なんだか紆余曲折あって、結局リターンライダーになった。またマイナーな車種や製品を愛用することにもなり、バンバン売れてくれないと生産終了になって自分が困りそうなので、読んでる人がいるのかどうかも怪しいインターネットの片隅でではあるが、ちょっと宣伝をしてみようという趣旨。
重要な情報: 以下はあくまで筆者の個人的経験から得た感想に過ぎず、筆者の乗り方が他の人にも合うとは限りません。また筆者が入手した個体を元に書かれており、製品の仕様を保証するものではありません。
ホンダのCBR250R(MC41前期ABSなし)を買った。走っている台数が減ると対応製品もどんどんなくなっていくので、できるだけ多くの人に、中古を探しているなら検討して、眠らせているなら走らせて、知り合いが手放しそうなら売り払う前に借りてみて欲しい(という願いでこの記事を書いている)。バイクの特徴については、筆者がもっとも長く乗ったバイクであるスパーダとの(記憶の中での)比較で話を進めることが多くなる(直接のライバルはNinja250SLとかジクサーSF250とかなんだろうけど、筆者は乗ったことがない:でもうらやましいよね、初代SLの総重量149kg)。
さて。エンジンがどうの車体がこうの言う前に、このバイクの長所は安いことである(断言)。そりゃあ筆者だって、とってもお金持ちになったらトライアンフのDaytona660(白がいいな)とか買っちゃいたくはあるが、現実を考えれば「中古のニーハン」というのは妥当なセンで、その中でもMC41前期はとくに安い。かなり前に生産終了しているので当然中古しかないわけだが、乗り方が穏やかなタマが多い(代わりに極端に使い込んだタマもある)らしく、距離がいっていてもエンジンが元気な(つまりお買い得な)個体に出会えるチャンスがある。筆者の場合、たまたま近く(といっても下道を走ったら90分はカタいくらいのトコ:納車のとき電車で行ったら乗り継ぎの都合で2時間くらいかかった)に安く出ているタマを見つけて、とりあえず眺めてみようかくらいの気持ちで行ってみたのだが、エンジンを回したらすぐソノ気になってしまった。
しかし実際この「安さ」は、昔バイクに乗っていたオッサンたちに「リターンできるチャンス」をくれる強みだと思う。筆者自身は4輪車(ボロボロで「次の車検のときは費用面でちょっと覚悟がいるかも」と車屋さんに予告されていた)を手放しての乗り換えだったが、今現在4輪車に乗っていて買い足しにしかできないような人であればなおさら、貴重な選択肢になるんじゃないか。また125cc(いわゆる2種原チャ)と比べても中古の価格差はそう大きくない(モノによっては値段で勝てる)ので、通勤通学のアシに使いたいけどせっかくなら、といった需要もそれなりに満たしてくれそう(125や250のスクーターと比べたら、ラクチンさとユーティリティ性は明らかに低いけど)。それとともに、ニーハンシングルスポーツという新しい文化(「スポーツ」をどれだけ身近にできるかというチャレンジ)に触れられる楽しさが、このバイクにはあると思う。
まず特徴的なのは、4スト250cc水冷シングルFIという構成。筆者の単気筒バイク経験(原チャリ以外)は、DT200という水冷2ストOFF車を1000kmくらい、昔(まだキャブの頃)のセローを借りて少し走らせたことがあるだけだったが、エンジンの軽快さではどちらにも劣り、元気の良さでは両方に勝っていると思う。軽快さで劣るイメージは極低速域のかったるさが影響しているようで、20km/h未満に落ちたときは1速に入れた方がスムーズである。この「1速を使う」発想がないとすぐにエンストする(正しく理解すれば3日もかからずに慣れるけど)。基本的には、どのギアも「ギアの段数×10km/h未満」では使わないと考えた方がよく、加速に使うならプラス10km/hくらいからが無難(取り扱い説明書の「速度範囲」には6速が「35km/h以上」で使えると書いてあるが、ノークラッチで平地巡行できるのは45km/hくらいまでで、それでもエンジンはガスガスいいまくる:スロットル全閉でエンジンブレーキだけ使う分には、アイドリングのちょい上まで普通に引っ張れる)。10km/h未満の徐行だと1速でもノークラッチではスムーズでないが、アスファルトの平地ならクラッチをつないだままスロットル全オフ(=アイドリング)で、メーター読み6km/hで走り続けることはできる(リアブレーキを引きずっても、メーター読み5km/hで走らせようとするとガスガスいってエンスト直前になる)し、やさしくスロットルを回せばそこからノークラッチのまま加速することもできる(速度の目安として、教習所の一本橋が15mで、中型は7秒以上だから約7.7km/h以下、大型は10秒以上だから5.4km/h以下:中型だとしてもノークラッチで突っ切る人はいないだろうから、どのみち半クラが普通の領域)。
ちょっと補足。キャブのセローや2ストのDT200も「1速を使わされる」ことには変わりない。どのみち使わされるのだが、DTだと「2ストだから」で気分的に許してしまうことが多いうえ、雑にシフトダウンしてもそれほどのショックはなく(2ストだから)、そもそもライダーの側に「ちょっとでも速度が落ちたらギアも落としたい」動機がある(2ストだから)。セローの場合、ギア比が特殊(いつ頃か覚えていないが1速がスーパーローと呼ばれてた時代があった)で2速がけっこう低いうえに粘り一点張りのエンジンで、極低回転域でキャブがFIより安定するのも仕方ないところ(セローがFI化でどんな感じになったのか筆者は知らない:Ninja250SLなんかは初期型のECUがアホでエンストが多発したそうだが、ホントなのかただのウワサなのか、やはり筆者は知らない)。この辺の理由から低速度域でのかったるさ(主観含む)はMC41の方が顕著なのだが「速度が落ちたらシフトダウン」を普通にやってさえいれば何ということもなく解決する問題でもある。もちろん、ギアが低くなれば低くなるほどシフトダウンのショックは大きくなるから、操作に自信のない人が「2速でなんとかしたい」と思うのはわからなくもない話で、そうすると「2速のまま半クラにしてエンジン回転数ちょい高め」ということにしかならないのだが、どうせクラッチを使うなら2速で引っ張るためよりもシフトダウンのために使った方が、運転としてもスムーズだしクラッチも無駄減りしないのではないか(あえてやりたい人を阻止しようという気もないんだけど、それを唯一正しい方法であるかのように誤解させられた人がもしいたら、こういう考え方もあるよということを知ってほしい:念のため指摘しておくと、半クラ粘りも場面によっては有用な技術で、とくに曲がり始めてから減速のし過ぎに気付いたときなど「シフトダウンしてらんない」場合はこれで切り抜けることになる)。
話を戻そう。同じ理由(2速の下限速度域が高め)から、極小半径でのUターンなんかはけっこう大変。無理に2速を使って失速>エンストというのはアホらしいので、1速を使うのが妥当なんだろう(とくに、フロントブレーキを当ててノーズダイブさせてからキュっと回ろうとしたときに、速度が落ちすぎていると寝かせたところでエンジンがついてこないことになり転倒の元になる:エンジンブレーキの効き方に慣れないうちは、想定より遅い速度で曲がり始めてしまうことがあると思う)。スロットルオフで燃料供給を極限まで絞った状態(に勝手になる:省エネ志向FIの特徴)からアクセルを開けると、とくに低回転域ではドンヅキのような感じになる(しこの際にエンストしやすい)ので、低い速度のままフロントフォークをキュっと縮めたいときには、微妙にアクセルを当てたまま(orエンブレだけ弱めて)フロントブレーキを握るのが有効な場面もある。スロットルを全オフにしたときのショックも、低いギアで低回転ならそれなりにある。スラローム(加速力が上がるのだから当然だが、最速タイムを狙うときは1速を使う:が、かなり上級者向け)なら、そこまで速度は落ちないので2速ノークラで走れるはず(だけどこれも、フロントブレーキで車体を起こそうとすると失速するリスクはある:教習所風にブレーキはリアのみにするのが無難かも)。これらの極低速での乗りこなしについては、キュキュっとスパっとを志向しなければそんなに大変ではない(というか最悪降りて押せばいい)し、技術的に難しいのでできるようになれば相応に満足感もある。
