たとえば、ブロックバスターなら誰でもよいという条件で乗員を募集して、7.62mmLMGを持たせて5.56mmガンポッドを積めるだけ(8発)とサイバーアイを積むと、タイプA補正があるため20m距離ならスキル10%でも全部命中率91以上にでき、シェルのREFだけで50あるため一桁REFのメカは中にどんなヒューマノイドが乗っていても先制で27発当てられる。これを4機用意できれば大台の100発を超える。すでに紹介したフラッシュボムコンボの応用で、メインカメラを遮光仕様にして最初はCSSの視界だけで飛び、ブースターが切れるまでフラッシュボムとガンポッドを撃ち続けるという酷い作戦もある(FISさえ積んでいればコンボは途切れるが、発射に1ラウンドかかるので、ガンポッド8台のオート射撃2セットで単機でも48発撃てる:筆者ルールだと、上面に有効射撃をガンガンもらったらFISが壊れるというオマケつき)。


戦車の運用

実際のところ、上記のような戦術が成り立つのは(ルールがまずいのもあるが)戦車の運用が悪いからである。以下運用について考えるが、航空戦力の扱いが杜撰なので、そちらの取り決めにも左右される(筆者の提案するルールについて後で触れるが、以下では航空戦力を無視する)。

まず、戦車は複数台で運用し、数で対抗する相手は火力密度で粉砕するのがスジである。端的に言えば、戦車を5台並べるより戦闘ホバーを50台並べた方が火力で(ルール上)勝るとしても、火力を効果的に発揮させるのが容易なのは圧倒的に戦車である。またこのゲームでは戦力=火力=頭数みたいなところがあり、筆者のルールだとソルシェ50機くらいに遠くから飛ばれるとどんなメカも助からない(いや、戦闘ホバー50でも助からないと思うけど)。これはようするに「数が多い方が有利なルールで圧倒的な数を用意しているのだから当然強い」というだけのこと(インドアでアクトポッドがウヨウヨいたらお手上げになるのと一緒)で、それができるほどの作戦勝ちならわざわざ銃撃戦をやるまでもない(シァバリエ作戦みたいに、戦車の乗員数と同じくらいの人数でなんとかできるってんならまだしもねぇ)。

話を戻すと戦車には、待ち伏せを防ぎつつ、相手を上回るREFで攻撃特化メカの先手を取るための、随伴戦力が必要である。メタルヘッドの世界なら、歩兵ではなくドッキング型コンバットシェルが適任だろう。精密作業が必要になったら、装甲車から遠隔操作するアクトポッドを使うことになる。これらを正しく実践すれば、KKKロワイヤルみたいな露骨なチートマシンが簡単に落ちることはない。では攻撃側が対抗するにはどうすればよいか。これはもう「戦車が本来の運用をされていない瞬間を狙う」しかあり得ない。戦車は基本的に万全の兵站/補給が受けられることを前提に運用されるので、戦車運搬車や燃料輸送車を徹底的に排除して運用できなくしてしまえば、撃破はしなくても勝ちは勝ちである。

戦車部隊への嫌がらせを思いつくままに挙げてみよう。戦闘ホバーやポケットタンクで宿営地に夜襲を掛けてはサっと撤退し、補給部隊を付け狙い、先行or追走する随伴戦力にチョッカイを出しては逃げる。敵のコンピュータに侵入の形跡を残してはさっさと退却し、出荷したリンゲル液に不純物が混じっていたと嘘のメーカー報告をデッチ上げ、いかにも「何か細工した帰りです」みたいな顔で遠くからチラっと姿だけ見せ、毎晩徹夜で調査させる。車外に出た乗員(全員サイボーグだとしても週に1回くらいは出てくるだろう)を狙撃し、補給物資の中身を摩り替え(相手が補給システムを信用できなくなればそれでよいので、爆弾を仕掛ける必要はなく、石ころひとつとかメッセージカード1枚紛れ込ませられれば十分)、橋や隘路に地雷やトラップを仕掛けて工兵が出てきたら狙撃、燃料補給や覆帯調整のタイミングを見計らって無人メカを突撃させる。ネットに嘘の情報を流してバンディッドの標的にさせ、あるいは好物のエサでも撒いておきミュータントを呼び寄せて襲わせる。そうやって運用能力をジワジワと削り、物量作戦は最後のトドメに回す。さらには、戦車を運用している組織自体を政治的ないし社会的な窮地に陥れ、作戦行動ができない状況を作り出すことができれば、戦う前にしてすでに勝利である(戦術的に重要な地位にある人を失脚or解任させるとか、軍事協定違反のスキャンダルを暴露するとか)。

こう考えると、ハンターの出番は戦車との正面対決よりも、嫌がらせではないかと思える(殲滅でなく遅滞が目的の作戦もあるだろう)。この分野でなら、ハンターチームも戦車と戦うための戦力の一部に十分なり得る。正規軍の皆さんからミサイル(弾薬が高いのでGMとしても支給しやすい)をもらって、(戦車ではなく)ソフトスキンメカに向かってぶっ放そう。筆者の燃料ルールを採用しているなら燃料輸送車を狙う手もあるだろうし、その前に戦車運搬車(のトラクター)を潰しておくともっとよい。反対に、そういった攻撃から正規軍を守る任務は、難易度も危険度も高いものになるだろう。


それでも戦車をやっつけたい

1ラウンド射撃可能なルールで資金さえあれば、REFとMVがともに高くTPもそこそこあるメカ(ようするに戦闘ホバーかポケットタンク、多分シュリケンが有望)にADAM-Sを積めるだけ積んで飽和攻撃という案もあるが、他はともかくちゃんと装甲したKKKロワイヤルが相手だと、結局クリティカル以外はダメージが通らないことになり効率が悪い(コスト的にADAM>IMPなので、消耗戦も無意味)。兵站を完全に遮断すれば燃料切れは狙えるかもしれないが、悪夢のキングトロールチートでジェリカン500本分くらいは本体に積める(筆者の燃料ルールだと多少非効率にできるが、L6ポルナレフでも十分酷い)。

なんといってもまあルールがアレで、有効なはずの側面攻撃がまったく意味を成さないうえ積みたい放題の前側面100%装甲、やはり積み放題で1門や2門壊れても問題ない戦車砲、簡単に迎撃できるミサイル、仕組みはわからないがルール上はバイクと変わらない視界、やたらと高い移動力(MVだけ見たらどの装輪バイクやバギーよりも速い)、キューポラや砲身はおろか砲塔の狙い撃ちもできない狙撃、戦車砲が直撃しても数発は耐えるエンジン、上面に対してもほぼ無敵と、正直やっていられない。攻撃機や戦闘ヘリの不在も(もともと地対地最強なのが戦車のウリなわけで)無敵っぷりに拍車を掛けているが、これらを導入するとゲームバランスが変わりすぎてえらいことになる。筆者の装甲ルールを採用していれば側面はやや弱いはずだが、それでも、3方向からの包囲射撃でもないと効率的な撃破は難しいだろう(反対から考えると、完全に作戦勝ちすれば落とせるレベルにはなるはず)。

コイツには多分、構造物を利用するか持久戦に持ち込む以外にないと思われる。橋ごと落とす、建物を壊して下敷きにする、トンネル爆破や土砂崩れ誘発で生き埋めにする、渡河中に水門を壊して押し流す、そんな感じだろうか。燃料切れは狙いにくいものの覆帯調整はするだろうから孤立させればチャンスはあるし、中の人がサイボーグなら(というかほぼ間違いなくサイボーグだろう)週に1回くらいはリンゲル液交換のために外に出るはずである。「やっつける」のとは少し違うが、相手の部隊に潜入してしまい、中に爆弾を仕掛けて壊すとか、制御部を乗っ取って暴走ないし同士討ちさせるとか、乗員を洗脳なり脅迫なりしてしまうとか、そういう方法も(相手がマトモな軍隊なら難易度は恐ろしく高いと思われるが)あるかもしれない。

PCが戦車に乗る、というシチュエーションはどうなんだろう。ハンターでなく軍人として戦車チームを組むというシナリオは作れなくもないが、戦術級の展開に耐えられるようなルールではないので、運用が少し厳しいかもしれない。フェアリー(戦車は重くないとダメみたいな扱いになっているが、MCSみたいな立ち位置を用意できなかったものか)とスパルタンについては後の項でハンターチームでの運用も考察しているが、重戦車の場合ファンタジーRPGでいうドラゴンみたいなもので、PCが乗り込むことは考えなくてよいのかもしれない。


戦車じゃなくてホバータンクなら?

という話の前に、なんでホバーで戦車なんだろうねぇ、実機のホバークラフトどころか資料映像も見ないで、どうやって動いてるのか考えもせずに作っちゃったんだろうねぇ、ゲーム(エンジンだのドライブだのとメンドクサイこと言わずに、不思議テクノロジーで浮いてることにしちゃえばよかったような気がしてならない:ヘリと混同してないあたりは評価できるとしても)。まぁルールとして存在しているものは仕方ないので運用とかいろいろ考えよう。基本的には駆逐戦車を高機動化した存在だと思っておけばよい。

すでに触れたように、ホバータンクは(ルール上)攻撃力が高く奇襲に弱いメカで、小隊未満の運用だと正面衝突がわかっている迎撃戦やじっくり偵察をしながらの拠点攻撃などにしか向かない。ハンターチームのホバータンク対策としては(要人警護や物品輸送などのミッションで)突っ込んでくるホバータンクを無力化するというシチュエーションがまず問題になる。こういう使い方をされると、ホバータンクは本当に恐ろしい(KKKロワイヤルの方が怖いけど)。もし相手が30mm機関砲2連装+ADAM-S2連装くらいの武装をしていると1回撃たせただけで壊滅的な打撃を蒙りかねないため、なんとしても初手で沈めておく必要がある。こちらもホバータンク(というかレミング)を用意して先制を目指すこともできるが、待ち受けての防御には向く一方奇襲されると脆い。

正面撃破を狙うなら(自分のスキルや相手の機動回避スキルや各種ルールにもよるが)30mm機関砲を全員総出で当てる必要がある。速度やREFやTPや弾除けの数を勘案すると、レミング+パラダインプラス*2が有望で、レミングは運転をAIに任せてサイバーリンク射撃しつつ、パラダインプラスの仮眠室を活用して保護対象を積んでいる車両を絞らせないようにする(もっとゴムタイな戦術については後述する)。離脱して逃げると伏兵に引っかかったとき悲惨だし、相手のホバータンクに射撃をさせる前に黙らせないとものすごい被害が出る。ブロックバスターはMV400のシェルでとりあえず全速前進するか、30mm機関砲係として参加するか悩ましいところ(スキル次第だと思う)。

ただまあ、相手の装甲がA90%だとして、本体命中が7/10だから素通りダメージが入る確率は7/100、10発当てて1発以上素通りになる確率が50%ちょい、21発(=4人+AI3機で3発づつ)当てても80%まで届かない。こちらの軽量級メカは簡単に落とされて、2ラウンド目以降は火力がガタ落ちになるため、正直勝ち目は薄い。これがA80%になると素通りダメージが入る確率は14/100、5発当てれば50%ちょい、9発当てれば75%くらいの確率で1発以上素通りする。ということはソルシェを複数飛ばして上から撃つのが効果的である。シァバリエで要撃しようとしてもMVが1.5倍も違うため、1000m距離から30度くらいの急角度で上昇してやれば、200m圏内に入ることなく頭上を取れ、ブースターの保ちも違うため落とされる心配はあまりない。要撃に上がってきたのがスティンガーだった場合はブッチギれないが、火力の差でなんとかなるだろう。ソルシェ同士で空中戦になった場合は、数が多い方が勝つ(結局これなんだよなぁ)。上手く上を取れたら、あとは降下しながら上面に(理想を言えば散開しながら落ちて1機は後面に)アセンブルガンをぶっ放せばよい。コンバットシェルの機動行動を立体で処理している場合にしか使えない一種のハメ技だが、装甲%を移動したホバータンクにはこのくらいやらないと対抗できない。もし筆者の装甲ルールを適用しているのなら、90度の十字砲火は必ず片方が側面射撃になるので、地上での挟み撃ちも有効(マムートに限り前面側面とも90%があり得るが、その場合上面後面とも40%になる)。

ホバータンクは単機でも恐ろしいがお供(戦闘ホバーやポケットタンクだろう)がついているともっと恐ろしい。相手のホバータンクに火力を集中すると1回はお供の射撃をもらうことになり、多少スキルに劣る射撃だろうと軽いメカは狙われる=落ちるとなる。味方のホバータンクが相手の随伴戦力にREFで負けていると、熟練者によるサイバーリンク操縦でもアッサリ落ちる可能性はあり、なにもしないうちに敗走開始というリスクもある。反対に、味方が攻撃特化型の軽量メカばかりだと、相手ホバータンクは落とせても随伴戦力からの反撃で壊滅的な状況になる可能性が高い。かといって鈍重メカでは相手ホバータンクに先制できず相当な被害を覚悟しなければならない。

なんだかんだいって、命を惜しまず物量で攻められると苦しいわけで、待ち伏せできれば戦車や装甲車よりずっと脆く正面からお付き合いしないことが重要になるし、随伴戦力は事前に削いでおくのが理想である(もともと、ハンターチームというのは消耗戦に弱い)。正面から迎撃しなければならないのがわかっている場合は(後でまた触れるが)随伴戦力から先に削る戦術でホバータンクの攻撃に1ラウンド耐えるのが精々だと思われる(リアクティブスモークだけ貼った装甲車に壊れた30mm機関砲を見た目だけ直して積みデコイにする作戦なんかもステキだが、バレたらそれまで)。結局のところ、4~5人のチームが小隊規模で正しく運用されているホバータンクや装甲車を正面から撃破するのは、ほとんどムリなのである。もし撃破する必要に迫られたら、随伴戦力を削って小隊規模の運用を破綻させることから始めなければならない。

さらに厳しいのは逃走するホバータンクを捕獲しなければならない場合で、コンバットシェルで飛んでも到達まで時間がかかるし、よほどMVが高いメカでないと追いつけない。この辺の事情は後の項でまとめて触れる。


装甲車の場合

という話の前に「高火力兵器のコンパクト化と機動性最優先思想」なら、装輪戦車系の装甲車(重い大口径実弾キャノンを積んで撃てないのが一番の欠点)は脚光を浴びていいはずなんでねーのと思わずにいられないが、ともかく、メタルヘッドの装甲車は戦車の劣化バージョンとしてそれなりの地位を保っている(タイヤをでかくすると側面が弱くなり車高も上がるという重大なデメリットも問題にならないし:欲を言えばBTR-90みたいな水陸両用機も欲しかったかな)。

装甲車のストロングポイントを考えると、やはりその乗員数が挙げられる。メタルヘッドの世界では頭数=火力なので、単機の最大火力だけを問題にするなら、重戦車をも上回ることが可能である(防御力(というかTP)が圧倒的に違うからREF勝ちしてもタイマンでは負けるけど)。ウォーライノの乗員8(どうせ遅いから、ベテランのランドブラスター1人とAI7台で十分:7台もいらないけど)というのは本当に凶悪で、真面目に拠点防御/攻撃された場合はもちろん、前面番長仕様で突撃されたときの火力は地獄絵図を作り出す。またホバータンクと比べるとTPに余裕がありHPも高いことから、待ち伏せしてもワンターンキルできない可能性が高い。

これに対抗するもっとも安直な方法は、攻撃力か防御力で圧倒できるメカ、つまり戦車かバトルトレーラーで正面撃破を狙う方法である。しかし、タイマンなら勝てても随伴戦力がいるとかなり苦しくなる。もし筆者の装甲ルールを採用しているなら側面装甲は80%が上限になるので、ホバータンクと同様地上からの十字砲火も有効だし、ルールの組み合わせによってはフォーチュナや重コンバットシェルでコスト勝ちを狙える場合もあるだろう。

なるべくなら装輪メカである弱点を突きたいところだが、真面目に効率を追求する(かどうかはGM次第だとしても)とフェアリーが前面番長装甲車的に使えて費用もさほど変わらなかったりする。装甲車、ホバータンク、小型戦車に共通する傾向として、メタ=カーボンやファイバニウムの導入が効率的でないため、レーザーによる先制攻撃ができれば一気に落とせる可能性があるのだが、大型戦車でないからレーザー対策がないと即決められるわけではなく、また40mmビームキャノンは複数射撃しないと効果のばらつきが大きいため、周到な情報収集と作戦立てが必要になる。

実は、後面装甲を90%にできMVも高いことから、要人警護で逃走専用車両にするとかなり硬い(同様のことができるのは他にスパルタンだけで、あちらの方がもっと硬いのだが、筆者の燃料ルールだと航続距離で劣る:まーキングトロール積んで燃料いっぱい積めばいい話だけど)。


総合的編成

基本的に相手は用途に適したメカを選ぶだろうから、正面衝突がわかっていればホバータンク、奇襲や挟撃に備えるなら装甲車やインセクターなどを使ってくるだろう。そう考えると、ハンターチームの側も明確な選択をした方がよい。ホバータンクが相手でも逃げ切れるand追いつけるレベルを求めると、すでに紹介したホバータンク+パラダインプラス*2+ブロックバスターの構成が有望、というか正直これしかないようにも思える。そもそも、沼や湖の上を逃げられたらホバーとヘリ(と船舶と片道飛行覚悟のコンバットシェル)以外のメカにはどうしようもない。そこまでやったとしても、レミングにMV20%チューンしたVW70000を積んでMV144(誉2153PならMV162、元が装甲車でもMV108出る)の護送駆逐専用車みたいなものを用意されるとまず追いつけないし逃げ切れない(フルチューンのベルマニャックならMVでは上回れるが追い付いてもミサイルを撃つくらいしかできない)。

こういう逃げ方をされたときは後ろから速度で追うのではなく、目的地に近いところを拠点とするハンターチームに足止めを依頼するとか、ある程度組織力を使わないとダメである。追われた場合はどこかで待ち伏せて返り討ちにするのが狙い目(その意味では前面番長仕様の装甲車やフェアリーも怖いが、隘路にスパイクを撒いておくとか地雷投射器を使うといった小細工で誤魔化したい)。反対に、ハンターチームが速度特化型編成で逃げたり追いかけたりしても、組織力のある相手に足止め+挟み撃ちをもらうのがオチになる。ようするに、ホバータンクや速度特化装甲車が相手なら、逃げ切りや追い付きはある程度捨てるのが上策ということ。こちらに向かって追いかけてor逃げてくるNPCからの依頼で、ハンターチームが待ち伏せ部隊or待ち伏せ部隊の殲滅に回るようなシナリオもあり得るだろう。さらに凝るなら、アーミーや企業が複数のハンターチームを雇って、重要物品とそのダミー(どれが本物なのか依頼主にもわからないタテマエ)を各チームに運ばせ、襲撃を受けては逃げ回る(PCチームは得意分野に合わせて、襲撃者足止め班なり逃走班なりその他索敵班なり工作班なり、反対に追撃班なり待ち伏せ班なりに所属する)、なんて筋書きでも面白いかもしれない。

こう考えると、トレーラーを絡めた編成も柔軟性があって面白そうに思える。最速の(一応)機動メカであるフォーチュナにガソリンエンジンを積んで40%MVチューンするとMV80なので、ちょい上回りでMVは85点もあれば十分かなと思える(すでに触れたようにMV100でも追撃特化メカからは逃げ切れない)。星龍に誉2153PをMV20%チューン(エンジンはたくさん集めておき、予備も持っておこう)して乗せるとMV85、MV20%チューンのマムートがMV84、シンセミアにコンダ1200Jを積んでMV30%チューンするとMV85(1台くらい壊すのは仕方ない)、他について行けそうなメカというと、ホバイク、戦闘ホバー、速いバイク、オクトボールとMVチューンしたチャンピオン、シァバリエの母機とサンダーフォックス、MVチューンした装甲車、スパルタンとKKKロワイヤルくらいだろう。カーゴになにを積むかと考えると、やはり、攻撃特化型の軽量級メカ(伏兵などで削られたくない)をスタンバイさせておくのが妥当に思える。建物への突入があり得るならソルシェあたりだろうし、逃げながらor追い付いて撃つならホバー系がよいだろう。

人員のローテーションまでは考えない方がラクなのだが、たとえば、先行するシァバリエをブロックバスターとハスラーが交代で担当(迎撃のための待機と哨戒が任務で母機の操縦はAIにやらせる)、トレーラーとホバータンクの操縦はAIに任せてランドブラスターとバウンサーが交代で待機、カーゴにいる2人の内1人が休憩(ホバータンクの中で寝るよりはマシだろう:シァバリエ組と合わせて2人づつ休憩する)、1人がレーダーなどで警戒に当たる、とかなんとかいった感じだろうか。もし持っているならヘリ(ルール案は後述)で偵察に出てもよいかもしれない。5人いればホバータンクを空にしないで済むため安心感がかなり増す。シュリケンあたりにAIを乗せて哨戒任務のサポートに回したい。

拠点を攻める場合はシェルビンスク(4脚とはいえ地雷にもそれなりに強い)などで強行偵察を行い、いざとなったらシェルだけカーゴに戻るのが安全(母機だけ複数用意しておくのも一案)。単体のコンバットシェルでも悪くはないが効率は落ちると思う。シェルビンスクは攻め寄せる段階でも格安(たったの$70,000)で使い捨てられ、母機が潰れた後も安全度が高い。拠点を守る場合は待ち伏せが理想だが、まずは相手の偵察戦力を削るのが先決になるか。攻め手が装甲車ならスパイク、軽戦車なら地雷の設置を怠らず、ホバータンクが(出てくる前に奇襲で潰しておくのが理想だが)出てきたら火力で押し返し、重戦車だったら正面からの接触をなんとしても避ける。すでに触れたように、消耗戦になるとハンターチームは持たないので、相手が大戦力ならあえて拠点を空にして背後から奇襲するようなやり方も必要になるだろう。どちらにしても無人偵察機(というかラジコン)のようなものを使った事前偵察が非常に重要なはずだが、ルールではフォローされていない。


