用具

20代の頃は「あるものでなんとかする」ことが楽しかったものだが、オッサンになるとお金でサクっと解決してしまうことが増える。ちょっと寂しい気もするが年とともに楽しみ方も変わるということだろう。新規に買う以外どうしようもないものについても触れる。


ヘルメットにはいくつかタイプがある。おもなものは、オンロード用フルフェイス(インテグラルとも:丸い形の、いわゆるフルフェイス)、オフロード用フルフェイス(顎の部分を守っているチンガードが遠く、多くはスクリーンなしで、バイザーがついている)、システム(フリップアップとも:チンガードを跳ね上げられる)、オープンフェイス(チンガードなしのもの:スクリーンつきのものをとくにジェット、スクリーンつきで小排気量車専用のものをとくにファミリーと呼ぶこともある)、帽子型(ハーフ、半ヘル)くらいだろうか。耳を覆って後頭部を覆わないものをハーフジェットorセミジェットorスリークォーターとすることもある。

オンロード用フルフェイスは、高速巡航がスムーズで、放り出されるような転倒に強い。エントリーモデルが1万円ちょっと、スタンダードモデルが2万円ちょっと、高級モデルが5万円前後という価格構成が(少なくとも15年くらいは)変わっていない。消耗品であり、いちど強い衝撃を受けた高級品を使い続けるくらいなら、エントリークラスのものに買い換えた方が安全だと思う。寿命は2〜3年とするメーカーが多い。サーキットではヘルメットリムーバーを使うことが多く、最近はヘルメット自体に内蔵したものもある。

オフロード用フルフェイスは、低速で叩き付けられるような転倒に強い。長くスリットが大きいチンガードは呼吸を助けるとともに打ち付け衝突時のマージンを稼ぎ、ゴーグルの併用は砂埃や曇りの対策、バイザーは飛び石などを避ける目的もあり、オンロード用とはけっこう違う(公道ではスクリーン付きのデュアルパーパスモデルを使っている人も多い)。オフロードレースではネックブレイスという首の保護パッドを使うことが多い。

オープンフェイスは「走っていて転倒」したときの防護としては半ヘルと大差ない。しかし、立ちゴケやUターンゴケでぶつけやすい側頭部と損傷が即生命に関わる後頭部を覆っていること、前から何か(水滴とか砂とか虫とか、そういう比較的軽いもの)が飛んできた場合にスクリーンが仕事をしてくれること、頭と接する面積はフルフェイスと変わらず衝撃の吸収自体は普通にできることから、低い速度域で利便性の高いヘルメットとして半ヘルと比べるなら、ずっと優れている。筆者が通った教習所では貸し出しヘルメットがこれだった(会話がしやすいという利点を取ったのか、白バイ出身教官が多かったからなのかは不明)。

システムは、高速走行時の快適性を改善したジェットヘルの変種だと捉えるのが無難か(トップメーカーのSHOEIは「フルフェイスに匹敵する安心感と静粛性」としている:2015年現在のNEOTECの紹介より)。快適性を改善とは言っても、チンガードを跳ね上げる都合で首回りの布が少なく冬はけっこう寒い割に、作りが複雑(=壊れやすく高価)でデメリットも小さくはない。それ以外のメリットはジェットと共通で、ヘルメットを外さなくても飲食や喫煙ができ、会話も比較的まあそれなりに。フルフェイスが普及する前のオフロード用ヘルメット(オープンフェイスにチンガードを追加していた:2012年現在もトライアル競技では足元の視界を優先してオープンフェイスが用いられることが多い)が元になったか。

帽子型は小排気量車で用いられる。防護は最低レベルで、利便性もオープンフェイスと比較すると優位性がなく、軽さと安さと小ささだけが実用上の利点になる(女性にとっては化粧が落ちないという利点もあるようだが、ワイズギアのZENITH MOCAでも買って降りてから直しなさいと言いたい:スクリーンないと日に焼けてシミがデキマスヨ)。

筆者はオンロード用フルフェイス、システム、ジェットしか持っていたことがない(オフロード用フルフェイスやオープンフェイスは借りて使ったことはあるだけ)が、総合的に一番ラクなのは結局フルフェイスだと思う。性能を非破壊的に確認する手段に乏しく、製品の信頼性が重要な装備だが、トップブランドのアライとショウエイか、国内バイクメーカー(ホンダはSHOEI、ヤマハワイズギアは韓国のHJC、スズキスコーピオンはアメリカのスコーピオンがメインのOEMメーカーだと思われる:スコーピオンはさらにHJCのOEMだという説明も目にするが不明)のものを選べばとりあえず安心だろう。以前はSHOEIが好きだったが最近はアライびいき(RAPIDE-IRはよくできてると思う)。


ジャケットはもちろん、グローブやブーツなどの服装周りも意外と値が張る。トップブランドのクシタニがスバラシイのは認めるが、筆者好みなのはコミネやタイチなど。

グローブは、真夏用、真冬用、その他用で3種類用意するのが無難。1万円も出せばけっこういいものが買える。手首の保護や外れにくさ(転倒して滑ったときに脱げたら意味がない)も考慮して選びたい。レイングローブは予備グローブと兼用で持っておくとよい(ネオプレーンという素材のものが増えてきた:もともとはウェットスーツ用に開発されたそうな)。

夏用グローブはメッシュ素材のものが多い。冬用の場合、雨でも普通のレイングローブでは防寒性能に無理があるため、オーバーグローブは別に用意するとしても防水仕様のものが無難。国内のバイク用製品で本気の冬用グローブ(氷点下で使う前提のもの)はレアなので、グリップヒーターと組み合わせるなりウィンタースポーツ用のものを流用するなり工夫が必要。

ブーツは普及品で2万円くらいだろうか。降りてから歩き回る前提の場合と、乗っている間だけ履く場合でチョイスが異なることを覚えておきたい。ジャケットとパンツは好み次第(服だし)。ツナギは21世紀に入っても皮製がほとんどのようだ。



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