高回転域を元気があると取るか荒っぽいと取るかは人次第だが、筆者はけっこう好き(ただどちらにしても「伸びやかさ」とか「力強さ」とかはない)。この元気な印象には、1速の吹け切りが早い(50km/hにギリギリ届かないくらい)ことも影響していると思う(車体が軽いのもあって簡単に吹け切る)。70km/h(2速9500rpmくらい)到達までなら、250㏄の中でも極端に遅い方ではないんじゃないのという気がする(まったく根拠なし:そこから先は40ps組に置いて行かれるのが目に見えているけど)。2速で吹け切りまで頑張って80km/hに届かないくらい、そこから3速に入れて7500rpmくらい、3速吹け切りで100km/hを微妙に超えるくらいなので、常識的な意味で「加速が悪い」バイクでは決してない。シフトダウンについては取扱説明書に「シフトダウン可能限界速度」が明記されているので頭に入れておいた方がよい(おおむね9500rpm以下)。極低回転はダルい感じで、軽快感が出てくるのが4000rpmくらいから、7000rpm(最大トルク回転数)だとうるさくなってくるが振動は抑えが効いた感じ、8500rpm(最大出力回転数)くらいから上は本格的に振動が出てきて回していないときとはキャラが変わる。振動面で90度Vツインのスパーダと比べてはカワイソウだが、ずっとパワーバンドに入れっぱなしてぶん回すようなタイプではなく、出そうと思えばパワーも出せるよくらいの雰囲気(むしろ250なのにパワーバンドに入れなくても爽快感を出せるのが魅力に思える)。2速7000rpmが51km/hちょい>3速51km/hが5000rpmくらいなので、加速時のシフトアップ目安は「4000/5000/6000/7000/8000rpm」で「極限エコ/エコ/普通/元気/大元気」くらいのノリじゃないか。シフトダウンは「3000/4000/5000rpm」で「どうせ止まるとき/普通/すぐ加速するor曲がるとき」くらいだろう。回転数ごとの雰囲気はだいたい以下の通り:
筆者が購入した中古車は、買った時点でハンドルエンド(バーエンド)を交換してあったので、振動面ではちょっと不利なんだろうと思う(なんで替えたがるんだろね、純正の方がシビレないのに)。6速巡行は100km/hでも6000rpmちょいなので、まあそれなりなんじゃないか。道さえ平らなら6速6000rpmからでもなんとか加速する(5速使った方が快適だし、4速なら8000rpmちょいの元気なところに着地する:5速で頑張れば、おそらく140km/hくらいまでは出るんだろうけど、出したところで巡行が6速9000rpm近くなるので、よほどイカレた人でなければ維持する気にならないだろうと思う)。街中で5速以上を使う必要はほとんどなく、60km/hで巡行するにしても6速よりは5速の方が快適だろうと思う(6速の方が燃費は伸びるけど)。停止からの加速も、ムキになって吹け切りまで頑張るよりは少し穏やかに、振動が出始めるくらいでシフトアップしてやった方が気持ちよく走れると思う(それでも十分な加速は得られる)。よく言われることだが燃費はよい。郊外の通勤くらいの乗り方だと、ブンブンに回して乗っても平気で30km/Lを超えてくる(タイヤとオイルとチェーンとスプロケ新品にしたら35km/hちょい走った:街中ばっかりでも25はカタい感じ)。
エンジン以外でぱっと気付くのはポジションと旋回。ポジションはかなり前めというか、セパレートシートの後端ギリギリに座ってクルーズポジションを取ろうとすると、ブレーキで前にずれる。ムリにこれに抗おうとしてもタンク形状が微妙で、かなり強いニーグリップが必要。しかし実は車体バランス的に前に出た方が正解のようで、とくに低めの速度域では、外膝を前に出す感じで抑え込んでやると(リーンアウトの場合は斜め前へ押し出してやると、リーンインのときはフロントのあたりを膝で引っ掛けるようにしてやると)驚くほどよく曲がる。タイヤサイズは110/70と140/70でスパーダ(リアは同じでフロントが100/80)よりも太く扁平なのだが、フロント主導で曲がる感触はとても鋭い。さらに、アクセルの開け始めに合わせて後ろにずれてやると、リア主導の旋回もかなり効く。擬音でいうと、スパーダが「クイ」っと曲がるのに対して、MC41は「キュン」と向きを変えるイメージ(どういう理由なんだろねコレ、ハンドル周りが軽いカウル付きの恩恵なのかねぇ)。少し速度域が上がってもフロントを当てて倒せばキュンと寝るが、少し前輪が遠くを回るような感覚(ハンドルが近くて高いからなんかね)があり、スパーダのように「おりゃ~」と曲げるノリではなく「スルっとインに寄っていく」ような感触(筆者の乗り方も変わったんだろうと思うけど)。全体としては、実によく曲がるバイクである(もっと曲がると噂のNinja250SLとか、どれほどなんだろう:そりゃきっと曲がるんだろうねぇ、フロント100/80のリア130/70でキャスター24度のトレール90mmで軸距1330mmの車両重量149kgだものねぇ)。
前めに座ってしまうとタンク形状もそう悪くなく、ニーグリップ(膝)というよりはサイグリップ(腿)に近い感じではあるが、車体はしっかり捕まえられる(自分の体格と体形に合わせるしかない話ではあるが、多くの場合、サイドのタンクパッドはあった方がいいだろうと思う:筆者の場合、タンクサイドの下端~タンク下カウルの上端あたりにグリップが欲しかった)。ただ、すわりのいいポジションが(少なくとも筆者の体形なら)あるのはいいが、スイートスポットは狭い。下半身を支えるステップ・タンク・シートの形状はいかにも気が利かない感じで、後期型で見直されたのも納得がいく(尻をずらすリーンインはとてもやりにくい)。シート高は78cmでNinja250SLと同じ、さすがに中大排気量のスポーツバイクには及ばないがそれなりに高めで、左右の振りがさらに軽く寝かせやすい(バンク角にはもともと余裕があるのだろうと思う)。フロントシート後端の傾きは、タテマエ的にはハングオフからスロットルを開けたときのサポートを向上させるためのもので、平凡な構成だと実用上のご利益が薄めなデザインなのだが、それをニーハン街乗りバイクなりの「スポーツ」性能に結び付けているのは面白い試みだと思う(ガチのオンロードレーサーは、セパハンから「下に」腕を伸ばして頭をタンクにくっ付けるように乗る前提で、それを模したレプリカモデルもそういう作りになっているが、街乗りでそんなことする人はめったにいないはず:体格や乗り方や状況にもよるが、ガチレプリカなら少なくとも、ハンドルグリップよりは肘の方が低くなっている時間が大半のはず)。
しかし、これらを台無しにするレベルでフロントブレーキがダルい。強く握ればリアが浮くくらいの制動ができなくはないのだが、バイクのフロントブレーキってのは力を込めて握り込むようなモノではない。ブレーキピストンの動きもいい加減渋いので、もうちょい効きのいいパッド(中古で買ったので断言はできないが、現在はおそらく純正パッド)に交換して、掃除(とても重要なんだけどやってない人は多い)もしなくてはならなさそう。追記:1000kmくらい走らせたらフロントブレーキは動くようになった(前の持ち主が自転車のフロントブレーキみたいな使い方しかしてなかったのかもしれない)。タイヤもあんまり残ってないので、使い切るまでは慣らしのつもりでマッタリやりたい。フロントフォークの動きもいい感触ではない(押し込み切れないし押し返しがキツい:納車前にシール替えてもらってるので、状態自体が極端に悪いってことはないはず)ものの、ブレーキのコントロールができていない段階で云々してもあまり意味がないだろう(オイル粘度上げて液面下げたい感じではあるが、冬になったらまた事情変わるし:サスオイルは20番だと動きが鈍すぎで10番+20番ブレンドで15番相当を作るという主張も見かけたが、そこまでするのもねぇ)。ブレーキレバーが調整機能なしタイプなのも気が利いていないが、筆者は割と前の方で効いてほしいタイプ(かつ小指もかけるのでショートレバーが使えない少数派)なので、折れでもしなければわざわざ替えることもないかなと思っている。ダルいといえばクラッチもダルく、半クラと完クラの間がダラっとしてる(かなりレバーを引かないと完全に切れない)のだが、まあこれは目くじらを立てるほどのことではなさそう。リア周りは割と普通で、見た目にはコストカットを頑張りまくった感じになってはいるが、乗ってみるとチープな印象はそれほどない(走っているのを見た人がどう思っているのかは知らないけど)。