戦術をもう少し突き詰めたい


スキルによる火力増加の影響

前提知識として、筆者のルールを採用して射撃と機動回避がお互いスキル100%のとき、武器の火力が100なら1D100-1D100+100で火力0~200の三角分布、期待値100になる(クリティカルとファンブルを無視)。底辺が伸縮する三角分布なので、中央値を中心に考えるのがラクだろう。お互いがスキル200だと1D100-(1D100)*2+200で、0~300の三角分布になり期待値は150になる。どちらも、期待値の半分以下の火力になる確率と1.5倍以上の火力になる確率がそれぞれ1/8ある(3発当たると33%の確率で1回以上発生する)。対物ダメージは110と180を境にインフレする。とくに、到達火力179がダメージ20なのに対し到達火力200以上でダメージ40になり、一種の壁のようになっている(反対にいうと、到達火力が180を越えなければ大型メカが1発落ちする火力にはならないはずで、終盤の火力でレーザーが抜けてくると軽量メカのメタ=カーボンはあまり意味がない)。

対人では火力が単調増加する。火力106でSUB:SにMOダメージが入るので、スキル166%あればデリンジャーでもアーマーさえ抜ければ半々、211%あればHP制でないヒューマノイドを確実に無力化できる。いっぽう、HP40(多分これもヒューマノイドの限界になるのだと思う)の制式フルボーグでも、スキル190%以上(筆者の倍シフトルールなら170%)で撃たれたATライフルがアーマーを抜けると即死するが、制式でないフルボーグなら火力が500あろうと手足(確率4/8)に当たれば死にはしない。対人火力で言うとレーザーの乗員命中に注意が必要で、メタ=カーボン(レーザー類が強すぎて慌てて導入したようにしか見えないよね、これ)はクロムビートP13「[3.2]ビルドアップ」で「乗員や電子機器へのダメージを軽減することはできません」と明言されているため、搭載火器レベルのレーザーが乗員に当たると酷いことになる。メーザー対策にもなるので、メカに乗り込むときはマグネットアーマーシステムを用意したい(とくにワンマンメカ)。ただし、筆者のルールでコンバットシェルの中の人にオーバーダメージが入る場合、メタ=カーボンは常に機能する。

対物でも火力は増加するが、SR1/2の機動回避が安定すると少し振り戻す(以下筆者の機動回避ルールを前提にする)。命中修正0で基本火力50の射撃だったとすると、スキル100%同士では期待火力が50点。スキル150%同士でSR1の機動回避をすると単純に火力が50増え、SR1/2だとSR成功時の期待火力が+25(確率3/4)の+100かつ装甲無視(確率1/4)になり、スキル200%同士でSR1/2だと期待火力+50。スキル150%前後のときは、SR1で機動回避してもどうせ大破するような火力にのみSR1/2でロールすると効率がよい。ようするに、スキルが高くなってくるとヒューマノイドと機動回避できないメカが相対的に脆くなる(反対から言うと、機動回避できるメカが相対的に硬くなる)。ただし、だからといってバイクが丈夫かというと、たしかに本体は相当硬い(オサフネやディンゴは、20mmバルカンを1回撃たれたくらいなら大破を免れることが多い)のだが、ドライブに2/10の確率で当たりしかも1発停止、乗員にも2/10で命中という構造的な脆さは動かしようがなく、偵察や運搬などに用途が限られるはず。

本体命中が7/10で装甲70%だと本体に当たって装甲を抜けるのは21%で、3発当てるとだいたい50%くらいの確率で装甲を抜けた火力が本体に1発以上入る。このとき期待火力がちょうど一発大破のダメージなら1/2で大破するため、一発大破率は都合25%になる。同じ条件で装甲80%だと18%くらい、装甲90%だと10%くらい、装甲60%だと31%くらい、装甲50%だと36%くらいで一発大破する(2発以上素通りダメージが入る場合やカスダメージが通った場合を無視しているので、装甲が薄い場合の撃破率はもう少し高い)。機動回避のファンブル率は、3発避けたときで27%くらい。装甲80%で十分な装甲を積んだメカは単発大火力の被弾以外機動回避しないくらいのバランスを目指したいので、やはり機動回避ファンブルのペナルティはそれなりに厳しくしておいた方がよさそう。


戦闘メカの硬さ

以下筆者のルールを全部盛りにしている前提。

ルール解釈次第ではあるが、もし対物ダメージを上限40点としているなら、HPを41以上にしてやればクリティカル以外では1発落ちしなくなる(実弾キャノンにももちろん耐えられるが、レーザー対策としての意味合いの方が強い:実弾の場合は連射砲に耐えるための装甲%が重要になることが多い)。HPが高いメカについてまとめておこう。

HP該当機種基準
21以上フォーチュナ、ボクサー、マムート、装甲車(ゼットン除く)、バトルトレーラー、戦車メタ=カーボンを入れるとノークリティカルのレーザーで1発落ちしない
27以上マトリューシカ、マムート、ウォーライノ、バトルトレーラー、戦車ヘビークロム50でHPが41以上になる
34以上バトルトレーラー、戦車(フェアリー除く)ヘビークロム20でもHPが41以上になる
41以上KKKロワイヤルとても酷い
21~26フォーチュナ、ボクサー、シュプルフント、クーゲルブリッツ主力戦闘メカとして機能するかしないかのボーダーライン
31~33マムートノーマルフレームで30mm機関砲などに1発耐える
HP21~26のメカにメタカーボンを入れるかヘビークロム50を入れるか考えると難しいところだが、40mmビームキャノンをもらって期待火力320から機動回避とDCで150点引いて到達火力170ならノーマルフレームでもギリギリ残せるため、ヘビークロムの方が確実なんじゃないかという気がする。27以上のメカならヘビークロムでよいだろう(20点のレーザー被害が10点になったところで、HPが15点多い方がずっと嬉しい)。運用に難のある重シェルとバトルトレーラーと装甲%が極端すぎるクーゲルブリッツを除外すると、フォーチュナ、ボクサー(装甲%に不安あり)、シュプルフントがやや硬い、マムート、ウォーライノ、フェアリー(装甲%に不安あり)が硬い、中戦車以上がとても硬い(中でもKKKロワイヤルが別格)、くらいのランク付けになる。

大体の感覚でまとめよう。

イメージ機種
クセが強いクーゲルブリッツ、フェアリー
主力未満レミング、ゼットン
やや硬いボクサー
硬いウォーライノ、シュプルフント、マムート、フォーチュナ
とても硬い中戦車以上、バトルトレーラー、マトリューシカ
戦力価値としてみると、フェアリー以外の戦車が飛び抜けている。マムートとウォーライノはホバータンクと装甲車のフルチューン候補として有力だが、コストパフォーマンスでも絶対的性能でも戦車には敵わない(2位グループの首位ではある)。フォーチュナとフェアリーは運用面で強みを出せればといったところ。レミングとチャンピオンとシァバリエ母機は固有の強みとそれなりの耐久力を両立している。オサフネ、トップヘビー、マトリューシカは用途がハマれば有用、といった感じか。

なお、乗員命中確率の低さ(筆者のルールだと1/30)は戦車の特権(いっぱいあるよなぁ、ホントに)の1つで、ホバータンクや装甲車(やバトルトレーラー)では3倍も当たりやすい。これに装甲%を加味すると差はいっそう広がり、70%装甲のホバータンクなら23発当たると1発以上の素通り乗員命中確率が50%を超え、装甲80%の装甲車でも35発で50%超えになる。これはバイクとカーゴと戦車とコンバットシェル以外、全てのメカに共通する構造的な問題で、終盤の搭載火器が乗員に直撃するとたいていKダメージになるため、メカの生存率の上限といってよいかもしれない(少なくともハンターチームにとって、中の人が1人Kダメージをもらったらそこで試合終了である)。例外的にこれを回避できるのがドッキング型コンバットシェルだが、シェル自体搭載火器で撃たれると脆く、筆者のオーバーダメージルールを採用していると中の人も安全ではない。

小型中型のメカも一覧にしておこう(ただし主なもののみ)。

HP該当機種基準
6以下モノバイク、ホバイク、パラダインプラス子機、アルバトロス、アクトポッド本体に1D100+60の火力で50%以上の一発大破
7~12アダムスキー、シュリケン、ガンドック、オクトボール、バギーの多く、ゲイシャロード、星龍、カーゴくんシリーズ、パラダインII、スティンガー、ソルシェ、シァバリエ子機、シェルビンスク子機小型メカのボリュームゾーン
13~14オサフネ、パラダインプラス母機、グランパ、マイティワゴン、マルクスヘビークロム50でも21点に届かない
15~19シァバリエ母機、シンセミア、チャンピオン、卵王、シュトルムビク本体に1D100+100の火力で50%未満の一発大破
20ちょうどシェルビンスク母機、キングピンII(、レミング、ゼットン)マトリューシカを除く中型メカの上限かつインセクターを除く大型メカの下限
メタ=カーボンを入れてもIV類レーザーが本体に入ると終了するし、ヘビークロム50を入れても20mmバルカンの限界ダメージに追いつかないため、高スキルで搭載火器を撃たれたらお祈りになるのは避けようがない。むしろ、AI撃ちの火力水増し支援やコンバットシェルの強襲に対する耐久力なんかがキモになるだろう。ヘビークロム50による「耐えられる上限到達火力変化」はリニアでなく、元のHP10~19の領域で大きくおおむね30点、HP14~15と17のみ40点変化する。HP9~17ではメタ=カーボンの効力も最大(50点分)だが、HP14~15と17であれば、ヘビークロム50の方がお得そうである。このほか、メタ=カーボンの効力がヘビークロム50と10点しか変わらないは、HP1~7とHP18以上である(すでに触れたように、HP21以上では限界ダメージの方が効いてくるし、一発で落ちるかどうかだけの問題でもなくなってくる)。

装甲%と細部命中表別のLD50も考えてみよう(削りダメージは無視して、本体に50%以上の確率で素通りダメージを入れるために必要な射撃数)。装甲ナシの戦闘ホバーは1発。狙われたらほぼ終了だが半々で助かるともいえる。装甲ナシのパラダインプラス母機(ドッキング状態)は、乗員命中がシェルに入るルールだと2発。同じ確率でシェルにも当たるため、4機が2発づつ被弾すると、大雑把に母機が1台大破して子機が1台被弾する計算。フルチューンのパラダインプラス母機やシェルビンスク母機は5発。装甲70%のガンドックやインセクターも5発。装甲さえ厚ければばら撒きくらいには耐えるらしい。装甲80%のチャンピオンやゲイシャロードは7発。狙って落とさないと落ちないレベル。オマケとして、装甲90%のホバータンクや装甲車は9発。装甲80%との差が小さいのは細部命中表で本体に当たりやすいのも理由。装甲ナシのバイクは4発(3発でも48.8%の大破率)、装甲90%にした野戦ワゴンは12発、オサフネは17発で大破率が50%になる。

これも大体の感覚でまとめよう。

イメージ機種特徴
クセが強いオサフネ、ゲイシャロード、キングピンII硬くて脆い
やや硬いトップヘビー、マルクス、シェルビンスク母機、パラダインプラス母機、シンセミア装甲70%、HP15以上、またはそれに近い性能
硬いシュトルムビク、シァバリエ母機無改造で装甲70%かつHP15以上
とても硬いチャンピオン装甲%、HP、TPともに中型メカトップクラス
こんなところだろうか。運用面やコストパフォーマンスも考えると、使い捨てでない戦闘メカとして計算できるのはチャンピオン(ドライブがやや脆い)とせいぜいシァバリエ母機くらいで、トップヘビーとシンセミアはそれなり、オサフネ(とマトリューシカ)はハマれば化ける。ただしこれらのメカには、使い捨ての軽量攻撃メカから狙われにくい(落ちなかったら火力を削れない)という特徴があり、相手の主力メカと同REF以上なら主力メカからも狙われにくい(未射撃のメカを叩いて火力を削った方が得)ため、ゲイシャロード(やガンドックやオクトボール)にはその意味でのアドバンテージがある。


大型レーザーの有効活用

ぶっ飛んだ価格設定と相手に使われたときの凶悪さからどうしても過大評価されがちな大型レーザーだが、単発射撃しかできない40mmビームキャノン、射程が500mしかない10mmパルスレーザーと20mmマルチレーザー、ルール次第で有用性が変わる60mmビームスプレー(まあこれは元のルールが酷すぎるからねぇ)やメーザー類と、クセの強いものが多く、ハンターチームが使いこなすのは容易ではない(メタルヘッドの多くの兵器と同じく、特定のシチュエーションでのみ鬼のような威力を発揮するので、用途や状況の決め打ちができないハンターチームにはとても扱いにくい)。しかし、火器としてのポテンシャルが低いわけではないので、使いこなせば戦力アップになるはずである(だから、あの非常識な価格設定はぜひとも改定しておきたい、というのが筆者の意見)。

大型レーザーについてスペック面から考えると、対策のある相手に対しての火力は実弾火器に見劣りするものの、特筆すべきはやはりその軽さだろう。また実用性が高いと思われる10mmパルスレーザーor20mmマルチレーザーと40mmビームキャノンの間には相互補完関係がある(近ければパルス、遠ければキャノン)。実弾兵器(とくに30mm機関砲)との相互補完関係もあって、ぶっちゃけた話、対レーザーに偏ったメカは実弾に耐えられず、対実弾に偏ったメカはレーザーに耐えられず、どっちつかずのメカには両方撃ってやればだいたい沈む(ただし戦車を除く)。結局、用途が限定できずとも大型レーザーがその真価を発揮するのは、乗員と兵装を十分に搭載した大型メカに副武装として複数種類搭載した場合である。そうすると火器だけで大量のTPを使うことになるから、戦車、装甲車、一部のホバータンクくらいしか選択肢がなくなる。前述の通り装甲車とホバータンクはフルチューンするには効率が悪いので、実は、戦車が大型レーザーを有効活用する最適プラットフォームということになる。もし戦車5台の中隊を作るなら、そのうち1台をレーザー兵器満載にしてやると、酷い火力になる。

しかし筆者としてはそれだけでは面白みに欠けるような気がしてならない。やはりここは、圧倒的な軽さを利用して小型中型のメカに積んでみるのがハンターっぽいではないか。レーザー類のみ最終命中率半分でENC30までハンギングを認める(だって反動とかなさそうだしいいじゃない)という独自ルールは、この辺の事情を考慮したものである。ハンギングによる搭載を認めれば、シチュエーションごとに他のメカに乗せ替えて使えるため、稼働率も高まるだろう。以下では価格改定とハンギング設置を両方適用する前提で話を進める。

さて軽いメカというとまずはバイクだが、攻撃メカとしてはそんなにREFが出ないことが足枷になって、けっこう面白いバランスになる。一番極端なのはクラッカーに10mmパルスを積んでインドアで使う案。アクトポッドには先制され1発でも本体にもらえば落ちるが、ローラーモードのソルシェにはタイヤ交換でREF勝ちでき、撃てさえすれば阿鼻叫喚の火力を発揮できる(ミニレーザーと違って対物○だし)。ブースト全開のホバータンクにもギリギリ先制できるとはいえ、シェルや戦闘ホバーには勝ち目がないうえ射程負けするので野戦では使いにくいだろう。オサフネは遅いしインドアで使うのも不自然だがとにかく大破しにくい。元が遅いのでターレットサイドカーを併用するのがよいと思う。大型レーザーにとってオサフネは最善のプラットフォームではないが、オサフネにとって大型レーザーは最善の搭載火器といえるだろう。

もうひとつの軽量級ホバイクはどうか。こちらはとにかく速いので、40mmキャノンを積んでやれば超高速駆逐マシンになれる(インドアで運用するのはさすがに不自然だと思う)。ただ極限まで薄いので、簡易ホバーザックのコンバットシェル(と飛んでいるシァバリエ)に肉薄されると終わる。ほとんど1発ネタの領域ではあるが、500-1000m距離でもっとも早い射撃になるため「どうしても先制で1発入れなければならない」状況で一瞬の大活躍が見込めるほか、追撃中にカーゴの中で換装して一気に追うような使い方もなくはなさそう(ルール的に戦闘ラウンド中の換装は非現実的だが、そこはそれノリとアドリブでなんとか)。またシェルビンスクを使った強行偵察のバックアッパー(300mくらい後ろからついて行って、もし味方がソルシェやスティンガーに追われて逃げてきたら、追跡者を迎撃する)としても一応使える(飛んでいるソルシェにREF勝ちできるメカが、ホバイクとホバーザックのシェルと飛んだシァバリエorスティンガーしかないので、貴重ではある:が、スティンガーで迎撃した方が早いと思う)。

中量級戦闘メカに副武装として積むにはTPが厳しい。ここはやはり主武装とするのが妥当で、市街戦仕様で500m以遠を捨て、10mmパルス(40mmキャノンではどうせ30mm機関砲とは撃ち合えない)を積んで余ったTPを装甲に回す案は、アウトレンジ攻撃さえもらわなければ十分にバランスする。これらのメカに大型レーザーがもたらすのは、大火力よりもTPの余裕、ひいては硬さである。となれば「TPを余すことで硬くできる」メカが適するわけで、ポケットタンクかガンドック、場合によってはインセクターというのもあるかもしれない。筆者のハンギング搭載ルールを採用している場合、どのメカに積むかと考えるよりも、その都度都合に合わせて乗せ替えをする方が柔軟だし効率的だと思う(中盤ごろにはチャンピオンやトップヘビーが1台くらいは余っているものだし、インセクターもどこかで拾っているかもしれないので、レーザー用の極厚装甲仕様にしておく:これらのメカって、同時に使うことはめったにないと思う)。

ホバーに積むのは(レーザーとメカの両方が)もったいない気がする。大型レーザーを積んでもあまり硬くできないし、20mmバルカンや30mm機関砲と比べて大きく火力が上がることもない。バギーは活用しにくいだろう。イダテンは(オサフネに対する優位性が)微妙だし、シァバリエの母機には子機の射程を補うという重要な役割がある。装甲3分割の大型メカ(中型以上の戦車除く)だとTP稼ぎのありがたみが落ち、快速仕様のレミングが余っていたら積んでみてもいいかな、くらいだろうか。コンバットシェルは、シァバリエ(飛べばメカREFだけで鈍重メカに先制できる)が10mmパルスと抜群の適正を示すが、ソルシェとの空中戦に40mmキャノンを使っても有効打撃の確率的に分が悪い(長距離は母機に任せるのが無難)。


中盤の戦術と選択肢

この項では以下、購入ボーナス適用前の価格を比較する。

共通事項として、LRLSは(CSD系装備のルール次第だが、高速移動中には使えないだろうから)タイプAorHの命中率補正を中和する目的で使える。FISは暗視装置として重要で、ノクトビジョンを併用するのが常道。REFがカンストするとメカのREFがさらに重要度を増す。レーザー対策としてメタ=カーボンを入れるかファイバニウムを貼るかと考えると、メタ=カーボンの方が明らかに軽くファイバニウムの方が明らかに安いが、ファイバニウムには戦車以外A100までという制限があり、DCが低いメカで中盤以降の実弾に耐えるのはかなり難しい(ヘビークロム50で多少緩和できるが、火力が高いとダメージかインフレするので、見掛けの数字ほどは有効でない)。ということでライトチタン(A200で貼ると$160,000、3枚で$480,000:ファイバニウムの倍額)になるのだがコストが高く、戦車以外の分割装甲メカには貼りにくい。さらに、メタ=カーボンを入れても200点以上の火力が通ると20点のダメージをもらうわけで、火力が大きい場合は起動回避で減らしておくことが重要になる。

たとえば、ウォーライノにメタ=カーボンを入れてライトチタンA200を3枚貼ると本体と装甲板だけで$720,000、レミングで$800,000のボクサーで$880,000かかるが、スパルタンにフレーム改造なしでファイバニウムA200を3枚貼ると$740,000、KKKロワイヤルでさえ$1,240,000で済んでしまう。こうやって並べたときにどっちが硬いかと考えると、これはもう100%装甲の戦車しかないわけで、装甲板のENCくらいでは到底逆転できない圧倒的なTPもあり、戦闘メカとしてなら選択の余地がない。スパルタンに対する装甲車の優位性は、REFが微妙に高いこととと乗員数に上限がないこと(筆者のルールなら燃費もよい:もし戦車運搬車が必須なら、導入のハードルがけっこう上がる)、ホバータンクの優位性はREFと水上走破と地雷耐性だけで、それ以外はすべてスパルタンが勝る。またスパルタンとKKKロワイヤルの価格差が$500,000しかないので、もしスパルタンを完全武装して$1,500,000なら、KKKロワイヤルは$2,000,000で済む(牽引車は車庫に置いておけばハンデにはならない)。ということで、戦闘メカが欲しいなら戦車、なかでもKKKロワイヤルのコストパフォーマンスが飛び抜けてよいことがわかる(だいたい、主力戦車で本体$1,000,000というのが驚異的に安い:このゲームの発売当時、そんなに極端な円安だった記憶はないのだが・・・)。

