ウイリーしないで加速

タイヤの抵抗とエンジンの推進力が十分に大きい場合、ウイリーしないギリギリの加速度aを求めてみる(空気抵抗などは無視)。

こんなバイクがあったとする(右が前)。

Pの力で加速、Rはその抗力(てこの原理)。

Wは重力で、R'はその分力。




ここでR+R'=0すなわち|R|=|R'|とすると(r/d)|P|=|W|cosθであるが、
加速度a=|P|/|W|なのでa=(d/r)cosθとなる。

Gから線分rに平行な直線を引いて、Tを通りrに垂直な直線との交点とTを結んで線分cとする。




すると結局a=(d/r)cosθ=(d/r)(c/d)=c/rすなわち
a=c/r
が得られる。

実際には、タイヤやクランクシャフトを回転させた抗力やサスペンションの挙動なども考慮する必要があるが、もっとも強く作用する力は上記である(当然ながら、リアが浮かない最大制動は、上と前後対称な式で求められる)。またある程度以上ウイリーすると車体の重心が高くなる(正のフィードバックがかかる)ため、もし加速力を落とさないと後ろにひっくり返ることになる。

余談ながら、以前テレビで単車(スーパーバイクっぽいの、たぶんヤマハ)と4輪車(市販車シェイプ)と戦闘機(セルビア空軍機らしい)が800mの直線(というか滑走路)で競争するというバカ企画が紹介されていた。単車は400mくらいまでブッチギリだが後半で戦闘機に抜かれ、最後は4輪車にもけっこう離された。4輪車は前半で戦闘機に抜かれるも後半で単車を抜いて2位~3位~2位でフィニッシュ。戦闘機はスタートダッシュが遅かったものの単車を抜いた後は圧倒的な速さで空の彼方へ(なんかアクロバット飛行とかしてた)。2003年にシュー兄onフェラーリF2003-GA vs ユーロファイター・タイフーンで競争したときは、600mでF1勝利、1200mで戦闘機勝利、900mではウェットコンディションのハンデがあってか戦闘機が辛くも差し切った。ただしF1マシンは直線仕様にしてもドラッグレーサーほどは速くならず、スピードウィークでも2006年にBARが出した記録を660ccエンジンのS-DREAMが上回ったりしている(どっちもホンダエンジン)。

余談の余談になるが、自転車の最高速度記録は144km/h(平地かつ人力)だそうで、フルカウルの特別仕様車(弾丸みたいな形で窓もなく、カメラとモニターで前を見る)を使った記録。坂道+人力だと200km/hを超えるようで、最高速チャレンジのお約束ロケットエンジンを使うと300km/hオーバーになる(チャリンコのフレームとタイヤを使っていることにどういう意義があるのか、筆者は知らない)。

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