車体全体を見ると、極端に小さくはない。諸元を確認してみたところ、スパーダとそんなに変わらない感じだった(少し重いくらいで、サイズやホイールベースやキャスターやトレールは大差ない:カタログスペックの全幅はたいていハンドル幅のことなのであまり参考にならないが、どっちも250ccにしては細い)。取り回しは重さなりで普通、ではあるのだが、タンク位置がけっこう高いのとリアがセバレートシートで高くなっているのとで、ガソリン空近くで荷物なしのときと、ガソリン満タンでリアシートに荷物を乗せたときの変化幅が大きい(ちゃんと意識しないと押しゴケしそうになる)。重心も高めなので倒したときの引き起こしは重く感じる。ハンドルは切れ角が大きくスパーダよりも最小回転半径は小さい。跨った感じもそこまでスリムではなく、右出しのマフラーもサイズがあって横へのはみ出しが大きく、筆者としては普通のニーハンという印象。ハンドルはやけにマウントが高いセパハン、ゲテモノに見えるが乗ってみると普通(まあニーハンバイクにとってはハンドルなんてほとんど剛体なので、問題はグリップ位置が(尻から見て)どこにあるかなんだろう)。基本的には街乗りポジションなので、積極的に乗ろうとするとけっこう前に呼び込まれる(のが前述の前めシートポジションとマッチしている)。筆者の理解では、バーハン(やアップハン)と(本格的な)セパハンの違いは(すでに触れたように上下の角度もたしかに違うし、ジムカーナみたいな乗り方をするならフルハンドルで右手がどうなるかも重要だろうけど)上から見たとき横に向いているか斜め後ろに向いているかがポイントで、ハンドルの取り付けに角度がついていると腕とハンドルで自然な円を作りやすい。反対に角度が浅いと、自然な操作ができる角度でハンドルを掴むために肘が前(かつ横)に出る形になり、結果的に上半身がハンドルに近くなる。
カウルはけっこうデカい(記憶が不確かだが、以前短期間乗ってたZZR250よりは大きい印象)。というか、ガワのサイズは普通で中身の車体が細いためカウルにボリューム感があり、風防効果もけっこう体感できる。とくに、寒い時期の保温が難しい膝~腿のあたりに当たる風が少なく実用的。スクリーンは平凡な感じで効きも平凡、ガチのレプリカよりは微妙に大きめで角度も立っている。高速度域で伏せれば風はそれなりに防ぐ(まだ本格的な雨の中は走ってないけど水滴も)。筆者が買った中古車は少しガタがあったのか、エンジンを上まで回すとビビりが出る。カウル内へのアクセスは悪く、自分でメンテしようと思ったら付け外しが手間だろうと思う(筆者はお店任せ)。ラジエターからの熱風は、停車すると普通に吹き付けてくる。これはカウル付きならやむを得ないところ。シートはセパレートで、リアは普通に鍵で開けられるが、フロントシートはボルトを2本外さないと取り外せない。タンデムしたことはないが、セパレートシートでグラブバー以外掴まるところがなく、後ろの人は大変そう(いわゆるタンデムベルトみたいなものを用意した方がいいと思う)。
重要な情報: 走行中の荷崩れは、自分自身はもちろん、後続車にも多大な被害を与える可能性があります。たとえばもしもし、運悪く後続の二輪車が落下した荷物を踏んだら、死亡事故につながる可能性もあります。また紐類などが回転部分に巻き込まれると、重大な事故を引き起こす原因になり得ます。安全性の判断と管理は各自が自己の責任で行ってください。
積載性は非常に悪い。悪いのだが、荷物が積めないのかというとそんなこともない。車体全体を通して、フレームパイプがカウルに隠されている部分ばかりだし、リアのカウル下にはフックの1つもない(リアシートを外せば、シート着脱用のフック2つと、左グラブバーの根元にヘルメットホルダーらしきフックが1つある)のだが、普通のネットでも荷物はちゃんと積める。筆者が使っているのは定番のデイトナL(40×40cm)ネットで、フックは四隅と、積載時に後ろになる辺の隅から1マス内側のところ。まず前側フックをリアステップのヒールガードに掛けてシートを渡す(新品だとキツめだが、セパレートシートの下段を通せば延長ナシでイケる:頑張ればタンデムシートの前端も通せて、その方が尻に当たらず快適)。さらにその状態で強めに後ろに引っ張って、外周よりも2つ内側の網目(フックではない)をタンデムシートのグラブバーに引っかける。反対側の端のフック2つを、ヒールガード手前の網目(というか外周でダブル-トリプルの繰り返しになっているところ:強く張ればヒールガードにも届きそうだが、頑張りすぎるとネットが伸びると思う)に引っ掛けてやると、リアシートに積んだ荷物を包むような形を作れる。余った真ん中フック2つは、ネットのどこか(なるべく前側のやや上)に引っ掛けてたるみを取る。筆者はこの形でネットを張りっ放しにしているが、ネットが痛むので、都度外した方が長く使える(もっと小さいネットでサブコードを使った方が安定するのかもしれないが、筆者はこの方法で困っていない)。小さめの荷物なら、右のタンデムステップに掛けたフックだけ外せば積み下ろしできる。
デカブツを積むときも先にネット。筆者は長年使っているプラスチックケース(メジャーで雑に測ってみたところ縦35横43高26cm、外寸の単純な掛け算で39L、実用的には30Lちょいだろうと思う:内寸高さ的に、手持ちのフルフェイスXLヘルメットが寝かせなくてもギリギリムリヤリ入る)をバイク用に戻して乗せた。ヒールガードを使うのは小さい荷物のときと同様、後ろ中央寄りのフックはグラブバー(先端が微妙に膨らんでいる)にかけ、後ろ隅のフックをグラブバー中ほどの裏のくぼみにかける(余談ながら、積載にかなり困っていたので、この窪みを見つけたときは嬉しかった)。これだけだと荷物が後ろにずれたときグラブバーに引っ掛けたフックが外れかねないので、後ろ隅フックの補助フック(反対に向いてるヤツ)に前側のネットを引っ掛けて後ろにずれないようにする。重量物を乗せないならこれだけで大丈夫なのかもしれないが、リアシートが平らでないこともあって、シリコン座布団(ゲルクッション:本当は低反発クッションを使いたかったのだが、シリコンなら濡れたときの処理が断然ラク、後で触れるようにベースプレート式のハコとも相性がよかった)を敷いてやると滑り止めにもなって一石二鳥。筆者が使っているモノは実測36*42*3.5でハコの底より少し大きいのだが、ハコを下から包むような格好にしてやるとより滑らずかえって都合がよい(人間用なら、似たような値段で売られているシートクッションの方がいいと思う:モノはほぼ同じだが、シートの形っぽくカットしてある)。
ハコの荷物が重い場合はさらにロープで括って「後ろにはずれない」ことを確保した方が安全だろう。筆者は左タンデムステップ付け根(ネットのフックをかけるには太すぎるので、ロープで小さい輪を作って付けっ放しにしている)からロープをかけ始めて、ネットより内側を通って荷物の下(この区間ではまだ荷物に触れない)をリアまで、グラブバーとテールカウルの間を通して斜め前へ、左後底>天面斜め横切り>右前底>右後底と荷物に巻いて、グラブバーの根元で前下に折り返し、右タンデムステップ付け根で後ろに折り返し、同様に戻って左タンデムステップで終わる形にしている。ロープ(端に輪を作るところや自在金具の調節部分を含めて、ロープ全体で4.5mくらい:当然ながらハコの形と大きさで変わる)は今のところ2.4mmのパラコード。本当に重い荷物を載せるときは、長いロープを往復させるより短いロープを2本使った方が安心だし、ステップ~天面を後ろに~グラブバー根本~反対側グラブバー根本~天面を前に~ステップ(グラブバーへはひっかけるような形よりも巻き付けるような形で外側から上に向かうようにした方がよい)で括って補強しておくのがよさそう。
ともあれ、デカい荷物はひとまず乗せられたとして、小物入れの類もぜんぜんない(リアシート下に少しだけ入るけど、筆者の運用だとあんまり頻繁に開けたくない)。そこで当初、セミハードのツールバッグ(縦27横12厚7cmくらい、1.5Lだか2Lだかのやつ:売り文句はサイドバッグだったはず)をカウルの中(ホーンがあるため左右対称でない)に突っ込もうと思ったのだが、買ってみたら入らなかった(ラジエターに触れる部分に貼ろうと思ってシリコン鍋敷きまで買ったのに)。どうにかしようと思って車体を眺めているうちに、サイドカウルの後端あたりにわずかにパイプが露出している(というかシートカウルとの間に微妙な隙間がある)場所を見つけた。ここにバンド(バッグをよく見たら接着剤じゃなく本体縫い付けで固定してあった:安物だったのに嬉しい)を巻き付けて、リアステップの根元も使って、多少無理やりだが小物入れも装着できた(ステップに踵を引っかけた乗車姿勢で右足に触れるか触れないかくらい:いつでも外せるが、バッグをつけているとタンデムステップは潰れる)。ノーマル車両なら左右セットでつけられるはずだが、筆者が買った中古車は左にヘルメットホルダーを追加してあったので、右側にしか取り付けられそうにない(たまたま買った1つを装着可能な側が空いていてよかった)。簡易なバッグで、丸ごと盗っていくのも簡単ならそのあとバッグを切って中身を取り出すのも朝飯前なので、貴重品は入れない運用にして錠はつけないつもり。少しの試行錯誤はあったが、結局、ブレーキレバーロック、ディスクロック、ロープとフック、食品用ジッパー袋入りのタオル地ハンカチがレギュラー収納物になった。