戦車以外の分割装甲メカは不要かというとそんなことはない。ホバータンクには湿地・泥沼地で運用可能な唯一の大型メカとして不動の地位がある。中型メカ(とくにポケットタンクやインセクター)に先制火力を叩き込んで沈黙させる役割は戦闘ホバーでも担えるが、たとえばシュリケン2台またはレミング1台を2名で運用しようとすると、火力では同等でも安定度が違う(筆者のソルシェ優遇ルールを採用している場合はとくに、飛ばれて撃たれて終了するホバーよりも格段に頼もしい:この辺の兼ね合いがあるので、ソルシェの先制攻撃は認めておいた方がよいと思う)。装甲車も、戦闘用にフルチューンしようとするから息切れするのであって、ライトチューンでユーティリティを優先すれば野戦ワゴンのグレードアップ版として十分活躍できる。グランパとウォーライノやシュプルフントを比べると、値段相応に性能が上がっていることを実感できるし、30mm機関砲を積んでしまうなら、バインドで$90,000orターレットで$150,000だから、本体価格の差は兵装再利用率で簡単に回収できる。全面一律装甲の戦闘メカというと、ホバータンクに先制できるが紙装甲の戦闘ホバー(ただしパラダインプラスなら生還率は高い)、ソルシェに撃たれても相手が1機ならそこそこ耐えるがREFが厳しいチャンピオン、ブースター全開のレミングやローラーモードのソルシェと同REFだがやはり薄く運用が面倒なシューターダック、そこそこの性能でユーティリティのあるシュリケンとオクトボールとトップヘビー、といったところだろうか。

その30mm機関砲は搭載火器としてやはり外せない選択肢で、価格的にあまり脆いメカには積みたくないのだが、ホバータンクに先制できるメカというと(タイプAのコンバットシェルやチューンしたバイク類を除くと)戦闘ホバーかガンドックなので、結局積まざるを得ない(それ以外のメカは装甲車や戦車に先制攻撃を加えるためのメカだと考えるのが妥当)。ミニレーザーはハンギングで積めるため扱いやすく費用も$60,000で済むため、副武装や小型メカの装備としては有望。とくにモノバイクやホバイクはTPが厳しいのでありがたい。基本的に、総額$100,000~$200,000クラスの使い捨てメカ、$250,000~500,000くらいのポケットタンクorガンドックと$500,000~1,000,000くらいの装甲車orホバータンクorインセクターorフェアリー、$1,500,000くらいのスパルタン、$2,000,000くらいから運用でき頑張ると$3,000,000コースのKKKロワイヤルが選択肢になる。


戦車以外の主力メカ

ポケットタンクは中盤になっても十分使える。チャンピオンにヘビークロム50を入れればレーザーが本体に入っても1発は耐えるくらいになるので、ライトチタンをA100で入れてミラーコートかリアクティブスモークを貼り、おなじみのZAABファルシオンを20%MVチューンして積むとMVが90、TPは240/80残って$130,000くらいかかる。TPを兵装に40点移して30mm機関砲を2発積み装甲をA50くらい追加、センサーや電子戦装備なども買うとTPをほぼ使い切り、機関砲をバインドにした場合で$300,000弱、ターレットにした場合で$400,000ちょっとかかる。硬さを優先するならエンジンをデファイアントR1000にしてMVはチューンなしか軽めのチューン(20%でMV72)に留め、高速移動が必要な場合にはカーゴで運ぶ運用になる(筆者の複合装甲ルールを採用しているときはコッチの方がいいと思う)。実際にはフルチューンまで行く前にホバータンクやインセクターに先制され始めて主力の座を明け渡すことになるが、人手不足のハンターチームではインセクターやガンドックよりも使い勝手のよいサポートメカとして活躍を続けられる。上や後ろから撃たれたときの堅牢性はインセクターに匹敵し、そこそこのREFとMVがあってカーゴにも積める優等生メカである。

ホバータンクを正面番長仕様にする場合、後面装甲を前面と上面にいっぱいまで回し、機関砲バインド*2+ライトチタンA200+ファイバニウムA10*2+ブースター+IMP4(上面が薄いので必須)でTPを390点持っていかれ、センサーや電子戦装備も積むと本体別$400,000のTP450点くらいは必要になる。筆者の装甲ルールなら、前80上80側70後60というところで、費用とTPがかなり苦しい(ライトチタンA200+ファイバニウムA10*3だけで$500,000のTP360、上記と同等装備も追加すると$900,000のTP650くらい持っていかれる)。レミングには「ホバータンク相手に先制できる使い捨てでないメカ」としての地位があり、HPもDCもTPも頼りないが購入候補としては最有望。ヘビークロム50にして揚命EX高麗も積んで上面をライトチタンA200にするフルコースだと$800,000くらい。後面から撃たれると一発で落ちるので、大破しても再起できるだけの資金力が必要。ボクサーはレミングよりもHPとDCとTPが高く、REFとMVが低く本体が少し高い。好みもあるが、ブースター全開でもインセクターと同時射撃になるのでレミングの方がいいと思う。マムートの雄型(普通のホバータンクには先制されるが装甲車や戦車が相手ならこちらが早い)は本体込み$500,000くらいでそれなりにリーズナブル。レーザーをもらうと落ちるが、メタ=カーボンのプラス$450,000は高すぎるので目をつむるしかないだろう。シュワルツコフCは本体が安いが、インセクターやポケットタンクに先制されるため随伴戦力からの攻撃で落ちやすく、耐え切れるほど硬くもないため確実性の面で頼りない。どの機種についても、後面ではなく上面装甲を薄くする案があり一長一短。

装甲車も面白いメカで、万全の装甲や圧倒的な火力を望むよりもユーティリティを追求すべきだと思う。ファーストチョイスはウォーライノ(REFが7でも5でも目クソ鼻クソなのでドライブが丈夫な方がよい)で、DCとTP(とHP)に物を言わせてファイバニウムをA100で3枚貼りTPを限界まで移すと本体込み$210,000で残りTP450/300。弾除けになってくれれば嬉しく無視されればそれなりの火力を叩き込めるバランスで、どうせREFは雀の涙なのでサイバーリンクしたPCが運転することで機動回避に期待し、さらなるチューンでバリエーションも出せる(装甲%はイジらなくてもいいし、上を薄くして前後に回しIMPを積む案もあると思う)。普通に使うならPC1人+BクラスAI3台が効率的で、AIを新品で買うとしたらスキル込みで$90,000かかる。これに30mm機関砲(人間用)と20mmバルカン3発(AI用:LRLSはあった方がいいかも)をバインドで積むと総額$600,000ちょい、ターレットにすると総額$700,000近くかかって残り兵装TP40点くらい、センサー類を追加すると兵装TPを使い切って$900,000くらい、ヘビークロム50まで入れたフルコースで$1,000,000ちょっとだろうか。揚命EX高麗や座席潰しでTPを稼ぎ20mmバルカンをたくさん積めばもっと激しい火力になるが、コストパフォーマンスを考えるとこのくらいがリーズナブルだと思う(バルカンを増やすよりはIMPを積むべきかも)。ホバータンクと併走することも想定するなら、エンジンをVW70000にして座席を少し減らす運用もある。筆者の設定を全部盛りにしている場合は、日常業務(正規輸送)の主役としても欠かすことができない。

装甲車は無人運用とも親和性が高い(どうせREFが低いのでペナルティが小さい)。クーゲルブリッツあたりに揚命EX高麗を積み座席を全部潰しTPを限界まで兵装に移すと1655/275から装甲で120点使って1535/275、総費用は$400,000くらいになるか。スキル100%の20mmバルカンとはいえ10台(バインド搭載AI込みで$900,000かかるけど)積んで30発当れば相当な火力になり、ホバータンクに先制するために出てきた攻撃特化メカを確実に掃除できる。安く上げるなら55mmオートキャノンを4発積んでもよく、総費用で$600,000弱くらいになる(最初はコッチにしておいて、順次バルカンに入れ替えていくのもアリなのかも:途中で大破しなければの話ではあるが)。上面ではなく後面の装甲を薄くして、上面にはファイバニウムをA100で貼っておく案もある。ゼットンは戦闘車両として見ると半端な性能だが「1.5台目のトレーラー」として導入するならそれなりの使い勝手だと思う。筆者のルールだと偵察にはやはりバイクが欲しいところで、高性能バイクの運搬と火力補強を同時に行えるのは便利である。母機に揚命EX高麗を乗せ上の装甲を前後に移してファイバニウムをA100で2枚とA10で1枚、IMP4と20mmバルカンターレットと運転射撃兼務のBクラスAIで$400,000ちょっとか。AIとバルカンをもう1セット乗せる案もある。

フォーチュナも面白い選択で、メタ=カーボンかヘビークロム50か悩ましいところだが後者なら本体込みで$330,000、筆者のルールで本体だけヘビークロム50にすれば$286,000しかかからない。ライトチタンをA200で貼って$450,000のTPが400/100残るので、ノーマルのまま30mm機関砲を3発積んでセンサーなどを買っても$1,000,000まではいかない。筆者の複合装甲ルールを採用しているなら、30mm機関砲は2発にしてDMWフラクタルに載せ替え、ファイバニウムA100を貼るのが妥当だろうか。相手がA90%でも9発当てれば50%近い確率で1発以上本体に素通りするので、攻撃力は非常に高い。自分の装甲はA80%だが、すでに紹介したようにホバイクがリアクティブアーマーとして機能するし、本物のリアクティブスモークも貼っておけばかなり耐えられるはず。エンジンは好みと用途次第で、さるぢぇIQ21以外はどれもあり得ると思う。ホバイクの乗員は意外と安全(ホバイクへの命中が1台あたり10%、さらに乗員に命中するのが20%で合計2%)なので、バウンサーを乗せてレーザーを撃たせるのも一興(ホバイクが大破したときにかわいそうなので、ネットライナーは中に乗せてあげよう)。MVの問題はどうしても残るが、戦力的に見るとレミングとの相互補完が良好(装甲車には強いがホバータンクに狙われると頼りないフォーチュナと、ホバータンクに先制できるが装甲車を落としきれないレミングが噛み合う)で、中型メカ2台編成の中ではもっともバランスがよいと思う(が、両方に2人づつ乗り込んでブロックバスターをシェルに乗せると、随伴メカを操縦する人手が足りなくなる:本当は3人づつ乗せたいところなのだが)。ただREFは10点しかないので、シァバリエに飛ばれるとハードポイント火器をもらう前には落とせないことを覚えておきたい。


機動orサポートメカ

使い捨ての攻撃特化メカとして戦闘ホバーが優秀(ホバータンクだと本体が高くREFも足りない)。搭載火器で撃たれたら即終了なのは承知の上で装甲はファイバニウムA10だけor完全にナシにする。普通の搭載火器を(ミサイルのような)ハイランニングコスト兵装として使うプラットフォームとして見ことになるが、30mm機関砲or20mmバルカンをターレット(推進ファンの上にでも乗せるのだろう:戦車に10台設置できたりもするので、この際不自然とかなんとかいうツッコミは忘れよう)orバインドで積むと$60,000~$150,000かかり、ミサイルをハンギングで積むより高価なので、できれば3回くらいは撃ちたい(使う前に壊れたら悲しいので普段はカーゴに入れておこう)。運転はBクラスAI任せでよく、むしろブースターでARに失敗する心配がない(よね?普通に考えて)分人間が操縦するより安全である。シェルを着られて生還率が高いパラダインプラス、TPが厳しいがMVが高いアダムスキー、REFに劣るがTPに余裕がありMVもそこそこのシュリケンと、それぞれに特色があるが、中盤以降の火力が乗員を直撃すると重装備のフルボーグでも即死しかねないため、やはりパラダインプラスが安心だろうか(シェルも8点しかHPがないものの、本体命中が6/10で兵員命中がなく、筆者のルールでも110点は確実に止まるし兵装やパワープラントに当たってくれれば大儲け)。

基本装備になるのは、デファイアントR1000とグレコ・ハイモビルとブースターとファイバニウムA10で、TP40の$22,000になる。この装備をパラダインプラスに積みTPをいっぱいまで兵装に振ると、最大REFを20+10まで出せて残りTPが153/25の$45,000くらい(母機だけ買うなら$7,000くらい安くなる)。運転用にBクラスAI(車内に残さなければならないので使い捨てになる)を買って30mm機関砲をバインドで積んだとすると総額$165,000で残りTPが63/22。少し高くなるが、装甲%が微妙に高いのでファイバニウムA10ではなくライトチタンA160の方がよいかもしれない。シュリケンに基本装備を積みTPを動かすと残りTPが185/75で$35,000くらいだがREFが2点低くなる。アダムスキーならREFはパラダインプラス並みだがTPが苦しく、機関砲まで積んで兵装が30点しか残らないため、いっそ装甲をなしにしてしまうのも手かもしれない。この中ではやはりパラダインプラスに説得力があるか(肩のハードポイントに電子戦装備を積めるのもありがたい:筆者のルールならIMPも積めるし子機のメタ=カーボンや装甲も有効、ヘビークロム50を入れておく手もある)。REFが速い相手メカから順に、射撃される前に落としていくのが理想なので、複数台用意するのも一案。

ポータブルな(カーゴに入る)使い捨てでないワンマン戦闘メカとして、オクトボールとガンドックが有力。オクトボールをワンシーターにして兵装に全部回しメタ=カーボンとライトチタンA200とデファイアントR1000を入れると、残りTP250/0の$230,000ちょっと、ヘビークロム50とファイバニウムA100なら$100,000弱で残りTP150/0。シューターダックをメタ=カーボンにしてライトチタンA200とリキエル500Sを積むと残りTP160/0の$230,000ちょっと、トップヘビーのTPを限界まで兵装に移しメタ=カーボンにしてライトチタンA200とリキエル500Sを積むと残りTP250/25の$250,000弱、ヘビークロム50とファイバニウムA100なら$110,000くらいで残りTP150/25になる。どっちにしても大火力が装甲を1発抜けたら終了で、痛い実弾に耐えられるライトチタンvsAI撃ちの20mmバルカンクラスが抜けてきても耐えられるヘビークロム50ということになる。基本的にはREFが早い順から(またはバクチで主力メカから)相手に狙われるので、ファーストターゲットになる機会は少なく、そんなに大げさな装甲はいらないかなという気もするいっぽう、長く使うなら多少お金をかけておいてもいいかなという気もする。どれも、30mm機関砲をターレットで積んで$400,000前後だろう。

ガンドッグはポケットタンクよりも高いREFがセールスポイント。シューターダックは、コンバットシェル以外の地上メカではフルチューンホバイクとブースターを使った戦闘ホバーに次ぐREFを持つが、TPが少ないのでファイバニウムを使いにくい。メタ=カーボンとリキエル500Sを投入してフルチューンを目指すか、いっそ装甲はファイバニウムA10だけにして、エンジンだけ乗せ換えて機関砲とバルカンorミサイルをAIと分担して撃つ運用の方がよいかもしれない。トップヘビーはオクトボールと同等のTPを持ちREFとドライブの硬さで勝る(運転をBクラスAIにさせる前提なら常時機動回避のメリットが消えることに注意)。シューターダックと違い十分な装甲に対人火器もプラスする余裕があるので、インドアへの突入も考慮するなら便利なのだが、シューターダックやソルシェには先制されてしまう。オクトボールはREFとドライブの硬さ以外がすべて優秀でMVが圧倒的に高い。移動時にカーゴの外に出しておけるメカとしてのユーティリティも兼ね備えており、30mm機関砲をターレットで積んでも惜しくないレベルのメカとしての貴重、小隊規模運用でも先行グループの核になれる。チャンピオンはインセクターやホバータンクに先制されるが、フルチューンなら20mmバルカン程度での1発落ちはそうそうしないので、シェルの突撃に対する壁役を期待できる。

ガンドッグの上位機種的なインセクターは、ホバータンクに先制攻撃できてTPがそこそこあるというのがキモのはずなのだが、後出しのアクセサリやルール(絶対ホバータンクの地位を意図的に上げてるよね、これ)で優位性をかなり失っており、ワンマン射撃ルール次第では戦力面でポケットタンクにも劣る(とくにヴァルムビクとチャンピオンを性能比較すると、REFが2点高いのとドライブに耐久力が1発ついただけで、他にいいところがまったくない:タイプM時に機動回避を認めても十分割高な気がする)。その代わりフォーチュナとシェルビンスクという面白いオプションが設けられているので、うまく活用したい。もちろん、走破性の高さ(廃墟の中にメカごと突っ込んだり、拠点攻略シナリオで強行偵察を行ったり)を活用できるなら完全な役立たずにはならないだろう。シェルビンスクについてはシェルの項で触れる。

その中でインセクターらしい活躍を望めるのはゲイシャロードだが高価で、オクトボールやシューターダックとの比較だとコストパフォーマンスがよいとは言いにくい。ガソリンエンジンであるファイナルモンスターの入手は必須で、TPをいっぱいまで兵装に移してメタ=カーボンとライトチタンA200を入れると$700,000近くかかり、残りTPが135/25。これに30mm機関砲ターレットとセンサーやらなにやらを加えて$850,000くらいだろうか。ワンマン戦闘メカとしては最高級品で、$200,000くらいの使い捨てメカより4倍、あるいはオクトボールやシューターダックよりも2倍長持ちさせないと費用的なモトが取れないことになるが、硬さが狙われにくさに結びつけばけっこう頑張れそうでもある(例外としてカーゴに積めるルールにしてもよいかもしれない:乗せ降ろしは停車を条件に1分くらいで)。まあ戦闘メカとしてのガンドック/インセクター自体ルール次第で活躍できたり役立たずだったりするので、使えそうな取り決めかどうか様子を見てからということになろうか。


その他のメカ

バイクは筆者のルールだと発見されにくく視界が利くため、偵察用途に適する。クラッカーに電気エンジンを乗せてインドア用にするアイディアはすでに紹介したが、移動が速いだけでなくメカに乗っているだけで相当安全(とはいえ、サイボーグに先制できるのは序盤だけなので、オートプロテクターか、できればマグネットアーマーを使おう)で、エンジンのペナルティを差し引いても40点残るTPは本当に心強く、少し高いがミニレーザーを積むと鬼の対人火力が出る(がシェルに対しても一撃必殺を望むなら10mmパルスレーザーが必要:ローラーモードのソルシェに先制できるREF26が生命線なので、タイヤ交換も必須)。移動時にサイドカーを付けて利便性を上げるのも手。フルチューンしたサラマンダーは隠密偵察機としてポテンシャルが高く、MV30%チューンしたタマハK2KとファイバニウムA10でMV120の残りTP70/0、メタ=カーボンにしてエンジンを1台壊したとしても本体込みで$30,000しかかからない(射撃REFが低い上に脆く戦闘向きではないため、重い搭載火器は必要ない:メタ=カーボンはあくまで生存率向上のため)。スパンダウ・CQを履かせておけば(シェル相手だとお手上げなのは変わらないが)逃げMVもかなり確保できる。広いインドアor狭い市街戦でかつコンバットシェルが先導してくれる前提なら支援火力重視にもでき、J&Eトップアタックと30mm機関砲バインドとファイバニウムA10とヘビークロム50とビレリブロックで$100,000くらい。ただし兵装を充実させようと思うとオサフネには勝てない。

そのオサフネは全面80%装甲がウリだが、リアシートを潰してもTPがやや不足(チャンピオンやイダテンなんかと並べると目立つ)なのとAI任せの運転が(少なくとも筆者のルールでは)できないのがマイナス(でもディンゴよりはオサフネだと思う)。元のREFが低くホバーブースターが使えない(タイヤ替えても4点しか上がらない)ので、戦力としてはイマヒトツだろう。筆者のルールだとオンロードタイヤでのMV3倍はバギーとオサフネの特権なので、少し差別化できるだろうか。タイヤ選択やターレットサイドカーや普通のサイドカーや側車なしを使い分けることで、チマチマと最適化を図るのが生きる道になるかもしれない。ホバイクはとにかく速いので、そういうメカが必要なシナリオ用に(静粛性がバイクと同じルールなら偵察用にも適する:実物はめっちゃうるさいけど)。オンロードタイヤのバイクやバギーの方がMVは出るが、走破性はもちろんホバイクだし、REFの高さを活かせる運用であれば活躍できるだろう(実はフォーチュナのホバイクの方がベルマニャックより1点REFが高く、ハイモビルを積むと2点差に広がる:簡易ホバーザックのシェルはさらにブッチギリのREFを誇るが、MVはスティンガーでも120なのでチューンすれば辛勝)。

戦闘バギーと野戦ワゴンは、すばらしいメカではないが侮れない。とくにバギーはエンジン乗せ換えで化けるし、屋根がついているので他のメカが大破したときのアシとしても便利(オクトボールはともかく、チャンピオンに対する優位性はと考えると、エンジンが半サイズ大きくてカスタムタイヤがある、という以外は利便性で勝負せざるを得ない)。ちょっと高いがシァバリエの母機が優秀で、バギーの中で唯一ポケットタンクを上回るMV90を誇り、基本性能もしっかりしている(シェルについては次で触れる)。イダテンにファイバニウムをA100で貼ってリキエル500Sを積むと残りTP220/50で$65,000、ヘビークロム50を追加して総額$90,000くらい。ノーマルのグランパのTPをいっぱいまで兵装に移し、前面番長にしてファイバニウムA100とA10を貼ると残りTP380/250でやはり$65,000くらい、ヘビークロム50を追加して総額$100,000前後になる。大げさな火器を積むようなメカではないので大量のTPはいらないし、大きな荷物はカーゴで運ぶだろうから、雑用機としては安定運用でき重量ナンバーも2で済むバギーの方が使いやすいかなといったところ。いっぽう野戦ワゴンにはクセのある機種が揃っており、運用面で戦力を上げる余地があると思う。価格と貨物TPのバランスがよく自身も低燃費なので、筆者の燃料ルールを使っているなら補給車としても活躍の余地がありそう。バギーやワゴンの運転をAIに任せれば補助戦力としても使えて、電子戦装備や筆者ルールのミサイルなどREFが関わらない装備をまとめて積みサポート役をやらせる手もある。