カウルの中も諦めたわけではなく、いわゆるETCポーチ(タナックスのMF-4707とか:おおむね15*10cmくらいじゃない?)やタクティカルポーチの類(ナイロン生地の似非MOLLEとか)、使う時だけ着ける前提でシザーケース類(普通サイズで20*15cmくらい:自転車用のフロントバッグの小さいのとか、いわゆるスマート(フォン)バッグなんなにも似たサイズのものがある)を試してみたい気持ちはあるが、ひとまずの収納力がクリアできてしまったので、わざわざラジエターの排気先に荷物入れを吊るす動機も薄くなっている(どうなんだろねぇ、影響:真夏の様子を見てからかな)。アッパーカウルの裏あたりに両面テープが効くならベルクロを設置してとか、アイディアはあるのだが(カウル裏は平らじゃないし水分とか振動とか条件が厳しそうだけどどうかなぁ)。振り分け型のサイドバッグなんかにも使えるものはあるんだろうけど、とりあえずハコが1つ乗ってしまえば大抵の物は運べる(スーパーでネギ買ったときくらいかな、ちょっと悩むの:後ろのハコにムリヤリ押し込むか、ハコとネットの間に挟むか、店で切ってもらうか、迷うところだが筆者はハコを使っている)ので、今のところ欲しいという気持ちはない。それよりも高速を使うとき(筆者のようにETC積んでない場合は)、通行券の扱いにちょっと困る。できれば車体右側高めの位置(というか、リアブレーキ踏んで左足着いた状態で自然に使える範囲)に、通行券(12cmくらい?千円札よりは明らかに小さい:クシャクシャになっても機械に通らなくなるだけで入場証明書としては有効だけど、なくすととても面倒)と紙幣硬貨を各数枚くらいキープしておける入れ物があればいいんだけど(上で紹介したサイドバッグはその用途にも使えるが、ブレーキを踏んでる右足の後ろなのでちょっと場所が悪い)。今のところは服のチャックつきポケットに入れているが、ボディバッグを前に下げた方が容量は稼げて、しかし鞄類はあまり身に着けずに乗りたい気持ちもあって悩みどころ。
すでに触れたが、極低速域にかったるさはある。15km/h程度で1速が必要になるということは交差点の右左折なんかも1速落としになり、それなりの頻度がある(2速へのシフトアップもある程度待った方が無難:車体を傾けるときはとくに、1速で8000rpm35km/hくらいまで引っ張るつもりだと安定しやすいと思う)。これはまあ、操作の多さを面白味として捉えておくのがいいんじゃないか(少ない操作で移動したいだけなら、同じニーハンシングルでもスクーターにすりゃいいわけだし)。その代わりといってはナンだが、このバイクの魅力はやはり「曲がる」ところにある。乗り手がムキにならなくてもバイクが曲がっていくし、ソノ気になればもっと曲がる。エンジンにも似たところがあって、ブンブンに回さなくても爽快感がある(これは筆者にとって初めての経験:マルチだとどうしても回したくなるので、これがシングルの味なのかもという気がしている)し、叩けばそれなりに走る。もちろん、高速道路も十分走れる(それこそセローじゃあるまいし、4速吹け切りで120km/h超えるんだから、十分じゃん:というか250cc以下のバイクに、高速道路でMC41と乗り比べて「ああこりゃコッチの方がラクですね」となる機種がどれだけあるんだろうか)。筆者の印象でいえば、全体として「スポーツバイク」を名乗って違和感があるようなところはない。繰り返しになるが、結局は「スポーツ好き」か「スポーツ嫌い」かの問題なんじゃなかろうか。
ちょっと意外なポイントに、マフラーの右側への張り出しがある。ハンドルよりもミラーよりもタンデムステップよりも(けっこう大きく)横に飛び出ている。あの容量でバンク角も確保して高くなりすぎない位置に出そうと思ったら横に伸ばすしかなかったのかもしれないが、ちゃんと意識していないとコスりそうなくらいのサイズは余裕である(車体自体は細いんだけどねぇ)。ミラーとライト類はフルカウルならこんなもんじゃないというレベル。カタツムリみたいな生え方のミラーは見た目が悪く、中古で買ったときから右が渋く張り出し方も邪魔な感じではあるが、カウルマウントにしてはそこそこ視野が広く文句をつけるのも少しカワイソウ。完全に起き上がっても思い切り伏せても後ろがそれなりに見える設定ポイントが狭いながらにある(筆者の体格だと)。すでに触れたようにラジエターからの熱風はカウルから後ろに抜けるが、熱量自体が多くないように思える。というか、燃費の良さは(排気ガスの量と熱さでも変わるけど)発熱の少なさに直結するので、カウル付きバイクの中では暑くならない方なんだろう(Vツインと違ってケツ下から直接熱せられることもない)。走り始めに筆者は、水温計が1つ灯くまではマッタリ運転(アイドリングしたい気持ちはあるがすぐ走り出してしまう)、1つ灯いたら4000rpmでシフトアップ、2つ灯いたら5000rpmでシフトアップ、3つで無制限モードということにしている。
コンバインドABSやスリッパークラッチがないのは、まあ値段を考えたらそうだよねという話ではあるが、ABSがない分やはり軽いし、アシストなしのクラッチ操作も重くない。筆者は2輪車のABSに懐疑的な考えだし、コンビブレーキは断固お断り、クラッチレバーにキックバックが出るのも嫌なので、むしろ歓迎すべき特徴。中古で買った時点で何回かコケた形跡はあったが、カウルの傷はたいしたことがなかったから、そんなに深刻な壊れ方はしないのだろうなと勝手に気楽に考えている(人によってコケ方も違うので、自分がやるまでわからんけど)。ちょっと困ったのはハンドルで、中古で買った時点でグリップヒーターが入っており、これがツルツルのグリップ(にした方がヒーターが効くのはわかるけど、ちょっとやりすぎレベル)だったため、ゴムのスロットルアシスト(2本入りで600円くらい:取り付けが大変で10分くらいかかった)を付けた。灯火類は普通なんじゃないか(純正のフロントはLEDじゃないけど)。マフラーガードは、まあ重いんだろうけど実用的ではある(MC41後期型のマフラーの方が軽そうでいいよなぁ、と思ったら、カタログスペック上では重さ変わんないみたい:ABSモデルは後期の方が1kg軽い)。
スタンドはサイドのみで、けっこう立った角度になっている。普通に使って支障があるレベルではないと思うが、強風のときなんかは反対側に何かしら支え(メンテナンススタンドの類とか、単に寸法を合わせて切った木材とか)をしておいた方が無難だろう。荷物をたくさん積んでもサイドスタンドが使えるとか、不整地に駐輪しても過剰に沈みこまないといったメリットもあるので、トレードオフのひとつと考えておくのがよさそう。ガソリンタンクはスパーダよりも2L多い13Lで、燃費もよいため航続距離が長い。タンクキャップが丸ごと外れるタイプ(まあ4輪車の給油でも外す車種多いから同じっちゃ同じだけど)で気が利かないのと、タンク入り口のストッパー(取扱説明書には満タンを示す「レベルプレート」だと説明してあるが、これってポンプでガソリン吸い出せないようにしてるんでしょ?:昔のバイクにはこんなのなかったけど、イマドキはみんなこうなのかな?)がすぐ近いところにあって、セルフ給油に気を遣うのは減点(ゆっくり給油しないとハネるので、セルフじゃないガソリンスタンドでも店員さんにその旨伝えておこう)。
メインスイッチはハンドルロック・オフ・オンの3ポジションでシンプル(こういうの、筆者は結構好き)。セルはスロットルオフで回すようになっているが、エンジンがかからないときの操作として「スロットルグリップを全開にし、スタータースイッチを5秒間押す」のだと取扱説明書に書いてある(へー、そうなんか:FI車初めてだけど、他もこうなのかねぇ、まあチョークないしねぇ)。メーターは平凡、アナログタコ+デジタルスピードはけっこう見やすい。シフトインジケーターはニュートラルだけ、ハザードなし、トリップも1系統しかないがまあこんなモンだろう。時計がついているのは、普通ではあるが便利(筆者の手元の個体は、放っておくとけっこう進む)。燃料の「E」「F」と水温の「C」「H」は常時点灯で目盛りマークの数で見る(筆者は最初ちょっと焦った:水温は目盛りなしの「ゼロ」もある)。水温はマークなしが最低、調子よく走り続けていると3つで安定する(筆者の手元の個体は)。燃料の最後のマーク点滅で残り1.4Lらしいが、少なくとも筆者が買った個体はもっともっと前から点滅し始める。さらに、ちょっと車体姿勢が変わっただけで表示が変わるダメっぷりなので、古の仕来りに従いタンクを振って残量確認をするか、早めのタイミングで給油してしまうことになる。キャブ車のリザーブには「間違いなく気付ける」という大きな利点があったわけで、初FI車でやらかさないか、筆者は微妙に不安である(まあ4輪車で何台も乗ったけどね、FI)。なお、FI車でも押しがけはできる(そりゃそうだ、セルで始動できるんだから)が、バッテリーが上がったFI車は押しがけしても動かない(ECUが動いていないとエンジンが動かないので:これも注意だなぁ)。
装備も必要最小限ではあるが、押さえるべきところはしっかり押さえてあるというか、カジュアルな手間と費用でのフォローがきかないような大穴はとりあえずない。筆者が積むつもりは今のところないので真面目に検討してもいないが、リアシート下は工具と書類だけならけっこう余裕があり、ETCとかドラレコとかも積もうと思って積めないことはないんじゃないか(わからんけど)。リアシートだけは、あんな形にしなくても普通にフラットでよかったのにと思う。見た目は・・・なにしろ乗っているのがオッサンなのでどんなオシャレバイクでも見栄えはしないのだろうが、車体自体はVFR系のテイストでけっこう筆者好み。スパーダなんかはあのブサイクさがよかったのだが、これはこれで気に入っている(ただね、見た目でいったら、MC41後期のレプソルカラーがやっぱりウラヤマシイ:その昔「かっこええなぁ」と指をくわえて眺めていた白赤青の90年NSR250R(MC21)のイメージは、今見ればロスマンズもクールだし95年のデザインはどれも秀逸だけど、やっぱり気分を盛り上げるものがある)。
筆者の我流低速走行術:どうも筆者は、スロットル全オフで燃料供給がほぼ止まった状態からアクセルオンにしたときの挙動が、キャブ車と違うのが気になってしまう。そこで、旋回速度よりも少し速い速度になるようなアクセルの当て方、たとえば15km/hで曲がりたいなら「何もしなければ20km/hで走るくらい」(数字はテキトーだけど感覚的に)のスロットルを維持>前後ブレーキ>フロントをリリースして旋回>リアは少し引きずったまま>リアもリリースして加速再開、みたいな手順で燃料供給を切らないようにしてみたところ、それなりに快適性が向上した。エンジンに(もしかするとチェーンやスプロケにも:まあ坂道登るのとやってることは大差ないのではあるものの)悪い走り方なのかもしれないが、回転数を落としすぎてからのアクセルオンによるドン付きショックと比べたら、どっちもどっちなのかなという気もする。
ひとつ苦情というか・・・軽くてよく曲がるバイクだからなのか、横風に弱いという評価もけっこう目にする。たしかに、軽くて寝かせやすくてよく曲がるバイクは、横方向に力を加えられたときの影響が大きくなりがちである。それは間違っていない。しかし横風に対しては「自分の技量で対応できる速度で走りなさい」という鉄則があるわけで、これを守れない人はどんな機種に乗っても怖い思いをする(2トン車だって横風が吹けば煽られるし、おそらく10トントラックでも事情は変わらない)。怖かったという体験や感想を書きたいor言いたい人に非はないが、読むor聞く人の側にちょっと注意が必要なのかもなと思う。少なくとも、日本の高速道路を左車線キープレフトで流れに乗って走っている限り、車体性能のせいで明らかに危険な状況に陥る可能性は十分低い(という評価がなければそもそも販売できないはず:「それ以上のこと」をやろうとしたときに限界性能が高くないという主張には、筆者も反対する気はないし、高速道路で怖い思いをしたくないなら大人しく走るべきだという主張になら大賛成である)。なおMC41自体は、30~70km/hくらいで走っているときの横風にはそんなに弱くない(カウルの形状がいいのかタイヤが微妙に太いからなのか重心が高いせいなのかわからないが、少なくともスパーダに比べると安定している:記憶の中での比較だけど)。不安定さが出るのは20km/h未満~停車時で、とくに5km/hとかの徐行をするときにはけっこう風に煽られる。
他によく言われる気がするのは、サスが硬くて云々というやつ。そもそも公道用に市販されている中型以上の国産バイクを新品で買うと「街乗りには硬め」くらいのセッティングになっている。なぜなら登録上の定員が2名だからで、タンデムで急ブレーキや急発進をしても底付きしない程度の硬さにしてあるのは自然な話(リアなら「底付きしそうならイニシャル(プリロード)で調整してね」が通じるが、フロントだとそうもいかない)。これはたいていのバイクに共通した傾向だが、車体が軽いと重さの変化率が大きくなる。重心の変化なんかを無視した単純計算でも、150kgのバイクに荷物服装込み75kgの人が一人乗ると225kg、二人乗ると300kgだから33.3%の荷重増なのに対し、300kgのバイクに荷物服装込み75kgの人が一人乗ると375kg、二人乗ると450kgだから20%の加重増、フックの法則が適用できる範囲(ストロークが深くなると空気バネがより強く効くようになるが、その手前まで)ならストローク量の変化も1.33倍vs1.2倍になる。だから車体が軽いバイクほど、もし「一人しか乗らない」のであれば、サスを「工場出荷設定から」調整しておくご利益が大きくなる(フロントに手を入れると大掛かりになっちゃうけどねぇ)。
余談ついでに、上で少し触れたブレーキに関する筆者の持論も書いておきたい。ある程度のレベルまでは、ブレーキの制動力とコントロール性は一体的である。言い換えると、レバーを握り締めないとフルブレーキにならないような状況で、柔軟なブレーキコントロールをするのはとても難しい。入力の強さに対するレスポンスのリニアさなんかも、もちろんブレーキの「コントロール性」の一部ではあるのだろうが、それよりもまず制動力が一定水準(速度域によって変わる)に達していることが重要になる。ブレーキは車体の移動だけでなくタイヤとホイール(前後輪両方:チェーンなんかも動いているけどタイヤに比べれば軽いし遅い)の回転も止めなければならないわけで、重いタイヤが高い速度で回転しているときには、軽いタイヤが低い速度で回転しているときに比べて、駆動系の減速に割かれる力が(絶対量として)大きくなる。ごくまれに「ブレーキが効きすぎると危ない」とかいう意味不明な主張をする人(sonsiとか、よく言ってたなコレ:「よく切れる包丁は危ない」並の妄言だと筆者は思う)がいるが、ブレーキが効かない方が危ないのは言うまでもない(フルブレーキするために力を込めて握りこまなければならないようなブレーキは、ようするに、本当に急いで止まらなければならないときにコントロール不能になるブレーキである:そういう機会がやってくるかどうかは誰にもわからないが、もしやってきたらコントロール不能になるということは間違いなくわかる)。
筆者が使っているものとその感想、試そうと思っているもの、こんなのあったら便利なんだけどと探しているものなど。バイク専用品は2りんかん、激安品やアウトドア用品の使い回しはAmazonで買うことが多い。10年ちょっと間が空いてのリターンライダーなので、ほとんどの用品は買い直す格好になったが、積載用のハコだけは遥か昔から使っているものを押し入れから引っ張り出した(やたら丈夫だなこの箱:サイズがちょうどいいんだよねぇ)。またバイク乗りには珍しく自転車も常用しているので、使い回したものもある。また筆者はオイル交換も自分ではやらないため、工具類は購入していない(ラジオペンチとかねじ回しとかレンチ数本とか、普通の家庭にあるレベルの工具はいくつか持っている:バイクに使う気はないけど)。