スパルタンは自分で買うような機種ではない(スペックが悪いのではなく、KKKロワイヤルとの価格差が小さすぎるだけ)だろうが、なんといっても装甲上限がないし、インチキエンジンキングトロールNFを(10%ボーナスつきで)積める。エンジンを乗せ換えてファイバニウムを合計1000点貼っても$1,000,000くらいだし、兵装TPも2000点以上残る。MVもやたらと高いし、装甲車をフルチューンしようとするよりはずっと効率がよく、壁メカとしてみるとレーザー耐性の高さが絶対的な優位性になる(デメリットはドライブが一発停止であることくらいだが、CPが12点ある)。ノーマルのままTPだけ兵装に振ってファイバニウムをA300で3枚貼ると少し安く上がりTPは450/250残る(上面や後面の装甲をステンレスにするとさらに安く上がる:A300で貼っても$6,000なので後から貼り換えてもよい)。フェアリーはワンマン前面番長機にするとコストパフォーマンスがよく、後面の装甲を全部前と上に回してステンレスを貼る。大したTPではないのでそんなに分厚くは貼れないが、キングトロールNFとステンレスA300とA200を入れ座席を2つ潰してTPを兵装にいっぱいまで振ると200/50残り、本体込み$250,000くらい(スパルタンと違いDCが低いので断然お得とまではいかないし、レーザーで撃たれるとアッサリ落ちるが、500m以遠に届くレーザーは単発の40mmだけなので、拠点攻撃などではそんなに怖くない)。

KKKロワイヤルも装甲にファイバニウムを分厚く貼れるため、単体の価格はぱっと見の印象よりは安い。ファイバニウムをA300で3枚+牽引車にA100で1枚貼り、後面に電磁パルスシールドをつけると、本体込みで$2,300,000。兵装を失うのが怖いため、30mm機関砲は少なくとも1台を旋回可能なターレット(暗視装置も取り付けておきたい)で積み、105mm以上の実弾キャノン(HPが高い)もターレットで最低1門、10mmパルスレーザーをガンポートで少なくとも2台(前と上)、できれば40mmビームキャノンも併設、ミサイルやセンサーや電子戦装備もガンガン積み、余った兵装TPを貨物に回すと$3,000,000~$5,000,000くらいになる(最新戦車1台フル装備でこの値段とは、安すぎるのにも程がある:実在機種だと、エイブラムスやレオパルトは10億円くらいするし、90式も導入当初は10億円超え、激安主力戦車T-90が例外的に150万ドルくらいだったらしい)。落ちにくさと火力が半端ではなく、リアクティブアーマーとしても使える牽引ユニット(壊れて単品で買い直したらいくらなんだろうね:トレーラー用のカーゴの値段から類推すると$100,000くらいか)までついて本当にお得である。それでも、クリティカルと後面攻撃による一発落ちだけは避けようがないため、要撃シェル(できれば2機欲しい)や無人機を含めた随伴戦力の充実も図る必要がある(人数的に、ハンターチームだと万全の運用は厳しい)。なお、$500,000かけてTPを移すだけで、カーゴを上回る貨物TPとバトルトレーラーを上回る兵装と両方を軽くブッチギれる機動力を持った、最強の輸送車両に変身させられる(キングトロールNFを使うと本当に激しい数字になる)。

バトルトレーラーは高価だが、筆者の複合装甲ルールを採用していればベヒモスならなんとか実用性がありそうに思える。L6ポルナレフ(常に自走するメカだからガソリンエンジンは厳しいし、MVの都合もある)を20%チューンで積んでMV42なら、トレーラーとしてまあ許容範囲の数字だろう。もしバックアップ用に装甲車とカーゴを1台づつ新調しようとしているなら、こちらの方が合理的な場合があるのではないか。ファイバニウムA100とステンレスA50とハイ=チョバムA50を重ねて3面に貼ると$150,000ちょいのENC1000くらいだから、少なくとも装甲車をフルチューンするよりは効率がよさそうだし、筆者のコンテナルールを採用するなら運べるメカが増えて作戦の幅がぐっと広がる。クロムビートでは無視されているがヘリは意外と安い。改造ができないだけで、TPもそこそこあるしREFとMVも高いし装甲も薄くはない。カーゴの天井に乗せられるルール(後の項で触れる)なら定価販売でもお買い得感がある。シェルキャリアは、筆者の優遇ルールをモリモリ採用すればそれなりに便利なマシンになるのではないかと思う。


コンバットシェル

お互いのスキルが上がってくると火力加算が機動回避を上回り、双方スキル200%だとすると、比較的落ちにくい筆者の機動回避ルールでも、搭載火器で撃たれた場合に半々くらいで大破する。中でも30mm機関砲が厳しく、火力1D100+200を機動回避で100点減らしたとしても1D100+100、本体命中6/10のA70%だと3発当たって本体に1発以上素通りする確率が45%くらい。もちろんザック(3発撃たれて1発以上入る確率が27%)に1発でも入ってしまうと(耐久力のあるソルシェ以外)ほぼ墜落になる。大型キャノンは火力が350点だったとしても装甲で200点止めれば耐えられそうで、ビームキャノンはさすがに耐え切れないが兵装(レーザー以外)に当たってくれれば大儲けできる。いづれにせよ、先に触れた高機動戦闘ルールを採用しないなら、コンバットシェルは使い捨ての意識で使わざるを得ない。こちらの射撃は、レーザーランチャーを3発当てて2発本体に入ったとしても、ファイバニウムとDCで合計150点減らされてメタ=カーボンでも削られると5点ダメージ2発にしかならない。バスターライフルなら機関砲と同じ火力が出るため、装甲が薄いメカにはかなりの火力を発揮できる。

硬くする場合TPの都合でライトチタン以外は使いにくいので、A200にすると$160,000とTP100点を消費する。筆者の装甲ルールを採用するならファイバニウムをA10で重ねておけばよいが、それでも対物レーザー対策にメタ=カーボンが欲しいところで、けっこうな出費になる(スティンガーで1機$250,000くらいかな)。装甲70%のシェルは、パラダインII、マルクス、シァバリエに限られ、それでも3発撃たれると本体に1発以上素通りする確率が44.8%くらい(A60%だと56.1%くらい)あり、IV類火器が1発抜けてきたときに大破しないだけの機動回避能力がないなら、装甲の意味もあまりないことになる。標準型コンバットシェルやパラダインプラスの子機は本体が安いため、たとえばスティンガーにファイバニウムA10とリアクティブなら$25,000で済んでしまう。ソルシェは本体の高さとHPの低さに加えTPも厳しい。頑張ると$500,000コースで、ポケットタンクのフルチューンより微妙に高く明らかに脆い。シァバリエやシェルビンスクは子機だけなら$250,000くらいあればフルチューンできるはず。

長射程メカに肉薄できてナンボのスタンスを貫く場合、スティンガー+シンセミアの「次」が見当たらず、しかし2ラウンドのブースター制限はいかにも厳しく、だんだんと苦しくなる(次の段落で触れるソルシェのルール次第ではあるが、優遇されていたとしても脆くて高価)。スティンガーで頑張るなら、メタ=カーボンを入れてライトチタンをA200で貼るのが順当だろう($250,000くらいかかり安い買い物ではない:オート射撃をもらったときに、装甲に当たった弾でカスダメージを積まれると厳しいため、ケチらない方が無難)。ブースターウィングも欲しいが、それでもREFは40に届かないので気休め程度。だったらミラーコートやリアクティブの方がよい気がする。腕のハードポイントにフレアとドラッグシュート、肩のハードポイントにダミーバルーンパック3発、残ったTP10のハードポイントにCSDとレーザーガンポッド(明記されていないがレベル1だろう)とプロペラントタンク、あとはサイバーアイとサイバーIRビジョンとCSSくらいか。かなり落とされやすく墜落場所も敵のまん前になることを覚悟しておかなければならない。

スティンガー自体は、中盤以降も偵察支援や歩哨(でいいのかな?まあシェルも歩兵の一種(というか強化歩兵?)だから「歩」でいいのか)任務で十分活躍できる。というのは、空中でのREFがシァバリエに次いで速く、MVもソルシェ以外には負けないことから、要撃的な任務に向くため(もちろんシァバリエでも要撃は可能だが空中でのMVとザックバリエーションがスティンガーの強み)。ただ、強力な遠距離射撃ができるわけでもなく、相手の方が数が多いと簡単に押し切られるので、落とされにくい中重量級の壁メカ(前面上面特化装甲の装甲車とか:運転も射撃もAIで十分、相手が多ければこれだけ残して有人機は全力後退する)が随伴していると心強い。ソルシェが相手だと簡単ではないが、正面からなら、シンセミアで突っ込んでいけば相手は飛ばざるを得ないので、母機をAIに任せて見切り発車で飛んでしまえば、相手は上空に飛んでやり過ごすくらいしかなく、突入タイミングを大幅に遅滞することができる。簡易ホバーザックを装備したときの機動力はマルクスを軽く凌駕しホバイクに匹敵するので、水上移動がある場合にも有力な選択肢になる。

ソルシェは、専用固定兵装の射撃REFとダッシュローラーモードからの離陸ルールで大化けする。アセンブルガン(の20mmバルカン)とバスターライフルの同時射撃で先制できるなら、前面番長メカに対する待ち伏せ機としてシァバリエを上回る活躍ができるし、他のコンバットシェルに対して後飛びでアウトレンジ攻撃できる(筆者としては認めるべきだと思う:ルール的にその方が自然だし、メカに完封されるとブロックバスターの立ち位置が微妙になり過ぎる)。しかも、全メカ最速のMV450と6ラウンド飛行に加えザックに耐久力がある(155mmキャノンが直撃しても1発では落ちない)。ただし屋外かつ地上だとMV40(ダッシュローラーorガンドックモード)が足かせになり、移動はドッキング型コンバットシェルほど速くない。インドアマシンとしても優秀で、入り口が狭く中が広い屋内が得意(廃墟になった大衆施設や地下鉄のホームなんかが理想的)。筆者のルールだと稼働時間が1時間と普通のシェルの半分だが、こまめなモード切替である程度誤魔化せるだろうか。コンバットシェル形態がやや脆いもののダッシュローラーモードが速く、ダッシュローラーザックのスティンガーにも1点REF勝ちできる(が、アクトポッドやフルチューンしたクラッカーには勝てないので、オープンスペースでのアウトレンジ攻撃、死角からの投擲、ガンドックモードで稼働時間を延ばしての持久戦などに徹する必要がある:筆者の白兵戦ルールを採用しているならレーザーブレードで突っ込む手もあるが、やはりどうしても脆いし、筆者のインドアルールを採用しているなら小回りも微妙にきかない)。ガンドック形態も硬くはないがカーゴを降りた後の自走移動にはなんとか使える性能。ノーブル・コレクションシリーズのお約束としてメタ=カーボン(と専用兵装)が価格を水増ししているが、実はそれほど割高でない。チームに1機は欲しいメカ。

強襲にこだわらないならシァバリエも優秀。圧倒的なREFの高さでコンバットシェル同士の近距離空中戦で無類の強さを発揮する。ハードポイントには(必要に応じてバリアブルフレーム+)BクラスAI+ミニレーザーor7.62mmミニガンを積み、一発で落とし切れなかったときに備える。装甲はライトチタンで、相手の兵装によっては飛ばない選択肢もある。ただし、シェルはホバリングできないルール(MV100以下で墜落)があるので、空中待機を余儀なくされたら旋回(やルールが許すなら往復運動:筆者の運転ルールを採用していると、REFの高さから旋回性能もブッチギリ)でなんとかする。バリアブルフレームを使うと10mmパルスレーザーを2発積めて、待ち伏せで鬼の火力を出せる(REFが50点あるので中の人のREFを足さなくてもAIでも鈍重メカには先制できる:手持ちの連射火器でミラーコートや電磁パルスシールドを剥いでおくと効果的)。スティンガー同様要撃に向いており、もちろん、豆鉄砲を大量に搭載してクリティカル待ちする用途でも圧倒的な性能を発揮する。200ポンドメーザーも積めるが、筆者のルールだと必殺の威力ではない。メタ=カーボンであることとバギーの性能を考えれば、シァバリエ自体はリーズナブル(割高なシェル単品購入でさえ$75,000で、スティンガーを改造するのと大差ない)。とにかく800m以内から飛び立って、鈍重メカ(よりも軽量攻撃メカを狙った方がいいことが多いけど)の上面にレーザーの雨を降らせてやりたい(ただしKKKロワイヤルだけは後ろから撃とう:筆者の装甲ルールを使っているなら横からでもよい)。筆者のイメージでは、ブロックバスターの愛機としていちばんしっくりくるシェル。

シェルビンスクは、重コンバットシェル以外でハードポイントに30mm機関砲や20mmバルカンを積める唯一の機種(ハンギングを認めるなら別:ハードポイントではないがソルシェも20mmバルカン相当品は積んでいる)。相手が遠いうちに後飛びで離陸できれば1対1のコンバットシェル迎撃能力はそれなりだが、接近戦では脆く、搭載火器で撃たれた場合も簡単に落ちる(80mmビームスプレーも積めるが接近戦に弱いのでバクチになる)。筆者のルールだと肩のハードポイントの火器をドッキング状態でも使えるため、相手が近づいたら自分も飛んで距離をキープする運用が無難か(相手も遠距離火器を持っているとややつらいので、ドッキングのままの撃ち合いや壁メカを利用した逃げも必要)。母機にはステンレスかライトチタンをいっぱいまで貼って電子戦装備をいくつか積むだけでよく、サブコックピットはあれば便利かな程度(IMPやリアクティブスモークなども積むならTP優先でよいと思う)。母機の装甲が60%しかないがHPはシュトルムビクを5点上回って20あり、筆者のルールでサイバーリンクしない運用なら母機が大破してもノーペナルティだし、運転をAIに任せればREF17のメカのガンナーになれるので、食べ残しを掃除する用途には十分すぎるくらいだろう(ハスラーやネットライナー向きかな)。限界STRは60だが修正が+15なので、実質的には55までしか届かずロングライフルは持てない(設定の意図が謎)。

パラダインプラスは母機が30mm機関砲or20mmバルカンorミサイルキャリアとして優秀で、TPを適宜移してブースターと火器とファイバニウムA10だけ積んだ母機を使い捨てつつ、シェルも脱出ポッドや臨時の強襲or追跡メカとして利用できる。これもハスラー向きだろう。母機フルチューンするならデファイアントR1000にTP入れ替えにライトチタンA160に30mmバルカンバインドにBクラスAIにブースターで残りTP0/25で$300,000弱。ブースターを積まずに装甲を厚くする案もあるかもしれない。母機を使い捨てた後はあえてセット買いして、余った子機をこれまた使い捨て用途に回すという案がある(単体で見たらスティンガーの方が優秀だが、ホバーとドッキングできるのはやはり便利)。母機のREFが高く、ブースターを使えばソルシェ相手でも後飛びできるのだが、後から飛んだからといってどうということのない空中性能なので、大きなメリットにはならない(地対地では重要)。どの職業から見ても理想のコンバットシェルといえるほどの性能ではないが、使われ方に筆者がもっとも「コンバットシェルらしさ」を感じるのがこのパラダインプラスだったりする。

マルクスは簡易でないホバーザックを持つ唯一の機種だが、さすがに高い。スペック上の優位性を考えると、ようするにこれは「ドライブが硬くてTPがやたら多いホバーザック固定のコンバットシェル」(筆者のルールではタイプMでもHでも稼働時間は1時間)で、高速強襲作戦用なのではないかと思う(ほとんどのメカやシェルにREF勝ちしつつ、地上ではMVもトップクラス:ただし飛んだシァバリエと簡易ホバーザックのスティンガーにはREF負けする)。本格的な水上作戦をやるならぜひ欲しいところだが、スティンガーと比べてしまうとコストパフォーマンスに疑問が残る(硬いけど)。REF45で30mm機関砲を撃てるルールだと化けるが、インドアでのアクトポッドみたいになってしまい、筆者はやりすぎだと思う(メタ=カーボンを入れにくくてレーザーに弱いからアリ、という考えも否定はしない)。ランスロットはコマンドウライフルだけ優秀なので単品で買ってソルシェに持たせたい(ワイズ・ジャパンはほかにロクなメカを出していない(ゲイシャロードはアリっちゃアリなのかもしれないが)ので、メンバーズカードはワイズグループ共通でよいと思う:カーゴでも買い換えたときにもらおう)。パラダインIIは高機動ブースターザックにしてインドアで使うと意外と頼れる(REFはそこそこでも硬いので、先導役として安心感がある)。とくにアクトポッドが頻繁に出てくるキャンペーンだと、とりあえず突撃>相手の攻撃に耐えて反撃、というパターンが強力で、インドアのマストピースになり得る。マトリューシカはとにかく硬くできるので、AI操縦を認めるなら壁メカとして使えなくはない(移動を考えると装甲車や軽戦車の方がいいけど、新規導入なら値段が段違いに安く、取り残して使い捨てる用途にも向く:なによりメタ=カーボンが安くHP30なのでレーザーでは1発落ちしない)。

アクトポッドはキューピットが地上最速のREF50(というか飛んでるシァバリエと互角なのでゲーム中最速タイ)にSTR30という極悪性能を誇る。つまり、アクトポッドがホバーモード(GMの裁量だが、インドアでも広ければ使えると解釈するのが自然だと思う)で移動できシェルがブースターを使えないシチュエーションなら、バスターライフル(かランスロットのコマンドウライフル、下手をするとレーザーランチャー)で先制できるということになる。その代わり脆く、対物△の射撃でも3発当たれば1発以上の素通り確率が80%弱。ライトチタンをいっぱいまで貼ってもA80、ファイバニウムならA20だから、レーザーライフルなら当たれば機動回避してもだいたい破壊できるだろう(標準でメタ=カーボンなので、111点以上の到達火力が必要)。全弾本体命中かつファイバニウムは厚く貼れないためレーザーブレードで切ればだいたい落とせるが、所詮は単発打撃なので、筆者の白兵戦ルールを採用していても数押しに対抗するのは難しいだろう。キウィは少し硬い(対物△の射撃を3発もらって1発以上の素通りが50%弱、ライトチタンA120orファイバニウムA30を貼れる)が、簡易ホバーザックのスティンガーやパラダインIIのほか、筆者のルールを採用するならヒューマノイドでも先制できる(フルチューンホバイクはムリ)。どちらも正面からやり合わない方がいい相手で、MVがやや低い(キューピットでも30:ローラーザックのパラダインIIと同じ)のが救い。重コンバットシェルか戦闘向きメカを突っ込ませて先制攻撃に耐えればミニレーザーやバルカンライフルあたりで殲滅できるのだが、そんなに(入り口が)広い場所では運用しないだろうしねぇ。多弾頭手榴弾(なぜかポータブルな対物榴弾砲がないので死角からシェルで手投げorブービートラップあたり)でひっかけるか、持久戦にして稼働時間の短さ(筆者のルールでは30分)を突くか、筆者のルールなら有線でしか遠隔操作できないのでそこを狙う、といったあたりだろうか。筆者の追加ルールでAI用ボディとしてのアクトポッドを認めていても、たかだか50のREFなのでローラーザックのシェル(レーザーさえ積んでればモノバイクでも)があればなんとかなる(生身だとキツいけど)。


組み合わせ

筆者の操縦ルールを採用している場合、ホバータンクの巡航速度はそう高くならないことに注意が必要。装甲%ルールは戦術の本質を変える要素で、動かせないルールだとホバータンク相手には先制攻撃が絶対条件になるし、動かせるルールだと攻撃特化メカやインセクターの地位が下がる。人員のローテーションを真面目に考え(るかどうかは事前の合意次第だが)だすと、重要イベントが起きたときに寝ていたPCが不憫なのであまり追求したくないのが本音なのだが、やはり夜間の移動は一般的でないことにしてまとまって動いてもらうのが妥当だろうか。また、4~5人のチームが小隊規模で正しく運用されている中型メカ(装甲%を動かせないルールでのホバータンクを除く)を正面から撃破しようと思ったら、戦車を使う以外ないということを再確認しておきたい(ルール的に頭数=火力なので、戦車を使っても相当難しいはず)。ハンターチームにとって、そういう敵対戦力にポンと出会ってしまうこと自体がすでに失敗なのである(小隊規模の戦力を運用しているということは、相手がエリートバンディッドだったとしても、武装したハンターを無差別に襲ってくるほど見境がない相手ではない:アーミーに正面からケンカを売ったとか、テロリストに組織の敵認定されたとか、そういう事情がなければ)。