ヘルメットはMOTORHEAD(2りんかんショップブランド)のAEROTECH(多分「5」)を買った。1万円ちょいでそれなりのベンチレーション機能がある(筆者は外せなくても丸洗いしてしまうが、一応内装も外せる)フルフェイスが買えるのはありがたい。ただ、近所に買い物に行くだけでフルフェイスというのはちょっと利便性で不満があり、リード工業の激安ジェットヘルCR-720(これは内装外れないみたい)も買い足してしまった。たまたま見切り品になっていた夏用グローブ(これもMOTORHEAD)もついでに買った(3000円くらいだっけな:手にフィットした幸運もあるが、大変使いやすくそれなりにプロテクターも入っていてお得だった)。デイトナ・コミネ・MOTORHEADはリーズナブルな値段でちゃんとした機能のモノを提供してくれるのがいい(筆者はイエローハットを敬遠しているが2りんかんは好きなので複雑な心境:半年くらいメインの購入先にしてみたが、結局他を当たることにした)。ヘルメット2つとグローブで2万円くらいだったか。
ロックは自転車用に買ってあった(めったに使ってなかったけど)チェーンロックをバイクの家用に格上げ、NikkoのブレーキレバーロックN510(3000円しないくらい)を新たに買って持ち運び&出先用にした。筆者はこのN510を20年以上前から使い続けているが、転倒防止を兼ねてくれるのと、外し忘れでの発進を確実に防げるのがいいところ。セキュリティとして強力でない(ブレーキレバーなんて簡単に折れる(というか安全上折れるように作ってある)のでハンドルロックと同レベルの耐久性しかない)ものの、近所の買い物なんかには便利(日本も物騒になってきているとはいえ、スーパーの駐車場でハンドルロックを蹴り壊しブレーキレバーをへし折ってバッテリー直結でバイクを盗んでいくような輩は、そうめったにいないはずだと信じたい)。遠出用に一応、ディスクロック(Amazonで値段だけ見て買ったら、リマインダーコードとケースがついて2000円しなかった:非常にチャチな作りだが、工具なしで壊せそうな感じでもないため、筆者は満足している)も用意してはいる。アラームも導入したい気持ちはあるが、設置と動作確認の手間・電池交換のかったるさ・誤作動のリスクなんかを考えて保留中。シート下など露出しないトコロに取り付けないと効果半減(電池抜かれたらそれまでだし、モノによっては塩水をかけるだけで無効化できるかもしれない)だと考えているので、買うとしたらアラーム付きロックではなく単体アラームにする予定。車体カバーは普通の安物。どこのメーカーのだったかも覚えてない。筆者は車体カバーに完全防水は求めなくてもいいんじゃないか派で、夏にも使うことを考えたら黒よりは銀色の方がいいのかなと思って選んだが、それが正解なのかどうかもよくわからない(まあ車体はカバーできてるからとりあえずよしとしよう)。新規導入分はロック2つとカバーで7000円いかないくらいだが、チェーンの分を足したら1万円分くらい、アラームも買ったらもう数千円くらいになるのかな。
週末に天気を見ながらの使い方しかしていないので、本格的な雨具は必要ないといえば必要ないのだが、持っていないのも落ち着かなく結局一通りは揃えた。
夏用の上着として薄手のパーカーを買った(リサイクルショップで千円か二千円くらい)。フードを取り外せるタイプで、外した状態だとカチャカチャ鳴る前ボタンと右ファスナー(なんて言うのが正式なんかね:ようは、右に箱+左に蝶棒、右落とし+左差し)で輸入物っぽい雰囲気だが、クリーニングタグは日本語表記で「ギャップジャパン」という表記がある(背中のタグにもGapのロゴ)。綿とナイロンの混紡で、風はそれなりに遮り、防水性は皆無、襟は高く留められていい感じ、袖(いちおう調整ベルクロつき)と裾(調整なし)はまあまあ絞れている。ポケットは胸にボタン(穴を通すタイプでなくハメコむタイプ)で左右各1、その下にジッパー(ちょっと固い)で各1、裏に2でけっこう多い。服に収納力があるのでいろいろ入れたくはなるが、運転するときポケットにものが入っているのはけっこううっとおしい(筆者は鍵とタバコくらいしか入れないようにしている)。パンツは普通のズボンで、ポケットに電話と小銭入れが入っているが、長めの距離を走るときはカバンに移す。
そのカバンはちょっと悩み中で、以前から持っているボディバッグを前に下げるのは悪くはないが、やや邪魔に感じられる。バイクを運転するときにリュックは使いたくない(以前は大きな荷物の時に使っていたこともあるが、セパレートシートではねぇ)し、やはり身に着けるよりはネットでリアシートに積むのが理想だろう。シート自体は30*30cmくらい(一番太いところでシートが30cmのシートカウルが40cm、前後には30cm弱といったところ)なので、ボディバッグはいちおう乗る。MC41に限らないことだが、携帯電話とかスマートフォンとか、その手の精密機械の類をどこに積むのかはとても悩ましい。なにしろ振動にも熱にも水にも弱く、強い磁気に晒すのも(実害はないのかもしれないが)気乗りしない。スポンジで挟む(ハコにフィットすればタオル巻きとかもアリなのかも)タイプのハードケースか、ボディバッグ(肩紐がジャマくさいのよねぇ)か、服のポケット(くりかえしになるが運転に集中したいときにはうっとおしい)かというところなのだろう(ハンドルなんかに固定しようという気は筆者にはない)。
余談:筆者はいわゆるレッグバッグとかホルスターバッグの類にどうも乗り気がしない。バイクに跨った状態で荷物を「身に」着けるとしたらどこか、と考えたときに「腿」というのは最適解なのだろうと思うが、固定方法が「腰下げ+腿バンド」というのはどうにも筋が悪い。腿と腰では、立ったときと座ったときで位置関係が変わりすぎる(し、バイクというのは通常座って乗るものである)。かといって腿の上部にはヒモのかけどころがないわけで、ズボンにループを縫い込むのでなければ、いわゆるカーゴパンツ(カーゴポケット)のような形にするしか選択肢がなさそう。その腿ポケットには、乗車姿勢で腿の「上に乗せる」タイプ(降りて歩くと中身が踊るが、バイクに跨った状態では安定する)と「横に張り出す」タイプ(バイクの上では中身が下にずり落ちる感じになりやすいが、降りて歩くときの安定性は比較的高い)があり、筆者は上乗せに近い方が好き(既製品でいうとコミネのPK-928とかが理想に近い)。とはいってもしかし、たかがポケットに入る程度の荷物であれば、なにかしら袋なりケースなりに詰めて、身体ではなく車体に固定してしまいたいという気持ちが強い。ネイキッドバイクのタンクにネットをかけていたときは「とにかく前に積む」方針(普通の荷物とネットの間に挟むことで振動も緩和できた)で悩む必要がなかったが、フルカウルの場合「積みっぱではなく降りるときには身に着ける」タイプの搭載が意外ともどかしい(タンクベストとかマウントベースと称する専用品も、結局固定のしどころがネックになることに変わりがない:筆者は結局後ろにハコを乗せたので解決したけど)。
靴は普通のトレッキングシューズもどきにソフトタイプのシフトパッドを着けている。MC41はノーマルのシフトレバーがゴム巻き仕様で厚みがあり、甲が高い靴だとレバーの下につま先を入れるのがかったるい。反面、シューズタイプの靴をシフトパッドなしで履いていても、そう気は使わずにシフト操作できる。結局のところ靴は現状で、あんまり快適ではないが不自由もしていない。
バイクを通勤に使うようになって、積載の仕方を大幅に変更した。メンテも行ったので後の項で触れたい。
重要な情報: 走行中の荷崩れは、自分自身はもちろん、後続車にも多大な被害を与える可能性があります。たとえばもしもし、運悪く後続の二輪車が落下した荷物を踏んだら、死亡事故につながる可能性もあります。また紐類などが回転部分に巻き込まれると、重大な事故を引き起こす原因になり得ます。安全性と盗難防止の判断と管理は各自が自己の責任で行ってください。
もともと使っていた箱は使うたびに乗せ降ろしするのがかったるく、週に一回の買い物と月に数回の外出くらいの使い方ならともかく、毎朝毎晩時間を取られるのを不効率に感じていたこと、容量的にももう少しだけ大きいものが欲しかったことから、バイクの後ろに乗せるハコを探した。「普通の箱」タイプは箱自体のクオリティと価格の安さ(筆者が探したときに一番安かったもので3000円くらい)が魅力で、アイリスのMRV460・MHB-460あたりだとサイズも45*35*35cm前後でちょうどよく、パッキンつきで密閉性も高く、重さも3キロちょいで軽い。バックルなりラチェットなりでサっと外したり締めたりできる積載方法さえあれば大いに有望な選択肢。ベースプレートつきのいわゆる「リアボックス」の45Lタイプは上記より微妙に小さく重いものが多く、価格も上がり(筆者が購入したもので6000円)、箱としての機能性にそう大きな期待はできないが、なんといっても搭載したままの開閉がラクである。リアボックスの65Lタイプも選択肢に入らないではないが、寸法が(バイクの進行方向に対して)左右に伸びるので、筆者はあまり「積んで走る」気になれなかった(ベースプレートの仕様が許すなら横置きする手もあるのだが、ネット併用が筆者の条件だったのでそれも却下)。
さんざん悩んだ結果、筆者はベースプレートの利便性を選び、リアボックスの45Lタイプにした。搭載状態で左右方向だけが少し長く、ベースプレートを外したハコの外形で30ちょい*40ちょい*30ちょいcm。カタログスペックでは41.5 x 37 x 31.5 cm(左右・前後・高さ)なのだが、前後方向は突起部を含めても35cmまではない(中華メーカーだと古いモデルのスペック表記が更新されてなかったりもするからアテにならんのよねぇ)。縦横は(MC41のリアシート用で考えたときの)ジャストサイズにかなり近いが、高さがもう5cmくらいあったらというのが筆者の理想で、内装あり状態でXLのフルフェイスを「てっぺんが上」にして入れると(開閉に支障はないが)微妙に当たる。A4横長くらいの収納能力を持つカバンとか、1Lクラスの水筒とか、標準サイズの折りたたみ傘とか、高さ25~30cmくらいの荷物(少しならつっかえても傾けりゃ入るけど)は意外と多いし、買い物荷物を積むときなんかも前後左右よりは高さで引っかかることが多い(2025年現在のAmazonJPだと「47L」クラスにもうちょい背の高いものがある模様:全部同じ製品に見えてならないが、値段や寸法表示は微妙に違う)。なお普通のフルフェイスヘルメットは、着用した状態での前後が一番長く、左右が上下よりも少し短いので、箱の高さが足りないときは「上から側頭部部分が見える」方向に寝かせるとよい。
筆者が購入したものも含めてたいていのリアボックスには「内張り」がついていて、両面テープで面ファスナーをハコの内側に張り付けて使うのが普通。今までハコに直接荷物を入れて何の支障も感じたことがなかったので、筆者としては必要性を感じなかったが、せっかくついてきたものなので一応装着しておいた(濡れたヘルメットとか入れた後に湿気が籠るような気がしないでもないが、あって困るというほど困ってもいない:いらなきゃすぐに外せる)。それよりも、フタに取っ手を取り付ける仕様になっていて、それが単なるビスつきのハンドルなのだが、フタの四隅に取付用のリーマー穴が最初から開いている。筆者はハンドルを必要としない(というかあると邪魔)ので取り付けずに使いたかったのだが、穴を塞がないと雨のときに水が入ってくる。仕方がないので、裏から補修テープを貼り、穴を接着剤で埋め、上からも補修テープを貼って「よし」した(それなりに塞げてはいる)。箱自体の密閉性はそこそこで、豪雨レベルの雨に降られても、中がズブ濡れになることはなかった(少なくとも購入当初は:どうせ出先で濡れたものを積み込んで、中が「湿気る」ことは避けられないので、万全の防水性能は最初から求めていない)。いわゆるバックレスト(側面に張り付けるタイプのクッション)は付属しないモデルだったが、筆者は使用しないのでかえってありがたかった。ベースプレートへの固定がビス2本なのも安心感がある。
固定は、シリコン座布団>ベースプレートの順に重ねてリアシートに乗せ、ロープ(パラコード)とプラの自在金具でテンションをかける格好にした(シリコン座布団は穴が多数空いているのでロープとの相性が良い)。ロープの一端に輪を作り、輪のない方をタンデムステップのヒールガード>ベースプレートの目の字肉抜きとかけて戻し、輪に引っ掛けて自在金具で締める(南京結びの簡易版)。もう1本のロープを同様にタンデムヒールガードから出発させ、グラブバーの根元>座布団の穴>ベースプレート>座布団の穴と通して、やはり同様に簡易南京結び。これを両側でやると4点支持になり、ロープが1本切れても箱は落ちない程度の安定性は得られた(左右同じ側でなければ2本切れても大丈夫だとは思う)。このとき自在金具のところを直接輪に引っ掛けるのか、フックを使って輪に引っ掛けるのかでかなり悩んだのだが、最初は直接掛けたものの思い直してフック使用に切り替えた(ハコを外すときの手間が段違いなのと、フックに「最初に壊れる役」を任せることでベースプレートを守れるといいなという目論見もある:数回の試行しかしていないが、強く締め上げてみたところ、ちゃんと割れて他の部分を守ってくれた)。フック導入を機会に「往復ともグラブバーを経由する」ロープを追加し、6点支持に変更している。最悪でも4本、最良で2本残れば荷物の固定は保てるし、前にずれにくくなり筆者は満足している。ハサミが1本あれば簡単にハコごと盗めるので不用心といえば不用心だが、それがレンチ1本に変わったところで劇的な変化はあるまいと筆者は判断している(どうしても不安なら箱の中にアラームでも入れた方が実効性が高かろう)。
上記にプラスして筆者は、ネットも併用している。ロープが切れたorフックが外れたときの保険の意味もあるが、座布団を噛ましてシートの段差を吸収している都合上、上からも押さえがあった方がハコのぐらつきが減るし、ネットにひっかけてサブケースを積めるのも便利。シリコン座布団を噛ませた副作用で、箱の中と上どちらも、荷物への振動をあまり気にしなくてもよくなった。リアシートは潰れたがどうせ使っていなかったスペースだし、荷物がバイクの中心から離れないため、積載可能な容量に対して運転の快適性は高い。荷物が少ないときに中で暴れないよう、空気を入れるタイプのポータブル枕(2枚で500円とかそのくらい)もハコの内装の下に用意してはいるが、使ったことはない。
そのサブケースとして、いままで右のタンデムステップ付近に積んでいたセミハードケースを、ハコを固定するネットの上に移した。ここにロックとビニール合羽を積んでいるが、容量がパンパンでちょっと悩ましい(ロックは急いで取り出す必要ないので、箱の中に移した方がいいのかも)。ハコの天板の平らなところが26*34cm程度で、高さは15cmくらいまでなら筆者の許容範囲(できれば10cm以下)というところだから、いわゆるテールバッグや小型シートバッグの7~10Lクラスなら選択肢に入るのだろうが、積みっぱなしでボロくなったら使い捨てても惜しくない(というか、バイクを離れるとき「ネットに引っ掛けたまま」になるので、最悪盗まれても仕方ないと割り切れる)価格で、雨ざらしにしても心配がいらず、ネットへの固定(Dカンあればベルクロでもロープでも使えるんだけど)が確実にできるもの、と思って探すとピッタリなものが見つからない(専用品はトップケースバッグとかパニアトッパーというらしい)。Dカンつきの小さめタンクバッグ、ネイキッド・スクーター用のフロンドバッグ、オフ車用のフェンダーバッグ、オフ車・アメリカン用のフレームバッグ(クラッシュバーバッグ・バンパーバッグ・エンジンガードバッグ)、小型かつ薄型のサイドバッグくらいまで範囲を広げて探した方がいいのかもしれない(防水で考えると巻き上げ式の口が有利には違いないんだけど出し入れの手軽さでは劣るし、風で飛んでいく心配がないならレインカバーを常時装着にしてもいいんだろうけど:Rhinowalkというメーカーの製品みたいに中に防水インナーが入ってるタイプもアリなのかもしれず、放置してもカビないならその方がラクなんだけど、だったら中身をポリ袋にでもくるんでガワは勝手に濡れて乾くのに任せた方が現実的かもしれない)。
追記:カーボン調フェイクレザーのソフトケース(自転車用みたい)が安かった(AmazonJPで1650円)ので試してみたのだが、モノが意外とデカかった(表示は「30*18*11.5 cm, 8L」、中身を入れた状態をメジャーで測ってみたところ32*21*16cmくらい:まあハードケースじゃないからなんとも言い難いトコロはあるけど)。ハコの上に乗せて座りが悪いというほどではない(オスメス兼用ベルクロを、生えているところでネットに引っ掛け、ネットの下を通して、Dリング>ネットを上から巻き込んで折り返し>Dリングの「中」にもう一度>ネットの下から根本へ、とやるのがいいみたい)のだが、しかしこれはやっぱりサイズがうっとおしい。遠出するときに容量優先で使いたい場面はあると思うが、乗せっぱで毎日となるとちょっと躊躇われた(だだこれ以上小さくしたら容量面で用途が限定されすぎな気もする)。結局短期間で元の小さいセミハードケースに戻し、ソフトケースはバイク用品入れとして使うことになった。サイズ的にはデイトナのDH-754あたりが理想的(もうちょっと頑張るならDH-722とかも許容範囲)なのだが、ベルクロ固定とネット設置の相性(もちろん重量物はハコの方に入れるという前提があってこそ)が思いのほか良好で、現実的に「ハコの外の高い位置に入れっぱなしたい荷物」がそう多くないこともあり、今のケースが壊れるまではこのままでいいかなと思っている。