ホバータンクの本当の優位性は水上を走れる(ドライブ(というかスカート部分)が壊れたら沈むかもしれないけど)ことにあると思うのだが、水上/水中メカについては航空メカ以上にルールが整備されていない(ポケットタンクがERC 90みたいなノリならば、渡河くらいはできてもよさそうに思えるが)。筆者の燃料ルールを使っていると燃費がエラいことになるはずで、長距離運用は中継地沿いが原則になるだろう(オフロード燃費が10km/ジェリカン=1km/ENCだから、燃料しか積んでいないカーゴを伴走させても無補給では3000kmくらいが限度)。普通のインセクターはポケットタンクに強いもののホバータンクと正面から撃ち合うと脆く装甲車を落とし切れるほどの火力もない。ホバータンクは奇襲で潰すものと決めてしまうなら、けっこう使えるメカになる可能性はある。ゲイシャロードも魅力的なメカではあるが、あまりにも高くあまりにもHPが少ないので、運用で切り抜けられる自信と落ちても泣かずに済む資金力がないと手を出しにくい。装甲車はなにしろ出落ちが怖く、万全の装甲を目指すとコストパフォーマンスが悪いのでメインのメカとしては使いにくい。反面ユーティリティメカとしては余裕を持って使えるし、チームが壊滅したときに再起を図るための頼みの綱になってくれる可能性もある。本物のトレーラーを2台運用するのは、ただでさえ人手不足のハンターチームにデカブツのソフトスキンが増えることになり現実的な戦術ではないが、ルール上は弾除けとバックアップになりそんなに悪くない。

野戦用の前衛ユニットとして、軽量メカに先制できるソルシェ+中型メカに大火力を叩き込めるパラダインプラス+硬さで掃討役になれるチャンピオンという組み合わせの相性が抜群で、移動の際はチャンピオンをAI操縦で護衛役に回せば2人で運用できるうえカーゴも1台で済む。3人チームなら全部有人運用して、相手の構成(というかソルシェがいるかいないか)次第でパラダインプラスを前に出したり後ろに下げたりすればよさそう(メカの居住性はルール上は問題にならないが、ポケットタンクの中の人がけっこうツライはずだし、バックアップも必要なため、ゼットンあたりを追加しておきたい:適宜有人と無人を使い分ける)。4人チームなら上記を2セットでも十分安定した戦力が見込めるが、トレーラー2台で搭載数がカツカツの運用になる(さすがに3台は効率が落ちそう)。前衛セットにホバータンク(2人乗る)となにか無人メカ(カーゴかゼットンか普通の装甲車か、はたまたマムートやフォーチュナか)を追加するのが妥当なセンだろうか。

インドア志向を突き詰めると、高機動ブースターザックのパラダインII(ブロックバスター)、ソルシェ(ハスラー)、クラッカー(ランドブラスター)、サイボーグ(バウンサー)みたいな編成になるのだろうか。荷物の運搬と保管がけっこう大事なので、ネットライナーがNPCで加入しているならシェルかバイクにでも乗せて荷物番をやらせよう(トラベルザックって、こういうときに使うものだと思う)。目的地まではカーゴ(予備機や燃料を搭載する余裕もある)でも使ってゆっくり移動すればよく、バックアップとカーゴの護衛を兼ねて、野戦ワゴンか装甲車が1台くらいはあってもいいかな、といったところ。廃墟でのお宝探しをメインにする場合はとくに、車上荒し対策として台数をむやみに増やさない方がいいと思う。運び屋志向なら走破性が欲しいところで、レミング(主戦力というより、荷物が積めて屋根つきで速いホバーを探すとこれになる)とパラダインプラスを中心としたホバーチームが妥当だろうか(マルクスも欲しいが高い)。全員インセクター(というかシェルビンスク+フォーチュナの2台編成でもいいな)で道なき道にムリヤリ突っ込むチームも面白そうではあるものの、ちょっと特化型になりすぎるか。野戦重視で護送などを主任務にする場合、情報収集と索敵能力が生命線になる。移動モードと作戦モードの切り替えを明確にして、無策での接敵を避けたい。局地戦志向(というかバンディット掃討チームや傭兵チーム)の場合、ホバーやガンドックなどコストパフォーマンスに優れる攻撃メカを活用したい。

すでに触れたように、筆者のルールを全部盛りにしているとバトルトレーラーの戦術的重要性が上がる(優遇したというよりは、いろんなメカをストレスなく活躍させましょうという方針だと輸送手段を充実させる方向に向かうのが順当だっただけ)。万全を期すならバトルトレーラーと普通のトレーラーを各1台用意してバトルトレーラーを拠点化、普通のトレーラーはカーゴをとっかえひっかえして運用すれば、かなりの柔軟性を得られる(汎用品であることを利用して、カーゴくんDXだけorトラクターとセットで現地調達するのも手:終盤なら、使い捨てられるだけの財力はあるはず)。バイク類、ホバー、ガンドック、バギーといった「重武装しないメカ」なんかも、必要になったら新品で買うくらいのつもりでいると、選択の範囲がさらに広がる(搭載火器だけカーゴにいくつか積んで用意しておけばOK)。意外と使い捨てにくいのがコンバットシェルで、装甲を貼ったりメタ=カーボンにしたりといった出費で高くつくし、マスタースレーブ制限で常に頭数を持っていかれるため「余ってたらAIで」みたいな潰しがきかない。

どうしても少人数で大型メカと正面からケンカしたいorせざるを得ない場合、AIとドッキング型コンバットシェルを総動員してとにかく台数を増やす方法しかないように思える。たとえば、無人のトレーラー2台にパラダインプラスの母機を積めるだけ(全部フルチューンで、トレーラーの外と合計で8機用意したとすると$2,400,000)積んで、複数目標射撃を駆使して火力を上げながら、母機を失ったらカーゴに戻り(または母機を呼び寄せて)ドッキングして復帰する。シェルビンスクでも似たようなことはできるが、カーゴに乗らない母機を大量に連れ回し、ドッキング前に壊されないように隠すのが容易ではない。さらに、20mmバルカンを満載した無人ウォーライノ($1,000,000前後)も2台くらい用意しておきたい。トレーラーを相手に正対させて停車させないと効果が落ちるが、中型以上のメカがコッソリ接近するのも普通はムリだろうから、それほど気にすることはないと思う。上記の合計費用である$4,400,000でKKKロワイヤルを買ってしまう案だと、人数的に随伴戦力を用意できないため脆さが残ってしまう。ルール的にかなり微妙なところがあるものの、火力を補充しながら戦う以外にどうしようもなさそう。


キャンペーンシナリオの方針例

GMが好きに決めればいいだけの話ではあるが、なにしろ戦闘結果でのシナリオ崩壊が起きやすいため、ある程度の方針みたいなものはある。以下、マスターズマニュアルの記述はほぼ全面的に無視して、必要を認めたもののみ選択的に採用する前提。


大まかな進行

最初のミッションは、ミュータント退治やバンディットからの護衛なんかでまあよろしかろう。プレイヤーがベテランばかりなら、重要物品の捜索とか時間制限のある輸送とか、少しアクセントをつけてもよいかもしれない。デコイを運ばされるとかミュータントの餌にされかけるとか、PCを冷遇するというか、意図的にドサ周り的な仕事をさせて、情報の不足や足元を見た依頼や珍人物からの依頼などでどんどん酷い目にあってもらう。シティミッションも1回くらいは混ぜておき、プレイヤーの反応を見て中盤以降の構想を練りたい。

殲滅ミッションは極力避け、序盤の締めくくりにどーんと1回だけというのがオススメ。できれば最初からの殲滅シナリオではなく、動いているうちに成り行きで総力戦になるような形が望ましい。3~4シナリオ目くらいのタイミングだろうか。これを契機にハンターチームとしてある程度名を上げ、またメカニック店や情報屋やヤミ商人やサイバー医師などバックアッパーとのコネクション構築をひとまず終え、本格的なハンター活動に入る。各PCが一通りの装備を整えられるくらいの資金も提供しておきたい(トレーラーや20mmバルカンやマグネットアーマーシステムにはまだ手が届かないくらい)。

中盤は行動範囲の広がりに合わせたミッションがオススメ。典型的には「お前らこの間トレーラーを仕入れたんだろう?だったらこれを頼めないか」といった、チーム体制の強化が次の成果につながるような展開が望まれる。公的機関の下級管理職くらいの人物とコネクションを持たせて、その依頼で動いてもらうような形も面白い。地元のハンターチームのいくつかとも顔をつないでおいてもらい、必要であればNPCの補充もしておく。ドサ周りシナリオも1回くらいは混ぜてハンターの立ち位置を再確認してもらうとともに、思いついた下らないネタ(面白発明とか珍種のミュータントとか)があればまとめて投入して息抜きの回にしてしまう。後の項で紹介するシティ設定を採用するなら、地域性のあるミッションを中心にするのがよいだろう。

中盤の締めくくりはやはり、企業間闘争とか公的機関の裏の仕事など社会基盤の外縁にちょっぴり食い込む感じのものだとか、地元で有名クラスの賞金首を逮捕したり名のあるハンターチームを出し抜いたりといった名声を伴うものなどを用意して、エリートハンターチームとしての地位を勝ち取ってもらう。序盤の締めくくりが殲滅ミッションだったなら、護送や情報収集など少し地味めな(しかし重要な)任務を用意したい。これも3~4シナリオ目くらいのタイミングだろう。合計で7シナリオ前後だが、締めくくりシナリオの失敗で再起を図ったりすればもうすこし回数がかかる。チーム内の投資が十分なレベルに達して、任務に応じて自由に組み替えられる程度の資金を提供しておく(大型レーザーやミサイル類を気前よく使える程にはしない)。

終盤は企業の私兵や秘密チーム、有力人物の手先など組織力のある相手に対して、ハンターチームらしく立ち回ってもらうのが王道。人手不足がどんどん深刻化するので、パートナーとなるハンターチームや人員を派遣してくれるパトロンを用意して、小規模な組織力を持たせる案もある(すごく重くなるので、プレイヤーやGM自身の熟練度が追い付くよう工夫しておきたい:総力戦になるようなシナリオは全員の体調がよい日にやろう)。そこに、個人的な縁故からの個人的な依頼(肉親を護衛して欲しいとか、記念品を探し出して欲しいとか)を1回くらい混ぜてスパイスにする。報酬は金銭よりも情報や機材やサービスの提供にシフトしていった方がスムーズだと思う。後の項で触れる世界設定を用いるなら、活動の本拠をメガ=シティからタウンに移すこともあるだろう。最後のシメはGMのセンス次第。


注意事項

序盤は「悲惨な目にはあわせるが全滅はさせない」方針がよさそう。とくに、ハンターチームと対等近い戦力を持つ敵には駆逐能力を持たせない方が無難。ミュータントなら逃げるのが簡単でよいし、相手がバンディッドならポケットタンクではなくガンドッグに乗せるとか、初手でコケたときに即終了にならない配慮が必要。情報や能力が不足する中でなんとか誤魔化しきって任務を遂行する形が望ましい。

中盤は能力の向上を活かしてもらうだけでなく、新戦力の欠点も突いてやって運用の難しさをクリアしてもらう。主力メカの大破なども1回くらいは経験するだろうし、このくらいになれば生存は自己責任で全滅して身包み剥がれて身代金まで取られることもあろうから、金儲けシナリオや再起シナリオを1回分くらいはスタンバイしておく。いっそのこと、元敵対勢力の手下として雇ってしまってもいいかもしれない。PCが死なないように配慮するよりも、全滅した後にも話を継げるよう下準備しておくことに注力したい。

終盤になると全滅してもらっては困る状況が増えるが、それに反して全滅リスクはどんどん高まる。本気でピンチになったら騎兵隊や助け舟を出すのもやむを得ないため、お助けキャラを事前に作製しておいて、助けてもらったことへの恩返しシナリオみたいなものも用意しておくとよい。

序盤の締めくくりである程度の名声を得てもらうことは、PCがバンディッド化しないように仕向ける上でも重要。本当にバンディッドになってしまったらそれでも構わないと思うが、1~2回バンディッド活動をしたら復帰シナリオを用意してあげたい(それも蹴るならバンディッドのチャンピオンになってもらうしかない:最初からそのつもりでキャンペーンを組むのも一興だが、結局は公的機関とのやり取りなどが求められるようになる)。

ごっこ遊びが主眼なのでマンガのキャラクターを出すことなんかも多いと思うが、ワンマンアーミー的なキャラや大戦力の指揮官なんかはチョイ役で使った方が無難。全体の雰囲気をつかむ例として使うなら、事前に「~風で」などと打ち合わせておいた方がよい。プレイヤーが知らないキャラや設定を出しても妙な空気が流れるだけなので、趣味の把握はしておくべき。未来スポーツや未来芸能の類は依頼主側の絡みで出すのが無難で、PCが積極的に参加するなら最初からそういう設定でやった方がよい。


戦利品とか捕虜とか鹵獲とか

支配企業の開発データとか大物のスキャンダルとか貴重な生物種とか、一介のハンターチームが入手しても売り払うしかないようなものを入手させる場合には、それを引き受けてくれる専門家を事前に引き合わせておくべき。そういった貴重品をただ売り払うだけよりも、知り合いに引き渡してなんらかの社会的影響があったらしいことを知る方が、展開として面白いと思う。

捕まえたバンディッドは警察にでも突き出すのだろうか。ある程度有名な犯罪者を何人か逮捕しておけば警察にもある程度顔が利くようになるだろうが、下っ端ばかりなら警官にメンドクサイ顔をされるだけで終わるのかもしれない(そのくらいルーズな治安組織の方が、話を進めやすいと思う)。アーミーなど大組織の構成員を保護あるいは捕虜にした場合は、友好組織なら「バンディッドの撃退に協力した際多少の被害が出た」ことに、敵対組織なら無力化したうえ放置するのがお約束の対応。あまり挑発して恨みを買っても損なので、軽はずみな行動はNPCにたしなめさせよう。

バンディッドの持ち物を入手したときに盗品扱いになるのかどうかというのは微妙な問題で、まあそんなに目くじらを立てなくてもよいのかなと思う(警察経由で持ち主に返すのがタテマエだが、平凡な量産メカで盗難届けも出ていなければ、引き渡そうとしても「あーいいよそんなの持ってって」とメンドクサイ顔をされるのが常、とでもしておこう:PCに渡したくないモノがあれば「被害届出てたんだけどxxなかった?」みたいな流れで回収してしまう)。ハンターチーム同士なら、よほど険悪な地域でない限り、任務外で身代金を取ったり身包みを剥いだりといった風習はないものとした方が無難。相手が地元のチームだった場合はなおさら、ある程度の温情を求めるのが自然だと思う(貸しを作ることで利益が得られるシステムになっている、という情報を伝えておいた方がよさそう)。

バンディッドをバイクに乗せると頻繁に鹵獲される。意外と持っていかれやすいのがコンバットシェルで、主力メカに地上で勝てるほど火力はないし逃走できるMVもないため、大勢が決したら(バーサークしていない限り)降参するしかない。主力メカはほぼ間違いなくスクラップになるが、親分格を乗せている場合は投降することを考慮しておきたい。随伴メカがポケットタンクや戦闘ホバーでも、たとえばMV100で300m走ろうと思うと逃げる前に確実に落とされるため、玉砕させるのか降参させるのかある程度考えてから出した方がよい。量産型のチョイ役バンディットの場合、基本的にPCが欲しがるクラスのメカは持っていないため、まとめて中古屋に引き取らせるくらいだろう(ゲーム上はわざわざ処理しなくていいと思う)。

アーミーの特別仕様メカを鹵獲できるようになった頃には、持ち込み先の心当たりもできているような進行が望ましい。鹵獲したメカそのものよりも、別途の報酬が得られるシステムを作っておくのが無難だろう。これも前述の貴重品と同じく、落として行ったはいいが使うのは物騒だしメンテもままならないしという状況を作るよりは、前もって有効活用してくれる人物を用意した方がスムーズ。

警察やアーミーにチームごと逮捕されてしまう事態は、GMとしても厄介。死者続出の次くらいにキャンペーンの継続が難しくなってしまう。当局にある程度顔が利くようになるまでは、あまりハードな違法行為を依頼しないのが無難だろう。準備ができていない段階で成り行き上逮捕されそうになってしまったら、ある程度のご都合主義的対応もやむを得ないかもしれない。


チーム編成と仕事の種類

ある程度ゲームが進むと、チームに「得意な仕事」のようなものができ始める。ホバータンク+パラダインプラスの快速チームやインセクターを絡めた局地戦チーム、トレーラーで移動し高機動ブースターやダッシュローラーザックのコンバットシェルとモノバイクで突入するインドアチームなどいろいろな形態があり得て、それぞれ適するメカがかなり異なるため万能チームは作りにくい。

ここはあらかじめある程度チームの志向を確認しておき、それに沿った形で依頼を作るのが得策といえる。もちろん、プレイヤーがベテランならあえて苦手な仕事を振って四苦八苦してもらうのも手だし、シナリオの途中でワンシーンだけウィークポイントをついてやるのも面白い。苦手パターンを回避するために工夫を凝らしてもらうのも一興だろう。

資金を限界まで突っ込んで高級メカを買うのがハイリスクなゲームなので、プレイヤーが初心者の場合はお金の使い方についてある程度の情報を伝えておいた方がよいと思う。たとえばランドブラスターでいえば、ホバータンクを買える資金ができたとしても、すでに持っているポケットタンクが壊れるまで乗り潰すつもりで貯金を続けた方がよい(どうせすぐ壊れる)。バウンサーは装備を失うリスクが小さいし、とくに防具は生還率に直結するためさっさと買った方が得だろう。ブロックバスターならサブマシンを用意して使い分けるようなパターンもあるかもしれない。

AIが増えてくるとPCとGMの負担も大きくなるので、ある程度の調整というか、プレイヤーのスキルの一部的な扱いで流す運用もありだと思う。ボディ持ちのAIをNPCとして出すのもなくはないかもしれない。AIだけ乗せたメカをデコイとして使う案は、REFが低い(表現としては反応が鈍い)ことでバレることにしておきたいが、あえて鈍い反応を見せて騙し討ちにするのはアリだと思う。無線の扱いはとても面倒で、通常の無線は(自然環境によってもジャミングによっても)たやすく妨害されることにしておいた方が無難(分単位の時間をかけてじっくり調整すれば通信はできることにしておく)。AIのメモリだけ移植するような操作も扱いが面倒になるので、バイオ素材を駆使しており一部だけ切り離したりはできないとしてしまうのがラク。

バウンサーが剣術に走ったりするとまた話がややこしくなるが、まあライト系のゲームなんだし、レーザーブレードでホバータンクをぶった切るくらいのこと(ヘリや戦車までイケるかどうかはまた別だが)はあってもいいんじゃないかと思える。重コンバットシェル(標準マニュピレーターが着けられないとは書いていないし)にレーザーブレード(筆者のルールではSTRボーナス有効)や高周波ブレードを持たれると凄い火力になるが、重コンバットシェルだしまあいいだろう。

ある程度の得意業務が確立したら、対応任務を広げる方向に進むのが普通だと思う。そうしてくれた方が再起不能被害が生じるリスクも小さくなるし、苦手任務を振って対応の範囲を広げさせる働きかけはやはりあった方がよい。というか、あまり細かいところをケアしないルールなので、スペシャリストになられてしまうとゲームの方がもたない(大雑把なノリでいろんなことをやってもらった方がよいと思う)。


野暮を承知でリアル(っぽい)考察


原子力はどうなってんのか

この手のゲームを考えるとき、戦術核兵器はなかったことにしてしまうのが一番なのは間違いない。性能的には、1960年代のM-388 デイビー・クロケット(W54)でさえ、20キロちょっとの重量でTNT20トン相当、放射線の殺傷力も凄まじい(らしい)。メタルヘッドの時代設定で真面目に戦術核兵器を作ったら、それはもう目も当てられないようなことになる(野戦限定で使われるならまだしも、ブービートラップに使われたり屋内使用されたりしたら地獄絵図間違いなし:ニワトリ不要の核地雷も簡単に作れるだろう)。ここはひとつ、技術としては存在するが使用が禁忌になっている(2015年現在の日本並に入手が困難で、使用したときのペナルティも極端に大きい)ことにしてしまうのが無難ではないだろうか。理由は・・・過去に核戦争があってその記憶がうんたらとか、なんとなくこじつけておきたい。戦略核兵器については、技術的に運用できない(飛行機も飛べないくらいだから)でいいと思う。

もうひとつの大問題として、高性能な原子力電池が普及していることにすると、燃料ルールはおろかメカの構造を根本から変更しなくてはならなくなる。しかしメガ=シティ間の流通を真面目に考え出すと、原子力エネルギー自体を利用していないと考えるのは無理がある。というのは、メタルヘッドの世界では海運がかなり困難だと考えるのが自然で、だからこそ陸運業者であるハンターに活躍の場があるわけだが、陸上輸送というのはべらぼうにコストが高い。ましてや大陸全土が荒野になっていて、ミュータントやらバンディットやらが徘徊しているとなれば、物を運ぶコストは信じられないレベルになるだろう。そんな条件で、わざわざ燃料なんていう重くて安いものを運べるわけがない。いっぽうメガ=シティの立地を考えると、油田が近そうなテキサナやシェールガスが使えそうなネオ・アップルはともかく、サン・アンジェルスが100万人規模の生活基盤を支えるには、原子力以外にどうしようもないはずである。原子力は支配企業の独占技術になっていて、同時に裏で原子力アレルギーを煽ってたりとか、まあそんな枝葉をつけつつユルめに理解しておくのがよさそうである。

なお、もしメガ=シティ間に補給が可能な中継地がないのだとすると、大量の燃料(と運ぶ人の生活物資)を用意して走らなければならず、運べる荷物がその分減るわけだから、輸送コストはさらにハネ上がり、流通の規模は小さくなる(リアル世界の流通がこれほど活発なのは、海運やパイプライン輸送の圧倒的コストパフォーマンスに支えられている部分が大きく、基礎資源が行き渡っているからこそ陸運も成立しているのである:海運の設定については後の項で触れるが、支配企業の独占事業としたい)。