この辺は結局、メインケースに何を入れておきたいか(多くの場合まず「雨具をどう捉えるか」)という問題に直結している。予備兼レイングローブとオーバーグローブは軽量級なので、わざわざ荷物から外すほどではない(夏なら前者、冬なら後者で両方はいらない、という検討はしてもいいけど)。簡易オーバーパンツとブーツカバーは中量級だが、強く降られたときにあるのとないので大違いになる。唯一重量級の(ちゃんとした)合羽を常に持ち歩く必要があるのかというと、これはかなり微妙。また雨具が(駐輪中に)ケースごと濡れたときに、いちいち干さなくてはならないのだとかったるいが、ケースに完全な防水を求めると選択肢が大きく狭まるため、干すことになっても仕方ないと思える分量に留めておくのには一定の効果がある。強い雨に遭って「とにかく走らないと帰れない」状況になり得る遠出用の装備と、大変そうならバイクを置いて帰って(公共交通機関で往復して)翌日回収でもよい(かどうかは駐輪場所の都合にもよるけど)通勤用の装備では、考え方を変える必要がある。空振りになる見込みが高い荷物を「念のためで」持ち歩くコストと持ち歩くことによる荷物へのダメージも、やはり異なっている。結局筆者はガチ合羽の携帯を諦め、上記にレインエプロンを足した装備を雨具袋に入れた。これなら脱いだヘルメットの中に(ムリヤリだが)押し込んで収納できる(ガチ合羽を入れるとなると、雨具袋のDリングをヘルメットホルダーに引っ掛けるくらいしかなくなる)。ビニール合羽だけはハコの上の簡易サブケースに入れている(こりゃムリだという降り方になってバイクを停めたとき、合羽だけはさっさと羽織ってから他の物を取り出したい)。
もうひとつ考えられるのは、ヘルメットを箱の「外」に出す案。ワイヤー系のロックを使ってハンドル近くかシートの上にでも置いておけるなら、降りた後の収納スペースをかなり節約できる(風で落っこちて転がると迷惑なので、盗難の心配がなくてもロックはあった方がよい)。ロックは、ヘルメットロックと称する専用品もあるし、デイトナの75633とか79489、キジマのヘルロックワイヤーシリーズなど単品ワイヤーもあれば、自転車用のワイヤーロックも使い回せる(ただダイヤルロックは高級品でないと簡単に解除されてしまうので、どうせなら鍵式を選んだ方がいいのかなという気はする)。ブリヂストンの自転車用製品が、アルロック・エブリーロック・タフロックと充実しており、プッシュポンという「ダイヤルでないキーレス方式」もある(音楽関連の記事でも同じことを書いたが、こういう小物ってメーカーの底力が出ると思う)。ヘルメットホルダーに引っ掛けるのと違い、撥水系の袋にでも入れてやれば雨の心配はそんなに深刻でない(いわゆるヘルメットバッグが、40*50cmくらいの巾着袋に近い形(ある程度の立体裁断はされている)だから、似たようなサイズの:どうせその後雨の中を走るんだし、いわゆる「防水ヘルメッドバッグ」みたいなものが必要だとは、筆者は思わない)。
このほか、ジャケットを脱いで入れておきたい、靴を替えたい、タオル類を用意しておきたい、大型のロックや車体カバーを持ち運びたい、などの需要のあるなしで、ケース容量に対する要求は大きく変わる(タオルのように汚れてほしくないもの、靴のように他を汚さないよう気を遣うもの、ジャケットのように両方に当てはまるものがある:濡れた状態での収納をどうやりくりするか、事前に考えておいた方がよい)。ヘルメットがケースの「中」だと駐めた後、ヘルメットが「外」だと走っている間がボトルネックになり、都合が変わる(駐輪環境でもちょっと違って、屋根付きで脱いだ合羽を吊しておけるとか、バイクに積むのとは別のハコを置いておけるとか、そういう環境だと大いに助かる:屋根付きの場合「バイクに残す荷物」が雨に濡れる心配をしなくていいのもありがたい)。
中古で購入してからしばらく走り、タイヤが残り少し、フロントブレーキパッドが限界近く、チェーンがほぼ限界だったので、消耗品を全とっかえすることにした。タイヤと前後スプロケはノーマル(どれもローエンドの社外品よりかなり安かった:スチールスプロケは正義)、チェーンはサンスターのメッキなし(純正がどの銘柄なのか筆者は知らない)、フロントブレーキパッドはデイトナのゴールデンパッドχ(これだけ奮発)、エアクリーナーエレメント・オイルフィルター・ラジエタークーラント・前後ブレーキフルードに純正ハンドルバーエンドで11万円くらい(とチェーンの初期伸び調整)。慣らしが終わったので感想を書いてみよう。
タイヤは純正(RX-02)だが、新しいのはやはりいい(昔のように新品だからといってツルッツルではないが、皮むきが不要になったわけではないよう)。減っているタイヤ(とくに偏減りしているの)も切ないが、賞味期限切れのタイヤも切ない。ブレーキパッドはさすがのゴールデンで、感覚的にはもう少し効いてもいいかなという気はするものの、握り始めの挙動が意外なほど穏やかで神経を使わされない。ディスクの減りがどうなのかという不安はあるが、ブレーキが弱いまま走るよりはどこかのタイミングでディスク交換した方が無難だろう(エンブレが効くバイクなので握る頻度はそう高くない)。オイルとエアクリーナーとチェーン・スプロケは普通だが、やはり新しいとそれなりに感じはよい(燃費も少し伸びたが、タイヤのおかげもあるのかも)。クーラントとブレーキオイルは「年数経ってるし念のため」で替えただけで具体的な効果は最初から期待していなかった。バーエンドは、効いているといえば効いてるような、大差ないといえば大差ないような感じ(まあ外れたままだと見た目がみっともないし、いいんじゃない「ドレスアップ」したってことで:個人的には、年季が入っているけど無傷なバーエンドより、キズが入って少し潰れたバーエンドの方が見栄えがするように思うのだが、あえて傷を入れようという気はまったくない)。
フロントサスはやはり少し減衰が効かないかなという印象だが、サスオイル交換となると工賃が高い。チューブ自体がかなり傷んでいるのでオーバーホールしたい気持ちはあるものの、そこまでやると金額がハネ上がる(いちおう見積もってもらったが、チューブ交換なしで工賃込み4万円、ありで同7.5万円ですって:オイル漏れない限りは我慢かなぁ)。ブレーキの効きがよくなっているが、フロントタイヤもフレームも負けている感じはしない(サスがバッチリ調整できたとしても、バネを変えなければそう劇的には変わらなさそう:やってみないとわかんないけど)。現状で一番弱いのはブレーキキャリパー(ともしかしたらブレーキディスク)で、ここを変えるつもりはないため、前パッドだけゴールデンを使い続ければ筆者は満足、という結論になった(キャリパー替えてハイグリップタイヤ履かせてサスもオーバーホールとかやっちゃうと、他の部分にも手を入れたくなって止まらなくなりそうだし、実用品として十分便利に活躍してくれているバイクなので、そこまで踏み込もうという気は起きない)。ブレーキは適度にダルい操作感で、メッシュホースが欲しいような感じでもない。全体的には、ひもじすぎにも頑張りすぎにもならないバランスの選択ができたようなつもりでいて、交換前のリアスプロケあたりは減り具合が少し惜しい感じではあったものの、次回以降周期をコントロールして交換できるようになったのでよしとしたい。ブレーキディスクとフロントフォークは様子を見ながらになるか。なにしろ、月に最低1500kmは走る生活なので、またすぐに交換時期はやってくるだろう。
走った感じの変化でいうと、やはりタイヤの影響がデカい。素直に寝るようになったのはもちろんなのだが、ある程度倒すと踏ん張る感じがあってけっこう安心感がある(とはいえ、タイヤ交換前よりもさらに鋭く「シュ」っとインに寄って行くため、寝かす必要がそもそもなくなった)。ブレーキのストレスもおおむね解消、フロントの落ち着きのなさも許容範囲には入っている感じ。チェーンはメッキにしてもよかったのだが、距離を走るので錆びるより早く伸びるだろうと思う。他に気になっている点としてステップとシフトレバー(どちらもゴムカバーつきで操作性がダルい)があるものの、わざわざ手を入れるほどではないように思う。