筆者としては、支配企業にとってもメガ=シティ間流通は必要なもので、効率化のための働きかけをしていないとは考えにくく、補給可能な中継地は作られていると考えた方がよさそうに思う。というか、ハンターはある程度ありふれた存在だというのが筆者のイメージで、だとすれば流通の規模はそれなりに大きくなくてはならないし、ごく限られた人しか挑戦できないような途方もない事業をしているわけでもないはずである。なので、メガ=シティ間の流通を支えるインフラが、それなりの規模と密度で存在すると考えるのが自然に思える。その場合原子力や送電線の存在が不可欠なわけで、メタルヘッドの世界には不完全ながらメガ=シティ~タウン間送電線が存在し、ごく一部に自前インフラを持つタウンもある(というか、そうしないとネオ・アップル~サン・アンジェルス間が遠すぎる)としておきたい。

ついでなので、この送電線の多くは架空電線路(鉄塔とかが異常気象で腐ったり倒れたりする)ではなく、もともと流体を通していたパイプラインの中を(崩落していた区間は迂回したり、根性で新設したりして)通信ケーブルとともに通してある、という設定はどうだろうか。パイプラインの破損は日常茶飯事で、これを監視する役目をハンターユニオンの一大事業にしてしまう(運用主体はもちろん支配企業で、大きな破損を修理できるのも専門業者だけだが、後述の緊張関係から中継地である貿易タウンが主な実働組織で、人手不足を補うためにハンターユニオンに一部作業を依頼する)。これだけ重要なインフラなら莫大な資源が投じられるはずだし、そのオコボレでも十分ハンターみたいな職業が成立すると思う(初期のミュータント排除依頼をパイプライン絡みにするとか、ハンターと後述のタウンアーミーがお近づきになるイベントに使うとか、キャンペーンへの繰り入れができそうだがどうだろう)。通信送電ネットワークは3大メガ=シティ間でリング状になっており、午後のダウン率はそんなに高くない(保守作業は昼間しかできないので、夕方以降に破損すると翌日の昼くらいまでは復旧しない:破損が1箇所なら電力も通信も迂回可能)。


航空戦力とコンバットシェル

航空機については忘れたことにしてもよいのだが、導入する場合の目安として一応。航空機を縛るための背景として、高く飛べない障害(相克界的な)と長距離を飛べないor断続的に飛行不可能になる障害(磁気砂嵐とかミュータント生物の大群とか)があり得るが、前者の方が縛りとしてはキツくなると思う(もちろん併用してもよい)。ここでは、異常気象が頻繁に(というか常にどこかしらで)起きるため航空機での長距離飛行は現実的でなく、上空ほど異変が生じやすく、外気導入型(エアブリージング)の内燃機関を採用するのもムリ(動力はほぼ電気のみ、ごくまれにロケットエンジン)ということにしてみよう(背景と設定の合理性についてはあまり悩まない方がよいというか、専門家が寄ってたかって分析しているリアルの兵器や戦術だって、みんながこうだと思っていたが実際試したらこうだったみたいな話はいくらでもあるので、仮に想定するような条件について突っ込んだ考察をしても実益がない:趣味で追求するのは止めないが、メタルヘッドのノリには合わないと思う)。

航空戦力は移動ヘリポートと小型ヘリの併用が主流。匍匐飛行や高高度飛行(5000mくらいまで実用的だということにしようか)はベテランパイロットが万全のサポートを得ながら行うもので、戦闘ヘリ的なものは一般的でないことにしてしまおう。都市近郊では大型ヘリも用いられるが、遠隔地が対象であれば地上を輸送して必要なときだけ飛行する運用。飛んだら落ちるのは当たり前の条件からオートローテーションができない固定翼機はほとんど運用されていないことにしてしまう。高度は100m単位くらいで大雑把に扱った方がラクかもしれない。カーゴの天井をヘリポートに改造すればバンパイア・バット程度のヘリは積める(もちろん輸送時にはガッチリ固定する必要があり、再搭載も原則カーゴを停止させなくてはならない)ことにしようか。簡易ヘリポートセットは$100,000でTPは消費しないが、カーゴの上面装甲が0%になるといったあたりでどうだろう。電気駆動のプロペラ固定翼機を設定して近接航空支援なんかをやらせても面白いかもしれないが、ちょっとやそっとでは手に負えないと思う。

確証はないが、コンバットシェルの飛行を真面目に考えると多分不可能である。あんなダンゴみたいなものにロケットエンジンを積んでも(ごく低速ならいざ知らず350km/hオーバーなんていう速度で)飛べるわけがない。棒の部分を外したロケット花火(あるいは、下手をしたらねずみ花火)のように、どこに行くかわからずクルクル飛び回るのが関の山である(ジャンプなら頑張れば可能そうにも思えるので、リアル路線のゲームではそちらを採用していることが多い)。おそらく、真面目に飛ぼうと思ったら個人降下翼GRYPHONみたいな翼を背負う形状か、手足が生えた飛行機ないし打ち上げロケットみたいな恰好になるはずである(大気中を高速で飛ぶ以上、安定翼の類を全部取っ払うわけにはいかない)。まあルール上飛べることになっているものをいまさら云々しても始まらないというか、あんなモンが飛べるなら普通の小型飛行機にロケットエンジン積んだら当然飛べるよね、みたいなことは言わないお約束にするしかない(これはゲームで、ましてやメタルヘッドなんだから)。

しかしともあれ、ザックを交換しても最高速度に変更がないということは、コンバットシェルのMV値はザックの推進力でなく機体の安定性を示している=まっすぐ飛べる限界がMV値ということになろう(元が「脚MVの100倍」なんていうテキトー極まりない設定なので、気にするだけアホらしくもあるのだが)。単純計算で、シェルの投影面積を1m^2(上から見て、長軸0.7mの短軸0.45mの楕円)として、100m/s(MV300=360km/h:ちょうど亜音速の領域にかかるかかからないかくらいで、いわゆる音の壁や熱の壁はおおむね無視できる)で空気抵抗と釣り合う出力を考えると600KW=600000W=600000kgm^2/s^3くらい。ソルシェ(なんかすっごい空力特性悪そうな描写なのに一番速い)に至ってはMVが450あるので、最高速度のMV450=150m/sを維持するのにも2000KWくらい必要で、6ラウンド(18秒)で40メガジュールくらいのエネルギーは間違いなく消費する。この推進力(と空力性能と自由自在な再着火性能)なら、コンバットシェルでの空挺降下(太陽周回軌道とかから突入してくるなら話は別だが)にパラシュートなんて必要ないし、シェルビンスクのハードポイントにバリアブルフレームを使って大型小型のプロペラントタンクを積めるだけ積めば、高度5000mくらいまでは余裕で行って帰って来られる(ものすごく高いところから自由落下させても、1~2ラウンドあれば減速できるはず:シェルの密度を空気の1000倍に見積もって直径1mの球で近似すると低空大気中の終端速度が175m/s=MV525くらい、空気抵抗が大きくなる姿勢を取ればもっと遅くなるし、高度6000mでも地上の半分くらいの空気密度はあり、空気密度は1/2乗でしか効かない)。ロケットの方式も気になるが・・・再着火もできる(よね?)し、着火したらすぐ飛べるし、エネルギー密度も効率もめっちゃ高いし、それなりに出力調整もでき、メガワットオーダーの出力がある小型軽量ロケットエンジン・・・化学ロケット燃料で液体とは書いてあるけど、ジェリカンの中身って何なんだろう(比推力でいうと200秒くらいなのかな)。

離昇(飛び立つとき)にはもっとエネルギーが必要で、コンバットシェルが中の人込み600kgだとしても、静止状態からMV300(100m/s)に加速するには、(空気抵抗を無視しても)6000000Kgm^2/s^2(6メガJ)のエネルギーを与えなければならず、これを3秒で行うとしたら2000000Kgm^2/s^3(2000KW)くらいの仕事率。ソルシェがちょっと大きいという記述を真に受けて900kgだとすれば加速に3400KWくらい(空気抵抗も考えるならもっと)必要になる。ザックの名前からして「ブースターザック」だし、メインエンジンのほかにブースター(積み増しエンジン:というか補助ロケットとほぼ同義)を積んでいるのだとは思うが・・・これってシェルのパワープラントをメインエンジンに見立てて「ブースター」と言ってるのだろうか(どっちであったとしてもルール上は無視する以外ないだろうけど:ザックの制限ラウンド以内なら加速と減速をずっと繰り返すこともできちゃうわけだし)。また静止状態から3秒で400m移動する(という解釈自体がドンブリ計算で、一瞬で最高速度に達している計算になってしまうが)のは生身の人間ではちょっとムリで、2010年に地上車ゼロヨン(というか1/4マイル)の世界記録3.58秒が達成されたときも、ドライバーは鼻と耳から出血したそうである(Gがキツいのは最初の0.1ないし0.2秒くらいの間のよう:終速は600km/hを超えていたそうで、メタルヘッドのACLに換算すると400~450くらいか)。まあシェルがブースターザックでぶっ飛んでいくときのイメージは、ロケットエンジンを積んだドラッグレーサーの加速シーンとあまり変わらない感じを想像して、そう大外しではあるまい。地上からロケット推進で機体を打ち上げる実例としてBa 349(通称ナッター、離陸はロケットランチャーから、着陸性能はなくパイロットとエンジンだけパラシュートで回収する:確認されているのは試験運用のみ)というのもあり、試験中にパイロットが失神して墜落する事故を起こしている。

これらをルールに反映させようと思うとすごいことになるので、ムリに導入する必要はまったくない。ヘリが戦車キラーになれるよう再設定して、コンバットシェルをヘリキラー(上を取れるから)の位置に据えるようなルールも面白そうではあるのだが、運用に必要な人数が増えるのでゲームの重さがネックになりそうな気がする。なお、航空輸送が簡単にできる設定にしてしまうと流通業者としてのハンターチームの地位が失われるし、攻撃機や爆撃機に出てこられると銃撃戦が崩壊してしまうので注意が必要。


コンバットシェルの機動戦術

前の項で触れた「コンバットシェルは垂直移動も速い」という前提に従って戦術を考えてみる。HEXマップや十字砲火ボーナスなどを導入しないと意味が薄いと思う(筆者の装甲ルールを採用している場合、90度の十字砲火は必ず片方が側面射撃(とくに装甲車は構造的に脆い)になるし、上面射撃も従来より少し有効なので、けっこうメリットがありそう)。もうひとつの前提として、筆者の運転ルールを採用しているとき、コンバットシェルはMV100(墜落しない最低速度)で飛行中に60度(シァバリエで90度)くらいまでの旋回をなんとかこなせる(REF40のサイボーグが操縦していればSR1/2くらい:スキル200%なら成功率90%)。またブロックバスターP7「[1.2.2]飛行とブースター」に「進行方向と逆方向に全力噴射することで、3秒以内にMV0までの減速、また燃料を使いきるターンには半自動的に地面に軟着陸するようになっています」とあるから、飛行中に1ラウンドかけてMV0まで減速し、違う方向に再度飛ぶのも自由とする(着地できない高さで減速すると墜落するからコンバットシェルは上空に向かっては飛べない、と主張することは可能だが、筆者としては空中でも制動できるとした方がずっと自然だと思う:だって空中で減速しないことには軟着陸なんてできないんだし、軟着陸可能な程度の減速が可能なら方向転換だってできなきゃおかしい)。もちろん、いったん射程外に着地して、主力同士の接敵とタイミングを合わせることも可能だろう(というか、火力を集中できるためその方が有利だと思う)。

ということで、まずは単純な水平展開から。
 
斜め前方に飛び出してターゲットに3方向からの射撃を加える。ターゲットの背後を取る形だとなおよい。さらに、水平移動での迂回だけでなく、高さを活かして上から回り込むことも(搭載火器の射程が一律1000mなのがおかしいだけだが、ルール上は)可能なはずで、

射程1000mのメカを相手に相手の斜め後ろ45度まで到達しようとすると、相手の射程範囲を球と見て切り取った扇形の弧の長さが2300mくらい、MV300なら8ラウンド、MV450なら5ラウンドで微妙に足りないくらいだろうか(プロペラントタンクは必須だと思う)。ただし相手のメカも(数百mくらいは)動いているので、シェルは追い付けても地上の味方主力メカが追い付けない可能性がある。また正面1000m距離から45度上方に飛び出してMV450で2ラウンド移動すると、水平距離300弱の垂直距離700ちょいになる(次のラウンドで高度が1000mを超えるため、射撃するつもりなら次は空中制動ということになる)。メタルヘッドの射程はあくまで、移動フェイズがすべて完了した時点で当たる当たらないという問題であって、有効射程を横切る動きをしても、最終位置が射程圏外なら届かないということを再確認しておいて欲しい。


陸運とメカのコストパフォーマンス

普通のトレーラーとバトルトレーラー(筆者ルールのコンテナ2台積み仕様)ではとっちがお得かという話題を中心に。メカの寿命は、1年300日稼動(異常気象で動けない日もあるし、荒野で運用するとメンテ頻度も上がるのでそんなもんだと思う)で2年程度(1日500km走るのだとして30万km、部分的にはオフロードもあってたまに銃撃戦なんかもしながらだとしたら、まあ短くはないと思う)としてみよう。燃費は(元のルールじゃいくらなんでもあんまりだし)筆者のルールを適用。2年間のメンテ費用として本体価格の半分くらいかかると勝手に決めておく。ハンターチームの人件費は$50,000年くらいを標準としようか(一応命がかかってる仕事なので、けっこう安いと思うが、優秀なハンターは副業で稼ぐのでとりあえずそんなトコかなと)。コンテナルールなども含め、筆者のルールを全部盛りにする前提。

重いものを運ぼうと思ったらバトルトレーラーのコストパフォーマンスは圧倒的で、たとえばトレーラー4台+護衛のパターンvsバトルトレーラー2台+護衛のパターンを考えると、両方ともコンテナ1台分を護衛や補給のために使ったとして、後者の方が3倍の荷物を運べる(30トンvs90トン)。しかし、メカとしての性能だけあっても、重くて高価で大量に運ぶ物がなければ優位性を発揮できない(海運がメインとしてある前提なので、なにを運んだらペイするのか悩ましい:基本的に、海運<鉄道<陸運<空運と重量あたりのコストが上がるごとに軽くて高価なものを運ぶ方が適するようになり、メタルヘッドの世界では空運が機能していないため、陸運はもっとも軽いカテゴリになる)。

すでにドンブリ計算の当て推量が掛け算で累積しているが、気を取り直して、重量当たり単価(本当は流通の利ざやだけど)が2倍になれば運送にかけられる費用も2倍になる、と単純計算すると、重い貨物を持つ需要者は重量単価が2倍の輸送手段がないと輸送機会を得られないことになる(そのことにより価格が上昇するフィードバックがあるはずだが、この際無視して平衡状態のみ考える)。そこで、トレーラー輸送に対してバトルトレーラー輸送が半分の単価だと仮定してみよう。つまり、重さの上では1:3だが、やり取りされる運賃の面では2:3、顧客が支払う重量あたりの費用では1:2になる。

こうなると、流通業者の側からはバトルトレーラー2台でトレーラー4台の1.5倍運賃を得たとして、ペイするのかという問題になる。バトルトレーラー2台が$2,500,000+メンテで$500,000として$1,500,000/年くらい、トレーラー4台が$2,000,000(装甲がけっこう高い)、メンテの$200,000はカーゴの方が動力車より寿命が長そうな分で相殺すると$1,000,000/年くらい、護衛メカが総額$1,500,000くらい+メンテに$500,000くらいだとすると、設備費で250万ドル/年vs150万ドル/年の構図になる。人件費は4人チームを想定すると20万ドル/年くらいでたいしたものではない。15万キロ燃費はバトルトレーラー2台で36万ドル、トレーラー4台で30万ドル、護衛メカが装甲車+ホバーあたりだとすると10万ドルくらいで、燃料費が都合55万ドル/年vs40万ドル/年になる。

総費用で比べると、バトルトレーラーの325万ドル/年に対してトレーラーが210万ドル/年。苦しいもののまあ商売にはなりそうな数字になったが、筆者ルールだとバトルトレーラーの巡航速度で1日500km走るのはけっこう大変(長めの時間をかけて省エネ運転しないとダメ:基本的に昼間しか走らないことに注意)だし、年商に対する設備費の割合が高く、しかもそれがいつ鉄砲で撃たれて壊れるかわからないとなると、資金力のあるチームにしか手を出しにくい。夜間運行を行って設備の稼働率を上げようとしても、酷使によるメカ寿命の短縮や人員(と人員輸送のためのメカとそのメカの燃費)増で相殺されるため、夜間輸送のリスクに見合うかどうか、かなり厳しいと思う。

もしここをひっくり返せるとしたら、やはり規模拡大しかないように思う。バトルトレーラーは普通のトレーラーより遅いが、護衛するのはある程度ラクなはずなので、いっそのことバトルトレーラー4台体制を敷いてしまう。そうすると輸送費は511万ドル/年で輸送量は2台体制の2.33倍、トレーラーの7倍で、単価が2倍違ったとしても3.5倍の運賃を得られ、一方で運送費は2.433倍なので、かなりの利益が見込める(剰余金を4人で単純に山分けしても、56万ドル/年くらいの追加収入になる:ただしこの規模になると、事務所を構えたり法人化したり剰余金をプールしたりといったことも必要になるのが普通で、丸々個人の収入とはなかなかいかない)。問題は初期投資の額が大きいこと、何かの都合で需要ないし業務が停滞すると影響が大きいこと、そしてなにより、本来もっと儲かるはずの裏稼業に使う時間や労力が減り、また設備的にも輸送業務専用になってしまうことだろう。

ということで、輸送専念チーム(ありえそうなパターンとしては、ある程度活躍して資金も十分にあり、顧客のコネやらスポンサーやらも相応に得て、この辺で少しおとなしくしようかということになったベテランチームとか)が真面目な事業として考えるなら、バトルトレーラー4台編成による輸送も成立しないではない、くらいの見当になった(メカの寿命が利益に直結するので、輸送に専念してこまめなメンテナンスを継続できればなおさら有利)。またトレーラーの運送費210万ドル/15万キロ*3台=1750ドル/日*台(バトルトレーラーの場合3500ドル/日*コンテナ)は運賃の目安として使えると思う。10トンの貨物をトレーラーで5000km運ぶとハンターチームの担当部分だけで17500ドル、バトルトレーラーで運ぶと11666ドルかかる計算(顧客の選択基準としてトンあたりいくらではなく、コンテナに満載したとき普通のトレーラーで運べる重さかどうかが問題であることに注意:コンテナ1つの単価はトレーラーの方が安いので、満載で20トン以下であればバトルトレーラーにコスト的な優位性はない)。


勝手に世界設定を再構築してみたい

例によってマスターズマニュアルは完全無視。


シティの様子

メガ=シティは同心円で区切られたモザイク状の広がりを持つ。半径5~10kmくらいが中心部(2015年現在の東京で言う環状6号=山手通り/C2中央環状線くらいの規模:札幌で言うと、南~南東は澄川から福住、東~北西は札樽自動車道沿い、北だけ麻生まではみ出るくらいが半径5km)で「センター」と呼ぶ。支配企業などが集中しているのはセンター半径の半分くらいの地域で「コア」と呼び、警備が厳重。センターの半径の倍くらいまでが都市圏(環状8号/外環道くらい)で、このドーナツ状の地域を「シティ」と呼び、それ以遠が郊外(半分無法地帯)になる。センターとシティでは法律が異なり、前者の方が治安面で厳しい(後述)。

このドーナツ構造はさらに細分化できる。コア周辺は高級住宅街、センターの外縁付近は副都心や都市機能(アーミーを含む)を司る地域になっており、住宅街はコアに勤務する人やその家族が住む地域と副都心の関係者が住む地域が交互に並ぶ構造。センターの外縁部からコアへは交通手段も直通でない。人が多く住んでいるのはその外側で、放射交通の周辺が工業・商業地域(食料は工業生産品であることに注意)になり、その周辺に住宅街、これらひとまとまりをシティブロックと呼ぶ(商工業地域を挟んで2つの住宅地を含むのが普通、住宅街単位のまとまりはサブブロックと呼ぶ)。
 
1ブロックの人口は数万~数十万人くらいのオーダー、メガ=シティ全体では数百万人くらいのオーダー(文字通りに「メガ」シティで、オリジナル設定の1億人規模というのは却下する)。人口を大幅に縮小したのは、環境が極端に厳しくなると面積の大きな都市は維持できないし、高い人口密度も実現しにくいであろうという推測による。住宅街にも、厚い装甲板(メカ用のステンレス装甲と似たようなもの)を貼り付けたコンクリート塀や悪天候に備えたシェルター、地震(も多発していることにしよう、この際)でのライフライン寸断に備えた備蓄設備などがあり、土地の利用効率は低い。さらに、災害復旧が進んでいない地域や災害対策が取れない地域が未整備地区(後述するがスラムは整備地区を中心に構成されるもので、未整備地区を生活の中心にしている人はほとんどいない)として点在しており、住宅自体は密集型であるものの住宅街として見るとまばらである。災害は過酷で、年平均すると人口の0.1~0.2%くらいが失われる(参考までに、1970年における日本の交通事故死者数/総人口がだいたい0.0165%くらい)。コアから見た副都心はシティブロックを統治するための出先機関に過ぎないが、シティブロックを展開の中心にする有力企業もある。

ライフラインやシェルターなど生活に必要な設備を共用する集団は強い利害関係で結びついており、シティブロックの形成単位となる。この小さなまとまりをホームブロックと呼ぶ。ようするに大型団地みたいなもので、人口数千~一万人くらいの規模。住人は一般に保守的で、ホームブロック内では互助的である。これに対してシティブロックとシティブロックの間はスラムになっており、流動的なインフラ利用を前提に通年固定の住居を持たない住人が多数を占め、メガ=シティの全体的なマンパワーの観点で流動性の確保を一手に引き受けている(スラムは俗称で、副都心当局などでは流動基盤地域と呼ばれる)。スラムの住人は概ね現金な性格をしており、自分に利益をもたらす部外者には親切なのが普通。シティブロックとスラムの本質的な違いは生活様式であり、経済力や生活水準の優劣は絶対的でなく(裕福なスラムや高度にインフラ整備されたスラムも存在するが、住人間の格差や全体の浮き沈みは激しい傾向がある)、どちらの地域でも生存上の第一脅威は天変地異である(一般にスラムの治安はシティブロックよりも悪いが、スラムの住人が犯罪に巻き込まれて死亡する危険よりは、シティブロックの住人が災害に巻き込まれて死亡する危険の方が大きいのが普通)。実際的な行政は副都心当局が中心で、コアに置かれた支配企業による協議会(実質的にメガ=シティの政府)はセンター地域のみを管轄するのが原則。環状交通は不完全であったり危険な地域を通っていたりすることが多い。未整備地区を横断する場合は地下鉄が(機能を保っていれば)もっとも安全だが、もともと貨物輸送を考慮しないシステムにムリヤリ貨物を割り込ませているため便はよくない。

このように分断された階層構造を持つ都市なので、一般市民の生活はシティブロック単位でかなり独立している。郊外の利用は大規模施設や資源採掘など(たいてい支配企業の傘下で独自に武装している)がほとんど。メガ=シティから遠く離れた場所にも、タウンと呼ばれる小集落(メガ=シティ間交通や資源運搬のための路村であったり、大規模施設の付属物であったり、さまざま)が点在する。ハンターチームの拠点(というか溜まり場)はたいてい、メガ=シティの外縁ギリギリのスラムと住宅街の境界くらいにあり、立地が限られるため同じサブブロックのチームはご近所同士である。メガ=シティのすぐ外にユニオンのガレージ(武装車両も入れられるが、普通は重量ナンバー2まで:トレーラー専用ガレージは別にある)を借りていることが多い。ハンターユニオンの支部は副都心の外れにある。

治安は、センターではアーミー、シティブロックでは警察、郊外では企業の私兵の管轄。副都心の治安は法律上アーミーの管轄だが、各シティブロック警察の指揮系統が副都心に置かれている都合や、支配企業の関連会社が治外法権的な権限を持つ地域があったりして、かなり複雑である。シティブロックの警察はどこも人手不足で、とくに副都心で大きな事件が発生したときなどは手薄になる。いっぽうシティブロックの住人は、警察を「センターから来た連中」と見なしている節がある。武装しているのが明らかな車両はシティブロック内をおおっぴらに走れないし、依頼人が許可を取ってくれたとしても幹線放射道路にホバータンクや装甲車で乗り入れるのは現実的でない。スラムなら、拳銃程度をホルスターに入れて携帯する分には(自警団や用心棒の類に目をつけられることはあっても)逮捕されることはない。後の項で触れるように、バンディットの本体がメガ=シティにマフィア的な組織を展開している。


ハンターユニオンによる正規輸送業務

この設定のキモは、メガ=シティ間の主要街道は(昼間であれば)ほぼ安全な輸送路であり、ゲームのシナリオに出てくる「本当の荒野」は街道を外れたところにある、という点である。主要街道を使った輸送業務の主体は個々のハンターで、契約もチームごとだが、実務上はハンターユニオンが主導的な役割を担う(以下「正規輸送」と称する:話が前後してしまうが、ルートについては次の項で触れる)。この設定を初めて採用する場合、最初のシナリオは街道がらみにして、プレイヤーに状況を把握してもらうのがよいと思う。

もし北米にアクティブなハンターチームが1500あって、年平均40~60回くらいメガ=シティ間を通過する(品物を仕入れたり売りさばいたり、異常気象で身動きできなかったり、マシンのメンテをしたり入院したり、輸送以外の依頼を受けたりするので、そんなに少ない数字ではないと思う)とすれば、延べ通過回数は60000~90000回/年、だいたいで1日平均200回ちょっととしておこうか。すると、同路線を同方向に進むハンターは20~40チーム/日くらいになる。特別な用事のないハンターは(自分の商売用の輸送や個別に引き受けた輸送をこなすついでに)ユニオンが貸し出す無人トレーラー輸送も引き受けて、自前持ちトレーラーを含めて3~5台くらい(一般にチーム人数が上限とされる)のカーゴ(またはバトルトレーラー)を引っ張って進むことにしよう(100~150台のトレーラーが同日同路線を同方向に進む計算で、人数は片道あたり150人くらいだろうか)。いくら「ほぼ安全」とはいえ夜間の移動は一般的でなく、中継地も限られていることから、5~10チームくらいでまとまって輸送を行うことになる(急ぎ組、普通組、ゆっくり組、みたいな感じで分かれるが、チーム数によってさらに分かれたりくっついたりもする)。このとき技量に優れたチームが先頭を走る暗黙の了解があり、先頭を走れることは(ハンターチーム間で)それなりのステータスにもなるのだが、ミュータントの排除や路面状況のチェックなどがかったるいので、本当にベテランになると最後尾に回りたがるチームが増える。

正規輸送はオークション形式で実施される。まずメガ=シティ間を移動するハンターがユニオンに「何台までの受け入れが可能」という申請をして、ユニオンが「これこれのチームが何台運べます」と情報を公開、荷主がオークションで輸送サービスを落札する(ベテランになると馴染みの顧客や紹介客の分で埋まるようになるため、オークションを使うのはおもに中堅のハンター)。荷主は自分のカーゴ(どうせ車両基地までは運んでこないといけないため、ほとんどの荷主は自分のカーゴを使う)を近郊タウンまで運び、ユニオンの車両基地で封印を施し、カーゴごと積み替える(普段のゲームでは使わない処理だが、バトルトレーラーにカーゴの箱とコンテナ部分をまとめて積み込めることにしておく)。ハンターと合流して出発、トラクターやバトルトレーラーがユニオンのレンタルならAI操縦で、指揮権はハンターが持ち、目的の近郊タウンまで護衛と誘導と補給(カーゴには貨物しか積んでいないので燃料が必要ならハンターが運ぶ)を行う。到着すると、またユニオンの車両基地で封印を撤去し、クラッシュチェッカー(後述)の中身が破損していないことを確認して引渡しとなる。なお、無人トラクターはユニオンがハンターチームに貸し出している扱いで、料金はそう高くない(ゲーム上は無視してよい)が大破したら弁償しなければならないし、ある程度の実績がなければ貸してももらえない(新人時代は路上障害物撤去やミュータント駆除などでがんばるのが慣例)。

オークションの参考としてハンターチームの輸送実績は記録・公開されているものの、このデータは少々クセモノで、輸送事故判定はカーゴ内部の所定位置に取り付けたクラッシュチェッカーという箱の内部が破損したかどうかで行うのだが、ぶっちゃけバイクに追突されたくらいでは壊れない(ルール上もないものとして扱ってよく、横転や大破でもしなければ輸送事故扱いにはならない:衝撃で荷物が壊れて困るならコンテナに緩衝機構を仕込むのが荷主の責任、銃撃戦で荷物が壊れて困るならカーゴに装甲板を貼るのも荷主の責任、というのがハンターユニオンの態度)。到着の遅れも異常気象がない場合で1日2日なら遅配扱いにならないので、結局は個々のハンターチームと荷主の間の信頼商売となる。料金は前金で、上記の事故判定基準を元にした輸送保険(運賃の全額が上限)もユニオンが扱っているが、利用者はほとんどいない(ただし、ハンターユニオンから見たハンターチームの信用度の指標にはなるので、新規の荷主にとっては有用な情報:筆者としては、ハンタークラスのルールを廃止して、この保険の保険料率で代えたいのだがどうだろう)。ユニオンの態度を嫌って自社輸送を行う企業がないわけではないが、社員が荷物を破損したり持ち逃げしたりするリスクを考えるとハンターを使った方がお得で、優秀なハンターは雇われになるのを嫌うため人材確保も難しく、主流にはなっていない。現実問題として、ハンターによる輸送は長年大きな問題なく続けられており、荷主が荷物を失うことはめったにない。

料金はオークションの結果次第だが相場(陸運とメカのコストパフォーマンスの項を参照)はだいたい決まっており、依頼が途切れないレベルの輸送専念チームが1年間真面目に働くと、1人1年あたり50万ドルくらいの収入になる(まあ小さいとはいえ命の危険もある仕事で、優秀かつ実績やコネもある人が1年トラブルなく頑張っての数字なので、そんなに割はよくないと思う:ベテランになっても実業家にならずこういう仕事を続けているのは、物好きが集まったチームであることが多い)。この正規輸送はハンターユニオンの主要業務のひとつになっているが、ゲーム上はこの部分を「日常業務」として流し、その合間に受けた「特別な依頼」だけをシナリオに乗せるという解釈が無難だと思う(ハンターも年がら年中特殊依頼を受けているわけではなく、普段は運送業者として普通に仕事をしている:PCは「日常業務」ではそんなに稼がないはずなので、単に「生活費と相殺する」でよい)。


貿易路とインフラライン

筆者の設定を全部盛りにする前提で、メガ=シティ間の貿易路を想定してみたい。メガ=シティ間の距離は計算しなおすことにする。

まずメガ=シティから。サン・アンジェルスはサンフランシスコがネオ・アップル方面、ロサンゼルスがテキサナ方面の玄関口になる。テキサナはヒューストンがサン・アンジェルス方面、ニューオリンズがネオ・アップル方面の窓口。ネオ・アップルはニューヨーク一極集中。主要街道は一部オフロードの区間があり、危険区域を迂回するなどして所要時間が変わることがある。なおロサンゼルスとニューオリンズはメガ=シティの一部ではなく、規模が桁違いに大きいだけの近郊タウンである。サンフランシスコ~ロサンゼルスとヒューストン~ニューオリンズの流通は充実しており、非武装の車両で運送が行われる(武装車両は別レーンを通行しなければならない)。

ニューヨーク~ニューオリンズは唯一パイプライン(筆者設定の、電力と通信用のもの)が完全に二重化されており、主要経路も北回りと南回りがある(主要街道のさらに南を回るオーガスタ経由は保守されていない)。慣例としてこの2つの経路を反時計回りの一方通行のように使っている(ただしあくまで正規輸送に限った話)。南北のパイプラインを途中で繋ぎ梯子状ネットワークにする計画はずっとあるが、着工されたことはない(保守されていない旧道はある)。貿易路が冗長なためタウンの勢力は弱く、大きなタウンはダラム(3日旅程でも5日旅程でも中継地になる)くらい、反対に、アトランタやバーミンガムやシャーロットなど中規模のタウンが多い。ベテランの輸送専門チームは自前の快速トレーラーでニューオリンズ~アトランタ~ダラム~ニューヨーク~ロアノーク~チャタヌーガ~ニューオリンズの3日移動ルートを使うが、ユニオンレンタルの無人トレーラーだと5日かかる。

ロサンゼルス~ヒューストンは南回りが主要経路で、東側の一部だけ、ダラス、オデッサを経由してパイプラインが二重化されており、オクラホマシティにも枝線が伸びている。フェニックス、エルパソ、サンアントニオが主な中継地で、オデッサ回りとメイン経路の合流地点にポープという新興タウンができている(規模は小さい)。エルパソは北米最大の貿易タウン。サンアントニオはテキサナの勢力圏内だがフェニックスは独立勢力。装備が充実したハンターならオデッサ回りよりもさらに北を回る(オクラホマシティから西進)ことが不可能ではないが、中継地はない。南方(メキシコ方面)へのアクセスも同様に険しい。全速力で飛ばしまくれば、ロサンゼルス~エルパソ~ヒューストンを1日+1日で進むことは可能だが、危険だしフルチューンしてもトレーラーが付いていけないので、輸送のためにこれをやるハンターはいない(無人トレーラーを使う場合は4日旅程)。

サンフランシスコ~ニューヨークは北部街道と呼ばれる新しい主要経路で、開通前はテキサナを経由していた。ソルトレークシティはサンアンジェルス、シカゴ(というか五大湖南岸)はネオ・アップルの勢力圏で、輸送中継地にはなっておらず迂回するのが普通。1日500~600km程度の移動を前提に計画整備された街道で、途中のタウンはすべて新設(または復興)されたもの。その中で最大のものがシャイアンで、限定的ながら自主資源(原子力発電所と各種プラント)を持ち、旧デンバーからの発掘事業なども行っている。当初サン・アンジェルスとネオ・アップルが共同運営する予定だったが、ロサンゼルス包囲事件(後の項で触れる)を受けて独立運営とすることになった。標準所要日数は、サンフランシスコ~シャイアン、シャイアン~シカゴ、シカゴ~ニューヨークが各3日で合計9日、シカゴ~ニューヨークは2日で走るチームもある(ここ以外は、中継地の都合で短縮しにくい)。サンフランシスコ~ニューヨークはテキサナ経由だと(サンフランシスコ~ロサンゼルスとヒューストン~ニューオリンズで各1日かかり)標準で11日、速いチームでも9日だから、日数的には変わらない。ソルトレークシティから枝分かれしてロサンゼルスにもパイプラインが繋がっているが、経路の一部が核燃料輸送車(アーミーが護送する)最優先の交通になっており、民間の輸送路としてはほとんど使われていない。

これらの陸運とは別に、支配企業が独占的に海運(メキシコとフロリダ半島の横断のみ陸路で、陸路部分はテキサナが運行)も行っているが、コネのない企業は参加できない。基本的には陸沿い航行で、ロサンゼルス~マサトランをサン・アンジェルス、ジャクソンビル~ニューオリンズ~シダーキーをテキサナ、ジャクソンビル~ニューヨークをネオアップルの船舶が運行する。輸送量としては陸路の数倍、コストパフォーマンスもよいが、日数がかかり異常気象で運休することも多い。マサトラン~ブラウンズビル間とシダーキー~ジャクソンビル間は北米で唯一テキサナだけが所有する長距離鉄道が稼動している。大陸間航路として、サン・アンジェルスは太平洋航路、ネオ・アップルは大西洋航路を維持しているが、輸送量は沿岸航路ほど多くなく、また天候による偏りがさらに激しい(内航外航の住み分けはテキサナとネオ・アップルの一致した方針らしく、互いに領分を越える気はない模様:進歩的な考えはなく既得権益の確保に腐心している)。


メガシティの歴史

歴史的経緯もおおまかにでっち上げておく。もとは資源とメガ=シティ間貿易を背景にしたテキサナ(バイオ素材や炭素珪素系素材が特色)が先進地域で、ネオ・アップル(金属素材や金融商品に強い)はヨーロッパ南米アフリカとの大西洋航路を握り最大勢力だが北米のメガ=シティ間では対外消極姿勢を貫き、サン・アンジェルス(サイバー技術が高くウランの採掘量が多い)は工業力と太平洋航路を抱えるものの、沿岸海運をテキサナに握られており頭が上がらない立場にあった。サン・アンジェルスの悲願でありネオ・アップルも協調した北部街道と北部パイプラインの建設に目処が立つと、テキサナの動きが不穏になる。陸路が直通で繋がってもテキサナを経由する輸送量は大きく変わらないが、サン・アンジェルスの主要輸出品であるサイバー素子は軽量高額商品なので輸送額ベースでみるとそれなりに大きく、また南米やアフリカから輸入される希少鉱物資源(サン・アンジェルスの生命線である)もテキサナを迂回可能になるなるうえ、サン・アンジェルスとネオ・アップルの結び付きが強まると外洋航海技術を持たないテキナサが取り残されるという懸念もあった。五大湖周辺でのバンディッド急増、シャイアンでの爆破事件(真相不明)、サン・アンジェルス~ネオ・アップル間の通信障害(テキサナ当局は単なる中継事故と発表)などを経て、テキサナのアーミーがロサンゼルスを包囲する事態に発展する。

すでに触れたようにこの紛争は痛み分けに終わり、ネオ・アップルの仲介でエルパソが独立勢力として公式に認められ、シャイアンもメガ=シティから独立した運営に方向転換し、いったんは沈静化する。しかしこれがネオ・アップル周辺のタウンに飛び火して、自治やら独立やらを求めるタウンと直轄統治を続けたいメガ=シティの間で内紛状態になる。テロや暴動が多発する中、ネオ・アップル当局がフィラデルフィアへの物資供給停止を決定、10万人ともいわれる難民が発生して事態が泥沼化した。難民の発生でむしろ助かったのがテキサナで、流入した人口を活用して北部開発に注力する(メタルヘッドの世界ではメガ=シティ運営も頭数がものをいう、ということにしておいて欲しい)。いっぽうサン・アンジェルスは、北部街道への投資回収の遅れ(ネオ・アップルの対外消極政策が強まったのに加えて東部の治安が悪化した)とロサンゼルスの復興に苦慮することになった(復興自体は成功の部類に入る成果を上げたが、その間にアラスカのウラン開発が行き詰まり、アラスカ開発に合わせてすでに着手していた旧シアトル地区の事業も棚上げになった:異常気象により試掘設備が全滅したのが直接の引き金といわれる)。

結局、テキサナ(過去の栄光は失ったものの沿岸海運(の中継になる鉄道部分)はいまだに握っている)がなんとか立ち直り、ネオ・アップルも統治体制を強化して(治安は相変わらず悪いが)混乱をひとまず収拾、サン・アンジェルスが(苦労した割に得たものがあまりないが)ロサンゼルス再建を完了したくらいがゲームのスタート時点になる、としておこう。勢力的にはネオ・アップル>テキサナ>サン・アンジェルスだが、そう大差ではない。なおロサンゼルス侵攻に対する市民感情の対立みたいなものはそう顕著でなく、サン・アンジェルスでは(当局に近い筋には恨みつらみの声もあるが)勝利したことになっており「テキサナに一泡ふかせた事件」的な解釈、テキサナでは「また支配企業の連中がやらかして、俺たちも大変だけどロスも災難だったよね」と他人事扱い、ネオ・アップルでは当局と市民の見解が一致しており「2流メガ=シティ同士が起こした揉め事」という認識が一般的。


武力組織の規模

すでに触れた設定変更案でメガ=シティの規模を人口百万~数百万人程度としたので、以下それを前提に話を進める。

アーミーは対外戦力を持つ唯一の組織で、戦車や大型ヘリを運用できる。リアル考察として、2015年現在の人口に対する現役兵力は、日本で0.2%くらい、アメリカ(沿岸警備隊と海兵隊や州軍などを含む)で0.5%くらい、イスラエルでも2%くらいで、制度上はともかく、総動員をかけても現役と予備役の比率は1:2くらいが運用限界だと思われる(効果的に運用できるのは1:1くらいまでだろう:短期間限定のごく例外的な数字として、継続戦争でのフィンランドが人口400万で50万人を動員したらしい)。メガ=シティ同士がかなりの遠隔地にあり互いに侵攻するのが容易でないこと、安全確保の課題として軍事よりも防災が優先することを考え合わせると、最大でも人口の0.5%(アーミーを重視している人口400万人のメガ=シティでも2万人)くらいが限度ではないかと思える。もちろんこれは軍隊組織全体の数字で戦闘員の数ではないし、ハンターや企業の私兵やタウンの武装勢力などをひっくるめたメガ=シティ圏全体での武装人口(警察以外)は、総人口の1~1.5%に達する。

警察組織と消防組織は一体で副都心当局が運営し、人員は人口の1~2%(人口25万人のエリアで最大5千人、人口5万人のエリアなら最小500人)程度、メガ=シティ全体の警察人員はアーミーの3倍程度で予備役の軍人を多く含むことにしよう。大規模な災害やテロに対抗できるような組織ではなく、副都心自体(センター地域にある)の治安はアーミーの管轄、警察はシティブロック地域の治安と災害対策を担当するのが建前。防災と災害対策を重視しており土木技術や重機なども持ついっぽう、武力が必要な治安維持や襲撃の排除はハンターユニオンに委託するか、大規模であればアーミーが出動する。個人武装はせいぜいサブマシンガン程度でライフルを導入している部署は稀、車両は四輪車(ライトニングやグランパあたり)が中心で、装甲板を入れていることはあっても火器を搭載していることはほとんどない(せいぜい放水砲かゴム・スタンガンくらい)。簡易重機として重コンバットシェルを使用していることもあるが、やはり火器は積まないのが普通。戦闘用でない小型ヘリは何機か導入しているところが多い。

ハンターユニオンはアーミーでない公然武装組織(まあ企業の私兵とか、ほかにもたくさんいるんだけど)という微妙な立場にあり、治安活動に関して言えば、警察が固定インフラでハンターユニオンが流動インフラとして機能している(損耗が予想される任務には後者が当たる、というか、シティブロック地域で起きた紛争でセンターの人員を損耗させる必要はないと考えられている)。シティブロック地域は基本的に住宅街で武力が必要な事態が頻発するわけではなく、治安出動というと、ミュータントの襲撃か武装強盗くらい(相手がテロリストならアーミーが出てくる)。人口10万人のシティブロックであれば、サブブロックごとに100~150人規模くらいのハンターを抱えており人口比で0.2~0.3%くらいになる(本業が仲買人や傭兵で、便利だからハンターとしての登録もしている、という者もいる)。建前上ハンターユニオンという組織は北アメリカに1つしかなく、各メガ=シティにあるのは支部である(が、活動はかなり独立している)。本部はテキサナにあるが形式的で、テキサナでの実務はテキサナ支部が行っている。すでに紹介した筆者のインフラ設定を使うなら、もちろんパイプライン保守が一大事業になる(この方が納得しやすいと思う)。

メガ=シティ外の居住地区としてはタウンがあり、定住人口はせいぜい数千人くらい。メガ=シティ間流通の中継地となる貿易タウンのおもな施設は、変電所、倉庫、宿泊施設、金融機関、取引所、サイボーグのメンテナンスセンターなど。筆者の設定を使うなら、水やリンゲル液のプラントはエルパソとフォートコリンズ、原子力発電所はフォートコリンズにしかない。防衛力は独自に有するのが普通で、ホバータンクやドッキング型コンバットシェルなど機動力に優れたメカが編成の中心、人員的には最大昼間人口の1~2%くらい。貿易タウンのマーケットは品揃えが豊富で、メガ=シティのブラックマーケットもここを仕入先にしているが、メガ=シティからの圧力で一部禁制になっている品物がないわけではない(取り締まりは緩い)。メガ=シティに近く路村的に成立しているタウンだと、車両保管と補給と宿泊をパッケージにしたモーテル的な施設が中心。本格的な防衛力は持たないところが多い。有力なハンターは路村タウンに本拠を移す傾向があり、タウンの治安維持にも貢献しつつ空荷のときはタウンへの物資を運び小遣いを稼いでいる。

メガ=シティとタウンの根本的な違いは、規模ではなく生活基盤の独立性で、タウンはメガ=シティからの物資流入なくしては存続できない。このため近郊タウンはメガ=シティの飛び地的な地位にあることが多いが、複数のメガ=シティの中間近くに位置する貿易タウンはかなりの独自性を持っている。いっぽう、新たなメガ=シティが誕生することは既存勢力に望まれていないため、完全な自立を得るのもまた難しい。メガ=シティのすぐ近く(半日で往復できるくらい)にある近郊タウンは、工業や資源関連のものとロサンゼルスとニューオリンズを例外に、都市の治外法権区画で、ハンターチームが運送業者としての依頼を受けるときも「近郊タウンから別の近郊タウンまで」の契約で請け負うのが普通(ハンターチームはメガ=シティの中では当局寄りの勢力なので、自分が運んだ禁制品の摘発を担当するような立場になることもある)。


武力組織の編成

総人員1万人のアーミーがあったとすると、普通に運用可能な対外正面戦力(航空戦力を除く)は千人くらいになる、とざっくり決めてしまおう。

主力は、戦車6両30名(交代要員含む:以下同様)、戦車運搬車6両兵員輸送車6両貨物輸送車3両30名、随伴戦闘メカおよびコンバットシェル9~15台20名程度、整備担当30名、その他通信担当や偵察担当や工兵やサイボーグメンテナンス担当などで合計120名くらいの戦車中隊が4つくらいだろうか。これに、インセクター2台を中心に、コンバットシェル6台(卵王のようなスクランブル可能なキャリアで運用)、ポケットタンク4台、トレーラーで運搬するガンドック4台、その他補給ないし輸送車両で40名程度の市街戦小隊が8つ程度。ホバータンクを中心とした機動部隊が30~40名小隊6つ程度としておこう。

総動員をかけ都市防衛を予備役に任せれば戦車50両規模まで運用可能だが、随伴戦力の損耗がボトルネックになるため、有事にはハンターを数百名規模で雇い軍人はバックアッパーになる。この戦術思想(と後で紹介する流通狙いの戦略的都合)がハンターユニオンという流動的武装組織の存在を支えており、有力なハンターがタウンに拠点を移しユニオンと距離を取りたがるのは、アーミーの子分として使い捨て戦力扱いされるのを嫌う意味もある。AIは適宜使っているが、主力戦闘メカとコンバットシェルは有人。

貿易タウンが保有する戦力は警備隊(俗にはタウンアーミー)と呼ばれる。ホバータンクを核に30名くらいで構成される小隊が中心で、常時運用されるのは6~12個小隊くらい。総人員に対する戦闘員の割合はごく高い。仮に隣接するメガ=シティ2つのうち1つから侵攻を受けた場合、できるだけ遠くまで打って出たうえで遅滞に徹し、もう1つのメガ=シティからの援軍を間に合わせることが第一目的で、メガ=シティが機動戦力を増強すると貿易タウンから強い抗議がなされることがある。戦車や大型ヘリは所有していたとしても小隊運用がせいぜいで、迎撃専用の戦力として扱われる。メガ=シティから見ると、隣のメガ=シティからの侵攻を受け止める防波堤の役割を期待できるため、防衛的な武装については無償提供などの支援をしている。タウンが破壊されると復興のドサクサで自治権を失いかねないという認識から、できるだけ遠い地点で侵攻を食い止めたいという要求があり、タウン手前の車両基地はトーチカを兼ねるのが普通。路村タウンでハンターが独自の戦力を保有していることについては、メガ=シティのアーミーに駐留されるよりずっとマシだと判断されており、情報の迅速性を重視して緊急連絡を依頼していることがほとんど。

その路村タウンにおけるハンターだが、常駐戦力として期待されているわけではなく(実際留守の方が多いし)、有力なハンターが自警団に参加しているという看板の方が効力を発揮する。実際問題、路村タウンが潰されるとハンターも困るため、バンディットやミュータントに襲われていれば助けてはくれるのだが、業界の有名人のお墨付きがあるのとないのとではやはり違う(ことにしたい)。自警団の団長には引退したハンターが雇われることが多く、こちらは普通常駐で、小規模なタウンではハンターユニオンの出先機関を兼ねる(さらに兼業で、メンテナンスショップや喫茶店などの商売をやっていることにしてもよい)。襲撃が大規模な場合は貿易タウンの警備隊(メガ=シティからの侵攻に対するアンテナとしての役割を期待しているし、客足が鈍くなると困るので助けてくれる)にも援軍を要請することになり、被害が大きい場合はメガ=シティの副都心クラスの企業に支援を頼ることになる。


アーミーの戦術と戦略

これはとてもやっかいな問題である。

制空権の概念が失われている(完全な勢力範囲でしか航空戦力を運用できない)前提なので正面衝突では防御側が圧倒的に優位であり、よほどの戦力差がない限り一気の攻め潰しは不可能だと考えるのが妥当だろう。かといって持久戦ができるかというと、異常気象に晒されながら万全に囲われたメガ=シティと我慢比べをするのは現実的でない。一方で、メガ=シティは局地性が極端に高く外部から資源を調達しなければならないうえ、中枢に企業(利益を上げ続けないと組織を維持できない)があるため都市機能の麻痺に弱い。つまり、戦術的には防衛側が圧倒的に優位で、戦略的には防衛側が不利であるというねじれが生じる。

メガ=シティ同士で正面から武力衝突を起こすなら貿易タウンの巻き込みと内戦の誘発は必須だろう。ホバータンクなどの展開力に優れた戦力でできるだけ深いところ(相手の制空権ギリギリ)まで踏み込み、追い付いてきた戦車で戦線維持するところまでが正面戦力の役割。あくまで侵攻ではなく「xx系住民の保護」とか「xx派への弾圧防止」とかなんとかいう理由で戦力を展開するだけ(もちろん包囲された側は抗戦するため衝突は起きる)。あとは内戦勢力の一方を支援しつつ、うまく勝たせれば政権転覆成功だし、共倒れになれば支援の名目で実効支配に乗り出せる。

このような紛争は1例だけ実際に生じていることにして、そのときに活躍したのがハンターだということにしてしまおう(後の項でデッチ上げを試みる)。メガ=シティから見たハンターはそもそも、完全な敵であるテロリストの人材源を細らせつつ勢力的にも争ってくれるいっぽう、味方として信用できるかというとそんなこともない微妙な存在で、貿易タウンを味方につけた時点でまとめてなびかせられると考えられていたはずである。しかしハンターの立場で考えると、自分が本拠にするメガ=シティが他のメガ=シティの支配下に入ると商売上がったりになるなわけで、地元の独立性維持に向けて想像以上の団結と貢献を見せた(内部かく乱への対抗戦力として、カジュアル武装組織であるハンターの特性がかみ合った)、ということにしておきたい。もちろん、侵攻元のメガ=シティでも(実際には利権を守っているだけだが建前上は道義的な主張として)反戦を訴える中心勢力になった。

こういう経緯から、ハンターは「防衛には有益で侵攻には足枷になる」存在(反対から言えば、ハンター組織を公認していることが対外的野心がないことの(保障にはならないが)アピールになってくれる)として認知され、紛争自体は痛み分けでの撤退に終わる。この事例以後のアーミーの戦略は、防衛の絶対条件である航空戦力(大型ヘリ)、内部撹乱に対抗し航空戦力を守る市街戦部隊(コンバットシェルやポケットタンク、ガンドックやインセクターなど)、相手の戦線形成を許さない攻性の応答部隊(戦車)を中心としたものにシフトする。(実際には起きていないが机上で)想定される長期戦も、戦力展開を維持する形(包囲戦のような)ではなく、物流の妨害やインフラの破壊など戦略的な打撃を主眼にしたものになるだろう。正面切っての衝突は得策でないため、テロ支援だとか領有のはっきりしない資源の強行採掘だとか、そういった地味な殴り合いが中心になるはず。これらに対しハンターは、ときには直接的に片棒を担ぎ、ときには不本意で巻き込まれ、ときには自分の利益のためにチョッカイを出しながら関わってゆくことになる。


ハンターとハンターユニオン

ハンターチームは武装勢力であるから、なんらの交戦規定を持っていないとは考えにくい。勝手にでっち上げてみよう。

ハンターの武力は輸送の安全確保を目的とするのが建前で、当然ながらメガ=シティやタウンの公的戦力との主体的な交戦権を持たない。公権力とモメている勢力(利害や主張の対立があるだけでテロリストではない)に雇われて武力衝突を起こし、雇い主が貿易タウンよりも小さな勢力だとテロ犯罪扱いされることはある(路村タウンがアーミーの匿名出先機関と小競り合いを起こした程度なら、ハンターが主導的立場にいたとしても、貿易タウンの幹部クラスの取り成しがあれば「バンディッドの襲撃を受け共同で撃退した」とかなんとかいうことになってうやむやになるのが普通:路村タウンで指揮を取れるクラスのハンターならそのくらいのツテはあるし、貿易タウンとしてはメガ=シティのアーミーにナワバリを荒らされたくないし、メガ=シティとしてはタウンとモメたことを他のメガ=シティに知られたくない)。もちろん、正規軍と正面切って交戦してかつ逃げ延びたら、よほど強力なバックがいない限りテロリストとして賞金首の仲間入りになる。

メガ=シティやタウンの外であればハンターチーム同士の交戦で逮捕されることはない(放置される)が、主要街道上での交戦はハンターユニオンが厳しく禁止しており、現役退役問わずハンターが正規輸送品の強奪なんかをやらかすと、北米全土のハンターに生死問わずで狙われるレベルの賞金首になれる。ハンターユニオンは(資源回収のための廃墟めぐりを専門にしているハンターや、メガ=シティやタウンの中で下請け仕事だけやっているハンターも中にはいるが)建前上運送業者(筆者の設定を使うなら兼インフラ保守業者)の組合であり、輸送の安全を脅かす行動はユニオンへの敵対行動とみなされる。実際問題、輸送路の真ん中で銃撃戦を始められると他のハンターチームが迷惑するし、敵対するハンターグループ同士で武力抗争なんかを始められると流通が麻痺するため、ユニオンは常に調停者の立場で喧嘩両成敗を原則とする。また貿易タウンから見ると勢力圏内で揉め事を起こされるのは迷惑だし、流通路に損害(橋を壊したとか)を与えれば賠償請求などはあり得る(後述するが、主要街道はそんなに物騒ではない)。

すでに紹介した正規輸送に付随して、交通情報の提供もユニオンの業務で、一定の情報を繰り返しタレ流して、半日くらいに1回受信できればOK程度の運用なら、タウンからある程度離れた無線通信もそれなりに機能するとしておこう。主要流通に関係ない場所での揉め事(たとえば廃墟での資源回収に複数のハンターチームが関わって所有権争いで銃撃戦をやったとか、山奥で交戦があったとか)についてはユニオンも冷淡で積極的な介入はしないし、問題が発覚すると両方にペナルティ(教育講習や反則金から資格剥奪までさまざま)があるためわざわざ訴え出る者もいない(というか、訴え出る者がいるとメンドクサイので両成敗にしてあるだけで、実際に処罰を受ける者はまれ)。主要街道でも輸送時間帯でなければユニオンは揉め事に冷淡だが、タウンの近くで夜中に銃撃戦をやると周囲の警備隊やハンターが駆け付けなくてはならず、殺気立ったハンターの皆さんに囲まれて「何やってんだお前ら」と吊るし上げられるのがオチである(タウンからは罰金くらい取られるかもしれない)。

バンディットの襲撃を受けているハンターや救難信号を出しているハンターの救助については、知り合いなら助けるが、知り合いでなければ正式依頼以外放っておく、と態度がはっきりしている。知り合いのハンター同士での互助についてはすでに触れた通りで、慢性人手不足のハンターチームにとって、連携できる味方を作ることはかなり有利なことだと思う。主要街道外での救助依頼は間接的な形になる。荒野に足を踏み入れるハンターはなにかしら別の依頼を抱えているはずで、遭難者を見つけたら(自分にとって不都合でないタイミングで)ユニオンに連絡、ユニオンが別のハンターに斡旋して実際の救助依頼となる。まあたいていの場合は、遭難者が自力で連絡をつける(1時間も頑張ればたいていはなんとかなる設定)ので、通りがかったほかのチームが連絡を代行しなければならない状況自体まれである。

救助依頼は逆オークション形式(最初に高い金額が提示され、セリによって価格が下がっていく)で斡旋され、地元近くでの遭難なら、知り合いのハンターチームが実費+ちょっとしたお礼程度の報酬で引き受けてくれる(留守でなければ)。またたとえ遭難者が知り合いであっても、救助より既存依頼の遂行が優先することは互いに了解しているのが普通。正式依頼がない場合の放置は、まあ当然といえば当然の対応で、知り合いでもなく正規の手続きで依頼をするでもない遭難者をわざわざ相手にするハンターはいない。そもそも無法地帯に足を踏み入れている時点でお互いにチョー訳ありなわけで、相手が遭難者を装った敵対者だった場合、撃退したとしても損傷を受けたらその後の悪天候で自分たちが死にかねない。なお、ユニオンによる身元照会は電子署名などを活用しておりそれなりに信用できる(救助依頼はワンタイムパスワードのような仕組みで真偽を確認する)が、駆け出しのハンターがバンディットに身包みを剥がれて成り済まされている可能性はある。

ところでハンターユニオンは、メガ=シティと貿易タウンの両方と付き合いがあることになるが、副都心レベルの企業(メガ=シティ中枢への食い込みを狙うより対外的な商売を広げた方が効率的だと認識しているところが多い)と貿易タウンの繋がりはそれなりに深く、ハンターはその橋渡し的な存在でもある。支配企業から見ると副都心や貿易タウンに勝手なことをされたくはないのだが、実利をもたらしているのも確かだし支配企業同士の足の引っ張り合いの方が重要視されているため、なかば黙認のような態度を取っている。


バンディットの生活

真面目にやるならこれはぜひ考えておかなければならないのだが、そもそもバンディットの定義が難しい。メガ=シティの外には法律が及ばないので非合法活動をする者というのはおかしいし、荒野では武装しているのが普通だから武装集団のことでもなく、実態としては支配企業やハンターユニオンや一般市民が(それぞれの立場で)自分たちに都合の悪い活動をする者をまとめてバンディット(市街地で活動する場合はギャング)と呼んでいるに過ぎない。バンディットとテロリストの違いはメガ=シティやタウン(やまれにハンターユニオンの組織)に打撃を与える意図があるかどうかで、バンディットが自分たちの怨恨や利益のためにテロリスト的な行動を取ることもあれば、本人たちはテロリストのつもりでもやっていることがただのバンディット(他人に危害は及んでいるが組織への直接打撃にはなっていない)というケースもある。

バンディットの多くは、メガ=シティのスラム地域に組織を展開しているマフィア型バンディット(実態としては都市ギャング)である。マフィア型バンディットとハンターは互いに商売敵でありつつ補完関係にもあって、メガ=シティと近郊タウンの間の(禁制品の)輸送はバンディット(ないしそのバックのマフィア的組織)が行ういっぽう、長距離輸送はハンターの専門領域で、襲撃や強奪などハンターチームが引き受けない依頼を受けるのもバンディットである。ただし、襲撃は近郊タウンよりも内側の「法律の効力は建前上及んでいるが、実効性が不十分な区域」で仕掛けるのが普通(彼らも商売なので、理由もなく自分たちに地の利がある場所を外すことはない:なんでも「バンディットのせい」だと報道される影響でバンディットの勢力が過大評価されがちなだけ、としておこう)。なおここでいう「マフィア的組織」はある程度の規律と技術レベルを持っており、警察機関は「壊滅させて無秩序な状態になるより存続させてコントロールした方が有益」という立場を取るのが普通。

荒野でハンターが運んでいる荷物を強奪して生計を立てようというのは、実際にはほとんどムリである。ハンターが運ぶ荷物はなにしろ高価($20,000の運賃で運んで商売になるようなモノならば、十万ドルの桁に乗っていても不思議ではない)で、襲撃を企てる者は後を絶たないが、食い詰めたマフィア型バンディットくらいが相手であれば、不覚を取るハンターはほとんどいない(相手は荒野のドシロウトで、ロクな野戦装備もなく、換金の都合から襲撃場所は目的地寸前にほぼ限られる:それ以外の場所で仮に強奪できても、運んで売りさばく能力がない)。本当に恐ろしいのは(脅されたか、個人的怨恨か、人生が嫌になってヤケを起こしたか、理由はいろいろだろうが)相手がハンターまたはその経験者だった場合である。正規輸送は数チームで行うため正面からぶつかっても勝ち目はないが、現役ハンターなら輸送チームに紛れ込んで内側から攻撃することが可能で、非常にやっかいである。だから、正規輸送は地元で名前が売れているチームを中心に常連チームを何組かは入れて行うのが普通だし、もし襲撃に及べば北米全土のハンターに「生死問わず」で追い回されることになる(ただしすでに触れた通り、当局の敷地やタウン近辺や主要街道以外の「本当の荒野」では、襲撃しようが強奪しようが(被害を受けた本人と関係者以外は)誰も関知しない)。

なお、運ぶ荷物が本当にシャレにならないモノだった場合、支配企業の私兵やアーミーの匿名部隊などに狙われる可能性もあるが、運ばせる方もそのくらいは心得ているので、自分のところの私兵に運ばせるとか、信頼の置けるハンターに主要街道を迂回する裏ルートで(非正規に)運ばせるなど、おおっぴらな運び方はさせないのが普通である(ごくまれに、襲撃者の裏をかいたつもりで堂々とした輸送を試みる困った依頼主がいないではない:ただ、権力側同士の争いならハンターには押収令状だけ突きつければ済むため、わざわざ武力で襲わなくてはならない状況はことさら限られる)。ほかに恐ろしいのはテロリストによる襲撃で、とくに、荷主が政治的理由などで敵視されており「損害さえ与えればそれでよし」という態度で積荷を狙われるのは、非常に困った状況といえる。常連客を掴む前に、これらの「ハズレ顧客」に当たってしまう不運なチームは一定数いる(注意深さで回避できる場合もあるが、本当に不可抗力なこともある:PCは基本的にラッキーマンばかりなので、わざわざ不可抗力の不幸を強制する必要はないが、それで面白くなりそうなシナリオを考え付いたなら使って悪いわけでもない)。

メガ=シティ外を拠点にするバンディットは積極的に人を襲わない盗賊型がほとんど。資源のある廃墟での(ハンターが車両を隠して中に入っている隙に行う)車上荒らしや車両盗難も重要な収入源になる。ハンターチーム側でも、物騒な地域では数グループの当番制で車番をするなど対策をとるが、相互信頼のあるチーム同士でないと結束しても意味がない(というかそもそも、主要街道を外れた本当の荒野は無法地帯なので、ハンターとバンディットの区別も意味を成さない:まあおおよそは、余所者が断りなく資源廃墟に割り込んできたとか、相応の理由がないと正面から対立するような行為はしないのが普通)。もちろん、手ごろな廃墟の内部や周辺に地雷やブービートラップを仕掛けて獲物を待つタイプのバンディットもいるし、付近で見張って金目のものを掘り当てたハンターの情報を他に売るだけのバンディットもいる。貿易タウンにも、不良品のメカパーツや燃料を売りさばいて売った相手の情報を他に売るバンディットや、単純にスリや置き引きで生計を立てているバンディットがいる。

なお、荒野に落ちている(ように見える)荷物については、ハンターはよほどの事情がない限り拾うことはない(中身が爆弾でバンディットが離れたところに潜んでいないとは限らないので)。知り合いのハンターが落としたものだと明らかにわかるなら、取りに来るまで見張っていてあげるくらいのことは(多少の報酬は要求するだろうが)普通にある。隘路の真ん中にコンテナかなにかがゴロンと落ちている場合は悩ましいが、迂回しようとしてブービートラップに引っ掛かるのもアホらしいので、周囲のハンターを呼んでから一番急いでいるチームが(または技量が勝るチームを中心に手分け手して)撤去作業にかかることにでもしておこうか。スパイクや地雷なども含めて、通行の邪魔になるものの撤去は、記録しておけば貿易タウンから報酬が出る(キャンペーンによるが、計算が面倒なら「生活費と相殺する程度」とすればよい)。


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